○小物釣り

 

 延べ竿で浮きつけた仕掛けをつかいフナなどの小物を釣る。

 

 これがめちゃくちゃ面白い事を再認識させられたのは九州在住時代の農業用水路でのフナ、タナゴ、モツゴのたぐいの釣りでした。

 九州の用水路の生物反応の濃さといったらそりゃすごいモノで、ちょっとのぞき込むと藻の間を何種類もの小魚が泳ぎ回り、夕方にはフナが群れをなして水面でぱくぱくと餌をあさり、カエルは跳ねるわ、トンボは飛ぶわで、僕が子供のころの故郷の田園風景を思い出しました。

 何が違うのかと考えると一つには、今普通の田んぼの用水路はコンクリで護岸されていますが、これらの場所ではまだ土の土手が多かったことだと思います。それだけで、植物層が全く違ってきて、生物群集がすごく豊かになると感じました(註1)。

 ここで釣りしたらおもしろいんと違うかと考え、安物の延べ竿を持って釣りに行ってみると、これが釣れる釣れる。ヘラブナ系のフナやモツゴ、オイカワ、ヤリタナゴ、アブラボテ等々、小さな浮きがぴくぴく動くのを眺め、おもむろにあわせを喰らわせると、小物ながらも生命感あふれる小気味よい手応えが伝わってきて思わず夢中になります。

 

 そういえば、自分が初めて釣った魚はいわゆるマブナ(ギンブナ)で、そのときも玉浮きがぴくぴく動くのを興奮して見つめていたはずです(註2)。

 その釣りが面白くなかったら、今こうして釣りをしている私はいないわけで、考えてみれば面白くて当然なのですが、ルアーを中心に釣りをしているときにはこの面白さを忘れていたようです。

 深く反省しつつ、以後いろんなところで小物釣りも楽しんでいます。

 

 関東には「タナゴ釣り」の文化があったりして、凝り始めると小物釣りの世界も深い底なし沼が待っていますが、私はあまり形式張ったことは気にせずに、お気楽に、楽しく釣ることを心がけています。

 

 釣り竿は、800円のグラスの竿を使っていますが、これが思わぬ正宗。粘りがあって小物でも良くしなってくれて釣り味最高です。

白滝(名竿「白滝」)

 

 小物釣りにはハリが重要ですが、タナゴ針の「半月」というのが、針先は小さくて小物もつれるのですが、ハリ全体はそこそこ長いかたちなのでつまみやすく使いやすくて良いです。

 凝る人は自分で針先を磨ぎ極短にするそうですが、そこまではやらないのがお気楽なスタイルです。

 

 浮きはまだ何がよいのかよくわからないのでとりあえず唐辛子浮きを使って、浮きの下に目印として蛍光色の浮き止めを2個ほど付けています。

 

 餌については、マルキューの「グルテンワン」が良いということを本で読んだので、淡水の小物の時にはそれを使っています(註3)。

 グルテンの繊維質の部分が多く、はり持ちがよいのが使いやすい点ですが、匂いも甘い匂いにニンニク臭が混ざって思わず焼いて食べたくなるぐらいで、いかにも釣れそうです。

 海では、コマセ用のアミや魚肉ソーセージを使います。

 

 釣った魚は写真とったり観察したりしてリリースしていますが、時にはビクにキープして大漁の重みを味わったりもします。

 こんな面白い釣りを長い間忘れていたのは不覚でした。

 

<小物写真館>

○淡水

 フナ類、タナゴ類、コイ、モツゴなどがターゲット。

ヤリタナゴカネヒラ(ヤリタナゴ、カネヒラ)

ニッポンバラタナゴイチモンジタナゴ(ニッポンバラタナゴ、イチモンジタナゴ)

タナゴアブラボテ(タナゴ、アブラボテ)

オオタナゴモツゴ(オオタナゴ、モツゴ)

コイ柿の種(コイ、ギンブナ)

 

○海水

 東北の港ではワカサギの親戚のチカが好ターゲット。食べても美味しい。

 そういえば実家の方の港では豆アジなんかが港によると喜んで釣ってました。

 南の島に行ったときには、スズメダイ系の熱帯魚なんかもゲット。カワイイ魚をじっくり観察するのはなかなか楽しいんです。

チカメインカタクチ混じり(チカ、カタクチイワシ)

ロクセンスズメミスジリュウキュウスズメ(ロクセンズズメ、ミズジリュウキュウスズメダイ(註4))

 

 

 

 

(註1)土の土手で植物が生えていると、泥や植物の腐食物が堆積して徐々に水路が浅くなるので定期的に掘りあげたりする手間がかかるようです。労働力の確保はなかなか難題。そのかわり、菱の実やコイを収穫して食べたり、釣りして楽しんだりといった恵みを享受できます。釣り人が森林の「草刈り十字軍」のようにボランティアで「泥あげ十字軍」結成できないかしら?

 コンクリート護岸のただの溝は管理は楽で効率的かもしれませんが、生物の多様性や景観、農村の魅力といったいわゆる「多面的機能」の点では極めて劣ると思います。

 

(註2)私がその時初めて使った竿はバンブーロッドでした。小学校低学年のころ近所の友達が釣り好きで、「ボクも釣りがしたい!」と父と兄に相談したところ、2人してそこら辺に転がっていた朝顔の支柱に使うようなただの竹に、でっかい玉浮きと兄が海釣りで使っていたケン付き流線のハリと落ちていたクギ(=錘)を結びつけて仕掛けを作ってくれました。

 初めて行った釣り場は、家の裏を流れるドブ、通称「チビ川」のやや下流。初釣りでマブナを数匹釣り上げ、大満足だったと記憶しています。

 

(註3)山海堂「川釣りの極意」西野弘章著は、マニアックな趣味趣向の世界ではなく、実践的な今時の川釣りの方法が解説されていてとても参考になります。そのまんままねしても良い情報もたくさんあるし、「工夫の仕方」みたいな部分も書かれていてお薦めの一冊です。

(註4)ミズジリュウキュウスズメ落っことしました。砂まみれにしてゴメンね。でもこのスズメダイ2匹は同居人が釣ったモノで落としたのも同居人です。

 

(2008.5) 

○手長エビ

22センチ

(2011.7)

○クリスマス島にて

スズメダイ系フエダイ系白縦スジフエダイ系?フエダイ系白しっぽ黒点フエダイ系黄色縦縞フエダイ系白赤エッジフエダイ系瀬赤腹黄色エッジ白

(2011.9)

 

○マハゼ

マハゼ

(2012.9)

 

○香港にて カワイワシ

カワイワシ

(2013.9)

 

○香港にて

オイカワツルギメダカナナツホシニジカワムツ

(2014.5)

 

○クリスマス島再訪にて

カスミアジロウニンアジ

ボーンフィッシュ

カスミアジ、ロウニンアジ、ボーンフィッシュ

(2014.9)

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