○シーカヤック

  今私の中で一番熱い釣りが、シーカヤックを使ってのシーバス釣りです。

東京湾に浮かぶ私(東京湾にて)

 釣りを長く続けて行くには、常に新しい釣り場か釣りモノ、もしくは釣り方を開拓する必要を感じています。

 技術の向上もなくまったく同じ釣りを続けていては釣り場環境が年々厳しくなる中、だんだん釣果は厳しくなっていくと感じています。

 

 理想論としては、釣り場に魚を取り戻してどんどん釣りが簡単になって釣果が豊かになっていくという状況も想定はできますが、なかなか無いのが現実です(註1)。

 自分の釣りを振り返ると、技術はヘタクソのままですが、何とか釣り場、釣りモノ、釣り方の新規開拓で楽しく釣りができる程度の釣果を確保してきたように思います。

 釣り場の魚がすっかりスレまくって釣れなくなったり、釣り場自体が埋め立てられて無くなったりと、泣きそうな目にあったときも多々ありますが、希望を失わずチャレンジ精神で新規開拓事業を進めていけば何とか面白い釣りに巡り会えるものです。と信じてここまでやってきました。

 

 ここ数年、東京湾のシーバスについては、春のバチ抜け(註2)攻略が私の得意パターンでした。最初、そういう釣り方があると知ったのはもう10年ほど前になりますが、最初はフライで始めた人がいて、その釣りを先輩経由で教えてもらい、その後、自分なりにルアーに応用していきました。最初のころなどそれこそ、水面でバチ食っている魚にミノー投げている人が結局諦めて場所移動してから、その魚を釣って鼻高々というような経験もありました。10年ぐらい楽しめましたが、昨年ぐらいから私の予想した場所には既に先行者がいることも多く、ルアーも最近多種売られているバチ対応ルアーがぶら下がっていたりして、私だけおいしい思いをするどころか、釣り座の確保も危うくなってきました。

 

 なにか新しい手は無いかと模索していたところ、故郷の釣友から最近シーカヤック買って良い釣りしているとの報告。なんでも最近のシーカヤックには「シットオントップ」タイプといって、下半身をカヤックにはめるかたちではなく、カヤック本体の上の座席に体躯座りで座るのが出てきて、乗り降りも楽だし、落水時の再上艇も簡単、釣り向きの機種も出ていてアメリカあたりでは既にブームが来ているとのこと。紹介された海外のホームページをみると、ストライパーやレッドフィッシュは当たり前、中には巨大なターポンやら「大丈夫か?」と心配したくなるサメなんかも釣っている始末。

 速攻購入検討しましたが、住んでいる職場の宿舎にはカヤックを収納できるような物置は無く、3階の部屋まで持ちあげる手段もなくあきらめかけました。

 しかし、探せばあるもので、シットオントップタイプのカヤックで空気で膨らますタイプのものがいくつかあることを知りました。たためば押し入れに収納できるし、車での持ち運びや海へのエントリーにも便利です。

 ただその多くは川下り用とかで、曲がったりする回転性能はよくても、海をある程度の風にも負けずに長い距離進むのには適していないようでした。そんな中でカナダのフェザークラフトというメーカーのエアライン「JAVA」というシーカヤックが、かなり航行性能も高く海での釣りにも充分使えそうでした。

 早速取り扱っているショップの試乗会に参加して、乗り心地等や実際に乗って竿が振れるか等試させてもらい昨年6月に購入しました。

 このカヤックの最大の欠点は値段が高いことです。普通のシットオントップタイプのカヤックの2倍ぐらいします。

JAVA(愛艇JAVA)

 

 しかし、値段の分の価値はあったと昨年半年ぐらい乗って感じています。

 最初に夏休みに南の島に行ったときに珊瑚礁の小物釣りに使いましたが、これは釣れるのは当たり前だと思っていましたが、その後の夏の房総・三浦半島の青物、秋の東京湾のシーバスと、1年目から予想以上に結果が出ました。

ホシゴンベマルソウダ(ホシゴンベ、マルソウダ)

ワカシフッコ(ブリの子、シーバス)

 

 日本でもボチボチとシーカヤックの釣りをする人は増え始めていて、ホームページやブログを立ち上げている人もいます。釣具屋さんのスクールもあるようです。

 しかし、私はせっかく新しい分野に挑戦するのだから、あまり情報は仕入れずに自分の思うように釣り方や釣り場の開拓をしたい、その方が既存の情報に縛られずに自分だけの穴場とかを見付けられるのではないかと思ったので、そういうホームページについても安全対策とかは参考にしましたが、釣り場の情報とかは意図的に見ないようにしており1年目は釣り場探すのが精一杯であまり結果は出ないかなと思っていました。

 

 そこそこ結果が出たのは、一つには結果の裏で実は思い切りスカ食いまくっているという事実(註3)も確かにあるのですが、釣り場の選択について、ボートでのシーバスのポイントのイメージではなく、普段やっているウェーディングの釣りの延長線でポイントを選んだのが良かったのかなと思います。

 つまり普段さんざん通っている土地勘のある場所で、もうちょっと沖に立ちこめたらあのポイント狙えるのになーとか、ボイルがおこるけどなかなか岸近くまで魚寄ってこないなーとか思っていた場所で、ちょっと沖までカヤックに乗って出て行ったらやっぱり釣れた。という感じです。

 ボートが入れない浅場や狙わない小場所が私がカヤックで狙うべきポイントかなととりあえずは考えています。

 

 最後に、これからシーカヤックで釣りしてみたいと思う方に、ちょっと注意していただきたいことを書いておきます。自戒も込めて。

 

 まずカヤック漕ぐのは結構体力入ります。私は高校生のころ友人が持っていた川用のカヤックをずいぶん漕がせてもらった経験があるので、それほど苦になりませんでしたが、何人か乗せた初体験の人はしんどいと言っておりました。同居人は「エンジン付けろ!」とご無体なことを言っておりました。

 ポイント探すのも、それなりに漕ぎまくって探すしかないし、楽に釣果を得たいと思う方にはシーバスボートをお勧めします。私もちょくちょく利用しますが、プロの持ってる情報量や技術は半端ではなくかなり楽に釣らせてくれます。

 ただ釣果以上に自分でポイントを探したり、自分でいろんな判断をして作戦を組み立てていくのが私は好きなので、シーバスボートよりカヤックの方がさらに楽しいと感じています。苦労が好きなマゾ野郎(註4)にはうってつけの釣りだと思います。

 

 それから、当たり前のようにカヤックは波やミスでひっくり返ります。

 私も砂浜からの出撃の時に、ちょっと波がきつくて波打ち際でカヤックに乗り込もうと船体をまたいで立ち込みタイミングを計っていたら、大きめの波が来て、波に持っていかれるカヤックに足をすくわれる形で思いっきり転倒しました。ライフジャケットのお陰で波打ち際ゴロゴロと転がった後に首から上がぽっかりと水面上に出て事なきを得ましたが、意外に簡単に転ぶことと波の力は結構大きいことを痛感しました。

 そのとき、カヤックに積んでいた荷物やタックルボックス、パドル、ネットなどはすべてコードで船体に繋いであったのでこれも何とか回収できました。

 転倒したときは浅い砂浜だったので回収できましたが、竿とリールだけは常に繋いでいるわけにはいかないので使わないときはウエストポーチに繋いだボガグリップを繋いで沈没時の紛失を防ぐようにしています。

 眼鏡もコードを付けて、携帯は防水機能のあるものにするなど、落水することを前提に準備をしておくべきだと思います。

コード(コードは必須、こんがらがったりして。)

※改良:落水時体にコードがからむと危険なので、車のルーフレールにタープを止めるためのマジックテープで止める金具でつなぐようにしました。

短く接続 (改良後)

 

 当たり前ですが、波浪や風、天気や気候には充分注意が必要です。せっかく貴重な休みに朝早く起きて釣り場に来たのに、カヤック出さずに帰るのは決断力がいりますが、ちょっと臆病なぐらいの判断が正解かもしれません。そんなときは岸から釣って帰ればいいんです。

 洋上で風が吹き始め、もう少し釣りたいと粘った結果、風が強くなり船体が風を受けて横を向いてしまいコントロールできない状態になったことがあります。さいわい岸向きの風だったので転倒しないようにだけ気を付けて岸までたどり着きました。一応、頭に風向きのことがあったのでねばってしまったのですが、風向きが変わっていれば救助を依頼するようなしゃれにならない事態になっていたかもしれません。深く反省。

 だいたい風速5ぐらいで波頭が白く飛び始め俗に「ウサギが跳ぶ」という状態になります。このあたりが私の場合航行できるギリギリです。ウサギが跳ぶ前に撤退ということを一応目安にしています。

 割に風に弱い乗り物ですが、そこそこスピードが出せるので、岸からあまり離れす航行可能なうちに早めに撤退することにより安全を確保しようと考えています。

 

 最後にこれもいわずもがなですが、規則とマナーについて、マナーについてはシーカヤック買えるような大人には今更説明する必要ないのかもしれませんが、洋上に漕ぎ出すと規則の方はいろんな方面から細かいルールが決められているので注意が必要です。

 特に釣りする上でややこしいのが、ソーラス条約の改正により、国際取引のある港湾区域では立入禁止の厳格化、停泊中の船の30m以内への接近禁止など厳しい規制となっていることと、漁業の制度と関連して釣りが禁止されている「禁漁区」の関係の2点でしょう。

 事前にしっかり調べておかないと洋上には線が引いてあるわけではないので知らずにルールを破ってしまうことになります。もうちょっと分かりやすく立て看板でも立てるなりしてほしいところですが、貨物船や漁業者にとっては当たり前のことなのか、よそ者にはわかりにくいことが多いです(註5)。

 ソーラス条約関係については「国土交通省港湾局」のホームページの「国際船舶・港湾保安法に基づく埠頭保安規程等の承認について」というところで対象となる港の埠頭を調べる必要があります。

 漁業関係については、「水産庁」のホームページの「遊漁の部屋」から各県の情報にリンクが張られているのである程度これで調べられると思います。

 

 以上あれこれ書いてみましたが、シーカヤックの釣りについてはあれこれ試行錯誤しながら、あと5〜10年は遊べるかなと期待してます。

 

 

 

 

(註1)かといって理想をあきらめたわけではないんです。ホームページでも、釣り場に魚がたくさん増やすための私なりの提案なんかも書いたりしてます。あきらめたらその時点で終わりだと思っています。東京湾や多摩川なんかは最近魚が増えたという話も耳にします。希望はまだ持っていて良いのではないでしょうか。

(註2)産卵行動のため水中にゴカイの類が泳ぎ出すことがバチ抜けと呼ばれており、ゴカイの種類が多いので実はバチパターンといっても大まかに分けても3種類ぐらい、細かくいえば数え切れないぐらいの状況がありそうです。その中で、一般的には中型のゴカイが水面に波を引いて泳ぎ回るような状況になると釣りやすい。かつ潮に関係なく毎日のようにバチ抜けがあり、その時間が日没後数時間とか日没との関係で予想できる場合は手堅い。おそらく毎日同じ時間にバチ抜けがあると魚が学習するのだと思います。逆に普段バチ抜けしない場所でバチが抜けてニョロニョロ泳ぎ回っているのが確認できるのに釣果はさっぱりという経験も多々あります。10年ぐらいやってても分からないことだらけではあります。

ニョロニョロ(ニョロニョロしてますがこれだけ集中的にバチ抜けが起こると釣れないことが多いです。)

(註3)写真は釣れたときしか取らないので写真を並べると景気よくみえますが、シーバス野郎はスカをおそれていれば釣りにならないぐらいスカ食います。

(註4)乳首ピアスの話とかも告白しているので、私のことを真性のマゾッホと勘違いされる方もおられるかもしれませんが性癖は至ってノーマルです。苦労好きというか工夫が好きなだけです。

(註5)ソーラス条約改正関係は陸上からは分かりやすいです。ご存じのとおりフェンスが張られています。しかし洋上からは素人にはサッパリ分かりません。

 

(2008.4) 

ゴマサバスズキ

ワカシ

(2008.9,10,11)

クチナジ(イソフエフキ?)マトフエフキ

ヤマブキベラカンモンハタ

(2009.8)

 

80スズキ

 2011年11月23日。目標だった、カヤックでのスズキ80センチをゲットしました。

 カヤック乗るときの上着は昨年まで普通のカッパでしたが、今年から、手首、首のところがネオプレン製で水が進入しにくく、腰の部分もマジックテープで絞れるようなカヤック用の上着(パドリングジャケットというのか?)を導入しました。

 ウェーダーも腰のベルトと、一番上の部分を締めることができるので、落水したときも水が大量に入ってくるということは無かったですが、さすがにシャツとかは結構ぬれました。この上着だと水の入ってくる量が少なくて済みそうです。

手首、腰装備

 

(2011.11)

 

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