けっきょく、まんがをかくということは、一言でいえば「再生産」ということになります。
かつてあった文化遺産の再生産を、まんがという形でおこなっているのが「まんが家」なのです。どんどん取りこんで、どんどんはき出していくという、視野を広く持ち、柔軟な考え方をしなければなりません。
○「絶対可憐チルドレン」個人的解釈
(始めに)
「絶対可憐チルドレン」は、少年サンデー誌上で2004年から連載中で、2012年3月18日現在で既刊29巻のマンガである。作者は当方世代には「極楽大作戦−ゴーストスイーパー美神−」が懐かしい、椎名高志先生の作品で、「極楽大作戦」のワンレンボディコンの退魔師が怪異退治で荒金稼ぐとというストーリーは実に見事にバブル経済真っ盛りという当時の時勢を映し出していた。作者はその後、織田信長モノなど書いているが、今作(以下「絶チル」と書く。)が当たる直前は、3年も仕事がなかったと表紙裏でぼやいており、不遇の時期を過ごしていたようだ。「絶チル」も最初から連載が約束されていたわけではなく、最初読み切りの形で掲載され、短期集中連載を経て評判が良かったので晴れて連載となったようである。読み切りと本編では若干登場人物の能力設定に違いがあったりするが、基本一連のストーリーとなっている。連載後、人気は上々だったようで、アニメ化もされ、その後OVA(オリジナルビデオアニメーションと言いながらDVD、BD)も作られ商業的にもヒットし、メガヒットまではいかないけれど、スマッシュヒットぐらいはいってよい人気作になっている。
ストーリーは、いろんな要素を含みつつも基本路線は「超能力バトルもの」であり、ギャグマンガでもある。近未来(と言いつつ実際の設定はほぼ現代)、超能力者が生まれるようになった世界で、超能力者と普通人の間で軋轢が生じている中、超能力を利用し対犯罪・対災害の活動を行う政府の組織バベルに所属する、3人の少女(連載開始時10才小学生、現在中学二年生)とその3人を束ねつつ、面倒を見つつ、現場主任をつとめる青年皆本光一の4人のチーム「ザ・チルドレン」を中心に、味方の超能力者、普通人、敵である反超能力テロ組織「普通の人々」、超能力者による世界支配を目指す?犯罪組織「パンドラ」、超能力者を利用し何か良からぬことを企んでいるらしい謎の組織「ブラックファントム」なんかが絡んで進んでいく。
ストーリーの大きな軸には、戦時中に能力開発されたイルカの超能力者「伊号」による、超能力者と普通人の最終戦争勃発の「予知」と、その予知の中で、超能力者の女王となったチルドレンの一人「明石薫」を仲間であり育ての親であり、そして薫にとっては想い人である「皆本」が対超能力者用熱線銃で撃ってデッドエンドという悪夢のような事項がある。
バベルはその予知を当然阻止しようとし、パンドラは薫を女王としてむかえつつ、その死を回避し最終戦争に超能力者側が勝利するよう画策し、ブラックファントムは何が目的か不明だが最悪の最終戦争を望んでいるような描写。
そういう大きな流れの中で、個別の超能力者のエピソードやバトル、組織同士の駆け引きや、その中で生まれる衝突、友情、日常、温泉、プール、文化祭等々盛りだくさんに描かれている。
なんというか、オタク層を狙ってだと思うけど美少女キャラを前面に出しつつ、王道路線で面白いことはすべてつぎ込んでいるのが見て取れる。面白くなるなら、人気が取れるなら、そのためにと「力一杯書ききっている感」があるというか、ある種のてらいの無さ潔さが良いし、サブストーリーの4コママンガや、随所にちりばめられたパロディーネタとかもコアな読者にはたまらン物があるしで非常に面白い作品である。
詳しくは読んでいただくしかないが、当方が、面白いと思う、楽しんだ部分のキモについて、これから手当たり次第に解説してみたい。もちろんネタバレしまくるのは言うまでもない。読むつもりがある人は読む前には読まないように。
(キャラクター)
作中、登場人物が文化祭エピソードの中で、くしくも、「人はなにに萌える?そう、それはキャラ!」と喝破しているとおり、魅力的な物語には魅力的な登場人物が不可欠である。漫画家や小説家が「魅力的なキャラクターができれば、キャラが勝手に動いてくれる。」と書いているのも良く目にする。さもありなんと思う。
本作にも魅力的なキャラクターが主人公サイド、敵、脇役含めわんさと出てくる。超能力という特徴付けをしやすいネタを持っているとはいえ、それ以前に良く人間が書けているというか、そのキャラがそういうキャラである理由が納得できるような味のある書かれ方で、単に萌え要素を適当に登場人物に記号的に貼り付けただけ(初期のキャラには若干そういう傾向がなきにしもあらず)というわけではなく、一人一人の物語が丁寧に描かれ個性付けされていると思う。
まずは絶対可憐なチルドレンとして描かれているメインヒロインの明石薫とその相棒である野上葵、三宮紫穂。この3人は、日本に公式には3人しかいないレベル7の高レベル超能力者で物語のメインストーリーは彼女たちの活躍を中心に描かれる。
明石薫は、メインヒロインらしく「元気」なリーダータイプで仲間思い。小学生の頃は、ややオヤジ趣味めいたエロネタを繰り出し、同級生の一般人男子と拳で語り合うような粗暴な面もあったが、中学生編では、乙女な恥じらいに目覚め、いまだ内包するオヤジ趣味と葛藤していたりする。超能力はふれずにモノを動かす念動力(サイコキネシス)が基本。物語の重要な要素となる超能力者を束ねる力、超能力者の女王としての力を持っており、その力の発現は背中から生えた白い翼で表現される。敵味方関係無く、へこんだり窮地に陥っている超能力者がいると黙っていられないと本人は言っているが、世話役の皆本主任が開発した3人の力を合わせるためのブースターを使って、解析不能な強い能力を発揮して超能力で洗脳された人間を強制解放したりすることができる。この能力は味方側の2人に限らず、敵であるパンドラの超能力者と協力したときも発現可能で、明石薫を他の超能力者をして女王になるべきものとして納得させるだけの強い能力として設定されている。
野上葵は、瞬間移動能力者(テレポーター)で、移動距離も運べる重量も、世界でもっとも優れたテレポーターらしく、瞬間移動して短い息継ぎのような休憩の後また瞬間移動という繰り返しでマッハ5相当で移動可能と書かれている。メガネっ娘で関西弁キャラで、黒髪ロングキャラで貧乳ちゃんで、優等生設定というかなりオタ受け要素を詰め込んだキャラだが、優等生キャラはいまいち機能しておらず、試験勉強エピソードでそういえば優等生という設定だったなと思い出す程度。むしろ先輩超能力者のナオミちゃんの方が優等生キャラとしてはキャラが立っている。もっといえばチルドレンの面倒見役の皆本主任がもろに優等生キャラである。しかし、当方、メガネ萌え、方言萌え、貧乳も嫌いじゃないですという嗜好なのでチルドレンの3人ではこのキャラが一番お好み。メガネの優等生ぽい女の子が好きとか、関西弁はじめ方言でしゃべっている女の子に新鮮な魅力を感じるというのは、けっこうメジャーな性癖というか嗜好だと思うので特に説明はしないけど、「貧乳」というのが、「萌え」要素になり得るというのは、巨乳大好きな多くの男性陣は首をかしげているかも知れないし、実際に貧乳にコンプレックスを抱いている女性にも理解できない話かも知れないが、どうもマンガ・アニメ好きなオタク野郎のうち、一定層は、デカイ乳くびれた腰の大人のセクシーネーちゃんには、バカにされそうで苦手意識があり、かつ少女の初々しさを好む嗜好からも「貧乳キャラ」には意外なほどニーズがあるのである。萌えアニメの記念碑的作品である「らき☆すた」には作中人気キャラ、オタクで貧乳な泉こなたの「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」という台詞があり、その筋の名言として覚えておいて良いだろう。
3人目の三宮紫穂は、接触感応力能力者(サイコメトラー)で、触れたモノから情報が引き出せる。当然人間に触れればその思考が読める。レベル7のサイコメトラーがその気になれば、多少のプロテクトは無意味でよほど特殊なケースを除いて人の心も読むことができる。というか読む気がなくても触れた人の心が流れ込んでくるレベルで、幼い頃から自分を恐れる多くの大人に触れて、自分を嫌っていたが、同じように高い能力のせいで化け物扱いを受けてきた仲間や、良き理解者である両親や皆本主任のおかげで、かなりの腹黒悪女キャラではあるが、人間の心の優しさや仲間を思いやる心もよく分かる人間に育っている。犯罪捜査で証拠物をサイコメトリーする機会が多く、人の心の暗黒面にはなじみが深い。肉や魚をその断末魔の情報を味わいながら食べる。等やや怖い性格だが、幽霊等ホラー関係にはめっぽう弱いところがギャップ萌えか。直接攻撃のできる能力ではないので銃器は手放せない。小学生の頃は弾数2発の小型銃デリンジャー(峰不二子が持ってたアレ)を常備しているのが見て取れるが、中学生編では普通にグロック16とかの感じのピストルを持っていて、その後新兵器のワイヤーを飛ばして敵を拘束しかつワイヤーを介して相手の思考を読むことができるワイヤーガンとでもいうようなモノを愛用。しかし、小学生編の時に未来を予知したシーンでは大人になった紫穂もデリンジャーを持っている。単なる作者の見落としか伏線なのか。銃器は注目してみていると結構面白い鑑賞ポイントでもある。
そして、3人のチルドレンをまとめ上げ、チーム「ザ・チルドレン」の現場運用主任として作戦指示し、家では料理から洗濯から面倒を見る世話役、20代くらいの青年、皆本光一が本作の主人公である。タイトルが「絶対可憐チルドレン」だからといって、可憐なチルドレンでありメインヒロインである明石薫が主人公という単純な構図ではない。というか、題名が主人公を表していないマンガ・アニメなどパパが主人公の「天才バカボン」、百鬼丸が主人公の「どろろ」、サンじゃなくてアシタカが主人公の「もののけ姫」など別に珍しくもない。
まあ、今作の場合は、いろんなキャラがその時々に主役を張ったりもするので、単純に皆本が主人公ともいえない状態で、明石薫の主人公目線のエピソードも結構あるのだけれど、比率から言えば、皆本視点が一番多いとみて間違いないと思う。今回、アニメの公式サイトやらグーグル先生やらウィキペディア先生やらを読まずに書いている。読んでしまうと、そっちに流されて独自解釈ができなくなるので、あえてみていないので、実は公式見ると薫が主人公とか書いてあるのかも知れないが、当方の整理では皆本主人公という整理である。
皆本は18才でコメリカ(作中アメリカはコメリカ、ロシアはロビエト等と表現される。実在の国や地域とは関係有りません。フィクションですというやつ。)で学位を2つ取った天才科学者で、バベルには対超能力機器等の研究者として採用されていたのだが、幼いときに優秀すぎるが故に大人達から邪魔者扱いされ、留学を余儀なくされた経験を持つことから、高レベルの超能力故に化け物扱いされてきたチルドレンの気持ちも分かるだろうという事で、最初、とんでもないわがままで扱いにくかったチルドレンの世話役をおおせつかった。
面倒見の良い性格と、時に叱り、時に励ましチルドレンと正面から向きあう姿勢に、皆本とチルドレンの4人からなる特務エスパーチーム「ザ・チルドレン」は信頼と結束を固め、チルドレンは良くなつき、3人で皆本の嫁になるつもりでいることがうかがえる描写も小学生時代にはある。中学生になっても、一応3人で抜け駆けは無しと約束しているのだが、各自隙有れば皆本を我がモノにという機会は狙っている。
皆本は、イルカのエスパー伊号の予知した、超能力者の女王となった薫を自分が撃つという未来を変えるために苦悩しつづける。
主人公が複数のヒロイン達に好意を向けられることを、最近では良く「ハーレム状態」とか表現するのだが、その場合、最近の作品ではなにが良いのかわからんボンクラがハーレム状態になることが多く、あまりの不自然さに腹が立つという意見があり、当方も同意する。そういうマンガは読まないしアニメも見てやんない。なんの取り柄もないオタク層の共感を呼びたいのかも知れないが、あまり成功しているように思えない。
その点、皆本クンは天才科学者設定だし、チルドレンの力を最大限発揮させるべく機器の開発やら現場での敵の裏をかくような的確な作戦立案能力もある切れ者だし、仲間思いの熱くてやさしいやつだし、苦悩を背負う姿も応援したくなるしで、多少もてても許せるぐらいの良いキャラだ。
味方のバベルに所属するキャラクターとしては、貧乳キャラに対しては当然巨乳キャラもいて、先の大戦時から長い眠りと、若い衆からのエネルギー吸収(キスしてムチューッと吸い取るのでセクハラ認定されている)で御年80才を越えるも、いまだ20台ぐらいの外見を保つ、バベルが軍の超能力特殊部隊だったころからの生き字引、蕾不二子管理官は来たるべく最終戦争を食い止め、超能力者と普通人が共に暮らせる未来を勝ち取るため、宮本に無理難題押しつけたり、悪の組織と共闘したりする。能力は多方面に秀でていてレベルも高くジョーカーのような存在、だがよく寝ていて現場に遅刻したり事件解決後に現れたりする。
バベルのドジッ娘キャラ担当は、優等生キャラの所でも出てきた梅枝ナオミちゃん。基本能力はメインヒロインと同じ念動力でレベルも6と高レベルで、高校では成績優秀品行方正スポーツ万能のチルドレン曰く「完璧超人」で、バベルの任務も的確にこなす優等生なのだが、カレーうどんの汁を飛ばして制服を汚してしまうドジッ娘ぶりは、葵をして「うちらかて女子高生に生まれていたら・・・」とわけの分からんキレ方をさせるほど「萌え」の王道を体現している。しかし基本このマンガはギャグなので、この汁を飛ばして服を汚してしまうというパターンが定着し、ホットドックのケチャップを、餃子のタレをはさみを使ってさえ、挙げ句の果てにあの、プラスチックのふたを二つに折り曲げてドレッシングとかを手を汚さずかけることができるはずのパックを使っても顔にしぶきをかけてしまうに至って、「新しい能力」として認定を受けるに至った。
そして当方もお気に入りのバベルの「獣人萌え」担当の犬神初音。相棒兼飼い主役の明とともに特務エスパーチーム「ザ・ハウンド」で得意の獣化変身能力で、狼だの鷲だのに変身し活躍する。「獣人萌え」あたりにくると、普通の人には何を言っているのか分からなくなっているかも知れないが、マニアの世界では獣人含め「亜人萌え」というのは、ものすごく細分化されつつ、各種レベルで存在している。例えば、獣人萌えの他に妖怪や化け物、妖精や女神様など人外に萌えたり、アンドロイドやサイボーグに萌える「メカ萌え」なんてのもある。獣人萌えについては、当方、初めて「これが萌えキャラってやつか」と認識したのが、「狼と香辛料」の狼の化身である女神の「ホロ」だったりするので、獣人萌え、人外萌えあたりの軽めのは分からなくはない。軽めの獣人は基本、猫耳が付いていてしっぽが生えた程度の見た目なので、動物のかわいさを追加した女性という事で理解の範疇である。この手の猫耳少女の元祖はなんといっても猫娘だと思うが、「ゲゲゲの鬼太郎」も4回もアニメ化(墓場鬼太郎も含めると5回か?)されている間には猫娘もだいぶ時代の変化に影響を受けて変わってきている。最初の頃の猫娘はもろに水木先生風の萌え要素の少なめのキャラだった。それが、3回目のアニメ化で人間の夢子ちゃんというキャラに正ヒロインの座を奪われるという屈辱を味わった。そして、最新のアニメでは単独メインヒロインの座を奪還し、見た目もかなり今時の萌え萌えしたルックスになっている。実写映画版に至っては、猫娘役は田中麗奈さんである。猫娘も出世したモンだと喜ばずにいられない。
話はずれたが、その程度の獣人化度合いなら人が萌えるのに特に問題ないと思うのだが、「ケモナー」とも呼ばれる獣人愛好者はレベルが上がるに従い理解不能な世界に突入していく。ネット上で獣人の話題が出ると必ずといって良いぐらいに貼られるイラストがあるのだが、そのイラストには左端に単にかわいい女の子に耳としっぽをつけただけの状態が描かれており、そこから段階的に、だんだん毛が増えたり、手足の関節や姿勢が四足動物っぽくなっていき、最終的には人の言葉をしゃべるただの動物になるという図で、ケモナー達はどこまでOKかという議論をするのだが、中には右の獣の方からいくつかはOKで人間に近くなるとダメという強者が居たりしてびびらされる。彼等はそれを動物として「可愛い」と愛でているのではなく、夜のオカズにも使えるような性的ファンタジーとして獣絵に萌えているのである。そういう嗜好がまあ割と珍しくもない程度には存在するようである。
妖怪萌えなんてのは、美貌で男をかどわかす雪女なんてのがいるぐらいで、各種美女系キャラには困らないので理解しやすいだろう。「地獄教師ぬーべー」でぬーべーが、雪女であるユキメを幸せにできるのはこの世で俺しかいないと、両思いだったはずのリツ子先生をあきらめて、ユキメと添い遂げてあげるエピソードには子供心にも「ぬーべーは男のなかの男や!」と感動した覚えがある。ぬーべーはエロいわ怖いわ面白いわ、たまに泣かせるわで、少年にとって超ストライクのとっても良いマンガだった。
メカ萌えについても、まあ、人型のアンドロイドやらに萌えるのは別に特に驚くほどのことでもないけれど、エイリアンのデザインで有名なギーガーのイラストのような女性と機械が融合したようなサイバーパンクな絵に官能美を感じたり、もっと極端に、ガンダムのプラモデル相手に性的興奮を覚えて、今夜のオカズはズゴックかキュベレイかと悩んでいるような人間が居るらしいことを知るにつけ、人間の業の深さというか性的ファンタジーの多様性に唸らされずにはいられない。なんか、理由付けを放棄せざるを得ない遠い所まで人は行けるようである。
犬神初音には、獣人キャラ以外にも、バカキャラ、腹ぺこキャラという属性が付与されていて、なかなかに魅力的なキャラクターに仕上がっている。
バカキャラは、最近のタレントにも「オバカタレント」という枠があるようで、普通の人にも理解しやすいと思う。作中でモモンガの超能力者である桃太郎が、実験動物のモモンガを逃がしてやったときの「見た目が良くても頭がネズミ並みっていうのは我慢できない。」と実際齧歯類なんだからしゃーねーじゃんと突っ込みたくなるボヤキにたいし、薫が「なにいってんの、バカで美形は優良物件じゃん。」と核心を突く突っ込みを入れている。
腹ぺこキャラというのは、まあこれもわかりやすいと思う。ようするに美味しそうに食べている女性を見ると、男としては幸せを感じるというアレだ。初音はある程度飢え過ぎると食欲が暴走するのか?能力のコントロールが効かなくなる。相棒の明が、初音のバカ克服がチームの能力向上につながると食欲のコントロールを試みるが、ようするに犬の「お預け」訓練であり笑える。
腹ぺこキャラといえば最近では「fate」のセイバーがメジャーだが、「涼宮ハルヒ」の長門有希も原作では腹ぺこキャラであることは覚えておいて良いかもしれない。「うる星やつら」のさくらさんやら、「怪物王女」のリザあたりも魅力的な腹ぺこキャラだ。
その他バベルの重要キャラとしては、女たらしキャラ担当のサイコメトラーで念動力を使った生体コントロールもできる医者の賢木先生。ブラックファントムに洗脳を受け暗殺者として使われていたのを、チルドレンのブースト能力を使った強制開放により救われた、弾丸使いのバレットとおもちゃ使いのティムの2人などがいる。ちなみにこの二人は洗脳前の記憶を失っている。当初、洗脳をといても、記憶を失い能力も失いかけているという事態にチルドレンは無力感にさいなまれるが、皆本の見解は違った、殺さず生きて洗脳から救い出せたことに「過去はブラックファントムに奪われたけれど、未来だけは失わずにすんだ」と。
基本ギャグマンガだと思って読んでいると、こういう「いい話ダナー」系のエピソードがポロッと挟まっていたりして結構心にグッときてしまったりするのである。
そうやって、失わずに済んだ未来で彼等2人はリハビリで、バベルの終末医療施設での老人との交流を経て能力は取り戻し、特務エスパーの仲間入りし、ザ・チルドレンチームの後方支援やらに従事しつつも、中学2年生シーズンからはチルドレン達の同級生になることができた。そして、趣味では二人ともオタク系で、深夜アニメ(「まわるピングドラム」を録画視聴していた描写があるが、放送中の全アニメチェックしている気配も)やらみたり美少女フィギュアやらをゴチャゴチャ集めたりしている。劇中劇の「魔法メイド少女絶対チルチル」がお気に入りで、オタクライフを満喫しているようだ。
バレットのルックスは、バンダナ巻いた長髪で、バンド「ザ・ブルーハーツ」のメンバーがモデルの「ろくでなしブルース」のマーシーあたりに起源がありそうな感じで、弾丸を使って戦う能力は、ジョジョのセックスピストルズを思い出させるが、そういう流れをくみつつもオリジナルティーあふれる影のある格好いい男の子キャラになっている。彼のエピソードは葵との関係を軸に後ほどさらに検証してみたい。
味方にもまだまだ面白いキャラはいるのだが、後でまた書く機会があるので、そろそろ敵キャラにうつりたい。魅力的な敵キャラが物語を盛り上げるということは、論を待たないであろう。ジョーに力石がいたように、コブラにクリスタルボーイがいたように。
連載当初から出てきて、後半出番少なめの雑魚キャラ的な敵組織に、超能力者は人類の敵で抹殺すべきであると考える反超能力者テロ組織「普通の人々」というのがあるのだが、ごく初期にはキャラクターがパロディーになっていたのを除くと、他のメンバーは「今度、上司の仲人で同僚と結婚するOL」とか「海で水上バイクでナンパするチャラ男」等まったくキャラを立てていない名前さえもらえない「普通の」敵が出てくる。この辺はキャラ作りの常識を一度ひっくり返してネタにしている感じである。この辺の雑魚キャラ相手の活躍で、チルドレン達の初期の能力やら、この物語世界のお約束やらの設定がわかりやすく描かれていて、最初からややこしい設定全快で読者すっ飛ばしてどっか行ってしまうことがないのが良い塩梅にも感じる。超能力という書いてしまえば何でもありありの世界で、上手く「お約束」である設定を読者と共有しないと作品はなりたたない。まあ少年マンガでは勢いがあれば「お約束」無視でぶっ飛んでいくのも時にはありではある。最近の作品でマンガではなくアニメ化もされたライトノベルの「とある魔術の禁書目録」シリーズが超能力?バトルもので結構人気があるのだが、この作者は勢いでぶっ飛ばすタイプで、作中、破綻してしまっているような設定が結構あって、それでも勢いで読ませてしまうところに面白さを感じている。何しろ超能力者のうち最強とされている登場人物は、あらゆる力のベクトルを自在に操れるという能力を持っていて、地球の自転の力を利用して方向かえてビル丸ごとぶつける攻撃とかしちゃうんである。いろいろ無茶苦茶だけどこれぞ少年マンガ的ノリで面白い。マンガじゃなくてラノベだけど。
次に、超能力者による世界征服を望む敵組織「パンドラ」。この組織は超能力者と普通人の共存を願う「バベル」の敵ではあるが、異端者として迫害を受けがちな、超能力者にとっては救いの手をさしのべる救済者でもあり、単純な悪としては書かれていない。でも、普通人に対しては結構酷い事をする悪の組織ではある。
ボスでカリスマ的指導者の兵部京介は、蕾管理官と共に、戦時中軍の超能力部隊に所属していた。蕾管理官とは親同士が親友で、早くに両親を亡くした兵部は蕾の弟のように育てられている。軍籍時の階級から来ているのだと思うけど「兵部少佐」とも呼ばれる。軍では少尉だったような表現もあるので兵部少佐のいわれは別にあるのかも知れない。
マンガの話で「少佐」が出てきたら少しばかり書いておかねばならないだろう、マンガ・アニメではなぜか「大尉」やら「中佐」やらは人気が無くて「少佐」が人気である。実働部隊の隊長クラスの地位らしいので、へなちょこな一兵卒ではなく、かつ後方でふんぞり返っている幹部でもないというところがちょうど良いのだろうか。
一番メジャーな「シャア少佐」から、戦時の階級「少佐」があだ名になっているが実は既に少佐ではないというのは意外と知られていないかも知れない攻殻の草薙素子公安9課現場隊長、「私は戦争が好きだ」から始まる大演説で有名なヘルシングの「少佐」、クソまずいボルシチを作るロシア出身の叩き上げ軍人カリーニン少佐、「パンツじゃないから恥ずかしくないモン」キャンペーンとかもう「公式が病気」を地でいく無茶苦茶な設定のアニメの中でもひときわ異彩を放つ白のスクール水着が戦闘服の坂本美緒少佐、ぐらいがぱぱぱと頭に浮かぶ。いずれもなかなかに魅力的なキャラクター達である。
兵部少佐は、ひと言でいって「魔人」である。蕾管理官以上のジョーカー的チート(反則)キャラで測定不能な様々な分野の高レベル超能力を発揮し、寿命をつかさどる遺伝子のテロメアを操作し若い姿と能力を保ち、対超能力者用の仕掛けが施された専用監獄から易々と脱出し、テレポートで壁から現れ、催眠幻覚で罠を張り相手が勝利を確信した瞬間絶望に突き落とす。洗脳能力者が作った偽の現実のさらに外側に偽のイメージを構築し出し抜き、直接的な念動力を使った闘いでも、薫意外におくれを取ったシーンが見当たらない。
その兵部は幼い頃から念動力系の能力に優れた才能を見せ、軍の超能力部隊でも若きエース的存在であった。それが、終戦時に共に戦った信じていた仲間である普通人の隊長から、「君たち超能力者は未来において普通人を滅ぼす敵となる。その超能力者組織の長と君がなると予知された。」という理由で、仲間のほとんどを殺され、自身も胸と額に銃弾を食らうという裏切りを受ける。このときの額の傷が原因で兵部は各種高レベルの超能力に目覚め、生き残り、裏切り者の軍関係者を殺しまくり、二度と普通人を信用しないと心に誓い、超能力者のための世界を作ると決意し、そのためにイルカの伊号(バベルの情報源の伊号は九号、少佐は殺された八号の脳と思われるものを所有)の予知で超能力者の女王となるとされた薫を来るべき超能力者の世界の女王とするため、薫達を見守りアドバイスを与えたりする。
傷やダメージを負って窮地に立たされた主人公などが、隠されていた力に目覚める「覚醒」シーンは、少年マンガではお馴染みのカタルシスあふれる王道展開である。「ジャングルの王者ターちゃん」のうんこひりパワーアップだの、ジョジョの康一君のエコーズアクト2への進化だのが思い浮かぶ。
で、そういうシリアスな設定の兵部少佐だが、ギャグマンガなので結構コミカルな役どころもこなす。組織の部下曰く少佐は永遠の少年。少佐の時は額の傷を受けた時からとまっているという感じで、書類仕事は全くしないわ、取引先のテロ組織が薫に似た少女を傷つけたことに怒ってたたきつぶしてしまうわ、好き放題。賢木ドクターに皆本と2人まとめてロリコン呼ばわりされて激怒したりもする。
それでも、ブラックファントムの洗脳から救い出したい超能力者の少女のために、その頭に超能力で幾重にもトラップをかけた上で埋め込まれた爆薬を処理するために、普段は「ヤブ」呼ばわりの賢木ドクターに血を吐く思いで頭を下げて協力を願うあたりの、超能力者という仲間への思いは、組織の部下たちだけでなくチルドレンや皆本も認めるところで、適当な名言を適当に引用した口八丁の部下掌握術やヘッドハンティングの手腕もあって、組織のカリスマとして君臨している。こういう良い敵キャラがいると物語は俄然盛り上がるというものだ。
パンドラの構成員にも魅力的なキャラクターが沢山出てくるが、端から書いていてもキリがないので、今時のキャラクターを語る上で避けて通れない。ツンデレキャラとクーデレキャラの二人について紹介しておきたい。
ツンデレ、クーデレとはなんぞやというと、まあ簡単に説明すると、普段ツンツンと攻撃的な態度を取っている女の子が秘めた好意を垣間見せてデレッとなると、そのギャップで萌える。普段クールで冷めた態度を取っている女の子が秘めた好意を垣間見せてデレッとなると、そのギャップで萌える。ということだと思う。
別に論文書いた人がいて定説があるわけではないとおもうので、アバウトな概念で、細かくいい始めると、表情に出してデレッとしないと「デレ」ではない、クールなキャラが好意を伝えるときにもクールに決めるているのなら、それはクーデレではなく「素直クール」だとか、最近は「デレ」のない「ツン」だけのヒロインが多くて嘆かわしい。アレはツンデレではない。そもそも時間の経過と共にツンからデレへの変化が云々等々うるさい。
基本的には表情にだしてデレなくても、内に好意があればツンデレ、クーデレだと思うし、好意の対象は恋愛方面だけでなく友人関係や仲間としての好意も有りだと当方はアバウトに思っている。
表面に出るデレが少ないとツンデレ、クーデレでないのなら、ツンデレ、クーデレの代表格的なエヴァンゲリオンのアスカとレイが当てはまらなくなりそうに思える。てなことを気楽に書いていると怖いエヴァファンから怒られそうなので、この辺でやめておく。「新世紀エヴァンゲリオン」は一時代を築いた人気作なので、コアなファンも多く、良くあるのはお勧めのロボットアニメの回答にエヴァをあげてきたような場合に、「エヴァはロボットではないッ!汎用人型決戦兵器で人造人間だッ。」というファナティックなお叱りを受けたりするパターン。まあこだわる人には譲れないところなのかも知れない。ハイハイそうですねと聞いておいてあげて欲しい。
で、「絶チル」の誇るツンデレキャラは筑紫澪(個人データ上はカタカナ表記のツクシミオかもしれない)についてであるが、作中一番好きなキャラクターなのでゴリゴリ書いていきたい(ちなみに薫たちも最初生意気でその後デレているあたりツンデレ要素がないわけでもない)。
「・・・ってわけじゃないんだからねっ。」、「あんた達がどうしてもって言うから・・・」というテンプレ的な台詞を吐かせておけば、それなりにツンデレっぽいキャラはできあがる。澪もそういうテンプレ的な台詞を狙ってしゃべらせて典型的なツンデレキャラとして書かれている。がしかし、ただ単に記号的な台詞を吐かせただけでは魅力的なツンデレキャラとはなり得ない。バックボーンから、積み上げていくエピソードから、キャラクターは構築されていくのである。
筑紫澪という名前になっているが、これはおそらく兵部少佐があとからつけた名前で、出身はどことは特定されていないが戦火にある外国のようで、澪自身は表紙のカラーで見ると金髪で藍色っぽい瞳の少女である。澪の保護者的な役割をしている大男コレミツの語るところによると、「少佐に保護されるまで、あの子には表情すらなかったのだ」そうで、超能力者を異端視する親にネグレクト(育児放棄)されていたことを思わせるボロボロの人形を手にしたボロボロの少女が描かれている。そういう悲しい生い立ちなので、感情表現が上手ではなく、ついツンツンしたもの言いになってしまうのだが、悲しい目にあっているからこその、仲間を大事に思う優しい心を持っていることが随所に見て取れる。
澪は自分をすくい上げてくれた兵部少佐については、感謝以上の絶対的な思慕の念を抱いており、ツンデレもクソもないデレッぷりで腕にまとわりついたり、その日あった出来事をサイコメトリーさせて報告したりと甘えている。
少佐は、超能力者の支配する世界を作るために、その礎となるために生きながらえているわけで、澪の好意は保護者的な立場から嬉しく思いつつも、近く死ぬ身とは考えているようで「たとえいなくなってもあまり悲しまないでくれ。」と澪に言う。澪は仲間に「悲しいにきまってんじゃん!!なんでわかってくれないのさ!」と恋する乙女の胸の内を吐露する。物語的には少佐はたぶん死んでしまうのだろうけど、澪ちゃんのけなげさには心打たれるモノがあり、少佐が死ぬにしても、ちょっとは救いというか報われるというか、なんとか幸せな結末を用意してあげて欲しいと願わずにいられない。
そんな少佐大好き澪ちゃんにとって、未来に組織の女王になるということで少佐が特別に目をかけている薫の存在は、嫉妬せずにいられない恋敵であり邪魔この上ない存在であり、コレミツと共にチルドレンの住居である皆本のマンションを強襲し、皆本を人質にし、その場にいなかった薫との1対1の勝負を要求する。でも人質にとった皆本にすさんだ生活について説教をくらって世話を焼かれると、自分たちの仲間になるのなら助けてやるし、普通人だけど少佐に頼んであげてもいいと、彼女なりの精一杯の優しさを見せる。愛情に飢えていた分、意外にホレっぽいのかも。
澪の能力はちょっと変わったテレポーテーションで、普通のテレポートもできるけど特殊なのは、体の一部だけを別の場所に飛ばすことができる部分テレポーテーションという能力。澪の髪型は、長い髪を後頭部でパイナップルの葉っぱのようにグルグルツンツンとまとめたモノなんだけど、日常描写で、朝起きて洗顔時に、部分テレポーテーションで顔面と両手だけを器用に自分の頭の後ろにとばして、髪をセットしていたりする。
かなりの高レベル能力者で、パンドラの子供達の中ではリーダー的存在にもなるが、初期はバカキャラでもあり(後年パンドラ式超能力学習法で成績優秀になる)、書いたアジトの地図がかなり抜け作先生で薫がなかなかたどり着けず、結局チルドレン3人が合流して、3対1のハンデ戦を戦うことになるのだが、自分の体を素粒子レベルでまびいて部分テレポートさせて3分割した分身の術でチルドレンと互角以上に渡り合う。
レベル的にはレベル7の葵のテレポーテーション能力を上回ることはない設定のようだが、この辺超能力バトルでは、能力の使い方によっては「レベルの差が決定的な戦力差とならない」ところが面白いところで、部分的に葵の足を手元にテレポートさせてくすぐるという攻撃で効果的にダメージを与えている。
しかしながら、チルドレン3人を相手に戦うのはさすがに負担が大きすぎ、分身が暴走する。しかも暴走した別人格は本人の分身だけに嫌なところを精神的についてくる「コノ世ニ オ前ノ居場所ナンカナイノヨ!!」「女王ヲ倒シテモ彼女ノ持ッテル物ハ手ニ入ラナイ。家モ!家族モ!!恋人モ!!」という分身の言葉に「あいつの言っていること 本当だもん・・・!!」とたちうちできなくなってしまう。この澪の窮地に、薫の女王としての力が覚醒し、見えない白い羽で澪を包み守る。「そんだけの力があるのに何言ってんだ!!」と叱咤した後、決め台詞「あたしたちエスパーは、何にでもなれるしどこにでもいけるんだ!!」で、覚醒した薫の桁違いの能力で分身をやっつけて一件落着。澪は薫の女王としての力を認めつつも、少佐を「京介」と名前で呼び捨てる薫るにちょっとキレて、ツンデレキャラらしく「決着はこの次よ!お前なんかすぐ越えてやるんだからっ」と捨て台詞と共にテレポートで去っていく。
その後も基本的に、薫達にはツンツンとした口の利き方だが、パンドラでもコレミツと2人きりの廃校のアジトでの侘びしい生活から、仲間と一緒の船の形をした本部基地?カタストロフィ号での生活に移り教育も受け、仲間と仕事に励んだりする。まあ悪の組織なので仕事と言っても銀行の金庫を襲撃したりという悪事ではあるのだが。そんな中でも薫とはバトルしたり共闘したりする中でツンデレツンデレしながらも次第に友情を深めたりしていく。
パンドラの構成員一同に幹部から未来の女王として、薫達が写真で紹介されたときに、バベルから寝返ったメンバーが「こいつら知ってるぜ、クソ生意気なガキどもだ。」とか言ったり、ロリコンメンバーがよからぬ視線を投げかける中、友達を悪し様にけなされたりして不機嫌そうな顔をした澪が隅に小さく書かれていたりするのも、細かいところだけれどもちゃんと拾って読んでおきたいシーンだ。
仕事仲間のマッスルはレイザーラモンHGがモデルであろうオカマキャラで、女幹部の紅葉が、洗濯物にマッスルのヒモパンが混入して、お気に入りの下着を処分せざるを得なくなるという事件で、マッスルに対し激怒するのだが、澪はマッスルをかばう発言をしていて、これも小さなエピソードだけど澪の仲間に対する優しさが読み取れていい話ダナーという感じである。
しばらく、海外で活動していたパンドラが、中学生編の途中で日本に帰ってきて、パンドラの面々は拠点としてロビエト大使館に潜り込む。ロビエト大統領に恩を売ったり金を使ったりして、ロビエト大使館の大使にマッスルを仕立て上げ、個人データも改ざんし外交官特権も利用して、澪達パンドラの子供4人も大使の養子としてチルドレンが通う中学校に編入することになる。
で、超能力バトルものに学園コメディーの要素が色濃くなっていくのだが、学園でも澪ちゃんは相変わらずのツンデレぶりで楽しませてくれる。
澪が学校に通うことになって保護者役のコレミツとしては、嬉しいやら不安やらであれこれ世話を焼きたがるのだが、思春期反抗期まっただ中のツンデレ澪に「子供みたくベタベタしないで!」と言われて落ち込んでしまう。澪は言い過ぎて悪かったと思って「親孝行とかじゃ ないんだからねっ!」とツンデレ台詞を吐きながらも、男湯(ちなみにパンドラ本部の風呂は男、女、マッスルの3交代制)に両手を部分テレポートさせて背中を流してあげる。コレミツうれし涙。
転入したらしたで、普通人も通う学校では、普通人にあわせて超能力を使わないというルールに最初なじめず、「誰の指図も受けない。」と突っぱねて帰りかけるところを、薫に「あたしが約束するよ!こいつらには超能力を使わせない!」とか言われてなんだかんだと説得されて「一緒に学校に行こう!ね!」と手を握られて「あんたがどーしてもってゆーならね!」とデレる。
他にも良いツンデレッぷりはいろいろあるのだが、一番当方が好きなエピソードは文化祭エピソードが終わった巻の巻末おまけマンガ。父兄として見学等に来ていた兵部少佐たちに「そーいや、体育祭はやったのかい?」と聞かれて、「やったけどつまんないから省略したのよ」としれっと答えているが、つまんないどころか泣ける話で、幹部2人は「いい話じゃん」と兵部少佐がひくぐらいのダダ泣き。
体育祭当日にムキになって超能力を使わないように訓練しておこうという皆本に「体育祭ごときでムキになるか!」とツンデレる澪だが、いざ実際に練習してみると、徒競走ではスタートの号砲と共に上半身をゴールに飛ばすわ、パン食い競争では顔をパンに飛ばすわ、玉入れでは当然、玉を持った手を篭の上に飛ばすわで、全く超能力をセーブできず澪ちゃん大ショック。「体育祭なんて興味ないんだからねっ!!?」っと泣きながら校庭を飛び出して河原で一人膝を抱える。そこにチルドレンの3人があらわれやさしく「当日まで一緒に練習しよ?」by薫、「あんたがあかんかったらウチらも休むからな!」by葵。「・・ってうるさいからつきあってやってさ、参加はできたけど暑いし疲れただけだったわ!」とツンデレるのであった。
結局、澪がツンツンした物言いをしていたところで、ほんとは優しいいい子なのは皆重々承知していて、作中とても愛されているキャラクターである。澪は少佐は薫が大事で私なんて気にもかけてくれていないとぼやいたりしているが、実際には兵部少佐もコレミツと一緒に内緒で澪の仕事ぶりを見守っていたりする。澪の少佐への恋は、少なからず報われているのかもしれない。皆本もパンドラのメンバーである以前にチルドレンのクラスメイトで良き友人と理解して接しており、マンションにパンドラ組が遊びに来たときにはドーナツ揚げたり、ババロア用意したりとまめまめしく世話を焼いている。最初の登場時には手に入らないと嘆いていた、家も家族も今はパンドラという組織の下で手に入れている。恋は兵部少佐が相手ではなかなか成就しそうにないが、まあまだ中2であるし、未来が守られればいくらでも別のチャンスがめぐってくるだろう。今は良い友達にも恵まれて悲惨な生い立ちから見ればずいぶんな幸せを自らの手でつかんでいる。まあ、悪の組織の構成員だけど。最終的にこの物語はハッピーエンドで終了するはずだけれど、なんか良い塩梅のハッピーエンドを澪ちゃんにも用意してやって欲しいと椎名先生にはお願いしたいものである。
次に「絶チル」代表クーデレキャラ、パティ・クルーについてだが、ギャグマンガにクーデレキャラを投入する際には、単に無口なだけのキャラだといまいち出番がないので、不思議ちゃんキャラをかぶせているパターンが多い様に思う。「ハルシオンランチ」のヒヨスとか「日常」のまいちゃんあたりが思い浮かぶ。
そして、このパティだが、クーデレキャラに加えてオタク系女子、もっと範囲を狭めるとボーイズラブ大好き系のいわゆる腐女子キャラとして描かれている。
オタクな男子が共通の趣味を語れるオタク系女子に理想を求めるのは考えれば至極当然で、貧乳キャラでも紹介した「らき☆すた」の泉こなたはゲーム、アニメ・マンガを愛するオタク系女子としても高い評価を得た。
パティはもともとブラックファントムに洗脳されて殺し屋として使われていたところを、兵部に救われた自分たちが今度は同じことをしてあげたいと願う澪らパンドラの子供達によって、薫の超能力者の力を束ねて出力するブースト能力を使った共闘で洗脳を解かれてパンドラ入りした超能力者である。どうもブラックファントムの洗脳を解かれた超能力者はオタクになるお約束らしい。
ちなみにパティのお気に入りは劇中劇の「ゴットロボAA(ダブルエー)」でエースパイロットが2人いるロボットアニメのようで、たぶんその二人を受け攻め組み合わせて良からぬことを妄想して楽しんでいるようだ。ちなみにバベルのオタク男子バレットとティムはゴッドロボについてはファースト至上主義のようである。
ファースト至上主義というのはシリーズ化したアニメなどで、最初のオリジナル以外をかたくなに認めないファンのことを揶揄する呼称で、ガンダムシリーズが典型例である。もちろんゴットロボはガンダムのパロディーであることはマンガアニメに親しんでいる人間には説明するまでもないことである。
ルックスは「クーデレキャラはショートヘア」の定石どおり、金髪ショートに青い眼の美少女で、無口なキャラだが、二人男性が並べば常に頭の中に良からぬ妄想(A×Bのように×印を使って表記されるので「掛け算」というらしい)を抱いているようで、一人で赤くなったり写メ撮ったりしている。その一貫した腐女子っぷりはあっぱれといいたくなる。二次創作の同人マンガを書いていたり、オタクの聖地秋葉原、あまり知られていないかも知れないけれど実は腐女子の聖地でもある池袋の濃いお店のチェックもお気に入りのようだ。ちなみに最初の方で引用した「人はなにに萌える?そう、それはキャラ!」の台詞も文化祭エピソードで演劇をすることになったときのパティのものであり、珍しく饒舌になり葵のメガネを掛けてノリノリの様子で脚本家として熱く燃えている。
使う能力はテレポートベースの能力で、粒子を自在にコントロールでき、自分の体も粒子状にして拡散移動できる。
ブラックファントムの「花粉男」あらため「アレルゲンナー」による首都花粉テロの際にはバベルが防ぎきれなかった花粉飛散を食い止め「ブクロとアキバは私が守る」と妙にクールなかっこよさを発揮する。
さらにかっこいいのが、「あなたは今しあわせ?」と聞かれたときの「私は今が好き。人から見たらくだらないかもしれないけれど、自分の楽しみを見つけて、それを楽しんでいるもの。私は今生きている。そしてそれが当たり前だと思ってる。これ以上何があるの?」という答。何というか同じオタク系の人間として、自分の楽しみを楽しんで、そして今生きているのが幸せだという「幸福論」に全面的に激しく同意する。少年誌掲載のギャグマンガの脇役に、「人生」の大事なところをおさえられた悔しさのようなものがあるが、どんな作品でもゆめゆめ油断などせず、目一杯、力一杯鑑賞しろということだと思う。
と思っているとすぐ後に夢の中で「今後は好きなカップルのことだけ考えて生きていく!いや、それも正直どうかと思ってはいるけど!私のはファンタジーだからいいの!!」と腐女子丸出しでキッチリ落差で笑わせてくれたりして、やっぱり油断できないのであった。クールだぜ。
(2012.3.18)
次に、謎の組織「ブラックファントム」だが、なかなかにえぐい悪の組織として描かれている。首領はどうも普通人のようで、何らかの方法でレベル7以上の催眠能力者を洗脳者として確保し、戦乱や育児放棄で身よりを失ったような高レベル超能力者の子供を買い集め、洗脳者により絶対服従の傭兵、殺し屋として仕立て上げ、テロや暗殺を請け負っているが、最終的な目的がなんなのか、最終戦争にも大きく関わってくるようだが謎が多い。洗脳後の超能力者は基本使い捨て扱いで、任務に失敗した場合や、洗脳が解けた場合などには、情報が漏れないように、記憶を失ったり、自殺するようなプログラムを含んだ洗脳をかけている。
洗脳者の確保の方法について途中で明らかになるのだが、強力な催眠能力者を生み出す家系の女性を、妻としたのか拉致ってきたのか不明だが、協力を拒む本人の意志に反して意志を奪って、カプセルのような医療機器に接続したまま、母体を催眠能力者を生み出す卵子提供機械として利用している。そうやって「お父様」と呼ばれる首領は、生まれてきた子供達を容赦ない選別にかけながら、生き残りの精鋭を洗脳者として育て上げる。
そうやって生き残ったたぶん2人のうちの1人が、ファントムドーターと呼ばれる超能力者なのだが、このキャラクターを説明するのは骨が折れる。多重人格者でさらっと一回読んだだけでは、どの名前の人格がどのキャラなのか全然読み切れず、4コママンガでまとめて解説されているのを読んだ上で、数回読み返して何とか理解できるようになった。わかりやすいように髪の色のトーンを変えていたりするのだがややこしい。ややこしいんだけれど面白い設定であり、ファントムドーターは一旦「ブラックファントム」の刺客としては退場する形になるのだが、そのへんのエピソード等々にややこしい多重人格設定がうまく効いてくる。
ファントムドーターの基本人格はユーリまたはミラージュと呼ばれる人格で、クールな性格で「お父様」の命令には絶対服従するも、自分のやっていることに矛盾や罪悪感を感じてもいる。そういうストレスが生み出したらしい別人格のファントムはややキレた性格で、自身の能力を開放する快感などを純粋に楽しんでおり、簡単には洗脳できず、全力でバトルできるチルドレンとの闘いを楽しんでいる。チルドレンとの「遊び」を邪魔しそうなパンドラ組を学校から排除しようとしたりもする。ユーリとファントムはお互いを認識でき脳内会話のようなこともできる。基本人格のユーリは自分のかけた洗脳を解いてしまうチルドレンのブースト能力の解析の指令を受け、超能力を記録する性質を持つレアメタル製のイヤリングを薫につけさせる目的で、別人格の雲井悠理をたぶん自分に催眠をかけてつくり、チルドレンの同級生として学校に潜入させ、その機会をうかがう。さらにややこしいのはそういう多重人格者の体に、もう一つ別人格であるフェザーが外から潜り込んでおり、っていうのを読めばどんだけややこしいかご理解いただけるだろうか。
学校に潜入させた人格悠理は、ユーリやファントムのことを全く認識していない普通のちょっとドジッ娘属性有りの薫好みのお嬢さんなのだが、他の人格が出ているときの記憶がないので、弁当を食べた記憶が抜けたりしているのを認知症と疑ったりと、ボケも担当する。そうやって完璧な別人格を使い慎重に姿を隠し薫のまわりで事を進めようとするのだが、本体のユーリの葛藤、居候人格のフェザーのもくろみ等がありなかなか当初の目的であるブースト機能のスパイが実行できないままに、薫の誕生日やら、プール回やらを経て、悠理は学園生活にすっかり馴染み幸せを感じるようになり。ユーリが悠理の感情に引っ張られるというかある種融合するような感じにもなっていく。分離していったフェザーにも、悠理こそがファントムドーターのつらい記憶や父の呪縛から逃れた「本当の自分」だと指摘され本体的人格のはずのユーリは動揺する。
そんな中で、ファントムドーターについて全く痕跡をみいだせずに煙に巻かれていた兵部少佐が、フェザーの謎を探るため監視している過程でフェザーと接触した悠理がブラックファントムの洗脳者ファントムドーターであることに気付く。
超能力者の敵ともいえるブラックファントムに怒り心頭の少佐は、文化祭中の学園で、薫や澪達にはそれと知られないように父兄の顔を見せながらも、幹部、中堅どころを使って、悠理を狩るための罠を仕掛けていく。
文化祭エピソードは、表面ではパティを中心にチルドレン、パンドラの子供達、悠理、クラスメイトが出し物の演劇で友情を深めていく楽しいエピソードが進んでいくのだが、その裏で、同時進行で悠理を含むファントムドーターと超シリアスモードの少佐達パンドラアダルトチームとのバトルが繰り広げられていくスリリングな展開で、数あるエピソードの中でも特に当方はお気に入りのエピソードである。ヒロイン役の悠理がいなくなったら、文化祭はぶちこわしになってしまう。というか、たとえファントムドーターのやったことが許しがたくても、大事な友人である悠理を失えば薫は少佐を許さないはずで、どうなることかとやきもきさせられる。
バトルは、少佐の貫禄勝ちで、ユーリ自身が自分で自分を許せないであろうことをしてきたことを認めさせ、精神的にも追い詰めたうえで、完全に罠にはめたうえで、「苦しみのない世界に送ってやるよ」と、とどめを刺す。
そのときユーリによぎる思いは完全に走馬燈で、薫との楽しい学園生活を思い出し、死ぬことで手を汚さなくてよくなることに救済を感じ、「うそついててごめんね薫ちゃん。私はただ愛されたかっただけなの。普通の女の子みたいに。」とつぶやいて校舎の屋上から腹部を貫かれた状態で落下しデッドエンドという悲しい結末に見えるのだが、次のページで少佐が「よくわかるよユーリ。ゆっくりお休み」とつぶやきながら手を一振りすると、場面転換、場所は屋上ではなく最初にユーリを連れ込んだ地下貯水施設であることが分かり、理解にしばし時間がかかるのだが、少佐がユーリに自分が死んだと認識させるために罠の外にもう一枚幻覚を仕組んだ二重の幻覚を仕掛けていたという事が分かる。
舞台では、それまでパンドラの人形使いの能力者の操るニセの悠理がヒロインとして主役の薫とつつがなく劇を進めているのだが、ユーリが少佐の二重の幻想の中で死んだ時、薫はそれを感じ取り、舞台を抜け出し悠理を探しに行く。ユーリが仮死状態で封印され、ファントムもガス欠(ユーリの葛藤から生まれた人格なのでユーリが死という救済を得て存在理由を失ったという事か?)で、悠理だけの人格になったファントムドーターは、「頭の中が真っ白」状態でロッカーで発見され、舞台のラストシーンに間に合い無事終幕をむかえる。
ユーリの葛藤という伏線を回収しながらのすごく綺麗な落ちのつけ方で少佐も格好いいしスカッとするのだが、ユーリをある種封印しただけで殺してしまわないことが、当然、また後の伏線になっていくようで、非常にドラマチックというか、そのへんどう展開していくのか楽しみになるというものである。
でユーリが退場して、ブラックファントムの刺客としては、ユーリの兄らしいギリアムというのが出てきたところで、こいつは性格悪い描かれ方をしており、ラスボス的なキャラになるのかも知れない。
これで、出てくる組織間の関係性を説明しつつキャラクターの類型化やらその魅力の要素、物語の展開との関係なんかも説明してきたつもりだが、組織に属していないキャラにも魅力的なキャラが何人か出てくる。クラスメイトの一般人幼なじみカップルの東野くん・ちさとちゃんも重要だが、まあ後でまた出てくるはずなのでおいておく。さっきのファントムドーターのところで、一時その体に宿っていた人格としてもでてきた「フェザー」について、物語に極めて重要な影響を及ぼす「時間能力」についてのいくつかの考察とともに説明したい。
「フェザー」については、最初、敵とも味方とも不明な謎の超高レベル能力者として登場するのだが、29巻で本人の口からその正体の種明かしがされる前に、わりと早い段階である程度マンガを読み慣れている読者なら、その正体のおおよその見当がつくように描かれている、たぶんこれはミステリーとかでも使われる手法だと思うけど、ある程度わざと分かるようなヒントを与えつつ、読者は分かっているけれど作中登場人物は分かっていない状態を造り出すとことで、読者が優越感に浸りながらハラハラできるのと、種明かしがされたときに「やっぱり思った通りだった」と得意になれるように仕組まれていて、得意になって読んだ当方などは、まんまと作者の手の内で転がされているのだと思う。フェザーの場合、作者も「ヒント出し過ぎたかな?これで登場人物誰も気がついてないとか不自然かな?」と感じたのか、種明かし時には蕾管理官が読者と同じような解答にたどり着いている。
フェザーは、最悪に近い形の最終戦争が勃発し、被害がでて少なくとも蕾管理官やバレットが戦死した未来で、大人になったチルドレンと他にも複数の超能力者のエネルギーをブースト機能でかき集め、過去(物語上では現在)に体を持たない「思念」の形で送り込まれた存在として描かれている。最初、記憶を失っているが、徐々に記憶を取り戻すと共に、作中の時代の世界に干渉し最悪の最終戦争を回避する目的を持って行動する。薫を中心とした皆本大好きチルドレン3人を中心とした能力で作られた存在なので、最初から「皆本が好き」という感情だけは持っていて、皆本に好意を隠さず迫って薫にヤキモチを焼かせたりしている。
「時間能力者」あるいはタイムマシンのような時間を操る機械でも同じだが、もしそれが、時間を自由自在に止めたりさかのぼったり、未来に飛んだりできるとなると、物語は完全に崩壊しかねない。考えてみて欲しい、バトルの最中敵に時間を止められたら、攻撃を避けることはできない。もし時間を自由に巻き戻せれば、負けそうになったらちょっと時間を巻き戻して何度でもやり直せばいいのである。
「時間能力」はそれだけの特出した能力なので、作中で登場させるときには作者の腕の見せ所でもあり、様々な設定やお約束などをつけて、制限的な能力として描かれる場合が多い。
「サイボーグ009」では時を自在に止めるところまでの能力は主人公である009にもあたえていない。彼は自分だけが加速した時間の中で動ける、逆に言うと相手がごくゆっくりほとんど止まっているような時間の流れにいる中で攻撃できる能力を発揮する。009はそういう能力を発生させる「加速装置」を組み込まれているサイボーグで、「加速そーち!」という技名発声と共に加速装置を組み込まれた下顎あたりがキュィーンというような効果音と共に光って、瞬間移動のような挙動で攻撃が可能というふうに描かれている。子供の頃は主人公のくせにたいした能力ではないように感じていて、全身武器庫のキャラ(00何番だか忘れた)のほうが強そうに思っていたが、今思うとそうではなく圧倒的に009が高性能である。撃たれる前に避けることも撃つことも可能なかなり優位性のあるキャラだ。さすが石ノ森先生。
ジョジョにおいてはDIOの能力「ザ・ワールド」がまさに時間を止めて攻撃ができるという超チートキャラで、登場時は作中どうやっても他のキャラでは勝てそうと思えなかったのだが、ザ・ワールドが止めた時間の中で動けるのは、止まった時間の中での体感で数秒だけという制限をつけることと、条太郎の「スター・プラチナ」の能力、「正確に早く動ける」の早く動けるが極限まで深化した結果、時がまったく動いていない間に動くことが可能になり、ザ・ワールドの時を止める能力を結果的に得て、DIOが自分以外の時を止めた後、時が動き始めたタイミングで、カウンターで条太郎が時を止め返して勝利したんだったような記憶がある。理屈的にあっているのか不明だが、極限まで早く動いていくと相手が止まってしまうというのは、009を知っていれば何となくイメージできる。
009の挙動と同様だが、「魔法少女まどかマギカ」のアケミホムラ(漢字知らん)が、小刻みに時を止めながら、遠ざかっていくトラックを追っかけるシーンでは、ホムラちゃんの挙動は時間能力者というより瞬間移動能力者のように見える。たぶんその時点ではまだホムラちゃんの能力は明らかになっておらず、瞬間移動能力者と理解した人もいたかも知れない。ホムラちゃんの能力は、魔法の盾で、ある程度時を止めることができるのと、1カ月ぐらいの間に起こる出来事が終了して、それがバットエンドだと巻き戻して、入院していた病院のベットで目覚めるところからやり直せるという能力。時間能力設定に上手く制限がかけられた好例で「魔法少女まどかマギカ」はそのへんのSF的展開も含めめちゃくちゃ良くできたアニメになっていて、2011に放送されたアニメで、個人的な好みを言えば十人十色だろうけど(好みで言うなら「ウサギドロップ」「シュタインズゲート」「タイガー&バニー」が当方的には上)、いちばん良くできたアニメはどれかと問えば、答えは「魔法少女まどかマギカ」で異論は少ないと思う。最初「魔法少女〜」ということで、「大きなお友達」向けアニメと思って視聴していなかったのだが、あまりに高い評判に試しに見たところ、面白くてビックリした。何しろ主人公(ホムラちゃんではない)はラスト近くまで魔法少女にならないし、他の魔法少女がアンティークな銃やら、サーベルやら、多節棍型槍やらそれらしい武器で魔女と戦うのに、ホムラちゃんは魔法少女のくせに、まあ時を操る盾しか持ってないから仕方ないけど、時を止めてやくざの事務所からパチってきた銃やら、ラスボス的魔女と戦うのには、自衛隊やら米軍基地からこれまたパチってきた大量のバズーカ、車積か艦積のミサイル、壁一面大量の指向性っぽいプラスチック爆弾とかおよそ魔法少女らしからぬぶっ飛んだ武器の使いっぷりだわ、脚本も演出も凝りに凝っていてとにかく「魔法少女」というだけで見逃していたら大損だったと思わせられる良作だった。
これらの例のような人の能力としての「時間能力者」と同様にタイムマシンというものも物語上重要なアイテムになる。もっとも有名なのは「ドラえもん」のタイムマシンだろうか。ドラえもんのタイムマシンは少々高性能すぎるような気もする。何というかのび太がなにか失敗したなら、すぐにタイムマシンで時間をさかのぼってまだ失敗していないのび太に適切なアドバイスをしてやればいいような気がする。実際にそれをやり始めると毎日のようにのび太はちょっと先ののび太から説教をくらいながら生きていかなければならないわけで、全く物語としても、のび太としてもつまらなくなってしまうので、そこは突っ込まないのがお約束というところか。また、後ほど説明するタイムパラドックスが生じる可能性が高く「できない」ということなのかも知れない。案外公式ガイドブックとか読むとそのへん上手に説明・整理した設定があるのかな?
まあ、あんまり高性能なタイムマシンは物語をぶちこわしかねないので、不安定だったり、燃料などの制限で無制限には使えなかったり、というのが多いように思う。タイムマシン物では名作だと思う「シュタインズゲート」でもタイムマシンは、現代製のは容量の限られた情報しか送れなかったり、未来から来たのは壊れたり、燃料がギリギリだったりと上手く制限条件を設定していたと思う。
「時間能力」を物語で使用するにあたっては、そもそもその物語世界で「時間」というものがどういうものか、というのが非常に重要な背景設定になってくる。
要素として大きいのは、一つの時間世界しかないのか、並行的な複数の時間世界を認めるのか。と、未来が確定的なのか不確定要素を孕むのかという所だろうか。
この辺の説明は、実は当方もよく分かっていないので説明しきれるか不安もあるのだが、力一杯書いてみよう。
一つの時間世界しかない。時間は過去から未来への1本道で、過去に戻って影響を与えると、未来も変化して、過去から戻るとその未来では自分たちの過去での作業の影響を結果として見ることができる。割と素直な時間概念だと思う。ドラえもんはこの時間概念のうえにいると当方は思う。未来からのび太の様子を観察していて、このままではのび太と静香ちゃんが結婚できず、自分が生まれてこなくなると思ったセワシ君が過去にドラえもんを派遣して自分の居る未来を確保しようと考える。
一見すると、これは未来が不確定要素を孕んでいる世界のようにも見えるが、つらつら考えていると、ドラえもん的に一つの時間世界しかないとする設定では、未来は確定的で、実はドラえもんが過去ののび太君に干渉するのも含め予定調和で定められた固定的な運命なのではないかと思える。
なぜかというと、予定調和の運命をずらそうとすると、一つの時間世界しかないとするとすぐにタイムパラドックスが生じてしまい、予定調和の運命以外の行為が矛盾した行為となってしまうからである。タイムパラドックスの例は先ほど書いた、のび太が失敗したのでその失敗をしないように時をさかのぼってアドバイスするという行為がわかりやすいと思う。
のび太が過去に戻って、過去ののび太に失敗しないようにアドバイスをする。その結果失敗が回避されると、未来が変更されのび太は失敗を犯さない。そうすると、失敗しなかったのだからのび太が過去にアドバイスをしにいく必要は生じない。生じないのならアドバイスしに行かないのだが、アドバイス無しなら失敗してしまう。と言うようにつじつまが合わなくなってしまうのだ。
そういうパラドックスが生じるような過去改変は、一つの時間世界しかないとする設定では出来ないとするのが、設定としてはスッキリするのかもしれない。のび太がショボイ失敗をいちいちタイムマシン使って回避しに行かないのは、ドラえもん世界の設定では、それはやればパラドックスが発生するので出来ないからなのかも知れない。
ただ、そうやって固定的な未来しかないという時間の設定だと、時間能力者、とくに過去への遡行能力者を登場させても未来を大きくは変更できないことになり、ドラえもんのように「正しい未来を守る」事はできても、実際に起きた悲劇を過去にさかのぼって影響を与えることで回避するということが不可能となり、非常に物語としては自由度が少なくなり「未来をこの手で」的な展開が出来ないので、最近のマンガはじめSFでは、時間は一本道の確定されたものではなく、不確定で途中で分岐して複数の時間世界が存在し得るという設定が普通になりつつある。この設定だと、過去に干渉して未来を大きく変えてしまってもパラドックスは生じない。もといた未来のあった世界と分岐した新しい未来が枝分かれして生じるけれど、もといた未来の時間世界も残るからだ。
逆に言うと、自分のもといた未来のある時間世界で起こった悲劇はそのまま起こったこととして確定してしまって残っているので、もといた未来に戻ることを前提にすると「意味ネーじゃん」ということになってしまいかねない。
「ドラゴンボール」で、もう、うろ覚えだが、人造人間に破滅させられた未来からやってきたトランクスだったかが、自分のいた未来は変えることはできないけれど、せめてこの時間世界の未来は守りたいというようなことをいっていたような気がする。
その辺の「時間遡行者」のモチベーション的な部分をうまく描くのが、作者の腕の見せ所という気がする。
「涼宮ハルヒ」では、とある時間世界では姉と弟だった時間遡行者2人の間で、姉を失いたくない「姉を失わなかった時間世界も存在して欲しい」と願う弟と、その弟のいた時間世界で既に姉が失われているのなら、作中の時間世界で過去を改変し姉である自分が失われなくなるとしても「それは意味のないこと」という姉との2人の間での見解の齟齬が描かれている。弟はいやな敵役のキャラなのだが、このエピソードではちょっとせつなくて同情してしまうところだ。
自分の所属している時間世界での悲劇が避けられないのなら、過去改変までして別の未来を別の時間世界にもたらしても無意味と取るか、それでもどうしても救いたいという想いがあるのか、なかなかに面白い素材となり得ると思う。
時間設定自体も、「一本道ガチガチの予定調和」から「分岐可いくらでも過去未来改変可」の間に無数の段階とバリエーションがあり得るので、その辺の設定の仕方自体にも腕のふるいようがあるだろう。
さて、「絶チル」での時間遡行者フェザーは、物理法則を越える力である超能力をブースト機能でかき集めて時空をねじ曲げ、実体を伴わない「思念」として過去にやってきた存在である。未来に帰る能力も必要もない。「この世界の人間では未来を変えられない でも外から来た私たち異分子にはできるかも知れない」と皆本に話し、自分がこの時間世界の未来を改変して皆本達を守るという強い意志を持っている。現時点ではこの作品の中での時間設定が一本道なのか複数分岐なのか、まだ当方には読み切れない。「フェザー」はある程度の正解の未来を知っていてその予定調和の範囲の中での役割を果たすためにやってきていて、一本道という整理もまだあり得る。もちろん、悲劇の起こった未来から、別のハッピーエンドの分岐世界を作るためにやってきているというパターンもありだろう。フェザーの中に含まれる薫たちチルドレンの皆本や仲間への強い想いが「思念」としての存在の重要な要素だろうから別の時間世界で未来を守り、役目を終えて消えていっても、それはそれで綺麗に落ちる。
どちらにしても、予知の内容が微妙に変化していくことから考えて、未来はガチガチに確定的ではなく、フェザーによってある程度は変化していくことが示されている。
そのあたり、どうこの「時間遡行者」という大仕掛けをつかって物語を終盤に向けて組み立てて、たぶん間違いなく訪れるであろうハッピーエンドをどう描くのか。椎名先生のお手並み拝見というか、「どうなるんだろう?」的ワクワク感がすごくするのである。
(オマージュ、パロディー)
自分の作品の中に、他者の作品の一部を取り込む場合、そこに尊敬があれば「オマージュ」で単なる利用なら「パクリ」だという説を目にしたことがある。うーん・・・そうなの?
まあ、すべての作品は過去の作品の何らかの影響を受けているわけで、例えば今時のストーリーマンガはすべて手塚治虫のストーリーマンガの手法の影響下にあるといわれていたりする。どんな作品でも、いろんな作品の影響が、多層に積み重なり、モザイク状に混じり合いつくり出されているはずで、オリジナリティーの強い作品はあるとしても、全くのオリジナルの作品など、今後、全く異なる文化を有する地球外の知的生命体との接触でもない限りお目にかかれるとは思えない。
オリジナリティーは大事な要素だと思うが、過去の作品からの影響やらは、言ってみれば受け継いだ財産のようなものでもあり、それらを基盤にして土台を固めた上にこそオリジナリティーというのはしっかりと成立するのではないかと思う。
そういう意味で、過去の作品からの影響や、借りてきた設定やら真似てきた手法は、必ずしも「パクリ」的なマイナス評価を与えるべきものではないと思う。むしろそういう過去の作品の「残り香」を自分が感じ取れるとき、今まで人が重ねてきた文化の厚みを感じるようないい印象を受けることが多い。
そういう作者が無意識下で影響を受けている表現の他に、意図して作品内に、他の作品の一部を取り込むことがある。オマージュとかパロディーとか呼ばれる手法で、特にコミカルなモノをパロディーと呼んでいるような気もするが、たぶん同じような概念だと思う。
マンガに限らず、小説でもよく使われる手法で、芥川龍之介の古典文学から題材を引っ張ってくる手法やらが思い出されるし、先日読んだ桐野夏生「女神記」なんかも古事記・日本書紀の世界からキャラクターを引っ張ってきている。
「絶チル」では薫を皆本が育てるという、そもそもの大きな枠組みが「源氏物語」のパロディーになっているところから始まって、超能力マンガの名作「バビル二世」や「サイボーグ009」関連のネタ、もはやマンガ読みの一般教養的な作品「宮崎駿作品」「ガンダム」「ドラえもん」「ドラゴンボール」「北斗の拳」「スラムダンク」「ジョジョ」あたりからの名台詞引用やらのパロディーやら、読者への謎かけあるいは知識共有を楽しんでいるかのような、新旧、多数の作品の細かいパロディーネタをふんだんにちりばめた作品であることも楽しめる特徴となっている。
残念ながら、当方もいい加減オッサンなので、最新の少年サンデー掲載マンガとかは馴染みが無く、そういう新しめの作品のパロディーやらコラボレーション企画であるらしいことまでは分かるのだけれど、それがどういう作品か知らないネタも結構あった。
でも逆に、オッサンだからこそ分かるような非常に細かいネタもベテラン漫画家である椎名先生は用意していてくれて、そういうネタがきちんと拾えると先生とオタクな魂の部分で交流できたような気がして非常に嬉しかった。
そういう部分に絞って、以下、拾ったパロディーネタを解説していきたい。
まず、「源氏物語」ネタだが、本家には「光源氏」が幼い「紫の上」をみいだし、育て上げるエピソートがあるが、「絶チル」では「皆本光一」が「明石薫」「野上葵」「三宮紫穂」を育てるというストーリーであり、明石も薫も葵も三宮も紫も源氏物語の人物由来。その他にもバベルのメンバーには桐壷、柏木、末摘という源氏物語由来のネーミングのキャラがいる。末摘花は源氏物語では珍しい不美人キャラだが、それに由来したエピソートが「絶チル」でも用意されている。
ちなみに当方の源氏物語の知識は、「絶チル」を読みはじめる前に偶然にも読んでいた、マンガ版源氏物語の「あさきゆめみし」に基づくものである。
同じような幼い女性を育て上げるという題材を扱った作品として谷崎潤一郎「痴人の愛」があるが、これもしばらく前に偶然(当方の読書傾向を知っている方なら、なぜいきなり谷崎なのか不思議に思うかも知れない。自分でもなぜいきなり読んだのか覚えていない、意味のある偶然なのか?)読んでいるのだが、「絶チル」にも痴人の愛ネタは出てくる。バベルの優等生キャラ「ナオミ」ちゃんは痴人の愛のヒロインから、その上官、谷崎一郎は作者名由来のネーミング。
次に「バビル二世」ネタだが、組織名「バベル」はもろにここから来ているのだろう。ちなみにバビル二世の名前のネタのバベルの塔は聖書からの引用であり、「絶チル」では孫引きになるのだと思う。
酔っぱらったエスパー同士のケンカのシーンで、「バビル二世」と敵キャラの「ヨミ」っぽいキャラが描かれていたり、なにげに監視衛星の名前にバビル二世の3つのしもべ「ロプロス」「ポセイドン」「ロデム」のうちの怪鳥「ロプロス」の名前が使われていたりという小ネタもあるが、なんと言っても最大のパロディーネタは、兵部少佐がバビル二世のように学生服を着ているというところだろう。これってオッサンなら当たり前にエスパーで学生服なら「バビル二世」にたどり着くと思うけど、今時の子供は「何で兵部少佐は、作中ちょくちょくあきれられて、部下に今時の服装を用意されることがあったりしても、基本は詰め襟の学生服なんだろう?」と不思議に思っているかも知れない。まあ最近の少年は疑問に思えばググるかネットで聞いてすぐ解決して、興味持ってバビル二世読んで横山大先生にもハマって三国志読んじゃって、深い病に冒されていったりするのかも知れない。ちなみに「三国志」全巻ケン一の本棚にあったのだが、読み切る自信がなかったので手を出していない。「三国志」は症状が深刻化しがちな領域なので助かったと見るべきか、もったいなかったのか今となっては知るよしもない。
次にこちらも超能力モノの名作「サイボーグ009」ネタ。中学生編に入るときに4こまマンガで少佐が、009のコスプレで登場して「君たちも新しいイメージを作るため、何かくふうをしたまえ」の台詞。きょとんとする部下達。「ツッコミはどうしたアッ!今時こんな服ありえんだろ!」とキレる少佐。学生服着てる人がそのボケとキレ方かよ。
他には無いような気がしていて意外にないもんだなと思っていたら、ここ数日、敵組織の「ブラックファントム」を解説書く都合上、何回も打ち込んでいたときに、ふとセレンディピティが降臨した。「ブラックゴースト」という言葉がいきなり頭に浮かんだ。009の敵組織の名前だ。「ブラックファントム」は「黒い幽霊」だから「ブラックゴースト」から引っ張ってきているんだと判明。このぶんだと、「パンドラ」もひょっとしたら過去の超能力マンガの敵組織名にあったのかも知れない。もちろん「パンドラ」の元ネタは「箱の底には希望だけが残っていました。」のパンドラの箱で正解だが、間をつなぐ当方の知識にミッシングリンクが生じているのかも知れない。
ここからは、細かいネタを1巻から順に拾っていきます。「宮崎作品」はじめ列挙した一般教養作品からの引用は解説する必要もないということで一部例外のぞいて置き去りにしていくゼ。
まず1巻、基本的に各エピソードの題名が映画や小説、マンガの題名のパロディーになっていて、これは29巻までずっと続きます。
1巻では「あたし達は天使じゃない」→ドラマ「俺達は天使じゃない」、「明日のチルドレン」→「あしたのジョー」、「未来は踊る」→映画「会議は踊る」か?
2巻、「触る大捜査線」→ドラマ「踊る大捜査線」、「長距離瞬間移動能力者の孤独」→映画「数学者の孤独」だったけか?、「あたしンち」→マンガ「あたしンち」そのままか?ほか半分ぐらい不明。
巻末のおまけマンガ最後のページの皆本は永井豪の絵柄を使っている。
3巻、「美しき獲物たち」→「007」シリーズの題名由来か?他分からず。
「美しき獲物たち(1)」の扉絵でチルドレンがコスプレしているのはシートン動物記の「狼王ロボ」。紫穂が銃を持ったハンター役で薫と葵が狼のかぶり物をしているのだが、首輪にそれそれ「LOBO」「BLANCA」のタグがある。ロボと書いてあるので「狼王ロボ」はすぐ思い出せて当然かも知れないが、ブランカの名前を読んだ瞬間に、頭の中に狼王ロボの、どんな罠にもかからなかったが、最愛の妻ブランカを捕らえられ、ブランカをおとりにした罠で仕留められてしまうというエピソードがよみがえった。ちなみにヨーズリのジグ「ブランカ」では思い出せなかった。しかし、このエピソードを思い出すと、ロボでもハメられる最強の罠(の餌)という意味から、名作ジグ「ブランカ」の名前は来ているのかも知れないと思った。白くもないのに何でブランカなんだろうとは同居人と話題にもしたし、思ってはいたのだが。
狼王ロボ仕留められたのは「ブランカおとりの罠」じゃなかった。ブランカ殺されたと知って冷静さを失って罠にかかったが正解臭い。(2015.05.15)
ここで「ザ・ハウンド」チーム、宿木明と犬神初音登場。2人の名前はおそらく平井和正「ウルフガイ」シリーズ主人公、犬神明の名前からもらっているはず。
4巻、「ナショナル・チルドレン」→ふっるーい特撮「ナショナルキッド」か?他不明。
受付エスパーチーム「ザ・ダブルフェイス」の常盤奈津子、野分ほたる登場。受付嬢が透視能力者と読心術者というのはいかにもの配役で面白いが、それ以上に面白いのが、この二人のキャラの絵柄である。たぶん、この二人の絵柄は意識してちょっと細野不二彦っぽいキャラに書いていると思うのだがどうだろうか?チーム名の「ザ・ダブルフェイス」が細野先生の作品名だと知っている人間なら、どうにも椎名絵なのに不思議に細野絵にも見えてしまうはずだ。
漫画家のそれぞれの個性が絵柄には表れるモノで、漫画家生活何十周年だかの記念で、高橋留美子先生の出世作「うる星やつら」のヒロイン「ラムちゃん」をいろんな漫画家が描くという企画があって、そのときの30人くらいの絵が、それぞれの漫画家ならではといういずれも個性あふれる絵で感動したのを覚えている。ネットで検索したら出てくると思うので興味があれば是非見てもらいたい。
絵心のない当方のような人間からすると、すごいことだと思うのだけど、マンガ書くのが上手い人は、平気で有名漫画家の画風を真似る事ができたりする。結果、世の中に「薄い本」と呼ばれるエロパロ同人誌がわんさと誕生したりするのだが、今回の、椎名絵なんだけど、どうしても細野絵に見えちゃうキャラにはさすがプロと唸らされた。
人様の絵柄でマンガを書く漫画家として、書かずにいられないのが田中圭一である。サラリーマンしながら、ポツポツと「お下劣」なギャグマンガを書くマイナー作家であるが、とても好きだ。自分のオリジナルの絵柄もあり、それで「ドクター秩父山」だの、なんとメジャー少年誌サンデーでの連載「昆虫物語−ピースケの冒険−」なんてのもあったが、その田中圭一が得意とするのが神様「手塚治虫」の絵柄で「お下劣」なギャグを描きまくるというもので、どのくらいお下劣かというと、単行本の帯の推薦文に手塚治虫の娘さんだか孫だかから「ディズニー(ライオンキング)は許せても、田中圭一は許せません!」という怒りのコメントがいただけるほどである。
当方は、エロいとか下品とかナンセンスとかに当てはまるマンガは数有れど、真に人をして「お下劣(オゲレツ)」と言わしめるにふさわしいマンガを書いたのは、永井豪先生と田中圭一(敬称無し)の2人だけだと思う。
豪先生は、そっち方面では代表作は「ハレンチ学園」なのかも知れないが、当方としては「けっこう仮面」と「まぼろしパンティ」を推しておきたい。仮面or穴開けたパンティーだけを被った(パンツは履いてたっけ?)ヒロインという絵ヅラも強烈だが、「月光仮面」と「まぼろし探偵」を「けっこう仮面」と「まぼろしパンティ」に変換できるって、その「お下劣」パワーたるや。特に「たんてい」と「ぱんてぃ」と口にしたときの驚くほどの類似性・親和性たるや、もうね。
実は両作品とも通して読んだことはないのだが、就学前の幼少時に、友達の家にあった少年ジャンプかなんかを手にしたときに、「けっこう仮面」を見つけてしまい。「こんなとんでもないマンガを読んでいるのを見つかったら、想像できないようなえらいことになる。」とビビりつつも、それまで感じたことのない興奮状態で、必死で階段の上の隅に隠れてむさぼり読んだ記憶がある。たぶん記憶に残っている範囲で初めて性的な興奮を覚えた場面だと思う。当方のヰタセクスアリスはどうも豪先生の「けっこう仮面」がスタートのようなのである。こんなこと書いちゃっていいのか?まあここまでつきあって読んでくれた奇特な人には出血大サービス!はらわたまで見てって下さいな。
豪先生はそれこそ、漫画界のジョーカー的な存在で、お下劣な作品も書けば、キッチリエンタメも書けるし、暴力と血の地獄から人間の本質をあぶり出すような作品まで、幅広く書いている。たまに訳のわかんない方向にいっちゃている時もあるけど、まあすごい先生だ。高校生の時に、たまたま再販になったマンガ版「デビルマン」を読んで、どたま横からでっかいハンマーでしばいて持ってかれたくらいの衝撃を受けた。テレビアニメの「デビルマン」も裏切り者のデーモン族の戦士の悲哀が良い味染みてた良作だったけど、マンガの方は全く筋も結末も書いてる内容も全然違って、キャラクターの名前が一部被っているだけの別作品だった。「マンガでこんなことまで描いちゃっていいんだ!」とカルチャーショックを受けた。小学生ぐらいに読んでいたらトラウマもんだろう。ある程度いろんなモノが読めるようになっている高校生の時に読めて、実に良いタイミングで出会えたと思う。是非、皆さんにも読んでいただきたいぐらいだ。ただしかなりハードな内容なのでグロいの苦手な人は読まない方が良いとは思う。
脱線したが、今回は脱線が本筋的な部分もある。気にせず次いくゼ。
5巻、題名はわからんのばっかり。
と思ったら、小ネタが豪先生つながり、「ガール・フレンズ(1)」のカラオケシーンでチルドレン達が歌っているのは「キューティーハニー」の主題歌にしか思えないのだが、微妙に歌詞が変えてあって、JASRACの文字が欄外に無い。ちなみに歌詞は「メチャクチャ流行のっ!オ・ン・ナの子ーン」「見つめちゃいヤーン!チュルチュルしちゃーう」である。椎名先生JASRAC嫌いなのかも知れない。JASRACパロディーネタも確かそのうち出てくるが、JASRAC許諾の文字は29巻通じて見た記憶がない。
キューティーハニーもアニメはリメイク版あり、実写作品も知ってる限りで2つ有りとなかなかに終わらないコンテンツだ。今時の子供達は主題歌は倖田來未版で聴いているのだろうが、当方世代ならば圧倒的に昔のバージョンで脳内再生されるだろう。魔女っこメグ、ひょこっりひょうたん島の主題歌もたしか同じ人が歌ってた。
6巻は「荒野のエスパー」→西部劇「荒野の7人」、「浅き夢見し」→マンガ版源氏物語「あさきゆめみし」→「いろは歌」。
「パンドラの使者(4)」紫穂vs1/3澪バトルで、紫穂がユンボを使って反撃するシーンの「あなたの動かし方を教えて!「コマツPC120」・・・!あなたに」「命を吹き込んであげる」は、紫穂の決め台詞と勘違いしている読者もいるかも知れないが、作者名忘れたマンガ「DRIVE」が元ネタのはず。
7巻「葵まつり・京都ぶらりテレポート」→旅番組「○○ぶらり旅」
巻末おまけマンガ、ブラックジャックコント。賢木先生がブラックジャックで、「一千万円− あんたに払えるかい?」薫が息子役で「払います!!一生かかってでも!!」ブラックジャック「そいつが聞きたかったのさ。」で釣ってきた(この巻釣り回があった)マダイの料理をはじめる。元ネタを読んだことない人は是非ブラックジャック買って読んで下さい。たしか元ネタでは2千万円だった気がする。
8巻「逃亡者」→映画「逃亡者」そのままやん、ひねりなさいっ!
「パンドラからの挑戦状(3)」磁力を扱う能力者の攻撃で磁性を帯びてしまった葵に空き缶が飛んでくるシーンの空き缶の「夜の紅茶」は「夜のお菓子 うなぎパイ」と「午後の紅茶」が多分もとネタ。背景の看板とか小物とかにも面白いこと描いてあったりするので油断してはいけない。
9巻「国王陛下のチルドレン」→007シリーズ「女王陛下の007」。
「ギフト・オブ・チルドレン(5)」第18面談室(保護者が超能力に反感がある場合専用)に備品として配備されているひっくり返しても安全な素材で出来た「ちゃぶ台」の元ネタは「巨人の星」の父ちゃんのちゃぶ台ひっくり返すシーンから。ちなみに昔読んだマンガ雑学本で父ちゃんしょっちゅうちゃぶ台ひっくり返しているイメージがあるけど、実施にはそういう描写は1回だけとかいう豆知識を仕入れた。
10巻、やっと二桁まで来た。「絶対可憐ワイルド・キャット」はセルフパロ。
「国王陛下のチルドレン(6)」で薫がインパラヘン王国国王陛下の招きをうけて、ウィッグつけておしゃれして乗り込んで、まあ、暴れるわけなんだけど、最後の一コマ、葵と薫のケンカで薫がウィッグの毛を使って攻撃するのは、たぶん鬼太郎の毛針攻撃が元ネタ。まあ「サイキック毛バリ攻撃!!」とか叫んでるのでそのまんまなんだけど。
(2012.3.20)
11巻「面影」→映画「面影」ってなかったっけ?地元のお好み焼き屋の名前でもある。とケン一にしかわからんようなことを書いてみたりして。「黒い幽霊」は009ネタで書いたとおり。
「面影(2)」皆本の留学時代の恋人が登場、実体を持たず普段は留学先の同級生の脳に潜んでいて、超能力で幻覚として現れるのだが、それを見たチルドレン達は幽霊と勘違いし、紫穂は失神、薫の念動力攻撃が効かないので、皆本の体に葵と薫でお経を書き始める。もちろん元ネタは「耳なし芳一」。小泉八雲版が有名だが、ラフカディオはんもどっかで聞いてきたはずで元ネタは地方に伝わる怪談の類なんだろう。
12巻「ランチをめぐる冒険」→村上春樹「羊をめぐる冒険」か、読んでないけど題名ぐらいは知ってる。
「ビー・マイ・フレンド(6)」おもちゃ使いのティムが操っている巨大ソフビ怪獣の足の裏に「C円合プロ」、「C西宝」の文字、Cはコピーライト(著作権)の略称、特撮の円谷プロと東宝のパロディーネタ。
「ランチをめぐる冒険(1)」遠足のお弁当のリクエストを聞く皆本に、薫が「ひと口食ったら口からビームとか出てさっ!で背景が宇宙空間とかになっちゃうの!」と言いつつ「Ms.味っ娘」と入ったエプロン着ているのは、「Mr.味っこ」のパロディー。グルメマンガは好きじゃないが、少年誌の料理マンガはカテゴリーとしてはグルメマンガではなくバトルマンガだと当方は思っている。「味平」とか「ジャン」とか、もうね。今だとその系譜にあるのは「トリコ」なのかな?
13巻「もののけ姫によろしく」→アニメ「もののけ姫」+マンガ「ブラックジャックによろしく」、「そのエスパー凶暴につき」→映画「その男凶暴につき」。
「蠅の王(3)」扉絵の大量の蠅にびびるチルドレン3人が梅図かずお先生の絵柄、「ひいいいいーッ!」と悲鳴入り。恐怖マンガの時の梅図先生の画風ですね。
14巻「その通りになるのです帳」→マンガ「デス・ノート」良い塩梅、好きなセンス、「ファントム・メナス」→スターウォーズシリーズにそんなの無かったっけ?
「そのエスパー凶暴につき(5)」の後の4コママンガで、「黄色い悪魔」ことカレーうどんとのバトルにエプロン装着、腕まくりで挑むのだが、結局汁が跳ねて、まくったシャツに「ピッ」と飛んでしまい敗北するナオミちゃんの、そのエプロンに「PIYO(ひよこマーク)PIYO」とあるのは、高橋留美子先生「めぞん一刻」の管理人さんがいつも使っていたエプロンが元ネタ。同じサンデーを主戦場とする高橋先生へのリスペクトを込めてのエール的パロディーだろう。たぶん29巻までで拾えた中では一番難易度高かったと思う。極めて満足だ。エプロンの「PIYOPIYO」を見て、どこかで見た記憶が!と思い脳内検索かけた次の瞬間、大学時代に全巻何回も読んだ「めぞん一刻」のシーンが20年ぶりぐらいでよみがえった。
ついでに隣の4コマでは少佐がハルヒネタをやっているが、こっちは若い世代のオタクなら誰でも分かるだろう。
15巻、題名分からず。
巻頭の4コママンガ2発目、念動力で葵と紫と自分を浮かせて飛行中、以前より疲れることに気付いたナオミちゃん。2人の成長に伴う体重増加のせいと思いきや自分の体重増だったことが判明し、4コマ目で水道のひねるところを針金でグルグル巻きにして過酷な減量に挑む。
最後のジョーとの闘いを控えた力石が、成長期でもう階級を上げるべきにもかかわらずジョーとの決戦の場バンタム級にとどまるための減量中、この無理な減量が不可能であり必ず失敗すると見越した葉子が、いきなり冷たい水を大量に飲んでしまわないようにと白木ジムの水道のすべてのひねるところ(なんて言うんだっけググらないルールなのでこういう時困る)を針金でグルグル巻きにさせたシーンが元ネタ。案の定、耐えられなくなり水を飲ませろと半狂乱になる力石に、葉子は事情を説明し、さあ飲んでとコップに入った白湯をわたすのだが、力石はそれを床にこぼして腹を決める。「お気持ちだけいただいておきます。でも、このやせさらばえた体で、見事ジョーと渡り合ってみせますゼ」的な台詞を残し減量を成功させてしまう。その後の展開は皆様ご存じのとおりというところ。
「フアントム・メナス(6)」の後の8コママンガ。寝室に雑誌、パソコン、ゲーム機等を持ち込み、桐壷局長に仕事なんだからもうちょっと頑張ってくれと言われる中「最近、働いたら負けかなって」と寝に入る蕾管理官を部屋の外で皆本の服を引っぺがして大騒ぎして、蕾管理官が外の様子を見るためにドアを開けたところを局長がつかまえる。というのの元ネタは神話の、天の岩戸に隠れた天照大神をアマノウヅメが半裸で踊ってどんちゃん騒ぎして岩戸をチラッと開けたのをタヂカラオがバカ力で開けて一件落着。と言うエピソート。「働いたら負け」の台詞は、実際にテレビのレポーターに「働いたら負けかなって思ってる」と答えてネットで有名になったニートの青年の発言が元ネタ。
「オーバー・ザ・フューチャー(4)」で、なんじゃかんじゃあって小学生に戻ってしまった皆本を学校に連れてきたけど、学校は少佐の催眠幻覚でパンドラが乗っ取ってしまっており、教室で先生役のマッスルがいつもの半裸革パンツ姿で教壇に立ち、澪も口笛吹いて囃しているのを見て、チルドレン3人が皆本に「あのバカを教育するから、ちょっと待っててね」と言いながら、薫がとげ付きメリケンサックを拳にはめ、紫穂はとげ付き棍棒を持っているのだが、紫穂の持っているとげ付き棍棒は「撲殺天使ドクロちゃん」が使う何でも出来ちゃう不思議な棍棒(バット)「エスカリボルグ」。ピピルピルピルピピルピー
エスカリボルグはすぐにでてきたけど、作品名の「撲殺天使ドクロちゃん」が脳内検索でなかなかヒットしてこなくて、アニメ主題歌を口に出して歌って何とか正解までたどり着いた40才の春の夜。血しぶきどくどくドクロちゃん。
16巻、題名分からず。
「スクール・デイズ(2)」で、中学に進学して、超能力抜きでもスポーツの才能もありそうな薫が、部活にも興味を持ち始めたのだが、結局、高レベル超能力者は普通のスポーツ大会には出られない現状の規定なので、悲しい結末になりそうだなと心配しながら眠りについた皆本の見た夢が、全編基本あだち充先生の「タッチ」ネタの野球回。ただしみなみちゃんが皆本でカツヤが薫。タツヤ役は葵と紫穂。相手スラッガーが、ゲーム「ファミリースタジアム」の強打者「クロマテ」というのが、オッサン世代には笑える。実在の選手と肖像権契約交わしてリアルなデータが反映されていて、ゲーム内のスタジアムには現実の広告まである今時のスポーツゲームと比べると何という牧歌的な時代だったのだろうか。「クロマテ」元ネタはは当然、巨人助っ人外国人史上最強の好打者ウォーレン・クロマティから。そういえばクロマティは野中(ノナー)の「魁クロマティ高校」(であってるか?)を名誉毀損で訴えてたな。気持ちは分からんでもない。「クロ高」自体「魁!男塾」が元ネタ。ミンミン(漢字忘れた)堂書房には初めの頃みんな騙されていて「アレ全部デタラメやで。」と教えてやったときの悔しそうな「ドントトラストオーバーサーティー」的な友の表情が忘れられない。あと、高レベル超能力者と判明して出場停止になった薫が「絶望した−っ!」と叫ぶのは「絶望先生」ネタ。これだけまとめてパロディーやる場合は、ちゃんとあだち先生に仁義切ったりするのだろうか?同じサンデーの漫画家同士で仲良かったりするのでできるネタかも知れない。
「シャドウ・オブ・ザ・チルドレン(3)」で、リハビリ終えたティムとバレットの現場採用試験で、ティムのおもちゃ使いの能力で操っているチルドレンの影武者「影チル」と光学迷彩服を着て警護に当たるバレット、の前に現れる謎の仮面+レオタードの美女3人組は、元ネタでも、髪型と口元でも充分バレるでしょ、少なくともトシは気付いてやれよ!と突っ込まざるを得なかった北条司先生の「キャッツアイ」が元ネタ。即チルドレン本人達とバレる。3人娘なら必ずこのネタはどこかでやるだろうなというネタが2つあって、その一つがこの「キャッツアイ」ネタ。
17巻「家に帰ろう」→CM「おうちに帰ろう」とか言うのがあったようなきが?
「ファントム・イン・パラダイス(5)」、ちさとちゃんの誕生日パーティーででっかいケーキの中からセクシーネーちゃんが出てくるネタは、たぶん大槻ケンヂ先生が映画エッセイ「パイ・パニック」でその乳を絶賛していたセガール映画の何だったっけ、まあセガール映画だから「沈黙の」なんたらなんだろうけど、ダメだ脳内検索ヒット無し。あきらめてまたそのうち大槻エッセイ読んどきます。
「うちに帰ろう(3)」で皆本のお見合いの席に、こなかった薫の皆本の想像内の嫉妬に怒り狂った様子と、実際の見合いを監視する葵、紫穂の後ろで「カナカナカナカナー」とヒグラシが鳴いているのは、因習の残るダムに沈みかけた村で、嫉妬に狂ったりした可愛い女の子キャラ達が、殺したり殺されたりというのをキャラクター同じで何パターンも繰り返すホラーなアニメ「ヒグラシの鳴く頃に」のパロディー。途中まで見て放置しているけど「解」まで含めて一通り見とかんといかんな。
18巻「パンドラ・リターンズ」→映画「キッズ・リターンズ」他にもあるかも?
「パンドラ・リターンズ(6)」薫の妄想内で「ベルばら」ネタ。もちろん薫がオスカル、皆本アンドレ。いまヤフーの動画配信サービスGyao!で毎週3話ずつぐらい無料配信されているので見ているけど、いやはや男装の麗人オスカル格好いいわ。アニメ放送当時すごい人気だったのも納得。気高く咲いて美しく散る。ベルばらの登場人物というかまあ歴史上の人物でもあるんだけど、ロペス・ピエールという革命家が出てくるんだけど、この名前を使ったギャグマンガのキャラクターがいたはずで、ベルばら見てロペスピエール出てくるたびに、なんだったけなーと脳内検索かけるんだけどヒットせず。これはこの文章書き始める前からの話なので、ググってもみたんだけどヒットせず。ほりのぶゆき先生とか、その辺のシュールな芸風のかつ割とマイナーなギャグ漫画家の作品だったと思うんだけど、どなたか思い当たる人がいれば、namajipenn-ss@yahoo.co.jpまで。置物になるようなでっかいルアーとか進呈します。先着2名様ぐらいかな。モヤモヤっとしてます。
「パンドラ・リターンズ(7)」バベル、パンドラ大混戦状態の中、ジャングルに火を放ち復讐の炎に燃える紫穂がパティに「この火を飛び越えてこい」というのは三島由紀夫「潮騒」ネタ。
「ファントム・イン・ザ・ミスト(2)」警備中に兵部少佐に軽くあしらわれて昏倒させられたことで自信を失い職場放棄しネカフェ難民化しているバレットをアキバに迎えに行こうとして「確か今はコスプレしないと入れない経済特区なのよね!?」と勝手にとんちんかんなことを言いつつノリノリでやってる蕾管理官のコスプレは「コードギアス」のCC(シーツ−)。コードギアスはCLAMP先生(スペルおうてるやろか?)がキャラクターデザインなんだけど、CLAMP先生初めて知ったのはまだ少年マガジン買っていた社会人なりたての頃で、一般雑誌か情報誌で取り上げられていて、シナリオライター2人、作画4人、マネージャー1人とかのユニットらしく、同時並行で何作も連載中で注目の漫画家とか紹介されていて、どんなの書いてるんだろうなと思って代表作を見たら、今読んでる少年マガジンで確か代表作の「ツバサ」やらが連載中で大ヒットとか書かれていたんだけど、「そんなマンガあったっけ?」状態で、確かに部屋に戻って積んであるマガジンめくってみると割と前の方の良い位置に掲載されていたけど、絵柄とストーリーとどっちも合わなくて、連載開始直後に切ったマンガだった。そういう時代の変化を突きつけられた苦手意識のあった作家先生だったので、おそるおそる見てみたコードギアスのアニメが、結構面白かったのでオレも何とか時代についっていってるな感がして感慨深い作品である。これも途中まで視聴して放置してあるので「R2」も含め見ておかねばなるまい。まあいまではCLAMP先生もベテランになるのかも知れないけど。
19巻、「試験に出る超能力」→「しけ単」と呼んでましたね学生時代。今も健在か。
いまいちいいの拾えなかった。巻末おまけマンガ最後のページの男らしく恋愛シミュレーターをたたき壊した皆本をみての紫穂の「これは萌え、萌えているのは私?」は「これは涙、泣いているのは私?」のパロディーだと思うけど、さてこれなんだったっけ?脳内検索眠くなってきていまいち機能せず。これは絶対知ってるはずなんだけど。モヤモヤ。
20巻、「ダーク・ハーフ」→映画「ナイン・ハーフ」か?
「ダーク・ハーフ(4)」の扉絵、台風接近中でチルドレン、鬼娘のコスプレで葵風神、薫雷神なんだけど、紫穂はウクレレ弾いてブーさんコス。ドリフネタとはなつかしい。作中、バンドネタも進行中で、楽器つながりもあるのかな。鬼娘コスということで薫がラムちゃんっぽくも見えるのだが、ブラに肩紐があるし、虎ガラブーツを履いてないしでデザインが違い、わざとはずしたと見るべきなんだろう。
眠い、今宵はここまでにしとうございます。
(2012.3.21)
再開再開!
一晩寝て起きたら、「これは涙、泣いてるのは私?」はなぜ分からなかったのかが不思議なぐらいの感触で脳内スクリーンに検索するまでもなく出てた。綾波レイ、エヴァネタやんけ。エヴァネタはほとんど一般教養化しているのだが、椎名先生ほとんど使っていないので、エヴァ嫌いなのかと思いかけていたので変な補正がかかってしまっていたようだ。エヴァは伏線ふくらますだけふくらまして、最後その伏線をロケットのブースターみたいに切り捨てて先の弾頭のほうだけ空高くぶっ飛んでいったような作品なので、全然ウェルメイドとは反対の「なんじゃこりゃ!?」と言いたくなるような作風で、嫌いで評価しない人も結構いる。でもその全然回収されていない伏線が謎になって、いろいろな解釈や議論を呼び「熱く語れる」作品になっていて、映画では「2001年宇宙の旅」がそういう作品でオタクが群がる構図が似ているとという指摘を大槻ケンヂ先生がしている。さすがオーケン先生、サブカルネタにはめっぽう強いと感心させられたものである。
そんな感じで、スッキリした朝の通勤電車、木曜という事でモーニングを読んでいたら、東村アキコ先生が「主に泣いています」の中で、「めぞん一刻」ネタをやっていて、「また意味のある偶然かよ、もしくはアポーツ(引き寄せ)能力発現か?」とちょっとビックリ。しかし、「PIYOPIYO」見つけて喜んでいる程度の当方のような素人オタクとは、それで飯食ってるプロ中のプロはレベルが全く違う。埋めようがない差。全然聞いたこともかすりさえできていなかったようなネタで恐れ入った。ちなみにエンディングテーマの「シ・ネ・マ」byピカソの濃いネタ。作中何でも知っててどんなボケもフリも拾いまくるジョーカー的キャラのトキ婆が、素で「待って待って」とストップをかけるのも頷ける無駄に高いクオリティ。
東村先生もろに歌詞書いちゃってるけどJASRAC許諾の文字が見当たらんが、そういうのは単行本の時に入れればいいのだろうか。まあ、どうでもいいけど。
「主に泣いてます」は前作「ひまわりっ!」に比べるといまいちかなと思っていましたが、東村先生すいません、謝ります。今後も分をわきまえて謙虚に拝読させていただきます。
本気出した東村あきこはメチャクチャすごい。
てなこと書きつつ、つづきに突入。
21巻、「湖のひみつ」→学研「○○のひみつ」シリーズ、「謎の転校生」→そのまんまのもあるのかも知れないが一応「炎の転校生」で。
「湖のひみつ(5)」で温泉回の中、霧に煙る湖の方に謎の巨大な影、ティムが「かれーんゴー!!」の呼び声高らかに、チルドレンデコイ(影チルの予備)に緊急招集命令をかけると、湖近くの訓練施設の庭の噴水池が真ん中から割れて、チルドレンのデコイがゴゴゴとせり上がってくる。賢木先生に「早くしろ、何コマ使う気だ!」と怒られるが、オレはティムを支持する。頭の中で、高らかにホーンセクション(ラッパ系)がファンファーレ鳴らしてドラム?が響いて「マジンガーZ」の主題歌脳内再生スタート。
こうやってグダグダ書いてて改めて気付かされたのだが、当方が永井豪先生に受けた影響は思っていた以上に大きいと思う。「グレートマジンガー」の主題歌もバイク乗りの頃、バイクでトンネルに突入してオレンジの灯りが後方に流れていくのが視界に入ると脳内自動再生されたものである。名前忘れたけど合体前の主人公が乗り込む飛行機の方が、基地から出撃するときの長いトンネルのシーンが印象に残っているのだ。
「湖のひみつ(6)」で、肝試しエピソードで、皆本がヘビに驚いた薫を抱きとめた状態でしばらくしゃべっている所に、脅かし役の紫穂と、バレットと組むも皆本・薫ペアが気になって監視にまわっていた葵が、嫉妬でキレて乱入するシーンの紫穂の台詞「悪意とか嫉妬とかなんかいろいろそーゆーので錬成してやろうかー!!」はおおもとのネタは「鋼の錬金術師」で錬成に必要な素材を数え上げる主人公エドワード・エルリックの台詞だが、「悪意」云々を混ぜてくるのは、間に「化物語」の毒舌ツンデレヒロイン戦場ヶ原ひたぎの台詞がたぶん挟まっている。「私の毒舌は悪意○%、・・・・照れ隠し1%で錬成されているわ」とありゃりゃ木君に言ったあと訂正して照れ隠しを削って、ラララ木君に大事なところを削るな、というような意味のツッコミを入れられていたと思う(主人公アララギ君の名前を噛むのは作中キャラ八九寺まよいのお約束ネタ)。ガハラさんはハガレン好きで教科書にハガレンのイラスト書いていて結構上手いというようなエピソードもあった。
22巻、題名分からず。
「キャット・ウォーカー(2)」で出動したチルドレンの代役で、体育の授業で最後が決まっていなかたった、創作ダンスの振り付けを「ぢゃららん!!」「ばんっ!」という感じでドヤ顔で決めるティムの操る「影チル」の3人。澪達に激しくダメ出しをされる。「ボツに決まってんでしょ!!」「理由いわなきゃわかんない!?」といわれたのは、その振り付けが「涼宮ハルヒ」エンディングテーマの「ハレハレ愉快」の振り付け、いわゆる「ハレハレダンス」だったから。
ちなみに3人娘ネタなら絶対来ると思っていた2つのウチのもう一方がこれ。ハルヒ中心に朝比奈みくる、長門有希の3人だが、気付けばこれ、ハルヒと薫は「中の人」つながりのネタでもある。アニメの声をあてている声優さんが一緒。アニメ版「絶チル」まだ見ていないけど、薫役の声優の平野綾さんがアニメタイアップ企画で原稿のトーン入れとか手伝った巻末マンガがあったはず。アニオタも声優ネタでひとくさり語れるようになると一人前というか末期とというか、そういうふうには言われているが、残念ながら当方声優さんにはとんと詳しくない。平野さんは昨年あたりスキャンダルやらタレント路線への変更やらで、ネット上でオタク達の総攻撃を受けていたのでたまたま覚えていた。声オタと呼ばれる声優オタク達は、声優さんに彼氏がいるだけで激怒するような人種のようだ。好きにさせたれよと思うのだが、オタクの方も「好きにさせてくれ」ということなんだろうか。
まあネットでゴタゴタ批判してるぐらいは別に好きにさせてやればいいが、本人のブログに脅迫のコメント入れて逮捕されるバカ者も出たりもしているので、趣味は人に迷惑かけない範囲で楽しめと月並みなことを書いておく。
23巻、題名分からず。この巻あまり良いネタ拾えず。
「トイ・ソルジャーズ(3)」のパンドラの人形遣いが操る、等身大モガちゃん人形(リカちゃんパロ)が「サイコガンスタンバイ!!」と言いつつ実際には右手に仕込んだサブマシンガンぶっ放すシーンがあるのだが、サイコガンは当然、寺沢武一「コブラ」ネタなんだけど、でもモガちゃんの仕込み銃右手なんだよな。精神エネルギーを打ち出す銃なんて人形に使わせるのは不自然で再現できなくても仕方ないけど、コブラのキャッチフレーズは「左腕にサイコガンを持つ男」なんだから、そこはコブラファンとしては譲れないんだよね。とオタクの裁量の狭いところを見せてしまったりする。
24巻、題名分からず。題名ネタ負けが込んでいる。
ストーリーでも良いネタ拾えず。
「乙女のポリシー(2)」の後ろの8コママンガで深夜の通販番組のパロディーネタやっているのぐらいか。「でもお高くないんでしょう!?」は実際には「でもお高いんでしょう!?」か。OVAと22巻の販売促進マンガでした。
「でもお高いんでしょう」は当方にはネットでの言い回しネットスラングとしてのイメージの方が強いかも知れない、オタクのティムとバレットはそういうネットスラング系の言い回しはよく使っている。「リア充爆発しろ」とか「ぐぬぬ」とか「明日から本気出す」とか。あと今回水着回でプールなんだけど、ティムがでっかいマブチモーター持ち込んでて監視員に怒られて、マブチモーターうんちくを語りはじめるんだけど、「マブチモーターあったあった、兄ちゃんが木の船の下につけて遊んでた」とか思い出して懐かしかった。
25巻、「あのコとスキャンダル!!」→チェッカーズだな、これまた懐かしい。
この巻、当方が大好きな文化祭エピソードの巻だけど、たぶん椎名先生もノリノリで書いてたんで、パロディーとか小ネタは入れてる暇なかったのかもしれない。
4コマで、ユーリの所の居候の元ブラックファントムの暗殺者ハンゾーが、忍者マンガの「ナルト」のパロディーの「MARUTO」のキャラクターTシャツ着ていて、やっぱりこいつもオタクかよというネタぐらいか。
26巻、「600万ドルの男」→たぶんさらに元になった作品があるんだろうけど日本のマンガで「1億の男」というのがある。
「600万ドルの男(2)」でコメリカの引きこもって心を閉ざしたレベル7念動力者、アダムが読んでいるのは、英語版ジャンプのパロディーで「CHIMP」。「ちんぷ」と読めるが、なにげにライバル誌をディスっているのだろうか。表紙は25巻でも出てきた「MARUTO」、忍者モノは外国人受けがよいのか、実在の「ナルト」も海外では日本以上に大人気らしい。残念ながら読んだことない。
「600万ドルの男(4)」パロディーじゃなくて、兵器ネタ。アダムを外に連れ出した皆本は、追っ手の最新鋭ジェット戦闘機を対超能力装置の影響で制限されたアダムの能力を使って振り切ってみせるのだけど、この戦闘機はたぶんモデルがあってF24だったか数字全然自信無いけどとにかくFの付く戦闘機の最新型。ネットでその辺の情報のサイトを見てたときに実物の方の特徴とかの解説を見てビックリさせられた。ジェットエンジンの噴出口を、まるで水槽の水流方向調節のノズルのような感じで、真下方向に向ける事ができて、垂直離着陸が可能になっているのである。長い滑走路やら無くてもいけるし、艦載でも射出用のカタパルト要らずで便利なんだろうけど、どんだけ強度的に稼いだら、金属の固まりマッハでぶっ飛ばすようなジェットエンジンのパワーを90度近くもねじ曲げることが可能なのか、そういうことをやろうと思いついたバカの発想力に驚くばかりだ。確か値段も無茶苦茶お高い。作中でも、森の中に逃げた皆本達を追って垂直に着陸しようとしているシーンがある。兵器は極論すれば人殺しの道具なんだろうけど、なんか逃げられない魅力があるように思う。
27巻、「スタンド・バイ・ミー」はそのまんま映画「スタンドバイミー」。
「スタンド・バイ・ミー(5)」ブラックファントムの新たな刺客、ギリアムに再び洗脳され、巨大ゴットロボに乗り込んで、富士山をビームスコップでほじくって噴火させようとしているティムの歌っている「営業・営業・営業・営業・営業・営業・接待〜!!」「偉いひとにはあえて〜タメ口きくのも有効よ〜」「営・業・成・功!ゲス娘〜!!(ハイ!)」にはTVアニメ「営業!ゲス娘」主題歌「営業のススメ☆」作詞・作曲:C・鉈河岸 歌:浅野真澄となっていて、吹いた。「侵略!イカ娘」の主題歌「侵略のススメ」の歌詞も題名も含めパロディーである。しかもご丁寧なことにコマ外にはJASRACパロディーネタで「JASLUCKY申請却下 223620679」の文字が。椎名先生やりおるわい。
「リトル・プリンセス(1)」で何とか洗脳から救い出したティムから、敵の情報を引き出そうとサイコメトリーをかける紫穂に逆に洗脳者の罠が迫るときの、洗脳者の台詞「闇をのぞき込むとき 闇もまたお前を見ている。」は元ネタは古典文学か古めの映画だと思うんだけど、どっかで別の引用している文章を読んだ記憶がある。でも、どうにも脳内検索ヒットの気配無し。後でググることにしたい。
28巻、題名分からず。
表紙裏4コマ、ティムとバレットがクリスマスイブ、お世話になった終末医療施設で老人達相手に演じている人形劇は「ミズシマ−、一緒に日本に帰ろう!」という台詞から「ビルマの竪琴」ネタと分かる。いい話。
「ジェネレーション・ゼロ(3)」この巻と、次の巻に渡って、兵部少佐、蕾管理官の戦前から戦争終結にかけての昔のエピソード。1938年の街頭風景、映画館の看板「アニレナ カンナ」はロシア文学「アンナ カレーニナ」か。この辺、映画館、芝居小屋の集中するエリアらしく看板に「紅蜥蜴」、「幽霊退治 美神」、「名探偵 古南僧」等読める。「紅蜥蜴」は原作江戸川乱歩で舞台化は美輪明宏の当たり役「黒蜥蜴」が元ネタか、たしか女優である薫の母親が「紅蜥蜴」の舞台から衣装まんまでバベルにやってくるシーンがあったはず。「幽霊退治 美神」は自身の作品「ゴーストスイーパー美神」のセルフパロ、「名探偵 古南僧」はサンデー看板マンガ「名探偵コナン」ネタだろう。
「超能特務部隊」のメンバーの多くは作家先生ネタ、「キクチカンジ上等兵」→「菊池寛」、「アクタリュウ上等兵」→「芥川龍之介」、「ナツミ・イワオ伍長」→「夏目漱石」、「シガタダシ曹長」は医学者の志賀潔か?志賀姓の文学者いたような気もするが。
「ジェネレーション・ゼロ(5)」で空を飛んでの空中戦の際に、少年エスパー兵部京介が、上昇して太陽を背負って、反転カウンター攻撃というマニューバ−(挙動)を見せるのだが、太陽背負って攻撃してくるという表現は、いったいいつ頃から有るのだろうか。結構古くから当方の頭にも、戦闘機ドックファイトでそういう戦術が定番としてあるのを知っていたが、元ネタはどの辺までさかのぼれるのであろうか、次巻の表紙裏で「空の笑わし」とネタにされている戦闘機乗り(坂本美緒少佐の元ネタの人だっけ)の話「空の荒鷲」あたりからだろうか。
「太陽背負って攻撃」のなかでも、一番有名なのは、たぶん飛行機大好き宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」でのペジテの王子アスべルのトルメキア軍船団(飛行機だけど)へのガンシップでの垂直降下アタックシーンだろう。確か捕虜としてつながれた後ろの小型機に乗っていたナウシカが最初に太陽の中から突っ込んでくる機影を見つけるというシーンだ。トルメキア軍の捕虜運搬船速攻で沈んでナウシカの付き人に「なんちゅうもろい船じゃ。」とあきれられる。このときも既に太陽の中からの攻撃は「定石やな、監督さん分かってる。」とクソ生意気にも思った記憶がある。格好いいシーンだった。
29巻、「桜の園」→チェーホフにそんな題名の作品あったような気がする。
「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(1)」でロンドンの街を箒に乗って逃げる、ブラックファントムの丸めがね少年ドラゴンフライは、ハリーポッターのパロディーなんだろうなたぶん。
やっとパロディーネタ拾い作業終了。これで週末、「お約束、フラグ」関連を書いて終われる目処が立ちました。
それでは今宵はここまでにしとうございます。
(2012.3.22)
(お約束、フラグ)について
マンガの世界には、マンガの世界のお約束というモノがある。
たとえば、バトルマンガでは「ダメージを受けたり危機に陥った状態からの「覚醒」による逆転勝利」、「初期の敵キャラは身方になる」「敵は倒しても倒してもさらに強い敵が出てくる」「謎の悪役は実は身内」等々である。
「絶チル」でも、「覚醒」は兵部少佐や蕾管理官が多方面の能力を発現させたエピソードがそうだし、薫の超能力者のピンチに発現する女王としての力もそのバリエーションだろう。
「初期の敵キャラは身方になる」などは、少佐はまあ悪の組織のボスとして今でもしっかり悪役だが、澪らパンドラの子供達は今や完全にチルドレンのクラスメートで親友である。ファントムドーターもパンドラの次にでてきた謎の組織ブラックファントムの最強最悪の洗脳能力者として描かれていたが、少佐に毒を抜かれて今は薫のお気に入り女子である。
「敵は倒しても倒しても」については、パンドラと共闘したり仲良くなったりしたら、次の敵ブラックファントムが出てきたり、そのブラックファントムの刺客としても、ファントムドーターが無力化されると、兄らしいギリアムが次に禍々しさを増加させた敵として登場する。しかしながら初期からの敵である兵部少佐が最後まで重要な役割を担いそうなところはやや典型例からは外れるのか。終わりが最終戦争というところが最初に伏線として提示されているので、最強と思われる敵を倒したら「あやつは我ら四天王のうちでも最弱」とか訳の分からん組織の四天王が出てきたりせて、天井無しに敵のインフレが始まるというのは避けられているように思う。
「謎の悪役は実は身内」について、ブラックファントムの「お父様」と「卵子提供者」は謎と言えば謎なんだが、重要キャラ周辺の人物で、当てはまりそうな伏線はられた身内が思いつかない。こういう場合まったくエピソードに触れられていない身内がいきなり謎の敵の正体でしたとなっても、「はあ?なんじゃそれ」という感じで全然盛り上がらない。そういう意味では、チルドレン周辺は親も健在が多いし、皆本と薫の父親は全く出てこないが、悪の組織の首領になる必然性がない。そんな無理矢理は意味がない。兵部少佐のチウ国に置いてきた父が、唯一怪しいと言えば怪しい。「超能力者の妻を超能力の解明の魅力にとりつかれ実験中に失っている」、そのため「超能力の存在を憎んでおり、妻を研究で失った自分という人間も憎んでいる」ことから、超能力者も愚かな普通人も皆殺しにしてしまえと歪んでいても、まあそれなりに落ちる。ただ、その場合は卵子提供者も実験中に失った妻のはずで、妻を植物状態のまま医療カプセルの中で生かしているというのはありがちな設定だが、妻が生み出すのが強力な洗脳能力者たり得る「催眠能力者」であるという点で、「覚醒」以前は念動力系の能力を基本としていた兵部京介の母親という設定とは矛盾が生じる。また、「お父様」は台詞の「若いの」という部分に「ボーイ」とルビを振られており、英語圏の人間であることがうかがえるのも否定材料だ。この「お約束」は「絶チル」では無しだと当方は思う。たぶん「お父様」の禍々しい経歴は新しい独立したエピソードとして描かれるのだろう。でも、当方がまったく気づいていない伏線が見事に回収されて意外なところから「お父様」につながったりしても、それはそれで唸らされる展開でうれしい。
温泉回(風呂回)、水着回、野球回などもお約束といえばお約束だろう。
「絶チル」でもきっちり用意されている。温泉回は本編だけでも2回もある。一回目は温泉をねだったチルドレンに対して、現実はスーパー銭湯だったが、まあ温泉回と言っていいだろう。温泉という水にからめて、流体コントロールの得意な念動力者在日のコメリカ軍系所属のメアリーを登場させて、しっかりストーリーも進めているところが上手い書き手という感じだ。ストーリーを全く進めないテンプレ的な温泉回を巻末マンガで「あるある」コント仕立てにして遊ぶというおまけ付き。2回目は夏休みの旅行でバベルメンバーでキャンプ旅行時、キャンプ場併設の温泉で、夏休みエピソードということで、割とテンプレな温泉回展開だが、温泉ならではのシモネタ系乱入騒ぎでオチを付ける。本編で温泉回参加できなかったパンドラメンバーは4コマで風呂回やっていたりする。パンドラ風呂ネタは結構ある。
水着回はバベル本部の訓練水槽や潜水服的なのも入れるとやや増えるが、沖縄?のイルカの伊九号エピソードで1回、海水浴場人命救助エピソードで任務で海に行くのが1回、室内流水プールに遊びに行くのが1回の計3回か?こちらも本編以外でパンドラメンバーが4コマで水着披露していたり、少佐は海に献花していたりというエピソードも存在する。
野球回はパロディーのところで出した、「タッチ」ネタ回で1回。温泉回(風呂回)、水着回ほどガチガチのお約束ではないが、「ドラえもん」はもちろん「ドラゴンボール」あたりにも存在が確認できるマンガ界の伝統?なので是非若いマンガ家先生方にも機会があればトライして欲しいものだ。最近のマンガでは野球マンガ以外で野球回はあんまり見ないのでやや寂しい。近年「絶チル」以外で野球回があったのは「涼宮ハルヒ」「イカ娘」ぐらいしか思いつかないでゲソ。キャッチボールくらいまでだと「フリージア」なんかにもあって、結構あるのだが。
次に「フラグ」というものについてだが、これは元々ゲームの用語だったようである。たとえばロールプレイングゲームで、伝説の剣を手に入れるには、村の長老に話を聞かなければいけないとか、進行上、クリアしておかないと次に進めないイベントが設定されていて、そのイベントを「フラグ」というという認識、でたぶんあってる。最近では主に恋愛シミュレーションゲーム(エロゲ−、ギャルゲー)での「恋愛フラグ」を指すことも多く、「フラグが立って○○ちゃんルートが開通した。」等の使われ方をしている。
そこから派生して、パターン化されていてそのイベントの後に起こることが予測できるようなエピソードや台詞が出たときに、「あ、これ死亡フラグやな」とか「これはひょっとして恋愛フラグか?」というようにマンガ読みは先を読んで楽しむのである。
代表例の「死亡フラグ」、「恋愛フラグ」について、説明したい。
まず「死亡フラグ」だが、典型は「この戦争が終わったら、故郷で待ってる恋人と結婚するんだ。」であり、生き延びれば幸せな未来が待っていたのにと、戦争のもたらす悲しさやるせなさをバージョンアップさせる。
不気味な物音が、物置小屋からしている「ちょっと様子を見に行ってくる」、殺人鬼だの、遊星からの物体Xだのがいるに決まっているじゃね−か。
「ここは俺に任せて先に行け」そこそこ人気の脇役キャラは、そのキャラメインのエピソードをもらって、かっこよく散っていく。
現実世界にも「死亡フラグ」は存在する。台風の日に「ちょっと田んぼの様子を見てくる」or「港の船を見てくる」、正月に爺さんが「餅」、酔っぱらって「階段」。これほど毎年毎年、台風時期、正月時期、中島らも方面に被害者を出しているのに、何故これらのフラグをブチ折って命を救う勇者が現実世界にはいないのか。関係者一同に猛省を促したい。
その他、「故郷の話や仲間との思い出を語り出す」というのも危ない。走馬燈のプロローグのようなもんなんだろうか。「病気だったヤツが、「最近調子いいんだ。」」というのも危ない。油断させておいて実は深く病が進行していて、「あんなに元気にだったのに。」と悲しみをバージョンアップ。そのてでは宮本輝の青春小説「青が散る」が秀逸。「最近、自分を取り巻くすべてのものがいとおしいんだ。」とか語り出しても危ない。死ぬ死ぬ!
この辺の死亡フラグをつらつら並べていてちょっと背筋が寒くなる。つまり、「こうやってサイトやブログで思い出を語り」、「健康面は最近調子上向き」で、「マンガ読んでも、小説読んでも、映画もアニメも、もちろん釣りも楽しくて面白くて人生すべてがいとしくて仕方ない」という、オレには今「死亡フラグ」が立っちゃってるのではないのか?エエエーッ!70ぐらいまで現役釣り師で楽しく生きて、その辺でぽっくり死ぬつもりなのに−っ!
慌てるな!まだ慌てる時間じゃない。「死亡フラグ」が立ったからといって、すぐ死ぬとは限らない。死亡フラグと見せかけて、読者の裏をかいて生き残りましたなんてパターンも最近では珍しくない。「フルメタ」のクルツ・ウェーバーなんて、上官のマオ曹長とできちゃって、おいおい最後の決戦前に恋人ができるなんて、ガンダムのミライさんとできちゃった直後に戦死したスレッガー少尉(だったっけ?)を思い出させるじゃねえか、と思わせてその後の戦闘でクルツエピソードでかつての師匠を倒した後に爆死したような書かれ方がされたのにも係わらず、実はちゃっかり生き残ってて本人かっこよく再登場したつもりが、みんなその気でしんみりしてたのに「空気読めよ」と身方に総スカン食うというネタがあったりして面白かった。
「この戦いが終わったら」は典型かつ最強の死亡フラグだと思うが、こいつをたたき折った強者もいる。士郎正宗原作劇場版アニメ「アップル・シード」の女戦士デュナン・ナッツ。
当時、原作も読んでおらず作品知らなかったので、劇場版のTVCMでデュナンが「この戦いが終わったら、母になりたい」とか言っているのを聞いて、「うわーすごい「死亡フラグ」立っちゃってるなー」と思った(当時は「フラグ」という言葉自体は使ってなかったかも)。後年、視聴することになるのだが、全く死なず思いっきりのフラグブチ折りに、広報サイドの「釣り」だったんだなと理解している。おそらく、「母になりたい」の台詞を聞いて、当時の原作ファンはデュナンの恋人であり、戦闘で体の大部分を失ったサイボーグのブリアレオスが、まだ、精巣なりは残っていて(あるいは体細胞から配偶子を作って受精させるテクノロジーがある設定かも?)子供が作れる状態だと知って「よかったねー。」としみじみ祝福したんではないかと思う。
戦闘マシーン的なサイボーグの体でデュナンと再会を果たしたブリアレオスは、最初、今の自分をデュナンが受け入れてくれるかどうかを恐れているような描写があるのだが、デュナンまったく問題なくブレアリオスを愛していて、ペアウォッチなんかしちゃったりして、見ててほのぼのとしてくる。恋人同士、まあ、夜の営みについてはサイボーグでも「君のために、特注のパーツを用意したよ」的な下品なサイボーグ化で何とでもできるけど、子供作るにはそれなりにハードルがありそうな具合の戦闘に特化したサイボーグ化だったので当方もホッとするのであった。
探せば絶対同人誌で二人の夜の営みを描いたエロパロモノはあると思う。当方が考えつくような程度のお下品なネタは、世界で少なくとも3人は思いつくであろう。ちなみにアソコを機械化した「ロボ・コック」というくっだらねーネタが実在することは確認している。
というようなのが「死亡フラグ」だが、「絶チル」では主要キャラは敵も味方も関係無しに薫が救っちゃうのであんまり死なないということもあり、「死亡フラグ」らしきものが立っているのは、仲間に隠れてそろそろ無理が来ている体を何とかするための薬らしいものを飲むシーンが描かれているのが「死亡フラグ」くさい兵部少佐ぐらいである。少佐はストーリーの流れからいっても、年を考えても死ぬのが自然な流れだと思う。まあ、しぶとく生き残っても全然OKだけど。その時は澪ちゃんをよろしくね、少佐。
他には、未来予知や、未来からきたフェザーの中のチルドレンの記憶の中で死んでいるキャラはいるのだが、これはむしろ未来が変化していくにつれ、死が回避される方向に進む流れと見るのが妥当だろう。最初の頃の予知ではアダルト葵がアダルト薫の携帯に電話してきて、「この街はもうあかん」とかの台詞の後に通信断絶して、現在時間の葵が「うち死んだ!」とショックを受けている描写があるのだが、フェザーの記憶にはチルドレン三人の記憶があり少なくともフェザーが過去に飛ぶ時点で葵含め、3人は生きている未来になっており、その際、葵の記憶ではバレットが戦死(葵の死の未来はバレットが命を捨てて守ることで変化したと読める)、紫穂の記憶では蕾管理官が戦死している。蕾管理官は兵部少佐同様、未来を守ることさえできたなら「我が生涯に一片の悔い無し!」で死んでも良い立場だが、少なくともバレットは死なない未来になるのだと当方は読んでいる。というか願っているというのが正直なところか。
次に「恋愛フラグ」については、
「遅刻!遅刻!」とトーストくわえて学校に急ぐ女子が、曲がり角で男子と衝突、「気をつけろよ!」ぐらいの台詞を吐かれて「なんなのあいつ、私だけが悪いっていうの?」ぐらいのやや不機嫌な状態で、ぶつかったせいで遅刻してさらに不機嫌でいると、先生が「今日から一緒に勉強することになる転校生を紹介する。」とか言い出して、教室に入ってきた転校生を見ると朝ぶつかった男子で二人とも「アッ!」とか言っちゃって先生が「何だおまえ達知り合いか?」とかなんか言って始まるボーイミーツガール的展開は、70年代だか80年代だかの、「少女漫画の書き方」的テキストですでに「陳腐だから使っちゃダメ」と指摘されているぐらいのもんで、今ではトーストくわえて曲がり角でボーイミーツガールという「恋愛フラグ」は、ギャグのベースとしてしか需要がない。
TV版エヴァの終盤の脳内お花畑状態のシンジの妄想?の中で、綾波レイがやっていてウケた記憶があるし、最近では「男子高校生の日常」で曲がり角直前で男子のほうが靴紐を結ぶために立ち止まってかがんだために、トーストくわえた少女は何事もなく過ぎ去っていくというネタがあった。
(後から割り込み:てなこと書いて、つづき書いてる途中で休憩時に、最近出た「もやしもん」11巻を読んだら、いきなり、冒頭で、ヒロインの及川葉月(最近、蛍にメインヒロインの座を奪われ気味だったが、今巻貫禄見せた。まあ、蛍はヒロインじゃないんだよな、男だから。)が、遅刻しそうになってトーストくわえてベスパで登校、主人公と笑い飯のひげの人似(ドラマ化の時本人が演じた)の先輩とぶつかって「この2人と恋の始まり?最低−!」というネタで、驚きまくった。本格的に意味のある偶然が重なってきている気がする。書けば実現するような不思議な気がしてきた。意味のある偶然など実際のところは無いのだと思うが、あるように感じることが無意識下に与える影響で結果が変化することはあり得ると思う。この流れを利用して書いておきたい。「GWはすごい釣りになるゼ。」具体的には本命ロウニンアジは極端な大物が出る釣り場ではないようなので、いまいち巨大GTのイメージが湧かない。となるとその他の魚ということになる。希望としては2mを軽く越えるようなバラクーダ、ヨコシマサワラ、体重越えのタマカイ、ナポレオン、種は問わず100キロUPのサメあたりか。果たしてこの書き込みが言霊となり引き寄せることができるのか?こうご期待。)
とはいえ、そういう典型パターンではなくもう少しゆるめて、「転校生」というのであれば、今でも充分「恋愛フラグ」として機能している。今見ているアニメ「Another」でも主人公(くっそ!今期一番楽しみに見ているアニメの主人公の名前が出てこない、最近固有名詞がめっきりダメだ。)は転校生で、メインヒロインの三崎鳴ちゃんとも仲良くなるし、対策委員のツンデレツインテール娘(こっちも名前出てこない)にも気に入られていて、「転校生」いぜん強し、と感じさせられる。そういえばフルメタの相良ソースケ軍曹も転校生キャラである。メインヒロインかなめちゃんと上官のテスタロッサ大佐に惚れられてモテモテである。やはり「転校生」強しである。
しかし、今も昔も恋愛フラグで最強なのは「空から美少女が降ってくる」系だろう。たぶん古くは天女の羽衣伝説やら女神の降臨的な話のような、民話やら神話やらの時代から脈々とつづくレジェンド級「恋愛フラグ」で、マンガ・アニメでは「うる星やつら」のラムちゃん、「天空の城ラピュタ」のシ−タが有名どころ。
今時のアニメでもすぐいくつか思いつく、「化物語」毒舌ツンデレヒロインのガハラさんは階段の上から降ってきて、みごとアラララギ君と恋人同士になった。エッこの娘とくっついちゃうの、という当方のような男女の機微にうとい人間には意外な展開だったが、これも「降ってきた」おかげだろうか。今期まさに放送中のアニメ「あの夏で待ってる」においてもイチカ先輩が宇宙船で降ってきて、カイト君と恋に落ちる。
「降ってきたヒロイン強し」という感じだ。
唯一心配なのが「とある魔術の禁書目録」の正ヒロインのはずの禁書目録(と書いて「インデックス」と読ませる中二なセンス)だろうか。ある日主人公の部屋のベランダの手すりに引っかかっていたのだから降ってきた以外に無いと思うのだが、あまりにもアニメでも原作ラノベでも出番が少ない。主人公と同棲しているとはいえお堅いシスターで主人公は風呂場で寝ているし、そもそも主人公「世界を救いに」とかの出張仕事が多く部屋にあまりいない。ネットでも空気ヒロインとかニセイカ娘(シスターのかぶり物とイカ娘の触手は似ていなくもない)とかさんざんな言われようだ。実は降ってきてないんとちゃうか?後で公式なりウィキなりで調べてみたい。
というわけで、絶対とまでは行かないまでも、「空から美少女が降ってくる」は考えうる中で最強と言って良いほどの強力な「恋愛フラグ」である。であるからこそ、「絶チル」では25巻の表紙裏の4コママンガで、ティムとバレットのオタク少年エスパー2人組は「あ〜空から美少女降ってこないかなー。」byティム、「降ってくるといいネー。」byバレットと白馬の王子様を夢見るような、他人任せのいかにも三次元の女の子に気後れしがちなオタクらしい妄想にひたるのであった。
ただ、このマンガには念動力やらテレポートやらで空を飛べる美少女がわんさといるわけで、2コマ目でほんとに美少女が2人の上に降ってくる。葵がテレポートしようとしていた目的地座標に薫が念動力で高速移動してきたかなんかで割り込まれて、葵テレポート失敗してたまたま2人の上に出現、降ってきたということらしい。
4コマ目でティム&バレットが「降ってきても俺たちに・・・フラグなど立たない現実!!」と嘆くオチとなっている。
29巻の中学2年生シ−ズンスタート時の4コママンガでも、チルドレンの護衛兼ねて参加していたプール回等で顔なじみになっていた、チルドレンの小学校からの仲良しちさとちゃんに一緒のクラスになり話しかけられて、他のクラスメートから薫ら美少女グループと仲がよいことをうらやましがられ、「親の仕事都合で隣に住んでいるだけで」とか火に油をそそいでしまい「このリア充めええッ!!!」とののしらるのだが、その時も「リア充呼ばわりされた!?」byバレット、「フラグも立たないのに?納得いかねええー!!」byティムと憤っている。
がしかし、本当にフラグは立っていないのだろうか?
ティムについては、確かにそうかも知れない。非常に残念なことに現実社会でも何がどうというほどのことはないのだけれど、女性とは泳いでいるタナが違ってしまっていて、どうにも出会いがなさそうな人というのがいる。ティムはそういうタイプだ。なんか恋人などいなくても楽しいオタクライフで平気で生きていきそうなタイプである。唯一といっていいようなフラグとも言えないような女性キャラとの接点は、ナオミちゃんの後輩の新人特務エスパー、「ザ・リトル・マイス」雪乃(アッ、今気付いたけど雪乃は「未来日記」のユノのパロディーだ。「死ねばいい」「踏み台」の台詞多用はそういうことか)と「仲良くできそ−だ」というチョロッとしたからみがあるだけ。
しかしバレットには、これはほかならぬ降ってきた葵と「恋愛フラグ」立ってるんじゃないかということが疑われるシーンがいくつかある。
バレットのキャラ自体、天然無邪気な感じのティムとは違い、わりと格好いい系のキャラである。まあオタクなうえに、すぐ学内で銃ぶっ放すようなソースケ系軍人キャラなんだけれども、女の子をごく当たり前のこととして守れるジェントルマンな男の子でもある。バベルを裏切りパンドラに寝返った人形遣いに、わけあって澪達のつてで会いに行き、そこで強力な対超能力装置を仕掛け罠を張っていた「普通の人々に」まとめてつかまったときは、反抗的な態度で敵に殴られそうになった澪ををかばって自分が殴られたりしている。まあ、「美少女フィギュアに気を取られてないで罠に気付けよ」とダメ出しされるのだが。また、当方も引っ越し前宿舎が近く、よく「まんだらけ」にマンガ買いにとか行っていた中野ブロードウェイの「濃い」店にそれと知らずに紛れ込んでしまった悠里を手を取って連れ出してあげたりもしている。
葵をかっこよく助けようとして、結局葵の力で危機を脱出し「俺もティムももっと強くならなければ。俺たちはきっと、そのために生きている。」と心に誓ったり、中学2年生シ−ズンに入り、チルドレン達と同じ学校に通うようになり、仲間がじゃれあったりしているのを見て幸せをかみしめつつ「こういうのが、フツーなのかな。これを守るためならオレは・・・」と決意を新たにしたりもする。
初々しくも直球な男の子ぶりである。
チルドレンの警護がバレットの主な仕事なので、当然3人との接点は多いが、葵に絞ってみると、これが割とあるのである。少なくとも「これ恋愛フラグ立ってるよね?」と疑うに値するぐらいは。
葵がテレポーターで「モノを届ける」系に親和性のあるキャラだからだと思うが、マンションの隣の部屋に料理(作ったのは皆本)を持っていくのは葵の役目となっていることがうかがえる描写が本編にあるし、4コマでは夜中、風呂上がりに牛乳を切らして男子部屋冷蔵庫前にパンツにパジャマ上だけのあられもない姿でテレポートしてきた葵が、トイレかなんかでたまたま起きていた、寝ぼけたバレットと鉢合わせというような細かいネタがあり、そのほかにも本編に2人の関係性を示す、重要なエピソードが3つある。
1発目は、夏休み回の肝試し、バレットは葵とペアになり、バレットは薫から、もう自分たちは友達だから堅苦しい「どの」づけはやめて「ちゃん」づけで良いよと言われたというような話をして、「葵ちゃん」と呼んでいいかと聞いて、葵にもお許しを得てホッとする。だが、次の瞬間、先行する薫・皆本ペアの気配を感じ取り、索敵・偵察モードにはいった葵は、偵察行為を柔らかくたしなめようとするバレットに「命令には従えーっ!」「あと上官には「どの」をつけろー!」とどやしつけ、バレットは最敬礼で「サーイエッサー!!了解です葵どの!!!」と服従する。以降「葵ちゃん」とは呼んでいない。
2発目は、2度目のティム&バレット表紙登場で一番でかくバレットが描かれている27巻、この巻メインのエピソードが病気の弟を見舞いに京都の実家に行く葵を護衛するティム&バレットに新たなブラックファントムの刺客、ギリアムが再び洗脳攻撃かけてきてティムが敵の洗脳に落ちて大ピンチという話である。
洗脳したティムを通じて、ギリアムはバレットに「洗脳された殺し屋」時代の記憶を見せたりして揺さぶりをかけ、バレットも精神を持っていかれそうになるが、葵の懸命の呼びかけに、見つめる瞳に、自分を取り戻したバレットは洗脳の魔の手から逃れる。
巨大ゴットロボを操るティムの攻撃を受けつつも、富士山頂近くでひとまず逃げ延びたバレットと葵の2人。葵のダメージは回復にはまだしばらく時間がかかるとわかり、ティムと差し違え、ティムを殺してでも止める決意をバレットは固め、「そんなことさせるかボケ!!」と抗議する葵に「戦闘中は俺が命令する!君は今、何の力もない女子だ!!」と葵にかっこ良いところを見せようとする。ここで「ひき」で1話またいで、けっこうバレット見せ場ターンがつづいた後、葵の逆襲、飛びかかってマウントポジションとっての「ふざけんなボケ!!」「ウチの命令に従え!わかったら口をきく前と後ろに「サー」をつけろー!」にバレットは「サ・・・サーイエッサー!!」とやはり服従するしかないのだった。心の中で戦っているはずのティムに共に戦うという思念波が届くことを祈りつつ、上着を借りてバレットに背中をさすらせ回復を待ちながら葵は昔の話など聞かせる、そして「あんたらも、ウチらもみんな誰かの大事な人間なんや!!全員で力を合わせてブラックファントムの呪いと戦おう!!」と自分とバレットを奮い立たせる。
バトルは、オモチャへのこだわりの部分が強い能力を発現させている、というティムのイメージに由来する能力を逆手に取る葵の作戦で、最終的には勝利するのだが、途中、通信回復し薫に連絡が取れ安堵で泣いてしまう葵をみて、バレットが自分に強さが足りず格好つけてるだけだったので葵を安心させられなかったと恥じるシーンがあったり、最後、葵が作った隙を狙って麻酔弾をバレットがぶち込んで仕留めた後、「さすがやなバレット」と射撃の腕を褒める葵に、葵の精神的なタフさや戦況を読み作戦を立て仲間を守る強さをまのあたりにしたバレットは、「すごいのは自分ではありません。」「葵どのの強さが敵に勝ったのです。心の強さもレベル7です」と賛辞を惜しまない、というシーンがあったりする。というように、葵に対する恋とは少し違うのかも知れないが、敬愛とでもいうような感情がバレットに生まれている様子がみてとれる。前述の「俺もティムももっと強くならなければ。」云々の台詞はこのときのもので、葵を守れるような男になりたいと強く願っているように当方は思える。
そのときの葵の反応もまんざらでもなく、「ウチ・・・そんなん言われたん初めてや。おおきに!」と笑顔を見せて照れている。その後、ギリアムが放った、遠隔地から超能力を使うための通信媒体のように使えるレアメタル製の「虫」がティムの襟元から出てくるのを見て、葵はテレポートでバレットの胸に飛び込みしがみつくシーンがあって、これはまんざらでもないな感がさらに増すのだが、皆本達が現場に到着すると、バレット捨て置いて薫の胸に飛び込むのであった。雪の上にティムとともにのびて「もっと強くなろう」とつぶやくバレットであった。
3発目は、未来から来たフェザーの中にある葵の記憶のシーン。大人になった葵(胸は一応影が付く程度には成長している)、が戦場の街の上空にテレポートで到着すると、そこには核弾頭を積んだミサイルが飛んでいて、間一髪ミサイルを新たに「覚醒」したのか念動力系っぽいネーミングの「念動・量子切断剣(サイキック・クァンタムカッター)」でぶった切って、薫に電話をかける(全然関係無いけどクァンタムってリールあるけど「量子」って意味やったんや)。「この街はもうあかん!早く−−」「あっ・・・!」で電話切れて、小学生時代の葵が「ウチ死んだ!」とショックを受けるシーンなのだが、この後、葵は間一髪戦闘機の攻撃を避けて、コックピットに張り付いて核使用などという敵味方関係無しの愚行に抗議しようとするが、その機は無人操縦機で葵に自爆攻撃を仕掛けてくる。そこに戦闘機に乗ってバレット登場、「離れて!これは全部罠だ!!」と葵に告げるが、追ってきた戦闘機に背後から撃たれ、バレット、葵の目の前で戦死。
という悲しい結末を見た葵の記憶がフェザーの中にあるという事は、バレット無駄死にではなく葵を救っているという事だ。少なくともフェザーのいた未来時間世界で、バレットは葵を守れるだけの強い男になり、バレットにとって葵は自分の命を捨ててでも救わなければならないほどの大切な人になっていると読める。
ここまで読んでくると、バレットの葵に対する想いは芽生えはじめており、未来においては葵を愛することになるのはまず間違いないと読んで良いように思う。
逆に、葵のバレットに対する想いは、まあ悪くはないと思う。でも、自分に好意を寄せていて言う事も聞かせられる取り巻き的な位置づけだろうか。
フェザーが皆本に対して、「私の中にいる3人ともあなたのことが大好きよ」と言っているように、葵の本命は今もフェザーのいた未来時間世界でも皆本である。
葵とバレットの2人の「恋愛フラグ」には否定的な材料である。
しかしながら、このマンガで未来が書き換えられ、ハッピーエンドで終わるのなら、皆本とくっつくのはパンドラに寝返り女王になろうが何しようが、メインヒロインの薫のはずである。能力者の作った夢の中だったり、フェザーとしてだったりするが、皆本から薫にキスしようとした場面が何度かあり、皆本〜薫ルートは開通済みと読んじゃって良いんだろう。まあ予定調和なのでそれほど興味をそそられるネタではないので詳しく検証もしないが、それであってると思う。
そうすると、葵と紫穂はあぶれるわけで、紫穂は後に回して、その場合の葵の取るであろうというか、取るべきルートはバレット一択でしょう、常識的に考えて。
葵はしっかり者である。中学1年の試験勉強エピソードで3人のうちの1番の成績をとり、皆本とのデートの権利をゲットした際には2人に「ウチらはもう中学生や。いつまでもみんな一緒ってわけにいかへん。」「少しずつ自分の人生を歩いていかなあかんねん。」「そろそろルートを決めてエンディングを一つ選ばなあかんねん。それが大人になるということや!!」「わかるやろ?」とくしくも言っているように、3人のうち誰かが皆本とくっつけば、2人があぶれることは理解している。まあ、自分が皆本と結婚するエンディングを前提に話してはいるのだが。
葵は女子としての計算ができる。何も知らない、いいところのお嬢さんタイプに見えて、紫穂が「それも女の子は計算してやってるんだけどね」と指摘するように、女子としての計算能力が高いキャラである。皆本ルートが消えたなら、次善のルートでキッチリ幸せをつかむだけの女子力は持っているはずだ。当然、自分の絶対的支配下に置きカカア天下を構築可能でかつ自分のために命を捨てられるほど愛される相手を見逃すようなヘマはしないだろう。
ということで、当方はバレットと葵に「恋愛フラグ」が立っちゃっているのではないかと思うのである。
マンガ、アニメでラストバトルを勝利で飾りハッピーエンドを迎えた後に、後日談でそれぞれのキャラクター達のその後を描いて、誰と誰がくっついたとかいうエピソードで、意表を突いたり、なるほどと思わせたりと楽しませる企画が、これもお約束的だがあったりする。「不思議の海のナディア」がその手のラストでは印象に残っている。
その辺を意識して、この物語のエンディング後のキャラクターの誰と誰がくっつくか、追加で何組か予想しておいて、最終回をむかえた後で答え合わせをしてみたい。
とりあえず、予想というほどでもなく鉄板なのは、東野君・ちさとちゃん組とチーム「ザ・ハウンド」の初音と明の幼馴染みカップル2組。
普通人の東野くんとレベル2の能力者ちさとちゃんのカップルは、時々バベルの監視衛星に甘酸っぱいエピソードをとらえられていて、バベルが閣議にはかってその映像の保存が決定されたりしている。
初音と明も、新しい現場主任として赴任してきた女性に明を取られると思った初音が「お前の匂いを止めてやる!(誰の決め台詞だったか思い出せないけどこれもパロディー)」と嫉妬に怒り狂ったことからも、お互い普段は意識してないようでも堅いと思う。
実は「絶チル」にはもう一組幼馴染みカップルがいて、パンドラの子供達の火を扱う能力者カガリと、体を細い帯状に変化させていろいろ便利に使う能力者のカズラの2人で、ここも堅いといえば堅いのだけれど、あまり手堅い賭ばかりでは面白くないので、博打に出たい。カガリと悠里がくっついてカズラが泣きを見るに3000点。
根拠は、「降ってくる美少女フラグ」の強さに賭けるというところか。25巻で階段でバランス崩して落ちた悠里を、下でカガリが抱きとめている。その後別のエピソードでも、その場に悠里を引き留めておけと指示を受けたカガリが「一緒にいてくれ」と言ってしまい、悠里はまんざらでもない照れようだし、カズラはふくれるしというエピソードがあるので、賭けても良いとは思う。
さらいいうと、博打に出た根拠となる要素としては、最近アニメマンガオタク界隈で聞こえてくる「いつの間に幼馴染みは負けフラグになってしまったのだ?」「幼馴染みが噛ませ犬すぎてつらい!」という声も影響していると思う、確かに「タッチ」のみなみちゃんやら「帯をギュッとね!」の巧の幼馴染み(名前忘れた)のような絶対的幼馴染ヒロインというのは最近見かけない。かつ、降ってきたヒロイン「ガハラさん」の裏では負けた幼馴染キャラ(の一種だと分類)千石撫子がラスボス化してえらいことになったし、これまた降ってきた「あの夏」の「イチカ先輩」の影には名前忘れた幼馴染みの涙があったりする。現代のマンガアニメのすう勢においては「幼馴染み」は「降ってきた美少女」に勝てないと分析するのが、データ野球というものだろう。野球じゃないけど。
それでも、この賭けが分が悪いのは、フェザーの見てきた未来では悠里である「ファントムドーター」は兄のギリアムに、なんだか禍々しい厄災の発生源臭い「ファントム・システム」の部品として使われちゃっているのである。あの状態から、恋愛フラグ回収して、カガリとくっついたら、そのときは「降ってきた美少女恋愛フラグ最強神話」の誕生だろう。
もう一発、ついでに博打を打っておくと、チルドレンの残りの1人紫穂は賢木先生とくっつく。
根拠はいろいろエピソードを重ねることも出来るけど、結局のところ2人の能力からの帰納。共に高レベルのサイコメトラーで人の心が読める。従って普通に恋愛していれば百戦百勝、落ちそうな相手は確実に落とせるし、そもそも落とせない相手には手を出さないで済む。ただそれが恋愛などと言えるだろうか?賢木先生はとっかえひっかえ恋人を作って楽しんでいるが、パンドラの女幹部「紅葉」に「単にうさばらししているだけで、それにつきあわされる女性はたまったもんじゃない」と痛いところを突かれている。
相手がどう自分のことを思ってくれているのだろうと不安になったり、相手の仕草に想いを感じたり、押したり引いたりの駆け引きしたり、そういうのが可能な相手は、2人にとっては、設定がやや揺らいだりはするものの、基本ある程度「読心」に対しガードが出来る設定となっている同じ能力系の高レベル能力者に限られている。作中では同族嫌悪的にいがみ合うことも多い2人だが、もし2人がくっつかなければ、賢木先生は憂さ晴らしの女漁りに終始し、紫穂もちやほやしてくれる取り巻きをはべらせるも、皆本を思い出す日々的な展開しか思い浮かばない。それはそれで恋愛だけが人生じゃないからまあいいけど、ちょっとホロ苦めのエンディングだ。
紫穂に関しては、思いっ切り心を読んだところで、純粋にオタクな楽しみに没頭しているだけのイノセントボーイのティムに安心を感じるという展開はありかもしれない。が、ティムに彼女が出来たりするのがどうにも想像できないので却下しておく。
でてきたついでに「紅葉」さん、いちおう「大きくなったら真木ちゃんのお嫁さんになろうかな」的なことを言っており、同じくパンドラ幹部の炭素繊維使い真木とくっつきそうなモノだが、はっきりいってこのタイプの女性の未来を予想するのは男には出来ない。聡く欲望に忠実で美人。「固太りキャラ萌え」という嗜好で、バベルの桐壷局長のファンだが、局長の愛人になったりとかするつもりもなく、そこは観賞用的な割り切りをしている。しかしながら、真木や少佐に固太るように3杯飯を強要したりするが、自身はその横でダイエットしているという怖い性格。酔った真木に水のかわりに砂糖水を飲ませようとするエピソードもあり、真木にはそれなりに愛着はあるようだが、行動原理がよく分からない。賢木先生も紅葉にはそういう意図はないが、結果として振り回されたりしている。
最終的に何やっても驚かない。皆本をチルドレンから寝取っても、少佐を生きながらえさせて愛しても、もっと斜め上に予想を超えてきてもそんなモンだと納得せざるを得ない。女性にはそういうところが多かれ少なかれ有る。ホーキング先生も女性は宇宙より謎だとか何とか言ってたはずだ。
最後に「澪ちゃん」だが、まあ幸せになれるとだけ予想しておく。少佐が何も言わず死んでしまったとしても、コレミツやら幹部連中から少佐が澪のことを、恋愛対象ではないとしても大事に思っていたという事は教えてもらえるはずで、それだけで報われ、幸せな思い出として少佐への想いを心にしまって生きていけるだろう。
澪ちゃん結構恋愛体質である。案外ホレっぽいうえに、魅力的なツンデレ娘で、薫が保護対象として認識しているように危なっかしくて守ってあげたくなるタイプでもある。たぶん寄ってくる男には事欠かないだろう。まあその中から良さそうなの選んで幸せになってしまえばいい。
澪ちゃんファンとして欲をいうなら、最後、何日かでもいいので少佐には生き残ってもらって、「北斗の拳」でユリアをケンシロウが最後看取ったように、澪ちゃんに最後を看取らせてやって欲しい。
その場合は、「澪のことを陰からいつも見守っていたんだよ。」「澪の気持ちは嬉しかったよ。」ぐらい少佐は言ってやってから死ぬように。たのむゼほんと。
以上、長々と書いてきたが、書きたいことは書きまくれたと思う。途中、頭の中で思い出やイメージが次のイメージを呼び、さらにそこから枝葉が派生して、それぞれ展開していきまた新たなイメージを呼ぶというような「脳内ハウリング」状態になって、書きまくっても追いつかずにしんどい目にあったりもしたが、何とか適当に整えつつ書ききることができた。毎晩遅くまでかかって、とても疲れたが、とても楽しくもあった。
同居人にも「毎晩何やってんの?」と不思議がられ、マンガの解説と答えれば「原稿料でも出るの」と不思議がられ、。あげくまた「自己満足」か、とあきれられたが、まさにその通り。自分としては充分満足できたのでなんら問題はない。
ただ惜しむらくは、くしくも書いている最中読んだマンガで、東村あきこ先生にも玄人とアマチュアの差を思い知らされたが、どれだけ一生懸命書いたとしても、当方の書くマンガの話は、しょせん素人レベルであることが、いま書ききって内容を思い出しても理解できる。まあ、いろいろ書いたけれど、当方の意見や分析のようなものは、探せばネットでも既に誰かが書いているようなネタばかりだと思う。
必ずしもオリジナリティーだけが重要というわけではなく、同じ素材を違う人間が違う切り口で書くというのも有りだと思っているし、そう書いたが、当方の書いた文章に価値を認めてくれるのは、たぶん同世代のマンガ読みが、「あるある」「あったあった」と知識・体験を共用してくれる場合ぐらいだろう。
自分とその人達だけのために書いても全く問題無いと思うが、かけたコストの割にはできたモノは結果的にはショボかったと思う。
今後は、また普段の「面白かったよ情報」の発信程度に戻るのが賢明だろう。
やはり当方、本職は「魚オタク」である。魚、釣りの話には、需要は少なくとも、当方のサイトにしか無いネタが少なからずあるという矜持はある。そちらが自分の本筋だなと再認識できたのも収穫だ。
満足感と、若干の寂しさを感じつつとりあえず終わりとしたい。
がしかし、この話はまだ最終回をむかえておらず、当方の読みの答え合わせが必要である。とは別に、今回ネット検索等無しのルールでやっているので、あやふやな部分とか不明な部分等有る。間違いもたぶんあると予想できる。と言うことで、まあボチボチと解答編も書いてみたい。こちらは気長におつきあい願いたい。
以上
(2012.3.24)
○「絶対可憐チルドレン」個人的解釈(解) −答え合わせ編−
書いているときに、気になっていたけど「ネット検索禁止」縛りで書いていたので、不明なままモヤモヤしていたことを早速調べてみようとして、「ネット検索禁止」が、すばらしく的をえた措置だったことが判明した。
とりあえず、紫穂の中学シーズンに使っている拳銃が「グロッグ16とかの感じの」とごまかしたけど、実際は何なんだろうと、検索かけてみたら、答えにたどり着く前に、膨大な量の2ちゃんの「紫穂スレ」やら、個人の検証、感想ブログなどが引っかかってきた。こんなん読んでから書いてたら、既に人が書いていることと感じてしまい、バカ臭くなったりして何も書けてなかったはずだ。まだ読んでない最新のサンデー掲載話のネタバレやらもあって、とりあえず直接「絶チル」関連の検索は、物語を楽しむ意味からもしばらくやめておくことにする。ウィキペディアもしっかり最新話に対応して更新されているようでちょっとネタバレしてしまってショック。まあ、予想の範囲内だったけど。
ということで、直接は関連無いネタで不明だった点を、ポチポチと拾っていく。
○ ゲゲゲの鬼太郎のアニメ化は4回ではなく、5回だった。4回目と5回目はちょっと目にした程度なので混同していたようだ。3回目に夢子ちゃん出てきて、4回目に猫娘が可愛くなるという流れはその通りで問題無かった。5回目ではさらに猫娘毎回登場のレギュラーに昇格しているらしい。猫娘出世中。
○ ぬーべーネタ、ウィキペディア見ると、なんか当方の記憶と律子先生振ってゆきめと一緒になった経緯が違うんだよね。ウィキペディアみても全然覚えていないエピソードだらけと言うこともあり、これはもう一度全巻大人買いで確かめるしかないな。関連スレでは「なぜぬーべーはゆきめを選んだのか」というそのままズバリのがあって、当方と似たような考察をマジレスしている人もいるけど、大半が「若いから」という「このロリコン共め!」的なレスで参考にならん。
○ バレットのルックスのルーツ、ブルーハーツの誰だっけ?と気になってた。真島昌利愛称マーシーって「ろくでなしブルース」そのままやんけ。「ろくでなしブルース」のマーシーは本名海老原昌利だそうだ。
○ 少佐ほかにいるかとちょっとググったら、大事なの忘れてた。パタリロのバンコラン少佐忘れてるとはオレ的には許せないミスだな。世間的には「エロイカより愛をこめて」のクラウス・ハインツ・デム・エーベルバッハ少佐も人気のようだ。知らんかった。
兵部少佐の階級の謎はウィキみられないので、撃たれた時点で死んだはずの人間として「2階級特進」扱いされてて「少佐」という仮説の元に、少佐の2階級下を調べてみた。士官クラスが大佐、中佐、少佐、大尉、中尉、少尉なので、殺されそうになったエピソードの時点に「中尉」であればピンポンかも知れない。作中確認できるのは少尉までだが、開戦前は上等兵だったので、戦争中出世しており、終戦直前の殺されかける時点で中尉なら正解っぽい。もちろんその時点で少佐だったという可能性もあるが、現場の隊長クラスが少佐と考えると隊長に殺されかけているのでどちらかというと「中尉」っぽい気がする。
○ ドラえもん世界の時間設定がどうなっているのか調べようとしたが、ウィキには見当たらず、素人の独自解釈は当方の知識程度で読んでもお粗末なモノが多く役に立たなかった。こういう時、「ネットにはいろんな情報があふれているのに、ほんとに欲しい情報だけが抜けている。」と感じざるを得ない。公式ガイドブックか謎本でもあたらないとダメっぽい。これだという答えをご存じの方はご教授願いたい。
ただ、藤子・F・不二雄先生の、おもしろい言葉を拾った。孫引きだが引用元も載せてくれているので、そのまま引用させてもらう。
激しく同意。ちょっと極論過ぎるかもしれないが、まあ、当方の書きたかったようなことは、とっくの昔に言ってくれていた。百の援軍を得たような気分だ。
○ ドラゴンボールの未来から来たトランクスのあたりは書いたことは自信がなかった割にはあっていた。時間パラドックスの存在を知っててやってきたわけではなく、過去改変を行って初めて時間が分岐することに気付いた点がちょっと違った。ただその後、ストーリーはタイムパラドックスをネタに複雑に絡んで進行するようで、正直そんな話だったっけ?状態で連載当時は意味不明のまま読んでいたのかも知れない。たまらん面白さだったという印象だけは残っているのだが。ドラゴンボールも死ぬまでにもう一回読んでおきたいものだ。
→ドラゴンボール電子版で読み直した。オレの記憶力今回は意外と正確だった。ウィキでは過去改変を行って初めて時間が分岐することに気付いたように書いてあったが、未来トランクス知ってた「そうならない世界もあって良いんじゃないの」というオカーちゃんであるブルマの言葉に従い、孫悟空が死ぬ未来を変えてその世界を救い、自分の世界の未来のために悟空に修行付けてもらう目的も持って時間を超えてきたというのが正解っぽい。ちなみに未来トランクスのルックスはターミネーターのジョン・コナー少年のイメージだなと気がついた。ドラゴンボール全巻読み返しは、やっぱりめちゃくちゃ楽しめた。(13.04.29)
○ パロディーとオマージュは意外に定説がないような感じだ。オマージュはリスペクトがふくまれていて、風刺、揶揄、コメディ要素があるのがパロディーとしているような解説が多いが、「揶揄、風刺、批判」と書いているウィキのパロディーの項目では、日本の事例として、それらの要素がない「本歌取り」を例にあげたりしていて、しょせん素人衆がソース持ち寄ったモザイク状編集のウィキでは限界があるのを改めて感じた。こういうのは地味だけど基本に戻って広辞苑とか引くと一発回答が載ってたりするはずだ。
○ 「パンドラ」ミッシングリンクはやっぱりあった。「契約者」と呼ばれる超能力者が活躍するらしい「ダーカーザンブラック−黒の契約者−」の国連機関「PANDORA」。背後に「組織」が存在し、契約者を滅ぼす研究をしているらしい。これは要チェックやな。
(2012.3.24)
○今朝、今期一番楽しみにしていた深夜アニメ、綾辻行人原作のミステリーなホラー「Another」最終回を見た。最後まで結末の分からぬ展開で「そうだったのか」「そういうことか」「なんとそういう意味が」と次々に回収されていく伏線の見事さに痺れつつ大いに楽しめた。いやはや今時のミステリーの名手はやりおるわい。まったく「紛れ込んだ見えざる死者」が誰なのか種明かしまで読めんかった。気持ちの良い完敗。ストーリーやらの細かい部分は原作でもアニメでもどっちゃでもいいんで是非楽しんでくれということで詳しく書かない。でも「恋愛フラグ」関係の面白いネタがあったのでちょっとだけ書くのでネタバレ注意。
実はこの物語には主人公が「転校生」という恋愛フラグの他に、「フラグ」の解説のところで「最強の恋愛フラグ」としてあげた「降ってくる美少女」が実はいたのである。しかも、降ってきた美少女に「フラグ」が立って、美少女側恋に落ちているにもかかわらず、下で受け止めた主人公側に「紛れ込んだ見えざる死者」のせいで「フラグ」が立たなかったことになってしまっている。という奇妙な状態が生じていて、見ていて報われない美少女がかわいそうでならんかった。切なかったゼ。オレの中ではこのアニメは「アカザー」として記憶しておきたい。
書いたついでに、いくつか「解」を、
○1巻、「会議は踊る」でOK。ウィーン会議が題材とか。
○2巻」、「長距離瞬間移動能力者の孤独」はイギリス映画「長距離ランナーの孤独」が正解のようだ。「あたしンち」はそのままでOK。
○3巻「美しき獲物達」は007でOK。
○4巻「ナショナルキッド」はOK、ナショナルとのタイアップの超能力ヒーローモノ。
田中圭一の単行本の帯の推薦文正確には「訴えます!ライオンキングは許せても田中圭一は許せません。手塚るみ子」。娘さんだった。ちなみにマンガの題名は「神罰/田中圭一最低漫画全集」。
「けっこう仮面」はウィキによると「顔を全頭型マスクで覆い、他にマフラー・グローブ・ブーツ(マスクも含め、それらの色はすべて赤で統一されている)も着けているが、それ以外は全裸という謎の少女」だそうだ。「まぼろしパンティ」は、「目の部分を切って開けたマスクパンティを頭に被り、パンティ(回によって違う)、マフラーとグローブ、ブーツというコスチュームを身につけ、まぼろしパンティと名のる。」だそうだ、どちらも結構実写オリジナルビデオ化されていて驚いた。日本は平和だ。
○6巻。「DRIVE」は正しくは「D−LIVE!!」皆川亮二先生でした。
○7巻。惜しい。ブラックジャック先生、3千万円ふっかけてた。
今日はこのぐらいにしといたるわ。by池乃めだか
(2012.3.27)
○11巻、「面影」は朝ドラとかいろいろあるけど、クラークゲーブル主演の映画でOK。
「耳無し芳一」は、平家一門を祀った阿弥陀寺(現在の赤間神宮、山口県下関市)を舞台とした物語とのこと。似たような別の話もあり、古くは耳切り団一とも呼ばれたとか。
○14巻「ファントム・メナス」はスターウォーズエピソード1でOK。
ちなみに響子さんの「PIYO(ひよこマーク)PIYO」エプロンはグッズとして売ってるし、調べると「うる星やつらの」諸星あたるのお母ちゃんも愛用していたとか。当方が力一杯たどり着いた境地など、実にヌルいモノであったと再認識。
○15巻力石の台詞、正確には、
「あ…ありがとうおじょうさん…そのお気持ちだけ…ありがたく飲ませていただきます」
(白湯をこぼし)
「もうすこしで…くじけるところでした…試合はもう目と鼻のさきにせまっているというのに―」
「でも もう大丈夫…きざないいかただが…おじょうさんのその涙を見て決意が さらにかたまりました」「もう 今後かぎも見はりもいりません」「ほんとうにだいじょうぶ」
「この やせさらばえたからだで りっぱに矢吹丈と打ち合ってみせます」
「ありがとう おじょうさん…今夜はぐっすり眠れそうです おやすみなさい」
でした。まあだいたいあってた。
タヂカラオは正確にはアメノタヂカラオ。
○16巻 「魁クロマティ高校」は正確には「魁!!クロマティ高校」野中英次先生。元ネタも正確には「魁!!男塾」宮下あきら先生。ミンミン堂書房は「民明書房(ミンメイショボウ)」が正しい。
「ドントトラストオーバーサーティー」元ネタ拾おうとしたら、ムーンライダーズとかケラの「ナイロン100℃」の劇とかの2000年代のネタしかヒットしてこず、若い人はそれがオリジナルだと勘違いしてそうだ。元は誰が言ったかまでたどり着けなかったが、70年代のヒッピームーブメントから生まれた象徴的な言葉である。先日、古い版の「猿の惑星」(1968)を見ていたら、猿人の科学者の甥っ子が、理由を知らされずにこき使われて「ドントトラストオーバーサーティー」と生意気な口をきくシーンがあって、当時の時代の空気を反映した流行の言葉であったことがうかがえた。
○17巻 「家に帰ろう」はそういう題名の歌がいっぱいヒットして、正解不明。
ケーキからセクシ−ネーチャンはセガールのやっぱり沈黙だった「沈黙の戦艦」。ちなみにおネーチャンはエリカ・エレニアック。その乳をオーケン先生が絶賛していた。
○18巻 「ロペスピエール大越先生」だった!検索かけたら今回はヒットしてきた。田中圭一「鬼堂龍太郎・その一生」からだった。そうか田中圭一か。納得した。オレ好みのマイナーギャグマンガ家なんてそうたくさんはいるわけはない。田中圭一にはお下劣マンガの革命児たらんとする気概を感じるね。これで、安心してベルばらが見られるというものだ。
「CLAMP」先生、ストーリー担当1名ほか3名の4人ユニットだった。記憶ほど大所帯じゃなかった。こんなの普通の先生1人にアシスタント3人の体制とかわらんがな。
○19巻「これは涙、泣いているのは私?」の綾波台詞は、別のところの4コマでもつかわれているのをあとで発見した、椎名先生エヴァ嫌いというわけではなさそう。
○21巻「謎の転校生」はやはりそのものがあった。「なぞの転校生」眉村卓で映画化、ドラマ化されているようだ。1967年の古い作品。
グレートマジンガーの頭に突っ込む飛行機部分の名前は「ブレーンコンドル」。こういうのを調べるのにはネットが極めて便利。
ガハラさんの台詞は正確には、
「銅四十グラム、亜鉛二十五グラム、ニッケル十五グラム、照れ隠し五グラムに悪意九十七キロで、私の暴言は錬成されているわ」
「ほとんど悪意じゃねえかよ!」
「ちなみに照れ隠しというのは嘘よ」
「一番抜けちゃいけない要素が抜けちゃった!」
「うるさいわねえ。いい加減にしないとあなたのニックネームを生理痛にするわよ」
「投身モンのイジメだ!」
「何よ文字通り生理現象なのだから、恥ずかしいことではないわ」
「悪意がある場合は別だろう!」
てな感じです(講談社BOX「化物語」上)。単位は%じゃなくて重さでしたな。
○25巻 「あのことスキャンダル」で始まるチェッカーズのナンバーの題名を調べたら、そのまんまが題名だった。
○26巻 「1億の男」は「100億の男」国友やすゆき先生の間違い、ちなみに「600万ドルの男」というのが古いアメリカのドラマにあって、サイボーグもの超能力もののようだ。
「F24」自信なかったが、やっぱり間違ってた。「F35」が正解。
○27巻 「JASLUCKY申請却下 223620679」の部分の数字には必ず意味がある、意味のない数字をここで持ってくるほど椎名先生詰めが甘くはないとは思っていたが、検索無しでは何か思いつけず。検索かけたら一発で判明。「富士山麓にオオム鳴く」、5の平方根、√5の語呂合わせだ。マンガのシーンが富士山頂付近でのバトルというのに引っかけている。
「闇をのぞき込むとき 闇もまたお前を見ている。」は、どこで自分がみたのかまでは特定できなかったが、大元はニーチェ臭い。ロバート・K・レスラーの「FBI心理分析官」の冒頭にニーチェが言ったとして「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」と書かれているらしい。
○28巻 「アンナカレーニナ」はトルストイ。「シガタダシ」元ネタは志賀直哉かも。
「空の荒鷲」は当方が思っていた実在の戦闘機乗りの話と違った。軍記高揚モノのセルアニメのようだ。当方が勘違いしていたのは「大空のサムライ」坂井三郎だ。
○29巻 チェーホフでOK。
○フラグ関係 「アップル・シード」ブリアレオスはネット情報見る限り精巣残っているっぽい。
「Anather」主人公は榊原恒一、ツンデレツインテール娘は赤沢さん。
「フルメタル・パニック」のメインヒロインは「千鳥かなめ」、艦長が「テレサ・テスタロッサ」大佐。
「インデックス」が空から降ってきたかどうかは、ネット上でも議論があるようだが特定するにいたっていない。「降ってきた少女」に数えるのに疑問が呈されていることもある。
ホーキング博士のお言葉は、
「ホーキング博士は8日(2012年1月)に70回目の誕生日を迎えるのを前に、英ニュー・サイエンティスト誌の取材に応じ、これまで犯した最も大きな失敗や近代科学への期待などについて話した。その中で博士は、最も思考をめぐらすのはどういう問題かと聞かれ、「女性。彼らは完全なるミステリーだ」と語った。」
てな感じです。とりあえず一通り今段階で調べられるところは調べたのであとは、最終回まで読んで答え合わせか。
(2012.3.31)
○「地獄先生ぬーべー」文庫版全20巻読みました。昔少年ジャンプで連載されていて、ほとんど内容覚えていないけどおもしろかった記憶はあった。憶えているエピソードではぬーべーが雪女の「ゆきめ」と添い遂げたエピソードが結構印象深く記憶に残っていて、このコーナーの「人外萌え」の解説のところで「。「地獄教師ぬーべー」でぬーべーが、雪女であるユキメを幸せにできるのはこの世で俺しかいないと、両思いだったはずのリツ子先生をあきらめて、ユキメと添い遂げてあげるエピソードには子供心にも「ぬーべーは男のなかの男や!」と感動した覚えがある。」と書いたのだが、ウィキペディアでは「ぬーべーはゆきめのことを愛している自分の気持ちに気づいて、ゆきめに愛していると告白する」的な書き方がされていて、やけに自分の記憶と違うなと違和感を感じて、これは再度読んでみるべきかなと思い読んでみた。
結果、当方の記憶のような要素がなかったともいえないが、ウィキの解説がより素直な読み方で、ぬーべーが当初ヒロインだったリツ子先生ではなく、次第にゆきめを愛するようになっていた、というのが今読んでの解釈である。そのほかにも地獄「教師」ではなく地獄「先生」だったり、子供の頃読んでいたと思っていたけど、掲載年を確認すると意外と大人になった大学生の頃に読んでいたことも判明した。記憶は思ったほどあてにならない。
なぜ、大学生の頃はそういう深読み気味の読み方をしていたのか、今となっては本当のところは分からないが、けなげな「ゆきめ」と今読むとそうでもないんだけど、ちょっとお高くとまっている感じの「リツ子先生」との対比で、若い日の当方は妖怪だしいかにも分が悪そうだった「ゆきめ」に肩入れして読んでいて、ぬーべーが「ゆきめ」を選んでくれたことに「やさしさ」「男らしさ」を感じて、そういう方向にちょっと偏って読んでいたのかもしれない。でも、そういう読み方もまあありとは思う。若い頃と今と、そんなに考え方やら感じ方が違っているとは思っていなかったが、20年もたつと人はいろいろ変わるようである。
20年経って、ほとんどのエピソードを忘れていたので、あらためてむちゃくちゃ楽しんで読めた。文庫版特典として、「メイキングオブぬーべー」として、作者である原作担当真倉翔先生、作画担当岡野剛先生が連載当時を回想していたりするのも面白かった。
「ぬーべー」は名作妖怪マンガだと思うが、「おっぱい漫画」としても評価が高い。作画担当の岡野先生も、カラーページがもらえたら、とりあえず読者サービスの「お色気シーン」から書いたというぐらい、ちょっとエッチなシーンが多かった。今読むと少年誌の表現なので健康的というか、今時、ネットでサクサクと手に入る無修正のエグいエロ物件と比較すると、格段に味わい深いというか、正しくエロい感じがするのである。
世界各国でも出版されたそうだが、国によって規制が違い、エロへの修正の入り具合も違ったようだ。それについて「追加修正大いに結構。その国それぞれの規制ギリギリが一番おいしいところなんです」と書いてるところなどにも、さすが「おっぱいマンガ家」わかってらっしゃると感心するしだいであった。
先生たち、そういう正しいエロをテーマとした「ハレンチジャンプ」が、今の少年たちのために必要ではないかと書いていて、大いに賛同するところである。豪先生あたりにも一本書いてもらって、「変態仮面」の人やら、弓月光先生やら、桂正和先生やら、あとジャンプ系でエッチなマンガ家といえば誰だろうか?そのあたりの健全なエッチマンガを書ける人を集めての、一発企画でも良いので「ハレンチジャンプ」是非読んでみたい。
20年前の記憶としては「5年3組ぬーべークラス」の貧乳ツインテールの郷子ちゃんが可愛かった記憶があったのだが、今回読んで、小学生のくせに巨乳キャラの美樹ちゃんの炸裂ぶりに大いに楽しませてもらった。おしゃべりで奔放な性格で、いつもよからぬことに手を出して、妖怪連れてきちゃったりするトラブルメーカーなのだけど、後半、ぬーべーから妖怪解説マシーンとして使われたり、ろくろっ首になったりハチャメチャな活躍で、たまにらしくない善いことをして落差でジンとさせたりとなかなかの役者ぶりである。
ぬーべーのキャッチフレーズは少年ジャンプのキャッチフレーズ「友情・努力・勝利」をもじって「友情・努力・・・恐怖」だそうだが、実際には怖い話だけではなく、エロかったり、面白かったり、いい話だったりが良いあんばいにブレンドされている。後半はややネタ切れ気味でジャンプ系バトルマンガっぽい乗りのエピソードもあったりする。
歳くうと「いい話」系には弱くなるのか、何本かいい話エピソードには涙腺緩みそうにさせられた。特に座敷童を幸せにするエピソードが良かった。幸せを運んでくる妖怪「座敷童」を逆に幸せにしてしまうなんて、なんて素敵なお話なんだろうと、いたく感動した。
「反魂の術」エピソ−ドは「火の鳥」のテーマをお二人ならではの切り口で堪能させてもらった。「貧乏神」エピソードには大学生の頃こんなマンガ読んでたから「金なんてそんなに大事なもんじゃねえ」と思うようになったのかもと思わされた。
あと、「ひまむし入道」のキュートなデザインに和んだ。極めてキュート。
体中にテストの答えが「聖痕」として浮かび上がった「まこと君」が机の上でバラをくわえてストリップっぽいポーズとっているシーンの妙なエロさにはショタコン(少女趣味・ロリータコンプレックスの対義的な意味での少年趣味・正太郎コンプレックス)ではないはずなのだがなぜかドキドキした。
昔読んだ面白かった作品は、記憶力が衰えた今、やはり狙い目なのかもしれない。とにかく面白かった。
(2012.4.8)
○「絶チル」30巻読みました。安定して面白い。ねたバレしまくりでいきます。
物語は、皆本が金田一(少年じゃないじっちゃんのほう(横溝版映画))コスプレで謎解きに挑む、獣人化能力者の初音とその相棒明の実家「犬神家と宿木家の一族」の物語をはさんで、メインストーリーは兵部少佐がパンドラにフェザーと2人で殴り込みにいって帰ってこず、心配するパンドラメンバーとバベルメンバーの花見エピソードと、パンドラのギリアムと対決し、どうも死んだかも知れない少佐が、少年並みの記憶だけをフェザーが取り込んだ状態で帰ってきてどうしましょうエピソード、という感じ。
皆本は、以前、未来に起こることとして、超能力者の女王となった薫を自らの手で撃ち殺すという夢を兵部に見せられているのだが、そのとき体験した感情を思い出した皆本は、深い悲しみと共に、薫に命を捧げさせるほど愛されていたことにゆがんだ喜びを感じ、未来の自分が薫を愛していたという事実を認識させられる。で、未来を変えてみせる、そのために「僕が未来の彼女への思いを断ち切れば済む」と考える。この物語世界では、未来は確定的ではなく変化し得るモノで並行的に存在するものと少なくとも皆本は認識しているようだ。しかし、花見で酔った皆本にかいがいしく水と薬をもってあらわれる薫を見て皆本は「もう、手遅れかも知れない」と中学生相手に犯罪やろ!という胸の内の吐露が描かれてもいて、皆本−薫ルートはちゃくちゃくと開通向けて着工中という感じ。
その他のカップルの動向は、博打打ったカガリと悠里は、カガリはやっぱり幼馴染みのカズラと待ち合わせデートしているらしいシーンがあったりして、カガリ−悠里にはった3000点はスるんだろうなこれは。
明−初音は、双方の母親が2人の寝る布団並べて敷いたりと「両家公認」状態でここは堅そう。
紫穂−賢木先生は、これが意外と来るんじゃないかという雰囲気出てきた。見た目少年に戻った兵部少佐状態のフェザーに何があったのか、精神感応系の2人がその精神にダイブするのだが、途中、大人の話があるらしい兵部少佐が賢木先生を指名、一人でさらに精神の奥に進むというところで志穂は「まって!き・・・気をつけてね」とあきらかに心配している様子。「心配するな。」という先生に「し、心配とかじゃないでしょ!!引き締めて行けって言ってんのよ!!」と、これは「ツンデレ」っているのではないかという反応。このルートは行けるかもしれん。
物語も終盤をむかえ、目が離せなくなってきた。サンデー毎週買おうかな。「銀のさじ」も面白いらしいし。少年サンデーの作家陣見ると、あだち充先生やらベテラン揃いで、確かにこれでは今時の少年には売れんだろうなという感じだが、オッサン世代が読むにはいいかもしれん。
(2012.6.16)
○ アニメ版「絶対可憐チルドレン」1〜25話 好きなマンガのアニメ版を見るときは期待半分不安半分だが、アニメ版は不安の必要のない期待以上のデキである。全くの原作どおりのストーリーというのはやや退屈になりがちだが、かといって作品世界をゆがめてしまうような改変もファンとしては耐え難い。
そのあたり、アニメ制作チームは良い塩梅にテレビ用にメリハリ付けた構成に順番を変えたり、オリジナルエピソードを混ぜつつも、重要なエピソードは4コマからでも抜けなく拾っていて「うまいな〜」と感心しつつ見ている。
深夜アニメだったと思っていたが、日曜朝放送だったらしく、もろにチルドレンと同年代の小学生ぐらいをターゲットとして、わかりやすく、かつ、ダークサイドな部分を美しいストーリーに置き換えたりとウェルメイドな物語になっているが、かといって当方のような、お父さん世代が楽しめないかというと全くそういうことはなく、原作とちがう新たなストーリーを楽しみつつ、細かいオヤジ向けネタでも楽しく見せられている。
動きのあるアニメらしく、チルドレンの登場シーンは後ろで3色の爆発煙が上がる中、3人が決め台詞を言うのだが、これが桃太郎侍からコナン君から様々なパロディーネタでわらかしてくれる。ほかにも作中局長の台詞がキャンディーズの歌詞だったり、お父さん子供と一緒に見てても違うところで笑って子供にポカンとされたのではないだろうか。
皆本のエプロンが「GERO(カエルマーク)GERO」となっているという、ナオミちゃんの「PIYO(ひよこマーク)PIYO」エプロンが、高橋留美子先生の諸星ママと管理人さんのパロディだというのを踏まえたうえでの、さらなる細かいネタ仕込みも、アニメスタッフがいかに原作をよく読んでその世界観を踏まえたうえで楽しんで作っているかがよく分かるというモノ。ストーリーやエピソードの改編はその変更した意図が明確であり、そのあたりも感じながら一粒で2度美味しく楽しんでいる。
(2012.6.25)
○31巻 出てすぐに買って読んだが感想書く暇なかったので、再読したタイミングで書いておく。
30巻「ひき」で終わった少佐対ギリアムのエピソードと、ギリアムが放ったクローン人間の刺客に、「ESPキャンサー(超能力がん細胞)」を感染させられた賢木先生をすくうべく奮闘中エピソード。
少佐はフェザーに最小限の「魂」的なモノのバックアップを依頼したうえで、自分が拘束されその超能力をギリアムに利用されることを防ぐために、フェザーの中の「未来の葵」のテレポート究極奥義でこの宇宙の外、虚数空間に飛ばしてもらう(虚数空間ってのはアレだ、エヴァでシンジが取り込まれちゃった「ディラックの海」みたいなもんだろ)。なんかこう、「未来葵」は他にも「念動量子切断」とかいろんな奥義を極めているかんじで、外伝かなんかでそこまでに至る葵の修行時代のエピソードを書いて欲しいものだ。現時点では葵の修行というと4コマでたびたびネタにされている「豊胸修行」しかイメージにないが、究極奥義を手に入れるまでには、なかなか面白い物語がありそうな気がする。ちなみに今巻での豊胸修行では割と巨乳ちゃんに育ったザ・ハウンド初音に「ブラなんかしなくてイイ!!自然にのびのび!!その方が大きく育ちます!ホラ!」ときっぱり言い切られトライするのだが失敗に終わり胸を痛めるのであった。頑張れ葵!修行の先の未来には、ちょっと影が付くぐらいには育った胸が待っているぞ!
掲載時バレンタインデーをはさんでいたのか、4コマでバレンタインネタがあり、東野×ちさと、カガリ×カズラはあいかわらず堅い感じで、カガリ×悠里にはった3000点はいよいよスッたくさくなってきたが、賢木×紫穂はこれは「きた」かもしれん。賢木先生がESPキャンサーに感染して、チルドレンが紫穂のサイコメトリーを中心に透視イメージの中でESPキャンサーと闘うことになるのだが、紫穂は「ふん・・・!薫ちゃんと葵ちゃんも危険にさらすのは気に入らないけど・・・でなきゃ、このバカ死んじゃうんでしょ・・・?」「私が攻撃を引きつけるから−」とトゲトゲした物言いながら賢木をすくうため自らを危険にさらすことを厭わない台詞をはいており、あきらかに「ツンデレっている」感じがしてきた。葵×バレットはまだ進展無いけど賢木×紫穂はくるんじゃなかろうか。いい感じや。ちなみに時間経過と共にツンからデレへの変化が認められることが「ツンデレ」の構成要件であるという狭義の「ツンデレ定義」にまさにハマってきた感じである。この狭義のツンデレ定義の提唱者は調べたら「らき☆すた」の「泉こなた」だった。
と、なかなか面白くなってきた31巻だったが、不満を述べさせてもらえば「澪ちゃん」成分が不足していたところだろうか。今巻、本編ではストーリー関係無いところで王様ゲームで王様ひく場面しか出番がない。4コマでも、せめて夢で少佐に会いたいと願って寝たところ少佐が出てきてくれたんだけど、一緒に寝ていたモモンガ桃太郎の夢がテレパシーで混ざって少佐がひまわりの種食いまくりという「悪夢」になって激怒するというのが1本と、パティーのツッコミ役で一コマだけ出ているのの2本だけと寂しい限りであった。次巻での澪ちゃんの活躍に期待したい。
ついでに、今やっている「サイコパス」というアニメをみていてここに書くべきネタを思い出したので書き記しておく。「サイコパス」でも例のニーチェの台詞「闇をのぞき込むとき 闇もまたお前を見ている。」がでてきた、ニーチェを読んだことが全くないので、「絶チル」で読んだときも、ニーチェの作品ではなく、当方はどこか別の作品での引用を目にしたはずだと思っていたが、それが判明した。マンガ版「ナウシカ」だった。ニーチェの作品に触れたことのない当方のような人は多いかも知れないが、そういった過去の偉大な表現者の造り出したものは引用されたりして、脈々と現在の作品にも受け継がれていて意外なぐらいその影響は受けているはずだと想像している。こういうのが文化というモノの真骨頂だと思っている。先人の築き上げたモノを受け継いだり壊したり、模倣したり乗り越えようとしたり、いずれにせよモロに影響を受ける。そういう人間くさい営みが、蓄積された財産のうえに立脚しているものが、「芸術」というものの本質の一つだと当方は思う。「サイコパス」も面白い。
(2012.11.11)
○少佐の由来
全巻読み直していたら、兵部少佐がなぜ「少佐」と呼ばれているのかの由来が判明した。いつもは1ページくらいの4コマだけで1話分のページ全部埋めた企画があって、その中で各主要キャラの設定紹介があるのだが、「兵部京介(推定81)元帝国陸軍超能力部隊・少佐 T172、W56」とある。少佐まで昇進していたのね。スッキリした。
(2012.12.14)
○32巻
オリジナルアニメも含めると3度目のアニメ化の話があると聞いていたが、年明けて深夜枠で放送始まった。アニメオリジナルストーリーで「兵部京介」少佐メインの外伝らしい。楽しみに見る。そのあたりの番組宣伝的大人の事情もあってか、32巻表紙も兵部少佐だし、ストーリーも前半はちっちゃくなったコピーで帰ってきた京介少年メイン。だがしかし、「澪ちゃん」成分が足りないと前巻で嘆いていた澪ちゃんファンの要望にこたえてか、後半から久しぶりの澪ちゃんメインのエピソード「エスケープ・フロム・MIO」が始まる。1話目扉絵からでっかく澪ちゃん、狩人っぽいコート姿。1P目から2段抜きで澪ちゃん、オーバーニーソックスのセーラー服姿。以前は澪ちゃんと言えばノースリーブで前ジッパーのタートルネックが多かったが最近はいろいろ今時の感じの服装をしていて、マンガ独特のこのキャラのユニフォームはこれ的な設定はなくなってきた。たぶん椎名先生、女の子向けのファッション雑誌とか読んで研究している感じ。服の流行とか全く分からないけど、澪ちゃんに限らずちょっと古い巻を読むと、登場人物がそういえばこの頃はこんな服来てる人いたよねという感じの服装の時がある。エピソードは兵部少佐がどうなったかを知らされていない澪ちゃんが、何か知っているらしいチルドレンに問いただすために、連休中薫達のところに泊まり込もうとするのだが、今はまだ兵部少佐が帰ってくるか分からない状態で澪に心配をさせたくないという、薫達の意向で、3人の実家をたらい回しにして澪の寂しさを紛らわせつつごまかそうという作戦。澪ちゃん、京都の葵の実家でホッコリしたり、紫穂の家族と東京デジャブーランド(極楽大作戦の時からある)に行ったりして、皆にかわいがられながらも、薫に真相を問いただすために追跡を継続するという筋。あいかわらず良いツンデレップリで「澪ちゃん成分」かなり補給できた。
このぶんだと次巻14巻以来で表紙は澪ちゃんのような気がする。そうだと嬉しい。
(2013.1.8)
○アンリミテッド兵部京介第2話 兵部少佐の階級のなぞ、今回のアニメ版では「一度死んで2階級特進したのさ!」という台詞があって、マンガ版と統一的な設定かは不明だけど、当初当方が予想していた、終戦時「中尉」は今回アニメでは正解であったようである。
(2013.1.15)
○33・34巻 新刊でたので買ったら1巻買いそびれていたので慌てて本屋に舞い戻ってゲット。澪ちゃん編は割とあっさり終わってちょっと残念だったが、でも物語も、学園からファントムドーターである悠里が皆の自分に対する記憶を消し去って自分から戦いに身を投じていく、大きな転換点をむかえ佳境に入ってきた感じがしてきた。悠里とカガリにはった3000点はまだ来そうな気配はないが、悠里の学校での監視役がカズラになっていて、悠里にカズラがまなざしを向けているシーンがなにげに入っているのだが、これ「伏線」になって膨らんでもらえんだろうか?と淡い期待を寄せている。葵とバレットはこれはなかなかに来たんじゃないかという感じで、皆本が作ったオムライスに、バレット、ティムのオタク男子2人は当然ケチャップで女子に字を書いてとリクエストするのだが、薫がティムに書いた後、バレットにも書いてあげようとすると、「さっしてクレよ」という感じでバレットは目線を泳がせて、薫もちょっとムカつきつつも葵に書いてやるように言うという場面があって、バレットは葵が好きだと自分でも認識していて(敬愛や憧れなのかも知れないが)、それは周りも(少なくとも薫は)分かっているという状況である。
兵部少佐メインのアニメ放送時と重なっていたので、4コマはアニメネタ多かった。みんなアニメにも出たがって少佐に賄賂を送るというネタがあったのだが、幹部連中以外でパンドラチルドレンでアニメに出られたのは大勢で写っているのを除けばパティだけだったような気がする。アジトのカタストロフィ号内のバーで酒をついでいたり、台詞無しだけどイイ塩梅の存在感で原作ファンは見つけるたびに「おお、こんなところにパティーが」という感じで楽しめたと思う。
(13.4.29)
○フラグブレイカー
フラグの解説のところで、「現実世界にも「死亡フラグ」は存在する。台風の日に「ちょっと田んぼの様子を見てくる」or「港の船を見てくる」、正月に爺さんが「餅」、酔っぱらって「階段」。これほど毎年毎年、台風時期、正月時期、中島らも方面に被害者を出しているのに、何故これらのフラグをブチ折って命を救う勇者が現実世界にはいないのか。関係者一同に猛省を促したい。」と書いたが、29日の読売の記事によると、台風15号の接近で農水省が「田畑の見回り控えて・・・」と呼びかける通知を出したとか。
ぶっちゃけ役所の「注意しましたからね。」という責任逃れのアリバイづくりという気もするが、でも言わないより言った方が良いと思うので良いことだと思う。命がけで田んぼ仕事してる爺様に、強制的に行くなと規制するような必要もないし手段もないだろうけど、まずは声出していこうという感じか。
(13.8.31)
○35巻以降も出ているのだが、マンガ紙の本買うのが邪魔くさくなって、キンドル版出るのを待っている状態。
題名パロディーの21巻「湖のひみつ」は学研「○○のひみつ」シリーズが元ネタと書いていたが、これはウルトラセブンのエレキング登場回の題名「湖のひみつ」からだな。「まりかセブン」読んでて思い出した。うろ覚えだったので「違うかも?」とネットでググったら正解で、子供の頃見た特撮のタイトルなんて良く覚えてるなと自分でも感心した。
(2013.12.8)
○35・36巻 Kindle版が出たので購読。蕾管理官もそろそろ寿命ッポイ描写で大詰め近づいてきた感じ。ユーリが学園を去る際のエピソードと、兵部少佐が「人間」嫌いになった戦時中の因縁のエピソード中心でこの2巻は終局への前振りかな?ちょうど連載時はアニメ「兵部京介」放映中だったようで、4コマではアニメネタが多かった。パンドラチルドレンのうち唯一アニメにも出てたパティが仲間にうらやましがられていた。
(2014.4.7)
○37〜39巻 とりあえず悠里(ユーリ)をパンドラ・バベル共闘でブラックファントムから回収して最悪の災厄は免れたっぽくなって、中学卒業まできた。コペンハーゲン解釈ってこんな感じだっけ?というやや難解なタイムパラドクスネタを絡めながらも、物理現象を越える力としての「超能力」でチルドレン達が未来を作っていくという展開になって、決着がどういう形になるのかなと楽しみな感じ。そして39巻に来て、カガリ−悠里にはった3000点が来るんじゃないかという描写がでてきた。とりあえず転校したことにして安全なところに隔離した悠里のことを気にかけるカガリに寂しげな視線を向けるカズラがなかなかに切ない。これは完全にフラグ立ったと見て良いのではないだろうか。あと「男の友情」って自分が好きなモノの一つだと最近気付いたんだけど、兵部少佐と賢木先生の反発し合いながらも認め合う友情関係がなかなかに味わい深い。たぶん最後少佐は死ぬんだろうけど、そのとき賢木先生は泣くんだろうな。
(2015.12.27)
○夢幻外伝をkindle版出たので久しぶりに読んだら、兵部少佐の元ネタの一つが夢幻魔実也だと思い当たった。気付けば雰囲気も似ているし当たり前に感じるが意外と言えば意外。影から現れたり、幻に幻を重ねて相手をハメるえげつなさとか「そうか夢幻紳士か!」という感じ。高橋葉介先生、独特のホラーものが印象深いが、椎名先生と同様にてらいのないエンタメも大得意。学校怪談とか夢幻紳士冒険編とか。また読みたくなってきた。kindle化たのんまっせ。
(2015.3.28)
○40〜43巻 自炊したついでに1巻から全部読み直したが冊数多いので読み応えあった。一応最悪の未来予知は回避できて、希望に満ちた真っ白な未来を手に入れることができました。で、中学生編ぐらいで終わらせる当初予定だったのかもと思わなくもないが、人気連載なのでここは迷わず高校編に突入。新キャラ出てきたり兵部少佐が学園天国してたりするが、ストーリー的にはまだ次の大きな物語が見えてこなくてウダウダとダレている感じ。まあそれでもグダってても小ネタとか面白くてむしろノリノリな感じでいいのだが、今後どう展開させていくのか期待して読んでいきたい。
41巻の「気高く咲いて美しく散る的な!!」のビジュアル含めたベル薔薇ネタは先生もGAOで無料配信してたの観てはったナと思うたところであります。42、43巻ジッパー使った超能力は、ジョジョファンならスティッキーフィンガーズを思い出さずにいられないッ!だが、これ意図的なパロディーじゃなくて単純なネタかぶりっぽい気配があるんだが編集者きづかなかったんやろか、それともやっぱりパロディーなのか?まあ面白ければアリアリアリアリなんだろうけど気になった。バカくさい下ネタすぎてブチャラティ好きに怒られないかオジサン心配。
(2015.11.22)
○44〜46巻 チルドレンにプラスアルファの悠理とついでに松風加えて高校生篇は、敵の能力で洗脳されたスパイ?に翻弄される感じで物語が進む。
紫穂の賢木先生への毒舌は作中でも「ツンデレ」と認識されるに至っているが、カガリとカズラは「つき合ってます」とカガリが悠理の前で言わされているのでちょっとカガリと悠理は薄くなってきたか?まあそのへんは脇道なので本編面白ければどうでも良いか。
(2016.11.14)
○47、48巻 いよいよ物語も終幕に向かってきた感じ。47巻は兵部少佐と真木の闘いという、てらいなく「腐女子人気」を狙いにいった展開。椎名先生そのへんのサービス精神旺盛な思い切りの良さは健在。と同時に48巻で作品中ではエスパーだけど、少数者を踏みにじるような気持ち悪い管理社会に対する警鐘を鳴らしているのは、今の社会情勢をみてのことでそういう真面目なメッセージ性のある話もギャグに紛れて突っ込んでくる作風でもある。間違いなく自分は椎名先生の影響も濃く受けてきたと改めて思う。
(2017.5.27)