○ハ行 −ナマジの釣魚大全−

 

○ハオコゼ

 高校の修学旅行の長崎の夜。我が校はシーサイドホテルに宿泊した。当方の通う学校は男女共学だったが、男子の方が人数が多いため、男子クラス、通称「男クラ」と呼ばれる男だけのクラスがあった。修学旅行のある2年生に「男クラ」は避けたいよね、というごもっともな意見もある中。当方はもろに男クラの1員であった。

 他のクラスがプールサイドにラジカセ持ち込んでフォークダンスなんぞ始まっているのを横目に、桟橋でなぜか夜釣りに興じる当方と、ケン一とJ。「ケッ」てなもんである。餌は夕食の刺身をちょっと残しておいたのでそれを使う。

 釣れる気配もなく、むなしく時は過ぎていったが、待望のあたりが適当な仕掛けで手釣りしていた当方にあった。あわせてラインをたぐると、確かに魚がついている。

 暗くてよく見えなかったので明るいプールの方にかざして見ると、ハオコゼだった。もちろん毒魚であることは承知していたので、背鰭や胸びれに触らないように気をつけてハリを外そうとしたが、口の周りにも棘があったのかチクッとした。

 最初はたいしたことなかったが、そのうちズキズキと痛み出した。イタい青春であった。

 

 

○ハガツオ

 ちょっとキツネ顔で歯が鋭いカツオみたいだけどカツオとはちょっと違う魚。むしろイソマグロに近いとか。

 弟子が鹿児島勤務のおりに遊びに行った時に、ちょうど盛んにハガツオが釣れているということで船を仕立てて釣りに行きました。

 しかし、なぜかディーゼルの排気が後方の釣り座に流れてくる船で、久しぶりに船酔いしてメロメロになりながら根性で何とか釣ったのを覚えています。確かその後、刺身で食べたはずなのだがあまり味を覚えていません。旨い魚というのが釣り人の間では認識されていますが、足が速く市場にあまり出回らないので評価されていないように感じます。

 

○ハクレン

 元々は大陸原産でその卵は半沈性卵で川を流されながら孵化するため、ゆっくり流れる大河でしか繁殖できません。日本では利根川水系で繁殖しており、繁殖期にドバドバとジャンプする様は風物誌になっているようです。

 利根川水系の大陸系の大魚の中では一番数が多いようで、場所によってはうようよ泳いでいるのが見えるところもあります。

 植物プランクトンを主に食べるそうで、食性としてはヘラブナと似ており、釣り方も同じように練り餌を適当に水中でバラけさせて誘います。ただし、1m近い巨体ですので延べ竿というわけにはいかず、リール付きの磯竿とかが使われます。当方はシーバスロッドを流用しました。

 護岸の上から水面直下にいるのを見ながら釣ったのですが、餌をハフハフと吸い込むように食べるのでなかなかハリが口に入らず、かなりフッキングが難しかったです。掛けるとエライパワーでダッシュしてくれますが、コイのようなタフさはなく意外とすぐにおとなしくなったと記憶しています。サイズも良いし個体数も多いので釣りの対象としてもっと人気が出ても良いように感じます。

 

○ハス

 「琵琶湖の固有種」のはずが、湖産アユの放流に伴って全国あちこちで見られます。当方は、東北のダム湖でも釣りましたし、九州の水路でも釣りました。しかしなんといっても印象に残るのは、2000年代前半頃の霞ヶ浦水系です。

 この頃霞ヶ浦水系は琵琶湖化しておりました。流入河川には鮎が遡上し、餌釣りで鮎を狙うオッサン達が立ち込んでいたりしました。そして、5月頃から産卵期を迎えるハスも流入河川に遡上し、大型のオスは瀬に縄張りを作って陣取ったりしているのが散見されました。

 当然、見える範囲に30センチを超えるようなハスが泳いでいるので狙いまくりましたが、繁殖行動に入っている縄張りオスなどはなかなか食っては来ず、付近をウロウロしているやや小型のメスが、フライに良く反応したのでフライで釣っておりました。

 しかし、大型のオスを見ているとどうしても釣りたくなるもので、激しく縄張りを守っている様をみて、鮎の友釣りのようにハスの友釣りができないかと、かなり真剣に検討したものです。しかし、その後なぜか霞ヶ浦の琵琶湖化は沈静化してしまい、今では早瀬に縄張り作って陣取る大きなハスは見られなくなってしまい、狙って釣れるほどハスはいなくなってしまいました。アユが上がってこなくなったのと関係しているのかもしれません。

 

 

○ハリセンボン

 沖縄あたりに行くと、港の護岸沿いにちょこちょこと泳いでいるのが散見されます。

 これを、適当にルアーやらフライで狙うと、けっこうアグレッシブに追いかけてきてガジガジとかじりついてきます。フッキングに成功してもたいしたファイトは期待できないのですが、その分、膨れあがってイガイガになる様を観察して楽しめます。なかなか愛らしいキャラクターを持った魚です。

 大型の個体は沖縄ではアバサーと呼ばれて、味噌汁の具になったりして美味しくいただかれていますが、港で泳いでいるような小型のものはあまり食べるところもなさそうで、いつもリリースしています。リリースすると膨らんでいたヤツも一瞬で縮んであたふたと逃げていきます。

 

○ババガレイ

 水揚げされた状態では、なんかコケが生えたような体表だし、粘液でヌルヌルだし、小汚いイメージのカレイなのですが、これが、美味しいカレイで、東北では大人気。特に正月魚としてキチジと人気を2分する高級魚。年末には切り身一パック数千円したりします。ちょうど冬場が産卵期でメスは卵巣も発達した子持ち状態でまさに旬。

 というわけで、東北のカレイ釣り師は正月前にはこいつを狙って釣りに行くのですが、なかなか簡単には釣れるものではなく、当方も同居人の従兄弟達と何度も釣りに行っていますが、釣れたのは1度だけです。まあ、アイナメや他のカレイも釣れたりするので全くのボウズということはあまりないのですが、手もかじかむ寒い中本命が釣れると非常に嬉しく、かつ誇らしいものであります。自分で釣った魚で正月を迎えるというのもなかなか良い気分です。

 

○バラフエダイ

 パラオあたりでロウニンアジ(GT)狙いでポッパー投げていると、ドカンと出てくる。現地のガイド達には出る瞬間の魚体が見えているようで「アカイノー!」という残念そうなかけ声がいただける。なかなかパワフルな魚でGTタックルで充分やりとりを楽しめるレベル。

 同居人と初めてGT釣りに行ったときに、状況が思わしくなくなかなか本命が釣れずやっと同居人に釣れたらバラフエダイだったので「それはバラフエダイといってGTと並び称されるターゲットや、BDとも呼ばれているな。」と全くの嘘をつきまくったような記憶があります。

 この魚は有名なシガテラ毒魚で沖縄あたりでは食べないようですが、パラオでは普通に食用とされていました。シガテラ毒の恐ろしいところは、餌を通じて濃縮されていくために場所によって、同じ魚種でも毒化していたりしていなかったりして判断がつきにくいところです。中には根付きのキハダマグロが毒化していた事例もあるとか。また、最近はイシガキダイの毒化事例がいくつか報告されている。当たると、吐き気やめまい、筋肉の痛みなどの他、水など冷たいものに触れると痺れるといった独特の症状もあるようです。

 この毒が渦鞭毛藻の一種が生産するということを突き止めたのは、東北大学を中心とした研究グループだとか。

 

○バラムツ

 アブラソコムツ同様、体にワックス成分を蓄えているこの魚、生息するエリアも同様なのかアブラソコムツと一緒に釣れてきます。

 ウロコが棘状になっていて、鋭い歯とどこを見ているのかよく分からないガラス玉のような目とあいまって非常に不気味な外観をしていますが、魚体は10キロを優に超え、アブラソコムツ同様水面までパワフルに暴れるので釣りの対象としてはなかなかの人気を誇ります。

 駿河湾あたりで、一晩釣ればかなりの確率でクタクタになるまで釣れてきます。遠征を前に大型の魚に対応するテクニックを磨くのと、道具の試運転、調整にも好適な対象魚ではないでしょうか。

 

 ○ヒイラギ

 実家の方での呼び名は「ギラギラ」で、その名の通り銀色のウロコの無いような皮膚をしていて、ヌルヌルとした粘液に包まれている。

 カレイの投げ釣りに行った兄がよく外道で釣ってきていた記憶がある。我が家ではあまり喜ばれていなかったようだが、小さいが味はよい魚だといわれている。

 なぜか、当方がカレイ釣り等、海での投げ釣りをするようになる頃にはあまり釣れなくなっていた。海の状況が変わっていたのだろうか。

 

○ヒメジ

 キス釣りのときに釣れてきたりしますが、これだけ狙って釣れるような魚ではありません。派手な色にヒゲが特徴で、ヒゲで砂の中のゴカイなどを探ってとらえているようです。

 ヒメジの仲間はけっこうアグレッシブにルアーを追う魚も多くて時にありがたい魚です。概ね味も良いようです。

 

○ヒメツバメウオ

 熱帯魚としてはモノダクチルスと呼ばれています。幼魚期にマングローブ域に生息する汽水魚で、正方形のような独特の体型をしています。

 パラオのマングローブの茂る川を攻めたときに、何匹か釣れてきました。ルアーで釣れる魚とは思っていなかったので意外でした。熱帯魚屋でよく見る魚がいきなり釣れてきたのも意外な感じに拍車をかけていたと思います。

 

○ヒラマサ

 国内で狙うとなると房総あたりの船宿に通うか、玄界灘あたりに遠征するかで、割と難易度高めの獲物といった印象があります。当方が狙うにはちとハードル高め。

 しかしこれが、NZまで行くと、苦労せずに釣れるとかいう話があって、同居人がNZ武者修行に行っているときに、現地合流で釣りに行きました。

 おしゃれなリゾートの桟橋から出撃するのですが、我らが「クリ号」は観光遊覧船を改造したような船でやたら復元性が良くクリクリと良く揺れてくれました。

 同居人は釣り場についてまず「撒き餌」してから、気合いで釣り始めておりました。酔っても釣るヒトです。

 噂に違わず、5キロ前後のヒラマサ(ミナミヒラマサ)がポンポン釣れてきます。水深は50m程度でジギングも楽だし、根回りでもないので走らせて良いのでファイトも楽。

 カマスをでかくしたようなバラクータも混ざって入れ食い状態。

 海域にはクラゲのようなプランクトン、サルパが大量にいてマンボウやらアザラシやらも目に入る。

 2日目、ユルユルとファイトしていたらすんなり上がってきたので、大きくないと思っていたのが、この旅の最大の16キロでした。

 

○ヒラメ

 「タイやヒラメの舞い踊り!」のフレーズでも有名な高級魚。実際食べると美味しい。

 姿形は、目の位置が逆とはいえほぼ他のカレイ類と同様なのに、口が完全に魚食魚のそれであり、大きく飛び出すように広がり、歯も鋭い。

 カレイ類の中で、魚食に特化したその特異性に痺れるような格好良さを感じるのは当方だけだろうか。

 海底の砂の中に隠れて近づいてきた小魚に襲いかかるというイメージがあると思いますが、実際にはけっこう泳ぎ回って小魚を追いかけ回していると、とある水中写真家が書いていました。当方もカタクチイワシを追って水面上にジャンプしたのを見たことがあります。あの円盤状のものは目の錯覚ではなかったはずです。

 貪欲な魚食魚なのでルアーでも良く釣れてきますが、縦の動きにあまり反応が良くないらしく、船からのジギングでは釣りにくいようです。

 砂浜からのキャスティングではジグ、ミノー、ワームなどが良く使われます。

 近年、種苗放流も盛んに行われていて、裏面に茶色い模様のある「パンダヒラメ」もけっこう釣れてきます。ヒラメが増えることは釣り人にとっては有り難い限り。

 

○ヒレナガカンパチ

 カンパチに混じって釣れてきます。あとで写真を見ると背鰭が長く伸びているのがいるのに気付いたりします。沖縄でも(当方は釣ってないけど)ハワイでも釣れてました。

 明らかに見た目も違う別の種類なのになぜか一緒に群れを作ったりしています。交雑とかは聞いたことがないので上手く繁殖の時は別行動を取ったりしているのでしょうか。

 

○ビワコオオナマズ

 ビワコオオナマズは高校生の頃から釣りたいと思っていましたが、なかなか情報もなく釣ることができずにいたのですが、名古屋のSさんという方と知り合いになり、ビワコオオナマズの釣り方を教えてもらうことになりました。

 「釣れるときはけっこう釣れるので、年に3回ぐらい来たら釣れる日に当たるよ。」と、いわれて、当時東京在住だったので、産卵期でのっこんで来るという梅雨時期に新幹線で米原まで行き、レンタカーでアタックかけました。

 到着した日の夕方から深夜までルアーを投げ倒し、数時間過眠後、朝までまた投げ倒すという体力勝負の釣り。

 1年目は1度しか行けずにスカ食いましたが、2年目3度挑戦して、そのうちの1回がよく釣れる日に当たり、暗くなってから102センチ、朝明るくなったころ109センチをゲットしました。

 ともかくシャベルのような平たい頭とデカイ口が印象的で、1mを越える迫力にランディングの時に口に手を突っ込むのには勇気がいりました。

 私の釣り人生の中でも印象に残る釣りでした。

 

 ○フトツノザメ

 100m以深の深場の赤モノ釣りで身餌を使うと釣れてくるサメ。背鰭にゴツ目の棘がある。鋭い歯が餌に綺麗な噛み跡を残します。

 けっこうガツガツした性格らしく、メタルジグでも釣れるようです。

 ツノザメの仲間は割と美味しいらしく一度食べたいと機会を狙っています。

 

○ブリ

 ブリと呼べるサイズは残念ながら釣ったことがないですが、40センチくらいのワカシ、ハマチサイズはおなじみです。

 さすがは青物、そのくらいのサイズでもギュイーンと引いてくれます。トップへの反応も意外と良くて、ペンシルやポッパーで好釣してます。

 食べても美味しい魚で、脂のまだ乗っていない小型魚も刺身やナメロウでいただくとなかなかオツなものです。

 養殖物は脂が良く乗っているので照り焼きにするには最適です。天然物とは別の商品のような性格が出てきたように思います。

 

 

○ブルーギル

 小さなルアーやフライで狙うとよく釣れてなかなか楽しい魚ですが、イマイチ人気はなく、むしろ在来種の卵や稚魚を食い荒らす厄介者としての側面が強調されがちなこの魚。

 皇太子時代にこの魚を日本に持ち帰った天皇陛下も、現在の利用もされずに邪魔者となっているような状況には「心を痛めている」とのこと。

 陛下が持ち帰った時代には、有用な生物を移入することは良いことと認識されていたと思うので、陛下が心を痛めているのは、必ずしも、単純に生物多様性の認識が浸透した現状の視点で、ブルーギルという移入種を持ち込んでしまったことについてではなく、それが思ったように利用されずにいる状況についてではないかと思います。

 ということで、陛下が心を痛められている状況を改善するには、ブルーギルの利用促進が必要なのではないでしょうか。

 もともと、釣っても楽しく食べても美味しいということで持ち帰った魚なので、釣ったり、食べたりして利用していけば、結果として個体数の減少にもつながり生態系のバランスを考えるうえでもプラスになるのではないでしょうか。

 とはいえ、「ブルーギルって食べられるの?」というイメージがあり、その辺のイメージが食材としての普及を阻んでいるような気がします。

 当方も何度か食べましたが、味自体は普通の白身の美味しい魚です。問題なく食卓に並べられるレベルだと思います。

 ただ、骨がやや硬いので沢山釣れるサイズである10〜15センチ程度の魚は、丸ごと食べるには骨が気になり、3枚におろすのは小さくて煩わしいというところがあります。

 10センチ以下の小型だと唐揚げにしてしまえば骨ごといけますし、逆に20センチを超えるようなサイズは3枚におろしても、骨から身を外しながら食べても問題ありません。

 不味い魚ではないので、何とか食べ方を工夫して利用が進むことを願っています。

 

 

○ブルーフィッシュ

 日本には近い魚がいないため知らない人に説明するのはちょっと骨が折れるさかなです。ブリのような青物に近い形で、歯がサワラのように鋭い。

 NYに先輩が仕事で赴任している間に釣っておこうということで、飛行機でブンッと飛んで釣ってきました。

 けっこうパワーのある魚で楽しめた。

 この魚は開高健も指摘していましたが、「気まぐれ」なのも特徴で、餌でもルアーでもなんでも食ってくるときもあれば、撒き餌しようが何しようが全く食ってこないこともあるようで、当方が釣ったときはルアーには反応イマイチで、落ちていく餌に食ってくるパターンでした。

 食味については、あまりよろしくないという評判もありますが、当方が食べた限りでは刺身でもかなり美味しかったです。日本ほど流通時に鮮度保持に気をつけていないので鮮度が悪いものが流通しているのかもしれません。

 

○ベイカ

 ジンドウイカだったかもしれないですが、釣れた場所的により内湾に生息するというベイカと整理しました。

 九州時代、宿舎のそばの港の灯の下に小さなイカがやってきたので、1.5号とか2号の小さな餌木を使って釣って楽しみました。

 出かける前に自転車のカゴに醤油ベースに昆布出汁をきかせた付け汁を入れたタッパーを入れて釣り場へGO。釣れるそばからタッパーに放り込んで、いかの沖漬けならぬ岡漬けを作って美味しくいただきました。

 10センチに満たない小さなイカですが、味はなかなか良かったです。

 

○ベロ

 東北あたりで、小さいワームで根魚を狙っていると、アナハゼの仲間に混じって釣れてくるカジカの仲間です。あまり大きくはならないようで20センチ程度までのサイズですが、ルアーへの反応はよく、ワームを落とすとサササと寄ってきて大きな口でバックリと食ってくれます。愛嬌のある魚です。

 

○ホウセキキントキ

 カンパチを釣りにハワイ本島を訪れた際の宿は、HIBT(ハワイ・インターナショナル・ビルフィッシュ・トーナメント)参加のときに三平君も泊まった由緒あるホテル、「キングカメハメハホテル」であった。ロビーの巨大カジキのレプリカなどがまさにここがスポーツフィッシングのメッカであることを感じさせてくれた。

 夜ホテルの庭を越えてちょっと行ったところの桟橋には、灯りがともっていて、地元の人たちが夕涼みがてら釣りをしていた。当方と同居人もフライとルアーで釣り始める。灯りの下では、ちょうどメバルが水面直下のプランクトン系の餌にライズするような感じで平べったい魚がライズしていた。小さなワームやフライで釣ってみると、キントキダイの仲間の子供であった。種の特定は難しかったが、模様と南の海にいることからおそらくホウセキキントキだろうということになった。地元民は全然釣れていないのに、我々だけポンポン釣っているのでなかなか気分が良かった。他にネンブツダイ系の小魚とダツも釣れて、ハワイの夜は楽しく更けていったのであった。

 

○ボラ

 泥臭い魚として釣れてもうち捨てられていたりしますが、実は綺麗な海のボラは非常においしい魚。臭くもなく刺身でもいけます。泥ごと有機物を消化するため胃は独特の筋肉質の器官となっており、へそとかそろばんと呼ばれ珍味として塩焼きなどで食べます。最近では東京湾でも船橋の漁業者達がボラのおいしさを知ってもらいもっと利用しようという活動を行っていたりします。

 当方の父方の出身地では、冬のボラは「寒ボラ」といって脂が乗って旨いとされ、一本釣り漁師がタイ釣りの裏作にボラを釣っていたという時代もあったようです。ちなみに餌は米ぬかでトリプルフックのようは釣り鉤を使用していたようです。

 釣りモノとしては、楽しまれている地域もあるのですが、どちらかというとクロダイ釣りの外道としてなどあまり喜ばれていない場合が多いようです。

 しかし、突進する引き味はなかなかにスリリングであり釣っても面白いことは間違いありません。

 房総半島で撒き餌釣りが禁止されるまでは、南房総の各港にはクロダイ狙いの釣り人がアミ餌の撒き餌でクロダイを寄せて釣っていましたが、この撒き餌に黒々と群れをなして寄ってくるのがボラたちで、当方と先輩はその寄っているボラを狙って、撒き餌を打ってその中にフライをぶち込むという釣りでボラを釣っていました。けっこうな数釣れるし引きも良いので楽しめました。

 また、本来は底泥の有機物や付着藻類などを食べているのですが、バチや小魚などの餌に付いていることもあり、その場合はルアーで狙えます。初夏の某海浜公園で小魚を補食しているボラをザラパピーで狙い撃ちにしたのは懐かしい想い出。

 食の面からも釣りモノとしてももっと評価されても良い魚だと思います。

 

 

 

 

(2010.12、2011.01,06) 

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