○ラインの切れ目が縁の切れ目 −ラインシステム−
釣具で最も気を使うのは、ハリか?ラインか?というぐらいで、消耗品でもあるこの2つにはかなり悩まされます。ハリについては未だに満足いくことはなく試行錯誤の段階ですが、ラインについては、最近は性能も驚くほど向上しておりいくつかの素材のラインを組み合わせてラインシステムを組むことである程度「これでいいや」という感触を得ています。私がラインシステムに求めるのは必要充分な強度とトラブルの少なさです。
ここでは、私の普段使っているラインシステムに関するこまごまとした工夫について紹介します。ラインの管理についても別途書く予定です。
■ラインシステム
<シーバス等>
普通にルアーで魚を釣るときの私の基本的なシステムです。
メインラインはファイアーラインの30LB(3号弱)でショックリーダーが生分解性ナイロンのRTE20LBをメインに30LB併用。メインラインはビミニツイストでダブルにしてからショックリーダーとつないでます。
ファイアーライン30LB(US表示は14LBとなっており日本国内向けとは異なることに要注意)はシーバス・バス釣り等では引っ張り強度的にはまったく切れる気がしないし、通常使うルアーのキャスティングにも特に支障を感じないので魚種毎に太さを変えたりはしていません。PE系の細いラインはクシャクシャと絡みやすいのでキャスティングではむしろこのぐらいの太さが欲しいです。ファイヤーラインは表面が樹脂コーティングされていてハリがあり、PE系のラインの中ではライントラブルは少ないほうで使いやすいです。
ショックリーダーは生分解性のRTEを愛用。通常のナイロンより太いのですが、太さに由来する耐摩耗性が欲しいショックリーダーなので意外に好適。ファイアーラインは実際には30LB以上の強度がありそうで、このシステムだと20LBはもちろん30LBでもほとんどショックリーダーから切れます。多少なりとも根がかったときのゴミが減ることを期待しています。
だいたい30センチくらいから80センチ位までの魚の場合は対象魚種が変わろうが、竿やリールが変わろうがこのシステムでいきます。バチ抜けシーバスのように食い込み重視のときはメインラインを8ポンドナイロンに替えたり、シイラのときはショックリーダーをナイロン50LBにしたりします。
RTEはあまり売れていなかったらしく、釣具屋でも注文してお取り寄せしないと手に入りませんでしたが、とりあえず水底に残るラインをイツまでも使っているわけにはいかないと思うので、まだまだ完成度は低いですがその考え方に賛同する意味でも買っていました。現在は性能アップした後継の「バスエコリーダーRTE」というのが同じモーリス社から発売されています。皆さんも是非買ってみてください。ショックリーダーとして使う分には特に支障を感じないと思います。
<ライギョ>
ライギョ釣りのラインに必要なのは、ライギョの歯への対応と、パワーのあるタックルを使用して、場合によっては藻ごと魚を引っ張って来るような釣りに必要な強度と耐摩耗性だと思います。
とはいえ葦やハスのジャングルや、水草に加えて沈木等障害物が複合的に絡むような特殊な場合を除くと、通常ライギョ釣りに使われるPE10号前後はややオーバーパワーかなと感じています。でも、まあこれだけ太ければ安心ではありますので当方も8号を使用してます。
当方が特殊と感じている場所を普通と感じる方もおられるのかもしれませんが、釣り場でそんなややこしいところを攻めている人はあまり見ません。
実際問題必要な強度はPE4号ぐらいでも足りると思います。あとは特に障害物や歯と擦れる先端部分にショックリーダーをかませば問題ないと思いますが、なぜかライギョマンはかたくなにショックリーダーを使うことを拒み太いPEのダブルラインにこだわります。ショックリーダーを使うとゴミが引っ掛かるとか聞きますが、特にそう感じたことはありません。
強度的には4号で充分と書きましたが、あまり曲がらないロッドで強烈なあわせを喰らわすと、PEラインは伸びない分急激なショックには弱い傾向があり、ある程度強度に余裕がないとちょっとした傷などからあわせ切れするおそれがあります。そういうこともあって、結局私は硬いベイトロッド(マスキーロッド)を使うときには余裕のあるPE8号を使っています。PE8号でも不安を感じるという意見を目にすることがありますが、どう不安なのかよく分かりません。PE8号はまず切れないでしょう。ライギョの歯で傷ついて切れるのが不安だというならメインラインではなくショックリーダーを充分太いものを使っておけば問題ないはずです。
ショックリーダーはケブラーの15号ぐらいの太さのものです。前後を器具を使って輪っかにして、ダブルラインにしたメインラインと4回巻きぐらいのループトゥーループで接続しています。結び目も小さくゴミもかかりにくく、歯に対する耐摩耗性も防刃チョッキに使われるケブラー素材ならPE10号ダブル以上のものが期待できます。このシステムでラインブレイクは一度もありません。
スピニングタックルでライギョを釣るときのシステムについては別途書いているので省略します。(「ライギョルアー」を参照してください)
<渓流(海の小物)>
6ポンド、4ポンドのナイロンラインを使用します。このクラスのラインは同じ強度のPEに置き換えると、細いPEラインを小さなスプールに巻くという、トラブルを自ら招いているような状況になるので、PEラインの使用はあきらめています。上流に向けてルアーを投げることによりテンションのかかっていない状態で巻かれたPEラインはいとも簡単に絡まってくれます。
渓流でも海の小物釣りでも、いきなりでかい魚が食うこともあるので、基本的に2ポンドとかは使いません。6ポンドメインにしています。メバル釣っていてフッコクラスがきても特に問題なく釣れます。
メインラインが細いので、障害物に巻かれたりしたときを想定してショックリーダーにフロロの2号ぐらいのを接続するようにしています。
渓流のラインシステムで特に大事なのは、よく見えるメインラインを使うことです。蛍光や白系の目立つラインでないと、キャストされたルアーの軌跡が目で追えないので正確なキャスティングができません。渓流の障害物をかわしながらのキャスティングにはよく見えるラインは必須です。見えるラインは魚に警戒されると思うかもしれませんが、警戒するような魚はラインより先に派手なルアーを警戒すると考えるのが自然です。
<ボート根魚>
08’顛末記のお正月編にその模様を書いてますが、東北、北海道といった北の海で「ロックフィッシュ(「ネザカナ」でよくネ?)」と呼ばれるアイナメやクロソイ、タケノコメバルを対象としてワームで釣る釣りがここ数年来のブームで、陸っぱりも盛んですが、ボートで根周り直撃するスタイルで50UPとかの良型がガンガン釣られておりなかなか魅力的な釣りになってます。
この釣りではネザカナをロックフィッシュと呼んじゃうようなバス釣り系の人(ゴメンナサイ失礼ですかね?)が釣り方を開発してきた経緯があるのだと思いますが、なぜかベイトタックル使用でメインラインはフロロカーボン14ポンドぐらいでリーダー無し直結というスタイルが確立されています。
ベイトタックルでフッキング後根に潜られないようにポンピングなしでグリグリ巻くという釣り方にはそれなりに有利な点があると思うのでまあいいのですが、なぜあんなに硬くて扱いにくいフロロカーボンをメインラインに使うのでしょうか?フロロは確かにナイロンに比べて対摩耗性は良いので根がきついエリアを釣るためのリーダーとしては良いかもしれませんが、メインラインとしては向いてません。むしろナイロンで太さを太くした方が扱いやすい気がします。
また、海のルアーをかじった人間なら即、メインラインの端をダブルラインにしてリーダーだけ太くするシステム組めばいいでしょう。と思いつきますが、実際にはこのシステムは機能しません。なぜなら根掛かりが多すぎていちいち船上でラインシステム組み直していれば釣りする時間が大きく削られてしまうからです。
そういう実態もあって、リーダーそのものをメインラインにしているのが既存の「ロックフィッシュ」用のラインシステムだと思います。
ところが既存のフロロ直結のシステムでも切れたらオモリとビーズを通してフックを結ぶ作業は必要で、結構根掛かりが多い場所では、結び直している時間が長くなりがちです。
これらを考えるとどうもまだ改善の余地が結構ありそうだったので、私なりに切れたときの復旧が楽で、しかもメインラインはキャスティングしやすいラインを使って、リーダーをそれなりに根ズレに強いものにするシステムを考えて実戦投入してみました。
システム自体はそんなにややこしくなくシンプルです。メインラインはPE系の3〜4号で端をダブルラインにして輪っかのままにしておきます。そしてリーダーは分解性ナイロンのRTE30LBであらかじめテキサスリグにしてメインラインに接続する側にもやい結び(パーフェクションループ)で輪っかをつくったものを、沢山(10/人くらい)つくってイカスッテ用の仕掛け巻きに並べて巻いておきます。
メインラインとテキサスリグの輪っかを2回まわしのループトゥーループで接続して使います。
これだと、根がかったときに切れるのはほとんどリーダーのどこかで、切れてもメインラインの輪っかは残ってます。この部分に新しいテキサスリグを2回まわして接続してやればワームを付けてすぐに戦線復帰できます。
RTEは結構太いので根ズレ対策にも好適で、切れてもそのうち腐ってくれるので多少は釣り場のゴミを減らせます。ワームも分解性のものを使えば残るのはオモリぐらいにできます。
実戦投入の感触としては、切れたときの復旧も素早く私と同居人の2人分を私がセットしていましたがそれほど時間をロスしませんでした。寒さでかじかむ手で結び直すより簡単にできて良かったす。釣果の方も慣れない釣りの割りには良く釣れて問題ないように思いました。特にスピニングタックルで50UP2匹釣った同居人の釣果がこのシステムで充分以上にやれることを証明してくれたと思います。
<テトラ根魚>
テトラに乗っかって、ブラクリにワームを付けてテトラの「穴」に沈めてアイナメやソイ類を狙うのは学生時代からの得意技です。この釣りでキモになるのは人が来ない良いテトラを見つけることと、テトラやカキやフジツボでラインを切られないことです。テトラでブラクリを使って釣りをする場合、ラインで問題になるのは耐摩耗性のみといって良いかと思います。基本的に居れば食う魚を相手にするのでリーダーが太くても特に問題になりません。キャストもしないのでメインラインから太くてもかまいませんが、わざわざまき直すのも面倒なので、メインラインをダブルにしてから30〜50LBのナイロンラインを長めのショックリーダーのように結びつけています。メインラインはバッキングのように巻いてあるだけで事実上釣りしているときに使っているのはショックリーダー?だけです。
これだけ太いと、さすがに蛎殻に擦れようがテトラを巻いて魚が暴れようがラインはなかなか切れません。ついでに根がかったときにもショックリーダーをもってひっぱれば針が折れるかブラクリの直前で切れるのでゴミをあまり海底に残さず済みます。
<アメナマ(ぶっ込み一般)>
ぶっ込み釣りは、仕掛けがシンプルで魚信がダイレクトに竿先にあらわれます。待ってる間退屈かと思っていましたが、やってみると意外なぐらいドキドキできるし対象魚もアメナマに限らずなんでも狙えるし、海とかでやったら何が来るか分からない魅力もあるので結構はまりつつあります。
アメナマ釣りにはメインラインはPE4号で端はダブルライン。ダブルラインに中通しオモリ(8号前後)とショックゴムを通して、大きめのよりもどしにダブルラインを1回通し(オフショアスイベルノットにしておくとより強力)で接続。そのよりもどしにRTEの30LBを30センチぐらいとって、管付き石鯛の10号ぐらいを接続します。
管付き石鯛バリはサイズが小さくても曲がったことが無く信頼してます。小さいアメナマが多い時期に管付きチヌを使っていたら、デカイのが来たときに曲がってしまいショックでした。石鯛バリはサイズ小さくしても安心できます。海でイワシ餌にメジとか狙うときにも好適ですし、海用のフライを巻くときのフックとしても使いやすいです。海フライ用として売られている細くて格好いいフックはシーバスはともかくシイラやカツオに使うと曲がって使い物になりません。海用のフライのフックは昔からあるゴッツイやつか石鯛バリぐらいの丈夫なのが必要だと思います。何であんな細いのが海用として売っているのでしょうか?
いろいろとラインシステムについて書いてみましたが、今後も試してみてよい成果の出たシステムについては追加したいと思います。
(2008.8)
<ロウニンアジ狙いのラインシステム>
ロウニンアジ狙いの際のラインシステムは、当方がロンニンアジ狙いの釣りを始めたころに、石垣島の鈴木文夫氏が雑誌に紹介していたシステムをベースにしている。
基本的に不都合を感じたことがないシステムや道具は変えないのが当方の流儀なので、大まかなところは15年近い前と今でも変わってはいない。
メインラインはPE6号で、これをビミニツイストでダブルラインとし、スペーサー25号とフィッシャーマンノットで接続、スペーサーを200LB(60号相当)のナイロンリーダーにこれまたフィッシャーマンノットで接続。というようなところだ。
フィッシャーマンノットは、ルアー側にくる細い方をブラッドノット(ダブルラインは最後の止めのところを2回回す)、リール側にくる太い方を電車結びにする結び方で、ブラッドノットの結び目から出ているラインの切れ端は横に出ており、電車結びの結び目から出ているラインの切れ端はリール側を向いているため、キャスト時に引っかかりが少ないという利点がある。結び目からすっぽ抜けたり、強度劣化でそこから切れるということもない。もう少し細い引っ張って切れる太さのラインで同様のシステムを両端に組んでそれぞれ棒に結び、片方を足で踏んでもう片方を両手で背筋力測定のように力一杯引っ張って切ってみると、ビミニツイストとビミニツイストの間のメインラインのどこかでラインは切れ(だいたいビミニの直近で切れる)、このラインシステムがきちんと機能していることを確かめることができる。
15年で変えたというのか変わったのは、メインラインの強度と、スペーサーの種類である。
メインラインのPE6号は当時は60LB相当の強度だったのが、それまで4本縒りが主だったPEラインに、より強度に優れた8本縒りの製品が売り出されるようになり、今使っているPEライン「アバニマックスパワーPEツナ(バリバス)」は同じ6号でも1クラス上の85LB(約38kg)相当の強度を持つようになった。結束により強度が落ちる傾向のあるPEラインではあるが、結束で7割にパワーダウンしたところで26kg以上の引っ張り強度があることになる。
6キロ前後のドラグで釣りをするかぎり、およそ引っ張り合いで切られることは想像できない引っ張り強度である。竿先を魚に向けてリールのスプールをつかみこみ強引に綱引きファイトで魚を止めにいっても、強度26キロのラインが切れるほどの力を揺れる船上でかけることは難しいのではないだろうかと思う。恐ろしいまでの強度である。
太さ的にはキャスティング時にはこのくらいが太すぎず細過ぎず投げやすい。4本縒りのPEよりも腰があるのもキャスティング時のトラブルを減少させてくれる。
唯一欠点をあげるなら値段の高さだろうか。300mで1万円強である(実売で1万円弱)。150mずつ2つのスプールに分けて使っているが、1スプールあたり5千円程度かかっているわけである。値段に恥じない相応の高性能だと思うが、もっと安いモノはないかと探してみたところ、スパイダーワイヤーブランドの「ステルスブレイド」とか「ウルトラキャストブレイド」というラインが80LB表示で直径は号数で6.5号相当となるクラス、それが300ヤード30ドル前後で海外通販で手に入る。6.5号で80LBということは若干、アバニマックスパワーよりスペックが劣るように思うが、実際にはよく分からない。アメリカの強度表示は結束後の表示であり、日本の強度表示は結束していない状態での最高強度を表示しているという話も聞く。その場合、ラインシステムを組んで実際に魚を釣る状態で80LBの引っ張り強度が得られることになり、いくら何でもそんなに高性能なラインは考えにくいので、実際このラインがどのぐらい強いのかは引っ張って切るのも難しい強度なので不明だ。しかし、少なくとも日本製80LB強度表示のラインと同等以上のパワーつまり結束後7割減で56ポンド(約25キロ)があることは間違いなさそうなので、対サメ戦、クリスマス島と実践投入してみた。若干太い影響か飛距離はほんの少し落ちるが、何らかのコーティングがなされているようで適度に腰もあってライントラブルは皆無に等しく扱いやすい。強度的には限界を試されるような場面がなかったのでどうともいえないが今のところ問題はない。何しろ送料入れても300ヤード5千円もしないラインである。150ヤード(約136m、当方70mくらいしか投げないのでこれで足りる、もちろんバッキングには接続している。)ずつ2つのスプールに分けて使うのでコストパフォーマンスは抜群だ。充分使えるラインだと評価している。
スペーサーには昔は太い20号のPEライン、商品名でいうとパワーハンターを使っていたが、いまはシーハンター25号をふたヒロ入れている。長さは根ずれしそうな場面ではもっと長くても良いかもしれない。20号を25号に変えたのは単に長尺のシーハンターが手に入りにくく入手できたのが25号だったという理由で特に意味はない。メインラインのPE6号ダブル12号相当とショックリーダー200LB60号相当の間を埋める20から30号ぐらいの太さならスペーサーとして問題ないのでは無かろうか。
シーハンターはナイロン系のブレイデットラインだが表面がザラザラしていて、下手をすると結びがすっぽ抜けがちなPEラインとの接続にも、しっかり食いついてくれる感触があり同じ太さのPEラインをスペーサーとするより安心感がある。スペーサーに単繊維(モノフィラメント)のナイロンを使うと腰がありすぎて飛距離が出にくいと感じているので、シーハンターが編み糸系で腰がない点も気に入っている。
ちなみにスペーサー無しで200LB直結というのは、とても細いにもかかわらずのびが無く強力なPEラインが、柔らかいナイロン製200LBショックリーダーを「絞め殺す」イメージがあり切れそうで不安がある。結び目も太さが極端に異なるため大きな段差となってしまうのでその選択はしない。
ショックリーダーは200LBのナイロンのものを使用。ひとヒロとっている。いまスプールに組んであるシステムではダイリキの緑色っぽい透明のを使っていた。ちょうど無くなったので、新たにバリバスのピンクっぽい透明のを準備したところである。有名メーカーの製品ならとくに問題はないと思っている。特段のこだわりはなく釣具店で手に入る物を買っている。
今のところこのラインシステムでスクリューに巻いた等「スレ」以外でのラインブレイクや結束部の抜けはなく、キャストにおいてもライントラブル無く快適に釣りができている。問題が生じるか、新たな画期的な方法が紹介されないかぎりこのラインシステムを基本にしていくつもりである。
(2011.10)
<摩擦系ノットについての考察>
PEラインは結束による強度低下が大きいというのが、大きな欠点の一つであり、リーダーへの接続方法については、いろいろな方法が考え出されている。
古くてオーソドックスな方法は、当方も使っている、メインラインをビミニツイストでダブルラインにしてリーダーに接続するという方法である。
ダブルラインにしているので、リーダーとの結束部で結ぶ前のメインラインは2本で元のメインラインの200%の強度になっており、通常の結束で約50%に強度低下するといわれているPEラインも、結んだ後にもともとの1本の状態と比較して100%程度の強度が期待できる。このシステムで一番弱くなっているのは、PEラインでは70〜80%に強度低下するという実験結果のあるビミニツイストの部分であり、リーダーがメインラインより強度があるとすると、システム全体でメインラインの70〜80%の強度が確保できることになる。
しかし、最近は結ぶのではなく、リーダーにメインラインのPEラインを編みつけて接続するという摩擦系と呼ばれるノットが主流になりつつある。いろいろなものがあるようだが、代表的なモノとしてFGノットというノットがあり、上手く組まれたこのノットはPEラインのメインラインの強度を失わない100%ノットであるという説が巷間に流布している。
(FGノット)←クリックするとクレハの解説ページに飛びます。
であれば、当然、当方も昔からのビミニ作ってフィッシャーマンノットというラインシステムを捨てて、FGノットを採用すべきだと思うのだが、なかなかこれが単純にそういうわけにはいかなかったのである。
まず、FGノットの難点は、やたら締め混みながらリーダーとラインを編み込んでいかなければならないようで、面倒かつ難しくて現場でささっと作るわけにはいかないということである。
場合によっては、当方の場合、替えスプールが安いPENNスピンフィッシャーユーザーであることの利点を生かして、家でFGノットでラインシステムを組んだ替えスプールを用意して対応するという解決策もあるにはあるのだが、もう一つの欠点があることもあり、魅力は感じながらも採用をあきらめていた。
そのもう一つの欠点とは、失敗すると「抜ける」ノットである。ということである。結び目を作る普通のノットと違って、リーダーにメインラインを巻き付けて、1箇所に力がかからず分散させた摩擦力でリーダーに絡みついている状態なので、締め込みが甘かったりして、巻き付けたメインラインの摩擦力が不足すると、リーダーがすっぽ抜けるらしい。
FGノットが出始めた頃に、国内のGT狙いの遊漁船の船長さんにFGノットについて聞いたところ、「だめだ、大丈夫なときもあるけど、手で引っ張って抜けないぐらいで大丈夫だと思って使っていると、GTが突っ込んで止めようとドラグ締めたりしたときにすっぽ抜けることがある。信用できないから、結局みんな昔のままのビミニ作ってスペーサー入れてという方法に戻った。」とのことだった。
現時点でFGノットについて調べようとネットで検索しても、抜けて困るとか、抜けないようにするにはどうすればよいかといったネタがごまんと転がっていて、このノットが「抜け」という問題を抱えていることは容易に見て取れる。
ビミニ作って結束するかぎり、ほとんど「抜け」ということは気にしなくて良い。強度はメインラインの70%程度であるとのことだが、当方にとっては既に手になじんだノットでミスをほとんど無しで作れる。たぶん100回作って100回70%程度の期待した強度のノットを作れるだろう。1000回作れば2,3回はミスするかもしれない。それでもミスした場合でもラインシステム全体がメインラインの50%を下回ることはないのではないかと思う。何しろダブルラインにしてリーダーかスペーサーにしっかり抜けない形で結びつけているので、強度低下はビミニ部分が緩くて滑るか、摩擦熱で強度低下するか、いずれにせよダブルラインを作らずに1本のまま結んだ時の強度低下である50%程度以上は確保できるはずだと思っている。
これを実際のGT用のラインで考えると、80LB(36.3キロ)ラインを使ったとして、ビミニが上手くいって70%強度を確保していると、56LB(25.4キロ)、よしんば失敗して半分の強度になっていても40LB(18.1キロ)は確保できるのである。18キロの強度があれば、ドラグ6キロ前後でファイトしていれば何の問題もないし、スプールを手で押さえて魚を止めに入っても、ドラグ18キロというのはキャスティングタックルではなかなかあり得ない数値なので、切れる恐れはかなり少ないと考えられる。18キロ以上のラインテンションをかけるには、竿を魚に向けてスプール鷲づかみでの綱引きファイトぐらいしか方法はないだろう。今までそのようなファイトを行ったことはないが、今後そういう機会が来たときに、たまたまその時にビミニが上手くいってなかったらほんとにアンラッキーだ、あきらめるしかないだろう。
しかし、失敗したFGノットはGTとのファイト時、ドラグを締めた程度で抜けるということは、おそらく10キロ前後の強度しか確保できていないことになる。GT狙いで一般的な80LB(36.3キロ)ラインを想定すると約28%程度しか強度が得られていない。
つまり、FGノットは失敗するとラインシステムに実用上致命的な強度低下をもたらすのである。
上手くいけば100%?の強度が得られるというのは大きな魅力だが、失敗したときに致命的な結果を招くとなるとなかなか採用に踏み切れなかったというのが正直なところだ。
しかしながら、最近では多くのエキスパートが、FGノットを勧めており、抜けないコツを解説して、「実釣で抜けはなく現在考えられるPEとリーダーの最高の接続方法だ」と力説している。ノット作成時の補助道具や潤滑剤なども売られている。
こういう状況になってくると、当方もそろそろFGノット採用に向けて検討を始めざるを得なくなってきた。
問題が生じでもしない限りラインシステムは変えない方針だ、と書いたそばから節操もないが、PEラインのラインシステムについて、ダブルラインってそもそも必要なのか?という根本的な疑問に端を発してあれこれ調べていたら、新しいラインシステムをそろそろ考えても良いような気にさせられる情報を得ることができたのである。
さて、FGノットを採用するとして、習熟していけば失敗ノットは減っていくとはいえ、習熟するまで実釣で「リーダー抜け」で魚を逃していては話にならない。
そうなるとどうすれば実釣での「抜け」を防ぐことができるかということを考えねばならない。
まず1つ考えられるのは、ラインシステムを作った後にメインラインの強度の80%ぐらいの負荷をかけて抜けないかチェックし、チェック済みのスプールのみを使うというのは現実的な手の一つだろうと思う。
たとえばシーバス用の30LBのファイヤーラインでシステムを組んだら、24LBまで耐えられるか、30LBボガでリーダーの先のスナップでも引っかけてリールから直引きして調べてみれば良いのではないだろうか。この段階で練習時には結構抜けるだろう。その課程で、どういうノットが良いノットで、失敗はどういうときにおこるか確かめることができるはずだ。
GT用の80LBとかは80%の負荷をかけるのはきついモノがあるが、ダンベル20キロをつるして大丈夫ならまあOKということにしたら、なんとか実行可能なのではないだろうか。
あるいは、実際にタックルセットして駐輪場の柱に結びつけ、竿先を魚に向けての綱引きファイトを想定して、スプール押さえ込んで思い切り綱引きしてみるという手もある。その時にリールが壊れそうになってこれ以上引っ張れないというところまで引っ張ってもラインシステムが破綻しなければ、そのスプールは合格ということだろう。実際の釣り場でもそれ以上の負荷をかけることはないはずだ。
もう一つ考えられるのは、抜けないようにリーダーの最後を電車結びしてしまうという方法である。
このくらいのことは誰でも考えつくだろうと思って、ネットでその結び方の評価がないか探したのだが、意外に情報が少ない。
もし、最後リーダーを結ぶことによって強度低下が起こるのなら問題だし、その時の強度低下の程度をみて、損得考えて、最後結ぶかどうかを決めることにしようと思ったのだが、見つけられたのは、東北でデカイシーバスを狙っている方の「80↑PARADISE」というサイトぐらいだった。
FGノットについては何か宗教のような雰囲気があり、「抜け防止にリーダーを結ぶ必要は全くない、きちんと作られたFGノットは抜けない。」一点張りの盲信ぶりだったり、「結び目がないことが利点の一つであり、結び目を作って飛距離を落とすことはもったいない。」、「最後結ぶのならSFノットだ。」等々、どうも結び目を作らないことに何らかの美学を感じているようにすら感じる主張が多く見られる。
飛距離が落ちても、「抜け」が防止できるのなら、損得考えて全く「得」だと当方のような飛距離を重視しない釣り人は思う。
また、SFノットも摩擦系ノットではメジャーなノットだが、いわゆる100%ノットではないようだ。100%ノットと考えられているFGノットの後ろに結び目を作ったモノとはあきらかに別の接続方法である。
(SFノット)←モーリスのサイトの解説
ネット上の情報を見ていると、盲信、勘違い、根拠のない主張が多く、まったくネット情報とは当てにならないものだと苦笑したくなるが、先ほど紹介したサイトはデータを基に一つ一つ理論を構築しておられ実に素晴らしい。
管理人である「監督さん」自ら、各種ノットを作って、バケツをつるして実際にノットが破断する重さを測定しており、当方の知りたかったようなデータがとても沢山公表されている。感服するとしか言いようがない。釣り人たるモノ見習うべきであろう。
「監督さん」はファイヤーラインの1号、1.2号をメインに使っているようだ。ファイヤーラインをリーダー25LBナイロンにFGノットで接続して測定すると、なんとメーカー公表のライン強度以上の強度が出てしまい、見かけ上100%オーバーノットとなるのである。確かにすごい強度だ。この方、メーカー公表のライン強度ではないファイヤーラインの実測値も計測しており、それと比較してFGノットが約85〜90%の強度を保っていることをデータとして示してくれている。
同じようにして計測した、SFノット、ビミニを使ったシステムは、実測ライン強度の75%程度であり、PEラインはビミニで70〜80%の強度になるという従来のデータとも一致している。
しかしショックなのは、ダブルライン作らずリーダーにグルグルメインラインを巻き付けてリーダーを電車結びしただけにみえるSFノットが、ビミニを使用したシステムと同等以上の強度をたたき出していることである。
最近のノットの主流が摩擦系に移っているのもむべなるかなと納得せざるをえない実験データだ。
しかも、この方のFGノットとSFノットの強度差の考察が実に鋭い。唸らされる。
SFノットでは引っ張ると、メインラインのPEラインがリーダーの電車結びの結び目に入り込み、曲がってしまうことにより部分的に負荷がかかってしまうのが強度低下の原因だ、と破断時の観察から考察されており、FGノットではPEのメインライン本線がリーダーに沿って真っ直ぐになっているので強度が保てる、との考察である。
であれば、FGノットの滑り止めにリーダーの最後を電車結びする場合にも、PEライン本線が曲がらず真っ直ぐということを確保すれば良さそうである。
そもそもPEラインが結束に弱い理由は当方は、以下のように考えている。
PEラインは非常にのびが少ない。そして、PEラインは細い繊維を何本も束ねて編んだモノである。
これを普通に結ぶと、どうしても結び目でラインが曲がった部分ができる。
それぞれの繊維が伸びないと考えて、極端に考えると、曲がった部分の外側の繊維は引っ張られることになるが、内側の繊維には負荷がかからない状態になり、全体の強度の半分の負荷で外側の繊維が切れる。外側が切れると、内側の残り半分の繊維に負荷がかかりこれも半分の負荷で切れてしまう。結果として結束部分が直線で引っ張った場合の強度の半分程度になる。というようなイメージではないだろうか。
逆にナイロンラインはある程度伸びるので、結び目の外側が伸びて内側にも負荷がかかりラインの外側内側全体で力を受け止めるというイメージか。
このイメージが正しいかどうかは別にして、とにかくPEラインの結束では「曲がる」部分が少なく、曲がりの程度が小さいほど強度が出るはずである。
そう考えれば、FGノットを組んだ上で、メインのPEラインの「真っ直ぐ」を確保したまま、リーダーの最後を電車結びにすればよいのではないかと普通考えるだろう。「誰だってそうする。オレもそうする。」。
もちろん「監督さん」もそう考えて、「新・組み合わせノット」という、メインのPEラインの最初の編み込みをFGノット同様にして最後はハーフヒッチ。リーダーを電車結びして、PE編み込みとリーダー電車結びを締め混んだ後、編み込んだ端のPEを本線にハーフヒッチで処理するというノットを考案し紹介されている。
強度のデータはないが、理屈から言ってFGノット並の強度が得られるはずである。データは自分でとって確かめてみるつもりだが、当方が新たに取り組むべきノットの原型はこの「監督さん式・新・組み合わせノット」で迷いはなくなった。
「抜け」のリスクが回避できるなら、今までのビミニを使ったラインシステムよりひとクラス上の強度が期待できるノットは非常に魅力的である。
後は、自分のシステムに適応させた場合に必要な細かなアレンジと、実際どのくらいの強度が得られるかの測定、ゆるくてズレるようなノットになったときの強度低下の具合の把握、実釣による検証等を重ねていきたいと思う。
実際には当方は、シーバス狙いなどではPEラインをメインラインとするときには、十分すぎるほどの余裕を持った太さのラインを使用しているので今のビミニを使ったラインシステムでも必要な強度は確保できている。
新しいラインシステムで予期せぬ不具合が生じることを考えると今のシステムのままという選択肢もあるのだが、GTを綱引きファイトで止めたい。PE10号(100ポンド)600m巻いたレバードラグリールを使った来るべき巨大なサメとのファイトで可能な限りの高ドラグ値で勝負をかけたい。というようなときにラインの強度をギリギリまで引き出せるラインシステムは得ておいて損はない武器になると思う。
精進してみたいと思う。
(蛇足:書いていて確か誰かがFGノットの最後にリーダーを一回結ぶ変形FGノットを使っていると、ずいぶん前に読んだような記憶が蘇ってきました。探したらありました。2006年に、当方の思いつくようなことは既にやられていたようです。ひでさんさすが。 「BBSanctuary」 )
○参考
丸橋英三「フィッシングノット辞典」地球丸
「80↑PARADISE」 WEBサイト
「KUREHA」WEBサイト
「MORRIS」WEBサイト
「ルアーGarakuta館」WEBサイト
(2011.10)
<摩擦系ノットについての実戦ととまどい>
昨年の秋のシーズン途中から、シーバス狙いでPEラインを使うときには、FGノットのバリエーションである「監督さん式・新・組み合わせノット」(長いので以下「電車FGノット」と呼びたい)を使用してきた。とりあえず使用前にボガで8LB(約3.6キロ)ぐらいの負荷をかけて、その程度は問題ない事は確認している。実釣で魚を掛けた際も何ら問題は生じていない。当方がシーバス狙いで使っているPEラインは30ポンドクラスなのでその程度の強度が確保されているのは当たり前で、実釣ではこのノットを使ったラインシステムがビミニツイストを使ったシステムより優れているのか、いまいち計りようがない。
という事で、冷たい雨の降る冬の週末。実験してみる事にした。一番良いのは「監督さん」のようにそれぞれのラインシステムをいくつか作って破断強度を計ってみる事だが、もっと簡単に当方が知りたい内容が分かる方法があるので今回はその方法で試してみた。
ようするに、以前のビミニを使ったシステムと電車FGノットを使ったシステムとどちらが強いか知りたいのだから、引っ張り合いをさせて勝ち負けを見ればいいのである。具体的にはファイヤーライン30LBの片端をビミニ作ってダブルラインにして50lbナイロンリーダーに接続、もう片方は電車FGノットで2本目の50LBナイロンリーダーに接続。それぞれのナイロンリーダーの端をスパイダーヒッチで輪っかにして、ダンベルの心棒に通して片方の棒を両足で踏み、片方を両手で持って背筋力で引きちぎるという単純明快な方法。
電車FGノットは使い始めてみると、結ぶのにはそれほど手間はかからないことが判明した。左手人差し指と小指にメインラインを固定して、リーダーを乗せて左手をひねる、リーダーを交差にくぐらせて左手を戻すという4挙動を4拍子のリズムで繰り返しながらメインラインを10回前後重ねていき、最後メインラインの端を使ってハーフヒッチ後、重ねた部分をペロッと舐めてからちょっと締めて、リーダーを2回回しの電車結び、その後は4方向に徐々に締めて最後メインラインとリーダーをギュッと締めて、残ったリーダーにメインラインの残りをハーフヒッチ上下連続で処理で完成。上手くできるとメインラインを重ねた部分がギュッと締まって半透明な感じに色が変わってきつくしまっているのが見て取れる。
(ちょっとピンぼけ)
実際に、試してみると5回のうち3回電車FGノットが勝利した。長年絶大な信頼を置いて習熟もしていたビミニツイストが、こんな使い始めて半年もたっていない簡単なノットに負けるのは何というかちょっと悔しいモノがあったが、とりあえず現時点での当方の結んだあやしい電車FGノットでも、半分以上の場合ビミニより強度が稼げて、しかも負けたときも、低負荷で切れたり抜けたりではなく、実用充分な強度はありそうだったので、これからも電車FGノットを使い続けて、ビミニに全勝できるぐらい習熟していきたいと思う。
ということで、普段のシーバス狙い等のPEライン使用時には電車FGノットで良さそうだという感触を得たので、次にはGWに遠征を控えている事もあり、GT用のラインシステムへの適用を検討するために、先ほどと同様に従来のビミニを使ったシステムと、電車FGノットを使ったシステムを勝負させてみる事にした。
シーハンター25号をリーダーにスパイダーワイヤーステルス75LB(7号相当)をメインラインとして接続。
シーハンターはザラザラしていて滑りにくいので摩擦系ノットとは相性良いのではないかと思っていたが、逆にスムーズに滑らないので、重ねた部分が上手く固まって締まりにくく、綺麗なノットに整えるのに手間がかかる感じだ。
早速、心棒に両端のスパイダーヒッチの輪っかをかけて、メインラインが75LB(34キロ)だから、結構引きちぎるの大変そうだなと思いながら背筋に力を入れると、意外なほどあっさり切れてしまった。
電車FGノットのノットの一番上のところでスペーサーが切れている。スペーサーのシーハンター25号は引っ張り強度は60キロ以上とかであまり切れることを想定していない代物である。ノットがうまくいってなかったのかと思い、丁寧に電車FGノットを結び再度試すが、2度目も全く同様にFGノットの頭のところでシーハンターが切れている。
滑りにくいシーハンターには電車FGノットは向いていないのかと思い、太いPEであるパワーハンターの20号で同様に試してみたが、結びやすさは格段に上で、ノットも一見綺麗にできているようなのだが、結果は同じでパワーハンターの20号が電車FGノットの先っぽで切れる。パワーハンターの20号が切れるというのはなにげにすごいことである。引っ張り強度80キロのラインが最大でも35キロくらいのメインラインに負けて切れるというのは、電車FGノットではメインラインがリーダーとなる編み糸(ブレイデットライン)を「絞め殺す」なり「食い込む」なりして切断してしまうような力のかかり方をしているとしか思えない。
これまでGT用として当方が使ってきたスペーサーに編み糸を使うラインシステムにおいて、今後摩擦系ノットを取り入れるとしても、メインラインとスペーサーの接続方法だけ、ビミニツイスト・ダブルライン使用から、電車FGノット使用に変更すればいいだろうと安易に考えていたが、それはこれで不可能となってしまった。
ここまで来ると、ひょっとしたら75LBなどという強力なメインラインを使うと、リーダーは単繊維のナイロンでももたないのではないかという疑いも出てきたので、ナイロンリーダー130LBを電車FGノットで接続したものと、ビミニでシーハンター25号リーダーのシステムと1発勝負してみた。正直言ってなかなか切れずにしんどかった。たぶん20キロ以上は力かけていたと思う。最終的にはビミニの方のフィッシャーマンノットの上でシーハンターが切れた。ナイロンリーダーに結ぶ場合は電車FGノットは、今まで使ってきたビミニを使ったシステムより強度が得られるようではある。1回の結果では確信はないが、肩が痛くなってこれ以上は実験できない。繰り返し試しても同じような結果になりそうな感触ではある。
悩ましい結果が出てしまった。スペーサーをナイロン130LBにするか、もしくは130LBもあればそのままスペーサーなしのリーダー直結ということでも問題はないように思うかも知れないが、5mぐらいのナイロンの長いリーダーをとると、キャストが結構やりにくかった記憶がある。そういうことがあって、腰が無くキャスト時スムーズに出て行ってくれる編み糸系をスペーサーに使っているのである。
電車FGノットでナイロンリーダーというシステムは一つの選択枝である。その場合はキャスティングの問題を、練習による習熟かリーダーを短くするなどの変更で解決する必要はある。
もう一つの選択枝は、やはりラインシステムは変えないというものである。今のままでもとりあえずラインシステムが問題で魚が釣れなかったという事態は無かった。ただし今後も無いかというとその限りではない。今までやったことがない、竿をまっすぐ魚に向けて綱引きで止めに入るというファイトをしたときに、今のシステムで強度は足りるのか。
いちど、双方のシステム組んだ上で実際に使うタックルをセットして、駐輪場の柱にでもリーダーを結んで綱引きでどれくらい力を掛けることができるか調べる必要がありそうだ。
もし、今までのビミニ使用のシステムでも、筋力の限界、あるいはリールの強度の限界が先に来てラインシステムが破綻しなければ、今のままでもOKという事だろう。
逆に、今までのビミニ使用のシステムを綱引きで引きちぎることができれば、より強度が稼げる電車FGノットとナイロンリーダーを使用したシステム採用を前向きに検討するべきだろう。
記憶があやふやだが、60LBのメインラインで、岩に根掛かりさせたポッパーを切るのには綱引きしても切れなくて、木の棒にライン巻き付けて船で引っ張って切ったような記憶があるが、はっきり覚えていない。
いずれにせよ、今日は外は雨だし、肩やら腰やらも痛いしで、また暇を見て実験する必要がありそうだ。
(2012.1.22)
ロウニンアジ狙いでのGWのフィジー遠征を前に、いつものビミニでダブルライン使用、スペーサーにシーハンター、ショックリーダー200LBナイロンと新しいシステム、電車FGノット使用でスペーサー130LBナイロン、ショックリーダー200LBナイロンのシステムを比較してみた。
キャスティングのしやすさは、ショックリーダーがナイロンの場合やや投げにくかった記憶があったのだが、今回のは接続が電車FGノットで従来より小さいこともあり、投げにくいというほどではなかった。こっちでもキャスティングはOKっぽい。
次に、立木にハーネスかけて、そこにリーダーの先を接続、新しい予備ロッド、ゼナQの「ルーフ83エクスペディション」の負荷かけたときの曲がりっぷりを試し、その後に竿を右脇に抱え真っ直ぐ魚をむけての綱引きファイトを想定し、スプールを左手で握りこむようにして負荷をかけて、出来ればラインを切って、どこで切れるか見てみたい。
竿は良い塩梅だ、ドラグ6キロくらいでギッチリ曲がってくれる。ちょっとGTロッドとしてはバットが弱いかもと言われていたが、むしろこのくらい曲がってくれないとオッサンには取り扱いがきつい。
さて、綱引きファイトを想定して引っ張ってみた結果だが、どちらのシステムも、かなり力を入れてラインが「ヒュィーン」と糸なりするぐらいまで引っ張ったのだが切れる気配が無く、これ以上の負荷を揺れる船上でかけることはあり得ないだろうという事で、両方合格とした。
直接対決では一応電車FGが勝利しているので、両方実戦投入して、もうちょっとどちらに絞るか悩んでみたい。
電車FG、習熟にもっと時間がかかる難しいノットかと思っていたが、ちょっと練習しただけだけど実用上充分な強度は既に出せているようだ。
(2012.4.15)
○ブレイデッドループの作り方
ブレイデッドループというのは中空のチューブ状の編み糸系のラインを使って、フライラインの接続部を作ったり、ルアーのアシストフックを作ったりするときに作るもので、それらに縁のない釣り人にはナンジャそりゃなしろものですが、一般的ではないが故に、あまり「これが正解」というものが知られていないということが判明したので、ここに「正解」の一つを紹介しておこうと思います。
最近、なぜか当方の心の中にフロッグブームが来ており、上の方で紹介しているように当方の雷魚用フロッグに使うラインシステムにはケブラーのリーダーをかませています。このケブラーの部分はまさにブレイデッドループで作っていて、よつあみ社から出ているケブラーのブレイデッドラインの適当な長さに切ったモノを両端を「ブレイデットループ」にしているものです。
ただ、上の写真のモノはケブラーのチューブの中に先端を突っ込んで瞬間接着剤でちょっと止めただけで、、基本ケブラーが引っ張られてチューブが縮んで中に突っ込んだ部分を締め上げて抜けないようにしている「摩擦系ノット」のような状態です。作ったら全部ダンベル20キロ持ち上げテストを実施しているし、実釣でも抜けたことは無いので、大丈夫だろうとは思っていたのですが、理論的に「抜け」が起こる可能性を孕んだシステムです。低い確率でも「抜ける」というような致命的な不具合が生じるシステムは気に入らないので、なんか良い方法は無いかなと思っていました。
もう5年も昔の話になると思うとビックリだけど、東京湾にシーバスやりに来ていて海況回復待ち中で暇こいてたケン一とOニーサンに聞いたら、「イイのあるデ、一回ひっくり返してる部分があるから、「抜け」は無い構造になってる。しかもデカイコブとかできんし手間もそんなにかからん。」とのこと。それは是非教えてくれとリクエストしたところ「言葉で説明するのはめんどくさいんやわ、後で写真とって送るわ」ということで、いただいたのが下の「俺の釣り 11/Apr/2009」である。その後ブレイデッドループを使うのはエイ釣りのハリスぐらいで、ハリスの場合単純に二重にした部分にハリを刺した上でセキ糸で固定してしまえば「抜け」は無いので、紹介してもらったブレイデットループの作り方は使う機会が無く、今回私的フロッグブームがきて、これは教えてもらったやり方でリーダー作ろう。しかも最近はケブラーより強いザイロンたらいうのも出てきたからその20号で作ろう。と思ったのだが、5年も前のファイルはどっか行ってしまっていて見つからず、ケン一オリジナルとかのやり方ではないようで雑誌でも紹介されていたようなので、とりあえずネットで探してみた。
これが、ヒットしないんでヤンの。別の方法で良い方法があればそれでも良いが、別の方法はイマイチ「わかってない」感じで、結局ケン一に再度送ってもらうことになった。
実際に作ってみると、説明見ている段階ではややこしそうだけど、1回やっちまえば簡単。まさに1カ所裏返して、内側に突っ込むハズの先端部分につながる部分が一回外に出てきているので、緩んで瞬着が剥がれたとしても、抜けるには編まれた繊維がすべてバラバラになりでもしない限り無い。
ちなみに接着剤は、瞬着でもコニシでも良いけど圧着したときに接着する接着剤じゃないとダメ。エポキシでギッチリ固めたら抜けないだろうとやったことあるけどビックリするぐらい抜けまくった。ダンベルテストの前に手で抜ける。
ケン一は「オレのオリジナルやないけど」と言っているが、両端色つけてあったりしてわかりやすいので、ケン一作製の説明図をそのままここに掲載させてもらう。
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俺の釣り 11/Apr/2009
□ ナマジへ
東京湾シーバスのとき話題にでたブレイデッドループの作り方です。
先っぽ2cmぐらいからニードルを挿しこみ、4cmのところ(2cmほどニードルがとおっている)から出す。
こんな感じ。
ニードルを出したところと、赤色先端との真ん中あたりを引っかけ、引っぱりだす。
赤の末端を残しつつ、写真3の下側のループが完全になくなるまで、写真右側のループを引っぱりだす。
写真4で右下方にある青先端を「グジグジッ」としごいていくと、ひっくり返ってこのような状態になる。
青の末端をメインラインに入れるべく、ニードルをギリギリのところで出す。
青の末端をメインの中に引きこみ、余ったヒゲをギリギリでカット、中に隠し入れて適宜瞬間で固定して完成!
フライラインを中に通したあとの処理は、スレッドやセキ糸でグルグル巻くより、2号ぐらいのナイロンかフロロハリスを使い、ネイルノットで2〜3ヶ所固定、極小量の瞬接、コニシSUなどでコート、というのがお勧め。
サメやマグロ等、超大物には20号ぐらいのケブラーで同じものを作り、コートを剥いで芯を出したラインを挿入し、ケブラー&芯ごと途中で固結びしてしまうと、構造上は絶対すっぽ抜けない最強ブレイデッドループの出来上がり。
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という感じです。
ザイロンで作ったのが上で、「うら」と書いてある部分が裏返って表に出てきてる部分で、その右側にその端を突っ込んで瞬着で止めてます。瞬着が剥がれて、なおかつ緩んで先端が抜けてしまっても、その状態で右側のメインライン方向に引っ張られても、左端のループが小さくなって裏返った部分が引っ掛かるので「抜け」ません。言葉では説明しにくいので興味がある方は一度作ってみてください。納得するはずです。
ちなみに下のケブラー50号は「わかってない」事例。突っ込む短い方を、何回か本線に交互に縫い通してなんとなく引っかかりが多くなって抜けなさそうな雰囲気を醸し出していますが、結局緩んだら抜けます。でもちょっと惜しい。この縫い通すのを短い方だけじゃなくて、交互に本線も縫い通しておけば、「抜け」はない構造になります。
でも、ちょっと凸凹ができるので、フライラインのスムーズな接続部の確保やらを考えると、ケン一紹介の「一部裏返し方式」に軍配が上がると思います。
裏返した事による強度低下とか大丈夫かなと一瞬思いましたが、元々ケブラーだザイロンだというのは引っ張って切れるようなしろものではないので問題無いと思います。念のためザイロン30号はダンベル20キロ、テストで持ち上げましたが何の問題もなかったです。
この引っ張って切れるとは思えないケブラーだザイロンだのを、サメだのイソマグロだのは歯で切りやがります。ケブラー50号はイソマグロ5分持ちませんでした。まあ、ザイロンでも当方は料理ばさみで切っているのですが、ハサミで切れる繊維はサメの歯でも切れるということでしょう。でもワイヤーリーダーは食いが悪いというかフッキングが悪いので、上手く口の外側にかかってくれることを祈ってワイヤー無しでいくか、ワイヤー付けるか悩むんです。当方はサメにはワイヤー利用派です。
ケブラーやザイロンは、「サメ、イソマグロ」クラスじゃないけど、ちょっとナイロンだと不安だなというときに気休めに使うのと、自由に動く結び目が小さいアシストフックのためにあるのかなという気がします。
雷魚もアカエイもケブラーまで持ち出さなくても、太めのPEでも大丈夫そうですが、まあ防弾チョッキの素材でできたラインで釣ってるんですっていう気分を楽しむためのモノかなと、ぶっちゃけ思います。
※後日、ケン一紹介の方法の「裏」になる部分を表のままにしておいて長い方を突っ込んだかたちにするという方法も同じく「抜けない」割と簡単な方法だと思いついた。長い方がとても長かったり、両端をループにしたい時は使えないので、汎用性は「裏返し方式」に軍配上がるが、知っていても悪くはないだろう。
(2014.6.15)
○ 遠征前のFG電車ノット再チェック
新しいラインシステムの強度テストと、新しいいくつかのルアーを試し投げ。今回ロッドはGIANT85とイエローテール7fでリールはいつもの7500SSと750SSコンビ。ラインをアヴァニTUNA6号85lbとスパイダーステルス80LB7号をメインラインに、電車FGノットでスペーサーの100lbナイロンに電車FGで接続、100LBふたヒロとって、ショックリーダー200LBに接続。
キャスティングは、電車FGの結び目は固結び1回だけなのでほとんどガイドに干渉せず2ヒロのスペーサーを巻き込んだ状態から投げてもガイドにバチバチ当たったりせずストレスなく投げることができる。
7fの方は150gくらいのわりと重めのルアーを投げるのに楽。8.5の方は120gくらいのロングペン100とかブルポッパーとかが気持ちよく飛んでいく。
ロングペンの高速ポッピングは結構からだが覚えていて案外やれそう。高速ただ巻きも試してみたがさすがにしんどいがたまにはやってみよう。ロングペンでのだらだらとしたおっさんポッピングもボディーでジャバーッと水を切っリながらスライドして悪くない気がする。
縦浮き系ペンシルもいくつか買ってあったが、良いのか悪いのか分からんけど、レッドペッパーみたいな動きしていたので良いんだろう。一応持っていこう。
さてメインの強度テスト。ちょっと毛羽立っている部分もみられるTUNA85LBで「毛羽立ってきたら切れます」というのがホントか試してみた。7キロドラグではなんの問題もなかった。竿たてたままスプールを握り込んでドラグテンションあげる練習や、さおをまっすぐにしてスプール握って「綱引き」ファイトの練習もやってみた。
スプール握り込んで止めるのに、今回はわりと滑らないゴムっぽい素材のグローブで試したのだが、グローブがスプールの回転に巻き込まれてしまいそうで、ちょっと怖い。ある程度滑らないと指折りそう。
最初、ラインは特に問題なかったので、「多少毛羽立ってても大丈夫じゃんよ」と思っていたが、ファイト練習何回かポジションや握るときのスプールへの指の当て方とか試していたら、あるときあっさりと切れた。
フロリダでも破綻しなかったし、シーバス釣りでも問題起こしていないとはいえ、電車FGはまだそれほど信頼するところまでいっていない、おっかなびっくり使っているノットなのでノットが破損したかなと思ったが、きれいにメインラインの毛羽立ってたあたりで切れていた。
毛羽立っているということは、8本ヨリの1本にキズがいっているということで、その時点で7/8の強度になっているはずである。そのまま持つなら85LBの7/8ってたいがいな高強度なので、実質問題ないようにも想うが、今日の切れ方をみると、どうもちょっと毛羽立って繊維が切れ始めると、その弱くなった部分からほかの繊維も切れ初めて、遅かれ早かれ8本切れてしまうようである。すぐには切れないところがいやらしいところで、もうちょっと大丈夫だろうと使っていると、大事なところで切れかねない。
ということで、よく言われているように、毛羽だったらその部分まで切って捨てるか、スプール交換である。
ちなみにFG電車ノットは綱引きでたぶん15〜20キロ前後は付加がかかったと思うけど、全く問題なし。
私が参考にさせてもらった「監督さん」は、編みつける回数は12か13が一番強度がでると書いておられて、まねさせてもらっているのだが、強度テストした後のノットを観察するとなるほど理にかなっているなと感じる状態になっている。
PEラインはギッチリと締まると色が透明っぽく変わるのだが、13回ぐらいだと締まったときにてっぺんまで色が変わって締まっていることが見て取れる。14回以上だと先の方まで締まらないのでノットとして極まらないし、10回以下では絡ませる回数が少なくて強度が下がるということだろうか。
摩擦だけで絡みつけているFGノットと電車FGは実は結構コンセプトが違う。FGノットではメインラインにしっかりと絡みつけることが肝要でその絡みつけで生じる摩擦力だけで抜けないようなノットにしている。だから絡みつける時にギューギュー力を入れるし絡める回数も多い。
1方電車FGノットは摩擦系っぽい要素はあるけど、結局結んでいるのである。そのためある程度絡ませる段階でもそんなにきつく締めずに、最後に電車を作ってからギュウギュウーと締めて、色を変わらせて仕上げるという普通のノットなのである。後から締めて仕上げるし絡める回数も多くないので、現場でもできる。難しいノットでもない。それでいて強いし、結びめは小さくキャストのじゃまにならない。
回数毎に強度計って公表してくれている監督さんのおかげで、新しいノットへの挑戦がとてもはかどっている。
良い具合にノットは詰まってきたように感じる。
ついでに、フィジーでラインローラーのネジが緩んで脱落したというのがあったのだが、ネジ脱落を防ぐ接着剤が各種あるようで、とりあえず外れにくくなるけど再度取り外しは可能なタイプを買って導入した。
(2014.8.03)