○大森製作所ネタ その4  

  大森ネタをブログにしたときに、サイトのほうにも再掲してまとめてたんだけど、写真データが多くなると重すぎて読み込み編集できない有様になってきたので、わけてみました。その3(2024.5)



2024年1月13日土曜日

いや~ん!エッジ!!

  昨年は色々とリールを改造したわけだけど、まだ実釣で全然試験してない改造方法があって、何かと言えば大森スピニングの”なで肩”なスプール形状をFRP板とかを使って形状調整し、ピシッと下面が平らでエッジの効いたスプールにする改造である。まあ、ワシ飛距離よりトラブル防止を重視しているので、なで肩エッジで糸巻き量少なめ運用でも良いかなと思わなくもないけど、ラインがスプールエッジに当たるのが、エッジ効かせて角だけとかになると、当然発生する摩擦は少なくなり飛距離向上のほかにもラインが傷むのが遅くなる、っていうのと糸ふけが良くなるので、軽い仕掛けを落とし込むのにラインの出が良いってのが利点としてあるようで、特に後者は切り身餌にガン玉ぐらいの軽い仕掛けで落とし込んで釣る冬の良型アジ狙いや、これまたガン玉うって鳥皮で足下狙う根魚釣りとかでは、ラインが抵抗少なく出ていく利点が生きてくるのではなかろうかと思うので、実戦導入して試験してみたい。

 ということで、昨年末に年末進行でワシャワシャ分解整備していた、タックル系タックルオート系で、まずはスプールエッジにラインが引っかかりそうな酷い腐蝕がある「タックルオートNo.2」はせざるを得ない。その他、候補としては「タックルno.2」「ニュータックルNo.1」「タックルオートNo.1」「タックルオートSS」があったけど、試験してみて”耐久性ダメでした”とかの結果になるとよろしくないので全部やっちまうわけにいかず、まあ最悪FRP板とか追加した部分を引っぺがして磨き直せば良いんだろうけど、まずはせざるを得ないタックルオートNo.2に加えて、既にタックルNo.1が改造済みでスペアスプール体制が組めるニュータックルNo.1、ついでに改造有り無しの比較もするために、この春の主力機として想定しているマニュアルピックアップ化した「タックル5No.2」と、色違い同型機の「タックルNo.2」をマニュアルピックアップ化した上でスプールエッジ形状もいじる。ということで、冒頭写真の様に3台できました。というところ。タックルオートNo.1はタックル系同様の寸法で改造可能だけど、タックルオートSSはそもそもなで肩の部分が小さく、糸巻き幅もほぼスプール上下幅なので、計測した時点であんまり改造する意味なさそうだなという感触ではあった。

 逆にタックルオートNo.2は改造の意義が大きそうで、スプール上下が12mmしかないのにちょっと少なめにライン巻いた糸巻きの幅が16mmと4mmも糸巻きの幅が広くなってる。こりゃグズグズになりそう。ちなみにタックル系、タックルオートともにNo.1サイズはスプール上下幅は13mm、糸巻き幅は11mmで実はタックル系ではNo.2サイズでも同様の幅になっている。タックル系のNo.2サイズはNo.1サイズのスプール径を大きくしたような機種でスプール大きめのスピニングは使いやすいの法則にあてはまると思ってたけど、その感覚はあっていたようだ。2号ナイロンだとNo.2サイズの方がしっくりくる。ただスプールエッジ改造すると糸巻きの径が実質大きくなるので、そうなるとNo.1サイズでも2号ナイロン快適に使えそうではある。
 でもって、基本的な改造方法は前回同様でFRPを必要な大きさの輪っかに切り出す(写真1枚目)、スプールにハメて(写真2枚目)、下に糸巻きの幅の厚紙とかの”アテ”を入れて高さを均一に斜めッたりしないようにしつつ(写真3枚目)、ティッシュでつくった紙縒りを隙間に巻き付けて瞬間接着剤を染みこませて固定、を2回ぐらいやって大まかな構造を固めて(写真4枚目で、この時点でラインをなんぼか巻いて塩梅を確かめているところ)、ロッド回しで回しつつエポキシを盛ってやり、固まったらドリルで回しつつサンドペーパーでFRPの角の面取りやら上部エポキシの形状をならすなどして(写真5枚目)、最後塗装。

 ただ、3台やったうちニュータックルNo.1はサイズも同じなのでやり方前回同様なんだけど、タックルオートNo.2とタックルNo.2は糸巻きの縮小幅が大きくてスプ-ルの芯の方までFRPが入るので、輪っかが幅広くて1箇所切り込みを入れた程度ではスプールに填められない。真っ二つに切るとどう考えても平面が保ちにくいので、1/4ぐらいをピザみたいに切り出して(写真2枚目)、切ったところから填め込んで、最後切ったピザを填める形にした。この方が格段に平面に仕上げやすいし強度的にも丈夫だと思う。ただどこまで耐久性とかが稼げているかは、1箇所切り込み方式も含め、ある程度現場で運用してみないことにはどうにも分からんので、あとは実戦導入あるのみである。

 スプール上部の色は、前回は輪っか状にもとのアルミ色を残したけど、今回はタックル系は黒でタックルオートは銀で塗りつぶした。こっちの方が表情キリッとして良い気がする。まあそのへんは趣味の問題で表面滑らかになって防水防錆性が上がってればよし。やや不安だった銀色のラッカー塗料が意外にアルミに違和感ない発色なのはちょっと儲けものかも。アルミのお色直しには使えるかも。小皿にプシューッと出して綿棒でヌリヌリしてます。
 という感じで、この冬から春にかけての体制は、カマスアジ根魚等の1号ナイロン運用が、スプールエッジ形状調整済みのタックルNo.1とニュータックルNo.1、シーバス用の2号ナイロン運用が、スプールエッジ形状調整有りのタックルNo.2と調整無しのタックル5No.2でどちらもマニュアルピックアップ仕様でラインローラーはポリアセタール樹脂製。スプールエッジ調整の有り無しで糸巻き量が直径にして44mmと41mmと差が出ておりその分の”スプール大きめ効果”的なモノは期待できるし、実際に使ってみてスプールエッジの形状をいじった効果が感じられるかどうか、ボチボチと試してみてまたご報告できたらなと考えております。

 耐久性がそこそこあって、釣ってる間にポロッと剥がれたりしないのであれば、タックルオートNo.1のボロいのもスプールエッジ形状調整してやりたい。そのうえで同型機2台あるので、ボロいほうは替えスプール要因兼部品取り兼予備機にして、セットで釣友にあげる予定。できたらスプール調整有り無し両方使い比べてみて感想聞いてみたいと思っている。そのとき、いまタックルオートNo.1とかのサイレント化部品を開発中の御仁がおられるようなので、おそらくハンドル軸に填める樹脂製の部品と、そいつが押し上げる突起が付いた逆転防止用の爪のセットだとおもうけど、それを組み込んで消音仕様にして、スプールエッジ改良までした最強魔改造仕様のタックルオートNo.1にして渡したい。くだんの釣友は”瞬間的逆転機構”がローター内に特に防水機構もなく鎮座しているスピニングをちゃぷっと海水に漬けてしまったらその後ジャリジャリし始めたそうで「これ買ったらそれでもう買い直さんでいいトラブルもないってリールはなんなの?」ってボヤいてたので、今時のフルに防水化してある、普及機レベルのある程度の値段の国産大手機種を買うか、昔の、浸水したところですぐには不具合生じないし(何なら海中で使っても大丈夫だと思う)、後々中で塩が結晶化したりしても簡単にバラせて整備すりゃ元通りの、PENNだの大森だのの瞬間的逆転防止機構が付いてない時代の実用機を、ベールスプリングだけ予備用意して使うかどっちかだと言ったら、昔ので良いというので、大森の基本的な良さが詰まったタックルオートをチョイといじったらご要望にそえるのではないかと考えているところである。「金出すよ」とは言われているけど、1500円落札と1300円落札のボロリールで友人から金せびれるかよって話で、戦闘能力というか実用性抜群に仕上げる自信があるけどロハでいい。そうやってタダであげてでも数減らさないと、スピニングが蔵に積み上がってどうしようもないの。アタイ病気が憎いっ!

2 件のコメント:

  1. C-4のスプールに似た加工施そうと奮闘中ですが中々FRP板の接着が上手く行かずズレてしまうんですね
    まだ挑戦して「完全体」にするのは諦めてません
    エッジ処理、今回の記事で参考になりましたがまずは板を綺麗に装着するところからです
    完成すればシーバス相手に再就役予定です。
    そう言えばハンドルノブの自作には手は出さないですか?

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    1. ぬこさん おはようございます

       FRPの平面接着は下に入れる糸巻き幅の厚紙でしっかり固定してから接着するのがやりやすいです。接着剤付けてから固定するより、固定して紙縒りを巻き付けて後に接着剤を染みこませる感じです。

       ハンドルノブはたまたまPENNのT字の樹脂が剥いである個体で再建したことはあります。PENNのT字の軸が太いのが苦手なので良い感じに仕上がりました。スピニングリールで改造するなら人それぞれ指や握りが違うハンドルノブが一番有用でその次がスプールエッジかなと思ってます。次点でやる気に作用する外観ぐらいかな。
       フルベアリング化?錆びる箇所増やしてご苦労さん、って感じですよね。
       
       ちなみにハンドルノブ改造はサイトの方に昔あげてました。
      https://namazerpenn.sakura.ne.jp/kuhuu/katati.htm

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2024年3月9日土曜日

僕が考えた最強の大森タックルオート

 最近釣友が、職場の釣り好きに誘われたのがきっかけとかで、貸しボートでのカマス・アジ釣りにハマっている。昔使ってた魚探引っ張り出して、ボート用の台座自作して取り付けたり、アジの時合いにはアジ釣りマシーンと化して釣ってたり、なかなかに楽しんでいるようだ。で、その時に狭いボートの上で竿先に絡んだ道糸をほどこうとしてたら、反対側のリールが誤ってチャポンと海水に浸かってしまったらしい。一瞬チャポン程度ではどうっちゅうことないだろうという楽観視を尻目に、しばらくしたら中でジャリジャリとした感触が生じ始めた。

 「ほんの一瞬浸かっただけやで」と嘆こうが、覆水盆に返らずっていうか、今時のスピニングリールにおける諸悪の根源”瞬間的逆転機構”がろくな防水機構もなくローターの下に入れてあったら、一瞬ドボンなどもってのほか、水道ジャバジャバ水洗いなんてとんでもない、雨降っても、波かぶっても、あんなところ防水してなければ無防備状態で、しつこく書くけど水辺で使う道具なのに、水かぶった程度で不具合が生じかねない。雨が降ったら釣りに行かず、小さなミスも犯さない、リールを水中に落っことしたり、自分がコケてリール水没させたりしない人間用なのであろうか?ワシャそんなん自分がコケて肋ヒビ入らしているぐらいで、とても上手にあつかわんわい。

 釣友も「別にご大層なリールが欲しいわけじゃなくて、それ買ったら面倒がなくそれっきりで良いのってどれよ?」とぼやくわけである。彼の所持するリールにはそういう良いリールがあるにはあるけど、若き日の相棒であり、もうおいそれとは出したくないらしく、次買うときに同じような面倒な機種はウンザリだということらしい。

 手っ取り早くいくなら、大手の1万円ぐらいからの大衆機で、瞬間的逆転防止機構にガッチリ防水機構が付いているのを買うという選択。整備性は良くないけどラインローラーとかの外回りだけ気をつけてやればよさげ。あとはメーカーメンテ。

 中古で探すなら、そういう耐海水性能で強いのはPENN、整備性が良いので面倒臭くないのが大森、という感じだけど、ボートでアジやらカマスやらを狙う小型リールでとなると、PENNはちょっと弾数少なくかつお高い。大手の大衆機よりヘタすると高くつく。大森No.1サイズはボロければ値段安いし、見た目ボロくても整備すれば機能はなんら問題ないことがほとんど。ということで、どうせわが家で出番もなしに蔵に在庫しているだけなら、使ってもらった方が道具として正しい有り様である。ということで「余らしてる大森でよかったら使えるようにして進呈するよ」ということになった。

 ちょうど、TAKE先生が「コメットG1」の逆転防止の消音化部品を売りに出したところであり、コメットはタックルオートをインスプール化したような機種でハンドル軸のギアとか設計に共通点が多く、件の消音化部品も「タックルオートNo.1」にも適合するとのことで、そのあたりも組み込んで、ワシが考え得る現時点での最強の「タックルオートNo.1」に仕上げて引き渡したい、ということになった。なったんだけど、他に良いリールはないかと、自分が使うのを想定して「面倒臭くなくて優秀なアウトスプールの小型スピニング」にはどんなのがあるか、ってのをちょっと数え上げて考えてみた。

 まずPENN勢は「430ss」「4300ss」「430ssg」あたりだろう。前2者はベールスプリングを折れたら交換する必要があるっていうほかに、欠点と言わなければならんほどの不具合はない。ただ、さっきも書いたように弾数少なく値段高いのでおいそれとは買えん。430ssgは瞬間的逆転防止機構搭載なんだけど、油グッチャリの湿式で使えるので浸水しても平気ではある。ただ寒いとグリスの粘度が上がって逆転してしまったりする。逆転防止機構を一方通行のベアリング一個に任せて単純に仕上げてるのは整備性良くて良いんだけど、欠点もある。弾数少ないのは一緒。
 お次、大森製作所なら「マイクロセブンC1」「キャリアーNo.1」「マイコン301TB」「タックルオートNo.1」「タックルNo.1」あたりか、正直海水での実用性では本体樹脂製の「マイクロセブンC1」がもってこいな気がする。けど、現在使用中の機種であり今回の選からは惜しくも外した。キャリアーも樹脂製だけど人気機種なので値段が高い。「マイコン301TB」も良いリールだけどリアドラグのツマミの隙間から浸水してドラグの調整幅出すバネが錆びがちなのでその点やや注意必要。値段という点では「タックルオートNo.1」「タックルNo.1」はクソ安い。ボロいと2千円しないことが多い。消音化パーツが出たことで「タックルオートNo.1」は若干注目が上がって値もあがるかもだけど、「タックルNo.1」など左巻のネジが失われてることが多いのが難点だけどゴミのような値段で買えるし、じっさい買って今年使用予定で整備済み。ということで、今期も今後も使用予定がなく、大森らしい軽くベールが返る内蹴り機構と簡易ローターブレーキを楽しんでもらうにも「タックルオートNo.1」が最適な機種だろうと考えた。チョイボロすぎる個体をスペアスプール要員兼部品取り個体として抱き合わせてセットで、片方をカリッカリの実戦対応モデルに仕上げて進呈しよう。いじるのは消音化はオマケで、大森スピニング最大の欠点とされる”なで肩のスプールエッジ”、”スプール往復幅より広い糸巻き幅”をレイの方法でアレしてやる。

 と方針はこの時点で決まったんだけど、この際他にも実用性の高い機種ってあるか?と続けてアレコレ考えてみた。

 ABU「カーディナルC3」は合格だろう。ドラグ含め濡れたら困る機構は本体内に収めてある。アキレス腱のベールスプリングも長寿命ベールスプリングを組み込めばだいぶ戦えるはず。ダイワ「ウィスカートーナメントSS」は、かなり良い、ルアー用小型スピニングに初めてロングスプールを採用、まだこの時代は瞬間的逆転防止機構が搭載されておらず、ラインローラーにもベアリングは入ってない。650サイズのベールスプリングは普通のトーションバネだけど、750サイズから上になると耐久性の高いグルグルコイルバネが採用されていて「樹脂ボディーの瞬間逆転防止機構の搭載される直前の機種が実用性が高い」というワシの持論に合致している。バラしにくく整備性はイマイチってことぐらいしか欠点が思いつかない。ラインを端まで巻くとドバッとまとまって出てしまうトラブルが多いらしいけど、糸巻き量減らすことで対応可能。渓流で使ってたけど気持ちよく使えていた。ダイワがトーナメントSSならシマノは「92’ツインパワー2000」が瞬間的逆転防止機構が付く前の樹脂本体機でマルチポイントストッパー方式。分解整備しただけで使ったことないけどこれは良い気がする。ベールスプリングがコイルグルグルなのはポイント高い。リョービ「サイノスXS1000ZM-T」も2000番の同型機をいじった程度だけど、マルチポイントストッパーでベールスプリングがコイルグルグル、ラインローラーに無駄にボールベアリングが入っておらず、やや樹脂で回転部を受ける構造が多いのが耐久性的にどうかと思うけど、まあそれなりに持つんだろうとは思うと上出来。で、ルー(韓国日吉)「ゴールドスピン」は使ったら良かったので、弾が少ないので入手はやや難しいけど実用性高いアウトスプールスピニングとなれば出しておかねばという感じ。他にも、ワシが知らんだけで、瞬間的逆転防止機構が搭載される前の機種で実用性の高いのはあったんだろうと思う。オリムのその時代の機種は触ったことないけど何かあったんだろうし、日本じゃあんまり見ないけど、ゼブコとか絶対アメリールらしい実用性の高いのを用意してただろう。そして、そういうのを下請けしてた韓国、中国製のリールでも丁寧に拾っていけば良いのはあるかも。

 というときに、自分が評価する項目として、重要な項目から書き連ねると「瞬間的逆転防止機構が付いていない」「整備性の良い単純設計」「必要充分な耐久性」「まともなドラグ」「適正な幅のスプール」「適正な形状のスプールエッジ」「ラインローラーにはボールベアリングではなく樹脂製スリーブ」「回転部を受ける工夫」「ベールスプリングはグルグルコイル」「本体樹脂製」「ハンドルはワンタッチ折り畳み不採用、取り付け方法はねじ込み式が望ましいが共回りも可」「ハンドルノブが長時間使ってても指が痛くならない形状」「ローターブレーキ採用」「指がスプールエッジに届く設計」あたりを評価基準にしている。いるけど、いじくってどうにかしてしまえる、あるいは外法で対応可能なら欠点は補完できると思う。 

 ということで、本題の「タックルオートNo.1」の改善に取り組んでいこう。タックルオートNo.1を上の評価項目で評価すると、「適正な幅のスプール」「適正な形状のスプールエッジ」「ベールスプリングはグルグルコイル」「本体樹脂製」「ハンドルノブが長時間使ってても指が痛くならない形状」以外は問題なしである。つまりこの5項目のうち対応可能なものに手を付けようという方針。ベールスプリングはグルグルコイル式に改造できないか考えたことはあるけどなかなか難しい。むしろトーション式のベールスプリングの自作で対応する方が簡単なので、まあ定期的に交換か予備を用意しておくことで対応してもらおう。本体樹脂製じゃないけど、整備性の良さと逆転防止機構まで本体内に入れた、ある程度防水性がある設計でカバーできるので耐海水、耐腐蝕的には充分対応可能だと思う。釣りから帰ったらジャブジャブ洗って、から拭き乾燥。たまにラインローラー、ハンドルノブ、スプール外して主軸の根元に注油程度で問題生じないはず。ハンドルノブの形状については、一概にこれが良いという話ではなくて、釣り手のツマミ方、握り方、手の形大きさで変わってくるので、なんとも言えんところで、ワシは大森の三角パドル型は摘まみやすいし痛くなってこないので好きである。一応マイクロセブンCシリーズのウッドノブ型と2つ用意して使いやすい方をという選択方式にする。で、のこった「適正な幅のスプール」「適正な形状のスプールエッジ」についてはれいによってFRPの板を使って、スプールエッジの形状等調整をやってしまうという方針。あとせっかくなので消音化部品も組み込む。

 まずはだいぶ慣れてきた感のあるスプールエッジの形状等調整。No.1サイズの場合、スプールの幅が約13ミリにたいしてスプール上下幅は約11ミリなので、11ミリの高さの厚紙の下駄を履かせて、填まるように切り出したFRP、8ミリの板をズレないように填めておいて、隙間にティッシュの紙縒りをクルッと入れて瞬間接着剤を染みこませて、その上にさらに紙縒りを重ねてまた瞬間接着剤。という感じで大まかな形状を整える。その上でハンドドリルに填めてエッジの面取りをしてティッシュも削ってある程度滑らかにしたうえで、エポキシで隙間とか窪みを埋めつつロッド回しに刺してコーティング。固まったら銀色のラッカー塗料でヌリヌリで完成。
 でもって、消音化部品の組み込み。消音化部品は樹脂製で出るかと思ったけど、樹脂製だと温度差とかで作動が安定しないとかで、バネ的部品でハンドル軸の回転を拾ってそれを、金属製のカムに伝えてカムの隙間にストッパーの爪を入れて正回転時にラチェットから遠ざけるという仕組み。チョイ面倒だけど金属製なのは丈夫そうで悪くない。

 写真上左が元のストッパーで矢印の位置に爪がない。で外して消音化部品と並べたのが写真上右、右の爪付きのストッパーに交換して、ワッシャーで高さ調整の後、写真下左のように金属製カムを隙間でストッパーの爪をはさむように設置。チョイ見づらいけど写真下右のようにハンドル軸のギアの軸にバネ的部品を填めて、その出っ張って曲げてある部分を金属製カムの隙間の反対側の凹部に填めてやるという手順。そんなに難しくなく、想定していないだろうぐらいにグリスグッチャリなので滑りすぎると上手くいかんのでバネ締め直しとか調整必要かと思ったけど、一発で決まって問題なく機能してくれた。

 カリカリ鳴るの嫌いじゃないけど、たしかにラチェットに当たるごとに抵抗は発生しているわけで、ラチェットに当たらず音が鳴らないようにしてみると、ボールベアリング一個しか使ってない、でもハンドル軸をアルミの本体で直受けにしたりせず真鍮スリーブを入れているという、丁寧な仕事ぶりが光る大森スピニングの真骨頂的な滑らかな回転が味わえる。さすがの大森ハイポイドフェースギア。回転の滑らかさとか、わりとどうでも良いとワシ思ってるにしても、これはこれでたしかに良いものだと思わされた。そりゃ今時の高級スピニング様はもっと滑らかに回るのかもしれん。しれんけど、そのためにどんだけボールベアリング突っ込んで面倒くせえことになってるのかって話。実用上充分以上に滑らかな回転をボールベアリングたったの一個でやっつけている、同時代のボールベアリング2個入りのオートベールと比べても下位機種なのにこの仕上がり。無駄が無くスッキリしてて良いリールだなと改めて思うのよ。って感じでいっちょあがりが下の個体。スプール調整済み、消音化部品組み込み済み。グリスグッチャリ整備済み、ハンドルは純正のまま。対して上がローターが一部欠けてたようなボロ個体で整備済みではあるけどやや回転の滑らかさとか損なわれている。スプールはそのまま(可能ならどちらも試して比較してもらいたいところ、その後追加でスプール形状調整も承ります)。ハンドルはマイクロセブンCSのを付けてあるので、どちらかお好みのを付けて使ってください、どちらにも付けられます、という感じ。結局、リール改造用の部品とか各種売ってるけど、買って価値あるのはスプールとハンドルぐらいで、あとはだいたいにおいて自己満足程度かなと思っている。スプールは同じ替えスプール買うだけでそのリールの戦闘能力が格段に向上するし、形状やら糸巻き量の適正化やらいじれる要素も大きく、スピニングの飛距離とかトラブルの少なさとかスプール上下の方式とかも関係してくるけど、大きくはスプールの形状で決まる話で、ベアリングの数増やして空回ししたときクルックル回るようになったところで戦闘能力はあがらんのでそれは無駄な金の使い方だと思うし、そんなもんよりスプールに金かけろだろ。そしてハンドルはノブの形状とかが手に合わん痛くなってくるヤツだとつらいモノがあるので大事。見た目より何より使ってて痛くなってこないのが良いハンドル。こればっかりは使ってみないと分からん。

 なんにせよ、基本設計がしっかりしている機種に不足している機能を足していく、あるいは必要な調整を施すのは比較的容易に対応可能。でも基本設計に”瞬間的逆転防止機構”なんていうクソがデデンと鎮座していると、防水性とセットでそこは外せないのでどうにもならん。スピニング作ってる各社は早く外せっての。

 とはいえ、しばらくは瞬間的逆転防止機構の流行はおさまらないんだろうから、ワシそういうのはクソだとネットの片隅で叫び、レジスタンス運動に身を投じつつ、クソが鎮座していない時代のスピニングを愛でていきたい。

 てなことやってたら、大森熱がぶり返して「大森スピニングが整備したい!」ってアタイ苦しかったの。でもご安心くだされ。わが家には整備待ちの大森スピニングぐらいたーんとござる。

 ブッコミ泳がせに使ってる「マイコン202」が調子よくてずいぶん気に入ったんだけど、そうなると替えスプールが欲しいなという症状が出てきて、すると出てくるんですね中古市場にポロポロッとボロ個体が2台、2台とも競りもせず確保。まだマシな方を整備して剥げてた塗装もお化粧直しして、すでに現場投入済み。そして、ワシが整備してやらねば燃えないゴミになりそうなジャンクな「マイクロセブンNo.1」のグリーニーな個体。ハンドル後方の左右交換用のネジ入れに格納されていた左用のハンドルネジが赤さびまみれになっていて泣きそうになったけど、ダイヤモンドヤスリでネジ山を復活させてなんとか使用可能な状態に復帰。てな感じに今期も楽しく大森沼にズブズブと潜っております。皆様もご自愛くださいませ。アタイ病気が憎いっ!

2 件のコメント:

  1. 防水がプアな近代的大衆機種、土砂降りで釣行強行すると異音が出るしベイルリターンが
    極端に悪くなる症状が出ます。
    分解整備すると綺麗に治るからマシですが、
    その整備に3時間くらい掛かってかなり面倒くさいですね。
    極細PEの為にシマノ大衆機種入れてますが、
    後始末に困りますので
    雨天決行はあまりやりたくないです。
    2020年代から防水改善して開放されたかに見えますが、トルクスネジに変更になり部品点数大幅に増えたから
    雨天決行は相変わらずPENN頼みは変わってません。

    ナマジさんが今シーバスに回してるダイヤモンドリール、
    仕様をみると最強状態ってのがわかります
    外蹴りリターンモデルをベイルレスにしてスプールの泣き所解決してますし
    大森の美味しい所取りだと思います


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    1.  アチャー大手大衆機ならいまどき防水しっかりしてるから大丈夫かと思ったけど、面倒くせぇ手間はかかるんですね。

       今使ってるベイルレスのタックルNo.2は良い感じですよ。ほんと余計なモノが付いてなくて単純。しかもストッパーオフで使うので、消音化せずともカリカリ鳴らず大森のギアの滑らかさが素直に味わえます。
       魚さえ掛かってくれればドラグの良さも楽しめるのに、状況が良くないのが残念です。

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2024年5月4日土曜日

三体+α

  見てのとおりの、ひでえ状態の大森が3台。良くこんな”ゴミ”を買ったなと思うかもしれないけど、これ一台いくらだと思います?

 なんとそれぞれ1円スタートで、3台とも入札者ワシだけ開始価格で落札。送料もまとめてもらって900円強がところで、丁寧に梱包してもらってあったのが申し訳ないような品である。見た目潮吹きまくりの緑青出まくりの酷い表面状態でベール周りの部品も腐蝕して使えるか不安な状態、可動部はほぼ潮噛みでギシギシとまともに動かずとトホホな”ゴミスピ”達だけど、「マイコン202」についてはスペアスプールだけでも手に入れば300円程度では安すぎる、実際樹脂製のスプールはすぐに使用可能なことが確認できて、既にチャチャッと掃除してライン巻いて釣り場に持ち込んで活用している。他は「オートベールNo.3」が2台だけど、とりあえず左右両用のNo.3サイズのハンドルが2本確保できれば、その時点で1台約300円はこれまた安いぐらいで、かつナンボ外観がボロくても内部のギア等は平気なことがほとんどなのが、逆転防止まで本体内に収める設計の大森スピニングの良いところであり、2台の良いところを寄せ集めて”ニコイチ”して1台稼動機にもっていって、1台は替えスプール要員兼部品取り、というところまでは持ち込めそうにも思う。そこまでいけたら万々歳の部類だろう。だめでも使える部品がガサッと手に入るはず。

 ということで、しばらくは各部にCRC666ぶっかけて浸透させて放置だなと、202のスプールだけ早速実戦投入しつつも、他は粉吹き状態の潮やら緑青やら拭き取れる部分はザッと拭き取ってやり、ハンドルやらスプールやら外した状態でネジ部や隙間にCRCをぶっかけて、個別にビニールに突っ込んでいつもの油漬け保管箱にて漬け込んでおいた。ハンドルやらスプール外した時の感触では、中身は問題無さそうではあり、問題ありそうなのはベールアーム、ベール支持部、逆転防止切り換えスイッチ、スプールといった外回りの酷い腐蝕で、これは錆を削ってエポキシ肉盛りやティッシュを瞬間接着剤で固めて穴埋め成形とかで対応可能なのか心もとない。あと見えているネジが潮と緑青に埋もれているのが多く、果たして固着を外して整備に持っていけるのか、ぶっちゃけ本体蓋が開かないとギアが生きてても部品取りもままならない。まあその時は本体関係は捨ててネジをドリルで破壊して蓋を開けるしかないか?塗装、銘板はいつものことで、使えそうなら適宜お色直しは最低限必要だろう。
 と、まあスプールとハンドルは外せることが確認できた時点で、それだけでも儲けもので、後はなんぼか部品が取れただけでも良しだな、と思っていたら、”縁は異なもの味なもの”とはよく言ったモノで、このタイミングで米国製塩水系ルアーの使い手であるMasahiroさんから、「オートベールNo.3」1台と、オートベール、タックルオートのNo.3,4あたりに使える部品をもらってくれないかとの申し出、なんとメールに添付された写真には、ちょっと修復苦戦するかもと思ってたベールアームも写っていて「いただけるのなら喜んで。という以上に天の采配を感じます。実は、オートベールNo.3の腐蝕が酷いジャンク個体が2台整備待ちで、部品の中にベールアームとか使えそうなのが見えてるので喉から手が出るぐらいタイムリーに欲しいです。」と返信、入れパクで食いついてしまった。ホント計ったようなタイミングでドンピシャ欲しいものが手に入ってしまう幸運。ありがとうそしてありがとう。これは”大森の神”の”3台とも稼動状態に直せ”とのご意志の現れだろう、という神託に基づき3台現役復帰を目指すこととあいなった。ちなみに小袋に分けて送られてきた部品をざっと並べてみると写真の様な感じで、2台から使えそうな部品を回収してあるようだ。大森分解整備ももう何回やったかわからんぐらいなので、部品見ればどこのナニか分かるぜワシ。そして、一緒にもらったタックルオートNo.3は整備の必要もないような綺麗で快調な個体。単に1台稼動品が必要というならこの1台で話は終わりなんだけど、そうじゃないだろ、ワシが調整してやらねば良くて部品取り個体、悪くて”複合ゴミ”の3台を、天の采配で部品も手に入ったことだし、見た目ボロいのはある程度は仕方ないけど、機能的に復活させるのはもとより、これまでの経験とちょっと試したいアイデアをぶち込んで、なんなら純正状態復活より戦闘力上げて仕上げてしまって、実戦導入して武勲を立てさせてみたい。などと鼻息荒く思うのですよ。
 ちゅうわけで、まずは「マイコン202」からいってみますか。

 本体蓋の塗装ハゲがたいしたことないように思えるほど、ベール周りが酷い。

 樹脂製のベールアームはもちろん大丈夫なんだけど、ベールワイヤー支持部は腐蝕して凸凹だし、ベールスプリングのところと、逆側ベール反転機構のところの”アルミの蓋”が酷い状態。左下のベールスプリングの蓋に穴が開いて隅の方に塩の結晶が析出して溜まってるのも酷いけど、写真右下のベール反転機構のアルミ蓋の下1/3ぐらいがボロボロに腐蝕して錆落ちてしまってるのは、さすがに始めて目にする惨状。我々塩水で釣りする連中が、帰宅後水道水ぶっかけたり、なんなら釣り場近くのトイレの水道でジャブジャブとか、とにかく塩気を水圧掛けてでも素早く取り除きたくなるのは、塩気は金属を滅茶苦茶腐蝕するからである。アルミに塗装もしてあってもこんなもんです。釣行後の塩抜きがいかに大事かお分かりいただけるかと。ほんと塩気はちょっとでも残すと腐蝕に繫がるので神経質にならざるを得ない。といいながら、塩抜きして袋にしまってあったカマス釣るのに使ってるフライリールのサイエンティフィックアングラーズ「システム2m78」がこの冬出した時にチョコチョコ腐蝕して塗装がはげ始めててオノレの注意不足を反省した。釣り終わってリール袋に入れて帰ってきてリール洗って袋に入れてしまってたけど、よく考えると釣り終わって塩水が付いているリールをリール袋に入れると、リール袋に塩気が残ってしまう。Oニーサンは袋は信用ならんので、竿とかは現地で真水洗いしてからメッシュ状の筒に入れて持ち帰るようにしていた。っていうぐらい塩気は金属部品の敵なのである。PENNとか異様に塩気に強いリール使ってると、そこまで細かく気をつけなくても平気だったりするけど、PENNが特別なだけだと思っておいた方が良い。真水でジャブジャブ洗うのは最低限必須だと思っている。それすらやらんとPENNでも錆びる。

 でも蓋ぐらいなら、蓋してそれこそ塩水があんまり入ってこないようにしてあれば良いので、強度はそんなにいらないので、プラの板と紙とテッシュと瞬間接着剤で蓋として機能するように穴を塞いでおいた。

 左のベールスプリングとベール折り畳み機構の入ってる方は、穴が大きくないので、とりあえず紙で穴を塞ぐように瞬着で貼って、その裏側を補強するようにティッシュを瞬着で堅めながら成形して蓋として機能するように厚さと形状を調整。右のベール反転機構が入ってる方は、蓋の下がごそっと落ちているので、適当なプラの板を切って、とりあえず紙を使って瞬着で平面になるように接着、そして裏面をティッシュと瞬着で補強しつつ成型。後は黒く塗れ。

 本体塗装も、腐蝕しているところから塗装が浮き始めているので、マイナスドライバーとかサンドペーパー使って剥がれるところは剥いでしまう。結構乱暴にガリガリやってます。

 パーツクリーナーで油やら汚れを落とした後、車用のタッチペンでヌリヌリと塗ったくって、腐食防止兼お色直しって感じ。ベールワイヤー支持部の凸凹はサンドペーパーで腐食部をなるべく削って、エポキシで凸凹ならして色塗っておく。

 とまあ外観は腐蝕だらけでボロボロだったんだけど、固着も無く、中身はなんにも問題無くてグリスも固化してないどころか濁りもなく、全体的に綺麗な状態でサクサクと、同機種も3台目なので慣れたもので、いつものようにグリスグッチャリで仕上げておいた。

 使用中のスペアスプールを填めてみて、巻きやらベールの返りやらドラグやらの感触を確認してみると、本体内部の調子は2台目のややボロ個体よりは良いぐらいで、ドラグもこちらの方がより滑らかな気がする。ボロい方2台で適当に交代させながら使っていけば、老い先短い我が釣り人生ぐらいは持ちそうでちょうど良いのかもしれない。なんにせよ1台目は無難に復活できてまずは良し。

 次はオートベールNo.3のマシな方からやりたいところだけど、甲乙付けがたいボロさで、ベールアームの腐蝕が激しいほうは再建がややこしそうだなと、ハンドルキャップが無くて、見えてるハンドル軸が錆びてる方(だからあれほどハンドルキャップが無くなったらゴムでもなんでも良いからキャップを付けておきなさいと言うておるのに)から手をつける。

 しっかしボロい。こちらはベールアームの腐蝕はたいしたことないけど、ベールワイヤー支持部は全面的に腐蝕でボロボロで、外すと割れるんじゃないかと不安になるレベル。スプールの腐蝕も酷いし、当然銘板とかちょっとマイナスドライバーでつつけば剥げる。

 本体蓋のネジとかもネジ山に緑青詰まってて外せるのか?と不安になったけど、千枚通しの先で緑青ほじりだしてから回してやれば普通に外せた。腐蝕が酷いベールワイヤー支持部もネジは問題無く外れて、一応強度的に問題無い程度には支持部も金属部分は朽ちずに残っている。本体内部はハンドルキャップないし浸水して酷いことになってるかも?という不安は杞憂で、特に固着も腐蝕も無く綺麗なモンである。ハンドル軸はキャップ外れてた左側だけ錆びてるけど、ハンドル突っ込んだらちゃんとネジ山は生きているようなので機能的にはどうにかなりそう。

 中身はだいたい良さそうなので、とにかくボロい外回りをどうにかしていく。

 腐蝕して粉ふいてるような所は、マイナスドライバーでこそげるだけこそぎ落としてサンドペーパー掛けておく、特に腐蝕が酷いベールワイヤー支持部はガリガリ削って地金を露出させておいて、凸凹をならす感じでエポキシで肉盛りしてラインが引っかからないような滑らかな形状に整えておく、ラインローラーは固着したまま使用されていてクロームメッキが剥げて糸溝デキてたので、早速いただいたスペアパーツが活躍。本体は腐蝕を削り落として、銘版貼り直したら塗装してお色直し。ベールワイヤー支持部と逆転防止機構のスイッチは銀のラッカー塗料でその他は黒のタッチペンで仕上げる。

 スプールがこの後追加の改造の予定で腐蝕剥がした程度だけど、全体として機能的にはほぼ完品状態に復帰させることができて一安心。

 ハンドルキャップがこれまたいただいた部品に1個入っててドンピシャに役立った。

 ハンドルノブが外せるタイプだけど固着してたのでこの時点ではとりあえず無理して外さずそのままにしておいた。

 実物を近くで見れば、色塗り直しまくりの、凸凹穴埋めまくりのボロ機だけど、こうやって写真で見るとなかなか良い感じに仕上がっている。

 自分でボロくしてしまってるのは、手入れがデキてなかったり、道具を大事に扱えてなかったりというのを表しているので恥ずかしいけど、ボロいヤツを入手して使えるように整備した機体の見た目のボロさはまったく恥ずかしくない。むしろ古い機種ならボロい方が経てきた年月相応の重厚さが出て格好いいぐらいに思っている。そして機能的には全く問題無く復活しており、ベアリングさえ錆びておらず大森ハイポイドフェースギアは、さすがボールベアリング2個も入ってる上位機種であるオートベールだぜって感じに滑らかに回り、ハンドルでベールリターンも軽くカコッてな感じの良い感触で返ってくれる。気分良いゼ。

 いい気分になったところで、この調子でもういっちょいこう。

 残りの1台もボロいけど、特に酷いのは前述したようにベールアームが腐蝕して崩れ落ちて、もはや形状が変わってしまっているところで、これは果たして修繕可能なのか怪しいところだけど、幸いにもいただいた部品類のなかに同型のベールアームがあったので、修繕しきれなかったら交換という手が使えるのは僥倖。ベールワイヤー支持部もボロいけどさっきの1台よりはマシなので何とかなりそう。こちらはハンドルキャップは残っていたので本体内に特に腐蝕等はなく、前の持ち主が”追いグリス”したのか、グリスグッチャリで状態は悪くない。

 ということで、問題のベールアームだけど、調べた感じ幸運にもラインローラー固定ネジがしっかり締めるられる程度には金属部分が残っているので、あとはラインが引っかからないように凸凹をならして、引っかかりのないようにエポキシを盛って成形してやれば良さげ。単純にネジを填めた状態でやや固まりかかったぐらいのエポキシを盛ってやって、時々ひっくり返したり角度調整したりして、良い感じの曲線になるように固める。固めたら、ネジを回してネジとエポキシを剥離させる。エポキシは表面ツルツルの金属や樹脂にはしっかりとは着かないことが多く、接着が主な目的なら接着面をサンドペーパーで荒らしておいた方が良いぐらいで、逆にツルツルの面からは剥離しやすいことを利用して、型にエポキシを塗布して割れないように剥がして必要な形にエポキシを成形するという小技は何かと使える手なので憶えておくと便利。ベールワイヤー支持部も凸凹削ってエポキシでならして、銀色に塗って、ベールアームは黒く塗って、使用可能な状態には修繕できたので、いただいたベールアームは温存しておける。
 このへんの予備パーツ、これさえあれば直るのに!っていう場面は結構あるかと思うところ。今回いただいた部品に限らず、使わなそうなモノや予備に余裕のあるような部品なら、送料と、モノによっては実費相当ぐらいで融通することもできると思うので、必要な部品が見つからなくてうちの蔵にありそうならご相談ください。可能な範囲で対応させてもらいます。

 あとは特に問題無く、いつものようにバラしたらパーツクリーナーで洗浄、銘板貼り直したり、塗装のはげをお化粧直ししたりして、グリス盛り盛りで無事終了、っていかなかったんだなこれが。

 組み立てていく過程で、ベールスプリングの所の蓋をネジ留めしようとしたら、キュッと締めたらポロッとネジの頭が落ちた。ここまで来てそれはないだろう、って焦りまくり。外すときに固着しててネジ切るのならまあ想定の範囲内であきらめもつくけど、外せたネジを締めるときにネジ切るってどうなのよ?なんとかならんのか?としげしげ眺めていると、なんか折れて残ってしまってるネジの頭が一部尖っている。この尖ってる部分をペンチの先で引っかけるようにして摘まんで回せないかという、薄い可能性にすがってみると、グリス塗って滑りが良くなってるので、尖りに引っかけてちょっとずつ回すことができる。ちょっとずつ回していってネジが摘まめるぐらいまで穴から出てきたらしめたもので、ペンチの先で挟んで回して無事抜けた。そして、ネジはもらった部品に同じのがちゃんとあったんですねぇ。よかったよかった。規格品のネジが合えばいいけど、リールのネジってインチ規格だったり古い規格だったりで、意外にネジ一本とはいえ無いとどうしようもないこともあったりして、部品詰め合わせはほんとにもらっておいて大助かりだった。

 てな感じでオートベールNo.3、二台目も良い感じに復活。こちらもスプール関係はまた別途改造予定だけど、元の機能は問題無く取り戻すことができたと思う。

 オートベールNo.3は、いまルアー青物狙い用で運用しているPENNの「スピンフィッシャー4500ss」の代わりに、PE3号ぐらい巻いてスミスの「ブローショット10f」と組ませる予定。なので、スプールはれいによってスプールエッジの形状調整と糸巻き幅のスプール上下幅との適合をやってしまって、ついでにドラグ回りを青物視野にいじってみようかと思っちょります。スズキぐらいまでなら純正のフェルトドラグパッドは調整幅も広く安定性もあって非常に優れたドラグなんだけど、岸から釣れるワラサ(ブリの若魚)とかの青物想定なので、そこそこの速さでドラグ回されそうであり、パッドが熱に強いカーボンの方が良いだろうとか、念のためドラグが熱をもった時を想定してのアレコレとか、着想はあるので試してみる予定。まあ、早くても秋までに間に合えばいいので、のんびりやる予定だけど、やる気と時間があれば前倒ししてやってしまうかも。

 その前に一つ、やっぱりちょっと気になったのが、オートベール2台のハンドルノブのネジ固着で、固着しててもここは普通ハメ殺しなぐらいで放置でも良いンだろうけど、削れたのかやや隙間が空いてカタカタするので、ちょっと気持ち悪い。

 固着を無理矢理外そうとするとネジ山が舐めたりネジがねじ切れたりとろくなことにならないので、放置が吉だとは思っているけど、マイナスネジを突っ込む頭の溝がかなり深いので、ネジ山舐めることはないだろうと、持ち手を横にしてテコで回すのがデキるドライバーなので、その方法でグイグイ回してみたら2台とも固着無事外れたので、隙間を埋めるのにちょうど良い厚さと大きさのジュラコンワッシャーを填めてカタつかないように調整。

 よしこれで、後回しにしたスプール以外は機能的に完璧な調整仕上がりぶり。実に良い感じである。

 というわけで、無事3台とも実釣可能な状態まで復活させることができて満足である。3台で9百円強だけど、これだけの戦闘能力のある機種を普通に揃えようと思ったらナンボ掛かるかって話で、実にイイ買い物だった(まあ、大森中型機で揃えりゃ安く上がるけどな)。

 それにしても、ボロ大森の”何とかなる率”の高さは素晴らしい。今回は予備部品をいただいたおかげで、糸溝ついたラインローラーやらねじ切ったネジのような修復不能な部分があっても対応できたというのはあったけど、ともかく本体内部がやられてることはほとんどない。腐蝕してないのもそうだけど、ギアの摩耗してるような個体にあたったことがない。外側は今回も苦労したように腐食しやすかったりする部分もあるけど、ちゃんと塩抜きして使ってれば大丈夫って話で、こういうリールこそ”100年使える”リールだろうと思う。オートベールで1979年発売、45年も前の設計のリールだけど、今でも普通に使えて、かつ面倒くせぇところもないから手入れとかも楽。多少手を入れたり修理が必要になるかもだけど、基本設計がしっかりしてて単純明快なので、あと55年ぐらい使えてもなんら不思議じゃない。

 残念ながら、ワシがあと55年も生きていると思えないので、それを見届けることができないのはいかんともしがたいけど、気候変動やら第3次世界大戦やらで人間の文明が崩壊していない限り、55年後の未来でもワシらの後輩の”スピニング熱患者”が「やっぱり大森のリールはイイ」ってクルクル回しているような気がするのである。

4 件のコメント:

  1. オートベールの方はまたベイルレスになると思って読んでましたが
    ベイルスプリング無事だったのですね
    塩害に対しては欧州勢より大森の方が良さ気な感じがします。
    画像の塩鮭みたいな状態で中身があんなに綺麗なのは驚きました

    Mitchellは整備性でカバー出来ますが
    純海水だと毎回整備しないと非常にヤバいです。

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    1.  中身がまるで大丈夫なのには驚かされます。

       焼くと塩が析出するしょっぱい塩鮭も我ら昭和世代じゃないと知らんかもですね。お握りに入れるのはあのぐらいの塩気のが良いのに最近は何でも甘塩で、って言いながら私も干物は甘塩で作ってます。時代は変わったということか。

       ミッチェルの整備性の良さは一つの方向性で実用度高いですよね。
       そこに濡れたら困る部品入れちゃだめだろって設計のくせに整備性まで悪いと道具として不合格とダメ出ししてしまいます。

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  2. ナマジさん、とても楽しく拝読いたしました。ナマジさんに引き取ってもらった大森のパーツがさっそくお役に立ったようで、喜んでおります。これからも楽しみに読ませていただきます。ありがとうございました。

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    1. Masahiroさん お礼言わなきゃならんのは私で逆ですよ。
       とはいえ、分からなくもないです。脳の活動を調べて最も”幸福”を感じているのはどういう人のどういう状態かというのを調べた報告を読んだことがあるのですが、その報告によると金やら名誉やらのありきたりな欲望が満たされてもたいした幸福は感じていなくて、最も幸福を感じていたのは他者に奉仕する時の宗教家の脳だそうで、人は人のためになることに幸せを感じるようにできていて、それは人の社会の繁栄に寄与しているようです。宗教嫌いなのでケッとも感じましたが、金金うるせぇ奴らの得る幸福がたいしたことないと知ってザマミロではありました。

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2024年12月7日土曜日

夏休み中には終わらなかった宿題

 以前それぞれ1円落札で確保した3台の大森を、部品の提供とかもいただいて、「昔の塩ょっからい塩鮭みたい」といわれたぐらいの塩吹いてボロボロな見た目のジャンク状態から、とりあえず3台とも稼働状態には持っていったことはご報告済みである。その3台のうちリアドラグの「マイコン202」については既に実戦投入していて、お魚もそれなりに釣って活躍してくれている。

 残る2台の「オートベールNo.3」についてなんだけど、機関は問題なく復活させたんだけど、スプールの腐食が激しく、スプールエッジも凸凹の傷だらけなので、これはアレしてやらねばというのと同時に、前々から試したかった大森スピニングのドラグ周りの耐熱化に取り組もうというのを宿題としていた。夏場暑いときに作業する気にはならんので、涼しくなってきて作業始めて、やっとこさ完成(仮)してとりあえずの形はできたのでご報告させていただきたい。

 まずはアレから、アレも既に何度かやってて手慣れてきて段取りも上手になってきた。まずはスプール上下幅を色変えたラインかなんかで把握して、その幅に切った厚紙のテープを用意して、スプールにグルッと巻き付けつつ自然に填まるところまでキュッと締める。締めたらそのときの直径+1mmぐらいがスプールエッジの輪っかを作るときの内径になる。1mm余分に取るのは輪っかの厚さ分の差がちょっと出るのでとりあえずそのぐらい取っておいて、後で必要なら調整する。外径はスカートの直径と同じにしている。内径と外径が決まったら、いわゆるサーキットボードとか基板とか呼ばれているガラス繊維強化樹脂(FRP)の薄板(0.8mmを愛用)をその内径外径で切り出して、スプールエッジの輪っかとする。切り出しは金物バサミでジョキジョキと大まかに穴を開けていってから、ニッパーとかである程度整えてサンドペーパーで仕上げる。そしてスプール往復幅の厚紙をやや緩めて巻いて、その上に切り出した輪っかをカパっとハメる。これで輪っかの下面がスプール往復幅でそろう。そろったら固定するために最初ティッシュで細いこよりを作ってグルッと輪っかと元のスプールエッジの隙間に巻いて瞬間接着剤で固める。それ用の”アクセラレーター”とかの商品名で売ってる固化促進剤を使うと作業がサクサク進む。だんだんティッシュのこよりを太くしていって、隙間が埋まったら凸凹しているところをある程度アートナイフとかで削って、ロッド回しとかで回転させながらエポキシを盛って形状を整えてやる。エポキシ固まったらドリルで回転させてサンドペーパーかけて形状完成。
 アレとはナニをやってるのかというと、大森スピニングの最大の欠点といわれている、スプール幅がスプール上下幅より広くてラインの端がグチャッと崩れて巻かれがちで、かつスプールエッジが”なで肩”でラインが出て行くとき接触が多く放出性が悪い、というのを修正して、スプール幅とスプールエッジ形状を適正化しているのである。今回はスプールエッジが腐食でボロボロな個体だったけど、この方法ならそんなの関係なくなる。ついでにスカートの糸巻き量表示とかの銘板も腐食して剥げていて、全体的にボロかったので、これまではいじくったスプール上部だけ塗装していたけど、今回は全体を銀色のラッカースプレーで塗装して仕上げた。塗料がある程度固まるまでティッシュ詰めて串刺しにしてロッド回しで回して、おおむね固まってからルアー用の塗装ブースという名の、上部に針金渡してある段ボール箱でじっくり乾燥させてスプールの改良完了。
左オートベールNo.3、右PENN4500ss
 で、このまま普通に組んでも良いんだけど、さっき書いたように今回は大森スピニングのドラグ周りの耐熱化にも取り組んでみた。ドラグあんまり使わない釣り人にはピンとこないかもだけど、青物とか走る魚をドラグ使って釣る場合、魚がデカくて、ドラグ値上げてるのにエラい速度でライン出されてドラグが熱を持つなんてのがあり得て、場合によってはドラグノブのドラグワッシャーを押さえる面が熱で溶けたりするので、PENNスピンフィッシャーでも4桁とかはドラグワッシャーを押さえる面は樹脂製から真鍮製に素材を変えて対応していた。クソ高い社外品のつまみまで真鍮製のドラグノブとかも売られていた。っていうぐらいで大型スピニングではドラグが熱を持つのを想定した素材が使われていて、ドラグパッドが小型機では調整幅も大きく微調整も効く硬質フェルトが用いられていることが多いけど、大型機ではPENN方式と言って良いと思うけど、耐熱性の良いカーボン素材のドラグパッドが使われているのが今では一般的である。フェルトって原材料的にはアクリルとかの化学繊維だろうから熱にはそんなに強くない。で、大森スピニングは後年ある程度熱に強くてフライパンの表面加工にも使われているようなテフロン樹脂製のドラグパッドとかも使ってたけど、オートベールにはフェルト製のドラグパッドが使われている。ドラグノブはドラグワッシャーを押さえる面も含め樹脂製である。
4500ss、オートベールNo.3
 No.3サイズは4桁PENNで言えば4500SSから5500SSぐらいの糸巻き量で使用場面は岸からの青物狙いを想定している。ならば、ドラグは耐熱性があった方が安心というモノだろう。実際には熱持つ前にスプールに水ぶっかける”水冷式”とかもあるし、陸っぱりから狙える青物では樹脂製ドラグノブが溶けるほど走ることはあまりないとは思う。ただ、万が一に備えるのと、カーボン素材のドラグパッドを自作できるようになれば色々と応用が利くので、技術として持っていて損はないと思うので、良い機会だしアイデアもあったので試してみた。陸っぱりでマグロはあまり聞かないけど、たまに大型のサメは聞くしワシ自身1mぐらいだけど昔ショアジギングで釣ってるぐらいで万が一はなくもない。
 アイデアは2つあって、カーボンの素材として一般的に売られているのは、バイクや車の補修・改造、模型作成等に使われているらしい、カーボンの竿みたいに焼き固めた感じな板と、焼き固める前のカーボンの繊維を縦横編んだ布みたいなシートがあって、その2つをそれぞれ使ったドラグパッドを考えてみた。これらの素材をドラグパッドにするにあたっては、カーボン板のほうは加工が面倒くさそうなのと、表面が平らになっているのでドラグパッドに求められる摩擦力が得られるか不安があり、逆に表面凸凹で摩擦力は発生させられそうなカーボンシートについては、とくに固められているわけでもないので使用時ばらけてしまわないかというのが懸念としてあった。そのへんどうなるのか試してみんと分からんのでとにかくやってみる。
 まずはカーボン板の方だけど、これは単純に輪っか型に加工するだけの話なんだけど、予想以上に丈夫で苦労した。まあその丈夫さと軽さが利点としていろんな用途に使われているんだろうからそういうモノである。後ほど別の用途でも使うのにある程度厚さが必要と考えて1mmの厚さを選んだけど、加工を考えると0.5mmのほうが良かったと思ったけど後の祭り。

 外周は大まかにカナ切りバサミでバリバリと切ってサンドペーパーで整える感じでいけたけど、軸を刺す穴はドリルで大まかな穴を開けて、ハンドドリルで回すヤスリで拡張して丸めた紙やすりで仕上げた。3枚のドラグパッドと後ほど使う1枚作るのに結構時間も手間もかかった。本当は一気に2台分作る予定だったけどとりあえず1台分だけでうんざりしたのでそのぐらいにしておいた。

 もういっちょのカーボンシートの方は加工は楽ではある。カナ切りバサミでももちろん切れるし、アートナイフで下に穴開いていいペットボトルの蓋をおいてからブスブス刺す程度で芯棒を挿す穴も開けられる。ただそのまま輪っか状に加工しただけでは明らかにバラけてきそうで塩梅良くないだろう。樹脂である程度固めてしまえばバラけなくなる。なるけど今度は樹脂が熱で溶けて耐熱性を考慮してカーボン使ってる意味がなくなる。どうしたモノかと考えて、耐熱性のある接着剤のようなモノがあれば2枚を貼り合わせる形にしてから加工することで、表面の凸凹は残しつつバラけにくいモノができると考えたけど、そんな都合のいい接着剤があるのか?とあまり期待もせずネットで検索してみたら普通にありやがる。今回使ったのは「オートウェルド」というエポキシ系の2剤を混ぜ合わせる製品で280度Cまで耐えるとなっているのでスプールが触れないぐらいに熱を持ってもドラグパッド自体は溶けたりしないモノにできそう。シートを2つ折りにして混ぜ合わせた接着剤(灰色になる)を塗って挟み込み、繊維の間からはみ出した接着剤が剥がしやすいようにポリエチレンのレジ袋で上下を挟んでから平らな板で挟んで、重しを乗せて1日放置。デキた板状になったカーボンシート2枚重ねを輪っか型に加工していっちょ上がりと、接着剤の固化時間がかかるだけで手間はあんまりかからない。端はちょっとカーボンの繊維がグズグズっとなってる部分もあるけど、端の方がチョロッとほどけたところで大丈夫だろうと思う。いずれにせよ、そのへんも含めて試してみたい。
 という感じにカーボン製のドラグパッドは2種類用意できた。次にドラグノブの耐熱対策である。

 真鍮の板を切り出して、ドラグを押さえている一番上のワッシャーの上に入れてやればいけるかと最初考えたけど、結局それってその真鍮の追加したワッシャーが熱を持ったらそれを押さえるドラグノブの樹脂面が溶けるわけで、熱が伝わらないぐらいにブ厚いものを挟まねばならず、厚さ自体は重ねれば稼げるけど、ドラグノブがネジに届かなくなり締められなくなるので、ドラグノブの樹脂面を削るなりが必要になってくる。耐熱性のある接着剤も手に入ったしドラグノブ側をいじって真鍮の円盤を重ねた部分でドラグのワッシャーを押す形にするかと考えたけど、正直面倒くせぇ。

 つらつら考えているときにTAKE先生の「リールの歴史2」を読んでいたら、ミスター・ハラが熱伝導率が低くて摩擦熱を伝えない断熱性に優れた素材として、テフロンやポリアセタール樹脂が良くて、テフロン製のワッシャーで大型スピニングのABS樹脂製ドラグノブの熱変形は止まった。とか書いているのを見つけて「それだ!」となった。真鍮自体は耐熱性があって坩堝でも使わない限り溶けはしないけど、金属なのでとうぜん熱伝導率はよくて熱くなったドラグの熱をドラグノブの樹脂パーツまで伝えてしまう。何しろ真鍮は銅の合金であり、銅のお鍋なんていうのは熱伝導率の良さから弱火でコトコト煮込む料理に使われるぐらいである。逆に熱伝導率の悪い素材であれば厚さがなくても熱をドラグノブの樹脂面まで伝えにくい理屈である。さっそくポリアセタール樹脂である商品名「ジュラコン」製の2ミリ厚のワッシャーを購入、そしてそういえばカーボンも耐熱的な素材としても使われているよなと思って1mm厚のカーボンも試してみることにした。ちなみに調べてみたら黄銅(≓真鍮)の熱伝導率は60W/m・k、炭素23W/m・k、ポリアセタール0.25W/m・kで、カーボン板が炭素と同じ扱いでいいのかちょっと自信がないけど思ったよりは熱伝導率はあるけど、それでも真鍮の半分以下、ポリアセタールは文字通り桁違いで2桁違う。カーボンは熱伝導率の低さより難燃性が特徴か。というわけでポリアセタールのワッシャーを内径削って一番上のドラグワッシャーとドラグノブ下面の間、ワッシャーを留めているCクリップの内側に填まるように加工してみた。ちなみにこの位置だと上部ワッシャーとドラグノブは軸に固定でドラグ作動時回ってないので間に挟む形でも摩擦とかは気にしなくていい。でドラグパッドにグリス塗り塗りしながら組んでみたら、カーボンシート製のドラグパッドの場合上手く填まってくれたけど、1mmのカーボン板製ドラグパッド3枚の場合はギリドラグノブが締められない。仕方ないのでこちらは1mmカーボン板を加工して填まるワッシャーを作ってみた。カーボン板0.5mm3枚なら2ミリのポリアセタールワッシャーも填まるだろうから、ドラグパッドとしての評価の後、カーボン板製ドラグパッドがいけそうなら0.5mmを改めて買うことにして先に進む。ポリアセタールとかがこんなに熱を伝えない素材だというのは盲点だった。ポリアセタール2mmワッシャーと同等の熱を遮断するワッシャーを真鍮で作るとドラグノブが煙突の上に乗っかるような形になるってにわかには信じがたいほどである。今回ポリアセタール樹脂を使ったけど、よく考えたら耐摩耗性とか関係ないからより加工が楽なテフロン樹脂のワッシャーを入れても良いはずと今この文章書いてて気がついた。ちなみにテフロンの熱伝導率もポリアセタール樹脂並みで断熱性は優れている。テフロンのワッシャーなら在庫もそれなりにあるし、せっかく作ったけどカーボン板の断熱用ワッシャーは不採用だな。そして材料性質を比較していて、ポリアセタール樹脂は融点が165度と比較的低く、テフロンは融点327度と高いということも知って、ということなら断熱用ワッシャーはミスター・ハラと同じようにテフロンを使うべきだと今更ながら気がついた。せっかく堅くて加工しにくいのを加工したポリアセタール樹脂の断熱用ワッシャーも結局不採用。ということで紆余曲折あったけど、テフロンは刃物も普通に通る柔らかめの素材であり手間も大してかからないので、在庫していた外径18mmの厚さ1mmのがちょうどCクリップの内側に填まるのでさくさくと作り直した。内径が小さかったのでアートナイフでサクサクと刺して大まかに穴を広げてサンドペーパーで仕上げる。ピタッとドラグワッシャーをおさえるCクリップの内側に填まって気持ちいい仕上がりが上の方の写真。
写真上:左シート製、右板製
 で、全体としてドラグとしての性能はどうか?ドラグ締めてみて、手で回したりライン引っ張ったりして試して、さらにはラインの先を結びつけておいて実際に竿にセットした状態でドラグ逆転させながら走った結果、ドラグが熱を持つほどのスピードで爺さん走れんので、断熱ワッシャーの評価は、そのうちお客さんにでも自転車か自動車で走ってもらってテストすることにして後回しにして、まずはドラグ締めていっての調整幅とか締まり具合については、カーボン板製、カーボンシート製どちらのドラグパッドでも問題はなさそう。カーボン板とか弾力もクソもない堅い板なので調整幅が小さくなるかと思ったけど、ドラグノブにバネが入ってて調整幅についてはそっちで出してくれるようだ。手で回す分、ライン引き出す分にはどちらのドラグパッドも滑り出し、滑らかさ、締まり具合ともに問題なさそうで、表面が凸凹に乏しいカーボン板製でもそこそこドラグ値上げることはできる、フルロックに近いところまで締まる。意外にどっちゃでもイケるやんと思っていたけど、竿にセットして走ってみたら、明らかにカーボンシート製の方が滑らかでしゃくらず性能が良い。普通に優秀なドラグって言って良いぐらいの感触が得られた。比べるとカーボン板製ドラグパッドはやや滑らかさに欠け、微妙にウィンウィンいってるけど、使えないほどでもないとは思う。自転車とかで突っ走ってもらったらどうか?長期運用での耐久性とかはどうか?ってのは今後調べていくべき課題だけど、とりあえずカーボンシートを耐熱接着剤で貼り合わせて作ったドラグパッドはなんか良い感じなんである。イケるんじゃないだろうか?これで良いならドラグパッドは好きな大きさのを作りたい放題できる。

 それにもまして、今回良い成果が得られそうなのは、ドラグノブの熱変形を防ぐのにテフロン製の断熱ワッシャーとでもいうべきモノをドラグノブ下面と上部ドラグワッシャーの間に入れてやるだけで劇的な効果が得られそうだということである。それが正しければPENNのクソ高い社外品の真鍮製ドラグノブなんぞ買わんでよかったのかもしれない。ワシャ買ってないけどな。

 って考えるとドラグパッドもテフロンってのもありだとは思う。ただ昔PENNの3階建てドラグで実験したときに3枚全部テフロンのドラグパッドは滑りが良すぎてドラグ値が上げられないという結果だったので、大型スピニングには不向きかも?7500SSでは純正状態だとドラグパッド3枚のうち1枚テフロン、2枚カーボンで必要なドラグ値が出せるように調整してあった。


 なんにせよ、ドラグ周りについて非常に理解が深まったし、オートベールNo.3の最強化への改造もほぼ完成に近い。やっぱり物事を理解するためには本とかで理屈を学ぶだけでも駄目で、闇雲に実践するだけでも駄目で、情報仕入れて学んで考えて、実際に手を使って試してみて、その結果を基にまた考えて試してという試行錯誤が重要なのだなと改めて実感している。

 オートベールNo.3は、ギアは大森ハイポイドフェースギアで滑らかかつ、いつになったらガタがくるのか分からんぐらいに耐久性も高く、これ以降の高級リール様なんかの”より軽く”とかの耐久性を削っていくような方向は全くの蛇足としかワシには思えず、このギアはこれはこれである種完成形だと思っている。逆転防止機構も丈夫でかつ本体内に配置されていて防水機構的ないらんモノをわざわざ取り付ける必要もなく単純明快にまとまっている。ラインローラーは重くて錆びるボールベアリングを使わずポリアセタール樹脂のスリーブ入りで軽く、ローターの回転バランスも良い。ハンドル回してのベールリターンも軽くて感触良く、意図しないベール返りを防ぐ青銅板の”簡易ローターブレーキ”も備わっている。ハンドルはねじ込み式で丈夫で緩まず、ハンドルノブはPENNのトービート型みたいな軸の細い型でワシ好み、かつ気に入らなければネジ止め式なので、調整は必要だろうけどお好きな形のモノに交換も可能。スプールのかかえる、糸巻き幅が広すぎるのとスプールエッジがなで肩でラインの放出製が悪い、という問題はアレして解決済み。完全平行巻ではないのは目をつぶろう。ドラグもカーボンシート製のドラグパッドにし、ドラグノブの熱変形も断熱ワッシャーを噛ますことで解消できたなら、ほぼ実用性最高と言って良いぐらいの中型スピニングに仕上がるだろう。残念ながらベールスプリングが耐久性に劣るトーション式なのをグルグルコイル式に改造するのは難しいけど、ベールスプリングはスピナーベイトとか自作する用のステンレスバネ線で自作可能だし、バネ屋さんで作ってもらってもいいので、予備を用意してバネがへたってきたら交換とかで対応できるだろう。
 最終的な成績評価は、ドラグの高速ライン放出試験を経て、実際に魚釣ってみてしかできないにしても、しょっぱい塩鮭焼いたときみたいに塩吹いてた、1円落札のジャンク個体がよみがえって、そんじょそこらの格好とカタログ数値だけの”こけおどしリール”には絶対負けないぐらいの実用機に仕上がった気がして、魚かけてみるのがが今から楽しみでならない。
 ワシが思うに、以前にも書いたけど古今東西、史上最強の実用機はスピニングではPENNの4桁スピンフィッシャーで間違いないと思っている。今回いじくったオートベールはそれより古い時代の設計で、スプール形状とかに欠点は抱えているし、ドラグも海の大物対応であれば改良すべき点もみられる。そうではあっても日本発で、その開発に大きな貢献をしたという大森製作所による、鉄系の芯を鋳込んだ”ハイポイドフェースギア”の完成度、信頼性は高く、逆転防止機構を本体内に入れた防水防塵性など設計も良くまとまっていて、基本的なスピニングリールの機械部分はもうこれで必要充分というぐらいに過不足なく造られている。そこに現代の知識をもとにスプール周りの改良を加えてやることで、カリッカリにレースチューンを施された旧車のように、ボロい昭和骨董な見た目に反して、4桁PENNに勝るとも劣らぬ実用機が顕現するはずと期待している。

2 件のコメント:

  1. 今回はドラグ改良にも踏み込んだんですね。
    スピンフィッシャーのドラグワッシャー、調子こいて釣りまくってると
    確実に薄くなってきますし最近量販店で出してくれなくなりましたから
    自作した方が好きにできるし良いですね。
    最近また増えた8枚ギアのスプールにワッシャーが無くて手配に困ってましたから朗報です

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    1.  上手くいったら儲けものぐらいでやってみたら、なんとかなりそうな感触でした。少なくとも一発でおシャカになるような感じはしないです。
       PENNの真似したカーボンのドラグパッド、大手純正とか良い値段しやがって生意気なので、手作りできる方法があったら公開して、読者の皆さんがクソ高いものを買わされずにすむようにできれば良いなと思ってます。PENN純正にはさすがに勝てる気はしないけど実用十分にはできるかな?

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2024年12月21日土曜日

ワシの大森は格好いい!

 先日、遊びに来た釣り仲間と話していて「上級者とか上手い人間がいろんな機能がついた”高級”なリールを使うっていう風潮はおかしいんじゃないか、単純な機能のシンプルな道具を使いこなしてこそ上手い釣り人なんじゃないのか?」という話になって、大いに賛同した。まあフライマン達だったので「フライリールはシンプルで格好いい」っていう結論はフライリールはよほどの大物でも相手にしない限り、釣りが終わった時にラインを収納しておくだけの機能ですむのでちょっと違うような気もして、我田引水気味だなと思うにしても、フライリールやチヌの落とし込みリールのような単純な”センターピン”のリールの格好良さってやっぱりあるように思う。こういう感覚は世界共通であるらしく、ヨーロッパでは今でも鯉釣りとかセンターピンのリールで浮き釣りで楽しんだりする渋い趣味は健在のようだし、オーストラリアだったかと思うけど横転リールでサーフの釣りをするという、糸ヨレしまくりでえらいことになりそうな愛好家達もネットで見た憶えがある。
左:フライリール、右:横転リール
 ひるがえって、今時のスピニングリールのややこしさと言ったらどうよ?って話で、もう全くぐにもつかんような機能満載で、しつこく何度でも書くけどしゃくったときにガチャガチャいわんってだけの瞬間的逆転防止機構とそれに付随した防水機構は諸悪の根源として、要りもせん箇所に重くて錆びるボールベアリングをズッコンバッコン入れまくりで、アホみたいな使い方してクレームあげてくるアホなド素人客のために、ライントラブル防止でスプールのエッジには小っちゃくひさし付けてくれてあるし、ふけたラインをそのまま巻き込まないように、一旦ラインローラーの手前でしごく機構までついてたりする至れり尽くせりの仕様。なんというか自転車でたとえると、ガキが乗ってるゴチャゴチャ電飾のついたような補助輪付きの自転車みたいなかっこ悪さ、なんなら電動アシストも付いてる感じ。

 ちょっと話それるけど、川崎に住んでたころ朝の出勤時、おかーちゃんが前と後ろに子供乗せて、保育所へ送りがてらパート先に出勤するのだろうか、駅までの坂を爆走してるのが日常の風景だった。あの丈夫でなんならこけないように3輪になってたりもする電動アシスト付き自転車は、脚力も運転技術も優れていないだろうおかーちゃん達の心強い味方だなと感心した。素晴らしい自転車だと思うけどカッコ良いか欲しいかというと普通そうは思わんだろう。ただ、どんな世界にもマニアはいて電動アシスト付きで子供座席の付いた自転車のサドルを専門に盗む変態さんがいて捕まってた。まあなんというか頑張るママさん達へのゆがんだ尊敬の形なのかなと、ちょっと分かるような分からんような上級者もいるのである。子供乗せて自転車で爆走してるおとーちゃんが全く居なかったところは今考えると、さすがに男ども役立たずが過ぎると思わなくもない。子供の送迎でそれなら家庭内でも推して知るべしで、家事において男親など電動アシスト付き自転車よりも役に立ってないんだろうなと思うと、都会で共働きで子育てしてるようなおかーちゃん達に手厚い支援策をと思わざるを得ない。

 はなしもどすと、スプールのひさし。ARCとかいうやつを代表に、スプールエッジがエッジの効いた角の立った形状だと、ラインの放出性はいいけど、良すぎてドバッとまとめて出てしまうようなトラブルが多いので、ひさしに当てて放出性はチョイ下げつつもトラブル少ない様に良い塩梅に放出性にブレーキを掛けている存在だと思っている。って話を遊びに来た後輩にしたところ「あれは飛距離を出すための形だと思ってました」と妙なことを信じ込まされていた。飛距離的にはひさしなどないほうがラインの放出性がよく良いはずでアル。あるけどワシもスプール往復にプラナマチック機構採用でスプールエッジの角の立った丸ミッチェル「314」では、ラインがドバッと出るトラブル頻発で最初使い物にならなかった。識者に「糸巻き量を減らすと劇的に改善します」とご教授いただいて糸巻き量減らしたら、ラインがスプールエッジに角度大きく当たり、適度な放出時の抵抗が生じることでトラブルは激減した。まあスピニングリールで”ライントラブル多くて扱いにくければ糸巻き量減らす”っていうのは応用が効き単純明快な方式である。放出性の良いスプールエッジの角の立ったリールを使いこなし遠投性の良さの利点を生かすという方向もありそうなモノだけど、まあ、遠投投げ釣りリールならともかく、今の釣り具市場でそんなとんがった仕様が受け入れられるわけもなく、素人でも扱えるように、となるとひさしが付いてるのは親切設計だと思う。でもそれが”飛距離が出る”と優良誤認されているのはいかがなモノか。あと、角の立ったスプールエッジにちょっとひさしが付いているような、実用性重視のリールは昔からある。いまさら特にそれを宣伝するまでもないだろって話。写真の左から4200SS、と丸ミッチェル304のスプールエッジは角が立ってる、でも右の4400SSのスプールエッジはゆるいひさし付き。何世代も前の古いリールでっせ。
 そして、もひとつ例に出した、ラインローラー手前でラインをちょっとしごく仕組み。あれがいかにも新開発ですって顔で出てきたときに、TAKE先生は90年代中頃の怪作ミッチェル「クォーツ」で同様の機構がすでに採用されていたことをご指摘されていたし、ぬこさんはPENNスピンフィシャーの小型アウトスプール機を始めいろんな機種で、ラインローラーまでのベールアームとベールワイヤーの間が狭く絞られていて、実質”しごいてグチャッとしたままのラインを巻き込むのを防ぐ設計”になっていて、昔から珍しくもないことを指摘していた。写真の上から覗いてるのはマイクロセブンC1。右が4300SS、左が420SS。ワシも下の写真の1960年代製の古い大森大型機スーパー2000」やらコンパック「スーパー7」あたりに、おなじようなラインをしごく仕組みが既に実装されているのを知っていて、その機構は、二番煎じどころか少なくとも四番煎じの出がらしであるということである。それをさも新技術のごとく宣伝する売りたい側の言ってることって、まあ基本疑っていいよねって話。
 てなことを書けば、今時の高級リール様の信奉者さんは涙目で「でも、今のリールは巻きが滑らかで軽いから!」って必死に優位性を信じたがるだろうけど、ほんとにそうかな?と今から意地悪にも現実というモノを筋道立てて思い知らせてやろう。まず、負荷が掛かる時には、ギア方式が同じならギア比変えたら変わるけど、同じギア比なら軽くなる理屈が分からん。っていうかそんな現象は起こらないはず。ベアリング入れたりギア同士の接触面を耐久性削って減らせば、負荷が掛かってないときは軽く回るだろう。ただ実際にリールを軽く巻きたいときって、ルアー引っ張るときでも魚寄せるときでも負荷が掛かってる状態のはず。竿で稼いで負荷を抜いて巻くにしても負荷ゼロで巻いたらそれこそ糸ふけ巻き込んでトラブルの元でヘッタクソって話。ギアというやや複雑な機構なので目に見えてどう効果が出てるのかが分かりにくいので、店頭や家で空回ししたときに軽いと負荷が掛かってる状態でも軽いかのように錯覚するかもだけど、もっと単純なテコで考えると分かりやすい。たとえばペンチやハサミを使うとき、もしベアリングが入ったようなけったいな製品があったとしても、ナニも挟まずカチカチチョキチョキする分には軽くても、モノ挟んだり切ったりするときには高負荷が掛かるので、ベアリングが効くような負荷の無い”軽い”状態とでは場合によってはキロとグラムという感じの2桁以上は桁の違う抵抗が生じるわけで、ベアリング無しと有りとで結果的に使用時に感じられるほどの差など生じないはずである。生じて軽くなるならベアリング入りのペンチやハサミが一般的になるはずで、でも実際にはそうはなってなくて、使用感を軽くしたいなら、ペンチなら握りを長くというか全体大型化するなり二段階方式にするなりが必要で、ハサミなら加えて切れ味鋭い刃を付けるとかで、空気挟むときに軽やかに作動したところで本来目的での使用時には誤差程度の差しか生じ得ず意味など生じない。テコってそういう用途と仕組みだろっていうのは、さすがに支点力点作用点ぐらい義務教育受けてたら分かってもらえると思うけど、これがリールのギアになるととたんに何か特別な仕組みのように思って、ありもしない不思議なフォースが働くと信じたがるジェダイの騎士のなんと多いことよ。フォースに目覚めるより先に物理法則勉強した方が良いと思うけど、ワシも物理苦手系なので勉強するほどのことかねって正直思う。まず売ろうとしてくるヤツの言ってることなんぞ疑ってかからねばならんってのが物理云々より先にしなきゃならんことだろ?鵜呑みにするヤツは鵜じゃなくて良い鴨。あと軽いルアー使う負荷の軽い時に巻きが軽すぎるとハンドルに手がしっかり当たってない感じがしてスッカスカな巻き心地で、いわゆる”巻き感度”が悪いっていうのはTAKE先生なり村田基先生なりもご指摘されているとおりだと思う。低負荷時に巻きが軽いようなベアリングやらギア接触面を減らしたようなスピニングリールは、低負荷時に巻き感度が悪く、高負荷時には特に軽くもない。アホかと。ギア方式の全く新しいモノ(もしくはギアを使わない斬新な回転軸を90度曲げる方式)を考案して、今までより力の伝達効率が大幅にアップとかいうなら、それは真に革新的と言って良い称えられてしかるべき技術だろう。ただ現在も40年から昔に考案されたハイポイドフェースギアというギア方式は蹈襲されていて変わってはいない。じゃあそのハイポイドフェースギアを開発したエラいメーカーはどこよ?っていえば大森製作所がその開発には大きく貢献したとされていて、そうなると大森製作所は称えられてしかるべきってことになる。大森製作所のハイポイドフェースギアはガタが来てるのを見たことがないぐらい耐久性に優れ、滑らかさにおいても充分今時の高級リール様に遜色ない。っていうか巻きの滑らかさってそんなにリールに必要か?そこそこギアはやかましめのベベルギアの丸ミッチェルも魚釣ってて不快な感じは全くせんかったけど、気になる人は気にするのだろうか?ワシには分からん。ギアの作りが鍛造?削り出し?高強度ジュラルミン?あほか?大森ハイポイドフェースギアはハンドル軸に鉄系の芯は鋳込んであるけど亜鉛鋳造のハンドル軸ギアと加工のしやすい真鍮削ったローター軸のギアと”経済的”な設計だけど、ギア方式変えずに製法だ材料だをいじったところで、ものの重量は削減できても、巻きの軽さも滑らかさも勝てる理屈ないやんけ?それでいて値段はバカ高い。そしてワシの少ない経験からで申し訳ないけど耐久性はないがしろにされていて劣るとか買う価値まったく見いだせない。
左手サミング修行
 「でも実際に安いリールだと魚がかかったら重くて巻けなくなるけど、高いリールにしたら巻けたから!」って思う人もいるだろう。それはギアの良さではなくむしろ本体の剛性の問題で、片軸受けでローターの回転軸の片側のラインローラーにラインが掛かるスピニングの構造上、まあそうなるわなという本体とかが”たわんでる”高負荷状態でゴリ巻きしようとするから巻けなくなるのを、クソ高い高級リール様だと、ゴリ巻き仕様で過剰なまでの剛性でたわんで巻けなくなるのを防いでるだけで、ギア関係あらへんと思う。以前ネットでバンスタールを買った釣り人か「8万からするリールなのに魚が掛かったらたわんで巻けん、使えんリールだ!」と憤ってるのを目にして「スピニングリールの使い方知らんアホ発見」と思ったモノである。スピニングリールは高負荷時ゴリ巻きするのに向いた構造ではない。でもそんなもんポンピングして竿で稼いだ分負荷を抜いて巻きゃ良いだけのことである。バンスタールも価値の分からんマヌケに買われて災難である。いらんのならワシにくれって話である。そうやってゴリ巻きしないならPENNスピンフィッシャーの、ねじ込み式ハンドルで力が掛かると締め込んでいく構造のハンドルピンも曲がらないので純正のハンドルで問題なく20キロ30キロの魚があがる。社外品の折りたためない高っかいハンドルなんぞ必要ない。ましてや純正状態で折りたためないようなハンドルが付いている不便な今時の高級リール様なんぞ馬鹿臭くて触る気にもならん。なんで、そんなアホなゴリ巻き仕様のスピニングが世にあふれかえってるかって言えば、おそらく船縁に竿掛けで竿ごと固定してゴリゴリ巻いてた両軸使ってた餌釣りから転向した釣り船の船頭さんが、手で持って巻くスピニングタックルでも「竿あおちゃダメ!」と釣り人を指導したからと、釣具屋もアホが勘違いしてくれてるならそのままの方が正しい使い方を啓蒙するより楽で良いって安易にその方向に追従したのと、そのことに気づかなかったアホの釣り人のせいだろう。ワシも釣り船で何度か「竿あおっちゃダメ!」って言われたけど気にせずポンピングして釣ったった。通い慣れてる釣り場の魚や海の知識で本職の船頭さんに勝てるとは毛頭思わんけど、ことルアー使った釣りに関してはワシャガキのころから馴染んでるから、昨日今日ルアー船始めた船頭さんに道具の知識で負ける気なぞさらさらなかった。ポンピングした方が明らかに勝負が早くつくのを見て船頭さんも「そういうやり方もありなんかな?」と己の自信が揺らいでるようだった。良い船頭さんは常に考えて新しい釣りにも対応するから釣り人が賢ければこうはなってない。「20キロ30キロならそうかもしれないけど、もっと大きくなると違う」と涙目で言うかもしれん。そうなったらいつも書いてるけど、スピニングじゃなくてベイト使えって話を今回もジジイの繰り言として書いておく。90度回転軸を変えるなんてけったいなことはしていないから巻き上げ効率は良くて”軽い”し、”両軸リール”ってぐらいで軸の両側を受けているからたわんだりもほぼ気にしなくて良い。投げるのが難しいって、それを上手くやるのが上級者で上手い釣り人ってもんだろって話。素人でも扱える道具しか使えません、っていうならそりゃそいつは素人なんだろう。ワシゃ実践経験はそこまで積むことができてないけど、大型のベイトリールでのキャスティングのための”左手サミング”も一応はたしなんでおりましてよオホホ。あたくし素人じゃございませんの。磯からロウニンアジやらやる人達には結構両軸派はいるので、船からでもどこからでも使えば良いのにと不思議でならない。アベットとかアキュレートとかちょっと欲しくなる程度には格好いいしな。もちろんPENNやニューウェルの両軸も渋くて格好いい。
 って感じにごちゃついてうっとうしい今時の高級スピニングリールと比較して、ワシが今年シーバスに年間通して使ってた大森スピニングは、はっきり言って格好いい。冒頭写真のがそれで、集合写真では右下に写ってるやつだけど、モノとしては「タックルNo.2」という、外蹴りアウトスプール時代から内蹴りの時代になっても、単純設計で低価格設定にできるので生き残った機種(「タックル5No.2」の色違いバージョン)で、余計なモノは付いてない。ただ、ギアは既に完成の域にあったさっきも書いた鉄系の芯を鋳込んだお馴染み大森ハイポイドフェースギアで、よく売りに出されているときに「古い時代のものなので、現在のリールと比べると劣ります」みたいな書かれかたしているけど、大概ボールベアリングが錆びてるとかでシャーシャー言ってるだけで、ベアリングの交換で今時のリールと遜色ない滑らかな巻き心地に復活する。逆転防止は瞬間的には止まらないけど、単純小型堅牢で本体内部に収まっているので特別な防水機構を必要としない。防水機構が特段は付いてないのでボールベアリングが錆びるのは、まめに塩抜きするなり錆びたら交換と割り切るしかないにしても、構造単純なので苦にならない。規格品っぽいワンェイクラッチ(片方にしか回らないベアリング)ぶっ込んだ単純な設計ならともかく、今時の瞬間的逆転防止機構はそもそも分解不可なのかもだけど、異様に面倒くせぇ繊細で複雑な機構で触る気が失せる。外蹴り大森はベール外蹴りでベール反転機構って言ったってラインローラーの尻をフットから張り出した”蹴飛ばし”に当てるだけと極めて単純。ドラグは今の小型機のドラグと同じように3階建て方式で同じように硬質フェルトのドラグパッドを使っているので、今時のドラグ用グリスを使えば、当然今時のドラグと同等の性能になる。スプール上下が減速なしの単純クランク方式なの完全平行巻にならない欠点もあるけど、軽負荷時に適度に巻き抵抗になり巻き感度向上には役立ち、綾巻に巻き上がるので放出生は劣るけどライントラブルの少なさは利点となる。で、この外蹴りアウトスプールの大森スピニングが進化して軽いベール反転を実現し、簡易ローターブレーキの搭載で意図しないベール返りを防ぐようになったのが、大森スピニングのある種の到達点である「オートベール」、「タックルオート」の両機種だと思っている。いずれにせよ外蹴り内蹴りそれぞれ利点欠点はあるものの、今時のクソリールどもと比べて、劣っているところもあれば逆に優れている点も多く、単純に古いから劣っているとは全く思わない。むしろ純正状態でも今時のクソみたいな瞬間的逆転防止機構搭載機より実用性で優れていると思うぐらいである。なら、大森スピニングの単純明快な良さを生かして、欠点を補ってやれば”良いとこ取り”の実用性最強のスピニングになるのではないかというのは、ちょっと前にネタにした「オートベールNo.3」のスプール周り改造とも共通するワシの大森改造の基本理念である。加えてこの「タックルNo.2」については、スプールをアレしてやるのに加えて、もっと機能をそぎ落として単純化できる部分はないかと考えて、フルベールのベールワイヤーを取っ払ったマニュアルピックアップ方式の、いわゆる”ベールレス機”に改造した。ラインローラーはポリアセタール樹脂で自作しているが今年1年もってしまって思ってた以上に耐久性がある。削れてきたらまた作って交換と考えていたが、ちょっと溝ができてきたかな?って程度であり、今年はその必要はなかった。同様の改造は「タックル5No.2」で以前にも報告している。具体的な改造方法はそっちを読んで欲しい。フルベールであれば投げた後ラインを確実に拾ってくれる。でもハーディー社がフルベールアームの「アルテックス」を開発するまで(そしてその特許が切れるまで)、ハーフベールやマニュアルピックアップの機種が使われていたわけで、フルベールにするからベールスプリングやらの耐久性が問題になったり、内蹴りの方式の複雑さや意図しないベール反転が生じたりするわけで、マニュアルピックアップにしてしまえばそれらは関係がなくなる。ベールレス機を扱うには多少の技術と慣れが必要で、素人にいきなりやれと言っても難しい。ただ慣れると、ミッチェル方式で通常は逆転防止機構を切っておいて、投げるときにはラインローラーを手前に持ってきてラインを人差し指で拾ったら、ハンドル逆転でラインローラーからラインが外れて投げる体制が整う。投げたら人差し指でフェザリングして着水したらフェザリングしていたその指でラインを拾っておいてから巻き始めるとラインローラーにラインが掛かる。というのが夜釣りのシーバスでも普通にできるようになる。たまにラインを拾い損ねて巻き始めてもラインローラーにラインが掛かってないミスがあるけど、一晩やってて数回程度だし、竿を立ててラインを出しつつ改めて人差し指で拾ってやれば良いのでたいした問題にはならない。まさに単純シンプルな道具を技術で上手く扱えているわけで、ゴテゴテの補助輪付けてもらったようなダッセぇスピニングより、ワシの大森の方が玄人っぽくて格好いいというのがおわかりいただけるだろうか。リールの基本的な構造や使い方をしっかり理解していて、どこを改良すべきか、特にナニを省略できるかが分かり、省略して単純化した分、技術が必要とされる部分を経験や修練でなんとかして、実際に”快適に”魚を釣る。どっかの大手のフラッグシップモデルで釣ったところで、そんなもん誰でも使える道具で釣ったという部分ではなんの自慢にもならない。それを買える経済力は自慢できるかもしれんけど、釣りにはあんま関係ない。でも、マニュアルピックアップに改造して大森スピニングの良さを生かしつつ、素人にはできんような技術で使いこなしてるっていうのは、その道具を選び改造した知識と技術、判断も、使いこなす技量も自慢に値すると自画自賛せざるを得ず、ワシのリールは玄人仕様の格好いいリールなんですよ!って高らかに宣言したい。さっき出てきたバンスタールやらPENNだと706zやトルクのマニュアルピックアップ仕様とかの、あからさまに格好いいところは、素人じゃ使いこなせない、使いこなすのに一手間かかるっていうところじゃないかと感じている。で使いこなすとベール反転関連のトラブルと一切縁が切れる。だってベール反転させないんだから意図しないベール返りもなければベールスプリングの破損も起こるわけがない。遠征の荷物に突っ込んでもベールワイヤーが曲がることもない。技術で単純な道具を補って使う利点は”格好いい”ってだけじゃないということがおわかりだろうか。

 ワシらジ様釣り師になると、経済的にはそこそこ小金持ちなことが多い。クソ高い道具を買ったところで、それほど驚かれはしない。ただ、ワシのベールレス機を「ベールワイヤー取っ払ったった」と言って見せると、そういう酸いも甘いも知ってる経験豊富な釣り人達でも、ちょっとオオッと驚いてくれる。やっぱり少なくとも個性的ではあり、ちょっとやりそうな感じで、ひょっとすると「ちょっとそれは格好いいかもな」と思ってもらえるようにも感じている。ワシの大森は格好いいのである。

 で、さらに腕で不便を補完する方向で、さらに、歴史を遡って何か省略してしまえる機構はないかと考えると、候補は3つ考えられる。一つは「逆転防止機構」、二つ目は「ドラグ」、3つめは「スプール上下機構(オシュレーション)」ぐらいで、あとはどうにも外してしまうとリールとして機能しなくなる気がする。

 この中で、歴史上出現した順番を考えると、スプール上下機構、ドラグ、逆転防止機構の順でドラグが意外に早くから搭載されていることに驚くというか、もっと驚くのが逆転防止機構が存外後になって出てきたことで、フルベールアームのハーディー「アルテックス(1932発売)」にはまだ付いてない感じで、カーパノ&ポンズ(ミッチェル社の前身)の「CAP」リールでも初期のモノには逆転防止は付いていなかった。同時代の後の「300」である「ミッチェル」は1948年登場時にすでに逆転防止機構は搭載されていたようだ。なので1930年代以降1940年代までぐらいで逆転搭載機構は搭載されるようになったと推定する。スプール上下機構は、まあスピニングリールの出自は紡績機械で最初のスピニングリールは細長い糸巻き(スプール)の形状だったので、当然最初のスピニングリールである「イリングワース1(1907)~」にはスプール上下させるオシュレーション機構が付いている。ただ、安価なライバル機の出現でコストダウンを図った「イリングワース2(1910~)」ではスプール幅を狭めてオシュレーション機構を省略している。そしてより機能を進化させた「イリングワース3(1913~)」ではオシュレーションも復活、なによりフロントドラグ方式のドラグ機構が登場となっていて、ワシの現時点のベールレス版タックルNo.2はこの時代に生まれた機能に逆転防止機構が付いてる感じになっている。(参考:國吉昌秀著「ベールアームは世界を回る」)

 歴史を顧みて、逆転防止が一番後に追加された機能であることは意外に思うと同時に、我がベールレス版タックルNo.2からさらに削るとしたら、たしかにそれかなと思わなくもない感じで、最後まで搭載されなかったのも理解できる。スピニングリールの役目が元々は軽い仕掛けを遠くに飛ばすというものであったから、自ずと対象とする魚の大きさも限られてくる。逆転防止がないと取り込むときに片手が離せなくてタモとか使いにくいと思うかもだけど、シーバスぐらいまでならローターに指伸ばして引っかけて逆転を止めてしまう程度でなんとかなる。これは改造も簡単でスイッチ、銅板の爪を上げ下げする金具、爪あたりの関係パーツをいくつかとっぱらてスイッチを外した穴を適宜ふさいで防水しておけば足りる。逆転防止のラチェットはギアの上に填まってるのを同じ幅とかのスリーブに換装しても良いけど、そのままで問題ないだろう。でも外しても大して変わった気もしない機構でわざわざ外すほどでもない気がする。使わないなら切っておけば良いだけだしな。

こいつはなぜか蔵にあった707
 となると、ドラグかオシュレーションか?って話になるんだろうけど、ドラグはちょっとなくなるとしんどい。予期せぬ大物の急激な引きとかにドラグなしだと対応できず怖い部分がある。ただ、その場合でも逆転防止を切るあるいは逆転防止を廃止しておいて、ローター逆転で対応する”逆転釣り”という手段はある。まあ、ドラグを使うより、さらに技術が必要とされるようになるから今回の話の筋にも合致している。ただそうなるとアウトスプールスピニングのローターはベール関係の乗っかる腕が両側に付いていて、これが高速で逆回転するのを手で止めるのは突き指しそうで危なっかしい。かといってハンドルを高速で逆回転させてラインを繰り出すのは難易度が高そうである。そうなってくると、昔の磯のグレ師がフットを切って短く溶接したオリム「トゥルーテンパー727」のインスプールのローター下部のお椀の部分に指をあてて逆転によるライン放出を調節したように、やるならインスプールの機種でやった方が良いように思う。
コイツはなんでしょう?そのうちネタにする予定
 オシュレーションに関しては、まあクローズドフェイスリールではスプール幅狭くしてスプール上下なしってのも珍しくない程度には存在するので、オシュレーションクランクを取っ払って、適切な高さに主軸をピン止めしてスプール位置を固定、ラインがぐずぐずになりすぎない様にスプール幅をアレしてFRP板とかで狭くしてしまうというのはできなくもない。ただ、投げるとき幅が狭いのですぐに糸巻き量が減って、ラインの放出に抵抗がよりかかるようになって、飛距離的にはかなり不利になるだろう。とはいえ使用不可になるほどか?と考えたら、クローズドフェイスリールの事例で実用可能なのは明白だし、もっと単純な機構でと突き詰めるならやる意味はあるだろう。

 実は、逆転機構なし、ドラグなし、オシュレーションなし、マニュアルピックアップ方式のスピニングは、安価なライバル機に対抗して、必要な機能を絞り込んだ最低限の機能で構成された「イリングワース2」がまさにそのような機種であり、究極に単純なスピニングリールと言って良いかもしれない。そう考えるとちょっと、それを当時の釣り人のように使いこなしてみたくなる気もするけど、ドラグの代わりにローター下部を指で押さえて逆転(=ライン放出)することを考えると、適当なインスプール機種の改造母体が必要であり、まあなんかちょうど良いジャンク個体でも出てきたら、挑戦してみるのも悪くないぐらいの感じで、現時点ではあんまりやる気はない。

 むしろ、現在使用中のベールレス版タックルNo.2は、ヒラフッコまでしか釣れていないので、もうちょっと”映える”武勲を立てさせて、この程度の単純なリールでも充分以上に釣りは楽しめるし、なんといっても使ってて気持ちいいんだぜ!ってのを示しておきたいので、来年の話をすると鬼が笑うそうだけど、来年もシーバス用の主軸で使っていこうかなと思っております。大森のデキの良い部分を楽しみつつ、欠点は補ってあって、かつちょいと使うのにコツがいる、使いこなす楽しさ誇らしさを味わえる、なかなかに良いリールに仕上がってると思って、当初想定以上に気に入ってます。 

 ワシの大森は格好いい!

6 件のコメント:

  1. 大森のベイル、他所より試行錯誤のあとがありますね
    多くのインスプールのロケットベイルワイヤ以外の別物捻り出そうとしてたのが見えてきます。

    ここ5年あまりMitchell8枚ギア多用してますが、
    フルベイルの300が出た1955年時点でスピニングリールの完全体って言っていいんですよね
    フルベイルと同時に完全並行巻きまで引っ提げてましたし
    逆回転ローターにして弱いローターブレーキ付けてベイル返りトラブル根絶していますから

    でも60年代初期に重く複雑過ぎとかのオランダかどっかで苦情出てCAPと似た軽くシンプルな304が出た経緯があります。




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    1.  大森のベールアームの変遷の中で、円錐の両サイドに切り込みを入れた形状のナットは凝ってて好きです。よく固着をねじ切ってますが、ナットも糸がらみしないように自前で作ってしまうところが大森製作所らしいなと思います。

       いわれてみるとフルベールの300は必要な機能は全部乗ってますね。偉大な先達です。

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  2. コメント失礼いたします。
    いつも大変楽しく拝読させて頂いております。

    リールの備えるべき要素は何十年も前にとっくに出揃っているというご意見は全く同意します。

    どれそれの道具じゃないと釣れない、なんていうのは釣具メーカーの仕掛けた欺瞞でしかなく、結局個々人がどの道具で釣りたいか。

    が一番大事なんだと常々思っております。

    まあ、釣り物によって道具に対する要求はマチマチ(特に強度的なアレで)なんで、釣りたい魚を道具と仕掛けを損なうことなく過不足なく獲れる。っていう大前提をクリアする必要はありますが。

    亜鉛のギアはなんだかんだ飛ぶし、
    弱いピニオンはなんだかんだ開きますし

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    1. リールぐらい好きなの使えば良いのにと私も思ってます。

      ちなみにPENNと大森の亜鉛のドライブギアは飛んだ経験がなく、中古でもギアに不具合が生じているものを手にしたことがありません。軽さとかを重視し始めると強度が足りなくなるのかなと想像しています。

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    2. 大森製作所名義のリールは確かにギアやられてるのを見たことないですね。

      DAMとリョービの奴はあっさり飛びました。(中古ですが)
      どちらも小型のスピニングでオシュレート用のサブのギアです。
      大森の小型スピニングはクランク式なのでそもそもサブのギアがありませんからこのようなトラブルとは無縁ですね。

      おっしゃるように小さいパーツ、軽いパーツはどうしても弱くなってしまいますからね。

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    3. 意外なところが飛ぶんですね。
      DAMは堅牢な印象がありましたが残念。
      リョービはまあ古いヤツは安っぽいからありそうって思ったら失礼か?
      いずれにせよ興味深い話をありがとうございました。勉強になりました。

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(2025.02)





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