○新しい天体より新しい釣り場

 

 開高先生の小説に「新しい天体」というのがあって、美味を求め歩くことの、とどのつまりの虚無感が表現されたなかなか面白い味わいの作品です。この題名の「新しい天体」というのは、美食家として有名らしい、ブリア・サヴァランの「美味礼賛」という書物の一節からきているとのこと。

 サヴァラン氏曰く「人の幸福にとって新しい美味の発見は新しい天体の発見以上の価値がある」とのことである。大仰なことである。

 

 しかし、美食家なら己の情熱をかけ探求し続ける対象である「美味」に対してそれだけの価値を認めるのは当然といえば当然で、むしろそうであらねばならぬというべき性格のものでしょう。

 

 そうであれば釣り人なら、新しい釣りモノや釣り方、特に「新しい釣り場」の発見については、新しい天体の発見以上の価値を認めるべきでしょう。実際私個人にとっては「新しい釣り場」の発見は天体発見より断然重要だと感じています。

 

 新しい天体ならぬ、「新しい釣り場」を日々探し続けていますが、これがなかなか難しい。

 難しいながらも、長年探し続けてきて私なりの方法論、ちょっとしたコツ、失敗事例などいろいろと書いておきたいことがあります。情報の波におぼれている初心者の皆さんに光を与え、玄人衆の皆様に共感と苦笑いを提供し、皆様の釣り場探しの参考になれば幸いです。

 

 さて、まずは「とにかく情報!情報戦だ」といっておきましょう。

 

 釣り場を探すといっても、何のあてもなく水辺をさまようだけではどうにもなりません。日本の海岸線だけでもおよそ34,000kmもあり、端からチェックして行くということは誰も考えないと思いますが、いずれにせよ何らかの情報を基に絞り込みをかけて探索に出かける必要があります。(註1)

 さらには、実は「釣り場」という場合、場所だけの情報では意味をなさないことが多く、多くの場合、特定の季節の、特定の時間帯(日没との関係もあれば潮流との関係もある)、特定の状況(天候や餌生物の動向などの要素)と合わさって「釣り場」情報を構成しているものです。

 情報化社会と呼ばれて久しいですが、口コミから雑誌、ネットから衛星情報まで、溢れる情報の海から必要な情報を的確に拾い上げ自分の中で整理していくことこそが、釣り場探しの最重要項目だと思います。

 そのあたりを考慮に入れて、どんな情報をどう利用していくかを以下に述べていきたいと思います。

 

○ネット・ウェブサイト

 一番、簡単に情報が手に入る手段でありつつも、一番ハズレ情報をつかまされる情報源であります。自分も情報発信していながら、あまりあてにしない方が良いと思っているぐらいです。

 とにかくガセネタや煽りが多い。意図的に本命ポイントから人を遠ざけるために流している情報すらあるのではないかと「うがった」見方をしています。

 そうではなくて、良心的に正確な情報を流しているサイトの情報にしても、不特定多数の人間がアクセスできるネット上に情報が出てしまうと、関東ではそれこそ鳥山ならぬ「人山」がたつぐらいの混雑を釣り場に引き起こしてしまい釣りにならず、結局釣り場情報として意味をなさないという状況になっています。

 ということで、ネットの情報は直接的なポイント名が出ていないけど、ある程度の傾向やエリア程度が書かれているサイトが一番参考になります。

 逆に考えれば、具体的な場所まで出ているサイトの情報も、読むときにはそこから大雑把な傾向を読んで行くほうが良いと思います。例えば東京湾のAポイントが釣れ始めたという情報があれば、Aポイントは「湾奥エリア」で「河川の橋桁」である。というようなキーポイントを自分なりに考えて、じゃあ同じような湾奥エリアの橋桁のあるCポイントも期待できるのではないかというようにちょっとずらしていくことは現実的ですし、良くやる作戦のたて方です。

 岸から釣る場合、その沖合など付近海域をポイントとしている釣り船や沖堤の情報も参考になります。沖堤情報は特に定点観測的な情報が得られるので、魚の季節的な動きを読む際に非常に参考になります。

 それからいうまでもないことですが、天気予報や潮位情報はもちろん便利な情報です。

 また、ネットに限らないですが、釣り以外の情報が意外に役立つことはあります。例えば、「日本海でサワラの漁獲量が増大」なんていう温暖化に関連づけられて流れる一般のニュースなんかは非常に有益でしょう(註2)。

 私は「除草用に放したソウギョが生態系を壊して困っている」というニュースを基にソウギョ釣り場を発見しました。

 また、案外、その人がメインのターゲットにしている魚種以外の「外道」情報は私のようななんでも釣る人間には有り難い情報が含まれていることがあります。アメリカナマズのポイントはおもにコイ釣り情報サイトの「外道」に注目してあたりをつけていきました。

 

○雑誌、本

 雑誌の釣り場情報や釣りポイントを集めた本などは、意外といっては失礼ですが結構役に立ちます。

 まず雑誌の場合、釣れましたという情報は既に過去の情報なので、そのポイントに「それっ」とでかけていっても良い思いはできないことは多いですが、雑誌が出る頃の釣りモノについて大まかな傾向やお勧めエリアが載っていれば、釣りを始めたばかりで独学で頑張っている人などはこのあたりを参考に作戦を組み立てていくのは現実的だと思います。

 「ポイント集」的な本についても、釣れる時期とかが大雑把に書かれていて同様に利用できると思います。公表されているので自分だけの秘密のポイントとはいきませんが、それなりに編集者や特派員が一生懸命探したあるいは検証したポイントであり、ネットの垂れ流しの情報よりは信用しています。

 紹介されるポイントの多くはいわゆる有名ポイントで、元々混雑しがちですがこの程度の情報流出であれば、「人山」のような極端な混雑にはならないのでそれなりに釣りになりますし、人の釣り見て我がふり直すにも適当かなと思います。

 雑誌の割と便利な使い方としては、1年以上寝かしておいて古い雑誌をめくって、今の時期に過去どこで何が釣れていたかを調べて参考にするという方法があります。今は自分で集めて頭に整理されているデータの方が使いやすいし、情報に過度に縛られるのを避けるためにもやってませんが、昔は良くやりました。雑誌は取っておくといろいろ役立ちます。

 就職して初めて仕えた上司に教えてもらった方法です。仕事以外にもいろいろお世話になりました。

 雑誌などでポイントを公表することに関しては賛否両論ありますが、基本的には細かいポイントまでのせるのはどうかと思っています。しかし、最初の方でも書いたように、ポイントが分かったとしても、そのポイントにどういう状況で魚がやってきて、どうやれば釣れるのかという、本当の意味で細かい釣り方のキモになるような部分は、じつはどんなに言葉を費やして丁寧に説明したところでなかなか伝わらないものだと感じており(註3)、まあ良いのかなと最近は思っています。釣り場に人が集中するのは困りものですが、それはむしろネットの影響の方が強い気がします。

 

○地図

 釣りするうえで重要な情報が満載の資料です。最近ではグーグルアースのように衛星写真がネットで見ることができるようになりさらに便利になっています。

  内水面なら、山歩きに使うような地形も分かる地図が良いと思いますが、私は道無き道を行くタイプではないので、アクセスする道路情報がわかりやすい住宅地図(註4)を良く使っていました。現在ではネットの地図を必要に応じて打ち出したものを多用しています。

 海の釣りでは、航空写真を利用したポイント集が、海岸地形や磯か砂浜かなど地形の違いや、河川や漁港との位置関係がわかりやすくてとても使いやすかったのですが、最近はもっぱらグーグルアースを愛用してます。都市近郊は高解像度の衛星画像が利用できて極めて有用。

 写真なので、浅場の海面下の根の様子や、澪筋やカケアガリ、藻場までわかり非常に便利。一つ良いポイントが見つかれば、近くに同様の条件の場所がないか等探していけます。

 地図を見て、流れや海底地形などの要素を読み、そこに他の情報源から得た釣りモノ情報や餌となる生物についての情報などを総合して自分なりの釣りの作戦を組み立てていけるようになれば、転勤などで始めて訪れた土地でもすんなり釣り場探索作業に入っていけます。

 具体的な事例を紹介しておきます。九州に転勤になったときの話ですが、とある漁港周辺の海岸でサワラやブリの小型魚(ヤズとサゴシ)がよく釣れているとの情報がネット上にありました。

 その漁港をめがけていってもよかったのですが、ネットに流れているということは既に相当な混雑が予想できたので、地図で同じ海域でその漁港の他にポイントとなるような地形的変化や別の漁港が無いかチェックしてみました。

 すると、情報のあった漁港のある海岸線を東に移動した場所に、砂浜の海岸に突き出たような形の小さな岬があることが目にとまりました。

 付近の海岸一帯に魚が回遊してきているのなら、漁港同様間違いなく魚の付き場になりそうです。実際に行ってみたところ朝も早いのに海岸への小道の周辺には釣り人のものらしい車が結構止まっていて、釣り場に着くと既にメタルジグを投げている釣り人の姿がチラホラ、ずた袋に何匹もサゴシとハマチを入れている釣り人もいました。

 地元民らしい釣り人に話を聞いてみると、ここのところ好釣でこのポイントはまだ雑誌やネットでも紹介されていない穴場だとのこと。

 当方も早速釣り開始、サゴシ、ハマチゲットして、その後通ってシーバスも含め何度も美味しい思いをさせてもらいました。

 地図を利用したポイント探索は、転勤の多い私が身につけた得意技だと思っています。

 住んでいる東京の釣り場探索においても当然地図は良く使います。東京湾の湾奥シーバススポットを探すときに良く使うパターンは地図で運河や海に面した公園を探して、その公園が釣り禁止でないかネットで確認してでかけるというものです。湾奥でシーバスのポイントに成り得ない水域というのはあまり考えられず、とりあえずどんな場所でも釣りが禁止されていなければ釣れる可能性はあります。あとはどういう条件のときにその場所にシーバスが回ってくるかの情報をどう整理していくかです。まあ、そこが難しいのですが。

 出張に行くときも、基本的に地図情報をメインに突撃します。ネットの釣り場情報とかはよけいな先入観になって足を引っ張ることが多いのであえて調べないことも多いです。

 もちろん本来の利用目的である釣り場への行き方を調べるためにも地図は重要です。(註5)

 

○衛星情報や海水温モニタリング情報

 私が子供の頃に、釣りに行くのに人工衛星からの情報を参考にするなんて考えてもいませんでした。

 一番よく利用する天気予報の衛星画像なんてのは今ではありきたりの情報になりました。次に先ほども出てきたグーグルアースの衛星写真ももはやあって当たり前の情報。

 そして、次に私としては水産試験場などが提供してくれる海水温の衛星情報や定点観測モニタリングによる海水温情報をなんとか使いこなせるようにならないかと奮闘中です。

 黒潮の接岸状況や温度変化の状況から、船でシイラやカツオを釣りに行くのにいい時期を読めるようにならないかとか、シーバスの産卵がらみの行動を、東京湾の水温情報から読めるようにならないかとか、いろいろ考えていますが今のところ直接的な結果が出るには至っていません。今後もあれこれ考えながらやってみようと考えています。

 

○人

 人からの釣り場情報については、基本的に以下の3つの法則があてはまると考えています。

  ‐霾鵑陵用性は実際の釣り場からの距離が近ければ近いほど増す。

 ◆‐霾鵑陵用性は提供者の釣りのレベルが高ければ高いほど増す。

  情報の有用性は提供者との親密度が近ければ近いほど増す。

 

 ,痢崢爐蠑譴らの距離」ですが、実際に釣り場で釣れている釣り人をつかまえて話を聞けば、多少ごまかしたりするかもしれませんが、普通機嫌良く情報くれると思います。もちろん目の前で起こっていることですからかなり正確な情報であることはいわずもがな。人からの情報だけでなく、自分の目でも様々な情報が入手可能です。

 しかし、これがちょっと釣り場から離れて、時間もずれるととたんに正確性は失われます。

 釣れたお客さんの話以外聞く機会の少ない、釣具屋さんでよくあるケースですが、100人行って2人ぐらい釣れただけなのが「爆釣情報」になったり。これもありがちなケースですが場所しか情報が無くて「向かい風でベイトが吹き寄せられていた」とか「干潮でかなり沖側まで立ちこめた」等々の釣るために必須の条件があったにもかかわらず抜け落ちたりして使えない情報もあります。

 国内の、近場の釣り場さえ往々にしてそういうことがあります。「パラダイス情報」を鵜呑みにして遠征で国外まで行けば簡単に釣れるかというと、そんな甘いものではなく、どうしても情報は薄く不確実なものになるので、ハイリスクハイリターンだというのが現実です。海外まで出かけてスカくったとか、そこまで酷くなくても苦戦した経験は長年釣り人していると誰にでもあるかと思います。

 伝言ゲームのようにならざるを得ない、遠くの、というよりは、まさにその時その場所以外の釣り場の情報は不確実性を孕んでいると認識していたほうがよいでしょう。

 

 △痢崢爐蠖佑離譽戰襦廚任垢、

 ズブの素人や初心者の持っている情報はほとんどの場合、「誰でも手に入る安い情報」「間接情報」、「情報のキモが抜けている情報」であることが多いです。

 誰でも入手可能なネットや釣り新聞に出ていた情報は、どんなに良い情報でも多くの人が殺到することになり、その釣り場で釣りすることは難しくなり結局役に立ちません。情報自体がいい加減ならいわんやおや。

 また、どこそこで釣れているというような又聞きの「間接情報」は、そもそも素人衆に流れてくるようになった時点でそのポイント情報は「秘密の美味しい情報」ではない可能性が高く、しかも「場所だけ」とかの限定的な情報に限られていて、その場所に朝行くべきか夜行くべきか、潮は関係あるのか、天気は関係あるのか、特定の釣り方が必要ではないのか等々の「情報のキモ」も抜けている場合も多いです。

 素人衆では「情報のキモ」を理解し整理するだけの能力もないので、当然そういった大事な情報は抜け落ちていて当然です。

 うまい人の持っている情報はその逆と考えればいいでしょう。独自ルートや自ら仕入れてきた情報をちゃんとキモをおさえた説明で伝えてくれます。いい情報くれるうまい人には最大限の敬意と感謝を払って良いでしょう。

 特に釣具店員、釣り専門の旅行会社の添乗員、船頭含めガイドなどその道のプロの情報にはさすがプロと唸らされるような努力と手間暇と発想力と経験が詰まっていて感心させられます。私も釣り場開拓にどれほど手間暇かかるか分かっているつもりなので、プロのすごさを思い知らされることしばしです。

 毎日のように釣り場に出かけている船頭より、その釣り場のことが分かっている釣り人などまず有り得ないことはちょっと考えてみれば分かることでしょう。

 よく、船代やツアー料金が高いと嘆く声を聞きますが、私は値段相応のいい情報を提供してくれるなら、「金なら払う」という成金のような考え方をしています。ほんとに欲しいような情報なら、出せる最大限の金を出してでも入手したいですが、実際にはほんとに美味しい情報はなかなか売っていないもので、売っていない分は自分で苦労することになっています。

 誰でもタダで手に入れられるような「安い情報」はそれなりの価値しかないと思います。手間や費用などコストのかかった情報こそがほんとに重要。本当に役に立つ情報についてはそのの重要さが分かっていれば相応のコストをけちることは考えないと思います。

 良い船頭には気持ちよく船代払う。良い情報くれる店員さんから高い道具は買う。面白い釣りツアーには大枚はたいてでも参加して良い想い出作らせてもらう。というところでしょう。

 

 ちょっと脱線しますが、良く行く釣具屋さんの情報の出し方が面白かったので紹介します。

 素人臭いカップルがメバル釣りに行くらしく、ソフトルアーなんぞ買って店員さんに聞きました。「メバル釣りたいんですが、どこに行けばいいでしょうね?」。

 店員さんは愛想良く「本牧とか横浜方面が最近良いみたいですよ」と答えておりました。

 カップルはお礼をいっておりましたが、それだけの情報のみで釣れたら2人の「愛の奇跡」といって過言ではないでしょう。罪なヤツだぜ店員さん。

 釣具屋の店員さんになんでも聞いて良いと思いますが、なんでも答えてくれるとまでは期待しない方がよいと思います。

 もちろん、本牧といっても具体的にどこら辺でどういう釣り方をすればいいのか、というところまでさらに突っ込んで聞けば教えてくれるだろうと思いますが、それすら聞いてこない、ということはおそらく今後リピーターとはなりそうにない単発の客とみられ自ずと出す情報も相応のものになるのは当然といって良いでしょう。

 特に常連の客でなくても、これから始めるので、いろいろ教えて欲しい、とことわって聞けば、今後も道具も買ってくれるだろうということで丁寧に教えてくれるだろうと思います。

 釣具屋さんも商売です。商売になる客だということをうまくアピールするのも情報入手の戦略のうちだと思います。てゆうか釣具屋さんも真面目に釣りに取り組もうとしている客は純粋に応援したくなると思います。(註6)

 

 の相手との親密度ですが、これは説明するまでもないでしょう。

 残念ながら、私も心の狭い人間なので、嫌な野郎や、見ず知らずの釣り人に丸秘のポイントを教えるつもりなどさらさらありません。

 でも、いつも釣り場で苦楽を共にする仲間や、ネットで楽しくつきあってくれる仲間、いろんなことを教えてくれる先輩方などには最恵国待遇でとっておきの熱々の釣り場情報を届けたいと思うものです。

 「オレよりデカイのは釣らないでくれ」とは思いますが、基本的に自分の見つけた釣り場で仲間が良い釣りして楽しんでくれることは嬉しいことです。

 多分、皆さんも似たような感覚をお持ちだと思います。

 親しい仲間からの情報であれば、相手の力量も知っているし、その好みや情報の精度についても把握しているので、どの程度美味しい情報かわかりやすいというものです。

 釣りは突き詰めていくと結構、個人個人求めるものが違っていて、時に孤独な作業になりもしますが、一緒に釣りに行ける仲間や情報交換したり自慢しあったりして楽しくやれる仲間は、釣りにおいて無くてはならないものでしょう。釣り仲間は大事にしましょう。

 

 そして、一番親密度の高い人間である「自分」の持っている情報、一義的には足で探してきた情報、範囲を広げるなら自分なりに整理した情報、が最も精度が高く結局は頼りになると思います。

 良さそうな情報があったら、自分の足で確かめに行きます。そうすればその情報の真偽のほどが理解できるし、自分で経験した情報が上乗せされて自分の中に整理・蓄積されていきます。

 スカくったってかまいません。自分の足でドンドン情報を集めに行きましょう。そうやって見て、聞いて、感じて、よく考えて、釣って集めた情報は、間違いなく積み上がっていって気がつくと魚を釣るのに十分な情報が集まっていたり、何の意味もないと思っているような情報がある日ものすごい価値のある情報になっていたりします。

 シーバス釣りであちこちのサーフや磯でスカ食いまくっていましたが、シーカヤック始めるときに、どの場所でカヤックがおろせるかという情報がスカ食っていた時の経験から既に頭に入っていたということはものすごく有利なことでした。

 

 いろんな情報収集の手段がありますが、最終的にはその情報を鵜呑みにせずに、自分の中で自分の経験に基づいて整理していくことが、「情報化社会」といわれ様々な情報が飛び交う中で釣り場を探すためのキモではないかと思います。

 加えて、やっぱり愚直に足を使えということでしょうか。

 

 皆様のご健闘をお祈りします。

 

 

 

(註1)片っ端から足で探していくことは、それなりに有効です。さすがに海岸線を全部歩いて回るわけにはいきませんが、自分の釣りに行けるエリアの川を順番に全てチェックする。とかは実際にやったことあります。現在も東京湾エリアの釣り可能な公園などは網羅ずべく足を運んでいます。もちろん季節などの条件が変わっていくので単純比較は出来ないのですが、とりあえず数打ちゃあたるで釣れる場所に行き当たることもあり得ますし、生物層の豊かさや釣り人の多さなど多くの情報が得ることができます。チェックしたときにダメだと感じても、後になって新しい釣れる条件を見つけたときにそれにあてはまるポイントがどこにあったか思い出すことができたりして、一件無駄足に見えても、実は釣り人としての大きな財産になっていくということは経験しています。歩いて損はありません。

 とあるバスプロが、霞ヶ浦(だったか琵琶湖)でポイントが見つかりませんという読者の問いに。「ラバージグなりテキサスリグで底を丹念に探りながら湖を1周してみてください。湖底の変化や魚の反応が分かりポイントが見つかるはずです。実際には1周する必要はないでしょう。」と書いていて、面白い回答だなと感心しました。要するに自分で丹念に調べていくのが一番だよと言いたかったのでしょう。共感を覚えました。

 

(註2)海の生物の場合、暖かい海の生き物が出現するようになったとしても、それが直接地球規模の「温暖化」と関係しているかどうかは判断が難しいです。海水温の上昇自体、暖流の流路の影響が大きかったりして、何でもかんでも軽々に「温暖化」だと騒ぐのは間違いだということです。

 

(註3)ゴルゴ横山という釣り人が、「ソルト&ストリーム」誌上で釣り場と釣り方は完全公開して、時期を明らかにしないという方法でレポートを書いていました。この人の理論や釣りの展開方法は参考になるレベルの高いものだったので、自分なりに時期も読んで、同じ釣りを再現してみたいと何度か「真似」してみましたが、これが同じ釣りの再現には全くなりませんでした。単純に釣れなかった場合は単に私がヘタクソだったという話でしょうが、同じ釣りではないけど、違う方法が成立してしまったり、付近の別の場所で釣れたりしたときもありました。彼の意図したものが直接は私にはうまく伝わらなかったようですが、私のアプローチも全くのハズレではなかったようです。というように、同じ場所や似た条件でもその人の持っている技術レベルや攻め方の傾向などで結果は変わってくるわけで、釣り場情報を伝えること、受け取ることの難しさというものを感じました。要するに情報を自分のものにするためには、最終的には自分で試してハメていくしかないようです。

 

(註4)地図といえば東北に赴任するときにJさんから餞別にもらった道路地図が思い出深いです。Jさんが東北に住んでいたころに渓流通いまくって、釣れた川について地図に赤ペンで丸とか三角を書きまくってあったモノです。

 直接釣り場情報を得ることができたのももちろんありがたかったですが、釣り場を探すという行為がどういうことか、というのを改めて教えられたような気がします。更に当方が○とかを付けまくって更新して使っていました。

 感謝しきれないほど価値ある贈り物でした。

 

(註5)最近のカーナビはほんとに便利で、遠征先でレンタカーなどを借りて釣りするときは非常に重宝しています。

 しかし、自分の車にはカーナビ付けていません。何というか、ワープロソフトを使うと漢字が書けなくなり、携帯電話を使うと電話番号を覚えなくなるように、便利な機械に肩代わりさせたことは自分でできなくなってしまう気がするのです。

 釣り場を探す能力の一部を機械に預けることには、理屈ではない部分で抵抗感があります。確かにカーナビがあれば 道に迷うこと無く目的地に付けますが、道に迷って新しい釣り場を見つけたこともあるのでしばらくはカーナビ導入はしないつもりです。

 

(註6)バブルの頃、とある釣具屋にて、高そうな服を着たオッサンが店員に「今度○○湖に行くことになったんで、フライフィッシングとかいうのでマスでも釣ろうかと思うんだけど、いい道具一式見繕ってくれ、高くてもかまわないからな。」とゴールドカードをちらつかせてのたまったそうである。

 店にいた釣り人全員が切れかかった中、店員さんは黙々と、アメリカ製のハイグレードなグラファイトロッドからイギリス製のリール、ウェーダー、フライから小物まで必要なものを完璧に選び出し、フライフィッシングがどういうものかということはおろか、ひとことも口をきかないまま、品物を袋詰めし、ゴールドカードで十数万円を支払わせたそうな。

 えらそうな見得を切った手前、オッサンは金額にビビリつつも素直に支払いを終え出て行ったそうな。

 店内の釣り人皆、心の中で拍手喝采だったそうな。

 道具のセットの仕方とかの基本情報すら店員さんから引き出せなかったオッサンは湖で何をしたのか、そんなことは当方の知ったことではない。  

 

(2009.7)

 

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