フィジーの小島−カンダブ島遠征顛末記(2012.4.28〜5.5)−  

 

リゾートのコテージから

 

 釣りの最終日である、カンダブ島での4日目。

 夕闇迫る、珊瑚礁のリーフ内の航路(パスとかチャンネルと呼ばれる)の脇に、その間が航路であることと浅く隆起したサンゴの場所とを示すために鉄塔が海面上に突き出ているポイントで、エイドリアン船長は「ラストポイント」と告げた。デッキハンドのジョーにうながされ、この旅で使い方がなんと無く分かった気がするダイビングペンシルのローデッド18センチを鉄塔めがけて投げる。

 鉄塔の上で休んでいたカツオドリの類が飛び立って、近くを舞う。

 船は航路に流れる強い潮に頭を向けつつ、微速で後退していくので、航路脇の隆起してテラス状になったサンゴの航路側についているロウニンアジをイメージして投げていく。このいい感じの強い潮の効き方で夕まずめ、深さに変化のある航路筋、出なければおかしいとたぶん船長もジョーも思っている。当方がそう感じるぐらいだからきっとそうだと思う。

 でも、ロウニンアジは出ない。ガイドを頼んだ3日間、同じように船長が自信を持って案内してくれた数々のポイントでも、ロウニンアジは不発であった。

 船長は海が「ストレンジ(変)」だと言って、何度か首をひねっていた。

 夕闇の中、バシュッと可愛い音を立ててバイトした魚がいたがかからず、その後も最後まで「魚は釣れるときは1投あれば釣れる。」と自分に言い聞かせ逆転ホームランを信じて投げ続けたが、反応無く、船長の「ラストキャスト」の声に、最後の一投を投じ、丁寧に足元までアクションさせて、今回の旅の釣りが終了した。

 目標としていた20キロアップのロウニンアジはおろか、ロウニンアジは1匹も得ることが出来なかった。

 もちろん釣りの旅では、天候や魚の機嫌しだいで、こういった不調に終わることはままあることは良く知っているつもりだし、自慢にもならないが経験も割と豊富にある。

 船長も、デッキハンドもあらゆるポイント、釣り方を試して、教えて、当方に釣れるように努力してくれたとよく分かっていたし、そのことに深く感謝もしている。

 ロウニンアジは釣れなかったが、なかなか良いサイズのバラクーダやそれほど大きくはないものの、メバチとバラフエダイも釣り、移動の際のライトトローリングでもメバチ、ヨコシマサワラ、可愛いバラクーダを釣っている。これらは普段のホームグラウンドなどではなかなか釣れない魚であり大きさであり、釣りを楽しむことは出来た。

 いくつかのミスはあったけれど、準備もうまくいっていたし、何よりも3日間、朝から夕方まで投げ続けることができたことは、今後の釣りに向けて大きな収穫であり、健康に関して自信回復するに値する事実であった。

 苦手意識のあったダイビングペンシルの釣りを、実績が多いということでデッキハンドのジョーの模範アクションを参考に自分なりに消化してそれなりに扱えるようになったのも、今後の釣りには生きてくるだろう。

 釣りは釣れないときには、どうやっても釣れないことはある、そんなときくよくよしたって仕方ないと割り切って、むしろ次回以降のGT狙いの釣りに生かせる釣行だったこと、リゾートも素敵な宿で楽しい旅だったこと等を喜ぶべきだと冷静に考えている自分がいた。その自分も当方の一面だと思う。

 責任感じて、「GTを釣らせてやれなくてソーリー」「ワタシハハラキリシナケレバナラナイ」と言っている船長に「ドントマインド(気にしないで)」「オレは、バラクーダもマグロもバラフエもつって楽しかったよ」「船長がオレのためにいろいろトライしてくれたのは分かってるよ」とその自分は言っていた。

 でも、もう一人の自分が、表面には出さなくとも、心の底から悔しがっていた、嘆いていた、泣いていた。

「なぜ、普段は爆釣だという、日本から3日もかかる南海の孤島で、オレが来たときだけGTが釣れないのか。」

「精一杯、筋トレやら道具のセッティングやらノットの練習やらやってきた、自分の努力は、なぜ、まだ報われないのか。」

「そんな巨大というほどでもない20キロが釣れないほど、なぜ自分は下手くそなのか。」

「いつどこに行けばいいのか、何が足りないのか、自分のスタイルにこだわりすぎるのが良くないのか。何がいけないのか?」

 心は千々に乱れて、平常心ではいられなかった。

 

 ここで、平常心で心が揺れないぐらいなら、そんな浅い執着なら当方は釣りなどやっていない、15年かかって釣れていない20キロUPのGTなど狙いに、しんどい目をして遠い国まで出かけたりしない。

 どうしても釣りたくて、何とかして釣りたくてしかたないと思っているから、どうにもこうにも悔しくて仕方ないのである。そういう気持ちを止めることができない自分がいるし、それで良いじゃないかと思う自分もいる。

 その悔しさがあるのなら、また次のチャンスを狙って挑戦すればいいじゃないか。1度や2度や3度や4度や・・・10数回の失敗ぐらいどうってことないじゃないか。あと10年ぐらいは体も動くだろうから、その間にきっと釣れるはず。と自分をなぐさめてもみたりする。

 まあ、季節は5月、いい季節。近所ポイント始めシーバスポイントもあちこち釣れる時期だし、梅雨時の本格シーズンに向けてテナガエビのリサーチもそろそろ始めねばならない。今回の悔しさはそれはそれとして、切り替えてホームグラウンドの釣りを丁寧にかつ心の底から楽しむべきだと思う。

 

 その前に、今回の旅について、もちろんGT以外の楽しい釣果はあったし、その他にもいろいろ楽しかったことやら書きたいこともあるので報告してみたい。

 しばしおつきあい願いたい。

 

  昨年秋に、久しぶりにポッパーを投げまくるロウニンアジ狙いの釣りをクリスマス島で行った。もう5年以上にわたり健康上の問題を抱えており、しばらくそういう自分にとってハードな釣りは控えていたのだが、健康状況も上向きとなっていることもあって、20代の頃に「20キロUPを釣りたい」と思って始めたロウニンアジの釣りで、何とか目標達成して自分の釣りの技量を自分自身に示したいと願っての釣行だった。結果は惜しいところで17キロまでだったが、今の衰えた体力でも、手を抜くところは手を抜いてユルユルとやっていけばどうにか釣りの形になりそうだし、17キロはそれなりに余裕を持ったファイトで仕留めることができ、あまつさえ20キロオーバーのキハダをロウニンアジを想定した短時間ファイトでキャッチすることもできた。

 自分はやはり、20キロオーバーのロウニンアジを釣るに値する技量に手が届いているのではないだろうかという自信を深めた。

 帰国後、早速次の遠征先の検討に入った。時期は次の年のGW中日2日休んで9連休で行くと、仕事の都合など後回しの駄目サラリーマンぶりを発揮して決める

 最初、ネット等の情報を見て候補に上がってきたのは、「ニューカレドニア」であった。

 ニューカレドニアの西の方に船中泊で遠征して釣らせるガイドがいて、ものすごい釣果が出ているという情報がちらほら散見され、詳しい釣行記も見つけることができた。

 それによると、サイズや数が良いのも魅力的だったが、珊瑚礁の根がきつくなくキャッチもしやすいということで、これは当方のような非力な釣り手には重要なポイントだと思った。クリスマスで感じたのだが、なぜか彼の地ではロウニンアジとのファイトにつきものの根ズレでラインブレイクというのが一度もなかった。見た目ではそれほど以前行ったことがあるパラオやらグレートバリアリーフやらと違いがあるようには見えなかったが、明らかにラインブレイクしにくかったのは確かで、そういうエリアに釣行するのは非常に正解に近いように思われ、早速、オーストラリア在住のツアー手配業者に連絡を取り、見積もりを出してもらい手配に入るべく交渉を始めた。

 船中泊で遠征するため大型の船を使うため、一人で行くとべらぼうな費用がかかるようだが、最悪、「金は釣りするために稼いでいるんじゃ」と割り切って行くとしてまずは船とガイドをおさえて、そのうえで同行者を募集して可能ならまともな金額に抑えるよう努力しようとした。

 「釣り人天国」クリスマス島の次は「天国に一番近い島」ニューカレか。と夢見がちに妄想をふくらませていたが、手配業者から次年度にはガイドが撤退予定で西エリアを案内できるガイドがいない、あまり使ったことのないガイドがいることはいるがどうする?との連絡。

 高い金額と、休みと、何より情熱を「賭け金」としてつっこむには、実績も分からないガイドはあまりにリスキーだ。遠征先選びは振り出しに戻った。

 ネットやらで調べていてもいまいちパッとした情報はない。そもそもロウニンアジ狙いで、皆が行きたがるのは一発大物が狙える海域で、そういう情報ならたんとある。しかし当方は40キロとか50キロとかがかかっても、どうにも獲れる気がしないのでそんなサイズがいるポイントは必要ないのである。

 ある程度、ミスもあるだろうから、それも含めてチャンスが複数回まわってくるような、数釣りポイントが当方の希望である。しかし昔ボコスカに数が釣れたことで有名だったモルディブなどは船中泊で遠征しないと既に釣りにならないらしく、数釣りポイントというとやはりクリスマスぐらいしかヒットしてこないのである。

 こまってしまって、こまったときのプロ頼みということで、GTフィッシングのポイントについてはもっとも詳しいであろう、カザフのオオナマズ遠征でお世話になった旅行会社フリーライドアングラーズのK氏に相談した。K氏はカザフのヨーロッパオオナマズのような怪魚も得意だが、トカラでラインクラス別日本記録となった58キロを釣っているGT釣りのエキスパートでもある。

 恥ずかしながら、今まで20キロを釣ったことがないことをお伝えし、ぜひそのくらいのサイズが狙えて、ある程度数も出るところをと問い合わせたところ、回答は3カ所。

 1番は、クリスマス島。「ですよね〜。」とまあ、一番堅いのはやっぱりプロ中のプロが見てもクリスマスのようだ。でも2012年のGWはクリスマスに飛ぶフライトとは全くマッチしないので、休みをやたら取らないと行けそうにないのでとりあえず却下。

 3番が、船中泊で遠征でのモルディブ。船で1週間以上とかかけて遠くのポイントまで行くそうである。1週間も投げ続ける体力はない。却下。桟橋にGT並べて写真撮っていたような釣り方の末路がモルディブの現状だろう。リリースオンリーでも結構場荒れしていくロウニンアジのポイント。キープなどしていたらあっという間に魚はいなくなるということか。

 2番が聞いたことのない島の名前だった。今回行ったフィジーのカンダブ島、ネットで調べても釣り情報はほとんど出てこない。その時点でほぼこの場所に決定した。まだあまり人が入っていない楽園の匂いがした。

 詳しく聞くと、フィジー本島から小さな島に小型プロペラ機で飛ぶため、ロッドも長いバズーカは積めず3ピースロッド推奨とのこと。当方メインロッドは3ピースのジャイアント85トラベラーなので、もう一本サブロッドを中古かなんかで手に入れてここに行こうと決めて、年末頃にチケット、宿、ガイドをおさえてもらった。竿は意外と3ピースがなくて結局、Kさんお勧めのゼナックの新製品を買った。あまりパワフルすぎず、当方にはいい塩梅のロッドだ。

 その後も、いろいろとKさんに情報やらアドバイスやらをもらいながら準備を進め、いざGW突入とあいなった。

 4月に職場が変わり、仕事はまだ忙しくもないのだが、それでもちょっと環境の変化もあってかやや疲れつつも、1週間ぐらい前からは明らかにそれと分かるぐらい緊張して高ぶってきて、「落ち着け、落ち着け!」と自分をなだめるのに苦労した。直前の現地情報では、釣行時やや風が強いかもとのこと、風が強いとアウトリーフ(環礁の外側)の1級ポイントは狙えないけど、まあそれでも波穏やかなインリーフ(環礁の内側、ラグーン)でも結構釣れるはずとのこと。天気は釣り人の力ではどうにもならないので、やれるだけやるだけさと、心に決めて旅立つ。

 GW初日、4月28日朝、荷物が重いのでタクシー呼んで最寄り駅へ、電車乗り継いで羽田の国際ターミナル着。

 乗る予定の香港行きの便がいきなり遅延になっていてびびる。受付にならんでチェックイン時、「フィジーナンディ空港行きの乗り継ぎなんだが、大丈夫か?」とお姉さんに聞いてみると、乗り継ぎは大丈夫だと思うが、荷物がちょっとギリギリで、これ以上遅れると荷物積み換えが間に合わないという可能性は若干有りとか脅かしやがる。ちょっと不安になる。ビビって、そういえば2駅かそこらの距離に、穴守稲荷という神社があることを思い出し、典型的な不信心者の「困った時の神頼み」だけど、遅延で時間もあり暇でもあるので、旅の無事・安全をお願いに行く。気の小さい男である。穴守稲荷さん、故郷の神社と縁があるそうで、かつ交通安全の神様っぽいので、参拝後、航空・交通安全ステッカーと旅行安全お守りを買った。おいなりさんよろしくお願いします。

 穴守稲荷グッズ

 空港に戻って、しばし本屋で時間をつぶし、それでもとりあえず時間はあるが、手荷物検査受けて、出国手続き済まして、出発ゲートに入ってしまう。

 GW初日ということで、混雑を予想して早めに来ていたが、予想に反して人はそれほど多くない。これでアジアのハブ空港(中継地空港)としてやっていこうとか大丈夫なのかと心配になる。

 香港行きは、遅れたものの、何とか飛び立った。座席は乗り換えがあるので前の方の通路側にしてもらった。香港での乗り継ぎを失敗しないように気をつけようと思いつつも、映画「シャーロックホームズ」など楽しく見つつ香港へ。

 香港に着くと、到着便からの出口の所に、フィジーナンディ空港行きの航空会社キャセイパシフィックの中国人職員らしい、男女のスタッフがいて、男の方がなんかエラそうに女性スタッフに指示を出していて女性スタッフは、「ホンコントゥーナンディー」と連呼してナンディー行きの旅客を一カ所に集めている。案内がつくようだと安心したが、これが大間違いで、こいつら2人ともナンディーへの乗り換え客のリストを持って名前のチェックしておらず、せっかく乗り換え客は前の方の席を確保して早めに出てきているのに乗客全員降りるまで「ホンコントゥーナンディー」をやっているというバカさ加減にイラッとしたが、さらに酷かったのが、いざ案内し始めると、ほとんどバカ女後ろを振り返りもせずに早足で歩き始め、そのうちほとんど走っているような状態になって、慌てて追いかけた。

 エレベーターに乗ったときに、明らかに人数が減っているようで、特に自分たちの行き先がフィジーだとは知っているけど空港名がナンディーであるという事をいまいち理解していない雰囲気のおばちゃん2人組がいたのだが、その2人が明らかにいない。間違いなく2人以上は見捨てられている。

 ホンコン空港はさすがアジアを代表するハブ空港でくそデカく、出発便が一覧になっているボーディングボードを見ても、数が多すぎてどこに自分の乗る飛行機が表示されているのか見つけるのさえ一苦労で、やたら広い空港に何カ所もエレベーターや窓口が設けられていて、英語できないようなおばちゃんにはほとんど素早い自力復帰はあり得ないのではないかと思う。

 実際に、窓口に到着して、チェックインを待つ間にもおばちゃんたち現れなかった。窓口で「2人ぐらい中年の女性がついてこれなくて、ここに到着していないと思う。あんた達は探すべきだ。」と言ってやったが、窓口の職員共もおしなべてレベルが低く、何人もパスポートとチケットを受け付ける人間がいるが、数が限られている同じ端末の前にたむろしてギャーギャー騒いでいるだけというバカ丸出しの対応状況で、受付は端末の人数だけに絞って、来てない人間探すなり、放送日本語で流す手配にまわるなりしろよと思うが、とてもそんなレベルではなくただ烏合の衆が混乱しているだけだった。

 それでも何とか当方は、チェックインも済ませて、手荷物検査受けて出発ロビーに向かい、ナンディー行きに乗り込むことはできた。でも、おばちゃん2人を見殺しにしてしまったことは、心に引っ掛かって申し訳なかった。少なくとも、バカ女が走るように急ぎ始めた時に後ろを振り向いて「急いでついていかないとはぐれますよ」と声をかけるか、エレベーターに乗ったときにドアを開けたままにして「来てない人がいるから待て」と言うか、2回助けるチャンスがあったはずだ。そのどちらもモノにできなかったような人間だから、釣りでもチャンスをモノにできないんじゃないかと思ったりした。もっというと、自分は、見知らぬ土地の空港で英語もろくに使えずにこまってしまうだろう同胞の人間に手をさしのべることさえできないような、くだらない人間だという自責の念を感じてしまった。

 あまり、こだわっても仕方のないことで、これから始まる釣りの旅を楽しむためには早めに切り替えなければとは思うのだが、機内食食って、英語でわからんながらも「ヒューゴ」見ても、結構引きずって悔いて思い悩んでしまった。

 おばちゃん達、乗り遅れたとしてもフィジー滞在が1日減った分、ホンコンの夜が一日増えただけで、航空会社の遅延始め不手際が原因なんだし、ホテル代とか出してもらって、美味い中華料理でも楽しんでいてくれますように、「おばちゃん達のホンコンの夜に幸あれ」と祈って睡眠薬飲んで寝た。

反省メモ

 

  起きると、4時間ほど眠っただろうか、朝飯食ってしばらくしてナンディー着。ちょっと心配だった預けた荷物も無事到着。

荷物

 確かにちょっと風が強い気がする。明日以降おさまってくれるだろうか。

 ホテルの巡回バスで、今日の宿ホテルメルキュールに移動。ホテルまでの道中、道沿いに小さな商店などが並んでいるが、その多くに窓ガラスの所に金網というか鉄格子がバリケードのように張られている。フィジーではしばらく前に元々の住人であるフィジアンと呼ばれるフィジー系と移民であるインド系との軋轢から暴動が起きている。割合的には少ないインド系がフィジーの経済や商売を牛耳っていて、フィジアンが職にあぶれたりしている状況への不満から、フィジアンがインド系の商店を襲って略奪とかしたそうである。今は落ち着いているようだが、その名残だろうか。

 フィジアンの気持ちも分からんでも無いけどインド系にしてみれば、「わてら、インド式計算法やら使ってキッチリ商いしてるから儲かって当たり前やないの。適当に働いてのんびり暮らしてるフィジアンと差があるのは当たり前やんけ。」という感覚かも知れない。

 ホテルチェックイン後、朝寝。ちょっと疲れ気味か眠い。ホテルはプールなんかあっていかにも南のリゾートという感じ。

ホテルの部屋から

 昼頃起きて、近所に飯食いに行く。近くのフライドチキン屋兼サンドイッチ屋兼ハンバーガー屋兼ピザ屋という節操のないファーストフード店でどうでもいいかんじのツナサブサンドを食う。今日一日暇なので、ホテルのコンシェルジュで適当にスカイダイビングだの釣りツアーだの申し込むぐらいの時間的余裕はあったが、あんまり興味ないので、夕方までまた寝て散歩兼釣りに出かける。

ホテル前道路

 最寄りの海岸まで、グーグルマップにある直線ルートがサトウキビ畑にしか見えないので遠回りしつつ、花や鳥の写真を撮ったり、金網の向こうの犬をおちょくっていたら、出口が開いていて犬が出てきてびっくりというアメリカのアニメのようなシチュエーションにであってちょっとびびりつつも、無視したら特に噛まれたりせずに済んだり、ヤスデ見たり、ピックアップトラックの荷台に若い男女が乗って何か楽しそうに叫びながら爆走しているのを、「どこでもアホはおるな〜」と眺めたりして海に着いた。

花1花2犬バナナ花3ヒバリ系

花黄色ハイビスカス紅白ヤスデムクドリ系

 鳥は黒くてとさかのような頭で下腹が赤いヒバリっぽいのと、芝生の上とかホテルの庭を良く歩いている羽に白い帯があるムクドリのようなのが多かった。木の上で鳴いているハト系もいた。

 海は、南の海というより、川が流れ込んでいる湾である関係からか、普通にちょっと泥濁りした、「伊勢湾です」と言われれば、そうなのかと納得しそうな海である。砂浜に唯一ポイント臭いゴロタの岬があって、釣り人結構いる。これはあまり魚残ってなさそうだと思いつつも、フライロッドを振ってみる。案の定反応無く、すぐあきらめて帰る。道行く人はたまに「ブラッ」と挨拶してくれる。治安は全然平気っぽい。

海への道ゴロタ岬

 帰ってくると、ホテルの庭木にすごく綺麗なトリが飛んできた。メタリックグリーンの背中に赤いお腹。オウムっぽい感じで木の上の方で実だか花だか食べているが、うまく写真には撮れなかった。

綺麗なトリ

 夕ご飯はホテルの今日の魚グリルがワフー(カマスサワラ)のグリルだったのでそれにした。ホテルのレストランという事でちょっとこじゃれた感じだったが、ワフーはパサパサした感じでいまいちなお味。サワラや南方系のヨコシマサワラと比べるとワフーは格落ちかもしれない。サワラ、ヨコシマが特別美味しいのかも知れないが、比較するとやはりパッとしない。

 食後、テレビのディスカバリーチャンネルでアラスカのズワイガニ(オピリオと言っていたがアラスカだとバルダイ種オオズワイではなかろうか?)漁の様子が紹介されていて、面白くて見入ってしまった。ダブルベットぐらいのデッカイ箱形のカニ篭を使うんだけれど、その篭がカニで半分埋まるぐらいに大漁していた。割当量やらサイズ規制やらは厳しいようで、船上で小さいのは選別してバンバン再放流していた。日本でもあれぐらい大量に獲れるぐらい資源状態が良くなればいいのにとうらやましい感じだった。

 船の名前が「ウイザード(魔法使い)」「バンディット(山賊)」とかいかにもアメリカンなのも面白かった。

 テレビ見てたら、また眠くなってきて8時頃に寝てしまい、翌朝6時までぐっすり眠った。

 釣りの前に移動日があると、入れ込みすぎていた気合いが、ちょっと抜ける間が取れていいような気がする。散歩もいい感じで緊張がほぐれるし、よく眠れる。観光スポットでも何でもない道ばたの散歩がなかなかに楽しい。異国ならではか。

 

 朝飯食って、巡回バスで空港へゴー。小さい空港で国際線ターミナルもローカルターミナルも同じ建物に入っていた。早めにチェックインしたので土産物屋などひやかす。

 海辺の鳥一覧図が安く売っていたので、余裕があったら、船の上で鳥の名前でも調べようと買ってみた。この時点では船上ではそんな余裕は一切なくなるとは思ってもいなかったのである。この旅ではUFJで作ったVISAカードを使っていたが、これがスヌーピーをマスコットキャラに使っており、レジのオネーちゃんとかにあちこちでウケた。「OH!キュート」とか言われてちょっとおじさん恥ずかしかった。

スヌーピーVISA

 まあいいのだが、なんでUFJはアメリカのキャラをつかうかな。日本の銀行ならジャパニメーションのキャラを使うべきでしょう。ドラえもんとかナウシカとか海外でも一発で日本人と分かるようなやつにしてもらいたいモノである。調べてみると「アトム」「ガンダム」「北斗の拳」「ゲゲゲの鬼太郎」あたりのVISAカードは実在するようである。この中から選ぶなら「ゲゲゲ」か「北斗の拳」かな、でも海外での知名度なら「アトムボーイ」なんだろうか。まあどうでもいいけど。

 機内への案内まで時間があるので、本を読む、昨日までで沖縄を舞台にした「メタボラ」上下を読了。次に「南洋通信」を読み始めた。「中島敦著」となっていたのを、なぜか中島の「敦著」さんだと思い込んでいて、日本が南洋の島々を植民地化していた時代の「南洋庁」の教科書作成担当の役人としてパラオに赴任していた中島敦だと、妻宛の書簡を読んでいて気付いて自分のアホさ加減に驚いた。しかし現国の教科書の「山月記」が有名な中島敦がパラオやらトラックやらあのあたりのミクロネシアの島々で働いていたとは初めて知った。当時は南洋の島々には船で何週間もかけて行ったことを考えると、3日かかって「遠い」と思っている現代は、ずいぶん南洋も近くなっているのだなと感じずにはいられない。

 搭乗案内が始まり、ちっちゃな飛行機が止まっているあたりにテクテク歩いて行く。途中に切符もぎりのオッサンがいて、飛行機2台有るので、「カンダブ行きはどっち?」と聞いたら「セブン」と愛想無くこたえやがったが、単なる渡り廊下みたいなゲートでどこが7番なのかよく分からずまごついていたら、オバちゃんが「カンダブ行くんならカムトゥギャザー」と手招きしてくれたのでついていくと左側の飛行機だった。もぎりのオヤジ「レフト」と答えてくれれば何も問題無かったんだけど、何が「セブン」じゃ、7番ゲートもクソも露天の通路やぞ。

7番ゲート

 まあ、かわいらしいプロペラ機で、3列トイレ無し。シートベルトやら安全設備やらの説明は副機長が口頭で説明してから、エンジン始動。仕事でたまにもっと小型のプロペラ機に乗ったこともあるが、旅行でプロペラ機はニュージーの国内線以来2度目ぐらいか。離陸時、着陸時結構ローリングしたりしてちょっとドキドキした。

機内

 飛び始めると、高度が大型機よりは上がらないためか、本島周りのリーフ、小島、環礁、青い海、とても綺麗に見えて楽しいフライトだった。

本島周りリーフ小島翼よあれがカンダブ島

 非常扉の横の席だったけど、どう見ても扉のすき間から見える青い色は下の海である。

すきま風

 到着したカンダブ島の飛行場も、とても可愛い建物がポツンとあるだけのいかにも離島な飛行場で嬉しくなっちゃう感じだった。

カンダブ空港

 

 空港の目の前の湾が、既に珊瑚礁の綺麗な海。空港には、カンダブ島での宿「マタバ・フィジーズ・プレミア・エコ・リゾート」から迎えがきていて、車に乗っていざ宿に、途中パンとか食料を仕入れて、船着き場に。

空港前

 宿の近くに釣り場がないか、調べようとしてグーグルマップを見たときに、宿の周辺に道がないので、「グーグル先生もフィジーの小島まではフォローしきれてないのか。」と思ったのだが、グーグル先生ごめんなさいでした。宿への道はないのである。小舟に乗り換えて海路、ラグーンを突っ切って宿に向かうのである。

波止場波を切って

 旅の手配をしてくれたKさんが、釣り以外にも旅自体も是非楽しんできてくださいとメールに書いていて、釣り師が釣りに行って釣り以外の何を楽しめというのだろうか?と思っていたが、こういうことかと合点がいった。むちゃくちゃワクワクする旅じゃないの。

 しばらく小舟は走って、小さな島のうかぶ入り江のコテージ群に到着した。

 マタバの宿宿桟橋

 桟橋から上陸すると、いかにも南国な椰子の葉ぶきの良い感じの建物があり、とりあえず、ランチタイムということで、当方も荷物を置いて昼食となった。

 宿には、香港のグループとオージーの夫婦が滞在していて、昼食はオージー夫婦と同席でやや緊張しつつ食べ始めた。タコス風の平たいパンにサルサソース、豆ディップ、ツナそぼろ、という感じで結構美味しい。これは飯は心配しないで良さそうな気配だ。

 オージー夫婦は気さくな感じで、当方つたない英語だが、どこから来たのかとかその辺から始まって、楽しく談笑。

 夫婦はいかにもオージーという感じのスポーツマニアな人達で、カンダブにはダイビングに来たとのことだが、宿のスタッフと遠泳するならいつの時期が良いかとか聞いていたり、北海道にはスキーしに行ったことがあるよ、次は夏に自転車乗りに行きたいとか言っていた。当方も、2000年にケアンズに釣りに行ったことがある、カンダブには釣りに来た、明日から3日釣り三昧だとか話した。

 昼食後、若い衆に荷物持ってもらって自分の部屋に、ジャングルの中の細い階段をテクテクと上がって、なんやら毎日上り下りするのがしんどい場所やなと思ったのが愚かに思えるほどの美しい展望の丘の上のコテージに到着した。ホテルの前の珊瑚礁の海も、遠くで珊瑚礁の端にぶち当たって波が砕ける様も見て取れる。とても気に入った。

玄関部屋からの眺め

 水は太陽熱で暖めたお湯も使えて快適、電気は発発しかないようなので消費電力の少ないLEDのちいさい明かりしかないが、太陽光蓄電の結構パワーのあるハンディーライトを貸してもらえる。まあ夜は寝れば良いのでそれもいらないのかもしれない。

 エアコンなど無いが、3面窓が南の島で良くあるブラインドのように風通しよく開けられるガラス窓で、一応蚊よけの網戸付き。でも穴があるのか多少虫は入ってくるので、蚊取り線香も常備。ベットには蚊帳もついていて万全だ。

 素晴らしいじゃないですか。ご機嫌で明日のタックルをセットし始める。

 タックルの準備も終わって、さて、今日の夕飯までをどう過ごすか、ちょっと悩む、夕方ちょうど干潮で、宿の目の前は、小さな川の流れ込む浅い干潟のような感じで、向かい側の小さな島のまわりには珊瑚礁があり、島との間は浅い砂州のようになっていて両サイドが深くなっている。おそらく干潮時立ち込めば、小物釣りかなり楽しめるはずである。もしくは宿にシーカヤックがあるので借りればシーカヤックフィッシングというのも可能だ。

 しかし、明日から本番のGTフィッシングを迎えるにあたり、前日からあまり体力を消耗してしまうのもはばかられ悩ましい。結局悩んだ結果、小物釣りは明日以降、目標の20キロが釣れて余裕ができたら、早めに沖上がりして楽しむことにして、今日は体力温存に努めることとした。

 とりあえず部屋にいても仕方ないので、夕方、階段を下って桟橋方面に移動する。

階段

 予想通り、目の前の海は潮が引いて干潟のようになっている。魚はいるようで、テイリングくさい動きをしているのやら、小魚追い回しているボイルもたまにあって、のどから手が出そうになるが、ぐっと我慢して眺めるにとどめておく。

宿前の干潟

 しばらくすると、香港グループの一部が帰ってきた。釣りに行ったグループのようでトローリングでマグロを2匹釣っていた。10キロちょいともう少し小さいのの2匹。かなり興奮して記念撮影したりして盛り上がっているが、当方としては、「ケッ!トローリングでそんな小物で喜んでんじゃね−よ素人が!」という感じで、明日自分はキャスティングでもっとデカイ魚と勝負するんだもんね。と一人静かに闘志を燃やすのであった。

 デッキハンドのジョーさんが明日はよろしくねと挨拶。太い腕太い首の典型的なフィジアン。パワーありそうだ。

 海のそばの、昼寝用の木星ベットに腰掛けて、夕方の蝉時雨と夕闇迫る南の島の海を楽しんでいると、スタッフの女性が声をかけてきた、シータという名前だと聞いて、宮崎アニメの「天空の城ラピュタ」のヒロインを思い出したが、南の島のシータはなかなかにボリュームがある。たぶん空から降ってきても当方ではとても受け止めきれないだろう。

 なかなかに気の利くお姉ちゃんで、滞在中飯時だのなんだのの時に結構世話になった。

 どこから来たのかとか、お決まりの会話を楽しんでいると、若い衆がシータをからかって「彼女はインド系なんだよ」と言ったら、シータがかなり怒っていた。「インド人はフィジアンにとってエネミー(敵)なのよ!」とのこと。エネミーという強い単語が出てきて、南の島の楽園にも旅人にはうかがい知れない根深い対立があるのだなと思わされる。

 マネージャーのジョージ氏に滞在中の注意事項やら、飯の時間やらを聞いて、宿帳に記入・署名などする。ジョージ氏手の甲に何本か線上の入れ墨あり。きっと意味があるのだろうが、聞いていいもんだかどうだか分からなかったので聞きそびれた。

 夕飯前に海図台のところで、ハワイ大学の博士がまとめた、南太平洋の魚の素晴らしい図鑑を読んでいたら、エイドリアン船長もジョーもやってきて明日の打ち合わせとなった。風もなく明日はアウトリーフを西へ行くとのこと。ジギングはやるか、トローリングはどうだと聞かれるが、「今回はポッパー投げる釣りだけしたい」と伝える。心配した風もなくアウトリーフを攻められると聞き、「これは勝ったな。」とほぼ勝利を確信した。勝負は下駄を履くまで分からないということぐらい分かっていたつもりだが、あまりにも釣れそうなシュチュエーションに今思うと判断が甘くなっていた。

図鑑カンダブ島海図

 夕食までの時間をスプライトなど飲みつつ待っていたが、おつまみに椰子の実のココナツミルクを絞る前の果肉部を薄切りしてスパイスで味付けしたものを食った。ココナツジュースは飲んだことあったが、食べたのは初めてだった。ココナツの風味の堅めのチップスという感じ。ポリポリつまんで時間をつぶすには良い塩梅だった。

 夕飯は、香港グループの釣ってきたマグロの刺身が出た。オージー夫婦とお話ししながら刺身たくさん食う、「もう少し食うか?」と聞かれたのでまだメインディッシュもあるから「ちょっとだけ」とリクエストしたが、皿いっぱい盛られてきて刺身だけで腹一杯になってしまい、メインディッシュのビフテキを残してしまうことになった。

 オージー夫婦は感じの良い人達で、色々と話した。こう書くといかにも当方英語が堪能なように思えるかもしれないが、実は全くたいしたことなくてオージー夫婦が一生懸命聞いてくれていてと言うのが真相である。

 当方も、海外の旅に初めて行った頃は、英語が通じるかどうか、間違っていないかどうか不安でなかなかしゃべる勇気がでなかったものだが、場数を踏むにつれ、多少間違ってようが、相手は分かって聞き取ろうと努力してくれるし、間違ったら間違ったでそれで笑いもとれるしということが、何となく分かってきてからは、極めていい加減な英語で異国の人との会話を楽しめるようになった。

 逆のパターンを考えてみればよく分かると思う。外国人がやってきて、たどたどしい日本語で話しかけてきたとき、変な日本語を使っているとき、微笑ましく思ったり、楽しく感じたりしても、悪い感情を抱くことはないだろう。その外人が自分だと思えばいいのだと思っている。旅の英語はその程度で全く問題ない。もっとややこしい交渉が必要な困ったトラブルとかに出会ったら、今のご時世、国際電話がかけられる携帯端末ぐらいどこでもあるので、日本の旅行代理店にでも連絡取って、ややこしい話は対応してもらえばいいのである。

 興が乗ってきて、なぜ日本からこんなに遠くまでやってきたのかと聞かれて、「とにかくオフィスからできるだけ遠くにエスケープしたかったんだ。」あたりから、日本人がいかに仕事好きのワーカホリック野郎どもかを説明したり、奥さんの方の父親がフライマンで85歳で元気と聞いて、「釣りは健康に良いんだ」とグランパの健康を褒め称えたり、カヤックの話題になって、「私はトウキョウベイでシーカヤックでフィッシングを楽しんでいるんだ」とかなんとかかんとか楽しくディナータイムを過ごした。

 明日は早いので9時ごろ部屋に戻ってベットに入るも、いよいよ明日ロウニンアジとの勝負かと思うと遠足前の子供状態で興奮して眠れず、1時過ぎに眠剤飲んでやっと寝むれた。

 

 目覚まし持っている周到さで、しっかり目覚めて、5月1日GTフィッシングの初日。

 朝飯食って、桟橋前でタックルセット。こまかいことだけど、3ピースやセンター2ピースでも長めの竿の場合、ジョイント部分はビニールテープで固定するようにしている。投げ続けて緩んでしまっているのに気づかずにいると、魚かけたときはおろか、へたするとキャスト時に竿が破損しかねない。グリップジョイントの竿だと緩んでいても目に付きやすいが、手元じゃないところのジョイントには目が届きにくい。Kさんからも「知ってるかもしれないけれど」とアドバイスいただいたが、意外に実行している人は少ないかもしれない。でも、タックルはどこか一カ所でも不都合が生じるとそこから破綻して全体が機能しなくなるので細かいところもおろそかにしてはいけない。テープで固定さえしておけば、まず緩む恐れはない。ひねるように長竿で投げる外国のフライのスペイキャスターがやっているのを昔のアングリング誌上で読んでから実践している。

タックルセットジョイント抜け防止

 7時ころ、チャーターしたクルーザー「BITE ME」号に乗り込むため、錨泊地まで小舟で移動。干潟にはコトヒキが泳いでいるのが見えた。やはり小物釣りの対象魚はいた。早く勝負付けて余裕こいて小物達とも遊びたい。

バイトミー号

 一路、珊瑚礁の切れ目を抜けてアウトリーフに出て西へ、途中様子見しながら、目的のエリアへ移動していく。アウトリーフ、珊瑚礁の端に波がぶち当たって白くサラシている迫力のある風景。白波の中へぶち込めとジョーが言うが、しかし当方のキャストでは届かん。仕方なくキャプテンが船を波がぶつかる珊瑚礁の方に寄せていくが怖い、底が見えて浅い。こんなところで魚かけたら、ホントに5mも走らせずに短距離で止めないと根ずれでやられそうである。

アウトリーフ

 1カ所30分ぐらいずつせめて、1バイトぐらいはあるが、小さいのか渋いのか巻いてあわせてですっぽ抜けている。3回ほどでた、最初当方偏愛ルアーのヨーズリサーフェスブル、しかしジョーはもっと飛沫を派手に出すヤツが良いぞと言うので、S−P0Pにチェンジ。こちらはジョー基準でも合格のよう。

 途中、「スティックベイト(ペンシル系を彼らはそう呼ぶ)を使え」という指示も出るので、その時は、サブタックルでリアルベイト170を投げていたが、重くて投げにくいし動かし方も今一しっくりこない。そうこうするうちに、なんとリーリング中にラインローラーを止めているネジが緩んでいたのか外れて海の藻屑となってしまった。こんな失態初めて。オイルアップしたときに締めが緩かったのか。ともかく2セット持ってきていて良かった。船にも1セット「シマノ」のごっついタックルがあった。「GTスペシャル」という7Fぐらいのショートロッドとリールは海外仕様か「サラゴサ」とかいうの。メインラインがPE130lbだと。オレのショックリーダーは130lbと200lbである。リーダー並みのメインラインってどうなのよ。

 ジョーも今日はあまりに魚が出ないので「こんなはずじゃない」という感じで、当方の後ろで投げる場面多かった。当方の腕のせいではないようでジョーもノーキャッチ。

 4回目のバイト、横くわえで水中で食った感じ、かかったが首振ってすぐばれた。ロウニンアジだと思っていたが、今考えると首振ったということは、違う魚だったのかも。

 昼頃移動、戻りながらライトトローリング、船のペンインターナショナル僑械娃圓肇好織鵐妊ング用ショートロッドで全部ジョーがセットしてくれる。

ライトトローリング

 鳥山発見、横に付けてやっぱり使っちゃうサーフェスブル2投目で食ったが、バシャバシャと小さい。5キロ前後か。余裕で寄せてこれるがテンションかけにくい、足下にきてジョーがランディング準備に入ったときポロッとフックアウト。くっそなんか調子に乗れない。

 鳥山はその後散ってしまった。

 その後、インリーフの航路筋をやるがダメ、航路の出口付近のアウトリーフも攻めるがダメ、ツナでも探そうとアウトリーフ側でライトトローリングするが、やっとバラクーダ小ゲット。

チビクーダ

 その後再度、アウトリーフ、珊瑚礁際を攻めて1発追うが食いきらず。その後、4時頃に航路の鉄柱を狙って終了。

 初日はライトトローリングのチビクーダのみで思わぬ大苦戦。ちょっと何が起こっているのか頭がついて行っていない。何が悪かったのか、朝のショボ目のバイトを取り切れなかったのがまずかったのかとも思い、戻ってきた停泊地でキャプテンに「5発ぐらい出たのにミスって釣れずに申し訳ない。」といったら。「今日はいつもと違った。いつもなら1日に「50バイト」ぐらいは出る」とのこと。なんですと!「アンビリーバブル」な話である。50発ってちょっとロウニンアジの釣りでは信じられないようなバイト数である。話半分の25発でも十分すごい。それだけ出れば何匹かは当方のようなへたくそでもとれるはずだ。海は一日あればコロッと変わったりもするので、明日はそういう「50発」出るような日になることを祈るのみである。

 朝一勝負決めて、午後は余裕の小物釣りか、昼寝しながらのライトトローリングでもしようと考えていたもくろみはもろくも崩れ、捕らぬGTの皮算用に終わり、結構一日中投げまくってしまったので疲れた。

 部屋にいったん戻って、シャワーを浴びて、750ss予備パーツと別箇所のネジを使って何とかならないかトライするもどうにもならず、洗濯したり、今日の状況をメモしたりした後、飯時になったので食事テーブルの方に降りていく。

 夕飯準備遅れている。やたら歌にギターに中国人もフィジアンも盛り上がっていると思ったら「カヴァ」決めてやがった。フィジーの伝統的な抗精神的薬物で、コショウ科のカヴァの木の根をすり下ろして水でドロドロにしたような飲み物。やりたかったが、覚醒作用で眠れなくなるとまずいので遠慮しておく。オレには眠剤がお似合いさ。

 

 喧噪を横に海図台で「ブルーウォーター」とかの釣り雑誌をパラパラやっていたら、面白いものを見つけた。「フィジーのサメを数えよう大作戦」というようなタイトルの冊子だが、サメを釣ってタグアンドリリースに参加しデータを提出してサメ資源データの調査に協力しようという釣り人参加のプロジェクトのための提出用記録ノートのようだ。

シャークカウント 

 現在、サメは世界的に保護の対象となりつつあり、狂信的な自然保護団体の主張をうけて、世界各地でサメを漁獲することは、「釣り」も含めて禁止するような動きが出ている。なかなかサメ釣りができるところが少なくなっているのという現状だ。

 サメを釣りたいと情報を集めている身としては、こういった「サメを守る」プロジェクトに参加しながらサメ釣りが楽しめるというのは非常に魅力的だ。これはしっかり書き留めておいていつの日か参加してみるべきプロジェクトだと思う。

 

 夕飯の準備が整った。今夜はオージー夫妻と入れ替わりでやってきたアレックスと同席。米国はカルフォルニアからダイビングと釣りのためにやってきたとのこと。碧眼ブロンドの若い男前。GTフィッシングのファンだとのことで、「アメリカでもGT釣り流行ってんのか?」と聞いたところ、アメリカの釣り人は遠征と言えば中南米でGTファンは少数派とのことでちょっと安心。シマノ派やそうな。

 今日は、香港グループの釣り師と合同で船仕立ててポッパー投げて良いツナ釣ったらしい。当方釣れてないので具体的な大きさは聞かないでおいた。

 つり上げた後、デッキハンドが船上で棍棒でマグロの脳天ぶっ叩いて締めたので、血しぶきかぶりまくりで「血で日焼け止めがいらないぐらいだったよ!ワハハ」とアメリカンジョークをかまされた。

 明日はオレも釣らねばならぬとエネルギー補給のために、アレックス達の釣ったマグロの刺身食いまくり、フィジアンのパワーの源だというキャッサバも食う、里芋っぽい植物だが味は甘み抑えめのさつま芋みたいでなかなかにうまい。

 アレックスと、釣り談義、こっちがキリバスでボーンとGTやったと言えば、あちらさんはセーシェルでオレもボーンやったとのこと。イソマグロは今までケブラー切られて全敗中という話で、当方も竿おられたし、アシストフックのケブラー切られたのは「ミートゥー」やとイソマグロ童貞同士で盛り上がった。

 GTの自己記録が2人とも奇しくも18キロで、「18キロは結構良いサイズだよね」とお互いの記録をたたえ合った。

 トカラ列島は欧米の釣り師にも有名なようで、こちらが「あそこは初夏になるとトビウオが産卵のために島に接岸してきて・・・」という話を始めたら、アレックスもそのあたりの情報は知ってやがった。

 ガキの頃から釣りが好きだという話で、アレックスは子供の頃、池のコイを盗もうとしてファイト中にバシャバシャ暴れられて見つかって怒られたとかいっているので、「釣りキチ三平」に出てくる「コイの泥棒釣り」の話を「日本ではコイを盗むときの釣り方がちゃんとあってだな、こういう(手で筒を表現する)ケージを通して仕掛けを投げてやな、かかったら、そのケージを水中で構えて中にコイを入れてしまって、水面で暴れないように抜きあげるんや」と、つたない英語で苦戦しながらも教えてやった。

 母上が日本好きで謎の「芸者ダンス」とやらをやっているそうだ。本人も築地魚市場に行きたいといっていた。「かーちゃん連れてくればいいやん、案内ぐらいするよ」と釣り用名刺を渡しておいた。上手く恩を売っておけば、普段カルフォルニアで狙っているストライ−パー釣りの穴場に連れて行ってもらえるかもしれん。

 結構ご機嫌なカヴァの決まり具合のようだったので、カヴァの話も聞く。一日ダイビングして釣りやって疲れていても、キメるとすっかり疲れがとれるし、良い感じにリラックスできるとのこと。フィジーでは客人にふるまう他に鎮痛剤として妊婦が出産時に使ったりするとかさすがに詳しい。ただ、飲み過ぎると次の日二日酔いで「何もしたくないぐらいにだるい」そうだ。

 「明日、でっかいGT釣ったらお祝いでカヴァやってみたいね。」なんてことを言いつつ明日も釣りなので、悪いけど寝させてもらうよと、9時前に部屋に戻って寝る。疲れていたので、釣れていないので不安が頭をよぎったりもしたが、割とすぐに眠れた。

 

 2日朝、7時めしで7時半スタートのはずだが、ダイブ船のエンジンがトラブっているのか総出で外して直している。ジョーは代替の船を取りに行っていて、結局9時前スタートになった。エイドリアン船長は、朝は干潮で引きすぎているので、午後2時に向けてのあげの方が期待できると言っているが、釣れていなかったのでスタート遅れは若干むかついた。釣れていない釣り人ほど心の狭い人間はいない。南の島なんだからもっと大らかに楽しめよと自分でも思うが、この人間の小ささ。

 最初、インリーフの水路の鉄柱ねらい。いただき物の広口ポッパーのピンクのGT2使用。結構粘る、ということは実績があるポイントということか。アウトリーフへの出口までやる。でも無反応。

タックル

 今日はアウトリーフ際を東へ走る。途中鳥山見つけ寄せる、鳥はどこか行ったがベイトボール(鰯玉)ができていて、10センチくらいのカタクチっぽいベイトがバシュバシュ食われている。ポッパー食わず。小さいスティックベイトにしろとキャプテン。ローデッドに変えてキャスト。ベイトボール真上を通すも出ず、「どうしたローデッド、それでも相模湾のすれたキハダを釣るために、三浦半島はヤマリア社が作った対マグロルアーか!」と心の中で叱責していると、ベイトボールいくぶん過ぎたあたりで「バンッ!」と下から突っ込んできてバイト。

 フッキングかまして、それほど大きくもないので一気に寄せようとガンガンポンピングしていると、ジョーが「スローリー!スローリー!」と言うのでゆっくり慎重にやる。確かにまだまともな魚1尾も釣っていないので慎重に行くべきかもしれない。ゆっくりファイトで頭が向こうに向くと、マグロ調子に乗って加速してドラグ出していく。30mくらいでストップ。写真撮ってもらったりしながら気持ちよく寄せてくる。

ファイト中

 問題なく、ギャフも1発で決まって、やっとキャスティングで1匹ゲット。「イエローテール」と2人とも言っているが、なんか太いし、胸びれも長くてピタッと体側に沿わせると第2背ビレの後端を越えている。メバチ「ビッグアイツナ」だと思う。

メバチ10キロ

 今日は自力で刺身ゲット。10キロちょうどくらい。

 ローデッド18センチ、この旅通じて結構投げたが、安定してダイブして平打ちしてくれて使いやすい。GT用にはもうちょっと大きいサイズもほしいところだが、でも安くて優秀。

 さらにボイルあるので狙う。たまにデカイのも見える。遠くのボイルで1mくらいの胸びれが見えてびびる。50kgとかか。かけたら獲れても体が終了するだろう。

 小型が1度バイトしたが乗らず。

 だいぶ東のリーフにまで移動してきて、また波がぶち当たるアウトリーフを攻める。黒が良いとのことで黒S−POP。しばらく沈黙の後、バラフエがバイト、小さすぎてテンションかからずばらし。5キロ以下か。

 その後しばらくして、ドンと出てフッキング2回ぐらいガシガシかます。魚体はよく見えなかったが、それほどでかくはない感じ。かなり浅い場所なので、ドラグ鳴り出したら速攻で左手でスプール押さえ込んで止める。すぐに止まったということは小さいのか。船がゆっくりリーフ際から離れる方向にバックかけていく、魚もゆっくり深い方に向かいだしたのでポンピングで寄せる。

 見えてきた「長い!」バラクーダでした。軽くメーターオーバー、120前後か。

バラクーダ

 バラクーダも釣りたかったけど、どうせ釣るならGT釣ってから、もっと化け物サイズを釣りたかった。でも、上手く最初のダッシュを最小限で押さえ込んでファイトできたし、まあ十分大きくすばらしく格好いい魚なので気分は上々だ。

 しばらくして移動になりジョーがマグロをさばいてクーラーにしまい、骨まわりの身をすいて刺身を作ってくれたので、お椀いっぱい全部食べた。そして移動中はすかさず昼寝。

 夢心地の中、船橋で、ジョーが「マグロの刺身作ったら全部一人で食って寝ちゃったよ。」とか言ってキャプテンと笑っているのが聞こえた。あれ皆で食う予定だったのね。ゴメン。

 その後、西に戻りつつ、要所でリーフエッジたたき、鳥山あったらナブラうち、しかしパッとせず。

 2時頃満潮前、サンドイッチ食って、寝て移動中のライトトローリングでマグロヒット、まだ鳥山があるのでトローリングタックルはジョーに任せて、投げるがノーヒット。

 途中でジョーからロッド渡される。途中からもらってもどうしようもない気がするが、せっかくの好意を無下にもできないので、あまり腕の力とか使わない腕を伸ばしたままの、手抜き腰ヘコポンピングであげる。サイズは一緒ぐらい。

 2時くらいから4時過ぎまで、アウトリーフのエッジで小移動しつつ延々キャスト。ローデッド(ロスト、ノットを歯の鋭い魚が食ったのかいきなりたいした抵抗もなくビミニの上で切れた)、久々ロングペン(高速ポッピングしんどかった)、GT2、S−POP、サーフェスブル、様々試すが無反応。

 水路を通って帰る前に、ガンガン潮がきいている小島まわりでちょっと粘る。

 黒S−POPからピンクGT2で「これは出そう」な雰囲気だったが、雰囲気だけ。

 キャプテンもジョーもあれこれやってくれたが、キャプテン曰く「ストレンジ」な状況で、「ソーリー」と謝られてしまう。

 当方「ツナもバラクーダもエンジョイしたよ、楽しかったよ」と言っておいたが、キャプテンは胃が痛いだろう。明日は島裏までロングトリップしようということになった。

 夕飯は香港グループ帰って静か。エナジーチャージのためにと刺身食いまくる。風が強め。明日はこれはアウトリーフ出られないかも。

自分で釣ったマグロのお刺身

 「ああ、これは惨敗食らうかもしれないな」と、このあたりで覚悟し始める。

 

  3日は朝から風強く、7時ころスタートするが、今日はやはりアウトリーフには出られずにインリーフのポイントを巡る。風が出たことで活性が上がってくれないものかと祈る。

鉄柱

 最初はいつもの水路、「今日はスティックベイトを使え」ということだが、持ってきたリアルベイト170は重くて投げるのがしんどいので、キャプテンからメーカー不明謎のシンキングペンシルを借りる。カラーリングはハルコとかのオージールアーっぽいがリグはクラフトベイトのようなしっかりしたステンレスのリグ。

シンキングペンシル

 ラインを緩めた状態からジャークしてライン緩めて、というアクションのつけかたで、ジャーク時にルアーはヒラをうって、ライン緩めるとルアーがイレギュラーダートする感じ。ジャークを腕でロッドをあおってやっているとかなり疲れるので、力を入れずに簡単にできないものか色々引き方を試す。竿を水平に前に出して構えて、リーリングしながら腰を使って竿先で大きく∞を書くような感じで引いてやると、自動的にコンスタントに平打ち・ダートしてくれる。

 だんだん良い感じに疲れず引けるようになってくる。しかし反応無し。

 移動してインリーフをかなり東に走る。長距離移動の時はライトトローリングもせず、全速で飛ばすのだが、船のエンジンターボ付きらしく「キーン」というタービンの回る音(だと思う)が聞こえてくる。

 風もややあるが、時折スコールのように島に雲がかかっていて虹が綺麗に出ている。写真撮ろうとして、偏光グラス外すと虹が薄くなり、虹は偏光グラス越しに見ると見やすいというのは初めて知った。

虹

 だいぶ東に移動して、昨日やったアウトリーフの内側ぐらいの場所だろうか。浅く広く張り出した珊瑚礁のテラスのような部分の際を狙っていく。

 当方はスティックベイトで、ジョーがGT2で後ろから釣る。

 ジョーの黒のGT2のリアフックのモジャモジャは彼のヒゲで作ったそうだ。ちょっと笑える。

ひげもじゃ

 しばらくしてジョーがカスミアジを釣ったので、当方、当たりルアーを借りて延々投げるが、反応無し。リアルベイト170投げてたジョー、一度デカイのが追ったと言っているがその後反応無し。時々雨がぱらつく中、11時頃まで投げたが、さすがに3日目ともなると体がきつくなってきて限界近くなって集中力が切れ始めた。

 1時間ぐらい休憩させてくれと宣言して甲板で寝る。回復しなければ、限界までやったということで撤退しても良いかなと思う。

 1時間と言ったが、30分ぐらいで次のポイントについて起こされる。もうちょっと寝かしてくれ〜。

 珊瑚礁のテラスが岬状になっているポイント。体力的にきついのでちょっとでも楽なように振り抜けが良いと感じていたゼナックに竿を持ち替え、ルアーを黒のS−POPにチェンジして投げる、2投目ぐらいで赤い魚が出た。珊瑚のそばでかけたので魚を止める良い練習だと思ったが、最初のダッシュをスプール左手で握りこんで押さえてしまったら、その後は6キロドラグを引き出せずに素直に寄ってきてしまった。バラフエダイ14ポンド。10キロ無いような魚に6キロドラグで走り回れと言っても無理か。ゼナック坊主竿卒業。せっかく持ってきたので魚を釣ってやれて良かった。

1匹目

 幾度か場所を変えて同様の、珊瑚礁のテラスの脇を狙っていく、いくつめかのポイントで割と短い時間にバラフエダイ3連発。2発目がちょっとサイズアップで16ポンド。こいつはドラグ何度か出してくれたので、スプール握りこんで止める練習できた。

ちょいサイズアップ

 他の2匹は14ポンドと同サイズ。活性高い時間にちんたら写真撮っているのももったいないので即リリースで写真無し。

 この連発で、キャプテンとジョーは思い当たるポイントがあるのか、しばらく相談した後、大きめの移動。途中ライトトローリングで70くらいのヨコシマサワラゲット。

 しかし移動後は、島の潮あたりの良い岬のポイントもガンガン潮が流れている瀬のような浅場も反応無し。

 4時くらいには、近場に戻ってきて、鉄柱ポイント3連発、しかし反応無く。3連発の最後の1発が冒頭の釣り予定終了シーンである。

 3日間、投げ倒してとにかく疲れたが、船長やジョーのアドバイスも聞きながらやるべきことはやりきったという感じではあった。

 今思い返しても、今の当方にはあれ以上のことはできなかった。まあ良くやったのではないだろうか。結果は出なかったけど、「やるだけやるさ」と誓って出かけたその誓いは守れたように思う。

 

 夕飯は、釣ったヨコシマサワラがフィジー風の刺身、「ココンダ」になって出てきた。ココナツミルクと酸っぱい柑橘とネギ系とちょっと唐辛子と、柑橘で酢締めのようになったヨコシマの切り身が旨い。マグロも旨いけどヨコシマサワラはまた別の旨さだ。同様のココナツミルクベースの刺身は、ニュージーの海の宿のマオリ族の女支配人が作ってくれたのを思い出す。あのときは魚はカウアイだった。南太平洋の海洋民族の文化なんだと思う。ちょっとずつ違って南太平洋の島々に伝わっている様々な文化の一つを舌の上で経験する。

 かなり疲れていたので、ひょっとしたら明日は熱でも出るかもと思いながら、ベットに入るが、色々と興奮が残っていたりして寝づらかったので睡眠薬飲んで無理矢理寝た。

 

 朝起きると、疲れは残っているが熱が出たりはしていないし、肩も腰も痛くしたりはしていない。時間差でこれから出るという可能性もあるが、今回体はしっかり作れたように思う。

 恒例のセミヌード。今回、肩・腕がちょっと太くなってる気がする。ちなみに出発前60キロ、帰ってきたら58キロ。南の島で魚釣りダイエット。

セミヌード

 

 朝は、9時出発と聞いていたが、全然船とか準備している気配がないので、聞くと10時だという、昨夜から早めにチェックインしないと荷物が多かった場合、次の便回しになることがあるらしいので、早くしてくれと依頼して9時と決めていたので、イラッとする。

 結局10時になっても、まだ用意できておらず、10時10分頃にやっと運転手やらアレックスやらがやってきて出発しそうな雰囲気になる。アレックスに10時で連絡していたんだろうこれは、という感じ。

 待っている間、「ブルーウォーター」のバックナンバーなどパラパラめくってみる。

 行きつけの釣具屋の店員さんがちらっとのっていたり、GT特集ではホットスポットの一つとしてトカラが選ばれていて、トカラの世界記録のロウニンアジのレポートがあったりなかなか楽しめた。

 ふと、壁に掛けてある「ブルーウォーター」があったのでみると、若き日のエイドリアン船長が、「キャプテンオブザイヤー」に選ばれたときの勇姿が表紙であった。

最優秀船長

 疲れてもいて不機嫌でもあり黙っている当方に、西欧系の料理人が「フィジーでは「フィジアンタイム」といっていつもちょっと遅れるのよ」と説明してくれる「日本でも南の沖縄では同じようにオキナワタイムがある。」と返したら笑っていた。

 スタッフが花で作った首飾りを首にかけてくれたが、当方のとアレックスのものとにあからさまな差があって苦笑した。アレックス陽気な碧眼ブロンドのグットルッキングヤングガイである。東洋の怪しげな小汚いヒゲの坊主親父とは扱いが違っても当然といえば当然だが、ちょっとショック。当方のは写真の通りだが、アレックスのは1周花でできていた。ちなみに当方の隣がエイドリアン船長。

船長と私

 干潮の浅瀬を船まで靴脱いでジャブジャブと渡って、さて、とうとう出発かとしんみりしていると、これが中々出発しない。「はて?」と思ってふと気がつくと、乗り込んだはずのアレックスがいない。よく見ると桟橋の方でスタッフのみんなとハグして別れを惜しんでいる。人が急いで出たいとイラついてるのに、アレックスおまえな〜。

 陽気なフィジアン達と明るくフレンドリーなカルフォルニアボーイは相通じるものがあるのかもしれない。

 

 オージーはスポーツマニア、アメリカ人はフレンドリー、フィジアンは豪快で陽気、中国人は景気が良くてツアー組んで豪遊、日本人は魚と刺身が好き。リゾート地に世界の縮図を見る。

 

 風がそこそこあって、波っけがあるので帰りの船はちょっとしたアトラクション並みに揺れてくれた。気持ちいい風と南の海の風景。

 

 空港について、チェックインしてしばらくアレックスと世間話やら釣り話やらして、時間がきたので飛行機乗り込んでみたら、乗客我々だけで2人旅やんけ。急いで荷物預けなくても全然問題なかった。イラついていた自分がまるでバカのようである。フィジーではフィジアンタイムが正しいということか。世界中どこでも南の島では時間はゆっくり流れるているのかもしれない。

 

 帰りのフライトも、窓からの美しい眺めを堪能して無事ナンディー着、乗り換えて故郷のカルフォルニアに帰るアレックスとも別れて、空港の茶店でサンドイッチで昼飯。タクシー拾って、メルキュールホテルへ。「ホテルメルキュール」と言っても通じない「メオキューオ?」と聞かれる。Rの発音は耳で聞くと「ル」より「オ」に近い。が日本人は気にすることはない。相手がだいたい雰囲気で察してくれる。

 

 ホテルにチェックインして、夕飯まで昼寝しようと思うが、寝付けずテレビ付けてディスカバリーチャンネルを見る。「リバ−モンスター」という川の怪魚釣りの番組がやっていて、ピライーバとかアリゲーターガーとか釣っていた。

 釣ってはいないけど、アマゾンのカンディルも取り上げられていて、あっちの番組はそういう描写の規制が緩いのか、思いっきり人の死体に穴開けて食らいついて潜り込んでいるカンディルの写真が激烈グロくて気持ち悪かった。

 カンディルに襲われた人へのインタビューと再現フィルムもあって、水浴び中にオッサンが「アーッ!」と叫ぶシーンが。申し訳ないけど笑えた。

 いまいち早くて聞き取りにくい英語だったけど「エィネル」とかいう単語が聞き取れたので、どうもケツの穴に潜り込まれたようだ。再現フィルムではお医者さんがマニピュレーター付きカメラを使って手術で取り出すシーンがあった。アマゾン川に行くことはあっても決して泳ぐまいと誓った。

 

 夕方になったので、飯食いがてら散歩に出かける。何食おうか迷う。当方、日本食なしでも1週間や10日は平気なタイプなので、もうすぐ日本に帰るのに日本食レストランは入りたくない。ホテルの飯は格好つけてるだけで高いしたいしたことない。コリアン、チャイナもフィジーで食うのもどうかと思う、インド料理は旨そうだが、疲れていると辛いの食べておなか壊したりするデリケートな人間なのでこれもパス。

 てなことを考えつつ、ふらふらと歩いていると、インド人経営らしい小さいマレーシア料理屋が目に入った。地元の兄ちゃんが飯食ってる。地元民が食うような飯屋ならそう外れはないだろうとそこに入る。値段も安い、たのんだエビチャーハンで500円ぐらいのもの。

 しかし、注文したらいきなり冷凍庫開けてなにやら取り出したので、アチャーと思う、冷凍食品温め直しかよ。今一ついてないこの旅を締めくくるにふさわしい夕飯だなと一人でクスクス笑っていた。

 しかし、でてきたエビチャーハン予想に反して結構旨かった。冷凍品はエビだけとかか?タマネギ、セロリ、葉もの野菜は冷凍ではないし、卵も冷凍ではない。長粒米でパラパラッと仕上がっていて、高級レストランの味とはいかないが、美味しい近所の食堂の味レベル。量もたっぷりで腹減っていたので堪能できた。

 鉄格子越しに眺めるフィジーの街の夕焼け、椰子の木のシルエット、なかなかに素敵な旅情ではないか。

 

 ホテルに戻って眠くなるまで「南洋通信」をパラパラと読み進める。南洋の海の色の描写「外海の濃藍色とは全然違って、堡礁内の水は、乳に溶かした翡翠だ。」が秀逸。まさにそんな色の海で釣りをしてきたところなので表現が生き生きとして感じられた。

 

 翌朝、早めにチェックアウトして空港へ。早めにチェックインして、通路側前寄り席を確保、香港乗り換え、おばちゃんたちの失敗を教訓にし無駄にせず、無事トランジットをのりっきってみせるぜ。みててくれおばちゃん。みてないと思うけど。

 荷物を預けて、手荷物検査、出国審査を通って、出発ロビーで水飲んで座っていると、女の子から英語で「あなたマタバにいませんでしたか。」と聞かれる「昨日までいたよ。」と答えると、「アレックスと一緒じゃなかったですか?」と聞かれた、香港グループの女の子だ、アレックスのヤツもてよるな〜。若くて男前のブロンドには勝てん。「昨日一緒にカンダブから帰ってきたけど彼はそのままカルフォルニア行きに乗ったと思うよ。」と答えたら、残念そうな顔してた。

 香港グループの男どももややご機嫌斜めに見えた。君たちは残念ながらオレと同じ側の男だよ。

 

 座席は、ビジネスクラスのすぐ後ろの好ポジション。

 長いフライト、寝てすごそうと思うも、割と睡眠時間は足りていてあまり長くは眠れなかったので、持ってきていた本を片端から読みふける。まさに南の島で読むべき本だった「南洋通信」を読み切って、次は椎名誠「続大きな約束」。なかなかに良かった。岳少年が中学生ぐらいの時に「岳物語」で自分のプライバシーがさらされていることに「少年の怒り」を爆発させて怒ったけど、大人になり父の愛を理解できる年になって父のその行為を許すようになったというエピソードがとても良かった。

 久保俊治「熊撃ち」は野生の生き物を仕留めることに喜びを見いだす人間として、ものすごくためになったし面白かった。若い頃の熊撃ち修業時代に、熊にあと少し接近できないのは「殺気」が出過ぎているためだと気づくエピソードとか、身につまされる。今回の当方も気合い入りすぎて、メチャクチャ遠くから分かるぐらいの殺気ムンムンで魚を追い払いながら釣りをしてたのではないだろうか。

 殺気で思い出すのが、携帯電話がかかってくると魚が釣れるという仲間内のジンクスである。電話に意識が行った瞬間に、ラインを通じて発散していた殺気が途切れて食ってくるという説である。実際にはリトリーブが止まったりするので「ストップ」のような食うタイミングを作っているのかもしれないとも思うが、殺気説も捨てがたい。実際に当方も何度か携帯電話に出た瞬間にヒット「ちょっと待って!今食いよった」と電話を切った経験が何度かある。

 

 そんなこんなで、読書タイムを楽しみながら、香港到着、空港の職員見つける度に、チケット予約打ち出し見せて、このフライトのチェックインカウンターはどこ?と聞きまくって、何とかカウンターにたどり着き、並んでいる人に「日本人の方ですよね、羽田行きはここでチェックインですよね。」とか聞いて無事チェックイン。

 手荷物検査ゲートを抜けてエスカレーターで昇って出発ロビーに到着。一安心。

 

 羽田行きは結構混んでいたが、読み始めた織本憲資「日本土人南島探訪記」が面白くて退屈せずに済んだ、だいぶ古い本でネット書店「アマゾン」の古本市場で見つけたのだが、船の機関長である著者が、グァムで見つけた原始的な南洋カヌーの魅力に惹かれ、その航法やらの秘密に迫り、その分派を沖縄のサバニに見いだし、既にエンジン付きが当たり前となっていたサバニの帆走していた時代の姿を再現するという、なかなか素敵な海洋ロマンあふれる読み物。キリバスでアウトリガーカヌーの流れをくむ船に乗ったが、あのアウトリガーは、浮力体というよりは、近代のヨットでは船の下についているキールのような、帆に対するカウンターバランサーとして機能していたようである。

 

 羽田に到着、入国審査も無事済まし、荷物を待つ間に同居人にメール、ケン一とJOSさんに電話で無事帰国も惨敗の報告、モノレール、電車と乗り継ぎ、駅前でタクシーつかまえて、久しぶりの我が家へ。

 

 旅は終わった。

 

 

 

 旅が終わって、既に数日がたった今時点の自分の心境はというと、「全くの平常運行」にすでに切り替わっている。

 旅の終わりのセンチメンタリズムや本命が釣れなかった悔しさやらはもう既に「思い出」の一種だ。もちろん釣った魚や旅の楽しさも良い「思い出」である。

 

 体に疲れがのこってしんどければ、心も引っ張られて沈んでしまうのかもしれないが、かなりハードな旅だったにもかかわらず、既に疲れはほぼ抜けつつある。確実に健康を回復してきている体がありがたい。

 

 今は、仕事帰りにシーバス釣りに行きたいなあとか、週末はテナガ初戦をむかえるにあたり、今年は入手保管が面倒なミミズ餌の代わりに、台湾でオニテナガエビ釣りの釣り堀で使われる生レバとかどうだろうとか、そんなホームグラウンドの普段の釣りに意識は既にむいている。

 

 釣りは、どんなに準備しても、コストをかけても、情熱を持ってのぞんでも、世界の果てまで行ったところで、行って帰ってくるまでは釣れるかどうかわかりはしない。もっといえば「魚の機嫌が悪ければ釣れやしねえ」という、シンプルな事実から逃れることはできない。

 

 その程度のことが腹に飲み込めず、いつまでも引きずるようなら「釣り人」じゃない。

 次もまた、チャンスを見つけて、期待と妄想に胸膨らませて力一杯楽しい遠征をやれば良いだけのこと。

 オレは現役の「釣り人」だゼ!!

 

 今回の遠征において、反省点は行きの香港空港でおばちゃんに手をさしのべてやれなかったことぐらいである。

 タックル関係や準備の細かいミスやら、自分の心の狭さなんかにも反省すべき点があるかもしれないのだが、あまり気にしていない。

 完全にミスを無しでやれるとは思えないから多少のミスは想定内だ。自分が小さい人間なのも既成事実で今更どうこういうほどのことはない。気をつけていこうとは思うが個別あげつらうほどの必要はないと思う。

 

 良い旅だった。自分のもてるすべてを突っ込んでばくちを打つような、そんな遠征をまた次もやりたいと思う。

 

−おわり−

窓からの眺め

 

 (2012.5.6〜9)

 

  

 2012年顛末記 

 

 HP