○フラットラップ ラパラ
ラパラジャパンのサイトには、
「ラパラ史上最高傑作のバルサ製フローティングミノー新登場。カウントダウンと並ぶバルサミノーの永久定番になるでしょう。」
と書かれている。最初みたときにはちょっとモタッとした見た目もあり、ここしばらくラパラは新製品開発に積極的だったが、プラスチックのXラップはそれなりにアメリカっぽいルックスの良くできたミノーだったけど、別にラパラじゃなくても良い感じで、さらに重心移動搭載のバルサ製の「ロングキャスト」は、結局バルサミノーの利点である、立ち上がりの良さと重心移動の錘のたてる音の無さが台無しになっているミノーで、全然「分かっちゃいねーな」というできだったこともあって、眉に唾をつけて、それでも試しに買ってみた。
まず釣り場での第1投目に、軽く戦慄が走る。
「固定重心の軽いバルサ製ミノーでなぜこんな飛距離が出るんだ?」
固定重心でも投げたときの飛行姿勢が安定してクルクル回らないバランスなら飛距離は充分稼げる、というのが持論ではあったが、それをフローティングミノーでこんなにも鮮やかにやってのけられると唸らざるをえない。ボディー先端にはめ込まれるようにして付いている小さめのリップの形状も空気抵抗の低減に寄与しているのだろうけど、本体の形状と重さの位置配分がキモなはずで、どういう設計技術をもってすれば、こうも機能的なデザインに仕上がるのか素人の理解の範疇を超えている。
それでも、重心移動の利点を最大限活かすべくデザインされた今時のジャパニーズミノーに、飛距離という点では負けるが、それを補ってあまりあるぐらいに、オリジナルフローティングが持っていた動きの良さ、立ち上がりの良さ、キビキビとした動きを踏襲することに成功していると思う。
箱に「ハードフラッシングアクション」と銘打たれているように、フローティングよりややバタバタとした感じの動きで、細かいことを言う人間ならフローティングとは動きの質が違うと受け取るかも知れないが、当方は全くそんなモノは気にするつもりはなく、ほぼフローティングの飛距離不足を解消した上位互換機種と受け止めている。
宣伝文句は「カウントダウンと並ぶ永久定番」であり「オリジナルフローティングと並ぶ」としていないのは、オリジナルは比較するべきモノではないすべての今のミノー達の先祖であるという考えかも知れないが、フローティングはこちらの方が今後定番になるんですよ、というメッセージとも取れる。
投げて動きが良さそうでも釣れなきゃ仕方ないが、釣れる。間違いなく釣れる。
シーバスも良く釣れて、昼の運河では8センチはフローティング9センチを凌駕しそうな釣れっぷり。さらに、コイでもエイでもドンと来いで、箱裏にある「for all species of game fish.(あらゆる釣りの対象の魚が釣れるよ)」の言葉も、最初は「(魚食魚に限る)という限定はつけた方が良いだろ」と思ったが、今はそれほど大げさな言葉ではないような気がしてきている。
ラパラ好きのオッサンだけが買っているのかとも思わなくもなかったが、ルアーでのシーバス釣りは重心移動搭載ジャパニーズミノー全盛の今の時代に始めたはずのダイキリさんもお気に入りのようで、フラットラップ好釣の報告はちょくちょくいただいていて、別に当方はラパラジャパンの社員でも何でもないのだが嬉しい限りである。
ダイキリさんに限らず今時のルアーマンにも結構人気が出ているようで、実は弾数をそろえるのに苦労している。欲しい色がまとめ買いできずに補充が間に合っていない感じ。
ルアーのカラーについてはだいたいいつも派手な色と地味な色の2色選んでそろえるようにしている。
夜のサーフや干潟での使用がメインの10センチは派手なのは赤金、地味なのは新黒銀にした。
昼間の運河での使用が主な8センチは派手なのは火虎、地味なのは黒金にしたいのだが、火虎入手できず、ネットで見つけて予約したら、すでに在庫無しでお詫びのメールが来てガックリ。地味なのは黒金の弾数が足りないので新黒銀と青銀も買ってストックしている。買ってみたら新黒銀のラパラ伝統のホイルフィニッシュの背中に鱗模様をのせた新しいデザインもなかなかにかっこよくて良いし、青銀の昔ながらの書き目の感じも捨てがたい。まあどれでも釣れるはずなので、いろんな色があっても良いだろう。
なぜ良く釣れるのか結局のところはよく分からないが、ともかく良く釣れるというフローティングの、ラパラの血統を受け継いだ非常に良くできたミノーであることは確かだと思う。だが、一つ弱点がある。
以前ブログでも書いたが、リップがもげる。空気抵抗を減らすために小さく前方にリップが付いているので、思いっ切りボディーに突き刺さっているフローティングのリップほど強度が稼げないのは、利点との裏腹な関係で、結局全部いいとこ取りの完璧なルアーなどコノ世には存在し得ないということだと思っている。
ただ、補強したり補修したりする方法はあるので、ぶつけまくる橋の下の釣りでも補強して既に多用している。
補強の方法は、あらかじめウレタン系接着剤、ライギョ釣りのフロッグに使ういわゆるフックホールシーラーをリップ周りに盛ってしまうのである。かなり丈夫になるし、ぶつけてもげるようなケースでもリップが飛んで行ってしまわずにボディーにグラグラになりながらくっついてきて回収できることが多い。回収して持ち帰ったらゲル状瞬着でくっつけて再度リップ周りにフックホールシーラーを盛ってしまえば復活である。
フックホールシーラーは当方はバレーヒルのウィップラッシュファクトリーブランドのモノを愛用している。
箱から出したら、フロントフックの下向きの1本を折り曲げてなんちゃってダブルフックにしている。こうすると根掛かりが激減する。リアは大物を想定してシングルに替えても良いし、なんちゃってダブルフックでもなんちゃってシングルフックでも良い。最近は運河用にはなんちゃってダブルフックにしている。
リップ周りを覆うようにフックホールシーラーを盛っていく。乾くと縮むので盛り過ぎぐらいに盛って大丈夫。
良くぶつけるお尻もフックホールシーラー盛って補強しておく。
手間と言えば手間だが、フローティング9センチの飛距離不足を補うためにフックに鉛線を巻いてコーティングしてというのに比べれば全然簡単。手間と言うほどのことではない。
それでもリップがもげちゃったら、リップだけでは売っていないので作って補修するしかない。面倒なので替えのリップだけで売って欲しいところ。
リップを取り付ける位置がかなり前方なので、リップを深く刺そうにも貫通しているワイヤーが邪魔になるので、その部分に切り込みを入れた形状のリップを作成する必要がある。普通ミノーのリップはアクリル板か強度重視ならポリカーボネイト樹脂の板から切り出すが、加工がめんどくさいので、当方は今回柔らかくて、料理ばさみとニッパーで加工可能なタックルボックスの仕切り板から作った。まだスイムテストしていないがたぶん大丈夫だろう。
オリジナルフローティング9センチには永らくシーバス釣り(主に昼)に活躍してもらったが、今後はフラットラップの8センチを使うことになりそうである。
渓流では飛距離が必要ないし、シーバス以上に石とかにぶつけまくるのでフローティング7センチの替わりにフラットラップ6センチという選択は無いと思う。
ブログでも顛末記でもフラットラップの優秀さについては既に書いていて、繰り返しになった部分もあったが、この良くできたミノーについては、補強方法も含めまとめて書き留めておきたかったのでパタパタと書いてみたところである。
良いルアーなので買って損はない、と最後に書いておきましょう。
(2012.11)
○ブログ再掲
ラパラの工場がアイルランドから、ロシアやエストニアに移されたという話はすこし前から聞いていましが、先日初めてエストニア製のラパラを購入しました。
エストニアという国、ロシアの西の方のバルト3国のひとつだったっけカナ?というあやふやな知識しかなかったので、ネットでお勉強してみました。
バルト海のフィンランド湾を挟んで北側にフィンランドという位置にある小国。IT産業が盛んな国だそうです。ラパラ生誕の地フィンランド付近に戻ってきたということか?
あんまり情報出てきませんが、力士の把瑠都(バルト)はこの国出身だそうな。
さて、このエストニア製ラパラ。フィンランド製、アイルランド製の時代のようなリップへの国名の表示がありません。本体に生産国が書いてあれば、箱から出した後でも遠くバルトの小国を思い浮かべながら釣りができるのに、とちょっと残念ですが、出来映えはまあ合格点かな。
職人さんが作っているわけではないので製造ラインを機械ごと持って行ったのなら、ある程度のレベルのものはできるということでしょうか。
CD11と新製品のフラットラップというのを買いました。
CD11はアイルランド時代と比べると銀紙の色調が違い、加えて口周りとお腹側の塗装の処理が昔の「口紅、腹帯」と呼ばれる時代のイメージになっていて、口は筆塗り、お腹は白が帯状に吹いてあります。まあ大した違いではないでしょう。
フラットラップはなかなかにツボを突いたコンセプトのルアーのように感じます。
ラパラの長所はなんといってもよく釣れることですが、おそらくその要因は軽いバルサを素材としており、固定重心か、もしくは特にオモリは仕込まれていなくてフックやフックハンガーなどの重量のみでバランスしていることに起因する、立ち上がりの速さなど動きの良さとラトル音のような不自然な音の少なさにあるのだろうと思っています。
(「バルサ製で軽い」、「非重心移動」という特徴は、必然的に飛距離が出ないという短所ももたらします。)
そう考えると、ここしばらくの間に発売されたラパラの新製品のX−ラップなどプラスチックのシリーズやバルサ製でもロングキャストと銘打った重心移動付きの製品は上記のようなラパラ本来の「バルサ製」、「非重心移動」に由来する長所は持っていないように感じます。
もちろんこれらの製品が悪いわけではないでしょうし、むしろ良くできたルアーのようではありますが、どうもラパラじゃなければダメという必然性はなく、他のメーカーから出されている重視移動の今時のミノーとの明確な差異は無いように感じます。あえて差異を探すなら北欧的というよりはアメリカ臭いルックスぐらいでしょうか。
その点、フラットラップは「バルサ製」、「非重心移動」でありながら、飛距離が出るような重心位置を工夫しているとのことで、動きが良くて不自然な音が少ない昔からのモデルのラパラの長所を生かしつつ、欠点の飛距離も改善されているようです。
当方は、ミノーについて多少スレた魚でも食ってくるアクションの良さについてはFやCD、シャドラップなどの昔からのラパラに絶大な信頼をおいていて、近距離の釣りには多用していますが、このフラットラップが宣伝どおりの性能を有していれば、非常に頼りになるものと期待しています。まあ、完全な「いいとこどり」は物理的に有り得ないと思いますが、実用上どのくらい長所が活きているか、これから使って性能をみてみたいと思います。
今のところフローティングの8センチのみですが、シーバス用にはシンキングモデルの12センチとかがあると非常に良いと思います。
要はCD11のキャスティング時にクルクル回らないヤツのイメージですが、そんなのがあればいいなと常々感じているところです。今後の開発に期待。
作成者 ナマジ : 2009年11月14日(土) 13:49 [ コメント : 0]
○フラットラップ釣果写真集
(2018.1)