○安物買いの銭失いの竿つくり 

 

バシィ  

 「バシィ!」っとやや鈍い音を立ててロッドがへし折れた。

Q: どこで?

A: 我が家の釣具部屋で。

Q: なぜ?

A: 新しく入手したジギングロッドの負荷テストで。

Q: どのようにして?

A: ジンバルつけて、リールも付けて、ラインの先に魚の代わりに10キロ分のダンベル付けてリフトアップしました。そしたら直後に一番バット側のガイドの足下から綺麗に折れました。

破損箇所

Q: アホか?

A: イヤイヤイヤ。私がアホかどうかについては、まあアホかもしれませんが、今回の件について特段私がアホだったとは思えません。

   メーカー発表のスペックでは上方45度の角度で対破壊強度は20キロとなっており10キロぐらいは余裕のはずでした。

Q: じゃあ何で折れたの?

A: 実は、今回のロッドは中古で買ったものです。若干どういう状態か不安があったのは事実で、見た目は新しそうだけどひょっとして繊維がきれてヘタレ状態だったり、キズ入ってたりするおそれもあるな。というのがあって釣り場で魚がかかってから折れると話になんないので念のために10キロ負荷のテストをしてみたところです。

   まあ、釣り場で折れるよかなんぼかましかなと思うようにします。シクシク。

Q: 原因は?

A: 分かりません。寿命だったのか、キズがあったのか、初期不良か・・・ 

Q: 修理は?

A: グリップジョイントの竿でブランクはワンピースなので修理は不能。中古なので補償も無し、釣りに行っての破損ではないのでレジャー保険も対象外。まあ、安物買いの銭失いということです。中古品には安い分こういうリスクがあるということも皆さんに認識してもらった方が良いかなと思い、あえて恥をさらした次第です。

 

 というわけで、昨年のことになりますが、買った竿がへし折れました。ショック。

 サメ用のロッドとして購入したのですが、まあ当面はジギングロッドはPENNの6Fのぶっといグラスのがあるので困らないといえば困らないのですが、我が家に釣り人が2名いるので、いずれもう一本必要になってくるときがあるだろうということで、中古でいい出物があればと探していてゲットしたモノだったのです。

 

 手元に残ったのは、グリップと、SICのガイド。折れたブランク。ブランクは補強材とか、なんか工作するときの材料に使うしかないですが、SICのガイドが丸々1本分残っているのをせめて使えないかと思っていたら、先日、マニアックな釣具屋で当方の大好きな”アグリースティック”のトローリングロッドのブランクが売ってました。

 中古竿よりちょっと高いぐらいの値段でしたが、売れそうな気配もなさそうだし私が買わずにダレが買うという感じだったので、ヨイショと買っちゃいました。

 アグリースティック 40−60

 大物用のジギングロッドにはボクの中の分類では3タイプぐらいあって、長くて曲がるやつ、短くて曲がるやつ、短くて曲がらないやつがあって、それぞれ一長一短あって、サメ釣りには最初にかなりプレッシャーを掛けて主導権を握るのが重要らしいので、理想的には短くて曲がらないのが良いのですが、短くて曲がらない竿はショックをあまり吸収してくれないのでちょっと怖い印象があります。ということで、短くて曲がる竿が当方には良いだろうなと考えているのですが、曲がる竿といってもバットまでグニャグニャ曲がるとポンピングしても竿が曲がるだけで魚がなかなか寄ってこず扱いにくいので、バットは堅めで先が曲がるような竿が良いような気がします。しかし、竿全体が短い中で竿先だけ曲げようとすると強度面等で設計が難しいように思えます。まあ、素人が勝手にそう思っているだけですが。

 そう考えると、バットはカーボンだけど竿先にソリッドグラスを使っていて先調子で丈夫さが売りのアグリースティックのブランクで短いジギングロッドを作れば意外に良い竿ができるのではないかと期待しています。

 

 ライン指定は40〜60ポンドとなっており、ちょっとバットとティップを詰めて、5fから6fの長さで好みの堅さに調整していく予定。まあ、作ってみると予定どおりに行かなくて、思ったのとは違うのができることもままありますが、それでも自分で作った竿なら我慢して使っているうちに愛着も湧いて上手く使えるようになるものです。とりあえずこの冬にチマチマと作りながら、作成の様子を随時更新していこうと考えております。

 五月のさわやかな風で最後の塗装を仕上げて、6月以降サメ釣り実戦投入と行きたいところです。

 

 とりあえず、スレッドとリールシート、バットエンドの十字とキャップを購入。グリップ用のコルクは円高チャンスを生かしてカベラスでゲット。

材料

 こうご期待。

 

(2009.1.18)

 

 時化て釣りに行かなかった週末。ボチボチと竿造りを開始。

 まずは、ブランクスの重なって厚くなってる部分「スパイン」を確認、普通グリグリと曲げながら回して反発力の強いところを探すのですが、今回は見ただけでも分かりました。写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、上が厚くなってます。グリグリと回して確認してもやはり上が反発力強く感じます。この面を背骨にします。ペイントマーカーで印を何カ所か付けます。

 お尻

 さて、今回は5フィート半ぐらいのショートロッドにするのでブランクスを短くする必要があります。先を切るのはアクションの変化が読みにくいのでちょっと不安でしたが、バット側だけ切ると全体的にパワー不足になりそうなのでどちらも切ることにしました。

詰めました切っちゃいました

 エイヤと切ったところ想定よりやや全体調子になりましたがまあ良いでしょう。ブランクスはとりあえずこんな感じでいくことにします。

 次にグリップですが、必要な個数を並べてみます。

グリップイメージ

 こんなとこですかね。

コルク夜なべ穴掘り

 しばらく、暇を見つけてコルクの加工作業が続きます。

 (2009.2.1)

 

 シコシコとコルクの加工を進め、とりあえずリアグリップを固定することに。

 一番下のコルクの位置を決るためにグリップエンドは固定せずに、コルクリング3個分をとりあえずエポキシ接着剤で固定。

 3個ぐらいなら20分固化の接着剤が固まる前に作業は間に合います。

コルク一番下位置きめ固定

 

 固まったら、残りのリアグリップ用のコルク全体を固定するため、エポキシ樹脂を混ぜます。沢山のコルクリングを接着する時は、20分程度で固まってしまう接着剤では作業が終わる前に固まってしまうので都合が良くありません。樹脂はとにかくよく混ぜておくことが重要です。2、3分混ぜまくってからしばらく置いて気泡を抜いてから使います。

エポキシまぜまぜ

 

 あらかじめ竿の太さにあわせて穴を調整したコルクをはめていきます。

必要な数セット

 

 そして、エポキシ樹脂を塗りながらきっちり重ねていきます。

接着

 すべてエポキシを塗って重ねたら重しを乗せて圧を掛けながら、1日以上かけて固化させます。

 圧着

(09.3.22)

 エポキシが固化しました。エポキシはみだしている部分やコルクリングのズレもあります。

 バリ

 サンドペーパーではみ出たエポキシを削りつつ、コルクの段差をならしていきます。まあこんなモンでしょう。

サンドペーパーかけ綺麗に

 次にリールシートを固定するのですが、リールシートとブランクの隙間は昔は麻紐とかを使ってましたが、最近はそれ用のスペーサーテープが売っているのでそれを使いました。

スペーサーテープ

 3ヶ所ぐらいにスペーサーを巻いて、後はエポキシをたっぷり塗って固定します。この時点でスパインの方向を確定して向きを間違えないように注意。

リールシート太さはこんなもんか?

(09.3.29)

 リールシートが固定できたら、十字の切ってあるジンバル対応のバットエンドも方向を合わせてエポキシで固定。

バットエンド

 次に、フォアの方のグリップも取り付けます。基本的に前にやった手順と一緒。

エポキシ塗って重ねて重し

 先端部分だけ取り付け前に好みの形に削ってから取り付けました。取り付けてから削るのは難しそうなのでこの順番にしています。

先端

 エポキシが固まったら、サンドペーパーかけていきます。今回フォアグリップをちょっと太めにして握るときに力が入るようにしようとしたら、届いたコルクが太すぎたので表面カッターで削って調整しています。そのせいで凸凹なのでかなりサンドペーパーをかける必要ありました。

スタート

 削れるとまずいブランクなどはテープでマスキングして保護しておきます。

削る削りまくり

 こんなに棒を一生懸命こすったのは、○ン○リおぼえたてのミドルティーン以来のことです。親指に水ぶくれできました。

整形後

 まあこんなモンでしょう。ここまで来れば、あとはガイドを付けるだけです。ガイド位置を決めるのは本当は難しいのですが、今回は折れた竿の位置を基準にしてみました。とりあえずガイドをテープで借り止めしてライン通して曲げてみて、偏って曲がっている場所がないか等チェックして特に問題なければこのガイド位置でいきます。

ガイドセット5キロ負荷

 5キロ負荷で曲げてみたところ、問題なさそうです。

 ガイドが付いていない状態では軽いこともあって、ブランクは硬い印象を受けますが、ガイドを付けるとやや柔らかくなったように感じます。硬すぎかな?と心配していましたが、良いあんばいになりそうです。5キロは余裕。5キロドラッグを基本に、10キロぐらいまでドラグ値をあげられるような竿に仕上がればと思っています。

(09.4.25)

 5月中に仕上げようと思っていましたが、間に合いませんでした。

 とりあえず、下地のスレッドを巻きました。この状態で一度コーティングかけます。その上にガイドを乗せてさらにスレッドを巻いて固定する、ダブルラッピングという方法で行きます。晴れた日にやりますか。

巻きまくり全景

(09.5.30)

 天気の良い日を見計らって工程を進めます。まずは下巻きのラッピングにエポキシをかけます。

回します

 ロッド回しで回転させながら混合したエポキシを割り箸で乗せるようにして塗っていきます。

塗ります

 塗り終わったら半日回転させてむらなく固め、更に数日ほっておき固化させます。

回しております

 

(09.6.6)

 6月12日金曜日ぐらいに梅雨の晴れ間が来そうなので、水木と夜なべ仕事で最後の追い込み。

下巻きコーティング完了

 下巻きのコーティングは綺麗にできています。このままガイドを取り付けて仕上げのコーティングをするとエポキシの上にエポキシを塗ることになり、場合によると弾いて旨く濡れないことがあります。ということでせっかく綺麗にできていますがサンドペーパーで表面を粗くします。ブランクはマスキングしておきます。

ブランクはマスキングペーパーがけ

 準備ができたら、ガイドをスレッドで巻いて固定していきます。

スレッド巻き巻き巻き

 このとき、ガイドの足の先をヤスリでとがらせておかないと、スレッドがスムーズに巻けずに段差になります。

 下の写真が、削る前と削った後です。

使用前使用後

 ガイドの取り付けは、一直線になるように注意しながら取り付けていきましょう。片方固定した時点で若干調整はききます。

ガイド並び巻き上がり

 ラッピングが完了したら、ロッド回しにかけてエポキシを用意して2度目のコーティング。

 厚めにエポキシを乗せていきます。

コーティング 

 後はムラができないように回転させながら表面が固まるまで1日、ロッド回しから外して、完全固化まで1週間ぐらい見ておけばいいでしょう。エポキシ塗料は2液製で科学反応で固化していくので理屈では湿度はあまり関係ないように思いますが、経験的に湿度の高い日は表面が曇ってしまいがちと感じているので、晴れた日にやる方が無難です。今回も梅雨の晴れ間にうまく間に合わせました。

固化中

  14日現在、表面は綺麗に固化しています。あとは来週ぐらいに完成宣言出すだけ。やっとここまでこぎ着けました。

(09.6.14)

1月から開始して、半年近くかけて楽しんでまいりましたが、無事最後のコーティングも固化したようで、2009年6月21日「完成」を宣言致します。

全体像9500ssとティップ側グリップ上部

でっかいサメとか釣れますように。

(09.6.21)

 

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