○バイブラシャフト スタンレー
バス釣りに夢中になっていた高校時代、スピナーベイトというものはどうも信用できないと感じていました。
スプーンやスピナーはあのキラキラが効くんだろうなと素直に理解できたのですが、スピナーベイトはその効きそうなブレイドにハリがついていない。障害物にかかりにくいような形になっているのは理解するけれど、そもそもハリのあたりについているフラスカートは何の意味があるのか、きらめくブレイドよりあんな訳のわからん部分に食いつくというのだろうか?どうにも理解の範疇を超えている存在でした。
というわけでスプーンは使ってもスピナベは使わない日々を過ごしていました。
とある冬の釣り場で、全く釣れないうえに立木にルアーを引っかけてラインブレイク。その立木には当方の引っかけたプラグと共にいくつかルアーがぶら下がっていて総額数千円、という貧乏な田舎の高校生にはちょっと指をくわえてみているわけに行かない状況になっていました。
一緒にいた釣友達の煽りもあって、心臓麻痺を起こさないようにTシャツだけは着たままフルチンになって、10度を下回る水温にナニをカイコのサナギのように縮ませながらも無事クリスマスツリー状態の立木から数個のルアーを回収成功。その中にスピナベが一つありました。
(よい子は真似しないように!)
スタンレーのバイブラシャフト。ヘッドには目すら画いてないシンプルなスピナベですが、コロラドとウィローのブレードがついているシャフトが細くテーパーしながら削られていて全体が良く振動するという「能書き」で人気のモデルでした。
当時は持っているルアーの数も少なく、全てのマイルアーを持ち歩いている状態だったので。とりあえず、タックルボックスに入れておきましたが、しばらくはボックスの肥やし状態でした。
季節はめぐり春が来てとある野池。水面でバシャバシャと小魚が食われていて、いかにも釣れそうな状態なのですが、ミノーやトップには全然食ってこず、いい加減あきらめつつ、「そういえばスピナベは小魚の群れをイミテートしていてボイルに効く」とかどっかに書いてた人がいたなと思いだし相変わらず全く釣れる気はしないもののバイブラシャフトを結んで、バシャバシャしているあたりに適当に投げてみました。
巻き初めてすぐにガンと重くなり釣れちゃいました。ちゃんとフックが口の中に刺さってます。
一匹釣れれば、なぜ釣れるのか、何をイミテートしてるのかなんてどうでも良いことで、とにかく釣れるルアーだということが身をもって理解できました。
以後スピナーベイトは好きなルアーの一つです。様々なメーカーのを使いましたが、結局このバイブラシャフトが一番好きです。
(2009.5)