○「本のページ」第15部 −ナマジの読書日記2021−

 

 2021年もダラダラと更新していきます。


<2021.12.26>
 釣り忙しくてマンガも活字も読む量激減、新刊出た読んでるシリーズもちょい積ん読気味。読めた中では「よふかしのうた」「働かない二人」「ましろのおと」あたりが面白かった。特に「よふかしのうた」は「だがしかし」の人が描いてるんだけど、この人こういう哲学的なテーマでも描けるんだと新たな一面を見る思い。新しく手を付けたのでは「ミカルンX」「あやねとあまね」が面白かった、最近サブカル界隈では流行って久しい百合モノだけど前者は一昔前の人類の運命が少年やら少女やらに託されるいわゆる”世界系”でなかなかに壮大に風呂敷広げてて良かった、後者の作者の道満清明先生はエロ漫画誌の後ろの方で面白いギャグマンガ描いてる系の人なんだけど、もうちょっと評価されても良いのにな、という感じで描くマンガはとても面白い。エロ漫画誌だと”ポリコレ”とか気にせずエロかったり黒かったりするギャグを目一杯詰め込めるのでそれはそれで良いのか。どっかメジャー誌博打打って描かせてみないものか?昔読んで面白かったのを再読する時期が定期的に来るんだけど、それが今年の後半に来てたのも新しいの積み気味な原因か。何度読んでも面白いモノは面白いうえ頭ウロ入り始めてて忘れてる部分も多かったりしてお得。「ホーリーランド」「ギャラリーフェイク」「デストロ246」「寄生獣」「シドニアの騎士 」「ヒナまつり」「頭文字D」「げんしけん」「ばらかもん」「レイリ」「アヴァルト」とか面白くないわけがない。活字は「バーナード嬢曰く」でSFマニアの神林さんが薦めてくれてたレイ・ブラッドベリ「華氏451度」を読み始めたところだけど、SFの傑作はなぜこうも精確に未来を予見できるのかって毎度のごとく驚かされる「十九世紀の人間を考えてみろ、馬や犬や荷車、みんなスローモーションだ。二十世紀にはいると、フィルムの速度が速くなる。本は短くなる。圧縮される。ダイジェスト、タブロイド。いっさいがっさいがギャグやあっというオチに縮められてしまう」という主人公の上司の台詞の延長線上にまさに今現在の21世紀があるという紛れもない事実。時間のかかる読み物をじっくり読む楽しさはそれでも不変だとは信じたい。


<2021.7.25>
・古賀亮一「ゲノム」8巻 アマゾンのお薦め機能で以前から不満なのは、それまでの巻を買っていた作品の新刊が出てもお薦めされてこないときがあることで、そんなもん新刊出たら買うやろ!っていう話で、ゲノムも気がつけば8巻9巻が出てた、8巻の時点で20周年だそうで、エロ本の後ろほうに掲載されている面白いギャグマンガという独特の位置でひたすら下ネタ連投でくっだらなくも最高に面白い。作者の代表作的にはアニメ化もした「ニニンがしのぶ伝」なのかもだけど、「ゲノム」は古賀先生のライフワークだと思うのでこれからもオレ好みの下ネタやくだだらねぇギャグを量産していって欲しい。
・石黒正数「天国大魔境」〜6巻 文明崩壊後の世界をキルコとマルが行く物語と並行して、人工的な世界で育てられている子供達の物語が描かれていて、その二つがどう関係していくのか?っていうのが始まった当時からの謎だったけど、だんだん構造が分かってきた。時系列は並列ではなく、どうも子供達が育てられている施設内の事件が起こってから、その後の物語が、文明崩壊後を行くキルコとマル達の時間軸だと思う。以下ねたバレ、
 根拠のヒントとしては、施設のシロとミミヒメが文明崩壊後の不滅教団の宇佐見と星尾なので、最後宇佐見が自殺したときに宇佐見が手に握ってたのがミミヒメにもらった制服のボタン。とか、マルの目的は同じ顔の人間を天国に探しに行くことだけど、同じ顔なのはマルともう一人が施設内でトキオが産んだ双子だから。マルの名前の由来が混乱時に見分ける目印に足の裏に書いた丸からだろう。とかとか。
 並行して描かれる二つの世界の関係が徐々に明らかになってきて、これぞ石黒作品!という伏線回収の時間が始まってきて、どんな結末に向かうのか目が離せない。


<2021.7.9>
 久しぶりに、活字が読みたいなと”自炊”してある本の中から、らも先生の対談ものを読んだら面白くて勢いがついて、らも肌「イッツオンリートークショー」、らもいしい「その辺の問題」、らもちち「私の半生」あたりをよんで、その勢いで「舌先の格闘技」「アマニタ・パンセリナ」あたりも読んだ。新刊では、高野秀行「幻のアフリカ納豆を追え!」が、本格的な「納豆」を軸にした世界の食文化論的な話になってて、そもそも納豆って納豆菌はどこでもあるので、豆さえあればどこでも作ることができて、日本独自のものじゃないってぐらいは想像できたけど、アフリカで大豆じゃなくて当地の豆か植物はおろかバオバブのタネでさえ納豆にしているというのは驚きました。高野先生のそのあたりの紛争地きわきわまで平気で突っ込んでいって調べてくる知的好奇心と行動力に敬服する。
 マンガは、読んでるのの新刊出たら読むってのの他には、伊藤伸平先生のふるいのをひっぱてきて「エンジェル・アタック」「東京爆発娘」「楽勝!ハイパー・ドール」あたり読んだけど、どれも割と好みで面白かった。ややキツ目のギャグが心地良い。 


<2021.4.10>
 なんかスイッチ入ってしまってラノベばっかり読んでる。主にノーブルウィッチーズとかのストパン関係と新刊も出たSAO関連。マンガは週刊モーニングの他は読んでるのの新刊出たら読むぐらいで、そんな中で板垣巴留先生の「ビースターズ」が完結した。長編デビュー作だけどお父ちゃんの血を引いてるのか作風全然違うので関係ないのか、とにかくなかなかにスゴい才能だなと思う。次作も刮目して待ちたい。


<2021.2.10>
○角幡唯介「極夜行前」 昨年後半読み直し始めた開高先生の「輝ける闇」は途中で頓挫、角幡先生の大傑作「極夜行」の前日譚である本作を読んだら面白くて久しぶりにラノベ以外の活字の本を読了。極夜行のための事前調査と訓練、現地中継地への物資の補給(いわゆるデポジット)の顛末を書いているんだけど、これがこの時点からすでに面白いのが流石というところ。いつもの「冒険とは何ぞや」っていう自身の内面に向かっていく哲学問答も味わい深いんだけど、腐って虫の湧いたバッファローの肉の真ん中へんの腐臭を放つ部分を食う話と、なんといってもセイウチに襲われる話が出色。セイウチってアラスカやカナダのあたりではホッキョクグマよりも恐れられているとか。水族館で子供を間近に見る機会があったけど、海底の貝を吸い取るために発達してるんだと思ってたけどものすごい吸引力でジュボッと餌を吸い込んでた。人間を襲うと牙で穴を開けてからその吸引力で中身を吸い取るんだとか。ホンマかいな?でも実際襲われてて先生セイウチの絶滅を願ってたりして申し訳ないけど腹から笑えた。本人くそまじめにやってるのになぜここまで面白いのか。感心する。

 ラノベは年末に読んだ久しぶりのシリーズ新刊「涼宮ハルヒの直感」が既に懐かしい感じで楽しめたのと、ここ最近はアニメの影響で「ストライクウィッチーズ」関連乱読中で「ブレイブウィッチーズ全3巻」「いらん子中隊リブート1〜3巻」読み直しといらん子4巻出てたので読んで、ついでに「ノーブルウィッチーズ」も読み始めた。島田先生が枠組みだけ考えていろんな人が書いているので関連作品の数がエラいことになっている。
 マンガは、最近読んで面白かったのは読み直し以外では「瞬きのソ−ニャ」「僕の妻は感情が無い」「事情を知らない転校生がグイグイ来る」「令和の家政婦さん」「オイオイピータン」「詩歌川百景」あたり。昨年連載終了したのが結構あったので新しい作品発掘中。 


 

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