○メイキング オブ お手元ルアー
流体力学と魚類行動学から導き出した最高のデザイン、新素材による高度な機能、なんていうめんどくせえ能書きが無くても、魚を釣る道具は、魚を釣るための能力さえ備えていればそれで良いという実例として書いてみたい。暇だしな。
材料は、割り箸、ステンレス針金、オモリ(中通しでもかみつぶしでもOK)、フライ巻く用の糸、塗料、接着剤ぐらいか。道具は主に指、針金切るのにペンチがいるのと、糸を巻くのにそれ用のホルダー、干すのにハンガーの類があると便利といえば便利。
とりあえず、サイズをきめて割り箸を折るか切るかする。当方はペンチでメシッと切れ目を入れてから折っている。
そして骨組みを割り箸のサイズに合わせて作っていく。
アイの部分は主軸に巻き付ける感じではなく、どちらもひねりが入っていくようにして、最後折り返してグルグル巻く。折り返してからは巻き付けるだけで良い。歯の強い魚用のハリスとして単線ワイヤーを使う際のヘイワイヤーツイストを折り返してやるイメージ。今回加工しやすい細い0.55mmの針金を使っているので手でグリグリして最後ペンチで切っている。
オモリも適当にペンチで平べったくする。割り箸よりちょっと短めにすると、ぶつけた時にお尻のアイがつぶれなくて良い。ただフックの間隔が近くなるので針が絡むのは増える。お好みで。
割り箸に、骨組みをグルグルと糸で巻き付けて固定。
作業的にはほぼこれで終わりで、後は塗装。6本作って1時間ちょっとぐらい。
フックホールシーラーとして売っているウレタン系接着剤で、アイの部分とかを固定。最後ウレタン塗料でコーティングするのでこの過程は省略しても良いと思う。ちなみに接着剤は商品名パンドー。それほど臭くないので室内で干す。半日ぐらいで固まる。
次に塗装。今回プラモデル用のスプレーを使っているが、筆で塗っても、ペンで書いてもかまわない。ペンはペイントマーカーだと、コーティングの時に色が溶けて流れる。車の補修用ペンが良いらしい。
塗装とコーティングはかなり臭くて体にも悪そうなのでベランダ等で作業している。ちなみに干すのに使っているのは竿立て。
小一時間もすれば乾くので、乾いたらウレタン樹脂でコーティング。ドブッとドブ漬け。
ウレタン樹脂しばらく使わないと、空気と反応して瓶の中でカチカチに固まってしまったりしている。これを防ぐには冷凍庫に入れておくと良い。瞬間接着剤もそうだけど空気と反応するタイプの樹脂は低温では反応が進まないということなのかなと思っている。
1日おくとだいたい乾燥しているので、目でも書いてフックを付けて完成。
綺麗な見た目とかにこり始めると、収拾がつかなくなるけど、魚が釣れりゃいいていどなら結構簡単。この程度でも普通に釣れます。
釣りって、結構難しい遊びだと思うけど、あんまり難しく考えすぎると煮詰まっちゃってどうにもこうにもならなくなるように思う。特に釣り道具はグチャグチャ考えすぎるけど、案外、答えはシンプルなところに落ちているように思う。自戒を込めて。
(2013.4.7)
○お手元ルアー改「環境配慮型」ほか
ルアーに使われている鉛のオモリは、根掛かりでルアーをなくしたとしても単体で転がっているわけではなく、鳥が砂嚢にため込んで鉛中毒を起こすようなことはないだろうと思っていたが、最近どうも鉛の環境への排出基準が特に欧州で厳しくなってきていて、背景には環境中にゴミ埋め立てとかで放出された鉛が溶け出して、周辺環境を汚染していくということがあるようだ。鉛って昔は水道管に使われていたぐらいで普通の環境下では安定した金属のはずだけど、酸性雨の問題に直面しつつある欧州では雨水で溶けて汚染が広がるということが起こっているようで、ハンダとか電化製品に使う部品も「鉛フリー」でないといけないようだ。日本でも環境中に排出する鉛は少ないにこしたことはないように思う。
というわけで、お手元ルアーのオモリについても、スズハンダを使用した改良バージョンを作ってみた。
フックハンガーにスズハンダをグルグルグルグルと2重巻きして、鉛オモリバージョンと同等の重量を確保。まあこんなもんでしょう。この後濃い緑に塗装しウレタンクリアでコーティング。
ついでに、ハンダをグルグルとボディーに巻いてしまっても良いんじゃないかと小型のバチ対応ルアーとして試作。ボディーは浮子用の4ミリ直径のバルサ棒。フルメタルジャケットな外観がなかなか良い。メタリックな感じをイカしつつ蛍光レモン色に背中側を塗装。
「お手元ルアー改」と「フルメタルジャケット」の完成外観と小ニョロと比較したサイズ感はこんな感じ。
フルメタルジャケットは回転してしまわないかちょっと心配。実戦投入で様子を見たい。→回転はしなかったけど揺れるアクションが出てしまいイマイチ。
(2017.5.12)