○HMG ランカーギア イーグル  フェンウィック製 

我が家のフェンウィック

 フェンウィックの最初のカーボンブランクスのシリーズがHMGだったと聞いています。違っていたらごめんなさい。

 グラスロッドあるいはバンブーロッド(竹竿)を使っていた人間が、カーボンのロッドを初めて使うと、反発力が強くて飛距離が出る、感度が良くてあたりがビンビン伝わる、軽くて硬い等々の違いに驚きます。

 同じようにパワーのあるロッドでもグラスロッドだと力をかけるとグニャッと絞り込まれる感じがしますが、カーボンの竿だとカキーンと背骨がとおっているかのごとき硬さを感じます。

 最初にカーボンの竿を使ったのはワームのテキサスリグ用の竿でしたが、それまでのグラスのロッドがあわせの時にやや粘っこく曲がってしまうように感じるのに比べ、バットがカキーンと硬く感じられ、鋭いあわせが決まるのでとても気持ちよくフッキングできた記憶があります。

 カーボンの竿の反発力の強さや軽さ等はうまく特性を引き出せば、グラスや竹竿に比べて大きなアドバンテージとなり得ます。今時の竿のメインがカーボンとなったのも当然ともいえるほど釣り竿には向いている素材かもしれません。

 

 しかし、カーボンの反発力の強さが裏目に出ることもあります。硬く感じる反発力の強さレスポンスの速さが、魚のあたりをはじいたり、ファイト中にかかるテンションの変化を大きくし、バラしにつながったりということもあります。

 

 特に、ルアーをリーリングで動かし続ける、俗に巻物といわれるバイブレーションやミノー、スプーンなどを使うときには硬すぎる竿よりは柔らかい竿が向いています。

 

 おそらくフェンウィック社でも最初にカーボンの竿を市場に投入するにあたって、ややもすると硬すぎるカーボンの特性に多くの釣り人が馴染めないと考えて、その特性をマイルドにして、使いやすい実用的なブランクスにするためにカーボンとグラスとを複合したブランクスを開発したのだと思います。

 その最初のシリーズがHMGシリーズだったようです。

 その後ガイドや色調を変えて、HMGと平行してランカーギア(旧レガシー、後期はランカーギアX)、イーグルといったシリーズも出ていましたが、基本的なブランクスは、時代によって若干変更はあったのかもしれませんが、同時期では共通でした。

 1995年のティムコのカタログで見ると88%がグラファイト(カーボン)、12%がグラス素材の含有率のようです。

 

 最近ではカーボンの欠点をカバーするために、バットは強い高弾性のカーボンを、ティップは粘っこい低弾性のカーボンを使うというような工夫もよく見られます。

 同様のコンセプトで、ティップだけグラスのロッドも私も愛用しているアグリースティックなど結構あります。

 

 しかしそういうバットとティップの素材を換えてはいない、全体的にマイルドになるようにグラスがコンポジットされているブランクスが、使ってみるととても良い塩梅なのです。

 9割近くがカーボンなので、軽さはまさにカーボンロッドなのですが、カーボンのシャキッとした感じの中に適度な粘りというか柔らかさがあって、実に使いやすいロッドに仕上がっています。

 高弾性のカーボンのキンキンに高感度なロッドが威力を発揮する場面って意外に少ないもので、HMGやランカーギアなどのシリーズは非常に使いやすく、いろんな釣りに各種使っていたのですが残念ながら長きに渡って作られてきたこれらシリーズも既に廃盤となっており、中古市場で補充でもしない限り、今持っているものが折れたらそれまでということで寂しい限りです。

 私の使っていた時代のフェンウィックはメイドイン台湾で、グラスのランカースティックなんかのメイドインUSA時代のモノほど人気はないようですが。ぜひ復刻版を作ってもらいたいものです。

 

 渓流等で愛用していたことはPENN4300の項等で既に書いていてかぶりますが、その他にも結構あるので、私の所有するロッドを紹介してみます。

 

フェンウィック 

<HMG>

○GFS87C 右から2番目

 Jさんから譲り受けたベイトの1本。元々サーモンロッドでサクラマス用に使っていたようですが、当方はアメナマのブッコミに使用。8フィート9インチと長くてキャストしやすく、柔らかく食い込みが良い上にバットパワーは結構あって魚をかけたときの曲がりップリも気持ち良いロッド。

 ひそかにイワシ餌のヒラメとかの泳がせ釣りにも良いのではないかとにらんでいます。10年以上イワシ餌のヒラメ釣りしてませんが、機会があれば是非この竿で挑戦したいと思います。

 

○GFS64  左から4番目

 中古でヤフオクに出ていたのをゲット。セイゴ、メバル用に使ってます。次の61よりちょっとパワーがあるのでフッコクラスも安心です。

 

○GFS61  左から3番目ちょっと隠れ気味

 東北渓流武者修行時代に使っていたLGX60SL2Jを殿堂入りさせて、代わりに買ったロッド。実際には最近あんまり渓流行っていないので、メバルとセイゴぐらいしか釣ってません。

 

○GFS55 J

 これも東北時代に使っていたES56UL2Jのお蔵入りに伴って入手したロッド。グリップがリング2つのタイプでちょっとクラッシックな感じ。

 現在、東北の同居人の実家に置いてあります。

 GFS55J

 

<ランカーギア(とランカーギアX)>

○LG90C MH−2 J 一番右

 いつかロングAやラパラのFマグの18センチをぶん投げて狙うような、タイメンやナイルパーチやら釣りに行くときに使いたい、と中古で探して購入。

 ある程度重量のあるトップのプラグやスプーンはスピニングで投げた方が飛ぶのですが、ミノーに関しては飛んでいくときにスプールを回す抵抗で飛行姿勢が安定しやすいベイトの方が良く飛ぶと思います。また巻き抵抗が大きいビックなミノーのリトリーブにもベイトは良いでしょう。というような実用面よりも長いフェンウィックのベイトロッドはもろ「開高健」を気取れるのがカッコイイ。リールもアンバサダーといきたいところですが、当方この竿にあわせるクラスのベイトはペン975なので、975とコンビ組ませる予定。予定の実現はいつになるやら。

 

○LGX66S M−2 J  右から3番目

 アグリースティックを買うまでのバスやオカッパリのフッコなどに使っていたメインロッド。というかこのロッドを含むシリーズが廃盤になって、次のメインロッドとしてアグリースティックを買ったというのが実情。

 でも中古屋さんでもう1本同じのを買えたので、今でも気分でたまに使ってます。クラスとしてはバスロッドですが、スズキサイズのシーバスもいけるバットの強さがあります。何にでも使える良いロッドです。

 ちなみにランカーギアとランカーギアXの違いは、なぜかバスや渓流用のロッドにもガイドはSIC(炭化珪素)ガイドがついていないと気に入らないらしい日本人向けに、後期にはSICのガイドを付けたモデルが投入され、それにはXがついています。X以外はハードガイド(アルミニュウムオキサイド)がついてますが、SICでなくてもまったく何の支障も感じません。

ランカーギア 

○LGX60S L−2 J 左から2番目

 東北時代のメインロッド2本のうち1本。ややパワーがあって本流やダムで使ってました。さんざん釣りまくった思い出の竿で折りたくないので、もう使わずに仕舞ってあります。

 

<イーグル>

○ES66 M−2 J

 LGX66SM−2Jのイーグル版で、同居人がNZ武者修行に行くときにルアーロッドはこれともうちょっと長いのを持たせました、トラウトはフライメインだったのでNZではあまり使わなかったようですが、同居人の実家に置いてあり根魚ロッドとして現役です。

 一連のシリーズで最後までカタログに載っていたのが、イーグルでこれはちょうどランカーギアXがカタログから落ちたあたりの2001年に買ったと思います。

 その後すぐにイーグルもカタログから消えました。当時のカタログ紛失しましたが、そう考えるとイーグルの廃盤は2003年あたりだと思います。

 

○ES56 UL−2 J 1番左

 東北時代の渓流メインロッドのうちの1本。5.5フィートと短いのでバックハンドやピッチングなど障害物をかわしながらのショートレンジのキャストが決まります。私の得意な支流や藪沢で活躍しました。これももう使わずにお蔵入りです。

 東北時代、同居人用にもう1本同じのを買って、そちらは今でも現役です。

 最初、ダイワのシルバークリークのテレスコピックのロッドを使っていましたが、ややティップが硬くてバラシが多かったので、竿はナニが良いかJさんに相談したときに勧められたのがこの竿でした。

 ヤマメの痙攣するような首振りにも、柔らかめでキュッと入るティップが上手くショックを吸収するのかかなりバラシは改善されました。

 始めて手にするフェンウィックの竿に「オレもフェンウィックを持つ身分になったか。」と感慨深かったです。

 とはいえ、HMG初めとするシリーズは、高くても3万円までで買えるロッドで社会人なら普通に買えるロッドでした。特にイーグルは塗装がシンプルな感じの安いグレードで、実売で1万円強という超お買い得ロッドでした。ブランク一緒でガイドも一緒のHMGなどとなぜ1万円近く値段がちがうのか不思議でもあります。

 フェンウィックというと「開高健」も使ってたハイグレードなロッドというイメージがあったのです。

 私の買った時代のイーグルは、むき出しのグレーのブランクスに緑のラッピングでしたが、1995年のカタログでは、黒のEVAのグリップにワインレッドのラッピングで今見るとこの時代のイーグルもどうしてなかなかカッコイイです。

 

 

<雑感>

 フェンウィックというと、バスロッドのランカースティックあたりが熱く語られがちですが、僕の世代だとリアルタイムではないので正直今一ピンと来ません。

 逆にHMGとかのカーボンのシリーズは以外と語る人が少ないので評価も高いんだか低いんだかよくわかりませんが、私にとってはフェンウイックといえばイーグルなりランカーギアXであり、これらを語るときにはメチャクチャ熱いモノがこみ上げてくるのです。

 オレが書かずば誰が書くという感じですが、書いていて気持ちよかったです。

 書いてみて気がついたのですが、私がリアルタイムで使っていたフェンウイックは実は3本だけで、後は廃盤後に中古で買い求めた物でした。

 おそらく、ランカースティックあたりもリアルタイム世代の需要があって、それに引っ張られて、一時期の理解不能な値段の高騰とかがあったのかなと思いました。

 理想のロッドなんていうものは結局、それぞれの人とロッドとの関係の中にしかないのだなと思わせられます。

 

(2008.9)

HOME