○手長蝦釣り指南


 テナガエビ釣りに関しては、これといった師匠につかず独学で適当な釣りを展開している。
 とはいえ、都市河川の豊富な栄養を基盤にものすごい数がいるテナガエビを相手にしているので、いやでもそれなりに経験や技術的な蓄積やらが増えてきて、いっちょまえの釣果を出せるようになったと自分では思っている。
 これまでの最高は数では120匹、大きさは26.5センチである。まあ2010年から初めて数年でこのくらいいけば上出来だと思っている。

 とりあえず、自分なりの釣り方的なものも固まってきたので、この機会に紹介したい。

 まず、テナガ釣りの季節だが、一般的に梅雨時がシーズンというイメージで、その認識でだいたいあっているが、実際にはもう少しシーズンは長い。
 私が主戦場としている川でも下流のテトラ帯と上流のガレ場ではつれる時期がまた違い、テトラ帯では早いと3月からと聞くが4月ぐらいからぼちぼち釣れ始め、5月には好釣となり、8月いっぱいぐらいは釣れるのを確認しているし、もう少し秋まで釣れそうにおもう。
 上流のガレ場はもう少し釣れる期間が短くて梅雨入った6月後半から7月にかけて、産卵時期にのっこんでくる感じである。逆に下流は4、5月とかまだ卵を持っていない雌も釣れてくるので、のっこんできているのではなく、下流の河口近くで多くの個体が周年生息しているのではないかと考えている。
 そのあたりの季節的変化を読み間違えると全くエビのいないところで釣っている羽目にあったりするのでこまめに定点チェックして、エビの活性や雌の抱卵具合等を確認しておきたい。

 次に仕掛けだが、至ってシンプル。エビは基本底でしか食ってこない(テトラの壁面や葦の上の方で食ってくることもあるが例外的)ので、必ず底が取れるように重りが浮きに勝って沈むようにして浮きは小さいのを目印的につけている。浮きがない脈釣りだとラインがふけてトラブルになるのでラインをある程度まっすぐたてるためにも浮きは必要。
 テトラ帯ではあまり浮きの動きを悠長に見ているとテトラの下やらに潜り込まれて根がかるし、ガレ場では見釣りが主なので浮きであたりをとる必要性はあまり感じていない。しかしながら、浮きを50センチぐらいとか一定の棚にしておくと、後ほど書くけどテナガはあまり深いところでは釣りにくいので「浮きが見えるぐらい」と気をつけることで浅い場所を狙い続けることができる。
 重りは最近は小さいサイズは鉛ではなくスズ製のガンダマを使っている。鳥の口に入るサイズの重りは鉛を避けるべきだと思ってそうしている。
 ハリは小さいヨリモドシを介して、たなご用の「半月」を使っている。半月は軸が長いので釣った後つまんでハリはずしがしやすい(好活性時すっぽ抜けるときはエビばり2号にサイズアップするとかかりが良い)。

 竿は2.1mと1.2mの2本用意している。短い竿に短めの仕掛けをセットしたものを用意しておくと、テトラのオーバーハングした場所にもぶち込みやすく重宝する。がれ場でも狙う水深が変わって2本あるといい塩梅である。
 細かいところだが、テトラ帯では竿尻近くに洗濯ばさみを挟んでおくと、テトラの上で転がらずに安定して置き竿に便利。

 餌は、豚レバに落ち着いた。冷凍して保存しておき、釣りに行く際に、凍ったまま薄くスライスして、それをさらに5mm×10mm弱ぐらいの短冊に切る。
 釣り場では縫い刺しで使うが、ちょっと餌箱から出しておいてやや干からびたぐらいがハリに刺しやすい。
 餌はほかにキジ(売ってるミミズ)も使ったが、キジも餌としては問題ないのだが、釣りに行く前日か当日ぐらいに買いに行くのが手間で、冷凍保存できる豚レバのほうが都合が良い。
 ほかに一般的にテナガ釣りの餌としては赤虫、カニかま、生ハム、エビなどが使われる。最近は生ハム人気のようだ。要するにテナガエビは結構どん欲な肉食のエビなので、餌は何でも食ってくるので、手に入りやすく、餌持ちがよい使いやすい餌を選ぶのが肝だと思う。カニかまとエビは餌持ちいまいちだが、エビエサで釣れるというのを知っていれば、餌がなくなったときに釣ったテナガを餌に釣り続けることもできる。
 ちなみに豚レバーというのは、台湾とかのオニテナガエビを釣らせる釣り堀での定番餌からヒントを得て使ってみたら、保存性、エビの食い、餌持ちともに良く気に入って使っている。

 ポイントについては、テナガは意外に浅い場所に多いので、直接ウロウロしている奴を見つけて狙うなり、小さいのが多い場所を狙うなり、とにかく目を使って探っている。
 浅い場所にエビが多いのは、深いとシーバスやらコイやらに食われるので、10センチぐらいのごく浅い水深から膝下ぐらいの水深に追い上げられているのではないかと思う。長竿で深めを狙って釣れている釣り人を見たこともあり深めにもいないわけではないと思うが、いたら見えるという勝負の早さもあって私は浅場の釣りに絞って釣っている。
 特に、のっこみ時期のガレ場のポイントでは、普段生息している場所ではない水域に大挙してエビがやってきているので隠れる場所が限られていて、浅場に沈んでいるなんということもない石の周りにゴチャっとエビが集結していたり、浅場をウロウロと歩き回っていたりということが多い。そういう場合はしっかり「見釣り」で狙っていきたい。
 「見釣り」とは逆に直接エビが見えない場合、エビの通り道になるような場所に置き竿して狙うのだが、いかにもな障害物際とかも良いといえば良いのだけど、そういう分かりやすい場所よりのっぺりとした砂地やテトラの壁面が斜めになっているような場所で不思議といつまでもつれ続ける場所がある。なので、2本竿の片方を置き竿でそういう場所を探索するのに使うという戦術で、特にテトラ帯はエビが直接見えにくい日もあるので、通り道になっているような「良い穴」を見つけるのが重要になる。

 「あわせ」のタイミングはこの釣りのキモの一つである。大ざっぱにいって「遅あわせ」がだいたい正解。遅あわせだと障害物の下に潜られそうなときもテンションかけつつ可能な限り遅あわせ。
 見えているエビにハリについた餌を食わせようとすると、活性高ければ長い第2歩脚で、触覚の届く範囲ぐらいの餌はつまんで口の前のはさみ脚とリレーして口に餌を持っていくのが見える。このタイミングであわせてもがっついている奴だとうまくかかるが、口元に餌を持っていっても端の方から噛んでいる状態だとハリが口にはいるまでしばらくかかるようで、このタイミングのあわせはすっぽ抜けることがある。
 また、足下においても餌をすぐに口に運ばない個体もいたりして、とりあえず私は見えているテナガ周辺に餌を落としたら、テナガが食ったアクションがあってもなくても、いったん置き竿にしてしばらく待つか、置き竿にしない場合でも、そのぐらいの「間」を意識して遅あわせを食らわせるようにしている。
 あわせの強さは、通常手首を返す程度の軽いあわせでハリが掛かり、エビ独特のピンピン跳ねてクルクル回る引きを堪能できる。
 エビバックされると根がかるような場所ではあわせはかけずにそーっと根からはがして持ち上げてくるようにする。その場合水面近くでエビバックしたときにしっかりハリが掛かりする。
 置きざおの場合の合わせは、テンションはって「聞きあわせ」してみてエビがついている重みを感じたら軽くあわせる。
 いずれにせよ、見えているエビがハリについた餌を食う様子をよく観察し、どのタイミングであわせをくらわすのが適切か、日によって食い込みが悪い日などもあるので良く観察して習熟しておきたい。


 釣り方はだいたい以上のような感じだが、食味の良い獲物なのでその辺もひとくさり書いておきたい。
 泥抜きは正直必要ないぐらいである。でも水なしで冷蔵で持ってくると1時間ぐらいならほとんど生きているので帰ってきてからバケツとかで泥抜きする事も可能。
 味の良い素材なのでシンプルに素焼きにした「鬼殻焼き」、とか唐揚げ天ぷら素揚げの「揚げ物」が定番。
 でかいのは「手」が堅くて食いにくく、口の中が血塗れになるのではずして調理しても良いかもしれない。
 鮮度を保つために、現地ではズック魚篭で水中につるして生かしている。バケツで生かしておくのは高温期の釣りなのでブクブク使っても意外に難しい。
 持ち帰るためには、タッパーと保冷剤が入る小型保冷バックを用意して釣り具と一緒にリュックに入れて運んでいる。真夏の場合もう少し大きめの保冷バックに冷凍ペットボトルを入れて保冷力を確保した方がよいだろう。

 ということで、現時点で整理したことを書いてみた。
 サイトの「工夫」のコーナーにも保管しておくこととする。
 テナガ釣りという、身近でとても楽しめるこの釣りの、何かの参考になれば幸いである。

(2016.6.4日のブログ再掲)

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