メキシコ湾の塩辛さと同湾塩分濃度向上への貢献について

−フロリダ顛末記(2013.6.16〜23)−

ペリカンは飛んでいく  

 釣りの世界で「ソルトウォーター」といえば、ちょっと格好いい語感が漂うが、なんのことはない「塩水」の釣りである。甘かねえんである。

 淡水の「甘い水」の釣りが甘いかっていうと、これまた甘かないので結局どこでも釣り人はショッパイ涙で釣り場の塩分濃度向上に寄与するのが常だが、それにつけても海の水はショッパイと思うのは、遠征で思いっきり坊主を食った直後だからだろうか。

 それでも、釣り人は海の大物にあこがれる。

 淡水で鱗のある魚で100キロを越えるのは、ナイルパーチ、ピラルク、マーレーコッドの3種だけといわれている。鱗のないナマズや陸封のチョウザメを足しても淡水魚100キロ越えは10数種ぐらいだろうか。

 では、海水魚をみてみよう。100キロなんてカジキ・マグロ・サメ・エイだけでもゴロゴロと数十種いるんじゃないの。ハタの仲間も何種も100キロ超えるし、ナポレオン(メガネモチノウオ)やらマンボウやら、ちょっと深いところのアブラボウズやらリュウグウノツカイやらわさわさといる。

 じゃあ大物狙いの釣り人は、そいつらを釣りに海に行けよということになるかというと、単純にそうはならないところが、釣りのめんどくさくも面白いところ。

 デカけりゃいいのならまずホホジロザメだが、いかにホホジロザメが巨大でも、ほとんどの国で保護対象になってしまっていては釣りにならない。ホホジロザメ成魚は海産哺乳類食というややこしい食性をもつサメなので、アシカ類の繁殖地でもないと釣りで狙えるほどは泳いでいない。南アとかだと海水浴場のすぐ外を泳いでいる映像とかをみたことあるが、あれを釣らせてもらえるとは、保護とかの規則云々よりまず先に海水浴場でのマナーという観点からして考えにくい。

 カジキやマグロにしても、常時釣りが成立するほどの魚影の濃い場所はなかなか無い。当方が知るなかではケン一やOニーさんが遠征成功させてるマレーシアのバショウカジキぐらいだろうか。足下みると日本近海は比較的恵まれた漁場で、沖縄方面のパヤオに行けばかなり痺れるサイズが釣られているし、相模湾でもいい年なら30キロを越えるようなキハダが回ってくるが、それでもなかなかに確率は高くないシビアな塩気の強いカラい釣りである。

 まずは海に行ったとしてもそう簡単には大きい魚には出会えない。というのが、「大物釣りたければ海に行け。」というのが成立しない1つめの理由。

 もう一つ、「大物釣りたければ海に行け。」とならない理由の2つめは、「でかけりゃいいってものではない」という、釣り人心理の部分で、この部分は非常に重要で場合によっては1つめの理由なんか別にどうでも良くなる場合がある。確率なんか糞食らえで豪竿担いで出かけざるを得なくなる切羽詰まった精神状態に釣り人は時に追い込まれる。

 単にデカさだけ考えれば良いのなら、普通釣りの対象となる最大種であるホホジロザメを狙えば良いんだし、最近は他魚の産卵時にエッグイーター化しているジンベイザメの口の前にフライを流し込むようにして食わせてはりがかりさせるという釣りもあるように聞いているので、ホホジロに飽き足りないならジンベエでも狙えばいいのである。

 でも、多くの「大物狙い」の釣り人はホホジロザメよりは「オレは角があってヒットしたらジャンプしまくるカジキが釣りたいんじゃ」、「魚類最速といわれるクロマグロこそ大物釣り師の最強の獲物」etc.etc・・・以下書き連ねていると釣り人の数だけ書くことになるので略、と釣りの味わいも含めて「好み」の大物を狙うのが釣り人なのである。断じてデカけりゃ良いわけではないと思う。

 当方もホホジロザメはものすごく釣りたい獲物だが、さらにデカいからといって、プランクトンやら食ってるジンベエザメの口にフライ流し込むのが面白そうにはみえないから、ジンベエザメは特に釣りたいとも思わない。

 釣って面白いかどうかと、釣りの対象になるぐらい泳いでいるかどうか、そのバランスが、釣り人にとってその「大物」に手を出すかどうかの判断材料になるのだと思う。

 

 ひるがえって、今回の遠征のターゲットであったターポン様について考えてみる。

 

 ターポン様はデカイか?答えはイエス。最大で100キロを越えることもあり十分デカイ。話半分以下の100LB46キロでもおしっこチビるのに十分なぐらいにはデカい。

 太平洋のターポンであるイセゴイが10キロなるかならないかなのに、大西洋のターポン様はデカい。

 ターポン様は釣りの対象となるぐらい釣り場に沢山泳いでいるのか?答えはイエス。

 大西洋の暖かい海に分布するターポン様はフロリダの浅い海や河口にいっぱいいる。ダイバー達にあんなにいっぱい泳いでる魚を釣れないなんて、お前らはよっぽどヘタクソなんだなとダメ出しされるぐらいに沢山泳いでいる。今回も魚はいっぱいいた。コスタリカにはもっといるという噂も聞く。

 食べても金属臭がしてクソまずいらしく、漁業の対象にもなっておらず資源は釣りのルールが整備された昨今豊富といって良いと思う。幻の魚でも何でもなく確実に存在する。オレもこの目でみたんだから信じて欲しい。

 そのうえ、100LBが珍しくないような巨大魚が、沿岸や河口、河川内にウロウロしているので、ちょいと小っちゃなボートで狙いに行けるのである。今回もフラットボートでポイントまで数十分という感じだった。

 ターポン様、でっかい体でマングローブ繁る河口域の濁ったエリアなんかにも入ってこられるのは、空気呼吸もできるので酸欠なんかに強いのも要因にあるらしい。100LBオーバーで海と川を行き来できる魚って、ターポン様除くとオオメジロザメ、アカエイ系の大型種、ノコギリエイ、キングサーモン、あとチョウザメ数種ぐらい?アリゲーターガーもいるか?イトウ系、アカメ系も昔は100LBぐらいは余裕で越えてたと思うけど今は越えないだろうから、わりと珍しい方。釣りの対象となるぐらい個体数がいるとなると、ターポン様、キングサーモンぐらいでシロチョウザメとかはちょっと個体数は少ないのかなという印象。デカイ魚が河川がらみの沿岸にやってくるというのはそれだけで面白い状況。

 その辺も、デカいだけじゃない要素の一つだと思うけど、ターポン様の評判が高いのは、実際に挑戦してみてなんとなく分かりかけたような気が、今している。釣ってもない魚を語ることが、盲が巨象のシッポを触って語るような愚挙だとしても、はるばる海原越えて会いに行った努力に免じて許して欲しい。

 ターポン様、銀鱗の巨体の古代魚然とした風格も、ど派手なジャンプや、噂に聞くとおりのなかなか弱らないタフネスぶりも魅力といえば魅力であり、噂どおりなんだけど、他の魚と比較してターポンだけが特別かというと、もっと飛ぶ魚もいれば、もっと走る魚もいる、もっとデカいさかなもいる中で、なぜにターポンが特別視されるかといえば、結局「釣るのが難儀」だというところに帰結するのではないかと感じた。

 この感覚は、それほど的外れではないと思っている。とにかく難しかった。

 魚はけっこうな数いるんである。でも食ってこない。ミスキャストがあればまったく食ってこなくて、上手くキャストできても機嫌の悪い魚には無視されまくる。無視されまくってチャンスが少なくなればなるほど、ルアーの選択はガイドの奨める小さなモノになり、キャストは難しくなり小さなルアーの華奢なフックはかけてからのファイトの難易度も上げる。

 サイトで狙い撃ちにするフロリダとブラインドで濁った河口でルアーを流しておくコスタリカの釣り場では、使えるルアーサイズが変わるし状況は後者の方がマシになると思うが、それでも「マシ」程度で、かかった後の激しいジャンプでばれまくるし、そもそも堅い口のマシな場所にフッキングすることも、ある程度ラッキーと経験と技術が必要で、食わせてもそうそう簡単に獲れる魚ではないことはよく分かった。今回の遠征でも自分を含め隣のボートやらでも釣り人がターポンをヒットさせるシーンは結構目にしたが、最初のジャンプでばれたりラインブレイクしたりが多く、ファイトに持ち込めるのは3匹に1匹ぐらいの感じだった。しかも、ファイトに入ってからが延々とながい。ターポン様、ライトタックルでかけたコイを彷彿とさせる寄せてきても延々走るタイプの魚であった。しかも100LBからのサイズでその粘りである。フックが曲がる、ハリ穴が広がってフックが外れる、ラインが口で擦れて切れる。あげくのはてに・・・

 (ちなみに、ファイトに関しては浅い海で釣るフロリダは船で追えるのでまだましで、コスタリカでは深みに潜られて延々と粘られるそうである。)

 結果、なかなかあがらない、だからこそ釣れたら嬉しいし自慢できる魚なんだと思う。

 

 今回、残念ながらスカ食らって、来年以降この時期休みがとれる状況には正直無いので、リベンジもままならない悔しい状況だが、当方は、釣った時の景気のいい話だけ切り取って見せびらかす気はサラサラ無い。恥ずかしいミスやら、手痛い敗北にこそ、当方のようなヘタクソがわざわざ書くべきなにかがあるものと信じて書いてみる。

 ご用とお急ぎでない方は気長におつきあいいただけると嬉しいし、この顛末記を他山の石としてターポン様に挑む時の一助としていただければ、書き手冥利に尽きるというモノである。

 まあ、堅いことばっかじゃなくて面白いことも適当に書くので読んであげてね。

 

 ターポン様というと思い出す写真が1枚ある。

 これまで長い間、釣り人として生きてきて、見た瞬間に背中に鳥肌が立つような戦慄に近いような感情を抱いた釣りの写真が2枚ある。

 1枚は、アングリング誌で紹介されていた、南米のどこだかで釣られたデカいニジマスの尾びれを両手のひらに乗せて見せたせている写真。当時、まともなルアーフライの雑誌はアングリング誌ぐらいだったので、皆読んでいて発売日翌日には職場でJOSさんあたりと「あの写真のニジの尾びれすごいですね」と話題にした記憶がある。

 先日、たまたま別の記事を探してアングリングのバックナンバーを読み返していて久しぶりに見たが、「あれっ?そんなにデカくもないな?」と感じた。釣り人の記憶の中で魚はだんだん大きくなっていくのが常のようで、両手の平からはみ出すような巨大な尾びれだったと記憶していたのだが、そこまで巨大ではなかった。釣り人の記憶ほどいい加減なものはない。

 もう一枚がターポン様の写真で、「オーパ、オーパ!!」コスタリカ編の船際に寄せられてきたターポン様が濁ったコスタリカの海から「ユラリ」と全長を横ざまにあらわにした、まさにその瞬間を高橋キャパが切り取ったシーンである。

 釣りをやっていて一番好きな瞬間は、多くの釣り人が同意してくれるものと思っているが「アワセ」が決まった、ガツンと脳天に衝撃が突き抜けるようなその瞬間である。その瞬間だけのために、自分は生きていると言っても言いすぎではないように思っている。

 でも、それ以外にも釣りの場面にはいろいろと痺れる場面がてんこ盛りで、極論すれば準備段階のタックルの選定から、こうやって釣りが終わってから思い出している日常というのも悪くない、というか最高だ。その中でも「アワセ」の次に痺れるのが、魚とのやったりとったりが終盤にさしかかり、「デカいんとちゃうんか?デカいんとちゃうんか?!」と半ばパニック状態にある中で、魚がそろそろ抵抗する力を失い、水面近くに「ユラリ」とその姿を現した瞬間だと思っている。ほぼこの段階まで来ると勝負あったという感じで、実際にはシーバスなどその直後にバレたりしまくるのだが、まあ痺れる瞬間なのは揺るぎない。

 今回のフロリダ遠征は、ケン一からのお誘いをうけての出撃だったのだが、誘いを受けることになった決め手の一つに、オーパ、オーパ!!の写真の刷り込みが合ったのは間違いないと思う。開高先生のようにコスタリカ(最初コスタリカの予定だった)でターポンやっつけようというのは、ルアーマンとしても結構憧れる話だ。

 いま当方の遠征のメインターゲットはロウニンアジで、それを一旦置いても駆けつけるという判断に至ったのは、久しぶりに単独遠征ではなく遠征チームでワイワイやりたかったのと、オーパ、オーパ!!の刷り込みと、単純なデカさではないターポンという魚の魅力があったからだと思っている。

 単にデカイ魚が釣れるというだけでは、あまり食指は動かない。実際にケン一にはマレーシアのバショウカジキにも誘われていたが、「オレが釣るべき魚じゃない」という理由で断っている。

 バショウカジキよりターポンに魅力を感じるというのは、何故かというのはなかなか説明しづらい。バショウカジキが魅力に欠ける魚だというわけでは決してない。あんなでかくて格好いい魚、しかもそれなりに数がいて狙えるというなら十分魅力的に決まっているのだが、それでもターポンの特殊な怪しい妖しい魅力ほどの吸引力は当方に対しては無かった。

 なんというか、あの古代魚チックな風貌からしてちょっと手を出さざるを得なかった魅力を感じたのである。

 ターポンは、「古代魚チック」というイメージどおり古い系統の魚で、「カライワシ上目」というウナギやカライワシことレディーフイッシュ、ソトイワシことボーンフィッシュを含む分類群に分類されている。

 当方の理解では、ちょっとターポンと姿形が似ているニシン、イワシを含む「ニシン上目」の進化上ちょっと手前の魚たちというイメージである。「ニシン上目」自体も割と古い系統なのでターポンあたりは古代魚チックというよりはモロ古代魚なのかもしれないが、ウナギをことさら古代魚とは言わないので、まあ古代魚チックぐらいの気がしている。

 ニシンとターポンよりもウナギとターポンが分類的には近いと聞くと以外かもしれないが、「カライワシ上目」の変態のことを知っていると腑に落ちる。

 変態といっても性癖のことではもちろん無く、さなぎが蝶にというあれである。ニシン上目のイワシの仲間なんかも「シラス」時代からサイズが縮んで透明から銀色の鱗をまとうようになるという劇的といってよい変態を経て成長するのだが、「カライワシ上目」の変態はもっとすごい。もう、すっごい変態。ウナギで有名なレプトケファルス幼生時代を経て成長するのだが、ご存じのようにレプトケファルス幼生は柳の葉のようなと形容される平べったく透明な魚体で、とても親魚のウナギやターポンやボーンフィッシュになるとは思えない。実際に最初にヨーロッパウナギのレプトケファルス幼生が見つかった時には、まったくウナギとは関係無い魚として新種の魚(たしかその時の学名がレプトケファルスだったかで幼生の名前に名残を残しているはず)として報告されていたぐらいで、むしろその後、DNA鑑定の技術を待たずして、大量のレプトケファルス幼生とシラスウナギへ変態途中の標本の比較から、魚類学者がレプトケファルス幼生がウナギの幼生だという正解を導き出した慧眼におそれいるところである。

 親魚を比較すると全く似てもにつかないウナギ、ターポン、ボーンフィッシュもレプトケファルス幼生の形はよく似ていて、たぶん幅広で流れに乗って分散されやすく、プランクトンのように流れに漂うためには捕食者に見つかりにくい透明ボディーが適しているのだろうと思わされる。深海魚のソコギスという仲間も「カライワシ上目」の魚でこいつらのレプトケファルス幼生は1mを越える巨大なものがいる。ウナギのレプトセファルスが先に知られていたので、その巨大な幼生が成長すると超巨大ウナギになって「シーサーペント」の正体なのではないかと言われたりしていたそうである。30センチぐらいの大型のレプトケファルス幼生が海中を泳いでいるのをダイバーが撮った映像がYOUTUBEにUPされているのを見たことがあるが、その幼生はボーンの幼生じゃないかと解説されていた。

 だいぶ脱線したけど、そういう生物としても「面白い」魅力にあふれる魚がターポン様なのである。

 

 でもって、実は2年くらい前から、ケン一とOニーサンのフライマンコンビがセイルをやっつけた後のターゲットとして、「いよいよターポン様をやるぜ」という話になってきて、最初はコスタリカのたぶんリオグランデ河口の濁った水でやろうということだった。海のフライマンにとってターポン様が「様」を付けて呼ぶ特別な魚だということは、まあめんどくせえので詳しい説明は省くけどそうなんである。

 昨年実行の予定が流れて、その後「やっぱりフライマンだもんサイトフィッシングでソルトウォーターフライの本場フロリダでやりたい」という話が出てきて、正直、難易度が上がるのは必至なのでルアーマン的には「やめてくれ」と思った。開高先生ゆかりの地でもあるコスタリカというのにこだわりもあった。

 でも、フライマン的にはゆずれない部分もあるようだし、釣り旅行会社トラウトアンドキング(クリスマス島ほかでお世話になってます)のエビさん添乗のツアーで良い時期の良い宿をおさえてあり、チャンスは結構あると考えてもらって良い、「魚がスプーキー(フライやルアーを避ける)で食わなくて、めちゃくちゃシビアなハイレベルのベテラン向き」というイメージほど厳しくはない。といううまい話は話半分と理解しつつも、フライマンコンビがメインの遠征にくっついていくかたちなので、フライマンの希望にあわせて「来た球打つぜ」と覚悟を決めた。

 結果的には、まあ想定の範囲内でかなりシビアだったのは事実だったけど、チャンスがちゃんとあったというのも事実で、ツアー参加添乗2名のぞいて8人中4名がゲット(後で説明するリーダーキャッチ含む)と、「フロリダのターポン」というクソ難しいイメージのある釣りの割には遠征参加者全体では良い成績だったのではないかと思っている。

 なにより、ルアーでターポンというとコスタリカぐらいしか情報がない中で、手探りであれこれ迷いながら挑戦した釣りは面白かったし、そういう未知の釣り自体の魅力にあふれていて、スカ食ったという結果には当然満足せず悔しく思っているが、情報不足、準備不足もありながらも、そのあたりを目一杯楽しめたことには満足している。

 

 というような、紆余曲折ありつつも、冬頃には宿も手配して準備に取りかかるのだが、なにせ情報が少なく苦戦した。

 最初のルアータックルに関する基本情報がこんな感じであった。ケン一からのメールを抜粋すると、

 「気になるターポンのサイズは、昨年同時期のエビちゃんツアーでは取れる取れないは別として、50〜200lb!エビちゃんは180lbクラスを掛けて、600m巻いたバッキングを500m近く出された後なんとか近くまで寄せたものの最後は20lbティペットが切れたとか。180lbやで!

 少なくともバッキングは300mは必要とのこと。まぁ使っているTIBORとかビリーペイトはPE5号なら500mぐらいはなんとか入るのでOKだがの。PENNのキャパって詳しく知らんが、まぁ余裕見て400mぐらいは欲しいな。」

 お気楽に言ってくれるモノである。

 タックルについては悩みまくった。

 情報どおり、スピニングリールに5号500m以上も巻こうと思ったら、ペンなら9500ssが必要になる。

 2年ほど前からタックルは準備していたのだが、釣り場が、コスタリカからフロリダに変更になったことで、準備していた道具は一旦白紙にもどし、再度検討する必要があった。

 我が家には、タナゴからサメまで釣る道具がそろっているので、フロリダ用のタックルもベストチョイスが転がっているはずなのだが、それがどれなのか絞りきれず迷った。

 開高先生もラパラマグナムでガツンといわしてたコスタリカなら特に悩まなくても良かった、釣り方は濁った河口でアンカー打ったボートからダラダラとバイブレーションやらカウントダウンのミノーやらを引いておけば事足りるらしかった。2,3ozのフェーザージグなんてのもアピール力あって効くというので買っていた。ともかくルアーは重いのを使えるので、100LBを越えるというターポン様のサイズに合わせて、ちょっと弱めのGTタックルぐらいを持ち込めば、まず問題無く対応できるし、とにかく数はいるそうなのでもっとライトなタックルも余裕こいて試すことも可能だと思っていた。

 でもって、フロリダであるが、ほぼサイトフィッシングで魚を見つけての釣りで、ルアーもフライも餌の小魚にマッチさせて10センチ程度、お勧めルアーはスイムベイトとのこと、出発までに大量にバスプロショップスに発注かけて入手したが、とりあえず釣具屋で5インチ(12.5cm)のを買ってきて試しに投げたりした。

 投げてみて思ったのだが、小さい、あまりにも小さい、100LBで約46キロだか、200LB近いと80キロ以上とかの巨魚を釣るのに、このルアーから、フックを想定しリーダーを想定しラインを想定し、ロッドとリールを決めるとバスタックルにしかならなかった。5インチのスイムベイトってどう見たってバス釣り用のワームでしかないんである。それも当方もバスマンの頃テキサスリグなら男らしく6インチ使っていたぐらいで、短めのワームである。

(実際、「スポーツフィッシング日本語版」のフロリダあたりのターポン釣りの記事なんかでは、ちょっとパワフルなバスタックルぐらいでターポン釣っている。ルアーはミロールアーのバイブレーション。「腕」があればということか。)

 ということで、最初にルアータックル情報として出てきた、ロッドはシイラロッドの中でもヘビーなモノ6フィート前後、リールは5000番(PENNなら7500ssのサイズ)、ラインはナイロン30LBか3号PE、リーダー60〜80LBフロロ、ルアー10cm前後のスイムベイトというタックルは、およそ組み上がった姿が、そのタックルが機能している様が、想像できない全然バランスしていないモノだった。

 10センチのルアーを投げなきゃならんわ、50キロ越える魚とやりとりせなあかんわで、てんやわんやになっている感じである。10センチの餌食ってる巨魚をヘビータックルで狙おうと思ったら、やっぱり正解はフライなんだと思う。フライなら12番タックルで10センチ以下だろうが何だろうが、小さい分には余裕で投げることができる。

 50キロ越えるような巨魚をやっつけるにはルアータックルなら30LBクラスが必要で、それはようするにGTタックルやらジギングタックルなんかのキャスティングでの最強クラスのロッドなんである。

 そのクラスのロッドを使って良いのなら、PE6号をリールに巻いてドラグを5キロ以上に締めて、たぶん100LBのターポン様が10分かそこらであがってくるだろう。

 糸巻き量は200mあれば余裕と見た。

 実際、コスタリカの情報をネットで拾っているとそういう釣りをしている人もいた。

 ただ、コスタリカでもフロリダでもターポンを釣る場所は、珊瑚礁や磯ではなく、障害物のないエリアなのである程度走らせて時間をかけて獲っても良い状況で、かつ、フロリダではベイトが小さく使えるルアーが小さくなってくるので、ラインやロッドはあまりごついのは使えない、そうなってくると、小さめのルアーでデカイ魚を走らせて獲っている釣りの道具をイメージしてやる必要が出てくる。

 自分の経験の中からそういう釣りを探してくると、相模湾の、メジというには大きめの20キロ30キロのマグロを狙う釣りが当てはまる。

 キャスティングなら、ちょっと長めで強めのシイラロッドか、GTロッドの柔らかめぐらいのスピニングで、10〜15センチぐらいのシンキングペンシルやジグミノーを投げる。

 まずは、この方向のタックルを考えると、手持ちの竿では、フィジー用に買った8.3のゼナックのルーフ3ピースにリールはペンの7500ssにPE4号300m。これならドラグは5キロはかけられるので、たぶん20LBクラスティペットでは最大5LBぐらいしかテンションかけられないフライタックルの倍以上のプレッシャーがかけられるので、ラインの長さは半分で済むと単純に考えるとバッキング600m以上に相当する。ただこれで10センチとかの小さいルアーを投げろといわれると正直しんどい。

 小さいルアーの飛距離を稼ぐためには、もう少しライトなタックルも試すべきかも知れないと考えた。候補はスミスのブローショット90MG、リールは6500SS、ラインはPE4号なら200m、ドラグは3から4キロぐらいが精一杯なので、200だと最低ラインのような気がする。むしろPE3号にして300mの方がキャスティング面でも長さを稼ぐ意味でもマッチするか。

 使うルアーが小さいので、可能なら3号PEを使いたいのだが、そうなるとかけられるドラグ値はフライタックルとそう変わらなくなる、となると糸巻き量は最低300m、可能なら500m以上という世界になってくるのだが、そんなにたらふくのラインキャパのあるスピニングリールはなかなかなくて、デカイスピニングが付くようなごっついロッドは小さいルアーが投げにくい。

 ラインキャパだけ考えると、断然ベイトリールの方が良い。キャストは距離より正確性重視だそうなので、3号たらふく巻けてチョイとキャストもできそうなリールを我が家で探すと、PENNインターナショナル975とABUアンバサダー7000Cが転がっている。それぞれPE3号だと300mと500mぐらい巻ける。7000Cは重くてごついと思っていたが当たり前だった。6号300m近く巻けるってスピニングだとGTに使っている7500ssの1.5倍という大容量で、6000番台までとは一線を画す本気の海用のリールだと理解できた。

 PE3号巻いて、シイラタックルぐらいのパワーのベイトロッドをというと、我が家にはアメナマ用のアグリースティックタイガーがあって、とりあえず候補。もうちょっと堅いのがフッキングとかデカイ魚とのファイトを考えると良いかもしれないのでライギョ用に使っていたマスキーロッドも試してみようと用意した。

 一応、河原で実際に試し振りしてタックルバランスを確認した。どのタックルでもシンキングペンシルが使えるなら余裕だが、ノーシンカーのワームが投げられるのはプローショットとアグリースティックで堅い方2本はちょっと厳しい。

 ちなみにスイムベイト用のフックは「石鯛ばり」を第一選択にした。マグロ狙いの餌釣りの人の定番。イワシに背負わせるのに充分な小さく軽いサイズでも曲がったところを見たことがない。後はフライ用のフックも用意した。ついでにワームを重量アップさせるためのクギも用意した。

 ルアーについては正直、デカい18センチとかのペンシルあたりで勝負が付いてくれれば、タックルもGTタックル使えるのでやりやすいと思ったけど、ターポン様あんまりデカイルアーで釣れるっていう話聞いたことなく、実際ガイドも「もっと小さいルアーを」と言ってくるので、デカイルアーは待機中にちょっと投げる程度しか出番が無く、ラパラマグナムやらミローバイブレーションやらシンキングペンシルやらはほぼ重ーい「お荷物」でしかなかった。

 

 という感じで、準備も悩みまくっていたが、遠征前に仕事が火を噴いてしまい、「忙しいことを理由にし始めると何もできん」と自分を鼓舞しながら日々をしのいだが、正直しんどくて泣きが入っていた。「体だけで行っても釣りぐらい道具借りてでも何とかなる。とにかく行こう」ということで、割と遠征前にはコンディションもキッチリ仕上げていく、「準備好き」な当方としては不本意な感じだったが、遠征先の宿についてOニーサンがバッキングラインをフライリールにクルクル巻き始めるのをみて、みんな同じようなもんなんだなと妙に納得したモノである。

 でもまあ、なんとか日々しのぎきって、いつものリュック背負ってロッドケース片手に成田空港へ。

 成田で添乗のエビさん達と合流して機上の人となり、経由地のアトランタへ。

 今回、成田組は添乗のエビさんといつもスマイリーなTさん、昨年もフロリダ経験でターポンゲット済みのAさん、北海道でイトウ釣ってる時にTさんにフロリダ行きをそそのかされたというMさん、世界記録もいくつか持ってる紅一点のKさん。

 名古屋セントレア組は、ケン一、Oニーサンのフライマンコンビと今回当方の相方となりルアーマンチームを結成するマコちゃん、ファンキーな感じのお兄さんIさん。という感じで、さすがにフロリダまでターポンやりに行こうというメンツはちょっとばかりやりそうな雰囲気が初見から感じられる。

 名古屋組の3人と当方は、IGFAの登録チーム「クールビーンズ」のメンバー(そういえば今年の会費払ってないな)。クールビーンズ関東メンバーたぶん当方だけで、東海地方メインのチームで、ビワコでラインクラス別日本記録のバスをいくつか出していたり、ケン一はニゴイで打倒大森サン(スッゲーマイナーな魚種でいきなりデッカイサイズで日本記録登録してくる強者)なんかも狙ってる。当方はアメナマ日本記録を狙っていたが最近サボり気味。

 名古屋組はデトロイト経由でアトランタ合流だし、機上の人になると成田組とも席が離れているしで、機内食食ったら時差ボケ対策で睡眠導入剤カッ食らって寝るにしても暇である。

 今回、電子書籍キンドルにマンガ、小説ぶち込んで予備バッテリーも確保しているので、移動中の暇つぶし対策も万全である。

 いつも旅にはその旅先にゆかりのあるものや、海の話などをチョイスするが、今回フロリダと言うことで、文豪ヘミングウェイの「日はまた昇る」を読み始めたが、どうも文豪の長編は苦手なのか、「老人と海」やニックアダムスの出てくる短編とかは好きだけど、今一物語の世界に入っていけなかった。ので、「シュタインズゲート」というアニメの劇場版ノベライズを読み始めたら、こっちはのめり込めた。TV版見てたのでその続編なんだけど、ちょうど主人公達がアメリカに行くストーリーでなかなかに良いチョイスだった。世界的文豪の名作より、ジャパニーズサブカルものの方が楽しめる当方であった。主人公がドクターペッパー(作中ドクトルペッパー)を愛飲しているのだが、無性に飲みたくなった。なぜか日本のアニメやマンガの登場人物でドクターペッパー愛飲者は多く、思いつくだけで今作の狂気のマッドサイエンティストのほか、ニート探偵、贈呈品イーターと3人いるが、ググったらもっといるはず。日本のオタクならアメリカ行ったらドクペ飲まなきゃでしょJK。

 予定どおり、機内食後ぐっすりと眠り、太平洋を越えアトランタで名古屋組とも合流。

 だがしかし、「にーもーつーがーでーてこーへんがな」状態で名古屋組2名のロッドケースが待てど暮らせど出てこない。ケン一が空港職員に問い合わせるとなんと積み込めず次の便回しになっているという。

 仕方なく空港のバーカウンターのようなところで夕飯タイム。ビールやら既に飲み始めるメンバーもちらほら。

 アメリカ来たなら、ジャンクフード食わなきゃでしょ!何のためにアメリカまできてんのよ!(釣りのために来ているのだが)ということで当方はフィッシュアンドチップスを頼む。イギリス名物かもしれんがまああ良いだろう。おそらく大量の揚げた芋がついてくるんだろうなという期待以上に大量の芋がついてきて、納得しつつ食った。こんなもん食ってるからアメリカ人は太るんじゃと、従業員一同、注文聞きのオネーちゃんから厨房のオッサンまですべて良い塩梅にLサイズの人々をみて思う。

 空港のあちこちに、ルースターフィッシュやらなにやらの絵が掛けられていて盛り上がる。バーカウンターから見える壁面にはでかでかとオーデュボン財団提供の鳥の絵が掛かっていて、アオサギっぽいのやらペリカンやらワニやらが見て取れる。楽園っぽくなってきた。簡単に自己紹介やらターポンの話題やらも出て、良い感じに盛り上がってきた。

 荷物も無事届いて、デッカイ4WD2台に分乗して一路宿をめざす。2時間半ほどあれこれ釣りの話をしたりしながらの行程。途中、コンビニみたいなドライブインに寄って、飲み物や軽い夜食を仕入れる。ケン一初めドリンカー達はアメリカ国旗ガラのバドワイザーを箱でドカドカ買っていた。元酒飲みとして書かせてもらうと、日本で飲むバドワイザーやらクアーズやらはシャビシャビのうっすい味が何ともいただけないが、アメリカとかで飲むとなぜか旨いんである。ウソやと思う飲み助はアメリカ行って飲んできてもらえばわかると思う。

 宿に着く。バカンスの客が家族で使うようなしゃれたコンドミニアムで、キッチンバストイレ完備。3チームぐらいに分かれて、クールビーンズ組でひとまとまりになって部屋の割り振りを決めて、明日からの準備をして、当方は寝たが、他の3人は結構初日から飲んでた。

準備万端

 

<釣り1日目>

 起きて釣り初日、それぞれむかえに来たガイドの車で途中、ランチなど仕入れつつマリーナに向かう。

お迎え風景

 ガイドの車はみな釣りに使うボートを牽引しており、マリーナのスロープから順次降ろして出撃していく。

出撃 

 ボートはガイド含めて3人乗ればいっぱいのフロリダの釣りのイメージどおりのいわゆるフラットボート。アメリカンなデッカイ船外機が付いていてその上にガイドが乗って魚を探したり、竿で底をついて静かに移動して行く「ポーリング」をするためのお立ち台があって、船首には釣り人用のお立ち台があって、揺れてもこけないように腰ぐらいの高さの手すりで囲まれている。

 今回、日焼け防止に顔を覆うマスクを導入。謎の覆面釣り師状態。ファイト時のぞけば、それほど息苦しくなく、日焼け止め朝塗っただけで塗り直し無しで5日通したけど問題無かった。ガイコツ書いてあるマスク使ってるガイドがいてワロた。

ガイドマスクド釣り師

 ガイドはフライマン達は日替わりでいろんなガイドをローテーションしていくようだが、ルアーの釣りガイドできるのは1人らしく、全日程ニックというガイドが当方とマコちゃんのルアーチームをガイドしてくれた。

 タックルは初日は、持ってきた4本のうちの投げやすい2本、スピニング6500SSにブローショットとベイトはアグリースティックに975をチョイス。とりあえずルアーは5インチのスイムベイトにクギ1本。ルアーはターポンは上を向いている魚なのでノーシンカーで上の方の層を狙うべしという事前情報だった。

タックル

 マコちゃんのタックルは、スピニング2本で2本とも4桁番号の当方も愛用する「第3世代」スピンフィッシャーが付いている。マコちゃん釣りはバス釣りで60UP釣るぐらいのレベルと聞いており、技術的な問題はたぶん当方より上手いはずなので全く心配していなかったけど、海外遠征の釣りは初めてで、タックルとかについては悩んでいるということだったのだが、困ったことに当方のサイトを見てスピンフィッシャーを買ってしまったのである。ケン一もOニーサンも当方も「今時古いスピンフィッシャーはお勧めしない」と常識的なアドバイスをおくっていたのだが、いろいろ調べた結果スピンフィッシャーを選んだそうである。なんちゅうか「スピンフィッシャー使い」冥利に尽きる嬉しいことである。

 スピンフィッシャーに決めた経緯を聞くと、原付にライン結んで走ってもらうというドラグテストで今時の安リール(非国産)は全くドラグが安定しなかったのにスピンフィッシャーは古いのにドラグ安定していたことと、国産の今時リールは部品生産5年でメーカー在庫も7年しかないという「短期間しか使えない」状態なので買う気にならなかったとのこと。非国産の安リール、今時の工作技術で作っているんだからドラグぐらいまともなものがついているもんだと思っていたが、意外に見かけ倒しのようである。部品の供給はメーカーつぶれなければ10年は受けられると思っていたが、さらに短くなってきているようだ。遠征の釣りなんて年に1、2回しか行けないのに、5年のモデルチェンジにつきあってたらリールが手に馴染む暇がない。自分の書いたPENN話が変な先入観を植え付けていたら申し訳ないなと思っていたが、いろいろ自分で調べた上で納得して選んでくれたのなら何の問題もない、ともに国産高級リールユーザーからのいわれなき迫害と偏見の目と戦っていこうではないか。

 マリーナを出てしばらく走ってから、まだやや暗い海をうろうろしているとと、大きな魚の鰭が見える。ターポンが呼吸をするための「もじり」テイリングのようである。早速船をとめてじゃんけんで先攻を取ったマコちゃんが、緑っぽいスタッガーという5インチぐらいのスイムベイトを投げる。

 いきなり後方から、もの凄い勢いでデカイ魚がルアーを追ってきて、2度ほどギラッと食ったような動きが見えたが、残念ながらハリがかりしなかったようでフッキングまで行かなかった。しかし、朝一からコレなら期待ができる。ひょっとしてウハウハ爆釣状態に突入ではないかという思いとは裏腹に、その後は全くバイトがなかった。

 魚が居ないわけではないのである。最初にアンカーを打って粘ったサンドバー(浅くなった砂州)の上にコアマモのような藻が生えているサウスエンドポイントと呼ばれるエリアでも、後半に移動してエレキで流していた外洋に面した藻の生えてないサンドバーのエリアでも魚は次から次にやってきて、3回チャンス交替で5回以上は交替したということは、魚に向かって投げるチャンスが、2人とも15回以上はあったはずで、かつ、2〜5,6匹の群れでまわってくることも多いので、魚はいっぱい見えているのである。しかもデカイ、どれも1m50cmぐらいはあって、単独でやってくるのにはもっとデカイのも見える。サンドバーは砂が白いので、魚は最初遠くでは黒っぽく、近づいてくると個体によっては緑っぽく見える。デカイ魚なので2〜30m先の方からでも確認できる。

 魚が居るエリアは携帯でガイド同士情報交換していることもあって、ボートが集まってくる。魚を掛けているボートも何回か見ているし、ハリがかりしてドパンとジャンプする銀色の巨体も何度か目にすることができた。横でKさんのボートが釣っていて、Kさん小柄な女性なんだけどキャストとかも風もある中上手くてさすがな感じで、キャスト後余ったラインをパッと海に放ってトラブルを避けるやり方なんかを見ても、「手練れやな〜」という感じだったが、目の前で1発かけて魚に引かれるようにしてポイントから離脱していった。結局初日は日本人メンバーでゲットした魚はこの1匹だった。ジャンプする魚体が結構でかかったのでうらやましく見送っていたが、やっぱり良いサイズで100LBでファイトタイム1時間とのこと。

Kさんファイト中

 だが、我々には朝一以外バイトがなかった。ガイドとは英語で意思疎通が上手くいかない部分もあったが、「リール!リール!(巻け巻け)」とか「ウェイト(待て)」とか、「リキャスト(も一回投げろ)」とかは分かるので、言いたい事はだいたい理解した。

 ガイドの身振り手振りを加えた説明ぶりと、何度も投げて魚に無視される、あるいは逃げられるという経験から、どうも、小さくてダークカラーのワームを、魚の進行方向のやや前方に投げて、魚の目の前を魚と同じようなスピードでつかず離れず引いてくるか、魚の目の前をちょうど横切るようにしないといけないようである。ベイトロッドでは小さくて軽いルアーは駄目だ。

 最初、魚が見えているので魚の頭を狙って直撃させたりもしていたが、頭の上にルアーが落ちると着水音殺していても確実にいやがって逃げる、普通、魚食魚一般的に斜め後方から頭上を追い抜いていくルアーには反射的にバイトしてくるケースが多いので、さかなのやや遠くに着水させて後ろからルアーを通すが、コレもいやがって逃げる。まさに「スプーキー」な感じで逃げやがる。そう気付いて魚の前の方に前の方に投げようと心がけても、見えている魚がデカイので焦ってミスキャストが多いのと、魚の移動スピードが意外に速いのでルアーを遠目に着水させると魚の前を通すタイミングに間に合わずに魚のちょうど上やら後ろやらを通ってしまったりして、無視されたり、逃げられたり。とにかく初日はどうすればバイトに持ち込めるのかきっかけがつかめない感じで終わってしまった。ルアーもだんだん小さくして、テールが動くスイムベイトタイプから、動かないスラッゴータイプに変えたりカラーもチェンジしたりしたが駄目だった。

 昼飯が、氷を入れた魚倉の中で水没してしまい、コイの餌のようにふやけたハンバーガーを食うハメになったのも地味にダメージ食らった。

 マコちゃんとも、どうしたらいいのか、明日はとにかく朝一活性高いうちに釣ってしまおうなどなど、ちょっと初日から打ちのめされつつ悩みつつという状況だった。

リストバンドおそろい

 宿に帰って、タックル洗ってシャワー浴びてから、アメリカーンな感じの大型スーパーに買い出しアンド「フィッシュキャンプ」という海辺の海鮮レストランに夕食に出かける。

夕飯レストラン

 スーパーでは、明日からの朝昼食べるサンドイッチ用のハムとパン、マヨネーズ、おやつのリンゴ、それから飲みたかったドクターペッパーが8缶セット売りかどでかいペットしかなかったので8缶のほうをゲット。

 夕飯は、グルーパー(ハタ類)とスキャロップ(ホタテ系)のプレートにマッシュポテト付けてという感じで、他の人のメシもシェアしながら食ったった。グルーパー旨かった。スキャロップがホタテと一般的には訳されるハズだけどもっと小ぶりの、ヒオウギと小柱の中間ぐらいの大きさの貝柱で、いかにも地物という感じの味わいでなかなかに良かった。

 宿に帰って、リーダーをルアーの動きがちょっとでも良くなるように、堅いフロロ60LBからマコちゃんにもらってナイロンの60LBに変更、サンドイッチ作り等々皆それぞれ明日の準備にいそしみつつ、グダグダと釣り話。

 移動中も、メシ中も宿でも、遠征チームでの釣りの間の、釣り話、無駄話の楽しさといったらもう、それだけでも安くはない遠征費用のもとは取れるぐらいで、普段は誰も聞いてくれないような超マニアックな魚の話から、個人の性癖(誰のどういう性癖かは個人の名誉のため書かない)の暴露・糾弾初め下ネタから、とにかく何であんなに楽しいのかっていうぐらいに楽しい。当方はほどほどに切り上げていつも早めに寝るが、酒が入った面々はけっこう遅くまで楽しんでいるようだった。単独行の遠征のヒリヒリした孤独の中で自分を追い詰めていくような感覚も嫌いじゃないけど、旅は楽しい道連れがいればそれはまたいいものである。

 初日の釣り話では、エビさんが普段はフライロッドメインだけどキャスティングタックル使う時は実はスピンフィッシャーユーザーで、かつサメが好きということが判明して「同じ趣味の人に始めて会いました。」とお互い驚いた。

 それから、ガイドの連れて行ってくれるポイントによって魚の多い少ないが結構あるようで、ケン一Oニーサン組は初日、3回ぐらいしか魚にフライを投げるチャンスがなかったとのこと。ニックはアタリのガイドのようである。

 

<釣り2日目>

 2日目、アメリカのスーパーとかでくれる袋は穴が空いていることが判明したので、昼飯用にサンドイッチを日本から持っていった穴の空いてない袋に入れて準備万端2日目をスタート。

 マリーナで、ガイドのニックが別のガイドから「アタリルアー」をゲットしたと我々に渡してくれる。が、3インチぐらいの紫のアサシンというわりとバスマンには懐かしい小さいワームとどう見てもバス用の1/32オンスのちゃっちいジグヘッド。ハリ折れるがなと文句を言ったが、ドラグゆるめなら大丈夫だと断言している。まあ、状況によっては食わせなければ始まらないので使ってみるかもと思いつつワーム袋にしまう。

いざ

 出港して、じゃんけん勝って先攻で、朝一チャンスを期待していたが、今日はテーリング等無く、サウスエンドポイントでアンカーを打つ。

 隣でキャストしているボートが、昨晩のメシ時にも話題になった、オービスのインストラクター達らしくオービス野郎とかオービスブラザーズとか呼んでいたんだけど、一発で「ああこいつらか」と分かるぐらい上手い。とんでもない魔法のようなテクニックがあるとかそういうのではないけど、手慣れてやがる感じで、ユルッとした感じのフォルスキャスト1発の後、ビシーッと腕からフライまで一直線になるようなキャストを決めて、フライラインを片手でチチチチチチチッという感じで引っ張ってフライを動かしていくその手のスピードも速くて、フッキングもビックリアワセせず魚が走ってから腰だめな感じでロッドのバットでグイグイと入れている。ファイトもロッドだけじゃなく体を前後に使ってのポンピングで当地のマニュアルどおりという感じ。ボートが8隻ぐらい集まっている中で魚掛けたら、隣のボートのアンカーとかにラインが絡まないのか心配だったが、かかったターポン様が自分のボートの方に走り始めると他船のガイドは船底をガンガン踏みならしてターポン様の進行方向を変えていた。

 フライという違いはあるものの、一通り教科書的な釣りを観察してなんとなく感じがつかめたのと、ターポン基本的に風下方面からしかやってこないんだけど、そちらの方向にオービスブラザーズがファイト時以外は陣取っていたので、魚がやってくるとオービスブラザーズがキャストし始めるので、魚の来るタイミングがわかりやすい。

 魚は、藻の生えている部分は水深が藻の部分の分も含め浅いので、藻の生えていない砂底の部分を泳いでやってくるとニックは言っていて、その通りアンカーした目の前の藻の島状に生えたエリアの右か左に別れて魚は船の右か左を通っていく。遠目で見えた魚のやや前方に落として魚の進行方向に引いて来てワンチャンス、ルアー回収して船の横通る前に魚の鼻面横切らせて2チャンスという感じで、行き過ぎたヤツは隣のボートに任せるという感じ。

 朝一から、結構魚の目の前を良い感じで通せるようになってきて、でも石鯛ばりにちょん掛けしたスイムベイトやゲーリージャンボグラブ(シッポのピロピロむしって芋グラブにもしてみた)には食ってくれないので、ダメ元で朝もらったジグヘッドに緑の背中の4インチの小さいバークレーパワーシリーズのスイムベイトをセットして、ドラグをニックに見てもらってユルユルにして投げることにした。風が結構あったのだが、たかが1/32オンスのジグヘッドだけど、重心が決まって姿勢が安定するからだろうか格段に投げやすい。

アタリルアー

 何度目の交替だったが忘れたが、遠くから見えている魚3匹ぐらいに、たぶんコレは左だろうという読みで、10m以上手前で投げておいて、しばし待ってニックの「リール」というタイミングでゆっくり泳がせる。1回目は反応無かったが、2キャスト目で鼻先を通した時、それまで無視し続けられたのだが、魚がこちらを向いて向かってきたと思ったら、あっさりとルアーを食った。が、即鬼のようなビックリアワセでフッキングせず。食っても魚が走り出すまではアワセるな、むしろアワセなしで魚の走りで向こうアワセぐらいのつもりで食ってもリール巻き続けろとは、昨晩のメシ時の話でも聞いていたし、ニックにも言われていたのだが、デカイ魚が食うのが見えて、アワセを我慢しろと言うのはちょっと無理っぽい。そんな冷静にやれるわけがない、30年以上ビックリアワセの釣り人人生である。

 でもまあ、「巻きアワセ、巻きアワセ」と心で唱えながら、次のチャンス、今度は右だなとあらかじめだいぶ遠くにいる時から投げておく。たぶん2匹でさっきのより大きい。ニックの「リール」というタイミングでまた巻き始めると、また追った。そしてまたあっさり食った。

 ビックリアワセせずに巻き続けてフッキングさせたつもりだが、正直記憶が飛んでいて憶えておらず、マコちゃんに「思いっ切り、オラオラって感じでアワセ食らわせてたよ」と後で聞いたので、たまたま上手くタイミングがあってフッキングしたようだ。

かかりました

 岸方向向けて走り始めてすぐに1発目のジャンプ、「うわ、結構でかい」という感じ、ドラグは2キロから2.5キロぐらいとユルユルなのでジージーいわせながら走って行く。アンカーその場に捨て置いてボートで追跡開始。ライン100mぐらい出されたけど、船で追い始めてしばらくしてライン回収に入ったあたりで、もう一度ジャンプ。

フロリダの青い空

 気が狂ったように飛びまくるイメージがあったけど、ドラグ緩くてテンションが軽めなので走っているのか、デカめなのであまり飛びまくらないのかよく分からないけど、飛ばないのならバレにくくなるのでありがたい。

 徐々に進行方向が変わって沖に走り出してしばらくして、テンションが無くなりフックアウトかと「青くなる」が、こっちに向かってきていた。緩んだラインを回収してテンションかかると再度沖めざして走り始めるが、一定のスピードでボートで追っていける状態で、ここまでフックアウトせずにきたら後は時間かけてあげるだけだと思い、とれる気がしてきた。たまに頭を振ると振り幅がデカイので華奢なフックが伸びないかとキンタマ縮む感じだが、ドラグ緩いし大丈夫なはずである。

ファイト

 かけてから20分過ぎたアタリで、ヘッドアンドテールで息継ぎした。魚も疲れて息が上がり始めたということか。息継ぎすると力強く潜っていったが、やっぱり結構でかい。面構えも格好いい。150センチは軽く越えていそう。100LBとかそういう良いサイズ臭い。昨日のKさんが100LB1時間と考えると、フライタックルでドラグ最大3キロぐらいだろうと推定、今自分のリールが2キロドラグと想定して、単純計算で1.5倍の時間が掛かるから1時間30分、長くても2時間ぐらいあればあがるだろうと予測。

 とにかく、2キロ以下のテンションで普通に泳がれてしまっていると、いつまでたっても弱ってくれそうにないので、走る時は腕のばして支えつつも、竿立てられる時は常にドラグ出されながらもポンピングして推定2キロ強のドラグをかけ続ける。

いけるぜ余裕

 30分頃、2回目の息継ぎがあって、その後けっこう浮いてきて、まだ元気に頭を向こうに向けながら泳いでいるけど魚体は見えている時間が多くなってきて、背ビレの後端の伸長した部分とか見ながら、これがあと何十分かで自分の目の前に、横になって浮いて、唇ガイドがつかんで、という妄想が現実じみてきた。もっというなら時間の問題だと確信に近く感じていた。

 だがしかし、

 というやつで、なにやら後ろでガイドのニックが叫んでいる「シンキング、シンキング!」と聞こえるのだが、何のことだか訳が分からない。フライラインやルアーのシンキングは関係無いだろうし、なんか底に障害物でも沈んでいるのか?

 「モアードラグ!」と言う声も聞こえ始めたので、ドラグをファイト中にいじるのはろくな結果にならんのよねと思いつつも、緩すぎで魚が弱らないということかとも思ったので、ちょびっと締めた。

 でもニックはますますせっぱ詰まった感じで叫んでいる。「ボート、シンキング!」という言葉を聞いて、後ろを振り返って初めて意味が分かった。沖に出始めてから波が結構あって、お立ち台の上の当方の足にも飛沫がかかっていたのだが、舷側の低いフラットボートの上に波がかぶっている状態で、船の中、風呂桶のように海水がたまっていて、防水バックやらがプカプカ浮いている。当然、排水のポンプは付いているが、入る波が多くて追いついてないようだ。

 「どないせいちゅうねん?」

 と困惑するしかない中、ニックが「ストップ ファイト!スプールロック!」と叫んでる。ここまで来てそれはイヤじゃと「ノーノー!!」と抵抗してみるが、聞いてもらえず、船尾付近から揺れる船上を駆け寄ってきたニックにスプールを握られ、「バン」という感じでフックアウト。

 「エエー!」

 「エエー!」

 こんなことってあるのかよ、と信じられない気持ちだが、ハリの曲がったジグヘッドとちぎれたワームしか残っておらず、魚は手にしていないという事実はいかんとも動かしがたい。

惨状

 船はすぐに静穏な岸側に待避して無事だったが、なんというか、ありきたりな表現だが心が折れた。さすがに立ち直れるか、もう一度気合いを入れ直せるか良くわからん状態。

 ルアーは小さくしろと言うけど、小さいルアーにあわせた華奢なタックル、緩いドラグで時間かけてとれば良いのかと思えば、時間かけたらこの有様で、いったいナニをどうすればいいのかナニをやっても無駄に思えて仕方がなかった。

 その後は、ちょっとマコちゃんが投げたように思うが、あまり憶えてない。風が強くなって割と早めに沖上がりしたのは憶えている。

 さすがにボート降りる頃には、まあ船の上での安全判断は船長の責任で、船長の指示には従うべきだということは腑に落ちたし、何が起こるのか分からないのが釣りというもので、とにかく明日からも3日残っているのだから、なるべくたくさんのチャンスをもらって、なるべく上手く釣りの手順を実行して、釣る確率を発生させつづけるしかないんだろうなと自分に言い聞かせるぐらいには回復した。でもまあ、どう見てもボロボロだった。

 早上がりだったので、マコちゃんが作ってくれたコールスローとか食べながら、部屋でうだうだする。

あーあドクペ飲むよ

 夕食の時間には、この日は風が強く状況悪く誰も釣れてないこともあって、当方の体験は「大受け」だった。みんな気を遣って優しい言葉をかけてくれた。

 「ボクシングで大差で勝ってた試合で、訳の分からんパンチをもらってひっくり返って天井のライトを見上げて8カウントぐらいを聞いているボクサーの気分でした。もう立ち上がらんでもこのまま負けでも良いかなと。でもまだ5ラウンドぐらいの前半だしとりあえず立ち上がってファイティングポーズはとってみようかなと思います。」てなことをエビさんには話した。

 努めて明るく振る舞えたと思う。

 今日の夕飯はステーキ屋で、10オンスのステーキ食ったった。アメリカ牛ステーキは旨い。ステーキ屋に酒がなかったので、のんべの多いクールビーンズチームをエビさんがいかにもアメリカンな感じの飲み屋に連れて行ってくれた。店の前の飾りだと思っていた古いハーレーに今まで飲んでたアメリカンにヨレた感じのオッサンが乗って帰って行ったのにはちょっと痺れた。

 スーパーで「今日のジグヘッドよりだいぶ丈夫そう」な1/16のジグヘッドを見つけて購入。共同購入でデッカいハムの塊も買った。700円ぐらいで人の頭の半分ぐらいの大きさで、さすが肉食の国アメリカと感心する。Oニーサンとか朝からステーキ食ったりして肉食系日本男児ぶりを発揮していたが、アメリカ肉安い、その割に旨い。TPPとかやっぱり農家はそら反対するわけである。

 悔しくてというのもあったのだと思うが、夜はなかなか寝付けず、寝ても眠りが浅く、隣の部屋のケン一が寝言で叫んでいるのを何度も聞いたような気がする。ヤツも釣れていないし、チャンスも少ないようで、お互い苦労しているなと思う。

 

<釣り3日目>

 寝不足気味だが、まだ3日もあるのだからチャンスはまたやってくるだろうと自分に言い聞かせつつ、昨夜スーパーで買った1/16オンスのジグヘッドに4インチのバークレーのスイムベイトをセットして出撃。

1/16

 たぶんいつものサウスエンドポイントだと思う藻の生えたサンドバーにボートが集まってきている。我がニック艇もいつものようにオービスブラザースやKさんTさんチームのボートの付近にアンカーをうつ。

 もろ前線という感じの一直線のモクモクした雲が、頭上接近中。

前線

 ジャンケン負けたので先行のマコちゃんに「前線通過前って活性上がる魚多いからとっとと釣っちゃって」とお願いしてみる。

 が、実際には雲が多くて暗い空の下では、接近してくるターポンが発見しにくく、なかなか投げるチャンスがやってこない。空を眺めて雲の切れ間がいつ来るかとスカイゲイザー(「空を見上げる者」ぐらいの意味だけどそういう英名のコイ科の魚がいたりする)な釣り人達。

 それでも、魚自体は今日もいるようで、だんだん空が晴れてくると投げるチャンスはやってくるようになる。

 マコちゃんは、普段からデカバスルアーとして信頼しているスタッガーを4インチぐらいに成形して、釘を打って重量アップしてカン付きのごついフックをセットして投げている。

 しかしながら、昨日までも、今日も、マコちゃんも当方もだが、魚を目の前にするとキャストが決まらない。自分らで腹が立って仕方ないぐらいにミスキャストを連発し、ショートして魚の頭を叩いてしまったりしている。

 ニックに試しに投げてみろという感じで練習させられると、確実に2人とも「グット!」とお墨付きをもらえるキャストができる。自主的にお立ち台に上がったときや、魚が来なくて間が空いたときにもキャスト練習するが、これも風で多少ふけることはあってもだいたい問題ないキャストができる。

 くちはばったいことを書くようだけど、2人ともスピニングタックルでのキャスティングなんていう基本技術を今さらどうのこうのいわなければならないほどの素人ではない。そこそこ上手いと言っても良いと思っている。

 それが、ここぞというところでデカイ魚を目の前にして、けっこうな確率でミスるのである。2人とも「こんなはずじゃねえ」「なんで上手くできないんだ」と、歯がゆくて口惜しくてフロリダの空の下で悶えていた。

 今思うと、技術的な問題ではなく、スポーツの世界でいうところの「イップス」というやつだったのかもと考える。そう考えるのがしっくりくる。

 「イップス」とは、野球なんかだと、牽制球に失敗したキャッチャーが、「次は失敗しまい」と強くプレッシャーを受けて、堅くなってまた失敗してしまい、いろいろフォームやら何やら悩みまくるうちに、悪循環にはまり、何が正解やら分からなくなってゲシュタルト崩壊のような心理状態になって、牽制が全くできないところまでいってしまう事例なんかをいうのだが、我々も最初、パワフルなタックルにマッチしていない軽過ぎるルアーでミスキャストを繰り返したために、魚を目の前にして過度に緊張して上手く投げようとしてしまうようになってしまい、ある程度ジグヘッドや釘でルアーの投げやすさについては改善されてからも、軽くイップス状態で悪循環にハマってミスを繰り返していたように思う。

 バス釣りだろうが、シーバス釣りだろうが、渓流やらテナガでも、魚がみえている状態で、心臓バクバクでキャストするという機会は、これまでも当然あった。それはマコちゃんも同様だろうと思う。

 しかし、ターポンに口を使わせるためには、これまでに経験したことがないぐらいシビアなキャストと引いてくるコースが求められた。それは、我々2人にとって決して不可能ではなく充分上手くできる程度の技術的な困難さだけど、それでも見えてる魚がデカイのと、上手くキャストとかが決まってもなかなか食ってこず、さらに、食ったとしても上手くフッキングしてジャンプもしのいで、長時間ファイトも耐えて、キャッチに至るのはかなり少ないチャンスだということが身にしみて分かってくるにつれ、どうしても肩に力が入ってしまっていたように思う。

 まあ、でも、ビックリアワセにせよキャストミスにせよ、冷静にあせらず肩の力を抜いてできれば回避できるんだろうけど、冷静でいられなくなるような、あせってしまうような、肩に力がこれでもかというぐらいガチガチに入ってしまうような獲物が泳いでいるからこそ、わざわざ太平洋越えて大西洋はメキシコ湾くんだりまで釣りに行くんである。それを「冷静に」というのはある意味矛盾していると思う。

 ある程度場数踏んで、ある程度「冷静に」できるようになるのが正解なんだろうけど、ガッチガチに力が入りまくった極度の興奮のなかで魚を仕留める別の正解がどこかに落ちていないモノかと探していたりもする。

 

 何回目かの交代でマコちゃんがお立ち台に。

 4、5匹でやってきた群れをミスキャストで頭叩いてしまい魚は逃げていってしまう。うなだれるマコちゃん。ニックが竿を奪って、「こうやって投げるんだよ」と模範キャストを決めると、島状の藻のなかから逃げた群れとは別の黒っぽいデカイのが1匹、もう絶対食うのが明白なやる気満々状態でルアーの後ろを追って来た。ターポンは白い砂地を普通泳いでくるので、藻の中にいたのは予想外な上に藻の黒っぽい背景をバックにするとほとんど見えないのでガイドのニックさえ追ってきて初めて魚に気づいた。

 「ニック、何とかかわせよ!」と心の中で念じるが、こういうときに限ってこれ以上ないというぐらいの勢いでバクッといった。ニックがフッキングも決めてしまう。

 おそらくボート上の3者3様に「どうすんのよコレ?」と戸惑ったと思うが、ニックはマコちゃんにロッドを渡す。

 マコちゃんも「エエ〜ッ!オレかけてないやん」という感じだったが、ここで取れる判断は、スプールフルロックなり、ラインカットなりしてファイトをやめて早く次のチャンスを求める態勢に復帰するか、「コレも経験!」と割り切ってファイトの練習をしてしまうかの2択である。

 とりあえず、デカイ魚とやりとりできる経験は貴重なので後者だろうと思い、「とりあえず練習になるし!あげてみよ!」とか声をかける。

 アンカーロープを外して追撃態勢に入って、エンジンかけてボートの間を抜けていく。

 後で聞いたが、他船では、魚がかかってデカイのがジャンプしているのに、歓喜の雄叫びがあるでなし静かに下っていく我々をみて「大人だな〜!」と思っていたそうだ。実態は割と微妙な空気が流れていたのである。

 さはさりながら、たぶん昨日の100LBクラスを上回るであろうデカブツとのファイトは始まってしまうとなかなか大仕事である。

 マコちゃん、早く勝負つけてしまおうという意識もあったんだと思うが、かなりパワフルにポンピングして寄せてくる。魚が突っ込んで走ってる時に肘を曲げて腕に力を入れていると長時間ファイトでは腕が持たなくなるので、走るのを耐えてるときは「肘延ばして〜」と何度か声をかけたが、その他はとくに問題なく、ロッドのバットまでぎっちり曲げて良い感じにパワーファイトをかましている。

 ドラグテンションも、丈夫なフック使っているのでそれなりにあげていることもあり、魚は当方が前の日にかけたのより大きいと思うのだが、以外に早く寄ってきて、15分かそこらで最初の息継ぎがあった。息継ぎするとそのたびにグングン潜っていくが、2回目の息継ぎまでも間隔が短くファイトは上手くできているように思った。

 が、しばらくして、「ロッドにクラックはいってもた!」という声が。

 見るとセンター2ピースの並継ぎのジョイント部分の上部がクラック(ひび割れ)というより、裂けておりバット側のブランクが覗いている。良くその状態で折れて吹っ飛ばないものだとおもうが、そのままの状態でしばらくファイトできてしまい、かかってから30分過ぎて、息継ぎも6回を数え、魚は明らかに横を向くようになってきた。

 とりあえず「位置からいって折れてもバットガイドが残るからファイトできる。竿短くなるからむしろ楽にファイトできるかも」とアドバイスしていたのだが、そのままキャッチできそうな雰囲気が出てきたあたりで、「バシィッ!」と派手な音を立ててとうとう竿がへし折れた。一瞬ラインテンション緩んだが、急いで巻いたら魚はまだついていてそのままファイト続行。

 しかし、何回かポンピングしたときに「バツッ」という感じの音と共にバットガイドあたりで高切れ。ジ・エンドとなってしまった。

 後でニックと検証したけど、バットガイドが一番上に来たことでガイドの外の枠にラインがすれる角度になってしまい、摩擦熱で切れたのだろうという推定で一致した。

 

 まあ、自分でかけた魚でもないのでマコちゃんもサバサバしたものだったが、「中国製の安いロッドなんて買ったのかダメやったんかな。」とタックルの選択についてはやや落胆しているようだった。

 船の上やらそれ以外でもいろいろ議論したけど、ロッドの選択はすごく難しい。単純に高い竿が良い竿なら、当方もマコちゃんもいくらでも金を出すのだが、そうとも言えないのが最近の道具事情である。

 遠征に持っていくなら、1ピースとかは6fの短い竿でもロッドケースがあちこちぶつける長さになってしまいウザいので、7f以下の長さでグリップジョイント、それ以上の長さならセンター2ピースやそれ以上のマルチピースのロッドが望ましいと思うんだけど、今時そういうロッドは少ないのが現実で選択肢は多くない。シイラロッドクラスの7〜8fのセンター2ピースロッドとか売って無いので当方は自分でブランクス買ってきて組んだくらいである。昔の青白のオフショアスティックはそういう竿なんだけど既に懐かしいクラッシックな道具になっている。

 さらに書くと、ギチギチにドラグを締めてファイトするGTロッドのような特殊例を除くと、最近の高級ロッドの傾向は、軽くて華奢なのである。もう店頭で持った瞬間軽いのでそれだけで買う気が失せる程度に軽い。もちろん新品状態で、適正な角度を保って適正なドラグ値を保って扱えば、折れはしないだけのスペックは備えているのだろう。いるのだろうが、経年劣化で実際に使っているうちには、次の竿を買う前にある程度強度が劣化した状態で使うことや、想定以上のデカイのかかってしまったとか、障害物際でとめなきゃならない状況でかけてしまったとか、単にミスって船上でバランス崩したなんてのまで含めて、メーカーが想定したスペック以上の働きをしてもらわないといけない状況は結構あって、そういう千載一遇のチャンスの時にこそ折れてもらっては困るというのはちょっと考えれば理解できると思うのだが、よっぽど釣り人何も考えてないのだという証明だと思えてならないのだが、スペック上の「軽さ」だの「高感度」だのが宣伝文句に踊るような文字通り「軽薄な」竿しか売っていない。

 今時は中国製とかの安い竿といっても、一部除いて世界中の釣り竿メーカーの生産工場は中国やらインドネシアやらその他諸々人件費の安い国にあるわけで、そういう世界基準の竿の設計をほぼ丸ぱくりしたような、もっといえば外国のブランドから注文受けて作ったブランクスの余りに適当にガイドとグリップつけて売りさばいているのもさえあるはずで、中国製イコール粗悪な性能とは思っていない。また、そういうやり方を「後進国」ということで批判するのはたやすいが、全く同じようなことをその昔日本がやってきた歴史を見てきて、輸出用のスピードスティックのシール貼ってない横流し品というバスロッドを若かりし頃愛用してきた当方としては、褒められたことではないと分かりつつも、どこの国でも通る道だと思うのでそんなことをあげつらって責める気はない。

 要は、中国製の竿が折れるのは安いからではなく、世界的にそういう「軽薄な」竿が市場で求められているという傾向を反映しているわけで、中国やらの生産国を悪者にするのはおかど違いだと思う。

 というような状況なので、当方は何度でもしつこくどこでも誰にでも、「丈夫な竿が欲しい、重くても良い」と主張しているのである。

 今、シイラロッドクラスの遠征用の丈夫な竿を選ぼうと思うと、正直選択肢がない。

 ベイトはまだ、怪魚用のロッドが探せば最近はあるのかもしれないがスピニングが特に無い。

 結局、当方が今回遠征に持っていったのは、中古屋で持った瞬間重くて買うことを即決したブローショットマグナム(昔のブローショット自体なじみの竿で信頼している)と、3ピースのゼナックの遠征用ライトGTロッド、安くて丈夫なアグリースティックを改造した竿、安くて丈夫なバスプロで買ったマスキーロッドというラインナップである。

 昔の竿やら安い竿の方がブランクスの巻きが厚くて、どう見ても今時の薄い竿より丈夫そうに見えるし、実際使ってて折れないのである。

 アグリースティックのボートロッドなんて、NYのブルーフィッシュ釣りのパーティーボート(乗合船)では、アメリカンなパワフルなあんちゃんが5キロはあるようなブルーを思いっきり竿たててごぼう抜きしまくっていたけど、全く折れそうな気配はみじんもなかった。竿をたてる角度がどうのこうのと注釈つけなきゃならんような竿はオレはいらんのである。

 軽い竿があっても良いし、そういうのが好きな釣り人がいても良い。でもそんな竿ばかりじゃなくて重くて丈夫な、田舎くさくて野蛮な感じの竿もメーカーさんには作って欲しいとお願いしておく。

 

 釣り場に戻って、再度釣り始めるが、遠くからどんよりドヨドヨと黒雲が近づいてきて、稲光も見え始め、竿を手放して手すりに乗せてないとちょっと怖い状況。ガイド達もスマホで気象情報見つつ連絡取ったりして、しばらくしてみんなで一時避難となった。

 まっすぐ岸の方に走って上陸、個人所有の海の家みたいな建物の軒を借りる。オービスブラザーズとKさんTさんも来ていて、昼飯食いながら情報交換など。

避難あまやどり

 昨日に引き続き、大ネタを連発しているルアーチームに暖かい言葉などいただく。

 

 しばらくして、降ってくる様子がないので出撃したらちょっと降られた。 

 「われわれルアーチームが単なる面白いネタ要員ではないというところを示したいッス。」

 と意気込んで後半戦に臨んだが、その後パッとせず。

 当方は、それなりにキャストは決まるようになってきて、1日やって2回追わせた。

 1回は食ったような気配があったのでグリグリッと巻きあわせしてみたが、食ってなかったのかかからずルアーが急な動きをしたので逃げられた。

 2回目は、大きめの2匹の前を横切らせたら追ってきて、コレは食うぞと期待したが、なんか2匹の動きが干渉してしまったのか、途中でお互いのシッポを追いあうような形で、ボート横で対極マークのように2匹クルクルと舞ってから行ってしまった。

 

 部屋に戻って、ベランダでうだうだと飯時間まで楽しい雑談。ケン一Oニーさんチームは3日とも違うポイントでかつ魚をあまり見ていないようで、ガイド変えてくれと言っていた。

 ベランダでうだうだするのは、室内禁煙で当方以外ヘビースモーカーなので自然とそうなる。ケン一は高校時代から変わらずラッキーストライク。Oニーさんとマコちゃんは最近仲間内で流行だとかで、自分で紙で巻くタバコをせっせと巻きながら吸っていた。

 

 スーパーで買い物して飯食ってといつものパターンの後、やや疲れが出始めていたので早めに寝た。部屋には共同スペースにキッチンがあり、翌日のサンドイッチなど夜作る、洗濯機もあるので釣り場から帰ってくるとシャワー浴びながら回す。

男所帯

 その日あったことをメモできる日程表と一体になった小冊子をもらっているのだが、そこに、昼に体調悪くて風邪薬が欲しいと言っていたKさんに当方が持っていた葛根湯を渡してあげたときのケン一の「善行は釣りの神様見てくれてるデ」という一言、飯時にうまくいっていない愚痴を笑顔で優しく聞いてくれたTさんの、だんだん近づいているから「明日は釣れるね」という一言をメモしておいた。

 言霊となって力をもらえることを祈りつつ眠る。 

 

<4日目>

 昨夜は早めに寝たが、この日が疲れのピークだったのか、朝から体調が悪い。テンションも上がらないので、こういう時は声出してアドレナリン強制放出しかあるまいと、むかえに来たガイドの船のあたりで、大声出して吠えまくった。

 内容忘れたが、ナマジもいよいよ壊れてきたかと生暖かく見守られる。ヨレてきた。

 今日はマリーナまではタッカーの車で移動。今日は当方もベイトタックルをしまってスピニング2本にしており、2名分でスピンフィッシャー4台は壮観である。

スピンフィッシャー軍団

 出港して、風がいつもと逆向きなのに気付く。やや手前の岸側になるのだと思うが、ターキーショールと呼ばれるポイントに到着。

 サンドバーのやや深くなったチャンネルのような場所でエレキとポールで位置確保しながらターポンを待つ。岸側にはケン一Oニーサン組も登場。

 風吹いたらターポンどちらから来るのか、来る方向はいつもと同じなら風に向かって投げるはめになり難儀やなと思っていたが、魚は風下方向からやってきた。

 しかし、チャンスは少なめで、昼飯時までに1交替3チャンスずつしかなかった。

 そのうち風向き変わって、若干移動して藻場のエリアのオービスブラザー横にアンカーうって陣取る。ケン一Oニーサン組もその向こうにいて、ケン一が1発バラしたような動きが見えた(ラインブレイクだった模様)。ケン一もOニーサンも結構キャストとかしっかりできてて上手い。オービスブラザーズほどではないにしても結構いけてる感じだ。

 ちなみにこの日もオービスブラザーズは何発かファイトしていた。ガイドが船から下りてランディングしているシーンも目撃。

ランディングシーン

 

 マコちゃん、少ないチャンスでスタッガー4インチ調整版を食わせて、巻きあわせでかけてファイトに突入。隣のオービスブラザーズのガイドもなんか祝福の声援をくれたので、当方が思いっ切り雄たけびあげて追跡に入っていく。ジャンプしたサイズを見ると、昨日のような嫌なぐらいのデカさではなく普通サイズ。それでも150くらいあるんだろうけど。

 タックルは7フィートかそれぐらいの短めのジギングロッドで、リールが4号巻いた7500ss、フックもごつめのものなので、ニックもドラグ締めてけと言っていることもあり、ボートで追い始めてラインを回収したアタリから力一杯のポンピングで寄せてくる。「もうちょっとゆっくりあげろ」的なアドバイスがニックから飛んでいた。あまり早くポンピングしてもドラグが滑るだけのようでジワーッという感じで寄せるのが良いようだ。

マコちゃんファイト

 パワーファイトのおかげで、20分過ぎたあたりで、ボート近くに寄ってきて明らかに弱って横になり始め、ニックも手袋はめてランディング体制。マコちゃんもランディングに備えてお立ち台からおりる。

ターポン背ビレ

 今度こそさすがにもらっただろうと思ったら、これがまた、なんと何故かフックアウト。さすがに2人ともガックリである。特にミスらしいミスがあったわけではないと思うが、かかりどころが悪かったのか、ハリ穴が開いてしまったのか、理由はわからないが、何でこんなに上がらないのかと難しさにうなだれる。

 もっと丁寧にいっていれば釣れたのだろうかとも考えるが、丁寧に時間をかけてファイトを止められてしまった当方のようなケースもある。タックルやフックが丈夫なら早めに決着つけた方が良いというのは、間違っていないと思うのだが、間違っていなくてもなかなかあがってこないのがターポン様である。

 

 その後しばらくして、今日は風は凪ぎ気味でよかったのだが、雷雲が接近してきて、岸の電波塔にはバチバチと雷が落ちているのが見える状態になってきて各船撤収。

 

 当方今日は、投げるチャンスが2、3交替分で10回もなかったこともあり、追わせることもできなかった。

 ただ、60センチぐらいのシュモクザメが一度ルアーを追って、食ったような動きをしたがかけられなかった。ターポンの他にエイやサメの仲間はたまにまわってきて、当方は一生懸命狙うのだが、無視されることがほとんどだった。Oニーサンはシュモクザメ釣っていた。ちょっとうらやましい。目視できたシュモクザメはウチワシュモクザメという、頭がトンカチというよりシャベルのような種類だった。

 

 早上がりで、宿でウダウダ。

 シャワーを浴びて鏡を見ると腹筋が割れている。出発時には多少今年は贅肉が付いていてあまり割れていなかったが、4日間のシビアな釣りが男の腹筋を割ったようである。

 今回魚の写真少なめなので、恒例のセミヌードで多少なりともお楽しみいただければ幸いである。

腹筋

 ケン一は今日は、何度かチャンス合ったようでガイドは今回のガイドが良いとのこと。

 あと、今日のファイトは、当方の雄たけびが響き渡っていたので、てっきり当方がかけたのだと思われていた。

 

 夕飯時、食事が運ばれてくるまでの間、今日の出来事をメモっていたら、エビさんに「そのノート使って書いてくれている人を見たのは2人目です。嬉しいです。」と言われた。

 「どれどれ」という感じで当方のメモが回覧されてしまい恥ずかしかった。

 「普通書くでしょ」と思うのだが、ケン一や当方のようにマメマメとメモを取って釣行記録をずっと取り続けているのは案外少数派なのかもしれない。当方も大学時代からずっと書いているが、ケン一は高校時代から確か書いていて、「船上や渓流の岩に座ってとか、釣り場でもメモしている」とOーニーサンに指摘されていた。

 そのケン一曰く、「一番面白い読み物は、自分が書いた昔の釣行日記」だそうだが、当方も結構同意する。自分の書いた釣行記、データとして参照するためにも読み直すけど、読むと単純にとても面白いのでちょくちょく読み返して楽しんでいる。

 当方のサイト、「週末顛末記」も開設後5年以上になるが、もともと、自分用に書いていた釣り日記であり、その後、釣り仲間にメルマガ方式で送付する形を経ていまのネットで公開する形になっているので、よっぽど今までの自分を恥じるような心境の変化が無い限り、公開をやめるつもりもないし、更新が滞ることもなく、ごく普通に淡々と続けていくことができる自信がある。当たり前のように、書くことも自分の釣りの楽しみの一部になっているので、書かないということが想定できない。

 釣りの馬鹿話を仲間にしているのと同じような感じで、楽しく与太話を書いているそのスタンスでこれからもユルユルと書いていくことになると思う。

 少なくとも自分という読者がいるので、書く理由としてはそれだけで充分でもあり、あまり閲覧者数とかを気にするつもりもないのだけど、それでも、当方が日曜の夜ぐらいに週末の釣りの結果を更新するというパターンを把握していて、日曜、月曜に定期的にチェックしている「読者」が何10人かいるようなので、その人達、つまりは今読んでくれている「あなた」のことなのだと思うけど、そういう人達が楽しんでくれているのなら、さらに書くことの喜びを感じずにはいられないのである。引き続きよろしくです。

 

 この日の時点で、さすがにみんなチャンスはめぐってきていたようで、バラシやらブレイクやら、中にはスプールをガイドに握られたケースまであったように聞いているが、キャッチは実は初日のKさんのみであり、結構悲壮感も漂い始めていた。

 引率のエビさんは、「明日みんな釣って帰りましょう。」と皆のモチベーションを切らさないように鼓舞していたが、マコちゃんの「今日までのこの厳しい状況を考えて、あすみんなに釣れると正直おもいますか?」というストレートな問いに「正直、1人でも釣ってくれればおんの字かなと思います」と答えざるを得ないような客観的状況だった。

 それでも、当方は海の状況や魚の機嫌なんてのは、1日で激的に変わることがあり得るし、状況シビアだろうが何だろうが、ここまで来たら最後残された1日投げ続けて、確率発生させ続けるしかやることはないので、焦りはあったし、そろそろスカ食う覚悟も心に準備し始めていたけど、割と腹は決まっていたように思う。アカンかった場合は、そん時になってから嘆けばいいだけと自分に言い聞かせる。

 

<5日目> 

 体調は幾分回復して、最後までやれそうな感じなので「やるだけやるさ」と「だめなんじゃなかろうか」とのはざまで揺れる釣り人の心を、なんとか冷静に「投げて巻くだけ」の釣りマシーンに持っていこうとする。

 単純に、なるべく高い確率で釣れる手順を踏んで、ミスを減らし、投げ続けることで、後は結果は良い時もあれば悪い時もある、そこは割り切って淡々とやるべきことをやるだけ。というのは、理性では分かっているんだけど、感情的には割り切れない部分があって、コレまで幾多の釣り場で良い釣りを経験してきた、袖のすり切れたようなシャツを着てゲンを担いだりしている。皆、多かれ少なかれそういうところはあって、行きの車中そういうジンクスネタで盛り上がった。みんな追い詰められて痺れてる。

 

 ボートの上でも、こちらもやっぱり揺れる釣り人心が言動に見え隠れするマコちゃんに、先輩面して言い聞かせるような台詞を吐きつつも、その実自分に言い聞かせる。

 「3匹かけてやっと1匹ゲットできるかどうかぐらいの確率だから、なるべく多くかけるしかない。」

 「釣りは、ワンキャストあれば1匹釣れるチャンスは生じるのだから、最後まで逆転のチャンスはある。」

 「後半になって、チャンスが減ってきているが、良い時も悪い時もやってくるのが当たり前で、そのタイミングは釣り人は選べないから、いつでもチャンスを逃さないように準備しておくだけ。」

 エラそうなこといってマコちゃんゴメン。マコちゃんの感じていた不安や嘆きは、そのままオレの内面とシンクロしていた。

 我ら同じ小舟で漂う運命共同体、この激戦地フロリダターポン戦線を戦った戦友である。我々だけが共有する悲しみと、悔しさと、それでも喜びもあったと確信している。

 この日は、最初ターキーショールポイントのサンドバー横の水路状のポイントでスタート、ケン一Oニーサン組がファイトで移動した隙に、ニックが電話かけているなと思ったら、了解取っていたようで置いてったアンカー借りて藻場で狙う。しかし魚見えず、ケン一達帰ってきて、藻場エリアやや風下側の戦列に加わるも、反応少なく、昼過ぎても2名とも3回投げて1交替しかしていないという状態で、それでもマコちゃんは1バイトとっていて、冷静に巻きアワセしていたけどかからなかった。という渋めの状態。

 午後、昼頃満潮から下げに入れば状況変わるかと期待したが今一で、ニックはボートドック近くの外海向けのエリアに移動。藻が浮いていて投げるコースが限定される感じだが、ここで粘る。

 最初、うんともすんとも魚がやってこなくて、今日はオレはこのまま3回しか投げるチャンス無しでおわるのかと、あきらめかけていたが、魚が回り始めた、マコちゃん割とすぐに2回チャンスがめぐってきて、当方に交替、すぐ1匹目が来て一投目はここに来てミスキャスト、船の横を通り過ぎる目の前を通す2投目は上手く決まって一瞬魚の向きが変わったのでちょっと興味持ったのだと思う。が食わず。

 しばらくしてまた単独でやってきた。ちょっとデカイ。早めにあらかじめ投げておいた一投目無視。回収して2投目も良い位置に決まったが無視。このぐらいのキャストが初めから決まっていたら釣れる確率は違っていたのだろうなと思いつつも、あと一回自分の番なので魚のやってくる方向を注視する。

 時間は午後4時頃であり、もうここがラストの場所である。後チャンスは1回で交替で、次の自分の番までは回ってこない。

 しばらく連続して魚が回ってきていたのがぱたっと止んで、魚がこないままだんだん時間が過ぎていき焦る。

 常に、流れている藻の塊の位置を確認して投げられるコースを設定し、投げるタイミング、食わせてアワセのタイミングを頭の中で復習する。

 今回、あわせはバイト即フッキングではなく、くっても巻き続けてハリがかりさせて追いアワセというのが、どうも正解らしいということで、あれこれみんなでウダウダやりながら当方は「おーやーのーカタキッ!カタキッ!」というタイミングの取り方を考え出した。

 「おーやーのー」の部分でリールを巻いて「カタキッ!カタキッ!」で竿のバットで腰だめのフッキングを二発ほどかますというモノである。武家の娘さんが、にっくき親の仇をみつけて、叫びつつ突進(リーリング)、一発目の「カタキッ!」で腰だめに構えた脇差しを体ごと叩きつけるようにして柄まで刺されと仇の腹にぶっ刺して(一発目フッキング)、もう一度抜いて二発目「カタキッ!」でトドメとばかりに刺し通す(二発目フッキング)イメージである。

 まあ実際にはなかなかうまくいかず、2日目の2回バイトはビックリアワセしてしまっているのだが、3日目はかからなかったけど竿をあおるのではなく巻きアワセしようとしており、ちょっとづつではあるけど旅の間にも進歩していたと、振り返って思う。それでも総合的に考えて、あと2,3歩足りないぐらいだったかなと思う。マコちゃんは結果が物語っているけど、あと一歩ぐらいのところまでいけてたと思う。

 時間は、ジリジリと流れている。胃がせり上がるような「このまま終わってしまうのか」という焦り、と次、魚が来れば本当のラストチャンスだから、上手くやらなければならないというプレッシャーにさいなまれながら、ニックの「終了」の言葉を聞いた。

 こうして、5日間のターポン様挑戦は幕を閉じた。

 

 閉じたんだけど、ケン一Oニーサン組はこの日、劇的な釣りを展開していたので、時間巻き戻しつつ当方目線で書いていく。

 朝一、ターキーショールポイントのやや沖側、藻が生えていないサンドバー脇の水路のようなポイントに陣取った我々から、真っ直ぐ水路の岸側の方の藻場のエリアに、ケン一とOニーサンのボートが見える。

ケン一&Oニーサン

 非常に魚がまわってこなかったルアーマンチームに引き替え、朝から何度もキャストしているのが見て取れて、魚が向こうはまわってきているらしいことが見て取れた。

 遠くから見ると、同じような白っぽいシャツを着ている背丈も似た人間なので、どちらがどちらか分かりにくいが、我々が藻場に移動する前に2回ファイトがあって、1回はすぐ戻ってきたのでどうもバレたか切れたかのようで、もう一回は30分以上ファイトしているようだったので取ったのかもしれないと思っていたが、後で確認するとそのとおりで、Oニーサンがリーダーブレイク、ケン一が70LBぐらいのをキャッチしていた。

水面炸裂

 3回目のファイトは、Oニーサンだったようで、このとき空いたポイントに我々が入った。キャスト数自体全然違うようだったので、チャンス到来を当然期待したがOニーサンが30分ぐらいして戻ってくるまで、魚の姿はなかった。リーダーまでいったということだがOニーサン微妙な表情だったので、リーダーまで寄せて切られたモノだと思っていた。が、ガイドがリーダーつかんだけど魚体をおさえるところまで行かなかったリーダキャッチだったと後で聞く。寄せてきてガイドがリーダーつかむまでは釣り手の責任だけど、それ以降上手くやるかどうかはガイドなりスキッパー(乗り子)の責任なので、ガイドがリーダーつかめばキャッチ認定という海のフライの世界での暗黙のルールがあったりする。

 トローリングの大物釣りから輸入した概念かもしれないが、当方のような、サメという船上にあげるのは、危険が伴い、かつ、重すぎてあげると骨格やら内蔵やらにダメージを与えてしまいリリースが難しい魚を重要なターゲットとして考えている人間にとっては、割とすんなり受け入れられる概念である。わざわざかけたサメ全部殺すことの心理的嫌悪感を考えれば、「リーダーキャッチ」でリーダー切ってもらってリリースの方が心理的に受け入れやすい。とわいえ、がっちり下唇つかんでその手触りを楽しみ、上から下から視姦するように愛でまくって記念写真撮って、せっかくの獲物を楽しみたい、という気持ちも分からんでもない。写真にはこだわりがあって一眼レフ持ち込んでいるOニーサンにとっては不本意な部分はあったのだろう。まあ、撮れるものなら一緒のフレームに写って記念に残したいとは当方も思う。

 ケン一Oニーサン組が、戻ってきたのでやや風下側に移動してアンカーしたところ、ほどなくしてケン一がキャストしているのを見て、その時はまだOニーサンは「認定キャッチ」じゃなかったと思っていた当方は、「ケン一、自分は釣ったのにOニーサンに順番譲らないとは鬼畜やな」とあきれつつも感心していたら、すぐにかけやがった。しかもデカそうなのが飛んでいる。

 アンカー置いてまた追い掛けていったので、また、そちらに移動できるかなと思ったら、すぐにオービスブラザーズが入ってしまった。この辺、ガイド間の格付けというか順番があるようで、オービスブラザーズのガイドと後半2日間ケン一達が使ったガイドがツートップでその後にニック達3番グループがいて、その他はさらに遠慮しながらポイントに入っているようだった。

 で、すぐにオービスブラザーズはかけたりしているのが見えるけど、ふしぎなことに今回、その場所以外はあまりチャンスがなかった。空いてる時に入ったオービスブラザーズとだいぶ風下側のAさんが一発取ったのをのぞくと、ケン一Oニーサンチームの一人勝ち状態。最終日の大逆転。こんなこともあるんである。自分ではなく人様にその幸運がやってきたことはうらやましいとしか言いようがないが、まあ、2人とも並々ならぬ意気込みでやってきて、前半ほとんどチャンスもない苦戦を味わっての結果である。祝福と少しばかり誇らしい気持ちも湧いてくる。

 でもって、ケン一の2匹目であるが1時間20分のファイトの後に上がってきたのは140LBというビックサイズだった。

140LB

  くっそうらやましいし、ムカつくが、それでも心の底から「おめでとう!」。

 こういう、一人だけ美味しい目にあってるヤツは、そのうち後ろから押して海に沈めたらなアカンと、常々思っているのだが、2匹目キャッチ後戻ってきてしばらくして、バシャンという音がして、マコちゃんの「落ちたー!」という叫びに、見回してみると、ケン一Oニーサンボートの釣り人が海中に落ちている。

 浅いし落ち方悪ければ頸椎ねんざとかやばい怪我の仕方もあり得るので、さすがに焦ったが、たいしたことないようで立ち上がって、タックルも回収して乗船している。ケン一だった、後で聞くと股とか踵とかだいぶ強く打って痛いとのことだったが、大事にはいたっていないようで一安心。

 船首の荷物を入れるハッチの上に釣り人用のお立ち台が設置してあるんだけど、ハッチの固定を忘れたためにひっくり返ったようだ、まったく、釣りというのは何が起こるか分からんという話である。

 

 何が起こるか分からんネタは、釣りの予定終了後、宿に戻っても待ち構えていて、次の宿泊者に明け渡すために、我々の荷物が勝手に回収されて、元の部屋には何も残っていない状態だった。荷物は別の部屋にまとめられていて「聞いてねーよ!」という、怒りの声に「ナニがあるかわからんのです」と、余裕の構えを見せていた当方も、持病の緑内障の目薬やらキンドルやらが、どこにも見当たらないというピンチを迎え結構焦る。

 確認に行って良いと言うことなので、合い鍵はまだ返してなかったのでなにげに鍵を開けて入室しようとしたら、さっきはまだ人が入っていなかったけど、既に次の客が入っていてビックリ、「ソーリー」とあわくって一旦ドア締めて、英語で状況説明できそうなエビさん連れてきて、引き出しの中にそのままになっていた捜し物を見つけることができたが、客観的に見ると相手側からすれば「怪しげな東洋人が、合い鍵持って無言で入ってきた」という、銃の国でもあるアメリカでは正当防衛で撃たれてても訴訟で負けそうなアホな行動であった。冷や汗モノであった。旅行けばいろんなことが起こるんです。

 てなこともあり、あたふたと釣り場の宿を後にして、空港近くの町のホテルへ移動。

 到着時は夜だったので見えなかった、割と、かなり、美しいフロリダの海の景色を楽しみながら、例によってくっだらない与太話などしつつ、早速撮った写真をOにさーんのノーパソで確認したりしながら、移動して行く。

 洋上でもよく見たペリカン。浅瀬をいくアオサギのたぐい、スコール、雲の切れ間からレンブラント光線が綺麗だからパソコンばっかり見てないで見といた方が良い。アンニュイな表情でリンゴ食ってるボウズ食ってる釣り人の横顔も写真に撮っておいた方が良い。

リンゴの味

 道中、Oニーサンが釣ってないのに2匹目釣るとは見あげた鬼畜ぶりやなと、ケン一に詰め寄ったところ、Oニーサン「リーダーキャッチ」だったことが判明、Oニーサン曰く「さすがに、そんな鬼畜野郎なら一緒に何回も海外遠征行ってないよ」とのことで、ケン一のいわれ無き罪は晴らされたのであった。

 Oニーサン曰く「リーダーキャッチできたし、次は「ケン一」と順番ゆずったけど、あそこはオレが鬼畜になってオレも魚を抱きしめるまで釣らしてくれ、と言うべきやったかもしれん。」と反省していた。釣り上手い人って多少鬼畜な部分があるような気はしないでもない。

 途中、ショッピングモールで夕飯食ってホテルへ。アメリカは経度や州によって時間帯が細かく別れていて、釣り場と空港では車で3時間かからないのに、1時間戻ったりしてややこしい。明朝5時のロビー集合のため、時計合わせをしたのだが、部屋に入ると部屋の時計が1時間違っていたりして、ケン一と二人して「どの時間を俺たちは生きているのか?」という、まるでSFのような疑問におちいったりしつつも、疲れていたのでぐっすり寝ようとすると、アメリカのエアコンって作動時、ケン一の寝言歯軋よりもデッカイ音で「ブーン」と言い始めるのでムカついていたが、わりとすぐに意識が飛んでくれた。

 朝起きて、フロリダの空港から小さめの飛行機でアトランタへ、道中ケン一と話しながら行く。70LBでも唇つかんで両手広げたぐらいはあったそうである。ケン一180cm以上あるが両手広げると人はだいたい身長ぐらいあるから170cm前後かな。100LBとれてたら自分の身長は超えてた可能性大であったと死んだ子の年を数えるようなことを考えてしまう。

 アトランタで、名古屋組とは別れる。マコちゃんと熱い抱擁。またいつの日か。

 成田組で、飯食いながらウダウダ釣り話など。Aさんが最終日釣ったターポンは、ボートぐらいの大きさのハンマーヘッドがあらわれて、まだこんなパワー残ってたのかとおもうぐらい走り回って抵抗したそうである。大きいハンマーヘッド見てみたかった。というか釣ってみてェ。

 旅が終わる。いつも旅の終わりは少し悲しい。

 帰りの飛行機は映画「のぼうの城」を楽しんだぐらいで、後は寝ていた。成田エクスプレスも寝ていた。

 

 家に帰って、今回結構なダメージ食らってるなと思いつつ、仕事に戻り、テナガに戻り、顛末記を書き、もう次の遠征の計画を立てて、9月のチケットをおさえてしまった。当方の釣りたい魚ベスト10に入る魚が、割と近くにやってきたようである。情報いただいた港さんに案内もずうずうしくお願いして、準備に入っている。

 あんなに悔しい思いをしたのに、もう忘れてしまって良いのかというぐらい、割とあっさりしている。

 ちょっと力不足は否めなかったけど、やれるだけのことはやったし、全く的外れというほどピント外れな釣りでもなかったと思う。すでに書いたように2歩か3歩足りないぐらい。

 そのぐらいの、割と良い線行ったスカは、後々いいデータや経験になっていくのは、これまでの経験から理解している。ギリギリ釣れた時とギリギリ釣れなかった時のデータと経験の蓄積が、「ここから釣れる」というラインを明確化してくれると思う。

 とか、カッコつけて書いてるけど、ぶっちゃけスカ食ってもすぐに忘れて次の釣りに向かうぐらい、忘れっぽく、バカで、釣りが好きだから、というのが単純で明確な答えなのかもしれない。

 

 バカで良かったと胸をなでおろしているところである。

 

 

 最後に、ともに楽しんだ10名(自分も含めて)のメンバーに特別な感謝を。ありがとうございます。またどこかの水辺で。

 

 −おしまい−

 

 (2013.6.19〜7.6)写真は、当方、マコちゃん、ケン一、Oニーサン撮影

 

  

 2013年顛末記 

 

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