○ハゼ釣り仕掛け

 

ハゼからあげ 

  餌釣りの仕掛けも、こり始めるとこれまた際限のない深い沼が待っている世界で、いろんなギミックを盛り込んだ複雑怪奇な仕掛けを愛用する釣り人もけっこういる。

 

 派手にビーズやら反射板やらを組み込んで、赤ん坊をあやすためにベビーベットの上で回っている「シャンデリア」を思わせるような仕掛けが、東北のカレイ釣りでは昔から使われていたりする。

 ちょっと荒唐無稽に見える東北のカレイ仕掛けも、実は養殖施設の下のカレイは、水揚げ作業や掃除の際に、海底に落ちていく貝類やゴカイやカニなどの餌になる生物を待ち構えており、上から落ちてくるものがあると割と遠くからでも寄ってくるので、そういったキラキラゆらゆらと落ちてくるモノを待っているカレイにアピールするために派手に仕掛けを飾り立てているのであり、それなりの理由があってのことなのである。

 

 とはいうものの、当方はあまりあれやこれやと良さそうな要素はすべて盛り込んだような複雑な仕掛けは好みではない。

 何がどういう風に機能して、どう釣りたいのか、そのために必要な要素は何かというあたりを考えて可能な限りシンプルにまとめたい。

 カレイ釣りにおいては、とりあえず「落ちてくるモノ」としては錘が一番目立つ大きなモノなので、これを反射板付きなり夜光なりの派手なモノにしている。仕掛け自体はシンプルでかつ、仕掛けがらみの少ないように幹の部分が2本ヨリで腰のある、2本針の市販品「コヅキちゃん」というのを愛用している。

 市販品は3本針の仕掛けが多いが、2本で足りると思っている。錘に近い方のハリは「小突き」によって踊らせることでカレイにアピールし、もう一本の針は動かさずにおとなしめに、そっと海底に置いておくイメージで、それぞれのハリの餌のアピールの仕方を変えて役割分担するイメージである。

 派手なアピール力の強い仕掛けは、集魚力に優れバカ当たりすることもあるかわりに、嫌われて沈黙することもあるように思う。派手なルアーと地味なルアーの関係と基本的には一緒だと思っている。

 シンプルで地味目の仕掛けは、どんな状況でも外れが少ないので、餌釣りでは割と手堅く釣っていきたいと思う性格なのでそういう仕掛けを使う傾向にある。

 

 ハゼ釣りにおいては、これまでルアー用のスピニングでちょい投げで釣ることがほとんどであり、仕掛けは投げてズルズル引っ張ってくるので、錘とハリだけのシンプルな構造でも糸がらみなど無く特に問題はなかった。

 具体的には、ナス型錘1号〜3号くらいにハリは流線の5,6号1本直接結びつけか、中通しの球型の錘にサルカンと流線1本という感じ。

 

 今年、ハゼ釣り修行を始めるに当たっても基本、錘とハリのシンプルな仕掛けで問題ないと考えていた。

 ハゼ用のハリを探していると、錘の横に自動ハリス止めが突き出たデザインのハゼ用錘を発見し、これは糸がらみとかも少なそうで良さそうだと思って、この錘を買って、最初は時期的に魚が小さいこともあり、袖バリ4号を自動ハリス止めに挟んでスタートした。

 これが意外とトラブった。ちょい投げしてズルズル引っ張るのであれば糸がらみはあまりないのだろうと思うが、修行の場となったJOSさんポイントは岸近くにハゼが多く、近距離のハゼを2.7mの短い延べ竿使用で餌を上下させて誘う釣り方なので、錘の上下に伴ってハリスと幹糸がもつれてハリが結構幹糸や錘に絡むのである。

 これは、カヤックでヒイラギやらキスやら釣るときにも感じたのだが、上から仕掛けを落とし込むときに、錘にハリスを単純直結だと絡みが多発するのである。カヤックの釣りの場合、片天秤を使うようにしたら全く絡まなくなって、シンプルな片天秤の働きぶりと機能美に痺れた記憶がある。

 JOSさんも小さな片天秤を使用しており、とりあえず何らかの策を検討する必要はあると考えられた。JOSさんに仕掛けのことを聞いてみると、ハリスの絡み防止にはハリス短めで透明パイプ使用が良いとのこと。

 さっそく、透明パイプ0.5mmを購入し、ハリスをとおして8の字結びで輪っかを作ってハリス止めに1回くぐらせてパイプをハリス止めの先に突き刺して固定。

ハゼ用錘仕掛け

 これで、ハリスの途中まではパイプで支えられているので、ハリが物理的に幹糸や錘に絡むことがなくなった。

 自動ハリス止めなのに輪っか作ってたら意味ねーじゃんと思われるかもしれないが、自動ハリス止め、はいまいち当方と相性悪くて、ハリスを挟むだけだと当方のびっくりあわせだと、最初使っていたハリが小さくハリスが細かったこともあって、結構切れたり抜けたりした。なので結局輪っか作って1回くぐらせていて、普通のヨリモドシというか丸い結び口で問題なさそうなのだが、パイプを突っ込むのには自動ハリス止めのとがった先はたまたま良い案配だったのでパイプ固定用の用途で重宝している。

 とりあえず、この自動ハリス止め付き錘にパイプ付き短めハリスで赤ハゼバリ5号、幹糸に結びつけるタイプの目印を3カ所に付けた仕掛けで、初の束釣りを達成してとりあえずこのシンプルな仕掛けは及第点という感じである。

 ハリスの絡み、あわせ切れ等は皆無で快適に釣りができた。

 

 これでも充分だが、もうちょっと仕掛けで何か工夫ができないかと考えると、錘を動かさずに餌だけ踊らせるための「胴付き仕掛け」と、食い込み重視の「遊動式仕掛け」が頭に浮かぶ。

 餌だけ踊らせるのは錘ごと動かすのとそれほど違いはなさそうな気がして、まあ試してみる価値はあるのかもしれないけどとりあえず保留。

 遊動式仕掛けは、昔は食い込みが良いという評価を得ていてチョイ投げのハゼ釣りなんかでは主流だったけど、最近はハゼ釣りに使う程度の軽い錘は普通にハゼは引っ張って泳ぐので遊動式にしなくても関係なくアタリは取れるという見解が主流のようである。

 実際に、今使っている3.5g(1号弱)のハゼ錘ぐらいは小さいハゼでも平気で引っ張りながら走るのであまり違いはないのかもしれない。でも、結構アタッたけど掛けきれなかったというケースはあるので、改善につながるかどうか一度試してみたい。

 

 とりあえず、ナス型錘赤く塗った軽めの0.3号にシモリ玉をかませて自動ハリス止め付きヨリモドシ、透明パイプ付きの短いハリスに5号の赤ハゼバリという仕掛けを作ってみた。

遊動式ハゼ釣り仕掛け

 はたして差が出るだろうか。週末試してみたい。

 

 

 こうやって久しぶりにチマチマと、細かい仕掛けを作っていて感じるのは、手先が不器用になっていて目も見えないということである。

 まあ仕方ないが、昔なら器具無しでサクサク結んでいたであろう8の字結びとかも、短く仕上げたいこともあって輪っかが小さいのもあるが、細い針金曲げたモノを利用しないと結べない。チマチマと細工するには手芸道具に適当な道具があるとおもうので一度「キンカ堂」とかの手芸用品店でお買い物したいところだ。

 ハゼ道具入れ

 また新しい工夫を凝らしたらUPしてみたい。

 なるべくシンプルで作りやすく機能的な仕掛けをと思うのだが、そこにたどり着くまでには色々回り道することになるだろう。

 そのあたりが楽しい部分なのでまったく苦ではない。むしろ、色々と思い巡らせながら仕掛けを作る夜は、釣り人にとってとても幸福な夜だと思う。

(2012.8.29) 

 

○「遊動式仕掛け」と「胴付き仕掛け」

 「遊動式仕掛け」と「胴付き仕掛け」を9月2日に実戦投入してみた。

 「胴付き仕掛け」は、写真のように自動ハリス止めの上下を浮き止めで位置固定したものだが、反応の少ない時間にちょっとだけ使ったのでまだ何とも判断しようがない。再度実戦投入して使い心地を試してみたい。錘を底に付けたままラインを張ったり緩めたりで餌だけ踊らせることができるので見えているハゼの目の前で誘うのには良いかもしれない。この仕掛けはハリス止めの間隔をあければ若干遊動式の要素も取り入れることができる。その辺も次回はチェックしてみたい。

胴付き仕掛け

 

 「遊動式仕掛け」は、期待に反して今一だった。食い込みは良いようで、ハゼが餌を咥えて走るとラインに付けた目印が大きく引き込まれるように動いてアタリは見やすいのだが、あわせがスッポ抜けまくった。

 たぶん、錘の位置はそのままにラインをL字状に引っ張っていった状態からあわせるので、L字にラインが曲がっている分のラインスラックがあわせを弱めてしまっているのではないだろうかと思う。

 最初はたまたまあわせ損なったのかと思ったけど、連続で外したのでどうも仕掛けの構造的な不具合のようである。

 遊動式はダメかなと考えていたが、JOSさんは遊動式だそうである。今月の「釣り人」誌上でハゼ釣りの小特集があったのだが、時速40〜50匹以上というその釣り人が使っているのも遊動式仕掛けだった。

 ただし、完全フリーでラインをどこまでも引っ張っていけるようにはなっておらず、5センチかそこら上に小さいガン玉で止めをうっている。

 これだと、最初食い込む時は錘の重さがかからずハゼは食い込みアタリが出るがその後、ラインスラックが生じるほどには錘から遠く幹糸を引っ張っていくことはできない。

 どのくらいの位置に「止め」をうつかは要調整だが、移動可能な浮き止めを利用した「止め付き遊動式仕掛け」を、まあ前回の遊動式仕掛けのマイナーチェンジだが作って実釣で試してみたい。

(2012.9.5)

○止め付き遊動式仕掛け

 ハリは自動ハリス止め付きよりもどしに、絡み防止のパイプを付けてセット。よりもどしの上にシモリ玉、その次に赤く塗った茄子型錘0.5号、その次に抜け防止のビーズと浮き止めゴム。

止め付き遊動式仕掛け

  9/8,9実戦投入。あわせもきいて良い感じだが、ハリス止め付き錘の仕掛けとあまり差はないかも。でもシンプルでパーツも入手しやすいものばかりだし、トラブルも少なく気に入った。胴付きはイマイチ良いんだか悪いんだか分からない感じなので、しばらく「止め付き遊動式仕掛け」と「ハリス止め付き錘仕掛け」でいこうと思う。

(2012.9.9)

 

○「止め付き遊動式仕掛け」の改良

 「止め付き誘導式仕掛け」は仕掛けも単純だし、実釣でもトラブル等無く快適に使っていた。

止め付き誘導仕掛け

 ただ、オモリに鉛のナス型を使っているのが気に入らなくなってきた。ヘラ釣りを始めるにあたって「鳥の口に入る大きさのオモリには鉛を使わない」と宣言したのだが、ハゼ釣りもシモリ浮子の釣りはスズ製の噛みつぶしが市販されているのでそれを使っているし、テナガでも同様、ワカサギ釣りにはタングステンやスズ製のワササギシンカーが市販されていてそれを利用している。水鳥なんかは砂嚢に砂利を貯めて食べたものをすりつぶしているそうだが、環境中に放出された散弾銃の弾や釣りのオモリを砂利と一緒に貯めてしまうと鉛の毒性で死んでしまうらしい。そういうのって、知ってしまうと気分悪くて鉛のオモリは使えなくなる。

 なので、当然ハゼの脈釣りでも鉛不使用を貫きたいと思うのだが、タングステンシンカーの0.5号1号ぐらいのナス型はみあたらないし、スズ製のナス型や中通しオモリとかも市販されていない。

 ぶっちゃけ、誘導式にこだわらずに大きめのスズ製ガン玉をいくつか付けた仕掛けで釣りは問題なくできそうだが、せっかく工夫して考えて使い慣れている「止め付き誘導式」を捨てるのも忍びなく、誘導式になるようなオモリを作れないかと頭をひねってみた。

 まず思いつくのは、ガン玉にラインで輪っかを作ったのを挟んで接着してしまうのがあるのだが、ガン玉がそれ程大きなサイズが無いので小さい軽いのは作れるが、ある程度大きいのが作れない。

 ヘラ釣りでは、スズハンダを仕掛け用パイプに巻き付けて使っている。これなら重さ調整は自由にできる。ただ、パイプが柔らかい仕掛け用のだとスズハンダ巻き付けると締まってラインが自由に通せなくなる。

 なので、なんか細くて堅いパイプを使ってスズハンダを巻き付けて中通しオモリを作るか?となって、パイプは何が良いだろうか?ボールペンの芯とかか?模型屋とかでそういう細パイプを探すか?とか考えていたらちょうど良いものが部屋に転がっていることに気がついた。

 ヘラ浮子用のパイプトップの使った残りの部分が捨てずにとってあったのだが、径も細いしセルロイドで堅さもあるし良さそうに思う。

 セルロイドにスズハンダを巻いて、ウレタン接着剤(PANDO)で固めて、マニキュアで赤く塗って仕上げた。

試作赤いマニキュア

 重さは、見た目鉛の倍ぐらいにするとだいたい同じくらいのイメージ。まあ、1g単位の秤でで計っているのでいい加減だが、実際に使って沈みが遅いと感じれば大きめのを、もっと小さくて良ければ小さめのを使えば良い。その辺大きさは自由に作れるのでサイズ変えて作ってみる。

大きさ比較増産

 とりあえず、改良型「止め付き誘導式仕掛けエコ」という感じだろうか。次のシーズンはコレで行きます。

止め付き誘導式仕掛けエコ

(2017.5.3)

 

○補足

 鉛不使用の中通しオモリが売ってないと書いたところだが、久しくチェックしていなかったルアーのワームシンカーのコーナーを見たら、テキサスリグ用のタングステン製のバレットシンカーが製品化されていた。

タングステンバレットシンカー

 高比重で早く沈ませることができるという性能面での利点からの製品化かも知れないが、鉛不使用のエコなシンカーとしてももちろん使える。重さも各種あって、ハゼ釣りに使いそうな1号弱3.5グラムのを買ってみた。軽めのスズハンダ加工の中通しオモリとあわせて、ハゼ釣りでも「鉛フリー」で釣りができる体制が整った。

(2017.5.12)

 

○2017年8月19日ブログ再掲

マハゼにまつわるエトセトラ


 ハゼ釣りなんざ、ナス型オモリに直接ハリ付けてゴカイ餌でちょい投げしときゃ充分。と思っていた時代もありました。

 確かに、それで釣れる場所ではそれで間に合うというか、むしろ最適解に近いかも知れないんだけど、そうじゃない釣り場も多いというのが、ここ数年来、江戸前小物釣り師修行の一環としてハゼ釣りをしてきて感じたところである。

 そのあたりを含め、10束釣るようなキ○ガイのいるハゼ釣り界隈で、若輩者の私なんぞが、何を偉そうに語るかという感じではあるけど、10束釣るような特殊な釣りじゃない、半日ぐらいやって「スカを食らわず」何十匹か釣って、今夜のおかずが釣れて楽しいというぐらいの釣り方とか、実用的なあれこれを紹介したい。

 ハゼ釣り、舐めてると意外に「スカ」に近いような惨敗を喫することがありがちで、さらには舐めてなくても、数釣りに特化した釣り方を参考に準備して出撃しても、そこそこシビアな状況だとむしろその釣り方のせいで釣れない釣りになるということもありえるので、「スカ」を食わずに活性低めでもそれなりに釣って楽しむ釣り方となると、また別の答えがあると思う。
 結局は釣り場が違えば釣り方違ってくるので、その釣り場用の釣り方を考えるしかないような気もするけど、なるべく単純で汎用性の高い釣り方をということで、3つの場面に分けてお勧めの釣り方とか小ネタとかを紹介することとしたい。


<場面1:浅くてハゼが見える釣り場>
 短竿での脈釣り。キモはハリスが絡まないように短めにしてかつパイプを装着。

 東京湾では湾奥の運河などがこの種の釣り場。河川でも干潮時とか潮位が低くなってきてハゼが見えるようなときはこの釣り方で。
 竿は状況に合わせてハゼがなぜか逃げなくて足下釣るような場合は1.5mとかでも間に合うときもあるけど、普通ハゼは近寄るとちょっと遠ざかるように逃げるので2.7m前後が使いやすい。
 とにかく、ハゼが多くいるところを目で探しながらハゼの目の前に餌を持って行くつもりで釣る。
 ハゼを見ながら釣っていると、様々なことが分かってくる。同じ釣り場のハゼでも日によって反応が違うのはもちろん、個体毎にも差があって、落ちるオモリに反応してアタックしてくるような高活性なヤツから、近づいただけで逃げるヤツ、餌を目の前に落としても無視するヤツと様々で、毎回同じようには釣れないことが分かる。
 水底のちょっとした深さの違いで魚の寄りが違ったり、数m移動しただけで状況が違ったりということも見えてくる。
 餌の食い方のパターンと、その時の「アタリ」のでかたとかを目で見ておくと、ハゼが見えないようなちょっと深いところでの脈釣りの時にもどういうアタリを出して、どのタイミングであわせるべきかとかが見えてくる(場合もあれば余計迷ったりもして、それはそれで楽しかったりする)。

 ハゼの餌の食い方のパターンとしてはアワセ方の種類で考えて大まかに3パターンぐらいに分けられると思う。1つめは「飲み込むか食って走って勝手にかかる」、2つめは「食って走ってから吐き出す」、3つめは「居食いしてから吐く」という感じ。

 1つ目はほっといても釣れるので適当にかかってからあげれば良い。逆にいうとちょい投げ置き竿で狙うならこの食い方をしてくれるハゼがいないと釣れない。

 2つめの食って走るのが一番多いパターンで、魚が見えない状況での脈釣りでも目印が派手に横に動くし手元にもビビビと来るので、このアタリが沢山出るような場所あるいは誘い方などで釣っていくのを意識する。多少水深違っても見やすいように道糸の3カ所ぐらいに目印の糸を巻いておく。
 アワセはとにかく早合わせ、それでもギリギリ間に合わない空振りが連発するときもあったりして結構難しく、その場合、ハリ掛かりを良くしようと餌を小さくしてみたり、吐くまでの時間を稼ごうとオモリを軽くしてみたり遊動式にしてみたり色々試してみるけど、いつでもコレで良しという正解にはいまだたどり着けていない。というかそんな都合の良い正解はないのかも?で、そのあたりを毎回あーでもないこーでもないと試して釣っていくのが楽しいところ。

 そんな中でもいくつか、おぼろげながら割と効果のあると思った対策をいくつかヒントまで。

 餌の付け方は、長く垂らすと端を咥えて引っ張り回されるので、アワセが決まらないときは小さくちょん掛けの方が良いのかと最初思っていたけど、どうも小さくすると食い自体が悪くなってアワセ自体は決まるようになっても釣果は伸びていかないように思う。
 ハゼが長い虫餌を食う様子を見ていると、端の方からチマチマと囓っていくより、近づいて横ぐわえぎみに胴のあたりから一気に吸い込むことが多いように思う。
 なので、私はミミズ餌なのだけど頭から苦労して通し刺しにしていたのを、ミミズの鉢巻きの所にハリのフトコロ分ぐらい掛ける「鉢巻き掛け」にしてみたら、そういう横ぐわえ気味に食う時にハリが口の中にスポッと入りやすくなってハリ掛かりが良くなった。と思う。
 鉢巻き掛け、ミミズがウネウネして結構難しいので最近は鉢巻きのあたりで、行って帰っての縫い刺しにしている。

 オモリについては「ハゼはオモリぐらい引っ張って泳ぐ」説が根強くあって、確かに固定式でもけっこうしっかり走り回るアタリが出るんだけど、やっぱり微妙に吐き出すまでの時間が稼げるような「気」がして遊動式にしている。この時、ズルズルとどこまでも道糸を引っ張っていけるようにしておくとアワセの時に道糸があらぬ方向に行っている分、力がかからなくてハリがかりしない。遊動式にしてもちょっと上で止まるように浮子止めゴムとかで「遊動」の長さを10センチ弱に調整している。

 オモリを軽くするという方向で、劇的に軽くできるのがシモリウキ仕掛けで、シモリウキ仕掛けについては流れのある釣り場のところでまた説明するけど、浮子の重さで仕掛けが振り込めるのでオモリ自体は極小さなガン玉ですむ。オモリで違和感を感じて吐き出すというような状況では脈釣りで多少オモリの重さを調整するよりは思い切って仕掛けを変えるのもありかなと最近思ってきている。

 3つめの、「居食いして吐く」が、渋い状況では重要になってくることが多い。これが掛けられるかどうかで、貧果に終わるかまずまずの釣果とできるか分かれてくることもある。
 ハゼが見える状況なら、餌が口に入った瞬間にアワせて掛けてしまう。後は吐き出すのが早いかアワセが早いかの勝負。割と得意な釣り方。
 ハゼが見えない深いところや振り切った遠目で釣っている場合、誘いを兼ねて聞き合わせして重みを感じたり、ハゼが走ったりしたら即アワセ。
 コレが決まる日は深場だと大型が多い傾向があるので良い釣りになる。でも、いつもそう上手くはいかなくて、手元にブルッという感触を残して餌だけとられておしまい、というのが連発してどうにも上手くいかないことがある。そういう時に餌の付け方だのオモリの重さだので調整するか、誘い方のリズムや道糸の張り方、アワセのタイミングとかを変えていくか、あきらめて場所変えたり見えてる浅場のを狙うか、色々悩むことになる。ダメな時はダメで、見えてるハゼ狙いが割と手堅いようには思う。見えてるハゼ狙ってると、速攻で吐き出すときには手元にアタリが来てからのアワセでは間に合わないように思えてくる。でも、なんとか上手くいくと気持ち良いので色々試してみたいところ。

 次に、ハゼの餌の追い方も誘い方のパターンにあわせて3つぐらいに分類。
 1つめは「動く物に反応して追ってくる」、2つめは「近くにあるとそのうち食う」、3つめが「口の前に餌が来ると一瞬口を使う」という感じ。

 1つめの動く物に反応するハゼが活性高く食いが良い傾向にあるので、脈釣りの時はオモリで底をトントン叩きながら誘ってくるのが基本的な誘い方だと思う。
 見ていると、中には着底するオモリにかじりつくヤツもいて、こういうのが最近流行り出したハゼクランクで釣る対象になるんだろうなと思うけど、ハゼが沢山いてもそこまで活性高いヤツがいつもいるとは限らないので、ハゼさえいれば成立するという釣りでもないんだろうなと思っていて手を出すのに躊躇しているところだ。
 遠目に振り込んだときとか、トントン手前まで誘ってくると後ろを付いてくるのがいたりする。誘った後に止める「食わせの間」が結構重要で、2つめとも関係してくるけど、追ってきて食い切らないなと思っても、しばらく餌を止めておくと食ったりする。その時々で動かし続けた方が良いのか、止めておく時間を長く取った方が良いのか、いろいろ試して良く食ってくる「間」をつかみたいところ。
 それから、割と良くあるのが近くの見えているハゼを上下の動きで誘う形で、この時にハリスが絡まないようにパイプを使っておくのが地味だけど重要。横に引っ張ってくるときはハリスは後ろにあって道糸に絡まないけど、上下させるとよく絡む。仕掛けの例についてはサイトの方の「工夫」「ハゼ釣り仕掛け」に実例あげているので参考に。
 一番簡単なのは、オモリに自動ハリス止めがついている「カツイチドロップシンカー」とかを使う仕掛け。

 2つめの「近くにあるとそのうち食う」も、意外にある。最初水辺に近づいていくと、ちょっと逃げて遠くに行ったり、石の裏とかに隠れたハゼが、しばらく静かに釣っていると、戻ってきたりするんだけど、見ていると餌を動かして誘っていると警戒するのか食わないんだけど、しばらく放置しておくとジワジワ寄ってきて食ったりする。こういうときは動きじゃなくて臭いに反応しているのかなという気がする。魚が見えない状況でも、放置しておくとブルブルッときて釣れるというパターンがハマるときがあるので、止めて食わせるというのは意識しておいて損はない。
 
 3つめの、口の前に餌が来ると一瞬口を使うハゼは、見釣りじゃないとたぶん釣れない。餌を上下させて誘うといやがるし、ちょっと離したところに餌を置いても寄ってこないというときに、ホントに魚の口の真ん前に生きの良い虫餌を持って行くと、しばらくするとパクッといくことがある。瞬間的にビックリアワセで抜きあげるぐらいの勢いで早合わせ。
 けっこう渋い状況でポツポツ拾っていかなければいけない時間帯とか、デカいのが見えてるときとか、見釣りができる浅い釣り場では結構コレをどうにかできるかどうかが釣果に響いてくる。
 なので、餌はこういうときにシッポのウネウネで誘ってくれる虫餌にこだわっている。

 ハゼ釣りの餌としては、細めのアオイソメが頭の部分の餌持ちの良さが手返しの良さにつながるので定番餌だけど、夏場の暑さに弱くてクタッとなりやすく、餌箱に保冷剤を入れたり、餌箱自体を首から掛ける小型クーラーボックスに入れておくなど保冷策が必要で、その点、若干餌持ちが悪いけどミミズはゴカイ系に比べると暑さに強いので、餌箱も保冷バックも小型のを使っている私はミミズを選択している。「ミミズちゃん熊太郎」を愛用。
 ハゼ釣りの餌として、他には冷凍エビとかボイルホタテをちぎってというのも手軽で人気のようだけど、渋い状況でも動きで食わせる能力を信頼して虫餌派である。ハリ付けがしやすくボイルホタテは数釣りには向いているようだけど、ボウズをくらいたくないのなら虫餌の方が堅いかと。
 冷凍エビとガルプの臭いワームでは釣ったことあるけど、釣れなくもないけど虫餌に比べると今一な気がする。

 直接釣りには関係ないかもだけど、マハゼの食性って謎である。図鑑やらでも小型の多毛類や甲殻類を食べる肉食と書いてあることが多いし、実際に虫餌に反応よく食ってくるので、そうなんだろうなと納得しかけるんだけど、実際に釣ってから食べるために捌いて腹を開けてみると困惑する。肉食っぽい餌なんて食べてないようで、泥のようなものが詰まっている。そう思って釣りながらハゼを見ていると、石の上で縄張り作ってコケ食ってるような個体も見えるし、なんか底の泥食ってるようなのもいる。少なくとも東京湾に注ぐ川やら運河ではマハゼの食性は底の植物プランクトンやら有機物を泥ごと食べているようなデトリタス食性が中心の雑食なんじゃないだろうかと思うのだがどうなんだろう?虫餌とか滅多に食べられないご馳走に歓喜して食いついているのかも知れない。



<場面2:そこそこ浅くて流れのある釣り場>
 中尺軽量竿でのシモリ浮子仕掛け。キモはとにかく餌が常時底について流れるように浮き下長め。
 
 東京湾に注ぐ河川の中下流域の釣り場(特に低潮時)。とか、流れのある浅い運河とか。
 近所ポイントが、まさにこういう釣り場。
 流れがあるので、餌を仕掛けごと流して広い範囲を探って、流れてくる餌を待っているハゼに食わせる。
 そのために、竿はある程度長さが欲しい。今時のオイカワ釣るような清流竿は4.5mで300グラムくらいと軽いのでそのぐらいのが使いやすい。
 流れのある釣り場でも、別にちょい投げでも延べ竿の脈釣りでも釣れそうなものなんだけど、やってみるとあんまり釣れなかった。常連らしいオッチャン達はシモリ浮子仕掛けなので試してみたところ、なるほど釣りやすいと納得。
 シモリ浮子仕掛けは軽いオモリで、浮力の小さいシモリ玉6個を使った仕掛けなんだけど、まず、オモリが軽いので、流れで自然に餌が底をズルズルと流れてくれてハゼがそれに良く食ってくる。ここのところが、流れのある場所でのハゼ釣りのキモだと思う。とにかく餌が底についてズルズルと適度なスピードで流れるのが良いんだと思うけど、玉浮きの仕掛けでも同じように浮き下を長めに必ず底を餌がズルズル流れるようにしていると釣れるようで、素人臭い玉浮き仕掛けの釣り人が結構釣っているというのは目にする。シモリ仕掛け用意するのが面倒くさい人は玉浮き仕掛けでもそれなりにやれると思う。
 とにかく、流速にもよるけど水深の3倍くらい浮き下を長く取ってズルズル流し。ハリスも長め。
 
 で、シモリ浮子仕掛けだと、さらに利点がある。流れるときに深さが多少違っても問題ない浮子の効く深さの幅広さも使いやすいけど、シモリ浮子自体が単体では浮力が小さいというのが、オモリの軽さとも相まって、アタリを出やすくしているように感じる。
 「食って走ってから吐き出す」場合は明確にシモリ浮子が引き込まれるし、「居食いしてから吐く」の場合でも居食いで仕掛けが止められて流れでシモリ玉がいくつか沈むので簡単に分かる。かつ、仕掛けの抵抗が軽いからか吐くまでの時間が長くなるような気がする。脈釣りに比べて「食ったら掛かる」感じが強く、良いアタリさえだせればアワセの空振りは少ない印象。

 流れの効き方によって仕掛けが早く流れすぎる時とか、底切るとシモリ玉が2個水没するぐらいに調整してあるのを、完全底ズルべたでシモリ玉6個とも浮くぐらいにして、底を引きずっているオモリと餌で抵抗効かせてユックリ流れるように浮き下長く調整したりもする。逆に流れが緩くて流れないときは餌が底を切らない範囲で浮き下を短くする。
斜め上流に投げて目の前を流すのが通常だけど、流れが早すぎるときは斜め下流に投げてわざと竿でブレーキ掛けながらウェットフライでいうところのスイングさせる感じでユックリ流して食わせたりもする。
 流れが止まった潮止まりには、チョイチョイとしゃくって誘いながら広範囲を探るようにするとアタリが拾える。しゃくらずズルズルと引いてくるのも試したけどしゃくった方が良いように思う。
 沖目を狙いたくなるのが心情だけど、夏だと特に意外に岸近くの浅いところで良く釣れるので、涼しいのもあってジャブジャブ水遊び靴で立ち込んで釣っているけど、岸近くの浅い場所も意識しておいた方が良い。

 この釣り方を初めて、しばらく悩んだのが「シモリ浮子の止め方」である。爪楊枝で止めるとかはすぐに外れてよろしくなく、輪ゴムを引っ張り込む方法はちょうど良い太さの輪ゴムが難しいというか太すぎて入らない(ラバージグのラバーは細くて良いらしい)。
 あれこれ悩んで、しばらくはシモリ浮子の上下に浮子止め糸で玉を作って止めていたのだが、6個を2カ所づつ玉で止めるのは面倒くさい作業。
 小物釣りのコツ的な本を買って読んでいたら、毛糸を適度に束ねてナイロンラインで引っ張り込んで余分を切り取るのが位置調整も楽にできて良いとあったので、グローバグヤーンでやってみたらこれが良い塩梅。
 シモリ浮子止めるのはこの方法が今のところ最良。
 シモリ浮子仕掛けって関東の釣り方なのだろうか?あまり馴染みがなかったのだけど、使い始めると便利で、唐辛子浮子で釣っていたマブナ釣りとかも移動しながら探るなら、オモリを勝たせておけばどれかの浮子が水面に来て浮き下調整少なくて済んで良さそうだなとか納得。
 


<場面3:深かったり広かったりする釣り場>
 やっぱりちょい投げ。キモは明確なアタリが出るような釣り場と時間を選んで行くことか。

 港や、河川でも護岸された場所で高潮時とかは延べ竿じゃ届かない。贅沢に釣り船でというのもありといえばありだけど、手軽に行くならちょい投げ一択。
 仕掛けも横に引っ張ってくるのであまり絡まないし、ナス型オモリにハリス直結でも結構やれる。絡み防止にハゼ用の小さい天秤を使ってもいい。仕掛けはそのあたり単純で良い。

 ただ、ちょい投げの場合、魚が食っているのが見えるわけじゃないので、勝手に掛かってくれるか、明確なブルブルと手元にくる走るアタリがあって、長いラインを通してのアワセが決まるぐらいはハゼが餌を口にいれてくれていないと苦戦する。
 実は近所ポイント初挑戦時には、冷凍エビ餌ちょい投げで大苦戦。あちこち自転車で走り回ってやっと1匹という有様だった。アタリはたまにあるんだけど掛かるぐらい咥えていてくれなかったのである。 

 その手の苦戦は割とありがちで、見釣りのできる浅い釣り場なら、餌が口に入ったタイミングを見ながら早いアワセで掛けてしまう手もあるし、流れのある浅い場所なら軽いシモリ浮子仕掛けを使えばアタれば高確率で掛けられるので、渋い中でも何とかするんだけど、ちょい投げは「アタるけど掛からないんだよね〜」というありがちな渋さで苦戦しちゃうのである。
 そういう時ちょい投げならどうするの?
 最近あんまりやってないんで参考になるかどうかだけど、とにかく、アタリの出るところはハゼが集まってたりするのでそういう場所を足も使って探す。あとは釣り場毎に潮時だったりまずめだったり、釣れる時合いはあると思うのでそれを待つ。ぐらいだろうか?まずは情報収集段階でちょい投げで釣れる釣り場かどうかの判断が一番重要か。そこで勝負ありだったりして。

 今年は体調が秋のシーバスシーズンまでに復調できる気配が見えてこないので、秋シーズンはご近所でヘラ釣りとハゼ釣りの2本立ての予定である。ハゼ釣りも秋が深まると、浅場から深めの澪筋あたりにポイントが変わっていくようなので、そいつら追っかけるならちょい投げにも取り組まねばなるまいと思っているところ。


 ハゼ釣りはおかず分釣るぐらいなら比較的簡単で、良い時期に良い釣り場に行けば誰でも釣れる楽しい釣りであり、初心者にも超お勧めの釣りである。食っても美味いし良い獲物である。

 それでも、ちょっと外すと釣れなかったりという「釣り」の難しさは全くこの釣りも同じで、簡単な釣りだと思っていたのが、多少渋いときでも安定して釣りたいとか、沢山釣りたいとか思い始めると、とことん突っ込んでいける難しさも孕んでいる。たかだか数年やっただけで、これだけ蘊蓄書けるぐらいにはいろんなことを考えなければならなくなる。
 
 今回、3つの場面に分けて釣り方について書いてみたけど、結局、ハゼ釣りってポイント違えば釣り方違ってきて、その釣り場用の釣り方を考えるしかないような気もしているところ。
 東京湾界隈だと、マハゼってものすごい数がいて、魚がいないということはあまりない。その中でいかに上手に楽しく釣っていくのか、いくらでも工夫のしがいのある釣りなのでみんなで楽しめればいいなと思っている。
 そのための参考にしてもらえればとてもうれしい。


 ○2019年10月27日ブログ再掲

パイプを制するモノは世界(小物仕掛けの)を制す

 小物釣りもマハゼにマアジにと絶好調に突入している。
 仕掛け作りも楽しくて、あれこれ工夫してやってる。自分の備忘録がてら公開してみるので皆様の参考になれば幸い。

 まずは4.5mの延べ竿で狙うハゼ釣り仕掛け。これは基本今までと同じで以前も書いたとおり肝は自動ハリス止めにパイプ突っ込んでハリスがオモリの方に絡まないようにしてあるのと、オモリが遊動式なんだけど完全な遊動式ではなくて、少し上に”止め糸”で止めをいれてあること。
 止めがないとあわせたときに魚が既にあらぬ方向に走っていて仕掛け全体が大きく曲がっていてアワセが効かないなんてことになりかねない。
 長めの竿だとある程度重いオモリで振り込んだ方がやりやすく、また側溝のポイントは流れもそれなりに強いのでオモリはバス用のタングステンシンカー3.5gを選んでいる。”鳥の口に入る大きさの鉛は使わない”は今後も徹底したい。
 ビーズが2個付いているのは上はオモリの穴が大きくて止め糸のコブが抜けてしまうのでその抜け防止。下は硬質のプラスッチック製で、せっかくタングステンという堅いオモリを使うので音鳴らしてみるかなと入れてみた。あんまり効果は実感していない。むしろタングステンの金属光沢はハゼの好みらしく赤いオモリ以上に”オモリアタック”は多い印象。
 自動ハリス止めに固定するパイプ付きのハリスは各サイズ用意して釣り場に持ち込んでいる。釣り場で作ろうとすると老眼なのでイィーッとなる。
 先日、根掛かりしたのを外そうと引っ張ったら、ハリスじゃなくて1号の道糸で切れてちょっと途方に暮れた。
 0.6号ハリスだとそういうことはなかったんだけど、ハゼが大きくなってきたのでハリの大きさを上げたらハリスが0.8号でとうぜん1号の道糸よりは弱いと思い込んでたけど、今時のナイロンハリスは強くて、実際にルアーの前と後ろのアイに結んでどちらから切れるか引っ張ってみたら1号の道糸から切れた。
 コリャいかんと、0.8号の太さで5LBの強度をうたっているレグロンで試してみたら、レグロンの強さは嘘じゃなかった。ハリメーカーが使ってるハリス用の0.8号より強い。ということで、ハゼ用の新しい仕掛けはレグロン0.8号で作っている。

 続いてマアジ狙いの延べ竿用螺旋仕掛け。
 ヘラ釣りの仕掛けとアユの餌釣りの仕掛けの混ざったような代物。
 螺旋はアユの餌釣り「浜松式」で使われてるけど、普通の釣り人にはコイの吸い込み仕掛けに使われてるのが馴染み深いだろうか。
 螺旋を使ったアジとかの仕掛けが紹介されているのは見たことがないんだけど、通販とかで探すと、普通に海の小物用としてアミコマセを想定して売られている。
 正直、アジ釣りっていうとコマセカゴにアミコマセみっちり詰めてガンガン撒いて、アジを狂乱状態にしてサビキに食わせる”カゴサビキ”が一般的だけど、それって単純に仕掛けもコマセもよく売れるから釣具屋が薦めてるだけだろうと、いつものようにうがった見方をしている。
 でもって、延べ竿で1本バリでチマチマと釣ろうと思うと、コマセなしの電気浮子仕掛けでこれまで釣ってきたんだけど、螺旋使えば少量ずつコマセ効かせられて、かつコマセカゴより軽くて浮子も小さくできるので、仕掛け全体が繊細に仕上げられて食い込みも良くなるしでコレはいけるやろと導入してみたら今のところ上手くいっている。
 日中や灯りの下では、電気浮子よりトップが細くて、細かいアタリが取りやすいヘラ浮子も使ったんだけどなかなか塩梅良かった。
 ヘラ釣りの技術は浮き釣り全般に通じるモノがあるので修行して”ゆるふわ流”初段とっておいて役に立っている。コマセを螺旋にギュッとまとめるのもヘラのバラケのハリ付けの要領で左手でチョイと摘まんでやっつけている。
 この仕掛けで肝になるのが、サビキ仕掛けと違ってハリスが長く取れることによって、ヘラで言う”ハリスの倒れ込み”でフワフワ落ちていく刺し餌を食わせることができたり、違和感なく食い込ませたりできるところだと思っている。
 ハリスの長さやオモリの重さ、コマセの効かせ方の調整とか、ヘラ釣りと同じような技術がアジ釣りでもやっぱり効果あって、ヘラ釣りせっかく基本を身につけて面白くなってきたところなのに、こっちじゃ釣り場が遠くて残念に思ってたけど、アジ釣りで充分補完できそうな感じになっている。
 この仕掛けもハリスを接続する螺旋の下の部分にはゴムパイプを被せてあって、ゴムパイプの中にハリス接続用に太めのフロロのラインが通してあり最後8の字で輪っかにしてある。ハリスの方も8の字で輪っか作って一回ぐるっと通す”ループトゥーループ”で接続する。これでハリスが螺旋とかに絡むのが劇的に回避できる。


 もいっちょアジ釣りの仕掛けでフカセ仕掛け。
 写真じゃ何が何だか分からないと思うけど、上の方は見やすい蛍光ピンクのナイロン1.5号、その下道糸の主な部分はとりあえず感度と沈みやすさを重視してフロロの0.8号、フロロの先は例によって8の字作っておいてハリスと接続。
 接続部分にはウレタンパイプを被せて結び目とかハリスが絡む部分を極力減らしてみた。止め糸で3箇所ほど目印を作っている。ハリスにスズ製ガン玉を打って使用。
 まだ一回しか使ってないけど、正直道糸は透明のナイロン0.8号通しでも目印打てばいけそうに感じた。ハリの重さだけではあまり沈んでいかないのでガン玉打つので沈みの良いフロロにこだわる必要もないのかもしれない。ガン玉をハリスに打つ限りにおいてはハリス先行で沈むので仕掛けが絡むことはあまりなさそうでパイプも要らんかも。
 仕掛けは不必要なモノがついていると絡んだり切れたり不具合の元になるので、究極的には”竿先とハリを1本のテグスで結んで終了”っていう完全フカセ仕掛けなら問題起こる場所が最小限にできるはず。
 ただ、実際にはそれだと道糸のどこで切れるかわからないので、道糸とハリスは分けて、切れてもハリスだけ交換で済むようにした方がいいし、沈み方の調整にガン玉は必要だと感じたし、目印ぐらいは付けた方がよさそうにも思う。
 いずれにせよその程度の単純な仕掛けでもアジ普通に釣れます。まあ、状況にもよるんだろうけど。

 というのが現在使ってる3種類の仕掛けなんだけど、とにかく小物仕掛けにおいて”パイプ”が絡みを防止する能力には絶大な信頼をおくところである。沈むときに天秤のようにオモリとハリスを遠ざけてくれる。
 こういう、細かいところだけどちょっと違うだけで全然結果が違ってくる、っていうのは釣りでは良くあることなのでチマチマと改善を続けていきたい。
 仕掛け作りにおいては、どういう工夫を加えるか、っていう部分より、どれだけ無駄を省いて単純化できるかっていうところが重要だったりもするけど、パイプはわざわざ入れるだけの価値のある部品だとおもっちょります。


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