○シーバスルアー
シーバスルアーに特殊なものはあまりいらないと思っています。
特殊な特定のルアーだけが釣れる状況というものが無いとはいいませんが、ほとんどの場合スタンダードなルアーのローテーションで何とかなると思います。
というかシーバスの場合は、いかに魚を探して魚が反応するコースにルアーを通してやるかがキモでルアーは何でもいい場合も多いと思います。
手持ちのルアーで釣れない魚はおそらく特殊なルアーを持ってきても釣れないと割り切って考えた方が精神衛生上良いと思っています(註1)。あんまりゴチャゴチャルアーたくさん持ってると何投げていいか迷ってばかりで釣りになりませんからね。
ということで、他でも書きましたが、私が好きなルアーは手に入りやすい、スタンダードな昔っから釣具屋の棚の一画を締めているルアーと今流行っていて、どこの釣具屋の棚にもたくさんあるルアーです。
もう一丁注文付けるなら、そのタイプのオリジナルであるということも重要視しています。今時のルアーであればたいてい魚を釣るには十分な能力があると思いますが、同じ能力ならそのタイプに先鞭を付けたオリジナリティーのあるメーカーのルアーを使いたいと思っています。
そんな感じでルアーを選択している私の一軍ボックスに入っているルアーについて書いてみたいと思います(註2)。
まあ、たいして釣っていないヘタクソの能書きですので気楽に読んでみて下さい。
<レンジバイブ(バスディ)>
場所と時間が間違っていなければ、シーバス釣りは投げて巻くだけ。簡単やなーという気持ちになるルアー。優等生。はずせません。
特にカヤックで潮や風に流されながら釣るときは重くてストンと必要な深さに沈んでくれて勝負が速いので使いやすいです。
重いバイブレーションの元祖と言えばリョービのエンターソルトフラッガーだし、リアルっぽい魚型の細長いバイブレーションの元祖はザウルスのバイブラザウルスだと思いますが、魚型の重いシーバス用のバイブの元祖はこのレンジバイブかマリアのマールアミーゴでしょう。
どちらもよく使いますが、デザインはレンジバイブはやや私の好みからいうとリアルすぎてマールアミーゴの方がデフォルメ具合がいいと思いますが、マールアミーゴの最近売っている一番大きいサイズはちょっと小さく、レンジバイブの方が飛距離が出るので使いやすく出番が最も多いバイブレーションです。
<タイドミノースリム(デュオ)>
釣れそうなリアルなルックスは私としてはちょっと懲り過ぎかなとも思いますが(註3)、ゴテゴテしていないシュッとしたフォルムはいい感じで、重心移動とも相性いい形なのか飛びまくり。
東京湾のシーバスボート船長おすすめルアー。確かによく釣れます。
よく売れているみたいで、どこの釣具屋さんにもおいてあり入手も容易。オリジナリティーという面では、重心移動のフローティングミノーは他にもたくさんあるのであまり評価してませんが、あまり奇をてらわず真面目に作って基本性能の高さで勝負しているところが好感持てます。完成度高く新しいスタンダードといって良いルアーだと思います。
12センチと14センチのイワシ系カラー等をよく使ってます。
<ロングA(ボーマー:プラドコ)>
釣具屋の棚から無くならないのは「釣れるから」ということを思い知らせてくれるミノーです。
なぜかよく分かりませんが、釣れるのは確か。ラトルも入って割と派手な印象のルアーなので、濁りの入った状況などで投げる機会が多いですが、特に濁って無くてもよく釣れます。最新鋭のジャパニーズルアーと比べても遜色のない釣れップリ。
重心移動はついてませんが、意外に良く飛びます。飛行中の姿勢が安定するかどうかということがミノーの飛距離に大きく影響してくると私は思っています。
同じルアーでもキャスト時にクルクル回転してしまうとすぐに失速し飛距離が出ませんが、回転せずにシッポ側を先にして飛んでいくと飛距離は出ると思います。多少回転しやすい大型のミノーもベイトリールを使って投げると、スピニングの時よりラインにテンションがかかって飛んでいくので姿勢が安定しやすく良く飛ぶということがあります。ロングAは比較的バランスが良くてスピニングで投げてもあまり回転しないのでそこそこ飛距離は稼げます。
そして、軽いバルサ製ミノーほどではないですが、アクションはキビキビ大きめ。今時ミノーのナチュラルな感じの控えめなアクションとはおそらく魚へのアピールの具合が違うのだと思います。
これだけ優秀なルアーがお値段控えめで安売りだと700円とかで買えてしまうのは嬉しいところ。
しかし苦言を呈すると、最近のプラドコ製のルアーに共通しますが、プラスチックの素材自体に問題があるとしか思えない不都合が生じることがあるのが残念です。
一時期プラドコ製品はものすごい塗装のレベルが下がって、吹きつけの塗料が綺麗なグラデーションにならず垂れているような時期がありましたが、塗装に関しては最近はすごく綺麗でオリジナルカラーなんかもなかなか楽しいのを出してくれていて私は良いと思っているのですが、肝心のボディーに強度に関わるような問題があるのはいただけません。
プラスチックの素材が弱いのか劣化しやすいのか、フックハンガーを止めるネジを抜くとネジ山にプラスチックがくっついて抜けてしまい、ネジの穴が大きくなって再起不能になることがあります。
ロングAについて、最初泳がしたときにバランスが悪くて泳ぎが片寄ることがあったとしても、安いルアーですから「タンクテストしてから出荷しろ!」などという文句は言うつもりはありません。しかしそのバランスを調整しようとラインアイをペンチで曲げるとアイが曲がる前にアイを押しつけたプラの素材がゆがんでしまい隙間ができて、アイがぐらぐらになってしまうことがあります。こうなっては、あとはバランスを調整するにはペンチでリップをバチバチ切るぐらいしか手が無くなるので困りものです。
シーバス相手なら大丈夫とは思うものの、若干壊れやしないかという心配も残ります。メーカーさんには何とかしてもらいたいものだと感じています。
よく使うのは12センチと15センチで派手目の色と得意の反射板入りカラーです。
<フライングダイバー(マリア)>
一時期よく売れてたようで、そのころなんか赤いミノーが流行っていたので、我が家にも赤がまだ何本かあります。最近赤いミノーってそれほど流行じゃないみたいですが、流行っているときに釣れて流行が廃れたら釣れなくなる理由はおそらくないわけで、今も普通によく釣れる色だと思います。真っ赤なルアーってどぎつい感じのインパクトもあるし、シャア専用ってかんじで強そうな雰囲気もわりと好きです。ノーマルの3倍釣れるということはないと思いますが(註4)。
重心移動はなくても姿勢が安定すれば良く飛ぶというのは、固定重心のこのミノーにもいえることで、シンキングで重量があることもあってビュンビュン飛びます。動きはおとなしめのヌルヌルした感じ。
よく釣れるルアーなんですが、最近10センチだかの一番大きいヤツは売ってないようで中古屋さんとかで探しています。手に入りやすいという条件から外れつつあるので別の良いルアーがないか探しているのですが、太めのはCDラパラやアスリートがあるのですが細めのシンキングはなかなかこれというモデルが無いので在庫がつきるまでにかわりを探したいところです。
<アスリートピンテールチューン(ジャクソン)>
アスリート自体定番といってよい昔っから変わらずあるルアーで、ノーマルモデルもよく使っていましたが、これの重量をメチャクチャに上げたモデルが出ていてお気に入りです。
メタルジグのようにぶっ飛んで、アクションは低速では動きませんが、ジャークするか早めに巻くとちゃんとミノーの動きをしてくれます。
実は、このチューンモデルが出る以前は、自分でアスリートシンキングに穴をあけてガン玉をしこたま突っ込んで重くしたモノを作って使っていました。
九州では秋になると玄界灘に面したサーフにシーバス、ハマチ、サゴシがやってくるのですが、この時期玄界灘は向かい風になる北寄りの季節風が強く吹くことが多く、重心移動のミノーでもまったく飛距離が出ないことがありました。そうなるとメタルジグの出番ですが、風のない時の釣れ方からしてシーバスにはミノーの方が効くと思っていたので、どうにかならないかと思っていたところ、地元の釣り人からこのチューンの仕方を教えてもらいました。
チューンの素材となるミノーは、リップが大きく重量あげてもきっちりアクションすることと、重心移動ではなく固定重心であることが条件でした。重心移動のミノーにガン玉を突っ込むと重心移動のためのスペースに浮力が残るためひっくり返ります。
メーカーから同じような考え方で重量アップされたタイプが出たときには、やはりみんな考えることは一緒なんだなと思いました。
カラーは紫のをカタクチイワシのイメージで使うことが多いです。
<ニョロニョロ>
バチ抜け対応ルアーとしては最も古い部類で、いまや東京湾では春の定番ルアーとなりました。
これが出てきたときは、「これでめんどくさいラパラの改造から解放される。」と安堵したものです。それまでラパラFのリップを切ってスローシンキングに調整した、タダの棒のようなルアーでバチ抜けに対応していましたが、このルアーもスローシンキングであまり動きがない棒のようなルアーです。動きの少ない棒状のモノがまっすぐ動くこと(ひき波が重要なときもある)と、吸い込まれやすいフックの位置、形状がこの釣りのキモだと思うので、このルアーは出てきたときからほぼ完成型だったと思います。今日いろんなバチ対応ルアーが出てますが、特にニョロニョロから進化したようには思えません。
これの中ぐらいのと大きいのがあれば釣れるバチ抜けのパターンのほとんどで間に合うと思います。付いているフックが小さいのでフックだけシングルの丈夫なのに変えて使っています。
カラーは蛍光黄色、赤金、黒系の3色でローテーションさせています。状況によってあたりカラーが違ったりしますが、とりあえずは蛍光黄色が手堅いです。
<コモモ(アムスデザイン)>
このルアーは販売前に雑誌に宣伝が流れ初め、そのときはこんなルアー今時売り出して売れるンかいな?と失礼にも思ってしまいました。
リップレスのミノー自体はタックルハウスからもすでに出ていましたし、もっと遡ればご先祖には、バス用のダーターやサーモン用のトローリングプラグなんかもあって、ちょっと広告をみた程度ではその革新的なコンセプトを読みとることはできませんでした。
しかしこのルアーはご存じの通り、その後シーバス釣りにおいて、水面直下のスリムミノーの釣りという新たなジャンルを作り出したほどのオリジナリティーにあふれたミノーです。後発で似たようなルアーはたくさん出ましたが、オリジナルのコモモがやはり一番良くできているように思います。
デザインもカラーリングも含めていかにもルアー的でパックマンのようなアイにも楽しさが感じられます。
シーバスの下唇の付きだした口をみれば分かるように、彼らは餌の小魚を下から攻撃するのが得意です。シーバスの捕食シーンを集めたDVDが話題になりましたが、その映像でもルアーの斜め後方下から吸い込んで捕食するシーンが多くみられました。
実際にシーバスが小魚を補食する時に、水面に小魚を追いつめて吸い込むことも多く、水面直下というのはシーバスの捕食行動において特別な場所ではないかと思います。
その水面直下を安定してトレースできるミノーの威力は新鮮な驚きでした。はじめて釣り場でこのルアーを泳がせた釣り人の多くが、「これは釣れる」と直感したのではないでしょうか。
おそらくメーカーサイドは明らかに新しい市場を開拓できるぐらいの実力を持ったルアーを開発した自信があり、使ってもらえれば売れる自信があったので大々的な広告を打ったのでしょう。
いやはやこんなルアーが出てくるなら、新製品も買ってみようという気にもなるというものです。
ちなみにカラーはパールホワイトベースが好きです。
<M(タックルハウス)>
日本発のオリジナルといえば、忘れてはならないのがタックルハウスのK−TENに搭載された重心移動システムでしょう。
今では当たり前のようになっている重心移動ですが、出たときには革新的な技術だったと思います。
そのオリジナリティーに敬意を表して、K−TENシリーズ結構持っているのですが、実は魚釣ったことありません。
もちろんK−TENがよく釣れるルアーであることは私がどうこういわなくても間違いないことだと思いますが、どうも相性が悪いのか、そう思う時点で投げなくなり釣れないスパイラルにはまってしまうのか釣っていません。
タックルハウスにはこのK−TENシリーズの流れをくむスリムミノーの「M」があり、デザインも格好良く、カラーリングも素敵な感じです。ちょっとお値段高めのこのミノーがお安くヤフオクで売っていたのでまとめ買いしました。
今年はこれで、良い釣りしたいと思って一軍ボックスに入れています。
<リトルジョージ(マンズ)>
ちまたのシーバスシーンでは、ブレード回転モノが流行っております。しかし、こんなモンはブンと遠くまで放り投げて、ブレードが回ってくれれば何でもいいんだろう(註6)、という乱暴な理屈のもと、昔から釣具屋の棚にありお安く入手可能なリトルジョージをシーバスに使ってみました。
飛距離が出ることを生かして、ナブラ打ちに使ったところよく釣れました。ナブラがあった時用に一軍ボックスに入れてます。
開高健先生も得意だったこのルアーでシーバス釣るのもなかなかオツなものです。
<サージャー(スミス)>
シーバスのナブラ打ちで、リトルジョージと共に活躍するのがこのルアー。やはり飛距離が出ます。なぜか、メタルジグよりジグミノーであるこのルアーがよく釣れるような気がするのは、比重がジグよりは軽くて表層を引けるからでしょうか?
サージャーはシーバスに限らず、小魚追いかけているナブラ打ちには実績大です。
(註1)といいながら、自作の公開できない秘密の変なルアーを隠してたりする狡っ辛いオッサンです。まあ、永いこと釣りしてきた釣り人には秘密もあるということです。セイゴスペシャルなのでたいしたことない代物ですが自分で見付けた(註5)釣り方ですから楽しいんです。
(註2)ラパラは別に書いているので除きました。
(註3)リアルミノーに本物の小魚そっくりにエラ蓋まで書いたところで、それが全体としてリアルに小魚に見えるかというと、全然そんなことはないと思います。エラ蓋ついてるくせにヒレが無くてハリがついてるリアルミノーってどこがリアルなの?とひねくれ者は考えてしまいます。全体的に銀色で光を反射するとか、その辺で充分ルアーとしてはリアルなのではないかと思っています。さらに、ミノーの動き自体リアルとはほど遠く自然の魚に比べればエライ大げさで派手な動きだと思っていますがどうなんでしょうか?
ただ、釣り人のワラにもすがる心境から何となく本物っぽいと食ってくれそうな気がして信じて投げやすいということはあるので、人が見てリアルっぽいことに意味が無くもないとは思います。まあ、ほどほどでいいんじゃないかなと思っています。
(註4)シャア専用ザクはノーマルのザクの3倍のスピードなんです。
(註5)すいません嘘です。私が見付けたというよりは、同居人のリクエストにこたえて作ったらエライ釣れたんです。なぜそういうリクエストを同居人がしたのか聞きましたが、彼女は「釣れそうな気がした」そうです。感覚で釣りする人間の考えることは、私のように屁理屈で釣りする人間には理解できません。
(註6)日本製のは良くできてます。フックがブレードに絡まないように設計されていたり、ウィローリーフで巻き抵抗少なく快適だったりします。対して、リトルジョージはアイが塗装で埋まっていたり、ブレードの軸に塗装が厚く塗られていて回転しなかったりもします。まあこすって塗装落とせばいいのでご愛敬といったところですが。
(2008.4)