○ルアーのフック(つりばり)について
ルアーのフックをどうすべきか、悩みはつきない。
とりあえず、買ってきたときにルアーについているフックをそのまま使うことはほとんどありません。
特に日本製のルアーには、バス用にしろ、シーバス用にしろ釣れる魚のうち大きめのサイズを想定すると、全く役に立たない華奢なフックがついています。
確かに、細軸のフックは刺さりがよくてフッキングする確率はいいのかもしれませんが、中小型のアタリをいくら効率的に取れたところで、大型のファイト時に伸びてしまっては使い物にならないとおもいます。どうも日本の製品は、「小物でも良いから何とかして釣りたい。」といういじましい釣り人の思いが強く反映されすぎているような気がします。
そういうわけで、フックを交換するのですが、その場合、通常ルアーに付けられているトリプルフックのほかにシングルフックも選択肢に入ってきて更に悩ましくなります。
一般的にいって、
・かかるチャンス
多い > 少ない
トリプル > シングル
・刺さりやすさ
刺さりやすい>刺さりにくい
細軸 > 太軸
バーブレス>バーブ有り
シングル >トリプル
・抜けにくさ
抜けにくい>抜けやすい
バーブ有り>バーブ無し
シングル > トリプル
・同重量の場合の強度
強い > 弱い
シングル > トリプル
だろうと思います。はり先が多いのでかかるチャンスはトリプルフックの方が多くて、複数のハリを刺さなければならない分、フッキングには力が必要だろうと思います。
抜けにくさは、トリプルの方が抜けにくそうに感じるかもしれませんが、ハリどうしが干渉しあって「てこの原理」でハリ穴を広げるようにして外れることが多いように感じています。しっかりかかればシングルの方がバレないのではないでしょうか。餌釣りのフックもフライフックもシングルがほとんどですからね。
こうして比較してみると、トリプルフックはフッキングのチャンスこそ多いけど、しっかりかけるにはパワーが必要だし、ばれやすくて、同じ重さで比較するとシングルより強度的に弱いということになりそうです。で、当方はもっぱらかけたらバラしにくいシングルフックを中心に使っています。スプーン、ジグ等の一個フックを付けるタイプのルアーにはシングルフック一つで迷いはありません。
ジグの場合フロントにケブラーでフックをぶら下げる場合もありますが、多くはリング2個付けてテールにシングルフックです。リングを2個付けるのは、その分フックの動きの自由度が増して、魚が首を振ったりしてひねりが入る際に柔軟に力を受け流してくれるように思ってそうしています。スプーンの場合はリング2個の代わりにフックのアイがケブラーやPEでできているものを使っています。
これで、プラグもシングルでOKとなればすっきりするのですが、なかなかそうは割り切れないモノがあります。
多くのプラグのお腹とシッポのフックをシングルにしていますが、シングルだと都合が悪いモノが結構出てきます。
まずは、障害物や底と接触する機会の多い、浅場を攻めるプラグの場合、下向きのフックが腹についているとあっさり根がかってしまいます。これを、腹のフックだけトリプルフックの下向きの1本だけ折り曲げたなんちゃってダブルフックに替えてやると、根掛かりが劇的に減ります。シーバスミノーでも、波がぶち当たっているような地磯を狙うときにはこの手のフックの付け方で攻めてます。
次に、トリプルと同じ重量のシングルフックを付けると、軸が太くできると同時にたいていサイズが大きくなります。そうすることによって腹のフックがラインに絡んだり、ルアーの背中に回ってしまったりすることがあります。これを防ぐために、そういった形状のプラグの場合、腹のフックはトリプルのままでいくしかありません。
裏技として、アイがケブラーなどでできているシングルフックの場合、ケブラー部分をフックホールシーラーなどの柔軟性のある接着剤で固めてしまい、フックがあまり動きすぎず絡んだりしないようにしてしまうという手はあります。
いずれにせよ、プラグのフックについては「これだ!」というシンプルな方針がたてられずに、あれこれ試している状況です。
今後も、いい手を考えていきたいと思います。
バーブを潰すか残すかは、取り込みに手間取る状況かどうかやハリ外しのしやすさが重要な状況かどうか等で決めます。
イワナのように足下でグネグネと暴れてくれる魚や、陸っぱりのシーバスのようにタモ入れまでもたつくことが多い場合バーブ付きのフックを使っています。バーブレスでもラインテンションがかかっているファイト時にはそれほどばれることはないと思いますが、寄せてきて足下でテンションがゆるんだ状態でもたついているとバレる気がします。
逆に船頭さんがすぐに掬ってくれるようなシイラとかボートシーバスにはバーブレス。シイラの場合釣り上げたあと船上で暴れるので外しやすいことも重要。あと、口の周りが硬くてフッキングしにくいライギョやGTのような魚にも刺さりやすいようにバーブレスを使います。
バーブの有る無しは、よくリリース後の生存率との関係で、バーブレスのほうがより魚にダメージが少ないと言われていますが、要するにはり外しに手間取らなければ良いという説が有力のように聞いており、バーブ付きのハリを使う釣りでもそれほどハリを外すのに時間はかかっていないので、そういう視点ではあまり気にしていません。
フックの手入れについてですが、よくメーカーのお抱え釣り師は、「最近の科学研磨のフックは磨いでも元通りにはならないので、ドンドン新品と交換してください。」と恐ろしく金のかかることを勧めておられますが、とてもじゃないけど現実的ではありません。
針先なんて、ちょっと障害物に当たっただけでヌルくなってしまいます。磨ぎましょう。
もちろん化学研磨並みとは行きませんが、実用充分、魚の口にフッキングする程度には復活してくれます。私は断然、ハリは研ぐ派です。
あと、錆びをある程度防ぐのにジンクという商品名(そのまんまや!)で亜鉛の粉末を溶媒に溶いたものが売っているので、まめに塗っておくと良いと思います。
フックは魚との接点であり、あだやおろそかにはできない部分だけに悩みはこれからもつきないと思います。
(2010.3)
○フロントフックの問題について
プラグのフロントフックをシングルに替えると、写真の上のような感じでフックがルアーの頭部にかかってしまいやすいので、そういう傾向にあるフロントフックの位置が前めのルアーにはフロントフックはトリプルを使っていた。
シーバス釣りでは普通は問題無いのだと思うけど、杭まわり狙いで魚をあまり走らせずに止めてファイトしていたら、写真下のようにトリプルフック伸びた。バレずにすんだが、70ちょいでこの有様だと、サイズがもう少しあがると伸ばしきられてバラしかねない。
シングルに替えれば、同じ重量のフックを付けると想定すると単純に考えて三倍の強度のフックが使える。杭まわり狙いの時はシングルにするしかないのかなということで、その際のフックの絡みを解決するために、とりあえずフックのアイとリングのあたりを、ライギョ釣りのフロッグを改造するときに使う「フックホールシーラー」と呼ばれるウレタン系の接着剤で軽く固めた。フックホールシーラーはある程度弾力性があるので、それなりにフックは動いて魚がかかったら剥がれて自由になる程度の固め方である。とりあえずこれで塩梅を見てみたい。
(2012.9.30)
○2013.12.8のブログから転載
ワカサギーッ!ワカサギーッ!
という感じで、ワカサギシーズンに突入している。
昨日午後からサクッと軽めのスタートだったが、それでもまずまずの釣果で今シーズンも楽しめそうである。
昨冬から本格的に始めた房総のダム湖のワカサギ釣りだが、いろいろ仕掛けも長さやハリの数やら試行錯誤しているが、ハリそのものについては、ともかく写真のダイワの「SaqSas(サクサス)」シリーズが抜群に良い。
表面フッ素コーティングしてるんだかなんだかで、とにかくサクサクと刺さりまくる。
ワカサギのハリがかりについては、正直、他のメーカーの普通に今時の化学研磨の鋭い針先の製品ならそんなに差はないような気もするが、餌付けが格段に楽になる。結果、手返しが全然違ってくる。
ワカサギ釣りの餌はベニサシか赤虫なんだけど、ウネウネ逃げようともがく小さな虫餌をハリに刺すのは、目も見えなくなってきて手先もおぼつかないオッサンには面倒な作業で、かじかむ手で針先を虫の表面に突き立てたのに、サクッと刺さってくれずにツルンと逃げられたりするとイライラしまくるのである。
それがこのサクサスのハリは、一発でサクッと刺さるのでメチャクチャありがたいのである。
一度使えば、もう他のメーカーのワカサギ仕掛けは使えない。
ダイワのハリに驚かされたのは人生二度目である。一度目はたぶんワームフックに化学研磨を施したハシリだったと思うのだが、チームダイワのワームフック。
それまで、トゥルーターンやらイーグルクロ−のオートマチック45やらアメリカンなひねりの入ったワームフックを愛用していたが、形状的には何のひねりもないTDのシンプルなフックが、スパンスパンとバスの上顎を貫いてくれて面白いぐらいにフッキングが決まったのには驚愕した。
化学研磨のフックの顕微鏡写真を「フライの雑誌」のフック特集だかで見た記憶があるが、実はあの鋭い針先は顕微鏡で見るととがっているのではなく、先端が平面になっている。
その顕微鏡写真を見て当方が思い出したのが捕鯨砲の先端。これも実はとがってなくて先端が平面なのである。おそらく突き刺さる時の速度や加重によって、あまりとがった先端は折れるのかなとか、先端が平面の方が物理的にうまく貫通力を得やすい形状なのかなとか、想像している。
化学研磨のフックの鋭さは、そういう非常に顕微鏡的に細かい世界で見て特殊な形状なので、手で研いで再現できるものではない。
でも当方はルアーのフックは普通にシャープナーで研ぎながら使っている。
なぜかと言えば、いちいちフック交換していたらもったいないというエコでドケチな気持ちももちろんあるが、手で研いだぐらいのハリの鋭さが、案外ちょうど良い場面が多いと思っているからでもある。
あまり針先が鋭すぎると、ルアーを食った瞬間にフックはクチの中のどこかに軽く引っ掛かってしまう。そこがたまたま良い位置ならそのままフッキングしてもバレないだろうが、硬い骨の上の皮一枚とかに掛かってしまうとフッキングの時や最初の首振りでバレてしまう。
魚が、ちょっとしか口を使ってくれなければ、とにかく「かかり重視」でどこでも良いのでまずかけた方が良いが、ガッチリ食って反転してくれるのなら、反転したタイミングでフッキングかまして口の中の堅いところを針先が滑ってくれる感じで口の横の蝶番のところにしっかりかけてしまいたい。
ということで、春のチョビッと吸い込むようにしか食ってくれないバチシーズンのシーバス用にはフックは「カケ」重視で毎シーズンフック交換してぐらいの感じでのぞんでいるが、秋のばっくりミノーやバイブレーションを咥えて反転してくれるシーバス用には、針先がぬるくなったら手で研いで使っている。
高名な彫刻家だったかが、「刃物はあまり切れすぎると良くない、ちょっとなまくらなぐらいでちょうど良い」とか言っていたように記憶している。
サクサスの高性能さは非常に重宝しているが、かといって釣りバリ全部にフッ素コーティングしてサクサク刺さるようにするべきかというと、そうは全く思わない。
何事にも、「良い塩梅」というのが大事だと思ったりしている。
○2017.11.25のブログ再掲
○2017.11.25のブログ再掲