○インスプールしましょ! 

 

 時は2018年、平成の世も終焉を迎えんとするこの時代に、なぜか突然発症した「インスプール熱」その熱病は、深く静かにナマジを蝕んでいくのだった。

 ということで、インスプール関係のネタをこっちにもまとめておきます。 

(2018.10)

 

○2018.9.8ブログ再掲

ゼ ゼットォ~ 解き放たれたゼットォ~


 「オレ、病気が良くなったら706Z持って釣りに行くんだ。」

 などと、死亡フラグ臭い台詞を吐いている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 お待たせしました全国の女子高生のみなさ~ん。もといっスピンフィッシャーファンの皆様~、張り切って今週のビックリどっきりメカ発進!
 ということで、写真のPENNスピンフィッシャー706Zなわけだけど、なぜこの時期にいきなり706Zなのか順を追って語っていきたい。


 先週書いたようにここしばらくスピンフィッシャーのスペアスプールなどいじくっていたわけなんだけど、7500SSのスペアスプールを重ねて段ボールの筒に突っ込んだ状態のを見て、スプールが安いの自体も魅力だけど、重ねることができて場所いらずな感じに小さく荷物がまとまるのもスピンフィッシャーの良いとこだよね。と改めて好ましく思ってネットリとした視線でなめ回すように見つめてしまった。
 5500SS用以上の大きいサイズのは替えスプールの下の方のローターに被せる「スカート」の部分に別の替えスプールの上部糸巻き部分までぐらいを突っ込んでしまえるのである。スカートの中とかあんまりネットリ覗き込むのはセクシャルハラスメントにあたるかもしれないと反省。
 何度か書いてきたけど、スペアスプールの充実は実釣において、ラインがトラブったときの復旧作業やラインの種類変更などを素早く行えるようになるので、非常に釣果に直結してくる大事な要素だと思っている。
 そのあたりスピンフィッシャー第3世代、第4世代のスプールは重ねることができる形状であり持ち運びやすく沢山持っていくことができる、なんていうのがカタログなんぞに書いちゃねえけど細かいところで効いてくる良いデザインなんである。


 と、「PENN使い」として悦に入っていたんだけど、まてよインスプールのリールならそもそもスプールにスカート部分なくて多くは糸巻く部分も薄く作られているから替えスプールの携行性の良さではインスプールの方が良いんじゃなかろうか?と思って、我が家の蔵からゴソゴソとくだんの706Zを出してみた。
 スプールこんな感じで薄っぺらいです。

 706Zについては、「スピニングリールとはどこからきてどこへ行くのか?」などということを考えたときに(サイトの方の「ベールアームはどこまで回る?」参照)、インスプールでベールワイヤー無しという個性的な設計にとっても興味がわいて中古で確保。スペアスプールにもラインを巻いてリーダーシステムも組んでいつでも使用できる状態で出番を待って蔵の中で眠ってもらっていた。
 出してみると相変わらず個性的な見た目と単純な機構とかが魅力的である。大きさ的には7500SSぐらいある大型のスピニングなので、船からロウニンアジとかマグロとか、岸からならブリとかヒラマサかとかいう感じのなかなかどうして男らしいリールである。どのぐらい単純な機構かというと、試しに部品数を展開図から数えてみたら40個ぐらいで、今時の日本製リールと比べたらかなり単純な、ベアリングも3つしか入ってない7500SSでも部品数は85個ぐらいにはなるので、706Zがいかに単純かおわかりいただけるだろうか。
 あらためてこういう個性的な道具で魚釣ったら格好いいし気持ち良いだろうな~とは思うモノの、リハビリ中の身であんまり体力いる釣りはできないだろうというのの他に、そういう釣りなら使い慣れて絶大な信頼をおいている7500SSと750SSで間に合ってるのでわざわざ706Zを出す必要ってあるのかなという感じである。
 でも単純な機構で壊れるところとか少なそうで、醸し出す雰囲気とかの味わいもあってその実力を試してみたくはなるのも正直なところ。

 とりあえず、実際に使った人の感想とか調べてみるかと検索。
 なかなか実釣で使った情報は少なくて、沖縄のとある「PENN使い」の人のブログぐらいしかでてこない。その人の感想では巻き取りがカリカリうるさいのと、ドラグノブが樹脂製なのはいただけないとのことだったが、カリカリ音は慣れればどうってこたないだろうし、ドラグノブは作られた年代で違うのかもだけど我が家のは始めから7500SSと共通のドラグノブがついていてドラグパッド抑えつける面は金属になっているので問題なさそうには思う。
 もうちょっと何か情報ないかなとみていると、割と上の方にアマゾンの売ってます情報っぽいのがあって、中古品でも売ってる業者がいるのかなとなにげに開いてみたら、なんと新品である。小口の輸入代行業者のようでポチッとしたら米国から発送しますとのこと。
 商品写真みたら、どうもドラグノブが第4世代の750ssmの流用のような感じだし箱が赤い影絵の今時のピュアフィッシング版っぽい箱なので「こりゃ今復刻生産されてるな!」と本家のサイトを確認してみたら正解。

 インスプールの大きいサイズ2機種、ベールワイヤー無しの706Zとベールワイヤー有りの704Zが"Now on sale!"ッスよ全国のスピンフィッシャーファンの皆さん。
 日本だとインスプールのリールってカージナルやミッチェルみたいな小型のトラウト用の印象が強いけど、米国では大型のインスプールのリール(PENNさもなくばミッチェル)がストライパーやらスヌークやら海でキャスティングで釣るのに根強い人気があるというのは、あっちの釣りの本とか読んでて薄々知ってたけど、PENN社を吸収したやり手の印象のあるピュアフィッシング社が、商機有りとして復刻するほどだったとは正直驚いた。
 実際に、廃盤だった706Z、704Zを使い続けてたような釣り人からの評判は絶賛の嵐といっていいぐらいで、アマゾンのレビュー欄は多分米国アマゾンから引っ張ってきてるんだと思うけど星5つばっかりで熱烈なファンの思いがほとばしっている。
 「44年馬車馬のごとく一番の働きをしてくれたオレの704と同じく使えるゼ!」
 「メイドインUSA!!信頼できるし時代を超えて価値がある。」
などなど、熱いぜ本拠地米国のPENN使い。
 米国の、人の頭の上に爆弾落とすような部分には軽蔑を覚えずにいられないけど、こういう道具を長く愛着をもって使っていく姿勢には尊敬を覚えずにいられない。最新式のも売ってるけど古くから愛されてきたものも売っている米国市場の多様性を持った健全さをちょっと羨ましく思う。

 700番台の第1世代、第2世代のシリーズはPENN社最初のスピニングリールである「700」が1961年生まれであり、もう半世紀以上も前の古い設計のようだけど、今回復刻した706Zも含め基本的な設計は700のものを受け継いでいる。でも復刻版ではドラグノブが微調整しやすい第4世代に付いていたタイプにされているし、私の所有している時代のには第3世代SSと共通のドラグノブが付いてた。なんてことからも分かるように、半世紀以上にも及ぶ歴史の中でそういった細かいマイナーチェンジを繰り返しながら今も愛され使われているンだろうと思うと、そういう歴史を背負って多くの釣り人に愛されたたき上げられてきた「名機」を自分でも使ってみたい、コイツで魚釣りあげてみたいという思いが沸々と湧いてくる。

 っていうわけでまずは試し投げに行ってみた。実戦導入を想定すると、カリカリうるさいのがどの程度気になるのかかとか、3.8:1のギア比が7500SSの4.6:1とくらべると巻き取り速度遅く感じないか、マニュアルピックアップは何とかなりそうか、ドラグ性能がどのぐらいかとかとかみておきたいところ。
 今回、竿はいつも遠征予備竿に甘んじてもらっているゼナQのルーフエクスペディション83を選択。ラインはPE80lb137m+下巻きに4号180m、リーダーがナイロン200lbでスペーサーが磯ハンター25号という感じでGT用の仕立て。
 ルアーはオッサンポッピング用ポッパーからダイブジャーク用のダイビングペンシル、早引きペンシル、大型ミノーまで各種100グラムクラスを準備。
 実際にルアー付けて投げてみると、最初はベールワイヤーがないので左手でベールにラインを引っかけるのにアタフタするけど、左手側にベールが来るようにしてから投げればスムーズに引っかけて巻き取りに入れるので、ようは慣れっぽい。バンスタールが流行ったときも使ってる人はそうやって使ってたんだろう。コレはたいした問題じゃなさそう。
 肝心の投げて巻くということの性能に関して、投げるのは予想外に良い感じで竿との相性もあるんだろうけど、ラインを巻く幅が狭くてある種の密巻きになっているのがいいのか、ライン放出は引っかかりもなく素直で飛距離が出るように感じた。懸念の巻き取りスピード不足も、スプールの直径自体が大きいのもあってかそれほど気にならず、比べれば若干遅いかなという程度。その分重いルアーを巻くのに力が入れやすいので結局どっこいどっこいで特別高速引きが必要とかじゃなければ、今時のバコンとポッピングしてユルユルライン回収してまたバコンな感じのオッサンポッピングや、ペンシルをダイブさせて水中で平打たせてアピールするなんていうルアーをゆっくり魅せる動きを与える最近の私の釣りにおいては何の問題もなさそう。
 カリカリ音はうるさいっちゃそうなんだろうけど、逆転防止機構が薄い金属板でラチェットで挟む方式じゃなく、ラチェットにバネで丈夫なドックを押しつけて、逆転しないようにラチェットのギザに掛ける方式なので、構造は単純だし部品は丈夫だしで、信頼性の高い逆転防止機構になっていることを鑑みて音ぐらい大目に見るべきだと思う。
 一方通行のベアリングを使用した現在の主流の逆転防止機構は低温による機械油の固化による作動不良がおこるなんてこともあり確実性に難がある。ラチェットを薄い板で挟む方式は薄い板が金属疲労や衝撃で壊れたりする部分があってやっぱり確実性という点では劣る。その点ラチェットに同じ厚みを持った金属のドックをバネで押し当てる方式は、カチカチうるさいかも知れないけれど、壊れにくく動作の確実性が確保される原始的だけど信頼できる方式だと思っている。ちなみに逆転防止機構は今時のリールなら主軸に付けられているけど、706Zではハンドル軸に付いている。
 ドラグ性能については、河原の木の幹にリーダーを結んで綱引きしてみた。これも普段私がかけるドラグ値5~7キロぐらいだと、竿曲げて引き上げてみても、竿真っ直ぐにして走ってみても問題なく滑らかにドラグが滑ってくれる。もっとドラグ値上げてと多分20キロ弱ぐらいまで上げてみたら、リールがたわんだりはしなかったけど、密巻き気味に巻かれているラインが食い込む感じがあってあんまり良くなさそうだった。5~7キロドラグでドラグ値上げずに行くときゃ行かせてとるのが適切か。まあそれで30キロぐらいまでなら問題なく獲れるだろうという感触はある。
 
 つまり、実釣において特に問題が生じそうではないというのが今のところの試し投げなどした感触である。
 コレはそのうち実戦投入せざるを得ないなという気がますますしてきた。
 してきたんだけど、そうなると「大事なモノには予備が必要だ」と思う人なので、もう一台欲しくなってくる。くだんの輸入代行業者から買うと2万6千円がとこだけど、2台体制ならスペアスプールもあと2個ぐらいは買っておきたい。そうなると度々お世話になってる米国のPENNリール関係の専門店「Scott's Bait and Tackle」だとおいくらぐらいになるかなと調べようとしたら、お店のホームページが見つからない。一瞬潰れたかと焦ったけど、調べてみたら新しい名前で新装開店していた。「MYSTIC REEL PARTS」です。PENN使いの皆様お知りおきを(「お尻置き」って変換候補筆頭に出てきて、あんまりお尻好きって訳じゃないのに困惑)。PENNの部品を専門に扱う店舗が商売成り立つぐらいには道具を修理して使う文化が根ざしている彼の国に、やっぱり敬意を覚えるところ。
 で気になるお値段は本体が199.95ドル、スペアスプールは44ドルで2個買うとすると計300ドル弱で送料関税考えると全部で今1ドル110円がとこで4万円ぐらい。ちょっと収入が今後どうなるかあやしい状態でホイホイとポチるのがためらわれる金額になってしまう。

 ウダウダと悩んで、そもそも予備が欲しいのは壊れた時にすぐに代打が出せるようにってことだけど、706Zって自分の使い方で壊れるのか?という疑問が湧いてくる。
 7500SSで今まで起こった不具合って、ベールスプリングの経年劣化、投げた直後のベール返りの衝撃とかで壊れたサイレントドックの挟む薄い板、ネジが緩んで外れたベールワイヤーぐらいのもので、そもそもベールワイヤーがない706Zではこれらの不都合は起こりようがない。前述したけどドックは薄い板でラチェット挟み込む方式じゃない丈夫な方式だし、ギアも耐久性が高いらしい古式ゆかしいウォームギア方式である。
 そう、以前PENNネタで第4世代の430ssgが世界で一番最後まで生産されたウォームギア方式のリールじゃないかと書いたところ「ドイツのダムクイックレトロがまだ現役でウォームギア方式ですよ」と教えていただいたのだけど、まだ現役張ってるダムクイックレトロと復刻Zシリーズは並んだところなのである。
 ドイツ人もなかなかにやりおるかんじで、なんというか「古い方式だけどウォームギアが信頼できて良いんです」的なリール哲学があってそうしているのが想像に難くない。ダムクイックレトロはメインギア以外は今時っぽい造りで決して懐古趣味で作られているわけではなさそう。そういうリールが受け入れられる、みんな違ってみんな良い的な市場の健全さが羨ましい。日本製の高機能なリールとその後追いの似たようなリールばかりの日本市場には私の物欲をチパカシさせてくれるリールがとんと見当たらない。ピクリともこない。
 実はウォームギアは力の伝達効率的にはあまり優れてないらしい。ようするに巻き上げは重いはずである。でも別に706Zの巻き上げ重いともなんとも感じなかった。だってラインの先に100gだかのルアー引っ張ってるのに巻き上げの多少の重さの違いがどうこうとか関係あるかよ。巻き上げの軽さとかに異様にこだわる人達って、常にラインが張ってない状態で巻き取りするような上流に投げる系の釣りばっかりしてるんだろうか?それとも腕に乳酸溜まってパンパンになるような過酷なジギングに明け暮れてて切実に軽さを求めてるとかだろうか?そんな釣り人は稀で、多くは釣り場でリール巻かずにお部屋でクリクリしてるだけとちゃうんか?と常々思っている。

 今の日本の釣り具市場で10年以上使う前提の「耐久性」を重視して設計されている道具はリールでも竿でも希有だと思っている。だって買う方の釣り人が3年とか5年のモデルチェンジの頃には飽きて中古屋に売っぱらうんだし、買うときもカタログ数値の軽さ重視だし、魚ろくに釣ってなくても評価できる感度だとか飛距離だとかしか要望しないから、3年とか5年は壊れずなんとか持つ範囲で、なるべく軽く仕上げて買い手のご希望に添うような製品に仕上げてくるのは当然っちゃ当然だろう。
 逆にいうと、長持ちする道具なんてのは、壊れなきゃ買った人間が次の道具買うまでの期間が空くので商売としてはおいしくないので「丈夫な道具を売ってくれ」なんていう要望は今の大量消費文化の下においては無視されがちなのである。
 にもかかわらず、スピンフィッシャーZシリーズやダムクイックレトロはそういう少数派の声を聞き取ってくれて売ってくれたのである。
 そう考えると、一票入れて買い支えるために4万円がとこの支出は必要経費ではないか?評価するなら買うべきじゃないのか?と思うのである。正直706Zは1台あれば壊れることがあまり想定できないし、壊れても7500SSを代打で出してもいいんだから、今更2台目を買う必要性は低いと思う自分もいるけれど、それでもなおというやつである。

 というわけで、すぐには出番のあるリールじゃなし、じっくりと悩んでみたいと思っている今日この頃。
 皆様におかれましても、このなかなかに格好いい個性的なリールに興味があって、今時の優等生なリールにちょっと飽きたところなら是非清き一票を。
 706Z使いこなして良い釣りできるような釣り人とか、メチャクチャ渋くて格好いいと思うんですけどどうでっしゃろ?と、ピュアフィッシング社に頼まれてもいないのにもみ手して宣伝してみる。

※追加情報:スピンフィッシャー第6世代「Ⅵ」がもうすぐ登場!ワシャ買わんけどお好きな人はどうぞ。

2 件のコメント:

  1. こんばんは。久しぶりにコメントさせて頂きます。

    704Zカッコ良すぎですね。
    このサイズはさすがに大きすぎるので、714や716の復刻を熱望していますが、小型機種はさすがに復刻しても需要は無いですかね?
    カヤックなんかだと頻繁にリールが水没するので、メンテナンス性第一の単純機構スピニングリールがあっても良い気がするんですが……

    ウォームギアではないですが、個性の塊、時代に置き去りにされた設計のリールはフランスにもあったりしますよ(笑)。

    https://www.peerless-bam.fr/fr/40-surf-casting

    商品ページから分解図のPDFが見れるのですが、笑えるくらい設計が古いので一見の価値アリですよ。

    ギアなんかただのフェースギア。
    凝ったオシレーション機構もない。
    ベアリングもない。
    PENNのような知名度もない。
    しかしながら、こんなリールが市場に存在することを許される……

    フランス語のエスプリの意味を、「言葉」でなく「心」で理解させてくれるリールではないでしょうか。

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    1. nori shioさん おはようございます

       PENNの復刻版大型インスプールが売れたら、小型の716Zとかの復刻ももしかして、と思わなくもないです。アメリカは市場がデカいですから隙間産業的な商売はけっこういけるのかも。金型残ってたら新たに設計とかする必要ないですから安上がりですからね。

       しかしフランスのBAMはスゴイっすね。510Mはたぶん使ってる機構としてどのぐらい昔のものか「ベールアームは世界を回る」を読み直しながら確認してみたら、スピニングリールの始祖「イリングワース」の3代目「イリングワースⅢ」がマニュアルピックアップアーム、オフセットしてないフェースギアで初めて単純なオシレーション機構が搭載されたスピニングであり、遡ること”1913年”のリールで、100年前には基本的に存在した技術で作られているリールのようです。
       見た目も実に良い塩梅、懐古的でありながら近未来的に洗練されていて格好いい。
       おフランスの”エスプリ”にほとほと感心させられました。世界にはまだ私の知らない面白い魅力的なリールがあるんですね。

       日本のリールの高性能、高機能は誇るべきだと思いますが、最近竹中由浩先生のリール本を読み直していたら「リールの性能は普及品でももうある程度充分なところに行き着いたので、これからは個性が重要になってくる」という旨指摘されていて、日本が下請け生産で技術蓄積していったように、いま有名メーカーの下請けしている中国だったりインドネシアだったりから、そのうち個性的な釣り具が飛び出してくるんじゃないかとうっすら期待してます。

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  2.  

○リハビリ小遠征9月編より抜粋

(略)

 まあこういう日もあるさねと、明日はいつまで釣りになるか不明なので今日のうちに遊べるだけ遊んでおこうと、第2部は正治さんちの裏の海岸でぶっ込みで何でも狙い。カサゴやアナゴ系が主だけど、小さいサメの類いやウツボもきて、ウツボらしいアタリがあって根に潜られることも結構あるとのことだったので、3ピースの遠征用ライトGTロッドにリールは実戦初投入のスピンフイッシャー706Z、20号の錘にアカエイ用に作ってあったケブラーリーダーのハリにサバの切り身つけてぶん投げる。706Zなぜかラインの捌けが良くよく飛ぶような気がする。

706Z

 スーパーで買ったサンドイッチとおはぎ食いながら3時間弱ほど粘るも、3度ほどアタったんだけどゴツい道具立てがわざわいしてか食い込まず第2部もスカ。正治さんはジモチーだけあってキッチリとカサゴ釣ってた。

(略)

 

○2018.9.15ブログ再掲

失われた時を買い求めて


 ”TRUE TEMPER”という文字が目に入ったときに、いきなり頭の中に大学時代の釣り仲間であるアユ君の想い出が溢れかえった。
 アスファルトに降る夕立の匂いに夏の日を思い出したり、不惑をすぎて朝起きて枕から立ちのぼる臭いにオトーチャンを思い出したりというのは、紅茶にマドレーヌ浸して食べたら来し方を思い出したという小説家にちなんでプルースト効果というらしく、臭覚と味覚は脳の記憶野と結びつきが強いとか何とからしいけど、特定の釣り具の名前で想い出がよみがえるのはナニ効果と呼べば良いのだろうか。
 アユ君はおフランスのスピナー「セルタ」でアマゴを釣る渓流ルアーマンで愛機は大森製作所のダイヤモンド「コメット」。当時すでにインスプールのリールは時代遅れになりつつあると私など感じていた中で、彼はその大森製のリールが安いのに使いやすくて素晴らしいことを「めちゃくちゃいいんだっケ」と静岡弁で力説していて、その影響もあって大学時代に私が買ったスピニングは、コメットのアウトスプール版であるダイヤモンド「キャリアー」と同社最大のヒットシリーズとなったリアドラグのダイヤモンド「マイコン」で、使えば分かるデキの良さで私もすっかり大森ファンになったものである。
 そのアユ君曰く「最初に買った「トゥルーテンパー」っていうインスプールのリールが使いやすくて、パーツなくしたっケ同じのないか釣具屋で聞いたけどもう作ってないっていうから、同じようなインスプールのを買ったっケ」ということで、後に彼の実家に遊びに行ったときにドラグノブの無いそのリールを見せてもらったことも、その時お父上にシマヘビの干物食べさせてもらったこととかと一緒に想い出された。

 でもって、写真があるってことは反射食いして手に入れてる訳なんだけど、ここしばらくスプールの整理から始まって706Zをいじくってみたりしながら、スピニングリールのことを考えていて、「TAKE'S REEL ROOM」の竹中由浩先生のリール本「TACKLE STUDY」「TACKLE RESEARCH スピニングリール編」「マイナーリールの紳士録1~3」「Let's Inner Spool!」とか國吉昌秀著「ベールアームは世界を回る」あたりを読み返していた。
 読むとやっぱり古い歴史のある名作リールとかに興味が湧くし、TAKE先生にLet's Inner Spool!って誘われちゃうとワシもインスプールしてみたいなという気がしてくるのである。
 でも、以前にも何度か書いているように私はスピニングリールで投げるとき左手でラインの放出を調整しつつベールも左手で起こす人なので、ベールワイヤー無しのマニュアルピックアップ方式の706Zはともかく、ハンドル回してベールを返さないとベールを止める金具が歪んでしまう普通のインスプールのリールは使えない。TAKE先生がそういう人の手をして「熊の手」とおちょくっていて悔しいけど、ケン一のミッチェルのベールを手で起こして壊した前科が軽くトラウマになってるので、じゃあミッチェル408とか中古で買おうかとはならないのである。もう生産されてない名機を、ぶっ壊してこの世から1台減らすのが分かってて買うなんてのは釣り人として間違ってる。ああいう名機は資料的価値とかが分かって収集するのでもなければ、使える人間の手元にあるべき道具だと思う。金が払えるから買って良いなんてさもしい考え方はしたくない。己の身の丈に見合った道具を使わなければ格好悪い。若造がイキがって分不相応な道具手に入れて、その道具に相応しい腕に成長していくなんてのは許してやってもいいけど、ワシャ既にオッサンでベテランじゃけんのぅ。みのほどっちゅうもンも知らんといけんのぅ。
 というわけでインスプールしてみたいけど、706Zの出番はしばらくなさそうだし、シーバス釣るサイズのインスプールで、マニュアルピックアップ方式とかの熊の手でベールを起こしちゃう人でも大丈夫なのがないのかとか、まあスピンフィッシャーで困ってるわけじゃないので、インスプールのリールなんて使えなくても、アタイ別に悔しくなんてないんだからッ!とは強がってもみたんだけど、久しぶりに物欲がムクムクしてきて楽しいので、とりあえず安物でも手に入れていじくって、熊の手でベールぶっ壊したらいっそのことベールワイヤー取っ払ってベールアーム固定にしてマニュアルピックアップ方式に魔改造でもしてみるか?などと考えて中古釣具屋に行ったら、ゴミ一歩手前のガラクタのようなリールが積んであるワゴンにくだんのリールを見つけたわけである。

 見つけたんだけどこれが悩ましいリールで状態が悪い。巻き取りは普通にできそうで、回転もそれ程重くない。でもそれだけで、ドラグは固まってるのかそもそもそういう仕様なのかピクリとも動かない、逆転防止のオンオフスイッチも効かなくなってて逆転はしないのはグリスが固まってるのか部品が破損しているのか。ドラグかオンオフスイッチか最悪どちらかが生きていれば釣りはできる。オンオフスイッチは今使ってる430ssgでは省略されてるぐらいでドラグがしっかりしていれば無くてもいける。ドラグなしで逆転だけの場合も逆転させてラインをくれてやるというダイレクトリール的なやりとりの方法がとれるので、シーバス相手なら何とかなるような気がする。
 悩みつつも買おうかと値札を見たら迷うほどの値段でもなかった。399円なり。
 変な勢いがついてしまい、隣にあったオリンピックの歴史的ヒット作で、その後の日本のアウトスプールのスピニングの大攻勢の先陣を切ったらしい「モデル93」という右巻の重いサーフ用スピニングも同じ値段だったので買ってしまった。使わんがナ。使える御仁がおられれば送料だけ負担してくれれば進呈しますのでご連絡を。

 ということで我が家にやってきた「トゥルーテンパー727」だけど、足の裏には「TRUE TEMPER JAPAN」の刻印があるけど、そんなメーカー聞いたことないので、ネットでお勉強してみた。
 とりあえず「ヤフオク」に現物出てないかなと覗いてみると、イタリアのザンギ社製の「トゥルーテンパー333」というインスプールのスピニングが出てたけど、だいぶ感じが違う。「ベールアームは世界を回る」によるとザンギ社はOEM(相手先ブランド名生産)が多かったようなので、コイツもそれっぽい。ベイトリールの「904オーシャンシティ/トゥルーテンパー」というのも出てたので、その辺り調べていく。
 どうも本家トゥルーテンパー社はアメリカの竿会社というかゴルフシャフトも作ってた会社のようで、釣り具としては竿とリールが合体した「ユニスピン」というシリーズが有名らしい。塩味効いた感じのダイレクトリールとかも作ってたオーシャンシティーはトゥルーテンパー社に合併だかしたので両ブランド名のリールとかも存在したようだ。オリンピックが輸入代理店していたので「TRUE TEMPER JAPAN」の刻印があるリールはオリンピックが米国にあったトゥルーテンパー社のブランド名で作ったOEM生産モデルじゃなかろうかというのがネットの識者のご意見だった。
 トゥルーテンパーで検索掛けると「本間ゴルフ」というところのゴルフクラブが出てくるんだけど、どうも米国トゥルーテンパーブランドは最終的に本間ゴルフに買収されたようだ。どこの業界でも栄枯盛衰は世のならいか。
 ちなみに海外のオークションサイト「ebay」には「トゥルーテンパー727」いくつか出品されててやっぱり米国市場向けに生産されたリールというのは間違いなさそう。ebayにはスペアのベールスプリングも出品されてて欲しくなるけど、品物千円ちょいに3千円がとこの送料はらうのも馬鹿臭いのでグッと我慢して見送った。
 今回、あんまりリールの歴史に出てこないような無名機だったので情報少なかったけど、それでもそういうマイナーリールがお好きな方ってやっぱりいるようで、「播磨屋漁具研究所」「リールズのリールズ」「・・・ごみ竿ですが 何か?」あたりのブログやらにお世話になりました。っていうか読んでて時間を忘れるほど面白かった。特に「・・・ごみ竿ですが 何か?」のバカバカしくてお下品なことを本気でやってて無駄に程度が高い感じが、エロ漫画誌に掲載されてたバカ面白いギャグマンガ、例えば「パラ☆イゾ」とかを思い出させる感じで、パソコンの前で声出してワロタ。

 と、おおよその正体は分かったんだけど、このままじゃ使えねぇゼなので、分解清掃する。

 まずは固まってるんだと信じたいドラグから行くと、ドラグノブ外してドラグパット留めているCリングが固くて苦労したけど、細いステンレス棒穴に突っ込んで無理矢理閉じさせて何とか取りはずすと案の定ガッチリ固着中。
 引っぺがすと、凄くまともな感じの、スプールと一緒に動く耳付きワッシャーを真ん中にして上下薄いコルクのようなちょっと表面凸凹した材質のドラグパッドが金属ワッシャーで挟まれている5枚構造で、今時のドラグとたいして変わらない感じ。積年の汚れをクレ666吹き付けて歯ブラシで落とせるだけ落として、モリブデングリスをモリモリ塗って、またCリングを苦労しつつはめる。
 実用可能なレベルに復活してくれれば良いんだが、どうだろうか。



 でもって、本体の中は乾いて固まったグリスがグッチャリなんだろうなと覚悟して開けたけど、予想以上にグリス大量に入っていて笑えてくる。オイルシーリングのヴァンスタールじゃないんだから。
 でもおかげで部品はどれも腐食してはいない。
 カヤックで釣りする人間なら内部浸水を想定してとりあえず全面的にグリスは塗っておく、重くなるなんて関係ねえだろPENNだしよというのがPENN使いの常のような気がするが、その方針が結構効果あるらしいことが確認できたとともに、今までの私のグリスの盛り方はまだ足らなかったなと反省する次第である。

 内部の機構とか見ていくと、ギアは日本のスピニングの得意技ハイポイドフェースギア。
 スプール往復機構は単純なクランク方式。この辺「Let's Inner Spool!」で比較すると、オリンピックよりむしろ大森製作所のコメットと似ている気がするけど、オリンピックの
「シャルマン」は高級機種っぽいので単にその差が出たということか。
 逆転防止のラチェットは主軸のギアの上に付いてて、グリスの下に埋もれた金属板を長く細いバネで押しつけるタイプ。
 金属板の欠損もなくグリス取っ払ったら問題なく稼働しそう。

 ベアリングは主軸とハンドル軸のハンドル側の2個。ベアリングなんて主軸に1個ありゃ何とかなるだろと思ってたけど、ハンドル軸の特にハンドルが付く側には強い力が掛かって摩擦が生じるのでベアリング入れないと削れる恐れがあるとのこと。まさにその2カ所にベアリングを入れているコメットにTAKE先生は賛辞を送っていたけど、このリールも同じように2カ所にだけベアリングを入れている。なかなかに分かった設計のようだ。
 ちなみにベアリングもドロドロでクレ666吹き付けて吹きながら回して、吹いて回してというのを何度か繰り返してから、ダイワのリールオイルを注して、上下はボートのエンジンとかに使う耐塩性で定評のブルーグリスを盛って防水。
 
 本体にもギアにもこれでもかってグリスが乗ってないところがないように盛って、蓋をして蓋からはみ出たグリスを拭き取りつつ、リール外側にもなすりつけるようにして拭いてやる。
 ハンドルしばらく回して、オンオフスイッチ確認して、ドラグもスプール握って回してみて、まともに作動するようになったことを確認。
 グリス山盛りだったこともあるんだろうけど、そもそもベアリングとか錆びそうなめんど臭い部品が少なくて意外に機関はしっかりした状態で残っている。

 とはいえ、オリンピック製だとすると、TAKE先生のたまわく、オリンピックのインスプールは良い線行ってるけどベール返し関連が欠点で、耐久性のための開閉テスト基準が2500回と低かったこともあり、ベールスプリングがすぐに折れる。んだそうである。
 ベールスプリング折れたらそこまでよ、な使い切って惜しくないリールだとはいえ、実は大森製だったりして、とスプール往復機構とか、しっかりしたドラグとかみて期待したけど、細かいところを見ていくとどうもオリンピックだなという気がしてくる。
 時代ごとに変わるとかはあるだろうけど、会社毎の癖ってあると今回勉強して改めて思って、そういうのって細かいところで出てくるモンだと思っている。
 「氷菓」っていう「古典部シリーズ」っていう学園ミステリ小説を原作にしたアニメがあるんだけど、その中でマンガ研究会所属の登場人物が文化祭エピソードで、昨年の文化祭で買った同人誌を描いた人間と、今年のポスターを描いた人間が同じであることを「耳の処理の仕方が同じ、多分間違いない」と鑑定するというのがあったけど、今回私がオリンピックだろうなと思ったのは、外すのに苦労させられたドラグパッドを留めるCリング。先端近くを一旦絞った独特の形状なのを見て、同じ形のCリングをたまたま一緒に買ったオリンピックの「モデル93」も使ってたら正解かなとまた苦労して外してみたら、まあ苦労する時点でおわかりだと思うけど同じ形。写真の下の方がそのCリング。モデル93出番あったナ。

 もう一つ、オリンピック製を裏付けるのが、ベール返しの引っかける部分の構造。
 御丁寧にもベール返し機構の金具が無理矢理熊の手でベール起こそうとして折れてしまわないように、下に支える棚のような張り出しを作ってある。
 ベール返しをベールアーム側ではなく反対側に持ってきて重量を分散させているのとあわせ、良いアイデアだとTAKE先生も褒めているんだけど、ただこの低い位置に真っ直ぐの金具が来ていることは、サイトの方で詳しく解説されてるのを理解しきれはしなかったけど、要するにそれだけベールスプリングやらベール反転機構に負荷をかけているとダメだしを食らっている。
 ミッチェル308やらカージナル33やらは金具2回曲げて上のほうで引っかけるようにしているし、大森コメットは金具を縦にして高さを確保していてリールというものが良く分かっている設計だと賞賛されている。


 ただ、この金具を下支えする工夫は、私のように熊の手を持つ男にとってはとってもありがたいものだということを実感している。このリールの大きさは前の持ち主がスプール裏にストレーン8ポンドというシールを貼ってたことからも8ポンドナイロンラインで釣るシーバス用にちょうど良い感じで、スピンフッシャーだと写真のように4400SS級なので、早速今夜にでも早けりゃ使おうかとライン巻いてみたんだけど、ライン巻く段階からベール手で返そうとして「あっこれインスプールのリールやった、ミッチェルならもう壊してたな」と何度も思ってしまう状況だった。

 なんとかラインも巻き終えて、名前のプレートが剥がれてた所に何かないかなと思ってカレンダーだったかについてたカモメのシール貼って、出撃準備完了である。
 このリールに稽古つけてもらって、右手の人差し指でフェザリング、左手でハンドル巻いてベールを返す。という一連の基本動作が身につくと良いんだけど、ベイトリールで引き手でサミングする方式を練習したときは、慣れない体の使い方で背中から肩からガッチガチに凝り固まって酷い目に遭ったのを憶えているのでやや不安。でもまあ挑戦してみるか。

 調子よくて、インスプールのリールでも楽しく釣れるようになったら、その頃には多分ベールスプリングの寿命が来てトゥルーテンパー727はお役御免だろう。
 次同じのを手に入れることも可能だとは思うけど、パーツが手に入らないのをまた買うのもちょっと不毛かなと感じる。
 そうすると、別にインスプールはそれでおしまいでも良いんだけど、まだ未練があるなら、今でも愛用者多くてパーツも修理用に純正じゃないのを作って売ってる人とかいると思うので、ミッチェルかカージナルかに定石なら行くんだろうけど、まあ私の場合はPENNよねという感じで、714Zか712Zを中古で探して買うんだろう。
 パーツが「MYSTIC REEL PARTS」で入手しやすいというのに加えて、実にPENNって真面目なリール屋さんで、ちゃんと金具をコメットみたいに縦にして高さを確保したうえで米国人が豪快にベールを手で返そうとしても返せないように、裏支えする張り出しもちゃんと作ってあるのである。
 TAKE先生は設計はよく考えられてるし個性もあって良いけど、丈夫にするため金属の部品が多くて重いのがちょっとナ的な評価だったけど、ワシ米国人と一緒でそういう重くて丈夫な造りに安心するンです。

 というわけでピュアフィッシングさん、スピンフィッシャーのデカいインスプールに引き続き小型のインスプールもよろしくお願いします。
 インスプールのリールについて勉強して実際に手にとってバラして組み立て直して、その歴史やら思想的なものや味わいの一端に触れることができて、知れば知るほどもっと興味が湧いてきた感じで、既に持ってる706Zの予備機と違って小さいのは迷わず出たら買うぐらいの勢いが今の私にはありまっセ。なので確実に1台は売れるのでどうぞよしなに。

4 件のコメント:

  1. こんばんは。
    お力になれそうな記事なので、コメントをば……

    羨ましいリールを手にされましたね。
    推察通り、こいつはオリムピック製です。
    サイズ違いがオリムピックの1976年カタログに載ってます。

    https://blogs.yahoo.co.jp/sanchin5677/12571571.html

    ヤフオクにてたまに流れていますが、状態が悪くても5000円以上、良ければ10000円くらいはしてたかと思います。

    ベイルスプリングは須山スプリングさん(http://www.suyama-bane.com/abu.htm)に現物送れば制作してもらえるかと思いますよ。
    実釣やレビューを楽しみにしています。

    ちなみに当方、シャルマンを使っていた事があるのですが、メンテ時にベイルアーム固定ネジの頭が折れました。
    大森はここのネジが真鍮製ですが、シャルマンはおそらくアルミ製で折れた断面を見たら、そりゃ折れるわなと思う厚みと形状でした。
    トゥルーテンパーが同じかは分かりませんが、ベイルアームの固定ネジは要注意かもしれません。

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    1. nori shioさん 情報ありがとうございます!

       自分と同じぐらいの年齢のリールだと思うと、また愛おしさが増します。
       カタログ面白いですね。私も捨てられず段ボールに詰めてあったカタログを「自炊」してあるのですが、データ化すると探すのが楽で具合良いです。

       それにしても意外に値段が付くのに驚いてます。何せ399円とお買い得価格!

       ベールスプリングだけ壊れてる懐かしいリールがいくつか蔵に眠ってるので、経済的に困窮したらパーツ作ってもらって直してオークションで小金稼ごうかしら?手元に置いておいてたまに眺めたいですが墓場まで持ってけるわけじゃないのでそのうち整理しないととは思ってるのですが踏ん切りが付きません。

       ベールアーム固定ネジは確かにアルミっぽい白系の金属です。注意して扱うようにします。

       昨夜出撃して、惜しくも一バラしでした。リールは機関快調なれど糸ヨレ多しという感じで、原因考察とか含めて顛末記に書こうかと思いますのでそちらも読んでみて下さい。

       ネット情報より詳しい人に教えてもらうのが早くて役に立つというのを再認識しています。これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしますね。

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  2. コメント返しありがとうございます。

    自分も思春期の頃、釣具屋にアルテグラを買いにいったはずが何故かミッチェル308Xを購入、その流れで竹中さんのサイトに出会ってしまいリール感に対する洗脳……もとい薫陶を受け、健全なリール道を踏み外したクチです。
    特に5年ほど前、マイクロセブンのジャンク品をワンコインで手に入れ、その出来に感動。
    以後、大森を中心に古めのスピニングとそれに関する歴史資料を蒐集しています。(ほとんどがネット&古書由来の情報ですが……)

    しかしながら、自身が昭和最後の年生まれなので、実際にこれらのリールが活躍していた時代の空気や業界の趨勢を知っている方のお話は読んでいて本当に面白いです。
    特に今回の記事冒頭の「アユ君」のようなエピソードを交えて、古いリールを楽しめる方がとても羨ましいです。

    自分も気になるリールの収集が一段落し、実釣に出せないリールの置き場に困っているのですが、価値の分からない人に所有して欲しくないというエゴもあり手放せずにいます。
    それこそ、釣り文化資料館(https://hebinuma.com/2016/06/19/tsuribunkashiryokan/)のような場所でキチンと展示して頂けたりしたらそれこそオタク冥利に尽きるのですが……興味のある層がニッチすぎるかもしれないですね。

    あと、糸よれに関してはベイルアームの角度と、ラインローラーの回転が命かと……
    竹中さんは「あえてラインローラーが回転しないことでヨレをしごき出す」説を提唱していましたが、自分の経験上では少しでも回ったほうがヨレにくいのは確実だと思います。

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    1.  竹中先生も罪作りなお人や!

       でも「洗脳」されてるなとわかって楽しんでる分には問題ないでしょう。メーカー側の垂れ流す情報に無自覚に洗脳されてるよりよっぽど健全だと思います。

       竹中信者は草の根的に結構いるのか、コメットとかどのくらい出したら中古で買えるんだろうとヤフオクの落札相場覗いてみたらGSとか普通に2万円超えてて驚きました。大森全体的に人気っぽいですが、その中でもコメットだけ異質な高値で信者のお布施だと推察します。竹中さんが儲かるわけじゃないけど。

       私もフェンウィックがグラスのUSA製ランカースティックの時代じゃなくてカーボンの台湾製イーグルの世代だったりして、いわゆるバスブームのオールドタックルの時代にちょっと乗り遅れてたり、音楽でも今でも良く耳にするような洋楽がちょっとお兄さんの世代の音楽だったり、就職時期にバブルがちょうどはじけてたり、何かと乗り遅れた感じのある世代を生きてきましたが、ちょっと上の世代のやってることがなにか格好良く見えるなんてのはどの世代でも感じることで、私もnori shioさんも自分の生きてきた時代をちゃんと楽しめてると思いますよ。
       シマノじゃなくてミッチェル買っちゃった青春なんて最高じゃないですか。

       ラインローラーは汚れ落として注油はしてあるので回ってはいるのですが、ベールアームは写真でも分かるように傾いてしまってるので対策検討中です。早速のアドバイス感謝です。

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○9月15日顛末記より

 雨が降ったり止んだりの秋の空シトシト。土曜は夕方には雨上がって濁流になるほどは降ってないのでシーバス釣るには良い塩梅かなと、夕ご飯食って20時頃近所ポイントへ。

 さすがに休日秋の雨上がりとあって釣り人多く、2本目橋は2人ほど先行者有りだけど対岸が空いてたのですかさず入る。

 今宵は自分の中で盛り上がってる「インスプール熱」の症状が悪化して買ってしまった「トゥルーテンパー727」と竿はいつものアグリースティックライト7fで、ルアーはとりあえず濁りあるかなとロングAで始める。

TT727

 キャストは最初やっぱり左手でベール戻そうとしてしまったり左手でサミングしてたりで、ミッチェル買ってたら何台壊してたかという感じ。ベールを返す方向を逆にしないと指が突っ込みにくかったりと、ぎこちなくも右手の人差し指でライン放出を調整してハンドルくるっと回してベールを戻すというのにもだんだんと慣れてきた。と思って油断してルアーを重心移動搭載のハードコアリップレスにして遠投を楽しんでいたらライントラブル。

トラブル

 明るいところで投げてみて分かったけど、しっかり右手人差し指でラインを止めて竿立てながら糸張ってベール戻さないとワッカがチョロッと出た状態で巻いてしまってトラブルにつながる感じ。いつものベール手で戻す方法ならラインを手放してからベールが戻るまでの時間差がほとんどないので問題ない程度でも、指離してからハンドルくるっと回す時間の分は間が空くので駄目っぽい。その後はキッチリ意識して投げたら大丈夫な感じだった。ライン最初なのでスプールいっぱいぐらいに巻いてたのをトラブった分切ったのでライン巻き量もちょうど良くなったのかも知れない。

 機関良好で回転も重いとか不具合はなく良い感じっていうか軽い。飛距離も結構出てるし今のところ良い感じ。ドラグも自転車のカゴにハリ掛けて試した範囲では滑り出しも良くシャクリもせず上デキで、自分と同世代の40年選手なリールだけど投げて巻いてぐらい問題なくできていてちょっと感動的。

 濁りは思ったほどでもなく笹濁りていどで、たまに捕食音が遠く聞こえたりするのでフッコスペシャルに換えて粘っていると下流側で、ピシャッと小さいのが出たけどかからず、活性はそれなりに良さそうなので他の場所も探らねばと移動。

 3本目橋上流下流の岬まわり不発。

 商業施設の灯り下はコイがゴミ拾ってるなとおもいつつ、下流護岸際ながしているとコンッと2度ほどアタって、いるなと思ってフッコスペシャル投げていると、水面バシャッと出てヒット。しかし最初の首振りでバレてしまう。40チョイナぐらいだったけど惜しい。

 その後おなじような感じでやや下流で2度ほどアタったけど小さい感じで掛からず。ただたまに10センチ前後のイナッコが追われているので、ルアーローテしながらモグラ叩きして粘るも不発。イナッコ追われなくなって移動。

 3本目橋には釣り人入ってたのでちょっと端で投げただけで、また移動で水門、ネット蛇篭まわりを狙うも不発。2本目橋1本目橋は人貼り付いていて入れず、さらに上流の橋の下の明かりと流れ込み周辺は入れたけど不発。

 11時頃になって、増水の影響でまだ潮引いてないけど過ちポイントへ移動。

 結構魚ッケあってたまに良いサイズっぽい捕食音が聞こえるけど、フッコスペシャルとラパラJ9で狙って行くも反応せず、地道に障害物回りと地形変化撃っていくとたまにセイゴっぽいアタリがあって、そのうち小マシなサイズも食ってくると粘るもこれがどうにもこうにもで、24時くらいに本日2度目のライントラブル。

ローラが斜め

 今度は、ちょっとラインを切ったぐらいでは修復できない感じにラインが酷くヨレててスプールから引き出すそばからビミニツイストできるぐらいにヨレていく。ラインに縒りが入るのってラインローラーのところでラインが傾斜を転がりながら巻かれると起こるんだそうで、だからラインを真っ直ぐ巻けるように今時のスプールには角が作ってあったり溝が掘ってあったり1カ所で巻き取ってラインが転がらないようになっているらしい。

 このリールは写真のようにラインローラーの部分が傾いてしまっている。ローラー自体は回っているけど傾きを何とかするのが必要かなと今のところ思っている。ベールを戻したときにカシャンとベールアームがぶち当たるところに設置されている衝撃吸収するゴム系の樹脂の出っ張りがペッタンコになってベールアームが戻り過ぎてるんじゃないかと思う。なのでゴムを上手く外して細いパイプかなんかを切ったモノで下駄を履かせるのかなと思案している。

 スピニングのラインが縒れるのって久しぶりの感覚で、最近(っていってもssgですら10年前の設計だけど)のリールは良くなってるんだなと実感。昔、村田基先生がラインはスピニングなら4時間労働、ベイトなら8時間労働が目安と書いてくれてたけど、その通りに4時間でラインが駄目になって残業なしは働きが悪いと思うブラックな雇い主。なので、替えスプールもないし調整して4時間越えて余裕を持って働いてくれるように仕上げていきたい。

 使えなくなる事態は想定されていたので予備に持ってきていたいつもの430ssgに登場願う。ウォームギアが「巻き上げ効率は悪いけど滑らか」というのを実感できた。今時のリールと一緒のハイポイドフェースギアのトゥルーテンパーは意外なぐらい軽快で、比べると430ssgはちょっと重いぐらいに感じたけどネチョッと滑らかな感じの巻き心地。

 良い感じの潮位になったなか25時くらいまで粘るもスカ。夏は猛暑で鳴りを潜めていた蚊にも刺されながら頑張ったけど無念。このぐらいの魚ッケがあったら1匹2匹釣っておかないと近所ポイントでは釣りにならないので、インスプールでクンフー積みながらキッチリ釣れるように調子上げていきたい。スカ食ったのは心底悔しいけど、シーバス釣りで久しぶりに新しい(古いけど)リールを導入するのは新鮮な温故知新的体験で楽しい。

 

○9月19日顛末記より

 2日連続で夜雨が降った。昨日はアユ釣ったので、シーバスも様子見ておきたい。リールも調整したし。

 ラインローラーが水平になるように手のひらの上の方のつまみのような感じでベールアームを受けるゴム栓にゴムチューブで下駄を履かせたけど、差し込む足が短くなって落ちそうな不安があったので竹串とゴムチューブで新たに作成した。2枚目の写真ラインローラーの下の蛍光黄色の部分が装着した状態。

 20時前から始める。今宵は潮は上げてからそれ程動かない潮。でも2本目橋は両岸釣り人入っていて人気。

 3本目橋から始めて、上流明暗でコツンとセイゴっぽいアタリがあり期待するもそれっきり。フッコスペシャル中心に、ハードコアリップレス、ラパラJ9も適宜混ぜつつ移動していく。

 商業施設の灯り下は今日も2発ほどアタったけどセイゴっぽい。追われてはいない。

 水門、ネット蛇篭、空いてたので2本目橋と無反応で、1本目橋はイナッコはいてルアーに驚いているのか追われてるのか微妙な動きはあったけど食ってこず。

 排水ポイントから過ちポイント周辺、2回ぐらいセイゴっぽいアタリがあったけどそれなりサイズの気配はなく終了。

 3時間でライントラブルは一度軽くワッカが出てたぐらいで、すぐほどけて割といいかんじ。次回も巻き替えずに使ってどのぐらいの時間でラインがヨレヨレになるか把握したい。

 まだ魚の動きが上手くとらえられていない感じで調子が出ないけど、コレからだんだん状況は良くなると期待したい。

 

○9月22,23日顛末記より

 秋雨が2日ほど降ってあがって秋晴れの土曜は適度に濁りも出てるだろうと近所ポイントにシーバス狙いに。

 日没後に出かけると、濁りは笹濁りぐらいの良い塩梅でゴミはそれなりに流れている。とりあえずここのところ2本目橋には人が入ってて、商業施設の灯り下は魚が入ってるのでフッコスペシャルで狙っていくと、やっぱりいて足下近くで30前後のセイゴが出たけどかからず。しばらく粘っているとイナッコが追われ始めたのでルアーをフッコスペシャル、インビンシブル、ハードコアリップレスと換えながら狙っていると1発当たったけどまた掛からず。追ってるシーバス小さいのばかりなのか捕食音がチュボッっとかショボい。

 潮が下げ始めて魚どっか行ってしまったので、3本目橋まわり、水門、ネット蛇篭、1本目橋と回って、良い感じの潮位になったので過ちポイントに移動。今一魚入ってないのかたまにセイゴ臭いアタリがあるのみで、排水脇ポイントと行き来しながら23時前まで粘るも、セイゴ1バラしのみ。

 トゥルーテンパーは前回とあわせて7時間労働のナイロンラインがそれほど縒れていないので、ラインローラーを水平に調整したのは効いてるみたいだなと思ってたら、竹串が耐えきれずに折れてしまってた。

 ベールが返ったときにガシャンとかなり強くベールアームがぶつかるので耐久性が必要なようだ。色々と考えて、我が家の一番太いショックリーダー270lbの先をアブってキノコのようにして、高さ調節兼衝撃吸収でゴム管を噛ませ、リーダーの太さをせき糸と瞬間接着剤で穴に合わせてはめ込んだ。

 これなら丈夫だし抜けもないだろう。

 シーバスなかなか小マシな大きさのが見えてこない。コレからなのか今期はハズレなのか。とにかく雨降ったら様子見続けるしかないか。

(略)

 

○10月6日顛末記より

 台風2連発直撃は関東は避けられたようで、日本海側に抜けそうになってて(自分ところだけ大丈夫ならいいんかって話だけどね)雨は今日ぐらいしか降らないようだ。ご近所シーバスこれまでパッとせず今期はあかんのとチャウか?という気もしてきたところだけど、それでも定点観測的に行っておくのがシーバス野郎というものだろうと日没17時半頃に小雨の中カッパ着て出撃。けっこう寒い。

 明るいうちから下げてる潮周りで、下げで雨なら実績有りの3本目橋周辺から始める。濁りもゴミもたいしたことなくて、ベイトもいなけりゃバイトもない。フッコスペシャルとハードコアリップレス。

 1時間ほどで見切りつけて、今期唯一と言っていいぐらいましな魚ッケがある商業施設の灯り下に移動するも、コイが餌食ってるだけでセイゴ臭いアタリすらないなと、下流岸際、やや沖目とじりじり下りつつフッコスペシャルで探っていくと、しばらくして岸際で明確なアタリ。アワセ食らわすと乗った。水面首振ってから沖にゆっくり泳いで行く中追いあわせ。トルゥーテンパーのドラグ割とというか充分に滑らかでヂィーィッという感じのいい音させてくれる。

 何度か沖に走ったけどそれ程大きくもないので割とすぐに寄ってきて落としダモに収まってくれた。

ツルーテンパー

 50ぐらいのレギュラーサイズだけど苦戦が続いてたから嬉しい。調整も良い感じに仕上がってきたトゥルーテンパーでの初の獲物というのもまた喜びひとしお。我が顛末記でスピニングがPENNじゃないってのもひょっとして初か?

 とりあえず今日はこれっきりかもしれんけどモノにしたなと、引き続き投げていくとすぐに沖目でギラッと食ったけど掛からず。魚おるおる。

 下げ潮がきつい感じに効いてるのが良いのか、その後も上下移動しながら粘ってるとポツポツとアタルけど小さいのか食いが浅いのか掛からない。あまり濁ってないのでおとなしいフッコスペシャルの日だと思ってたけどもっと動くルアーで強く反応させた方が良いのかとインビンシブルDRに変えると沈黙。やっぱりおとなしめかとフックぶら下げて2本付いている自作シンペンに換えると水面でセイゴが派手に出たけど掛からず。

 反応なくなってきたので、上流へ移動しながら水門、ネット蛇篭と狙うも不発。2本目橋は相変わらずの人気で雨の平日夜に両岸釣り人あり。

 そろそろ下げ止まり近くなってきて、魚が入ってきたなら過ちポイント方面も気になるので移動。しかし、良い感じの潮位なんだけど、過ちポイント前後も排水ポイントも不発で、再度商業施設の灯り下に戻る。

 21時過ぎて下げ止まりから上げ始まって、一発あたったけどそれっきりなので雨も激しくなってきたし撤収かなと思いつつ、今日まだ攻めてない1本目橋は下げた時間に実績あるので最後狙ってみるかと移動。途中2本目橋やや下流で水面なんか食ったくさい動きが2度ほどあったので狙うも不発で1本目橋下へ。

 橋の灯り下からフッコスペシャルで狙っていき、やや下って明かりが届かなくなるあたりでヒット。50ないぐらいだけど元気に跳ね回ってる。だがしかし、落としダモ出すのにアタフタしてたら足下でバラした。クッソ。

 その後、フッコスペシャルとハードコアリップレスでちょっと粘るけど一発アタったのみで終了。

 魚やっと近所にもやってきたようで結構反応とれたけど食いが浅めで苦戦した。でもまあ1匹釣れたので文句はない。あんまり爆釣するような状況になると人山立って釣りにくくなるので、そこそこ反応拾えて1匹2匹釣れる今晩ぐらいの釣れ方がちょうど良いように思う。

 トゥルーテンパーの糸ヨレはラインローラーの角度を水平近く調整したことで全く問題なくなったと思う。40年以上前のリールだけどドラグもちゃんとしてるし、魚釣るのになんの不自由もない。40年でスピニングリールもかなり進化したことは確かだと思うけど、40年前には既に基本的な機能とかは備えてたんだと得心。まあ当時の人も釣って楽しんでたんだろうから当たり前だわな。40年分の道具の進化の差違なんて釣り場に魚が居るかどうかの差と比べたら、まったくもって取るに足らない差違だと思う。好きな道具で釣りゃ良いジャンといつも書いてるけどまた書いておく。

 

○10月19日顛末記より

 あの雨ばっかりの9月はなんだったのかというぐらい雨が降らない。かといって秋晴れでもない日が続くが今日は降りそうな予報だったので期待したけど、たまにパラつく程度で増水や濁りは期待できない。けど、準備も整ってるし季節もイイしで日暮れとともに出撃。今日は明るいうちから下げ始める潮。

 17時過ぎまだ薄明かりの中、過ちポイントひとつ上流から始めるが反応なくすぐ過ちポイントへ。こちらも反応なく魚入ってないかなと暗くなったなか排水ポイント。セイゴっぽいアタリがたまにあるなと思ってたらヒット。やっぱりセイゴ。

セイゴ

 今日は濁りも出てないので、フッコスペシャル主体にたまにインビンシブルと自作シンペン水面引き波たててという感じ。

 移動して良い感じに下げが効いてる3本目橋前後はセイゴっぽいアタリのみ。今年魚の入ってることの多い商業施設の灯り下はやっぱり魚ッケあって、あまり見たことないプランクトン食ってるような動きの15センチぐらいの魚と10センチぐらいのイナッコが居てイナッコたまに追われるくさい動きがあるので、徐々に下がりながら沖目、岸際と下流側に投げているとセイゴ臭いアタリはあるもののフッキングしないので、ハリを真っ直ぐなハリ先のにしたフッコスペシャルで「掛け重視」で狙ってみる。

 そろそろ灯りの影響が途切れるあたりの護岸際で食った。ガシガシ追いアワセ食らわせて首振って沖に出て行ったのを寄せてくると割とあっさり寄ったけど、足下で結構突っ込んでタモに誘導できずにもたつく。直前で反転して仕切り直しで再度浮かせたらポロッと外れた。クッソなんでやねン。掛かりどころは口の横で良いように見えたけどやっぱりねむったハリの方がバレにくいってのは影響するのか?ホントの所はもっと数こなさないと分からないけど、こういう痛い目にあうと印象が悪くて投げる気が失せる。ということでねむったハリに戻すもその後は反応なく移動。

 水門、ネット蛇篭は今期魚が付いてたことがないけど好転するのだろうか。2本目橋も空いてたので狙ったけど反応なく、1本目橋下も今日は魚ッケなし。再度過ちポイントに移動。21時近くなってそろそろ下げ止まりか。

 下流側入ったすぐの岬沖でセイゴっぽいアタリ。上流側杭周りと地形変化を狙って2発ほどセイゴじゃないだろなバイトをとるも掛けられず。最近掛け損ないが多い気がするなとフック2本の自作シンペンにするも水面引きで出たけどやっぱり掛からず。今日はそういう日なのか。戻って、入ったすぐの岬沖、再度フッコスペシャルで通すと食った。あまり暴れないけどセイゴじゃないサイズ。潜ってる間に念のため追いアワセ食らわせてゆっくり寄せて無事タモに収める。

フッコ

 50真ん中ぐらいのレギュラーサイズ。先刻セイゴしかいない感触だったけど、あれも掛けてたらこのぐらいあったりして。まさかね。

 魚ッケはある夜なので再度商業施設の灯り下へ。自作シンペンしばらく投げてて、沖目遠投で食った。最初なんか水面で食ってるのがいるなと思ってたら首振り始めてルアーに食ってるんだと分かって慌てて追いアワセ食らわすけど珍しく遠投してて掛けたのでナイロンラインが伸びてアワセが効いてるんだか効いてないんだか。寄せてから追いアワセだなと上流に泳いでいくのをカニ移動しながらライン回収。サイズは60ありそうな良い感じ。だいぶ寄ってきて魚体が浮いてきたなと思ったら反転して突っ込んでポロリ。クッソやっぱり掛かり甘かったか。シーバス釣りでバラしは税金みたいなモンやけど、遠くで掛けたらもっと護岸走りながらライン張って大あわせせんといかんナ。

 その後は反応なく、灯りが効いてるんなら下流の砂州ポイントの対岸も結構明るい照明あったよなと移動。こちらは釣れてるのか人山状態で橋周り3人ぐらい釣り人貼り付いてたけど、狙うのはそれよりやや下流。狙いは合ってたのかセイゴはどこにでも居るのかセイゴっぽい2バイト。

 22時過ぎて帰りがてら再度商業施設の灯り下は反応なく、過ちポイントも反応なく、最後フッコ釣れた岬周りはまたセイゴ臭いアタリがあって、でも1回のみで掛からなかったので下流に回って狙ったら、足下でゴミ掛けたような重み。ライン張ってみると魚がイヤイヤと首を振るのであわせるとドラグ締め目なのでその場でグネングネンと暴れる。変な暴れかたしてるなと思ったらマルタ。60弱の今日一サイズで楽しませてくれた。

マルタ

 排水ポイントも探って終了。雨は途中パラパラッと降った程度だったけど、意外に魚の活性は良かった気がする。濁り出るほどでなくても雨の日は吉なのか、たまたま時期的に良かったのか、間置かずに確かめに行っておきたいところだけど、ちょっとお疲れ気味なので体調と相談だな。バラした2匹のうちどっちか獲れてるとより良い感じだけど悪くはない釣れ具合。

 

○10月20日の顛末記より

 晴れたらどんな塩梅か確認しに行くつもりで夕暮れ出かけようとしたら大粒の雨。「海快晴」の予報では夕方から降るとなってたけど秋晴れだったのでハズしたと思ってたら見事に当ててた。金払う価値がある情報。

 雷だけ鳴ってこないか気に掛けつつ、爆釣を期待して豪雨の中出撃。

 降り始めなのでまだ濁りは出ていない排水ポイントをチェックするもセイゴのアタリもない。また後で濁りの中釣ることにして移動。

 3本目橋は反応なく、寒くなってきたのでアユシャツ着込んで期待の商業施設の灯り下へ。下げてる中最初魚ッケなかったけど、徐々にイナッコが水面チラホラし始めてたまにセイゴっぽいのが追っている。

 しかし反応ないので自作シンペン水面引き、フッコスペシャルと下がって上って粘るけど音沙汰なしで、まだ濁りって程濁ってないけど動きのあるルアーの方がいいかとインビンシブルDRに変えるもやっぱり違う気がして、おとなしめに戻して中ニョロ蛍光黄色。

 1発足下でバコッと食い損ねて、ちょっと上流に上がって沖目上流斜めに投げて流れ横切らせていたら下から出て掛かってグネグネしているのをオラオラとしつこめにアワせておく。バレるなよと祈りつつ寄せてきたらなぜかポロッと外れた。追いアワセもしっかりかけたのにバレるときはバレる。

 粘ったけどその後反応がないので、水門、ネット蛇篭、2本目橋下、1本目橋下と探るも反応得られず意外に渋め。

 底りちかく良い時間だと思って過ちポイントに移動すると、少しタイミングが遅すぎてこちらは既に濁流状態でしばらくラパラJ9で粘るも反応得られず。

 雨も小降りになり、再度2本目橋から下っていくと、ネット蛇篭上流あたりの浅場にイナ・ボラが溜まってて期待したけど追われている様子もなく反応得られず。

 再度、商業施設の灯り下にはいるとセイゴサイズの魚がパシッパシッと散発的に水面で何か小さい餌を拾ってるのに混じって、ごくたまにバシュッと小マシな捕食音。しばらく自作シンペンとフッコスペシャルで粘ってフッコスペシャルに足下でバシュッと出たけど掛からず。セイゴでも釣るかとサイズ下げたルアーをあれこれ試すも不発。

 22時前に諦めて撤収。昨夜ほど活性高くなくイマイチ法則が見えてこない。雨ならイイってモンでもないのか?人は少なくて釣り場がどこでも入れるのはありがたいので今後も雨ならとりあえず行っとけだとは思う。

 

○10月27日顛末記より

 午前中まで雨でシーバス釣るにゃ良い条件。Kさんも合流して夕方潮止まりあたりから始めて下げを釣る。

 とりあえず2本目橋から入って今期魚がついてないネット蛇篭、水門、3本目橋を軽くチェックしつつ本命の商業施設の灯り下に到着すると、なんと先行者有り。しまったちょっと出遅れたけど、2人して下流側に入る。割と広い範囲に灯りの影響はあるのでまあ釣れるだろうと思っていたら、久しぶりに甘さの比喩を考えなければならないぐらい甘かった。ジュクジュクに熟した柿より甘かった。

 魚は間違いなくいた。餌ッケもあって目の前で追われてる動きもちょくちょくあった。にもかかわらず食わせられない。食わせられないのはままあるっちゃあるけど、なぜか先行してたほんの20mかそこら上流のオッチャンはサクサク掛けてて4つぐらいは釣ってたんじゃなかろうか。

 結構粘ったけど2人ともメゲた。移動して今期やや魚ッケのある1本目橋下。やっぱり多少魚ッケはあってKさんは1バイトとったようだった。でも展開がないので、過ちポイントへ移動も反応なく、再度商業施設の灯り下に移動。オッチャン居なくなってたけど餌もいなくなってて雨上がりのゴミが絡むのみ。

 予想外の方向に苦戦して苦杯。釣れると思ってたんだけど面目ない。今年餌のイナッコが少ないのかいるところが限られてて昨秋ついてたような地形変化にシーバス付いてないのでやや難しい状況が続いている。新しい手も考えながら情報収集していくしかないか。Kさん懲りずにまた行きましょう。

 

○2018年10月27日土曜日ブログより

紡ぐ糸巻き


 頭の中をスピニングリールのローターがグルグル回っている。

 今年四十路後半にして初めてインスプールリールに手を出して使ってみたら、いろんな発見や新しく気付かされることが多くて、ものッすごく楽しめている。
 使ってみて率直に思ったのは「インスプールのリールって意外と実用的ジャン」というところである。
 今のところ使ってみているオリムピックがトゥルーテンパーのブランド名で作ってたトゥルーテンパー727も、PENNスピンフィッシャー706Zについても、道具としての熟成度的に洗練されていなくて荒削りな部分はあるとしても、使ってて不愉快な不具合とかは少なくて、むしろ40年とか50年も昔の設計なのに、使ってて心地良く感じる部分が多いのである。インスプールのスピニングなんて骨董的な価値を楽しんで「不具合も愛でるんです!」的な面倒くせぇものかと思ってたけど、ぜんぜんそんなじゃない。
 トゥルーテンパーについてはベールアームが当たる部分のクッションがだいぶへたって沈んでラインローラーに角度がついてしまっていたので最初糸ヨレが酷かったけど、ラインローラーが水平に来るようにクッションを自作してやったところ、糸ヨレは実用上問題ない程度に収まっている。
 両機種に共通するのは、なんというか投げたときのラインの自然な感じの抜け具合が快適に感じることである。
 おそらく、平行巻(オシュレーション)機構が単純だった時代に設計されたこともあって、スプールの高さがとれずある種の密巻きになってて、スプールの径は逆に巻き取り速度を稼ぐため大きく取ってあって、シンプルなギアとかの機構とあわさって、チョイ前のリールの「ドデカコンパクト」に近いような感じで「糸を放出して巻き取る」機械であるスピニングリールとして、なかなか使いやすいところに落とせているんじゃないかと感じたところである。

 これなら、706Zも「いつか使うことがあるだろう」的な備蓄というより実戦投入すべき戦力として数えることにして、いっちょグリスアップして「耐塩水仕様」にしてしまおうということになり、ついでにこれはアウトスプールのリールだけど、ブログでも取り上げて所在も明らかになった、初めてのバスを釣らせてもらったダイワのスポーツラインST-600Xを修理して調整しておこうということで、あれこれいじくってったら。自分の中で「スピニングリール熱」が加熱してきて、この2台に限らずうちの蔵(まあ押し入れなんですけど)にあるスピニングをいじったり、新たなリール(まあ古い中古なんですけど)を買ってしまったりと、ここのところ部屋ではスピニングリール漬けなので、そのあたりのネタをボチボチと書いていきたいのでご用とお急ぎでない向きはしばしお付き合い願いたい。

 とりあえず今回は706ZとスポーツラインST-600Xからハリキッて行っちゃうヨ。

 706Zを分解してみると「エッ!コレで終わりなの?」というぐらいにあっさり終わってしまう。部品数が、大きさ的には同程度のコレも決して部品多くはない4桁スピンフィッシャーとの比較でさえ半分ぐらいしかないのは以前も書いたように知識では知ってたけど、実際に自らの手でバラして目の当たりにすると驚いてしまう単純さ。ハメ殺しで外せないラインローラーとか既にグリスアップ済みのドラグパッドとかを外してないだけで、写真でプレートに乗ってるのがバラせるほぼ全てだと言えば、スピニングリールを分解したことがある人なら驚いてもらえるのではないだろうか。

 コレまで自分が所有してきたスピニングリールで一番単純な設計だったのは、第4世代スピンフィッシャーの430ssgだった。コイツは逆転防止機構を一方通行のベアリングにドンと任せてハンドル逆転オンオフの機構を省略するという割り切りで、普通逆転防止機構でゴチャゴチャとしがちなローター内部に一方通行のベアリングが鎮座しているのみという単純さ。経費削減の意味もあるんだろうけど、その単純さは壊れるパーツが少ないことにつながるだろうから、後は一方通行のベアリングの耐久性さえ良ければ合格だなと使い始めてはや十数年。壊れる気配もなく快調でとても気に入っていて3台確保してあるし我が人生の小型スピニングの主力として位置づけている。
 その430ssgより706Zの造りが単純な理由は、スピニングリールの標準装備といえるベールワイヤーを取っ払ったマニュアルピックアップ方式なのでベールアームがローターに固定されてたりして大幅に部品数が減ってるのが大きいけど、逆転防止機構もハンドルギアの裏に一体化させたラチェットにドックを引っかける単純方式で本体内の小さなスペースで済ませていて、ローターは単なるお椀からベールアームが伸びててその逆側に重さ調整の内側への出っ張りがあるだけの単純さとなっている。

 あと、地味に効いてくるのが平行巻機構の単純さ。スプールが長くないので特殊な形状のカムを使ったりしない機構で実用性充分だというのに加え、真鍮の一枚板を端をくるっと曲げて作ってある部品を主軸にネジ止めしてあるので実質部品がネジ含めても2個しかない。ちょっと感動を覚えるスッキリとした単純設計。PENNって真鍮が好きなのか切り削ってギアの山作ったりする加工が得意なのか、軸はステンレスの剛性のあるモノを使っていても、ギアやらなにやらは、軽い鋳造アルミ合金(ダイキャスト)系でも剛性のあるステンレス系でもなく伝統的に真鍮切削系で、それって重いかも知れないけど、加工の自由度や経済性、多少ゴロゴロいっても回り続ける耐久性とか総合的な実用性では実績に裏打ちされて優れてるPENNらしい個性なんじゃないかと思う。

 PENNのリールといえば、古くは渋いえんじ色や黒のセネターやら緑のスピンフィッシャーやらもあるけど、今なら、トローリングリールの世界標準機「インターナショナル」のシャンパンゴールドや金黒仏壇カラーのスピンフィッシャーに象徴されるように「金色」の印象が強いと感じている。その象徴的な金色は外見だけじゃなくて、本体パカッと開いたときにも真鍮の部品が渋く金色に輝いているのである。

 ベアリング数だってラインローラー、主軸、ハンドル軸の各1個。ラインローラーには正直いらん気がするけど「ベアリングなんて多くても回転する軸に1個づつ入っとりゃ良いんじゃ」と常々思ってるので3つも入ってりゃ贅沢ってモンだ。
 そういう重くても丈夫さ実用性重視のPENNの印象からすると意外だったのが、本体カバーのプレートが樹脂製だということ。確かにこの設計だと、ローターのついてる主軸だけじゃなくてハンドル軸の方も片軸受けになってて、カバーの方で軸の終わりの片端を受けていないので強度なんて必要なくて、キッチリ蓋して防水できれば事足りるので軽い樹脂の方が適材適所なはずだ。片軸受けで大丈夫なのかと若干心配になったけど、ギアの耐久性じゃ伝説的な定評があるABU社カーディナル33とかが同じようにウォームギアで片軸受けなので多分大丈夫なんだと思う。PENNだしアホなことはやってないだろという根拠のない信頼感もあったりする。
 ちなみに706Zにおいては蓋の端にグリスを盛る「グリスシーリング」はPENN社公式のようで始めから盛ってあったけど、今回グリスアップに伴って改めて盛大に盛っておいた。ベアリングにも前後にこんもりとグリス盛ると内部浸水してもある程度大丈夫だと言われております。ベアリングにグリスってどうなの?と疑問に思うのは、たぶん昔流行ったアンバサダーのスプールのベアリングのオイルをガソリンとかで洗浄して粘性の低いCRCを吹いてやる、という調整で回転が良くなって飛距離が如実に伸びるというのを経験した世代に刷り込まれた強迫観念かと。ベイトリールで投げるときは10gそこらの軽いルアーがライン背負いながら高速で飛んでく。その時には極小さい力でスプールを回転させなければならないけど、スピニングリールに入ってるベアリングの回転なんて人間様が手でグリグリ巻いてる程度の回転、大して早くも回ってないし充分力も込められるので「巻き感度」とかいうのを重視するような繊細な釣りでもなきゃ、全くもってベアリングにグリスが入ってても問題なし。特に重くなるようにも私には感じられない程度。

 ちょっと古くさい見た目で実際古典的といえるだろう古い設計。マニュアルピックアップなんて1932年登場の元祖フルベールアーム搭載機であるハーディー社アルテックス以前に遡るよな設計である。でもとても理にかなって合理的な、道具を知ってる人間が作ったリールというのがありありと使ってみて分かる。ハンドルノブ一つ取ったって、私の大好きなコーヒーミル型のが付いていて握りやすい。コーヒー豆挽くなんていう日常の中で、永い年月の中で落ち着いた形が握りやすいなんてのは言われてみればそうなんだろうなと納得するけど、なかなか思いつかないだろう。
 これは懐古趣味的なアンティークリールという性格だけで語れない立派な実用機だと、だから米国では望まれて復刻されてるんだと、まだ魚も掛けてないうちから気が早いけど、現時点で確信している。しかも自分の想定している使い方、具体的には「ドラグは6,7キロ程度で魚を無理矢理止めず、ファイト時ラインはポンピングで竿で稼いだ分巻いてゴリ巻きしない」で壊れそうな部分が、唯一気に入らないハメ殺しで特殊な工具とかないと交換できそうにないラインローラーのベアリングの腐食ぐらいかなという感じで、予備にもう1台持っておく必要もない気がしている。
 扱いに慣れて習熟する必要はあるかもだけど、使いこなせば荷物を減らしたい遠征とかにおいて有利で信頼できる強い味方になってくれそうな気がしていて、この大きさのリールについては、今後706Zを主軸に据えることも視野に入れて行きたいと思うのである。
 惚れたゼ706Z!!7500ssちゃん浮気してゴメン!


 というわけで、706Zや430ssgあたりの単純な機構のリールが私の最後のリールになってくれるのだろう。ただ、男にとって死に水とってくれる生涯の伴侶と同じぐらいに、筆おろししてもらった女性が大事な意味を持つんだとかなんとか読んだことあるけど、そういう意味で初めてルアーでの釣果をもたらし、ブラックバス童貞を切ってくれたリールであるダイワのスポーツラインST-600Xも私にとって大事な思い出深いリールである。
 確かF師匠から、マグサーボ買うから使ってたスピニングを安く買ってちょうだい、ということで譲り受けて、ダイワのグラスのルアーロッド、ジェットスピンでバスハンターDR投げて足下でバコンと食ってきたのが、ドキドキの初体験だったと憶えている。
 その後、ロッドもリールも違うのに買い換えていくんだけど、捨てずにテトラの根魚穴釣りに使ったり、竿自作してのワカサギ氷結釣りに使ったりと、超小型スピニングとしてたまに出番を作っていた。写真でも分かるように手のひらに乗るような可愛いサイズである。

 ここ何年も全く出番がなかったのは、たしかベールスプリングが壊れたか何かで使用不能になってるんだったっけ?とうろ覚えなので、蔵をほじくり返してみたらワンタッチで折りたたみできる「リフトアップハンドル」の爪が折れてハンドルが固定できなくなっていた。
 そういう基本的なパーツが修理不能な壊れ方するのとかが、なんとも道具としてはいかがなモノかな感じだけど、まあハンドルの固定はなにか外からグルグル巻きにするか、逆に接着剤で固めてしまえば折りたためなくなるけど釣りには使えるようになるかと、修理してみるついでにコイツも中を開けてグリスアップしつつ使えるように調整し再起動ということになった。

 まずはぶっ壊れているハンドルをテニスのグリップテープを細く切ってグリグリと巻いてハンドルがたためないように固定。持ち運びに不便だけど小さいからそのまま袋にぶち込んでもいけるだろうし、いざとなったら写真のようにハンドルだけ外して持ち運んで使う時に組み立てりゃいいか。
 この手の小型リールのハンドルはこういう変哲もない普通に”つまめる”形状が使いやすいと個人的には感じている。
 さっき、コーヒーミル型のノブがいいって書いてたやンけ、と突っ込まれそうだけど、リールのハンドルって長さで大きく2つに分かれると思ってて、短い方は当然小さいリールに付いていて、長い方はその逆。で、その分岐点になる基準が回すときに手首から先だけで回せるか、肘も使って回すかの違いにあると思っている。短いハンドルの小型リールはすき焼き食べるのにお箸で生卵をかき混ぜる感じで、ハンドルノブを軽くつまんでクリクリクリクリッと手首から先で軽快に回す。長いハンドルの大型リールはまさにコーヒー豆挽くようにガッシとハンドルノブ手のひらで囲むように掴んで機関車ごっこでシュッシュポッポ的に肘まで回して力入れて回す。
 でも中間的な大きさってやっぱりあって、シーバス釣りとかで使うリールは普段はゆっくり軽く回してるけど、魚が掛かると力入れて急いでグリグリ巻いたりもする。このぐらいの大きさのリールにはT型ノブが付くことが一般的なんだけど、これが手の形に合わないと、私の場合ノブの根元を挟んでいる人差し指と中指の間、特に中指側が痛くなってくる。かといってコーヒーミル型だと軽く巻いてるときに”つまみ”にくいし、小さいノブだとガッシと掴めないので力を掛けにくい。ので多分人によって手の大きさや形、握り方も違うのでノブについては好みの形に換装するキットとかも売られている。オシャレなドレスアップパーツとして買われているのかも知れないけど、本来使い心地をもろに左右しかねない直接人の手と接触する部分だけに好みや最適化の幅がある部分だから売ってるんだと思う。
 写真のノブは左から950ssmのラグビーボール型ノブ。隣の9500ssの円形コーヒーミル型を楕円形にして厚みをつけたような形でガシッと力を込めて握りやすい。右から2番目の4400ssのT型樹脂製のハンドルがイマイチ私の手には合わなくて、このサイズだとまだ我慢できるんだけど、コレより大きいのは根元が細い金属製である一番右の5500SS初期型ドングリ形ノブのほうが痛くなくて好き。 

 ハンドルノブ方面に脱線したのを元に戻して修理ネタを進めると、次に外蹴り式のベールアームが当たる”蹴飛ばし”部分の樹脂製パッドが取れてたので、ワシ熊の手でベール起こす人だし、ハンドル回してベール返してもパッドなくてちょっとうるさいだけで放置でもいいんだけど、せっかくの機会なのでそれらしく修繕してみた。ふっといショックリーダーを曲げて穴に突っ込みウレタン接着剤で固定しつつ盛っておいた。
 いい加減で外れそうだけど元々が簡単に外れちまうような造りだったので気にしてもしかたないだろう。
 こう言っちゃ何だけど、スプールのスカートやサイドプレートに浮き彫り施して高級感醸し出してる暇があったら、ハンドルぶっ壊れるなんて論外な部分はもとより、外蹴りの衝撃吸収用のパッドぐらい外れないように接着しておいてくれよと思う。この時代、80年代の日本製リールにありがちな感じだけど、同じ時代でも実用機としてしっかりした造りのPENNや大森製作所のリールが、サイドプレートのシールとか結構いい加減ではげ落ちたりするのと好対照だと思う。優先順位の付け方としてシールとか見栄えは後回しの方が正しいと思うんだけど、大森はなくなったし、PENNも既にピュアフィッシングの一ブランドになってて「釣り人の皆さんちゃんと良い道具を評価して買いましょう!」とオジサンお小言いいたくなっちゃうワ。
 とはいえ見た目格好いいっていうのは使う気にさせる重要な要素だとも重々承知だけどね。今見ると、このお世辞にも高級品じゃない小型リールに細かい浮き彫りとか、実に80年代っぽさを醸し出していて正直なかなかに昭和骨董的な味わいがあって好きだったりする。

 でもって、パカッと本体の蓋を開けてみると、この頃の日本製リールの標準的な感じだと思うけど、平行巻機構は単純なクランク方式でハンドルギアはハイポイドフェースギア、逆転防止機構はローターの方にラチェット式でカリカリと鳴るように入ってて、ベアリングもローターに1個でハンドル軸には樹脂製のスリーブという、高級とはほど遠い平凡な機構となっている。でもこの程度でも正直あんまり太いラインも使わない小型リールについて内部機構的には不都合感じたことはない。結構長く使ってたけどベールスプリングもまだ折れてないしハンドルの不具合除けば値段考えたら文句言うほどじゃないかなとちょっと反省。

 というわけで、当面の出番としてはこういう小さいリール使った華奢な道具立てでセイゴ釣って遊ぶのもイイかなと思うところなので、古いグリスを歯ブラシとティッシュで落としてから、新たにぎっちりグリスを盛って「グリスシーリング」を施して本体グリスアップ終了。
 ベアリング1個しか使ってないけど、今時のリールと比べりゃそりゃショボいにしても、普段からPENNとかつかってる人間からすれば別に重くもないし多分普通に使える。愛着のあるリールだしたまにはこういう小っちゃいリールで遊ぶのも悪くないだろうと素直に思える。

 と思って、ドラグもグリスアップしておこうとドラグパッドを取り出して愕然とする。あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
 「ドラグパッド入ってないやンけ!」
 これが仕様なのか自分かF師匠が抜いたのかも定かじゃない。でも事実としては金属のワッシャーが2枚入ってて樹脂製のドラグノブで押さえてるだけという単純機構。上の方のワッシャーは平面で軸と固定されるように穴が円形じゃなくて、下の方のワッシャーは穴は円形で微妙に曲がっている。こんなモンでドラグ効くのかとドラグノブ締めたりゆるめたりしながらライン引き出してみたところ、かなり出だしも引っかかるし出てからもウィンウィンとしゃくるけど、最低限の働きはするようだ。
 うーんひょっとして最初っからこういう仕様だったのかもという気がしてきた。
 80年代の日本の釣りの現場において、ドラグなんてこんなモンで良かったのかも知れない。事実バス釣り少年だった私もこのリールのドラグなんて締めッパでいじった記憶がない。バス釣りは障害物周りを狙うことが多いので、ドラグ出して走らせて獲るなんてことは現実的でなく、ドラグは締めておいてラインが切れるギリギリでチョロッと出てくれれば良い的な保険の意味ぐらいしかなかった。いわんやぶっとい糸で遠投してカレイだのキスだの釣るような餌釣りの世界ではドラグなんて認識さえされてたかどうかあやしいモノだ。ドラグノブはスプールを止めるためのネジぐらいに思われてたんじゃなかろうか?滑らないようにしっかり締めておかなきゃギュッとネってなもんである。ドラグについては別の機会にもうちょっと書いてみたいけど、そういうわけで高級機種でもなければ、すでに70年代には今のドラグと同じような構造のドラグがあったにもかかわらず、釣り人も求めてないし使う人もいないしで安いリールはこんな感じだったのかも知れない。

 しかしながら、セイゴ釣って遊ぼうというときに、セイゴだけ掛かってくれればコレでも用をなすだろうけどフッコやらコイやらがかかると多分ラインが切られるかハリが伸びる。なんとかせねばと考えていると、なんか不自然にワッシャーを止めるリングとワッシャーの隙間が空いているのに気がつく。これ同じシリーズの高級機種にはドラグパッド入ってて安い版では経費削減で抜いてたんじゃなかろうか?
 入るんなら入れてまえということでドラグパッドを追加してやることにした。適度に滑るドラグパッド1枚入れてグリスアップしてやるだけでだいぶ違ってくるはずだ。
 といっても古いリールなので純正のドラグパッドが売ってるわけもなく、既存のドラグパッドでも加工して作るしかないかなと思ったけど「さよならアンバサダー」の人が百均の耐熱タッパの蓋で実用充分なドラグパットが自作できると紹介していたのを思い出して、百均行くのも面倒くさいので多分こいつもそれなりに耐熱性あるだろとカップ酒のポリエチレン製の蓋を切って加工して作ってみた。
 コレを含めてどの順番で重ねればいいのか、インドの山奥の3本の棒に刺さってるアカシックレコードの組み合わせほどではないにしても、曲面のワッシャーの裏表も換えてあれこれ試して、最初の状態のワッシャー2枚の間に自作ドラグパッドを挟む形が一番滑りが安定するので、とりあえずはこれで良いだろう。暇があればカーボンシートとか試したり枚数増やしたりも試してみても良いかもしれない。

 てなことをやってたら、むしょうに当時のことが懐かしくなってきて、思わず竿をネットオークションで落としてしまった。当時使ってた「M」より柔らかい「L」型だけど飾り巻きとかシートやガイドとか涙が出るほど懐かしい。ちなみに落札価格は290円という「ゴミスピ」価格で送料の方がよっぽど高かった。でも満足。眺めてるだけでもうっとりできちゃう。私だけが分かる価値のある道具なんである。
 リールの方は意外に昭和骨董的な見た目と渓流に使うのに良いような可愛い大きさが人気なのか2,3千円からはしててゴミスピ価格だったらハンドル買うつもりで買っちゃおうかと思ったけど諦めた。まあたまに思い出して遊べりゃイイ程度なのでこの1台あれば充分だろう。

 眺めてるだけでも楽しいけど、ワシャ道具は使い倒してなんぼやと思うねン。ということで、竿は携行性考えてパックロッド使うと思うけど、スポーツラインST-600Xは今夜にでも使おうかと思っている。そのあたりは顛末記で書くと思うし、他にも今いじくってるリールのことを来週以降書いていく予定なので、こういう道具話がお好きな人はこうご期待。書いてて楽しいのでお好きな人には多分楽しんでいただけるかと。

 

○10月29日顛末記より

 前回スカの悔しさを晴らすため連夜出撃も考えたけど体力と月曜の方が人が少ないことを考慮して1日おいての出撃。

 潮が下げ始めるのは少し遅くなってるはずなので、日が暮れて少し排水ポイントで懐かしい道具出してきてセイゴ釣って遊ぶ。リールはダイワのスポーツラインST-600X、竿もダイワでシルバークリークの振り出し5.3f。

 小一時間ほど小ニョロ投げて4、5回アタリはあって2匹ゲット。メバルとか釣ってた竿なのでセイゴにゃちょうど良い。いちおうフッコ掛かってもこの場所は障害物あまりないので走らせて獲るつもりで4ポンドにリーダー2号。

セイゴ

 そろそろ良いだろうと、鼻息も荒く商業施設の灯り下に移動。まだ潮があまり動いてない感じでタラッとしてたけど徐々に効き始めたら、ところどころでバシャッとかイナッコが追われ始める。

 フッコスペシャルにセイゴじゃないようなアタリが2回ほどあったけど、どうも下から吸い込んでる感じでボイル増えてきた中フッキングしないので中ニョロを色変えながら投げていくがなぜか不発。こりゃリベンジするつもりが返り討ちかと覚悟し始めたあたりで、水面を引ける自作シンペンに換えてボイル直撃して止めて首振らしてみたらバシュッと食った。

 オリャオリャオリャって感じでしつこく合わせてバタバタ暴れてるのをバレないでくれと祈りながらよせてくる。無事落としダモに収まってくれた。40チョイ位で大きくないけど超嬉しい。

 ボイルは続いているので変な動きのイナッコの群れを狙ってモグラ叩き。ちょくちょく食ってくるけど食い損ねもある。タダ引きにたまに止めて首振らせる動きを入れると首振らせたときに食ってくるような気がする。なんとか追加してチョイ大きくなって50ぐらいか。

 3つめは回収中のタダ引きで割と近くでくった。ちょっと小さめで40弱ぐらい。

 何匹か釣ってやや警戒されたのか、ボイルが遠くなったので遠投してたら遠目で派手に食った。潜ってるのを合わせたけど浮いてきて最初のジャンプでポロリ。もいっちょ遠目で掛けたけどこれはフッキング中の首振り一発でバレた。アワセは後ずさりしながら思いっきりしつこめに入れているので掛かりどころが悪かったのか?まあ5発掛けて3つ獲ってりゃ上出来か?

 だんだんボイルがなくなってきたので場荒れしたかなと場所換えて戻ってきたりしてもボイル復活せず餌ッケもあまりなくなってたので、時間帯が関係してるのかも。下げが効き始めてから1時間強ぐらいが良かったと思う。アオサギもイナッコの集まる場所と時間はちゃんとおさえているようだ。今日は1人と1羽で仲良く操業。

アオサギ

 諦めて移動。いつものコースで3本目橋、水門、ネット蛇篭、2本目橋、1本目橋と探ってみるも今期はやっぱり餌ッケある場所が限られてて1本目橋でちょっとイナッコが見えたぐらいで他は魚の気配がない。

 諦めて過ちポイントに移動。土手の上に自転車駐めるてるとバシャバシャという音が聞こえてきて、しまった先行者が入ってて魚掛けてるな、と思ったらそうじゃなくて、派手なボイルが起こってた。レギュラーサイズじゃなさそうな4、5匹の群らしくて捕食音が何カ所かで響いていて10センチぐらいのイナッコが逃げ惑っている。心臓バクバクする。

 コレはもらったとはやる心を抑えぬままに突撃。今日好調の自作シンペン水面引きは近くで動きが乱れた本物が襲われるだけで食ってこず、それではと実績のフッコスペシャルは音沙汰なく。でも本物はスゴイ勢いで追い回している。こういう高活性の魚には一発アピール勝負でロングA12センチしかあるまいて。

 向こう岸側の浅い所には杭とか多くてこちらの深いところで食わせたいので1投目その境のかけ上がり上を狙うも食ってこず。多分その辺にいて浅い方に食い上げてるような感じだけど、浅い方から引いてこないと食わないか?と浅い方に投げたら、浅い場所に出てたみたいですぐに食ってきた。

 首振るのをしゃにむにリール巻いて杭のある場所から遠ざけて深い方に引きずり出して一安心、と思ったら下流に突っ込み始めて、トゥルーテンパーのドラグ素直に滑り出してくれたのは良いけど、きつめに締めてたつもりが出始めたら止まらず。さすがにコルクかなにかのドラグパッドがペッタンコになってるのか抑えが効かない感じ。ちょっと焦ったけど今日のワシ冷静やモンね。スプール左手でしっかり押さえて竿でためる。止まって頭がこっちに向いてきたらポンピングで急いで寄せる。障害物際で止めるのを想定して粘り腰のアグリースティックを選択してるんだもんね。突っ込んだら左手でスプール押さえてためて止まったらポンピングの繰り返しでほどなく足下まで寄ってきて水面魚が見えると70前後ありそう。

 落としダモさすがに焦って出すのもたつくも、後ろ2本のハリが口の中なのでバレやしないだろうと努めて冷静を装ってタモを降ろして無事ゲット。

 ブリッと太い個体で顔がでかいんだけど、長さはあんまりない感じで測ってみたら67センチ。文句言わなあかんような魚じゃないです。満足。

67

 やや下流に放して、まだたまにボイルしているので他の魚を狙うもさすがに警戒されたようで、ペンシルやらも試してちょっと粘ったけどボイルも静かになってしまったので、上流へ移動しながら探っていく。

 上がり自作シンペン水面引きで、奥まで行って下りフッコスペシャルを投げて、杭の際でフッコスペシャルに食った。ドラグ出ず、バタバタ暴れるのを寄せてコイツは痩せてる50あるかないか。

5匹目フッコ

 過ちポイント戻ってくると、まだたまに餌が追われてて魚イルっぽいので今度はミノー中心に投げて、フラットラップで1回食ったけど食いが浅い感じで掛けきれず。下流へ下っていって反応なく、10時頃撤収。

 ちょっと釣りすぎたぐらいの好釣。釣れやン時やらにとっておきたくても今日の魚は今日釣るしかないから仕方ない。過ちポイントはまぐれ当たり感があるけど商業施設の灯り下はハマったんじゃないだろうか、今期の必勝パターンに育てたい。なにげにセイゴ釣って最初に何でもイイから魚に触っておくのは”入れこみすぎ”が適度に緩和されて良いかもしれない。ハゼの動きも釣れなくなるまで追いたいしシーバスは佳境に入ってきたし次どちらに行くか迷う。

 

○10月31日顛末記より

 ハゼかシーバスかで迷ったけど、ちょっと何かを掴みかかってる気がしてるのでシーバスを選択。夜潮があまり動かない潮周りだけど、秋の午後長い時間水位が高めの潮は内房の運河では実績の潮なので悪くはないはずと、近所ではこれまで実績ないけどとりあえずやってみる。

 暗くなって出撃。まずは前回同様排水ポイントのセイゴ釣りから。30分弱でサクサクッと3匹釣って楽しむ。メバルタックルだと結構小気味よく引いてくれて良い塩梅。

セイゴ

 今日はボイルあるのか?本命の商業施設の灯り下。若干潮は上げてる時間だけど、まあ大きく上げるわけじゃないので川の流れが勝っててタラッと流れている。ベイトっけはなくてやっぱり大きく下げ始めて潮が効く遅い時間の方が良いか?それとも今日はダメなのか?と思ってたら、なんかイナッコらしき動きがチラホラ水面に見えだした。移動しながらイナッコ見えるあたりにフッコスペシャルの下から食ったときに掛かりが良いように腹にシングルフックをぶら下げた版を投げていると一回アタったけど乗らず。たまに追われている動きも見え始めた。

 なんとなく水面に貼り付いて引き波立てるぐらいの棚の方がガッチリ食ってくる気がしているので重さ控えめの自作シンペンのサイズ大きい方10センチを投げていく。追われているイナッコがいたらルアー回収してぶち込むけど食ってこないので、これはルアー投げられるようにして待っておいて、追われたら即投げる方が良いかなと、ボイル待ちで目をこらす。

 ここかと思えばはたまたあちらという感じで行きつ戻りつ何回か投げても食ってこず、半分諦めつつ追われてないイナッコの群れを狙って、群れのあたりでちょっと首振らせて止めたらバコーンと出た。重み感じてアワせると回転大ジャンプ。着水後潜るので追いアワセをガシガシ。寄せ始めると頭こっち向いて向かってきたので必死でリール巻いて足下突っ込みを何度かいなして無事落としダモに収める。

 50真ん中ぐらい。この場所雨上がりの水たまりでもないとコンクリ剥き出しの地面でクッションになるような草もないので、今回鯉釣り師にならってビニール袋に風で飛ばされないように重し入れたものを用意して、タモに入ったら一旦ロープを手すりにもやって生け簀状態にしておいて敷いてから水揚げするというのを試してみた。魚傷つけたくないなら釣りなんかするナだし、もたついて時間かかったら本末転倒だと思うけど、落としダモは生け簀状態作りやすいので割といける感じ。ただ何回もやるとビニールぐちょぐちょでリュックの中が臭くなりそうではあった。ペットボトルの水撒いたらさらに良いかもしれない。地面に降ろさず網の中かボガで吊して撮影というのも前回試してみたけど道具と一緒に写すのが難しい。道具一緒に写しておくと、どんな道具だったか情報が一目瞭然なので、その日の最初のほうの魚だけでもヤル価値はあるか。写真の見栄えとか正直優先度低い。魚を丁寧に扱う心構えの方が自分としては重要。確保して持ち運ぶの面倒なのでリリースしているという要素が自分の場合大きいので、気をつけていないと「魚を捨ててる」状態になってしまいかねない気がしてちょっと試行錯誤してみた。まあ自己満足の世界ではあるな。

 よっしゃ今日も魚おるやんけ、こっからバコバコとボイル祭り開催か、と思ったらその後イマイチ盛り上がりにかける渋めの展開で、一発明らかに小さいのが出たぐらいで良い反応得られずに20時前に魚ッケ全くなくなったので移動。

 下流の砂州ポイントが人山の具合からして魚来てそうなので、砂州ポイント対岸のこれまた商業施設の灯りのあるあたりに入る。平日なのにチョイ上の橋周りも含めて4、5人いて人山。遠慮気味に一番下流に入って、ボイルもないしこりゃダメだなと思いつつも下って行って灯りの影響も薄くなり始めたあたり。斜め下流沖に投げてターンさせてた自作シンペンをチョイチョイと動かして止めを入れたらバシュッと。「止め」が明らかに効く気がしてきてる。

 ちょっと長さ的には長くなったけど痩せた個体でルアーガッポリ口の中。ハリ外してたら食道からなんか見えてたので引っ張り出したら小さめの消化しかかった魚。

 しばらくやって追加はないのでさらに下って、工場の灯りの下。しばらく粘って、建物の影が落ちてるところで良さそうなサイズのが足下で食い損ね。セイゴっぽいアタリが沖目で2回。

 21時ぐらいになってそろそろ潮も下げ始めたようなので、上流へ移動しつつ途中砂州ポイントは2度ほど単発の捕食音あったけど食ってこず。風が出てきてラインがフケてライントラブル1回。ベールアームの当たる場所の自作クッションのシリコンゴム管が潰れてしまってたので、ビニール管で作り直したけど微妙に高さが高すぎてラインローラーの手前のあたりでラインを拾って巻いてしまい気付くとスプールの下の方にラインが寄ってることがあった。その影響もあったのかも。ラインシステム組み直して、クッションは帰ってから高さ調節。

 商業施設の灯り下に戻って様子を見るも、下げが効き始めても全く反応なし。多分暗くなってしばらくすると餌のイナッコたちが集まり始めて、シーバスもそれを狙ってやってくる。1時間も追い回されればイナッコもどっか逃げていくのでシーバスもいなくなって試合終了ということだろうか?まあそう仮定して情報集めていきたい。まだ今期の必勝法とまではいかないけど、最初に切る手札にはなってきた。

 寒いのでアユシャツ着込んで上流へ要所要所数投しながら移動するも反応なく、22時頃過ちポイントへ。まだ潮位が高いけど下げが効いてるので上流行ったり何だりで、杭の頭が出てくる良い時間まで粘ったけど今日は魚入ってないようなので下がっていく。

 岬の沖のいつの場所に魚付いてたけど、今日は30センチないぐらいのセイゴだった。10センチの自作シンペンに果敢に食ってきた。

 ついでに、排水前も狙っておくかと投げてると、護岸際でモゾッと重くなりアワせると重量感のある首振り。こりゃデカいと追いアワセくらわして走るのに備えるもグネグネしてるばかりで走らない。コイだったかなと水面照らして寄せてみると70UPのコイがイヤイヤしている。下からルアーを襲ったようで前のフックに掛かっている。手頃な草むらのところであげようと犬の散歩状態で引っ張っていきタモ降ろして頭を入れた瞬間に大暴れ。入るやろとロープをたぐったけど魚は入らんしリアフックがロープに絡むしの最低の状態で、竿折られないように右手小指で逆転スイッチ切ってライン出しつつ、なんとかタモを上下して収めようとするも水飛沫蹴立てて暴れて結局前のフックが伸びて逃げられた。お粗末。網引きずったままちょっと泳がせて疲れさせてから収めなおしを試みるべきだったか。次回に生かそう。

 ちょっとばかり悔しかったので再度上流いって戻ってきて終了。

 魚入ってきた感じがあって、良い感じに釣れてはいるのでハゼ追っかけるのは諦めてシーバスに集中するかナ。もう11月になるけどあと一月ぐらい楽しむ予定。

 

○11月3日顛末記より

 魚も入ってきたようだし、Kさんと合流して近所ポイント。18時頃に商業施設の灯り下に入る予定で少し早めに出て排水ポイントでセイゴ釣ってから行こうとしたら2名ルアーマンが貼り付いてた。休日だからね。

 商業施設の灯り下には17時半頃について準備してたらKさんも到着。ちょっと早いけど適当に投げながら待つ。潮は下げてるけど岸近くが反転して逆流している変な潮。

 18時半頃からちらほら餌ッケは見え始めたけど追われてないなと思ってたら、19時半頃沖じゃなくて護岸近くで2度ほどボイル。すぐに水面狙ってたKさんのルアーに派手にバイトするもかからず、でもコレからだろと期待するけど、これがなぜかそれっきりで30分ほどで餌ッケも見えなくなって移動。

 砂州ポイント反応なく、工場の灯り下はセイゴがパシャッと出たのみ。戻りがてら砂州ポイント対岸の灯り下を目指すと途中、潮がぶつかってるのか川面を横断するように波立ってるのでなんだろうと投げてみたら、コンッとアタったのかボラの群れに乗ったのか2回ほど。何かおる。

 その後そこから上流砂州ポイント対岸にかけて割と水面餌ッケあってたまにセイゴっぽいアタリもあるので2人して粘るも、もう一歩足りない感じで断念。

 再度商業施設の灯り下は単発のボイルあってKさんには追いもあったようだけど釣れず。ここでKさん撤収。Kさん来るときに釣れずに面目ない。

 最後に排水ポイントと過ちポイントを探って帰ろうと移動。魚触って帰りたいなとメバルタックル出して排水ポイント小ニョロ投げて行くもアタリ少なく、やっと掛けたと思ったらえらい勢いで走り出してボラスレのようでしばらくして外れた。

 あきらめて一旦過ちポイントにシーバスタックル持って狙いに行くも5時間労働を過ぎたあたりのトゥルーテンパーがライントラブルで予備リール持ってたけどシーバスの気配もなかったので、最後メバルタックル出してしつこく排水ポイントでなんとかして1匹セイゴでもいいから釣って帰ろうと、セイゴスペシャル投げていると明らかに小ニョロよりアタるんだけどコレがかからない。今日はナニやってもダメな日かと意気消沈しつつも投げ続けていたらやっと1匹掛かった。バレないようにドキドキしつつプルプルとした引き味を楽しんで無事ゲット。釣れてないときはチビセイゴでも嬉しかったりする。嘘です。釣れてる時でも嬉しい。何でも釣れれば嬉しい節操のなさよ。

 潮も前回よりは動いてたし、なにが悪かったのか良く分からん。今日は難しい日だった。まあこういう日もある。ちょっと雨もきそうなので引き続きシーバス狙っていきたい。

 

○11月5日顛末記より

 前日雨降った。今日も曇ってて降り出しそうな空。釣れる気しかしない。

 午前中ジョギング中に見た感じだと濁りも薄く良い塩梅だった排水前にまずはメバルタックルでセイゴ狙いに。これがなぜか不発。イナッコっぽいベイトがワサワサしてるので小マシなサイズも入ってきてるかとメバルタックル仕舞って狙うも無反応。まあいいやと本命ポイントの商業施設の灯り下に移動。

 18時過ぎからチョロチョロと餌ッケは見え始めるも全然追われる気配がなくルアーあれこれ試すも反応なく19時半近くなって諦めて下流へ移動。

 砂州ポイント対岸、餌ッケは多いけどやっぱり追われてない感じ。あとイナッコよりだいぶ小さい魚のようで移動途中死にかけて水面ヨタッてるのがいたけど5センチ前後のサッパ系。ていねいに明るいところから暗くなるあたりまで狙ってフッコスペシャルに2度ほどセイゴ臭いアタリのみで、それならとメバルタックル出してセイゴ狙って見るも不発。

 さらに下流工場の灯り下に移動。こちらも上流の橋の灯りのあたりは結構餌ッけありで、ちょっと投げつつ下って行くも反応なく、過去魚の反応があった工場の灯りが建物で遮られて影になってる場所でフッコスペシャル投げてたら、護岸際より5、6m沖ぐらいで食った。ガシガシアワせるとレギュラーサイズが跳ねる。慎重によせて無事ゲット。

スカ逃れ

 下から食ってくるのの対策にフック追加でぶら下げてたまさに下のフックが良いところに掛かってた。

 その後は反応なく、要所要所投げつつ3本目橋まで戻って、潮位が下げすぎたぐらいなので一旦過ちポイントを見に行くもやっぱり下げすぎな感じで、数投してからとりあえず1本目橋下に移動。潮位低いときに魚ッケある場所でボラ跳ねてるしたまに捕食音ポイのも聞こえたけど反応はなし。

 最後過ちポイント前後を狙ってみて異常なしで撤収。

 爆釣かと期待したけどイマイチ渋かった。スカは逃れて魚の顔見ているので充分ではある。しばらく雨降ったり止んだりの天気のようなので良い群が入ってくれるのを期待したい。

 

○11月7日顛末記より

 昨日は結構降って朝ジョギング時に見た感じではそれ程増水してなくて良い塩梅の濁り。今日はさすがに活性上がってるだろうと鼻息荒く日没とともに出撃。

 入れこみすぎをセイゴでも釣って収めようとまず排水ポイント入るも反応なく出鼻くじかれる。

 商業施設の灯り下は先行者有りで、挨拶してやや上流に入ったところ早々に先行者が1匹釣って、これは期待できると思うも、その後ウンともスンともで、18時半頃には移動して砂州ポイント対岸は餌ッけ減ってて反応なし、工場の灯り下も今日は反応なし。どないなっとるねン。

 潮が良く動く日なのでもう過ちポイントは良い時間のハズで、20時ころ過ちポイントに。自作シンペンで反応ないので魚いないのかなとフッコスペシャルに換えたら1発バイトあったけど食い損ね。

 1本目橋下は魚ッケなく、最後ケモノ道作ってルート工作がてら干潮時に魚の溜まる淵を探っておこうと暗い中苦労して河原に降りるも反応なく、最後の最後でセイゴを掛けて魚触って終われると思ったら水面で暴れてバレた。ガックシ。

 雨降って良い濁り方でもあんまり良くなくどう攻めれば良いのかわからん感じ。どうにも読めん。

 

○2018年11月10日土曜日ブログより

好き好き大好き寵愛してる。

諸君 私はPENNが好きだ
諸君 私はスピンフィッシャーが好きだ
諸君 私はPENNスピンフィッシャーが大好きだ

4400ssが好きだ
430ssmが好きだ
7500ssが好きだ
9500ssが好きだ
950ssmが好きだ
4500ssが好きだ
5500ssが好きだ
706zが好きだ
4300ssが好きだ

近所で 珊瑚礁で 河川で 渓流で 黒潮で
護岸で 地磯で 湖沼で 干潟で 水路で

水辺で使われる ありとあらゆるPENNスピンフィッシャーが大好きだ

水面で一心にバチを食っているシーバスにモグラ叩きでルアーを投げ込んでいくのが好きだ
アワせた直後空中高く跳び上がったシーバスが水中に戻って4400ssに重みを伝えてきた時など心がおどる

私の操る7500ssがロウニンアジの泳力を受け止める様が好きだ
悲鳴を上げて逆転するドラグがそれでもラインを切らさず持ちこたえた時など胸がすくような気持ちだった

4300ssのスプールに左手を添えて道糸の放出を調整し思う場所に投げ込んでやるのが好きだ
恐慌状態のイワナがルアーに追いすがってくる様などはもうたまらない

カヤックの上で4500ssのドラグを滑らかに滑らせながらワカシが疾走していく様をみる時など絶頂すら覚える

諸君 私はスピンフイッシャーを望んでいる

「PENN!! PENN!! PENN!!

よろしい ならばスピンフィッシャーだ
一心不乱のスピンフィッシャーを!!

我らはすでに時代遅れなのかもしれない
だがスピンフィッシャーは一騎当千の古強者だと私は信仰している

メイドインジャパンの高級機種を崇拝している連中に恐怖の味を思い出させてやる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる

状況を開始せよ
征くぞ諸君



 ほんとすいません。714と714Z買っちゃいました。
 とりあえず今使ってる人生初のインスプールのスピニングリールである「トゥルーテンパー727」は調整もすんで快調だし、”釣れてる時は道具を換えない”は鉄則だと思うので、少なくとも今期はトゥルーテンパー先生にインスプールのなんたるかを教わりつつ修行するんだろうなと思ってて、どうせ自分のことだから次はPENNのインスプールに手を出すのは分かってるにしても、とりあえずは鬼が笑うような先の話だし、考えないでおこうと一旦放置することに決めた。そのうち本国人気に応えて大型インスプールを復刻生産しているピュアフィッシング社が小さいインスプールも復刻するかもだしその時買えばいいやとも思ったのは以前書いたとおり。
 しかし、一旦放置と決めた次の瞬間からもうPENNのインスプールのことしか考えられなくなってしまったのだよ諸君。
 気付けばネットオークションで落札相場調べてたり、使ってる人の評価を読んでみたり、昔のPENNリールジャパンやコータックのカタログで糸巻き量とか調べてみたり。
 「もうコレは買うしかしかたないナ」
 と観念して、ネットオークションで”第1世代”緑の714と”第2世代”黒金の714Zを落札した。
 幸いPENNスピンフィッシャーはカーディナルやミッチェルのような人気機種じゃないので、70年代の緑の時代のモノでも写真の箱入り娘で多少スレ傷がある程度のものが1万円台前半、90年代の半ばまで第4世代と並行して現役で売られていた714Zなど単なる中古価格でしかなく7千円ぐらいが程度良いやつの相場である。ポチッとナってなもんである。入札私だけで、だいたい相場の値段だった開始価格で落とせてあんまり人気がなくて助かった。

 「おいおい、買うのなら同じ機種を2台じゃないのか?」と玄人衆なら思われるかもしれない。もう生産してない機種なら予備機としてや部品取りを考えると、同じのを2台買うのが、収集ではなく実戦投入を目的とするなら理にかなっている。特に同じスプールが2個手に入るのは大きい。
 でも心配ご無用。スピンフィッシャー714と714Zは実は”色違い”といって良いぐらいの機種で、設計もほとんど変わっておらず、部品もほぼ共通なのである。
 なので、左の写真のような着せ替え人形的お遊びもできる。意外と黒銀は渋くていいジャン。

 スピンフィッシャーの歴史は1961年にまで遡る(「ベールアームは世界を回る」「MYSTIC REEL PARTSホームページ」参照)。
 その歴史をチョイと紐解いてみると、一番最初の機種はおそらく「700」でローターのカップが多分その後の機種のように鋳造(ダイキャスト)してから内側を削ったものではなく、筒状の上部と叩き上げたカップ状の下部を溶接しているらしいことがローター上部と下部の色の違いから見て取れる。
 ただ、この初代から内部のギアだのの機構はお馴染みのウォームギア方式が鎮座してたりして、90年代の半ばまで「Z」シリーズに引き継がれて続いたスピンフィッシャーのインスプールのリールは、基本的に同じ設計を使って30年以上マイナーチェンジを繰り返して生産されてきた超御長寿シリーズなのである。小型の714についても箱に入ってた取説に「1975」年の文字が見えるので70年代には登場していたようである。ちなみにスピンフィッシャー714のミドルネームは「ウルトラスポーツ」のようで714Zにもミドルネームは受け継がれているのが本体側面に見て取れる。ちなみに一番小さい716、716Zのミドルネームは「ウルトラライト」。他もミドルネーム?あるんやろか?
 ”PENN公式”と言って良いピュアフィッシング社の整理では緑の(たまに青も見かけるけど、百貨店別注の茶色もあったそうな)700番台が”第1世代”で、黒金の「Z」付きの700番台が”第2世代”とされているけど「MYSTIC REEL PARTS」さんところの整理では、むしろ「Z」付こうがインスプールの700番台(とアウトスプールの747と757)は全て”第1世代”で、逆に公式では”第3世代”にまとめられている”3桁ss”と”4桁ss”が実は世代が違っていると整理している。外見で見れば同じアウトスプールで似ている3桁ssと4桁ssが意外に設計に変更が加わってること、外見が緑から黒金に大きく印象を変えた無印とZ付きの700番台が実は色違いに近いことを知ると、ピュアフィッシング社の公式見解より「MYSTIC REEL PARTS」社の整理の方が的を射ていると思える。両者の整理の観点が、視覚的に分かりやすく歴史を示したいのと、部品を注文する都合上設計等の実態を反映させているのと、というそもそもの目的の違いがあってどちらが間違いということではないのかもしれないとは思うけどね。さらにいうなら細かな仕様変更が繰り返されてきているので同じ世代でも年式や”ssj”のように販売地域によっての違いがあったりするので簡単に整理なんてできないよね。

 一番上のずらっと5台並べた写真は、下から714、714Z、430ss、4300ss、430ssgでスピンフィッシャーでは2番目に小さいサイズのリールで渓流やらシーバスなんかで使う機種達なんだけど、714、714Zを分解して内部構造把握しつつ使えるように調整しようと思ったら、他の後継スピンフィッシャー達との違いもなかなか面白かったのでコレからちょっとその辺について紹介してみたい。

 まずは、714と714Zの公式第1世代と第2世代の違いについて「最大の違いは色の違い!」と書いてしまうとズルッとずっこけてしまうかもしれないけど、結構真面目に色とか外見とかって性能やら内部機構やら以上にリールにおいて重要な要素だと思うんですよ。だって、スピンフィッシャーっていったら黒金仏壇カラーで、その印象は「海で強いぜスピンフィッシャー」な性能面の印象と分けがたく関連づけられて確固たるイメージが形作られるに至ってて、ピュアフィッシング社の下での第5世代「SSV」や新しく出たばかりの第6世代「SSⅥ」もその配色を踏襲しているぐらい重要な要素になっている。その違いが小さかったとは思えない。
 色以外の変更としては、大きいモノでもサイドプレートが重い金属製から樹脂製に変更されて軽量化が図られていること、あとは本体のハンドル軸の根元に注油穴が設けてあったのが入手したZでは省略されていたこと、ドラグノブの形状がちょっと違うぐらいのもので正直設計的にはマイナーチェンジだと思う。むしろサイドプレートをあけて違いに驚くのは714のグリスの盛りっぷりで「日本よ!コレが本場米国70年代方式のグリスシーリングだ!!」とでも言わんばかりで、面白すぎたのでそのままの状態を保存すべく714のグリスについては”ソッ閉じ”しておいた。プレートの方にギアの形が分かるぐらいに水色のグリスが盛り上がっているのが写真でおわかりだろうか。

 ハンドル軸根元の注油穴については、430ssとの関係もあって面白い。この部分に注油穴を設けてあるのは、実は手元にあるのでは714と430ss。
 多分コレ、714Zに注油穴がないのは途中から省略されたんだと思う。714Zと430ssはインスプール版とアウトスプール版の兄弟機だと思っている。1枚目の写真で比較してもらってもハンドルの上のあたりの本体の丸いちょっと官能的な感じの曲線なんかも同じで、それは2枚目の写真見れば明らかなようにでっかい真鍮製のウォームギアが鎮座しているからそういう曲線になるんである。機能美っていっていいでしょ。
 で、この3機はローター除いた内部の機構はほとんど一緒で430ssで逆転防止がカリカリ鳴らないサイレントドック方式になってるくらいで、だいたい一緒なのは写真でも分かるだろうか?714は内部も緑。
 こいつらにはベアリングがローター軸に1個だけで、しかもハンドル軸は片軸で支えている形なので支えているハンドル側のスリーブは長くて、途中に”油溜まり”の部分を設けた真鍮製のものである。そういう長くて摩擦面が大きいスリーブには注油が大事ということで油溜まりの所に注油穴がわざわざ開けられてたんだと思う。
 ちなみに、より新しい4300ssと430ssgのウォームギアはおそらく軽量化のためだと思うけど小さくなっている。この2機についてはオシレーションカムが一枚板を加工したモノから鋳造一体成型ものに変わっている程度で2機間で大きくギア方式を変えたモノではなく共通している。
 3桁430ssから4桁4300ssになった時には、スプールは共通のモノにしつつも、内部の設計を大きく変えており、この大きさにおいては、単にボディー素材が金属から樹脂素材に変わったことに伴うマイナーチェンジにとどまらず大きなモデルチェンジがあったと整理して良いように思う。ボディー素材とギアの他に、もう一つこの時の大きな変更を指摘するなら、ハンドル軸の両サイドにボールベアリングがぶち込まれて、ハンドルが左右どちらにも付けられるようになっているところか。

 話を714Zの「注油穴の省略」に戻すと、アウトスプールの430ssには注油穴があるのになぜそれより古い設計の714Zで省略されているのかと疑問に思うかも知れない。これは設計自体が714Z(実質714)よりアウトスプール化した430ssのほうが新しいのは事実なんだけど、714Zのほうが長く製造されていたから、経費削減かなんかで後年製造された714Zでは省略されていたとかじゃないかと、推定でしかないんだけど思っている。1995年のコータックのカタログでは714Zが健在でまだ注油穴が残っており、アウトスプールの430ssは既に4300ssに代替わりしていることが確認できる。私の手元に来た注油穴無し714Zはそれより後年の製造なのかなと想像して楽しんでいる。

 こういう、部品を同じ世代の”大きさ違い機種”はもちろん、世代超えていろんなモデルで共通にしてしまうというのは「せっかくニューモデル買ったのに古いのと同じところばっかりで新鮮味がないジャン」と、アホな客に思われてしまいがちだけど、進化した部分や設計思想に基づいて変えた部分以外を「変えない」というのは、新しく設計し直したり金型作ったりという経費が削減できて製品単価を抑えることができて売る側も買う側も利点が大きいはずである。また、共有部品で長く修理が可能になるのなんかは、ちょっと売る側は困るカモだけど使う側からしたら良いところばかりなのに、今のリールは同じ時代の旗艦機種の本体設計を流用して、素材やら部品やらの経費抑えた普及機作るなんてのはあるけど、世代間はあんまり共通の部品なんて使ってなくて「モデルチェンジ後は買い換えてネ」という売る側の都合ばかりが強く感じられてあんまり気分良いもんじゃない。
 ダイヤモンドキャリアーがベールスプリング折れて、ナマジ的次世代小型主力機を選定する際にダイワトーナメントssと4300ssで比較検討した末に4300ssで行くことに決めて、やっぱりぶっ壊れたときの予備機は欲しいなと思ってたときに釣具屋の棚に眠っていた430ssを発見して、スペアスプール共通ということで即購入。実釣でも感触を確かめていたところ、まだ雪深い季節の岩手の渓流で雪道でコケてハンドルを折ってしまった。まあ一人で携帯も持ってない時代に山に入っており、足でも折ってたら遭難沙汰で430ssのハンドルが代わりに折れてくれて助かったと思うことにしようと、すでに4300ssに代替わりして久しいし、取り寄せようにもハンドルだけはもないだろうなとSスイにダメ元で聞いてみたら、あっさり「大丈夫ですよ。430ssのハンドルはインスプールの714Zと共通で714Zはまだ売ってますから部品在庫あるはずです。」との回答。無事430ssも復活して、やっぱりPENNだなコリャとPENN愛というかPENN信仰が深まったのであった。


 今回も714Zを使う前提で部品を買い足ししようと、ついでにあれこれ足りなくなりそうなのがないかチェックしていたら、部品使い回しの多さのおかげで、実際に在庫しておかなければならない部品種類数が少なくて済むことに改めて感心した。714と714Zのドラグパッドは純正は白いテフロン製なんだけど、もう「MYSTIC REEL PARTS」さんにも在庫がないということで一瞬焦ったけど、説明読むと「パーツナンバー56-440を耳切って使えばいいんですよ」てなことが書いてある(訂正:大きさ確認したら耳付きのままで少し隙間が空くけど使えた)。パーツナンバー56-440は黒っぽい灰色のカーボン製の3方耳付きのドラグパッドであり440ss、4400ss、440ssg、430ss、4300ssに共通で714系にも使用可能な使い回しの効く部品なんである。という例で部品共通が便利というのがおわかりいただけるだろうか。

 ということで、どこを第2世代と第3世代の切れ目とするかは別にして、大きな変更に伴って変えるところだけ変えてきたスピンフィッシャーの歴史について、同じ大きさの機種が”公式”の第1世代から第4世代まで5台揃ったので、ついでにと重量とかも測ってみたら、これまた面白い結果が出てきたので、ナマジ推論と合わせてご紹介したい。

 早速計測結果を書いていくと、714:275g、714Z:254g、430ss:260g、4300ss:248g、430ssg:283gとあいなりました。
 ちなみにライン巻いてない空スプール状態で、グリスやオイルは入れたままの湿重量。
 714から714Zの間で20gぐらいの減量に成功しているのは、片軸でハンドル軸を受ける設計だと強度とかは必要ないサイドプレートを樹脂化したのが効いてるのと、地味に714のグリスシーリングの”グリス重”が効いてるのかも。
 でもって714Zをアウトスプール化した兄弟機430ssは5グラムほど重い。インスプールの方がシンプルに軽く作りやすいというTAKE先生説を裏付ける結果。まあ5グラムなんてワシャ気にならんけどね。
 でもって4300ssはでっかいウォームギアがこのクラスでは過剰だろうという意図からかギアを小型化し、本体も軽量化のため樹脂製にしたかいあって、最も軽い248gを記録した。他のメーカーの同程度の糸巻き量のリールと比較したらそんなに軽くないのかも知れないけど、軽量な小型リールにしたいという意図が明白に分かるモデルチェンジだったのだと思う。ちなみに糸巻き量は8lbで160ヤード。2号150mってところで日本製だと2000番程度か。
 でもって、人生後半を任せることにしている430ssgがまさかの最重量283g。どないなっとるねン。逆転スイッチすら省略のこれ以上無いぐらいにシンプルな造りなのにどこで目方食ってるんだ?としげしげ眺めてみると、なんとなくカッチョ良い今時風のハンドルが怪しいので、4300ssのハンドルと比較してみた。結果、4300ssハンドル:25gに対して430ssgハンドル:33gとこれだけで8グラムも違っている。TAKE先生のお言葉「ハンドル軽いは七難隠す」を信じるならとんでもねえ改悪である。
 たぶんおケツの金属部品も重いんだろうし、550ssgから下の大きさの機種で共通という逆転防止機構の一方通行のベアリングもこのリールに対しては過剰な丈夫さで重くなる要因かも知れない。
 ただ、この430ssgが人生後半を任せるに値するリールだという確信は私の中で全く揺らがない。だって使ってて重くもないし、丈夫なことは証明してあるし、なんと言ったって快適に魚釣れてるモン。いいリールだもン。重い分丈夫で安心だモン。

 重さとか、ベアリング数とか値段とかのカタログ数値、人様の評判なんてそれほどあてになんないって話だと思う。使ってみて自分に合ってるかどうか、使いやすいかどうか、好きになれるかどうか、それだけのことだと思う。
 小型リールにおいて自重の重い軽いはハッキリ言って気にしたことすらない。4300ssから430ssgに変えたときも、重いとは思わなかったし今回測るまで知るよしもなかった。
 でも回転の重い軽いや特性の違いは気になる程度に違うと思っている。ローターが金属で回転に慣性力が強く働いて回り続ける傾向のある430ssと樹脂製ローターの4300ssでは4300ssの方が巻き取りや回転が軽く感じる。
 ただ、渓流ではそれほど慣性力の強いローターの利点を感じることはなかったけど(悪いとも感じなかった)、海のおもいっきりルアーを早曳きしなければならないような状況では”回り車”のように勢いついて回り続けてくれる重いローターは使いやすくて有利だと感じてた。今時息止めての高速巻きなんて流行らんからローター重いリールが評価されることなんて無いだろうけどさ。
 てなぐらいで使い方やら個人の好みによって、どんなリールがイイかなんて違って当たり前。
 私は430ssgのというか第4世代スピンフィッシャーの、とにかく経費削減して単純化して部品削れるだけ削りつつ、スピンフィッシャーらしさは出して安っぽくならないようにという、身も蓋もない方針に基づいて作られただろう必死さと、ある程度スピンフィッシャーらしさが残せている風合いに好ましさを感じる。ハンドルなんか軽きゃいいんじゃと安っぽい見てくれのが付いてたら、ただでさえ樹脂製で安っぽいのにデザインで見るところネエじゃん。”PENN使い”にとって8gぐらいはどうてっことねえよと思うのである。全体で35gも違うって?そんなモンは誤差のうちじゃ。ゴチャゴチャいうてると9500ss(1kg近くありまっせ)でぼてくりまわすゾ、体鍛えとけヤ!!

 ということで430ssgを最後の小型スピニングと心に決めつつも、714Zにも浮気してみるついでに、新型の第6世代やまだ触ってない第5世代も使ってみようかと検討してはみた。結果、それは止めておこうということになった。
 多分VもⅥも良いリールなんだろう。Ⅵはまだ謎の部分は多いけど、ⅤはPENNらしく丈夫でメンテナンスしやすくて黒金なのは写真と展開図見ただけで分かってしまう。ドラグも相変わらず良いんだろう。
 でも、既に日本のリールと一緒で同年代の他のシリーズとの基本設計とかの共用という方式になってきているようで、Ⅴの展開図見て部品番号でみる限り昔のシリーズとの部品共有はなく、世代間断絶みたいなことになっている。
 第4世代が出たときには、4桁第3世代で充分間に合ってたけど、スペアスプール共通という世代間をまたぐ使い回しが効くのは愛用者には実にありがたいと感動して、一票入れるつもりで買ったけど、VとⅥにはそこまでして買い支える義理を感じない。
 VにもⅥにも10500という50ポンドナイロンモノフィラが255ヤード入るとんでもない糸巻き量の超大型機が用意されているので、磯からサメとか釣るのにスピニングで太いナイロンラインの糸巻き量が欲しいときにはお世話になるかも知れないし、6500サイズに設けられているマニュアルピックアップ方式のベールレス仕様機も気になるけど、とりあえずは必要ないかなと。

 それから、根っこの部分で、世代が新しくなる毎にやっぱり部品数が増えて、スピンフィシャーですら複雑化しているということが、自分にはあんまり好ましく思えないというのがある。
 もちろん部品が増えて複雑化した分性能や機能が上がっているのだろう。それは悪いことじゃないのかもしれない。でも、自分が釣りを続けて上手くなっていく過程において、そういう複雑で高性能な道具を使いこなせるような方向を目指しているのかと言えば、明確に違うはずである。
 できるだけ単純化して、面倒臭くねぇ道具と技術で釣れるようになりたいと思っているのである。
 私は魚を飼うのも好きなんだけど、観賞魚飼育においてとても参考にさせてもらい、いろいろと蒙を啓いてもらったサイトに「■GOOD AQUA■」というのがあって、その中で管理人さんが「上級者になるほど、高額で複雑な機器を使うというのはおかしいだろう、水槽管理が上手くなればなるほど道具に頼らなくて良いはずである」という趣旨のことを書いておられて、当時常識となりつつあった水草育成に二酸化炭素を添加する方式を前提とした、水の攪拌が少ない外部濾過装置等を使わず、ホームセンターで売ってるような60センチ規格水槽にセットの上部濾過槽とショボい照明を使って二酸化炭素の添加も行わず、その条件でも育成可能な水草を適切に選んだりしながら充分美しい水草水槽を育て上げていた。
 我が家の水槽における水草育成は、限られた水量の中に二酸化炭素を多く溶かし込むのは難しいし限界もあるけど、空気中には近年の増加が問題視されるぐらいの二酸化炭素が含まれているので、水中は根っこの繁茂を楽しむモノと割り切って、水上葉を展開する水草でお茶を濁している私である。
 でも、釣りにおいては道具に頼りすぎない、真に自分に必要な道具を適切に選び、その道具に見合った技術で釣りができるところを目指して行きたいと思っている。志は高いのである!エッヘン。
 そう考えると、インスプールで単純な第1世代が必要な場面はあるかも知れないけど、第5世代以降の高性能さはワシにはあんまりいらんのじゃなかろうか?
 古くからの愛用者に対するサービスも含んでいるだろう古い機種の復刻とかあったら一票入れるか考えるだろうし、感心するような単純かつ新しいスピニングリールが出てきたら喜んで買いたいと思うけど、単に高性能化するだけじゃ今更買う気にならんのよねというのが正直なところ。
 そう思って、もうスピニングリールなんて新たに買うことはないだろうと思ってたら、インスプールなんて思わぬ方向に求める答えの手がかりがありそうだったりして、世の中わからんもンである。
 思いもよらない意外なところから新しいスピニングリールが出現するかもしれないよ。なんてネ。

 次回は714Zの調整ネタの予定。まだ続くのですじゃ。お楽しみに。

4 件のコメント:

  1. ナマジさんそうだろうとは思ってたけどほんまにペン使いなんですねw90年代後半から釣り再開した私はこのあたりの道具まったく知らんので、なんかうらやましいな。

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    1. ええ、何の因果かPENN使いになってしまいました。
      でも最近はオリンピックに浮気してます。
      今日もそのリールは良い仕事してくれました。釣り人が下手くそだったけど。

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  2. インスプールの沼に浸かりかけてますネ(笑)
    60-70年台のイギリス、イタリア、フランス、米国もしくは旧共産圏に目を向けると変態リールがたくさん出てきますよ。
    さすがに金が保たないのでほとんどは海外のマニアページと分解画像で満足してしまいますが………

    PENNのインスプールだと自分は722Zを持ってますが、かなり面白いですよ。
    軽量、大口径スプール(Φ47.5)、1:5のハイギア、ドラグ性能も良い。
    何より、ギアがすぐば(スパイラル)ベベルギヤという珍種で巻きも快適。
    おそらくウォームギア系よりも強力な巻き上げ力を確保できるかと思います。

    ただ、自分はローターを止めるナットを強く締めすぎてピニオンギアを潰しかけました(汗)。
    ローターナットって逆ネジか正ネジかメーカーによって違うので初分解時に間違えました。
    幸いピニオンギアの内径にリーマーをかけて復活できましたが、それ以来分解を控えています。
    ローターナット締め付けの適正トルクを守る、そこの分解を極力控えさえすれば、かなり良いリールのように思いますよ。

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    1. 沼に浸かりかかった人間に重石を乗せるようなマネをしてはいけません!ありがとうございますっ!!
      旧共産圏のリールとか超面白そうなんですけど。
      アンバサダーの深い沼からは4台もらって左巻き2台買ったあたりで命からがら抜け出したのに、こんどはインスプールの沼でまた沈みそうになるとは不覚。

      青い722が緑の714と同時期に○フオクに出てて、可愛い見た目でちょっと惹かれたのですが、722には「熊の手」対策の保護の出っ張りがなかったので私向きではないと判断しました。トゥルーテンパーも714Zもベールを手で「起こせない」ところが実に私向きかなと。
      インスプールはなんとか3台で逃げのびたいです。

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○11月10日顛末記より

 降ったりやんだりの天気が続いてて、昨日はちょっと降って、今夜もちょっと降るようだ。明日出かけるのでとりあえず商業施設の灯り下と過ちポイントだけサクッと様子見ておくかと日暮れとともに出撃。

 恒例のセイゴ釣りは今日も反応なし。移動していくと休日とあって橋周りはどこも人が入っているけど、商業施設の灯り下は先行者なしで18時頃から始める。濁りは良い感じに入っててルアー動きある方がイイかもとあれこれ横移動しつつ投げていく。

 ワンダーの6センチだかの小さいのにセイゴっぽいアタリがあったので、魚ッケないわけじゃないなと思いかつ表層よりチョイ沈めた方がイイのかなとフッコスペシャルに換えて沖目を狙っていると、しばらくしてガツガツッと首振った感じのアタリがあったのでガシガシとアワせる。

 のったなと思ったら、異様な力で走り始めて沖に出て行く。あきらかにシーバスが食ったアタリだったのにコイなのか?とにかくあげてみれば分かるしやることは一緒、とドラグが鳴くのを聞きながら止まるのを待つけど延々と走る。

 ドラグちょっといじってきたんだけど、部屋で手で引き出したときは多少は改善したかな?ぐらいにしか思えなかったけど実際に魚に走られてみると劇的に良くなったのが実感できる。滑り出しも引っかからなかったし走ってる間もぜんぜんシャクらず滑らかな作動。ドラグネタはブログでまた書く予定。

 しかしなかなか止まらんなとじれるぐらい走られて、60m位巻いてた道糸が出切りそうになってやっと止まる気配が見えてきたのでポンピングを開始。でも竿でためて稼いだ巻き取り分をすぐに引き出しやがる。ドラグ締めたくなるけど、なんとなく掛かってるのがコイじゃない気がしててコイなら口に掛かってれば多少ドラグ締めても外れないけど、シーバスのスレ掛かりで頭とかに掛かってるなら「赤子泣いてもドラグいじるな」で無理せず時間をかけてやるしかない。幸い橋桁とか構造物のない広い場所なので走らせるのは問題ない。

 ポンピングしても出る方が多く、ズルズルとバッキングまで引き出されたあたりでようやくラインが回収でき始めたのでちょっとスプールに指掛けて慎重に力入れて頭をなんとかこっち向かせようとすると、頭こっちむくまではいかなかったけど下流に下り始めたので、カニ移動しながら距離を詰めていく。

 やっとこさっとこ15m沖ぐらいまで寄せてきたら水面に浮いた。銀色でかつ明らかにデカい。浮いた時点でだいぶおとなしくなってて寄せてきて、一度入れ損ねたけど2度目で頭から落としダモに滑り込ませた。

 一旦手すりに舫っておいてビニール敷いてから水揚げ。

 重さでひしゃげた60枠から尻ビレ以降がはみ出てて、久しぶりの大型スズキ。85ありました。

 ただ、フックが掛かってる位置が肛門のあたりの体側で、自分の中のルールとしては魚がルアーなり餌なりオトリなりに寄ってきてハリ掛かりしたのなら「釣った」と数える。としててそのルールには合致するので「久しぶりにスズキ釣りました」で喜んでおけば良いのかも知れないけど、さすがに口に掛けようとしてておケツあたりに掛かってるのはどうなのよと思ってしまう。魚が良い魚だけにちゃんと口の良いところに掛けたかったと思ってしまい、ルールに則って試合にゃ勝ったけど勝負には負けた感が漂う。皆さんご存じかと思いますが魚って口で餌食って肛門から排泄するんです。

 まあ、今後も修練を積みなさいということか。次は口の横にガッチリ掛けて文句なしの釣果を得るようはげもう。

 ということで、その後もあれこれ投げて、途中Kさんも合流して追加を狙うもセイゴがキラッと食ってきたぐらい。

 19時頃にKさんは下流へ、私は帰りがてら過ちポイントへ。Kさん1ゲットとのこと、当方セイゴバイトのみで撤収。

 という感じのホロ苦めの秋のスズキ釣り。

 

○11月14日顛末記より

 降ったりやんだりの天気も一段落になりそうで、前夜ちょっと降ったのもあってとりあえず出撃。

 商業施設の灯り下、最初潮上げ気味でタラッとしてて魚ッケ薄かったけど、18時半頃から上げたり下げたりしながらも下げが効き始め、そこそこ餌ッけでてきた。うろついてるフッコも1匹見えたけど反応せず。

 ただ、魚は明らかにいる雰囲気になってきたので、ルアーをフッコスペシャル、ワンダー小、自作シンペン、サスケ7S、ラパラF9改等色々試してたところワンダー小でセイゴ臭いアタリとフッコスペシャルで小マシな感じのアタリのかけ損ね。

 これは水面でバシッとしっかり食わせた方が食いが浅くならなくて良いかなと考えて、19時前ぐらいからたまに追われる動きが見えてきたのもあり、自作シンペンに換えてモグラ叩きをしてると、餌の群れのあたりをゆっくり横切らせてたのにバシュッと出た。ガシガシあわせて頭こっち向いて寄ってくるのを必死でリール巻いて足下何度か突っ込まれて何とかゲット。50弱。

1匹目

 いつものアグリースティックライト7fのトップガイドが糸溝できてたのでトップガイド発注して代打は久しぶりのスミスブローショットGSX-70。癖竿のアグリースティックと違って優等生な感じのナイロン時代の竿で軽すぎない軽さと抜けの良さと適度な粘り腰。3本確保してるけどやっぱり良い竿。

 その後追加しようと粘るも1度小さいのが出ただけで20時過ぎ下流へ、砂州ポイント餌ッけすくなくアタリっぽいの1度、工場の灯り下は水曜ノー残業デーとかなのか灯りがなく不発。

 22時前に商業施設の灯り下に戻ってきたら、散発的にボイルがあって15センチぐらいの大きめのイナッコの群れや徘徊するフッコも見えたので粘る。けど、1度近距離で起こったボイルをモグラ叩きしたら足下まで追ってきて、護岸の影に入ったので8の字書いたりして誘うも、直前まで突っ込んでくるけど見切られて食わせ切れず。どうも沖でもルアー見切られてる感じでモグラ叩きにも食ってこずで11時前に消灯。

 最後過ちポイント方面、魚入ってるようで1投目の自作シンペンに後ろで反転。そこからあれこれルアー換えて粘るも、足下に1匹、やや下流に1匹いるようでたまに本物の餌が追われるけど不発。

 上流を探りに行って、フッコスペシャルでググッと重くなる良いアタリに重さを感じながらガシッとあわせると乗った。追いアワセかけて障害物から引き離すと重量感あるんだけど引きは弱々しい。老成したヨボヨボの個体かもとワクワクしながら寄せてきたら亀でした。ちゃんとクチバシ?の所に掛かってた。

アカミミガメ

 ミシシッピアカミミガメ実は美味い説があってどうも本当らしいけど、亀はまた違う意味で「神殺し」的な禁忌感が強く、しばし迷ったけど川にお帰り願った。駆除が必要だと思う人は自分で釣ってくれ、ワシャこんな都市河川で在来種か外来種かとか今更グダグダ言ってもしょうがないと思うので今のところ後近所づきあいしていく方針で。

 戻りつつ投げてたら、杭の横でバコンと出て久しぶりに伝家の宝刀抜いてビックリアワセ。亀に決めたように重み感じてからしっかりあわせろって何度言ったら分かるのか。ガックシ。

 亀で終わりでも良いかと思ったけど悔しくなってちょっと粘る。最後のチャンスと岬の沖に投げたフッコスペシャルがむなしく戻ってきたなと思ったら足下近くに来てバコンと出た。今度は冷静に竿先送って魚反転させてからガシガシあわせる。元気な個体できつめのドラグをチチッと短く鳴らす突っ込みを何度か見せてくれて無事ゲット。

 ちょっとサイズアップで50真ん中ぐらい。終わりよければ全てよしで撤収。

 秋の午後あまり潮位が下がらない潮は川に水位がある時間が長いので粘れて良い気がする。おかげで0時過ぎまで粘ってしまい疲れたけど。トゥルーテンパーも6時間労働でも問題ない感じ。魚ッケある割に苦戦したけど2匹も釣ってりゃ好釣。

 


○11月16日顛末記より

 一昨日も釣れたしいけるやろと、18時頃から始める。今日もタラッとした潮。

 19時過ぎまで粘るも前回とうってかわって餌ッケもなければシーバスも見えない。コイが底でモフモフしているだけなので移動。

 砂州ポイント対岸はいきなり上流側の明るいあたりでボイルしている。ただ魚が小さそうだなという感じで、自作シンペン投げたらいきなり出たけど、パチュっという感じの可愛い捕食音でかからず。

 これは明るいところは元気なセイゴ達でちょっと暗くなった辺りで小マシなサイズが餌待ってると想定して探った方がイイかなと自作シンペン、フッコスペシャル、ワンダー小と投げてみるが不発。餌はイナッコじゃなくてもっと小さい魚が水面にチョロチョロしている。

 あきらめて、工場の灯り下の下流対岸の水門はボラはいたけど反応なく、工場灯り下も反応なし。

 20時頃商業施設の灯り下に戻るも、あいかわらず魚ッケ少なく、沖目に若干餌っぽい波が立ってるなとフッコスペシャル遠投して狙ってたら、いきなり目の前10mくらいのところでイナッコ水面に追い上げてボイルが始まったので、速攻で投げ込んだら食ったけどアワセた時にはもう吐いてた。まだ近くにいるはずで、ルアー動かす距離が少ないぐらいの場所なのでチョイチョイと誘ってから落とし込んだら、横っ飛びで食ってきた。落とし込むのに道糸緩めてたのが良かったのか、しっかり食ってくれててアワセも決まってバタバタ暴れるのをカニ移動しながらいなして落としダモに収める。

1匹目

 60弱ぐらい。今日はスカかなと思ってたので少ない機会をものにできて良かった。

 その後はやっぱり反応なく、3本目橋周り、水門、ネット蛇篭、1本目橋下と探って行くも異常なし。

 21時半頃ちょうど良い潮位の過ちポイントに入るも反応なく、今日は魚いないなと思いつつも、最後にいつも付いてる岬でセイゴでも良いからもう一匹と重めに作ったセイゴスペシャル投げても反応なく、逆にセイゴもアタらないってのが違和感あったのでちょっと粘ってから、上流から狙ってたのを逆に下流側から狙ってみたら一投目で食ってきた。

 沈んでる矢板をかわすのに失敗して矢板の向こうで潜られてラインがこすれてる嫌な感触。そのうち浮くだろうと無理に引っ張らずにしばらく待つけど、我慢ができなくなって上流に立ち位置移してちょっと引っ張ってみると嫌がって暴れてビビったけど浮いて水面で首振ってくれたので、ここぞと寄せて矢板かわして後は足下突っ込ませつつ落としダモ用意して無事水揚げ。

2匹目

 これも60弱ぐらいか。ヒヤヒヤしつつも最後に気持ちよく釣れて22時頃終了。

 魚ッケ少なくて”ハズレ日”っぽかったけど良い季節なので、終わってみればちゃんと釣れてて楽しめた。日によって状況全然違っててまったく読めてない。代打竿のブローショットは好釣でアグリースティックライトの修理が来週初めぐらいになりそうなのでもう一回ぐらい登場願う。

 

 

○2018年11月17日土曜日ブログより

覚悟完了!PENNスピンフィッシャー”ウルトラスポーツ”714Z

 覚悟とは性能を凌駕する魂のことなり!

 ということで、714から三十有余年にわたり釣り人の魂と共にあった漢のリールである714Zの実戦導入の準備は整った。

 今回はその準備の模様など、古リールに興味のある人の参考になればと公開してみる。
 さあ皆さん思い切って踏み出して、共に深い沼に沈もうじゃありませんか。




 とりあえず、お手入れの基本は分解清掃からだと思うので分解して、クレ666吹きかけて歯ブラシでゴシゴシ、ティッシュでキュッキュから始める。
 ちゅうても単純な設計なのですぐバラせる。ローターの下は706Zと似たようなもので極めて部品点数が少ない。
 ローター周りもそれ程ごちゃついてはいないのでたいしたことはない。
 でも造りは無骨でも丁寧かつ丈夫な感じで、そこはPENN伝統の持ち味に加えて古い造りのリールならではの風合いかと。
 ラインローラーを止めてるナットがかしめてあり力掛ければ外せそうだけど戻せなくなるとまずいのでとりあえずラインローラー回ってるし外さず進める。


 古いグリス、オイルを拭き取って新たに主軸とボールベアリングにオイルを注し、グリスをギア周り中心にグッチャリとグリスで濡れていない場所がリール内部にないように盛って、ベアリングの上下もグリスシーリング。
 とりあえずこれで、組み立てればギア等内部機構関係はひとまずよしかなと思って蓋締めてハンドル回したら妙に重い。
 何か間違えたか?
 同じような内部機構の430ssは同様の注油等で軽快なのでどうしたもんだろうと考えて、ハンドル軸とそれを突っ込む長いスリーブはグリスじゃなくてオイルだったかな、この時代のは省略だけど元々はここにオイル穴空いてたぐらいだしと、また蓋開けてグリスぬぐってオイル注して戻して、しばらく回してなじませたら軽くなった。
 軽くなったといってもウォームギアなのでそれなりだけど、そこは味わいってことで。


 この状態でも、とりあえずは使えるといえば使えるんだろうけど、トゥルーテンパー先生の教えによると、ラインローラーの傾きがきついと糸ヨレがきつい。結構傾いてる。
 なので、ベールアームが返ったときに受け止める部分の樹脂製のクッションを嵩上げして水平近く調整。
 クッションは塩化ビニール製のパイプ輪切りにしたのが丈夫でいいのでそれを使った。トゥルーテンパーで経験済みなのでサッと対応できる。

 ついでに、ベール返りがガシャンと強い場合は開く角度をバネの穴の位置やらバネやらいじって優しくカションと返るようにすると部品長持ちするようだけど、強いのか弱いのかあまり他の例を知ってるわけじゃないので、とりあえず保留で様子見。



 あと、実戦においては物資の補給は必須。スペアパーツだのは壊れてからでも間に合うけど、スペアスプールの弾数は釣果に直結するので素早く確保しておいた。
 高級リール様をスペアスプール無しの一台きりで使うぐらいなら、使える安リール2台買ってスペアスプールも2個ぐらい追加したほうが実釣能力が格段に向上するはずだと思う。
 714Zは高級リール様以上に「故障しない」リールだと判断して、いざとなったら緑の714を2台目として運用するけど、基本1台での運用を試してみようと考えている。
 しかし今時の物流はすごいね。米国のMYSTIC REEL PARTS」にネットでポチッとナと注文して1週間とかからずモノが届く。


 これで使えるなと、ラインなど巻いてみる。
 ここで問題発生。ライン巻いたらえらい後ろ巻きというかテーパー状に巻けてしまった。
 これって実は90年代あたりのスピニングリールの標準らしいって話で、キャスティング競技や砂浜からの投げ釣り遠投のためのスピニングリールやらからきたテーパーの付いてるロングスプールがルアー用とかの小型スピニングにも流行ったことの影響で、既存の機種でもやや後ろ巻きに調整されて売られてたんじゃないとか聞く。
 確かに遠投性だけでみたなら、前に巻かれたラインが邪魔にならないので、ラインが放出されるときスムーズに出て行くので利点となる。
 手返しとか無視していい遠投競技なんかでは、とにかく1発投げられればそれで良い的な考え方でミッチェルとかにも”ウエディングケーキ”みたいな変態リールがあったし、日本製でも今でも続いてると思うけどアウトスプールのスカートぶった切った超長いスプールのとかがある。

 でも、ルアーの釣りでは繰り返し投げ続けるので、ラインが放出されやすいことによる負の側面である、ドバッとラインがダマで出て行ってしまったりする不具合が生じやすい。なのでルアー用のスピニングリールのスプールの歴史を俯瞰すると長くなったり短くなったりしつつなんとなく普通なところに戻ってきている。ダイワは近頃逆にテーパーを付けてトラブル防止を謳ってるけど、正直、羮に懲りて膾を吹いてるように見えて馬鹿臭い。普通でいいんだろこんなモンよ。普通の道具で普通に投げられねえんなら腕が普通より悪いってことだろヨ。ってなもんである。

 ということで、普通にまっすぐ平行に巻けてテーパーも逆テーパーもつかないように調整する。
 後ろ巻きになるのを調整するには、前に出すぎてるスプールを下げてやる必要がある。前に出すだけならスプールの根元に高さ調整で追加でワッシャーでも噛ませてやれば事足りるけど、下げるには逆に引き算でスプールの根元のワッシャーを薄くするか、それでも足らなければ主軸の後端のネジ止め位置を加工する必要が出てくる。後者なら金属加工の手段をもたない素人の手に余る。
 とりあえず様子見で、まずスプール根元のワッシャーを抜いて、直接スプールの底面と、スプールが刺さってる軸のスプールを受ける面が接触するようにしてラインを巻いてみたらほぼ平行に巻ける。金属加工までは必要なさそうで一安心。
 後はいかに薄くて丈夫で滑りの良い素材を見つけてきて、純正のワッシャーを代替する薄いワッシャーに加工するかというところだ。
 さすがにそのままワッシャー挟まず金属どうしが接する形だと、ドラグが滑るときに摩耗するだろうからまずい。ドラグパッドの大きなテフロンが押さえつけられる力でドラグの効きが調整されるので、ドラグパッドのテフロンシートよりワッシャーが滑りが悪いとワッシャーがドラグパッドの役割を奪ってしまう形になり、せっかくPENN純正の効きの良い安定したドラグがもったいない。
 同じテフロンのワッシャーなら直径が小さいので総体的に摩擦が小さく、径の大きいドラグパッドの仕事を邪魔しない。純正はテフロンのワッシャーである。
 通販でテフロンの薄いシートを探すと、条件に合うようなのがなかなか見つからなかったけど、代わりに使えそうなのを見つけた。
 パン生地こねたりうどん打ったりするのにベタ付かないクッキングシートというのが、ガラス繊維の薄布をテフロンコートしたもののようで0.13ミリと紙のように薄いけど耐熱性とかもあってよさげで、60×40を3枚もいらんけど値段も千円位なので必要な大きさの穴開けポンチと共に購入。
 届いてみるとこれがなかなか良い塩梅の丈夫な物で薄さも申し分ない感じなので早速ポンチで抜いて純正のワッシャー外したスプールの根元にグリスちょいと盛って装着。
 ドラグの作動は問題ないようで滑りも充分良いようだ。これでしばらく破れたりしないか確認しつつ使ってみよう。多分大丈夫そうな感触。
 これ素材としてなかなか優秀で、台所用品としてももちろん使えるけど、薄くて丈夫で滑りが良いという性質はリール改造の素材としてもあれこれ使えそうな予感。良い買い物だった。

 で、改めてラインを巻いてみたらちゃんと平行巻できてて、スプールナイロン8ポンド用2個とセイゴ釣り用の4ポンド1個を用意して準備完了とあいなった。
 すでに430ssgの代わりにシーバス釣りに行くときの控えとして持っていってるんだけど、トゥルーテンパー727が普通に6時間労働とかこなせるようになったので今のところ出番はない。
 バチ抜け時期は竿との相性から4400ssを使うので、多分初陣は来年5月ぐらいか。その前にセイゴ釣りで試投してみるか。
 いずれにせよ楽しみである。
 

 インスプールのリール使ってみたら、そんな特殊でもなくて普通に使えるし、単純で自分で整備したり調整したりという余地があるのも、道具いじる人間には楽しい玩具である。
 興味があるけど、アウトスプールに慣れてるからな、と二の足を踏んでいる人がいたら、一つだけ重要な点に気をつけて思い切って試してみて欲しい。
 たった一つのインスプール初心者の冴えたやり方、は「熊の手」対策が施されている設計のリールを買うことである。
 今使ってる、オリンピックのトゥルーテンパー727も準備完了714Zも、ベールを返す時に手で無理矢理返そうとしても返せない。ベールを開いた状態で引っかけて止めるための部品が分厚く、かつ、ローターから保護の出っ張りが突き出ている。
 オリンピック、PENNの70と71が付く系以外にもダイワの古いインスプールにもこういった熊の手阻止策は講じられているのが見て取れて、なんてことはない昔の釣り人も手で起こして壊しがちだったんだろうと推測できる。
 むしろ人気あって値段の付いてるミッチェル、カーディナルの両巨頭が玄人向けで、値段も安くて入手しやすいそれ以外にこそインスプール初心者向けの機種が多い気がする。
 右手の人差し指でライン放出調整してハンドル巻いてベール起こすのはすぐに慣れます。

 ミッチェルのベールを手で起こして壊して以来30年に及んだトラウマを克服し、今ここに声を大にして叫びたい。

 インスプールしましょ!!

 

○11月17日顛末記より

 1日で状況どう変わるか見たいというのもあって連戦。もちろん良い方に変わるのを期待してだが、あんんまり変わらず。

 最初入った商業施設の灯り下は餌ッケもなく移動する羽目になるのは一緒。

 砂州ポイント対岸は今日は回遊してるイナッコの群れもいて小型の魚もあいかわらずいて魚ッケある。ここの橋周りはいついっても人が入ってるけど、それだけ安定して魚が居るということか。明るい上流側から下りながら狙っていくと、フッコスペシャルに1投目からアタリがあって、でも掛からないのはセイゴなのか食いが浅いのか、しっかり食わせようと自作シンペンに換えると好反応で、何発か食ってきたけど全てセイゴっぽかった。2匹掛けて1匹ゲット。とりあえず魚触れてよかった。

 下流側の暗い辺りにもうちょっと良い型がいないかと期待するも不発。移動して工場の灯り下は不発で砂州ポイント砂州の終わりの水深変化狙って異常なしで商業施設の灯り下に戻る。

 昨夜と同様、多少沖目に餌ッケが出てきていて期待したけどボイル等なく、1度セイゴっぽいのが自作シンペンの後ろをついてきたのみ。死にかけのイナッコがヨタヨタと泳いでいくのを眺めていたけど食われない。ラウリ翁言うところの真っ先に狙われる動きをしている本物が食われんのなら釣れるシーバスおらんなと良い潮位になった過ちポイントに移動。

 過ちポイントと排水ポイントどちらも異常なしで22時前に終了。

 月曜雨の予報なので、状況好転に期待。

 

○11月19日顛末記より

 昨夜雨が降って、日中は止んでたけど日没ぐらいにまた降り始めて今日は釣りまくるぞと出撃。

 明るい時間から引き始める潮なので、商業施設の灯り下に到着時には既に結構下げが効いている。が、餌ッケもボイルも何もないまま19時近くなり、途中実績ポイント探りながら良い潮位になってるはずの過ちポイントへ移動。昨秋実績の3本目橋まわりやネット蛇篭はこの秋全くの不発。

 過ちポイント、最初に入った対岸の水深ある場所、自作シンペン反応なく、フッコスペシャルも数投反応なく、今日も留守かと思ったら足下でコツンと食ったけど、アワセが早かったのか掛からず。貴重な反応を釣果に繋げられず。

 対岸渡って上流見て、下って排水ポイントも探るけど反応なし。あきらめて再度商業施設の灯り下を少し様子見てから砂州ポイントへ。

 しばらく小さめの餌が安定してついていてセイゴもいたので期待したけど全くの無反応。小さめの餌はひょっとしてサッパとか塩水系の小魚で雨水嫌うのか?塩水系なら午後余り引かない潮が良いはずだけどそこまで明確な傾向は読み取れない。

 下流に移動して雨降ってるなら排水かもと、工場の下流対岸の排水を探るもボラ跳ねてるだけで反応なく、工場の灯り下に移動すると到着直前に消灯。21時前に消灯のようだ。暗くなった変化で明るいところに溜まってた餌を狙いに入ってくるかもとちょっと粘るも不発。

 砂州ポイントに移動。上流橋桁は今日も釣り人有りでこのクソ寒い雨の中ご苦労さんである。まあワシもなんやけどナ。

 異常なしで再度商業施設の灯り下、ちょっと沖目上流にイナッコっぽい動きが見えて期待するもナニも起こらず、潮もだいぶ引いたので干潮時魚溜まってたりする1本目橋下流を探りに行くも静かな状態で、最後悪あがきで唯一反応あった過ちポイントの深い場所を狙って終了。

 雨降ってても全然良くなかった。餌ッケほとんどなし。昨秋とも全然違って、今年の傾向もよくわからん状態で、とりあえず行き続けるしか方針が立たないので11月いっぱいは通っておきたい。厚手のインナーとフリースに手袋もだして防寒はしっかりしてたけどさすがに寒くなってきて雨の中体力も消耗し疲れました。あと一盛り上がり欲しいところだけどコレばっかりは魚のご機嫌次第というところか。まあ淡々と行きます。

 

○11月21日

 夕方から雨の予報だけど良い天気で暖かい。夕方満潮で潮が動く日で今期は潮あんまり関係ない気がしているけど夕方から下げは昨年実績あるので日没から始める。

 夕まずめ潮位が高い時は排水ポイントよかった記憶があるので最初入るけどウンともスンともで18時頃には商業施設の灯り下に移動。下げが効いている。

 しばらくして餌ッケが沖に出始め、よっしゃ今日は魚ッケあるぞと思ったら、そのままボイルも何もないまま終息してしまい、19時近くなり過ちポイントへ移動。しかし反応なく砂州ポイントへ。

 今日も砂州ポイント周辺は人山だけどたまにボラが飛ぶほかに反応なく、いつも入ってる対岸下流にも人がいたので、一旦工場の灯り下に行くも無反応で戻ってきてポイント空いたので狙うも不発。

 再度商業施設の灯り下はかなり引いてて足下底が露出しそう。反応なし。

 1本目橋下流今日も静かな状態で22時前終了。アグリースティックライトはトップガイド換装の復帰戦飾れず。

 今年は終わったということだろうか?あと3回ぐらいは行く予定。

 

○11月26日

 やっと冬っぽくなってきたら腰が痛いしちょっと不調で週末釣りに行けず、こんなことではいかんと月曜出撃。天気良く風も無く穏やかな日で、夕まずめ潮位が高い排水ポイントから始めると一発セイゴのアタリありで今日はいけるかもとの期待を胸に18時頃に商業施設の灯り下に移動。上げ止まりでタラッとしている。

 しばらくしてボラがバンバン跳び始めたけどシーバスの反応はない。ないんだけど一匹シーバスっぽいのが見える範囲にいてルアーあれこれ変えて狙うも動かず、最終的に反射食い狙いでスプーン投げて目の前通したけど嫌がってどっか行った。沖目も岸際も狙うも反応なく19時過ぎ砂州ポイントへ。

 中古屋で手製の木製リップレスミノーが安く売ってたのをいくつか買ったけどなかなか良くできてる。動き自体は良くあるおとなしめの今時のシーバスミノーで特筆するほどじゃないんだけど、重心移動じゃないけどやや後方重心気味で浮力弱めに浮くぐらいに造ってあって飛距離が出しやすくて、ダブルフックを2個リングで繋いでフッキングの良さと根がかりにくさを考えてある細かい工夫とか、塗りも単純な配色だけど綺麗でいろいろとツボが押さえらててかなりヤル感じで良い買い物だった。

 釣れてる状況には思えないんだけど砂州ポイント上流の橋はキッチリ上下上下4人貼り付いていて感心する。餌ッケも反応もなく、異常なし。工場は今日は既に消灯してたので対岸下流の排水ちょっと探って再度商業施設の灯り下。良い感じに潮が効いて沖と岸側が逆流して潮目っぽくなってるんだけど沖目も護岸際も特に反応なし。

 過ちポイントと排水前もオオバンとか水鳥が警戒音で鳴き交わしていただけで異常なしで21時前終了。

 いつまでも暖かかったから後半盛り上がるかもとちょっとだけ期待してたけど、雨降りそうなのでその後と、週末の午後動かない潮を狙って異常なしで終わりッぽいなコリャ。

 

○11月29日

 雨は期待したほどは降らなかったけど、午後潮が高いまま動かない好きな潮周りだし暗くなると同時に出撃。風はやや強めで手袋なしではキツくなってきた。排水ポイントから始めるも反応なく、今日も異常なしの1日になるのかとウンザリしかかるが、やること淡々とやっておこうと商業施設の灯り下へ。

 潮はタラッと流れている程度でたまにボラが跳んでいる。濁りはそれ程ではなくゴミも少なく雨の影響は少なめかなとルアーおとなしめを中心にあれこれ変えて狙うも反応得られず。たまにイナッコも追われてる感じじゃない連続ジャンプしてて、沖にはシーバス居ないなと沖よりは護岸際にやや多めに投げていく。

 18時半頃そろそろ移動しようかと思ったあたりで、護岸際上流に投げていたフッコスペシャルにバコンと出た。アワセも決まって一旦水面で暴れた魚がちょっとドラグ出して下流へ下るので追いかけるようにカニ移動しつつ落としダモ用意して、コレ逃したら今期もうチャンスないぞと緊張のあまりもたつくも、ハリも掛け重視の真っ直ぐなハリ先だったけど、バレないときはバレないもので何とかねじ込んだ。

60

 秋らしく肥えた個体で60ぐらいあって大満足。

 割とすぐ、足下近くにきたルアーにゴミがかかってたのを竿先あおってはずしたら、その動きに反応してやや小型のがギラッとしたけど口には入らず。今日は魚おるやンけと気合いを入れて粘るもその後は異常なしで、19時半頃に砂州ポイントへ。

 餌ッけは見えてなかったけど、セイゴはいるのかフッコスペシャルに2度ほど小さなアタリ。なぜか今日は釣り人いない。いつもは入れない橋のたもとも狙ったけど反応なし。

 工場は今日も早上がりだったようで消灯済みで、再度商業施設の灯り下に戻るも異常なし。雨降った後で岸際に寄ってるのかもと仮定して、昨年実績の3本目橋周辺やら水門やらネット蛇篭やらを探るも異常なしで、この秋は結局これらの場所では一つも反応とれていない。

 ついでに1本目橋も異常なしで、ちょっと潮位高めだけど、過ちポイントに移動。

 最初フッコスペシャル投げながら釣り上がって、魚入ってないなと思いつつも、ルアー派手な動きのも試してみようとラパラJ9投げながら下ってくると杭のあるあたりでボシュッと出た。出たけど食い切らず。魚入ってるやンケ!とその後ルアーをあれこれ変えて粘るもそれっきり。

 排水ポイントは寒くなってきて暖をとりにきたのかボラがいっぱいいて、なんか捕食音っぽいのも混ざってるけどボラが跳ねてるのと区別がつかない。

 フッコスペシャルにセイゴっぽいアタリはあって、魚おるはずだと粘っているとグッと重くなってアワせたらゴンゴンと首を振った。良い重さでこれはそこそこ良い型だなと突進に備えるもぜんぜん走らず。寄せてきたらコイだった。そういえば以前にも同じ場所でコイ掛けてタモ入れ失敗やらかしてるのを思い出して、リベンジとばかりに慎重に空気吸わせて弱らせて無事落としダモにねじ込んだらタモの中で暴れまくった。しかしもう遅いのだよコイ君。

 これも60ぐらいあってなかなかの獲物。起き上がって歩く系の個体で写真撮ってる間にくねりながらズンズン前進していくのが妖怪じみてて笑えた。

コイ

 その後は反応なく21時半ころ撤収。

 終盤はキッチリ連敗して終わる予定だったけど、良い魚2匹が相手してくれて嬉しい。トゥルーテンパーの出番もあと少しだけど最後まで調子よく回ってくれそうだ。潮の良いうちにもう一度行って今期終了か、釣れたらもうちょっとやるか、いずれにせよそろそろ終わりが見えてきた。

 

○12月1日

 もう12月。今期シーバス最終戦のつもりで、前回よりは潮が動くし夕まずめ前には引き始めるので、17時頃暗くなると同時に商業施設の灯り下へ。

 潮はそこそこ効いていて、しばらくすると沖目をイナッコがポーンポーンと飛んだりして餌ッケないでもない。ルアーおとなしめとちょっと動くの交互に投げつつ護岸を行きつ戻りつ。

 反応ないうえにえらく風が出てきてしんどくなってきたので、18時半頃そろそろ良い潮位のはずの過ちポイントへ。

 過ちポイントも異常なしで、排水ポイントはボラ結構いたけどシーバスの気配はなく、20時前にあきらめて早めの撤収。

 最後スカ食って、これで今期のシーバスは予定終了。去年と違って過ちポイント以外では地形変化や構造物にシーバスまったくついてなくて苦戦したけど、灯りに寄った餌がらみでなんとか釣りを組み立てて、結果的には面白い釣りが展開できたように思う。そこそこの満足感とちょっと悔しさもあったりと、そこはいつもどおりという感じ。

 道具達もお疲れさん。トゥルーテンパー727はおかげであれこれ遊べて楽しかった。次使うのはいつになるか分からんけどライン抜いて油注して倉に眠ってもらおう。

 って書いてたら、天気予報見たら週明け一雨来そうで、釣れそうに感じる降り方なら泣きのもう一回ありかも。でなければヘラ釣り再開の予定。

(2018.12.2)


 ○12月8日
 雨がわりとしっかり降って、あがったら暖かくて風もない日なので泣きのもう一回。

 産卵参加しないセイゴぐらいいるだろうと、夕まずめ排水ポイントから始めるも無反応でコレは外したかなという感じ。

 商業施設の灯り下に移動して、結構ゴミが多く流れてて潮も効いてて濁りもそこそこでイナッコもたまに泳いでる、と釣れそうな条件揃ってるので、ルアーをおとなしめと良く動くの織り交ぜて行ったりきたりするも、ボイルもなくアタリもないので19時前に移動。

 3本目橋、水門、ネット蛇篭反応なく、ボチボチ良い潮位になったので過ちポイントに移動。

 フッコスシャルで釣り上がるも、最初いつもの岬でセイゴがパチャっとでたのみでコリャダメだと思いつつも折り返してラパラJ9で釣り下って行くと、わりとすぐに水中の石組み手前で食った。

 釣れないだろうと思ってたので最初ゴミかと思ってたけど、締めたドラグのせいで潜れずすぐに水面で暴れ出したので「魚やンケ!」と驚きつつアワセ食らわせてサイズもそれ程じゃないのですぐ寄せて無事水揚げ。


 このポイントでは濁り出るとJ9がよく働いてくれる。サイズは50ないぐらいだけど嬉しい。痩せてて産卵参加できずに居残ってた個体か?
 トゥルーテンパーはライン抜いて仕舞ったんじゃないの?と思った人はよく見てね。このリールについてはまたそのうちブログで書きます。初陣飾りました。

 その後は反応なく、排水ポイント相変わらずボラはいてちょっと粘るも反応ないので20時過ぎ撤収。

 やっぱり雨は吉と出た。



○2018年12月15日土曜日ブログより

くらえッ!エメラルド350スプラッシュをーッ!


 ”千円縛り”でぶっ壊れたようなスピニングを買って修繕して楽しむという方針で、一時は症状が治まりかけていたように思えた”スピニングリール熱”だったのだけど、すぐに熱がぶり返してきた。
 なんというか、ぶっちゃけ千円縛りではなかなか欲しいものが買えん!アタイもーイヤッ!!
 前回の記事を読んでもらえば分かると思うけど、誰でもホイと買ってしまえる千円以下で買えるようなリールって、ネットオークションではオレにしか価値が分からないたぐいのものを除くと、買う気にもならない”ゴミ”ぐらいで、ワシがゴミだと思っても欲しがる人はいるのかもしれないけど、ワシがいらんものを買わなきゃならん理由はない。そうでないような代物はよほどの幸運でもないと巡り会えない。トゥルーテンパーもオートベールも幸運な出会いだった。
 オレが欲しいものは他の人も欲しいってのは当たり前で、日本語読めるネットに繋がった人間全てに入札資格がある国内のネットオークションだと、なんぼワシが特殊な性癖の持ち主だったとしてもそんなモン、広いネットの世界には似たような趣味の人間はいくらでもいるモノで、”部品取り”にしかならないような一部破損とかのゴミ回収寸前の個体でも千円程度ならそれこそ部品取りにと入札する輩はいるのである。
 2,3人で競って、惜しいところで競り負けて落札価格が千”数百円”とかいうのを繰り返すと、メチャクチャ頭にくる。アタイ悔しいッ!!
 他にも、この前などソ連製インスプールスピニングなどというモノが出品されていて、ソビエト時代に彼の国で生産されたリールは、寒い国から来たリールらしく発泡スチロールの箱に入ってて替えスプールまでついてるときた日にゃ、今時の高性能なメイドインジャパンにはピクリとも物欲チパカシさせられなかった我が輩も、心のフォックストロット型潜水艦が核魚雷装填して発射寸前のキューバ危機ってなもんで、おもわず前屈みになっちゃう感じで危ねえ危ねぇ。
 終了日時まではだいぶ間があるうちから好き者どもが群がって入札してて5千円は超えてたので、最終的には万単位だろうなと冷静になってあきらめて、なんとか全面核戦争は回避できたものの”沼”はどこに口を開けているか分かったもんじゃないと恐ろしくなった。
 そもそも、これまで避けてきたインスプールのリールを勉強しようというか、いじくって遊びまくろうというのが最初の趣旨だったはずで、トゥルーテンパー727以降、実際に使う本命機であるPENNの714Zと予備機714はしっかり予算つけて既に確保したモノの、もう1台2台は安くて遊べるぐらいの気安いのを入手して、どんなモノかなと楽しみたいと思っているので。共産主義思想に基づき製造されたリールについての考察とか、そっちの深い沼にはまって散財する予定も余裕もないはずである。

 ということで、ミッチェルやカーディナルのような名機でもなく、妙に人気があって高騰している(今の状況でもだいぶ落ち着いたぐらい一時値が上がってたらしい)大森ダイヤモンドでもない、弾数多くて値段もそれなりのインスプールを狙ってなんとか千円縛りでいけないものかと奮闘していた。
 候補としてはトゥルーテンパー先生と同じオリムピック製の「エメラルド350」、ダイワの「8300A」「7250HRLA」あたりが、未使用箱入りとか除くと5千円前後が相場で、ボロボロの”部品取り”程度の個体なら運が良ければ千円縛りでも買えそうな気もする。
 こいつらは3機種とも”熊の手”対策でベールを開いたときに引っかける部品にローターから保護する”棚”が張り出していてインスプール初心者向き。かつ、エメラルド350においては、PENNでは引っかける部品を縦にして高さを稼いでいるのを、カーディナルのように折り曲げて高さを稼いでいて、ベールスプリングの負担が減って長持ちしそうな設計である。
 TAKE先生の著書ではオリムピック製インスプールとしては「シャルマン」が紹介されていて、現在の中古市場の弾数の少なさや設計などからみて、ベールスプリングが弱いンじゃないかという推論だったけど、シャルマンより後に作られたエメラルド350においては、そのあたり改善されているように思えた。

 で、そのエメラルド350が2台まとめて”ジャンク”扱いでオークションにかかった。
 1台はハンドル無し、1台はドラグノブが固着していて外せない。見た目も腐食が見られてショボいという立派な”ごみスピ”具合で、これなら1台千円として2千円で入札すればいけるかもと、まずは2千円で入札。とりあえずは最高入札額だったけど、ぶっちゃけこの2台の良いところ取りをしていわゆる”ニコイチ”を作ってしまえば、稼動する1台と上手く傷つけずに外せば替えスプールも手に入ると想定できる。あとはどの程度ギアとか本体とかが傷んでいるかだけど、それは買ってみないと分からない。となると、壊れ具合の不確定要素が値引き要素だとしても替えスプールで相殺で、ボロい稼動品1台ぐらいにはなりそうで、相場観からいって3千円前後が落札価格だなとうすうすは感じていた。
 でも、最初に決めたことだし制限取っ払うと収拾つかなくなって”収集”になっちまうからなという冷静な思考は、終了日にあっさりと高値更新された時点で溜まった欲求不満も爆発して吹っ飛んだ。
 面倒くせぇ、コイツはもう買っちまおう。どうせ同じような懐具合で3千円ぐらいまでしかこの程度で不安要素のある物には突っ込めないのは皆一緒だろう。だったら3000円に上げたときに高値更新できずにあきらめるのを狙って3,100円ってのを誰でも考えるだろうから、もいっちょダメ押しで3,200円ぶち込んで、それ以上は払うような価値のある品じゃないからオークション終了まで放置と決め込んだ。
 オークション終了時刻になって携帯にメールが来て落札の通知。ヤレヤレだぜと最終的な落札価格みたら、3,200円ドンピシャでハンマープライス!薄氷を踏むような勝利。
 だいたいネットオークションって自分が参加すると相場よりちょっと高い値段でしか落札できないように感じるけど、考えたら当たり前で”相場”の落札結果の時にもし自分が参加していたら落札するにはもう一段階値段を上げてなきゃ落とせてないっていう話。
 入札者少ない不人気商品ほど、自分が参加するとその分如実に落札価格が上がる。 
 
 なんにせよ、目的の物は入手できた。あとはどこまで修繕して使えるようにできるかである。
 エメラルド350はアメリカではHeddon281」の名で売られていて、右側の銘板の表記が違うだけの同型機である。大きさはトゥルーテンパー727より一回り小さい、ちょうど714Zとかぶるような大きさで、バス釣りはじめ内水面の釣りを想定しているのだろう。渓流にはやや大きいかという感じだけど使えなくもなさそう。シーバスにもちょうど良さそうだけど、この大きさは既に714Zを使ってみる予定があるので、まあ遊びで使うかもだけど、そもそも使う具体的な予定があって入手したものでもない。あえて想定するなら、フローターで野池でプカプカ浮いてザラパピーとかタイニーラッキー13とかスピニングっぽいルアー投げたら、ヘドン繋がりで気分でるかもなっていうぐらいか。

 なにはともあれ、分解清掃なんだけど2個体のうち、ハンドル無しの個体は見た目ボロいけど機関はそれなりに程度良くてローター手で回すと、古さ相応にシャリシャリしてるけど滑らかには回ってる。

 もう一個の方が見た目はマシで銘板も残ってるんだけど、回転は引っかかって重くてまともには回らないし、外れないというドラグノブは固着しているとか無理にはめ込んで堅くハマってるとかいうのではなく、ナニを考えてか接着剤でガッチリ固めてある。思ったより程度が悪いし難モノである。
 見た目マシな方はガワだけ生かして、中身は全部ボロい方から移植する方向で、とりあえずは見た目マシな方のドラグノブが外せないと移植も一部しかできないし替えスプールが手に入らないので、まずはそこからいくのにサイドカバー外して、主軸に填まっている平行巻機構のピンを抜いて主軸ごとスプールをひっこ抜く。
 回転が固いのはグリスが固まっているのなら拭き取ってグリス再度塗布で解決なんだけど、ローター軸のギアに傷いってるし、固着したドラグノブをスプール本体にはめたまま無理矢理捻って外そうとして曲がったのか平行巻機構のピンも曲がってしまっている。
 前の持ち主か、それ以前の持ち主か、接着剤で固めた輩もアレだけど、ちょっと乱暴が過ぎるんじゃないですかい?とムカついた。

 こういう接着剤を剥がすのの定石は剥離剤とか溶媒使って溶かして剥がしてやるんだろうけど、ドラグノブ自体が樹脂製なのでちょっと一か八かになるので奥の手にとっておき、まずは暖めて緩める方針で行く。
 小鍋に湯を沸かして、主軸付きの状態でスプールをドラグノブごと小鍋に放り込んで5分ほど茹でる。あまり茹ですぎると当然ドラグノブも溶けて変形のおそれがあるので湯加減注意。
 茹であがったモノが下の写真でございます。
 茹でたら接着剤柔らかくなってメリメリと剥がれてくれた。
 残念なことに、ドラグノブは壊れた後に接着剤で固められていたようで、無事救出とはいかなかった。
 でも土台は残ってるし、スプール本体とドラグパッドその他はなんとか救出。これでスペアスプールは確保できたし、見た目ボロい方の個体は機関は生きてるのでとりあえず、1台稼動する個体に加えてスペアスプールという最低限のアガリは確保できた。あとはどれだけ稼動する個体を良い状態に持って行けるか。

 2台とも分解して、グリス拭き取って新しいの入れて見た目マシな個体に動いているボロい方の個体のギアと主軸を移植したら、これがイマイチ重くてシャンとしない。主軸だけ交換とか色々試したところ、どうも見た目マシな方の本体とローターの間でゆがみが生じてて、動かなくなるほどではないけど滑らかには回ってくれないようだ。ただ、グリス塗り替えて主軸のムキを裏返したら元の主軸でも回らないって程ではなくなった。主軸も歪んでる。
 結局色々試して、中身はローター軸のギアだけ交換して他は元のままが、見た目マシな個体もちょっと重いけど使えなくない程度になって、ボロい個体は快調に回るというところに落ち着いたので、見た目ボロい個体を実釣用にして見た目マシな個体は予備機兼部品取りという整理でいこうということで、とりあえず最低限の目標は達成できた。
 2台ともベールスプリングは健在で、ベールスプリングだけ交換済みってことはあまり考えにくいので、ボロくなるまで使っても大丈夫なぐらいにベールスプリングの耐久性は良くなってたんじゃなかろうかと思う。けど、2台じゃなんともいえんか。
 これで良し、と思わなくもないんだけど、なんか当たり前すぎて面白くない。予定調和などぶち壊してしまえ。

 ということで、ブッ壊れたドラグノブの再建とハンドルのでっち上げに挑戦してみたい。せっかくだから3,200円分みっちり楽しまなきゃね。
 
 まずは割と簡単そうなドラグノブの方から。
 ドラグノブの中の調整幅を確保するためのバネが残ってるので、バネを剥き出しのまま残ったドラグノブの土台で締め付けるというのをベースに、バネを押さえつつ収まるように円筒形の素材で覆いを作ってやるというのでいこうかと思ったら、ドラグノブの土台に残っている雌ネジが主軸の頭と太さがあってなくてスカスカで締まらない。どういう状況なのか良く分からないけど別の時代のドラグノブを無理矢理接着してたとか、雌ネジがバカになってるのか何にせよ使えない。
 ドラグ締めるだけなら、写真2枚目のように寸法の合うナットで締めるだけというのも手としてはある。あるけどちょっといくら何でも見た目がアレである。
 ということで、バネは手抜きで間に剥き出しで挟む方向で、主軸が真ん中通るようにフェルトを噛ませて、前後にステンレスのワッシャー、その上にナットを持ってきて、ナットを残ってたドラグノブの土台に、高さが締めたときにちょうどスプールとの隙間が小さくなるように調整して、隙間に割り箸削ったのを突っ込んでエポキシで接着固定。一応金属はエポキシ剥がれやすいからそのうち剥がれるだろうけど、ドラグを押さえる面が凸凹してると安定しないだろうから、ステンレスワッシャーを乗せて平らにして固めた。
 まあ、現場でスペアスプール交換するときにワッシャーとか部品落とさないように気をつけなきゃだけど、ドラグの調整自体は問題なくできるので及第点かと。
 ついでにドラグもトゥルーテンパー先生と同じ構成の3階建てだったので同じように、ドラグパッド3枚それぞれにテフロン仕上げガラス繊維製の自作パッドを敷いておいたのでドラグ性能も問題なし。
 あと、回収したスプールにはドラグ作動時の音出しのクリックがなくて、追加しようとしたらこれまたネジが折れてネジ穴潰れているという有様だったので、ドリルで穴をちょと掘って、ペットボトルの蓋とポリカーボネイトの板を使って”音出し”も再建しておいた。音が出ないと意外とドラグ出てるのか出ずに道糸巻けてるのか分かりにくいので作ってみた。大丈夫だろうとあんまり丈夫に作らなかったけどどんなモンか試してみたい。

 難しそうなのがハンドルのほうで、ドラグなんてナットで締めときゃ充分ってかんじだけど、ハンドルは小型スピニングでそれほど丈夫じゃなくても良いとはいえ、直接力を掛ける部分なので単に右と左からナットで締め付けて留めました、では緩んで空転しかねない。
 なので、普通のリールは締め込む方向にネジを切って”ねじ込み式”になってたり、6角形や、4角形の軸をハンドル軸のギアに貫通させてたりとガッチリ力が伝わる方式になっている。
 エメラルド350においては、上下を切り欠きした円柱のパーツを被せて固定する形式で、この接続パーツが上手く丈夫に作れないと用をなさない。同時代の同じパーツを使ってるオリムピック製のリールを見つけてきて引っぺがして流用するのが妥当だろうけど、探すのが面倒臭いうえにハンドルのないスピニングがまた1台生じるので堂々巡りになる。
 でもこの切り欠きした円柱の直径といい欠け具合といい、なんかどっかで見たことあるなという既視感があるので、脳内検索掛けて「ABUアンバサダーのハンドル軸に入ってるパーツや!」と思い至り、「こういう風に表面がへこんで壊れます」って見本でF師匠が新品と一緒にくれた、瞬間的な逆転防止機構の一方通行のベアリングに填まるスリーブがちょうどあったので試してみると、あつらえたようにピッタリはまる。
 このパーツを接続部品に、ステンレスの軸にナットで位置決めして余ってる竿のブランクをぶった切って填めて固定してで何とかなりそう。
 回す部分は、とりあえず蔵に転がってたアンバサダーのハンドルでどうかな?と試してみると、軸に留めるところは一工夫必要だけど、ちゃんと機能しそうなれど、なんだろう?どうにもこの時代のスピニングにダブルハンドルは違和感がある。ナット剥き出しとかは手作り感あって許せても、ダブハンはネェだろという気がするので、安い小型スピニングのハンドルをネットオークションで探してきてシングルハンドルにすることにした。
 ちょっと良さげなのを見つけるのに時間がかかってしまって、その間既存のハンドルを見た目ボロい方につけて実釣に持ち出してフッコ釣れたりしたけど、黒いハンドル送料込みで700円で確保。
 買った中古ハンドルを軸から外して、新しい軸を多少緩んでも止まるように先っちょ曲げて突っ込んで、隙間を固い樹脂とガイド用のせき糸で埋めつつエポキシでガッチリ固めて、切り欠き円筒型の接続金具との間はギチッと填まるようにカーボンブランク切って削って軸にもせき糸巻いて太さ埋めてエポキシで固定した上に、上からもせき糸巻き巻きしてエポキシ塗装仕上げ。
 ナニが苦労したかって、古い軸からハンドル回す部分を外すのが面倒臭かった。ハメ殺ししてあるピンを釘でもあてがってトンカチでどやしたら抜けるだろうと安易に考えてたけど、固くてかつ釘が滑って上手く打撃できずに、ドリルで時間掛けて固いステンレスのピンの頭削ってある程度釘が収まる穴を穿ってから短いボルトを立てて気合いで叩き込んでやっと外れた。ステンレスって固い固い。アルミ系とかならハンドドリルでも穴あけるのそれ程難しくないだろうけど、ステンレスは全然削れなくってPCの前で格闘技見ながら5分のラウンド終わる毎に穴の深さ確認してたけど、ボルト立つぐらい削れるのに2時間ぐらいかかった。
 隙間を埋めるための固い樹脂は、アクリル板でも買ってきて切るかと思ったけど、そういえばCDとかDVDってポリカーボネイト製だよなと思って、要らないDVDをアクリルカッターで切り出して使った。DVDは2層構造でギラギラの面の方がポリカーボネイトっぽい、印字側は単なるプラっぽくてすぐ割れた。


 外側のエポキシも固化して無事完成。ハンドル折りたたみ式にはできなかったので、袋に入れて持っていって差し込んで留める方式にして、右側には摘まんで回せる金具をつけて、隙間への埃やら海水やらの進入防止にスピンフィッシャーみたいに油染みこませたフェルトを入れて、銘板のところにはまたカモメのシールを貼っておいた。

 摘まむタイプのハンドルノブで軽く巻けて、見た目も、派手な本体の個性を邪魔しない感じに落ち着いててなかなか良いんじゃないでしょうか。と、自画自賛。
 まあ、苦労して修繕したリールには当然思い入れが生まれるよねってことで。

 これで、1台と替えスプールが手に入れば良し、という当初の目標を超えて、まあお金も手間暇も追加してかかったし、1台はちょっと回転重いし、1台は見た目かなりボロいしだけど2台稼動する個体が手元に残って、楽しんだ分も含めて上々の首尾だと思う。
 この2台で”インスプール熱”は結構治まってくれて、といいつつダイワ「7250HRLA」と大森「ダイヤモンドスーパー99」の2台がまとめて2千円で落札できてしまい配送待ちだったりするけど、インスプールのリールはまあ満足したかなという感じになってきた。
 でも、インスプール熱から始まってスピニング全体に興味が広がっていった過程で、他にも実は買ってしまっているし、いろいろと思うところもあったので、年内いっぱいぐらいはスピニングネタで行く予定。自分の中での”スピニングリール論”が再整理できてきたような気がする今日この頃。快方に向かってます。多分。
 さらなる沼の深みに沈んで年開けてもやってたりして。まあそんときゃそん時で。 


○2019年1月12日土曜日ブログ再掲

余熱

 ひとまずスピニングリールネタは終幕、と言ったな、あれは嘘だ。

 という台詞がシュワちゃん(CV.玄田哲章)で脳内再生されるか、ジョルノ( CV.小野賢章)で脳内再生されるかが、映画ファンとアニオタの差だと思うの。

 「またスピニングリールネタかよ!熱さがっとらんやんケ!!」と思われるかもだけど、ぶっちゃけもう熱は冷めてます。イヤほんとですって。
 特に”欲しくて仕方ないノ!!”って感じは年開けてからはもうなく、物欲的には治まっててネットオークションも一応見てはいるけど入札するほど欲しいものもない。とはいえ年末の時点で買っただけで触ってなかった3台をいじったら、もうわざわざ紹介するような新しいこともないのかなと思ってたんだけど、なかなかどうしてどのリールも個性や工夫が見て取れて、みんな違ってみんな良い的に面白かったので、そのあたりの紹介と「こんなリール買いました」だけじゃツマンネエと思うので、多分次回になると思うけど実践的スピニングリール改造例的なネタもぶち込んでみたい。

 ということで、こんなん買いました紹介一発目が写真のダイワ「7250HRLA」。
 オリムピックの「エメラルド350」でかなりお腹いっぱいになってたのでしばらく放置してたけど、なかなかどうしてこいつも悪くない。というか全然人気ないみたいだけど良いジャンという感じ。釣り場で使ってないのでなんともな部分はあるけど、見てのとおりインスプールでそんなに複雑な道具じゃなし特に不都合生じそうにも思えない。
 70年代の日本製品が安さと品質の良さで世界市場でのし上がっていった時代のリールで、米国の他に英国とかでも売られたようで、色違いやらワンタッチスプール版のとかもあるようだ。ってことからそれなりの高評価を得て数売りさばいたリールだと見てとれる。国内版は別の名前で売ってたようだけど基本同型、この個体はいかにも米国仕様なPENNのドングリ形っぽいノブのハンドルが付いている。他にミッチェルっぽいハンドルのタイプもネット上で散見された。ダイワはPENNとも技術提携していた歴史があるようなのでその辺の影響かとも思うんだけど、ネットの識者によるとむしろこのリールはダイワが70年代に吸収した「稲村製作所」の技術を色濃く引き継いでいるらしい。
 「稲村製作所」もスピニングの歴史を勉強しているとよく出てくる名前で、米国じゃヘドンの名前で出ていますな実力派だったけど、最後は自社ブランドで米国市場を闘ったダイワの軍門にくだったという歴史絵巻らしい。ダイワ強し。
 巻き心地とか正直私は気にしない釣り人なので良くても悪くても評価できないんだけど普通にクルクル回ってくれてて、分解清掃する前からコリャ問題なく使えるなという感じ。
 ドラグも普通に3階建て方式で、ダイワが国内のドラグ使わない釣り人向けにはあまりと言えばあんまりなドラグのリールを売りさばいていたのと好対照で、米国向けにはしっかりと機能するドラグを入れているという、市場の好みをとらえる上手さがここにも見える。
 パカッと本体の蓋を開けると、なんか変なギアが鎮座してて一瞬ギョッとなるけど、これは古い設計だとハンドル軸のギアの根元に付いていることが多い逆転防止のためのギアが上?面に付いているからであり、逆転防止の爪は蓋の裏に付いている。なぜハンドル軸の根元に付けないのかというと、ハンドル軸の根元には平行巻機構のギアが付いているからである。
 そう、このリールはこの時代としては珍しいクランク式じゃない減速カム方式の平行巻機構を搭載しているのである。なかなかやるやんケ。
 ギア方式自体は普通にハイポイドフェースギアなんだけどスピニングリールで一番大きな歯車であるハンドル軸のギアの直径いっぱいつかって逆転防止の歯を切ってあるので遊びが小さくなっててナルホドという設計。あとベールが大森みたいに折りたたみできるのも地味に良いところ。
 ローターとローター軸のギアが、前の持ち主が逆に捻りまくって噛んでしまっているのかどちらにも回らない固着状態だったけど、その他は外せてグリスもぶち込めたので固着したまま分解清掃敢行終了。
 国内の中古市場じゃインスプールのリールはABUカーディナル、ミッチェル、ダイヤモンドの3強で他は未使用箱入り娘でもなければそんなに値段付いてなくて「7250HRLA」も3千円ぐらいが相場で5千円もだせば結構買える。性能の差はあるといえばあるんだろうけど、どっちが良いと一概には言えないようなむしろ”個性”がある感じで、なぜクソ高い人気機種ばかりををありがたがるのか私には理解できない。なにしろコイツの値段といったら今回次に紹介する「ダイヤモンドスーパー99」と2台で2000円という堂々の”ごみスピ”価格での落札である。費用対効果考えればメチャクチャ良いリールだと思う。

 かつ”熊の手”対策のローターから出っ張った棚も備えた初心者向けのインスプールスピニングであり、インスプール使ってみたいけどベールを手で起こしちゃダメってのが不安なんだよなとお嘆きの貴兄にもピッタリ。どうです?1台。
 ただ、このリール我が家では出番がなかなかなさそうな感じ。大きさ的に「スピンフィッシャー714Z」「エメラルド350」あたりとモロかぶりで、渓流行くときにジェットスピンに付けて使ったら”気分”かなというぐらいか。しばらく蔵で待機だな。

 お次は、みんな大好き大森製作所のインスプールでっせ。といってもサイズが大きくてちょっとルアー用という感じじゃないので全然人気がない機種「ダイヤモンドスーパー99」。
 なんで99なんだろなと思ってたけど左巻が99で右巻が100のようだ、ABUアンバサダーが左巻だと数字に1足すのと逆に左は1引いてる。
 正直、狙ってたのは「7250HRLA」で、2つまとめて抱き合わせてオークションに掛かってたのでオマケ程度に思ってたけど、実際手にしてみるとコレがなかなかに味わい深い1台で、何か出撃機会を考えてやらなあかんなという感じ。
 スプール径が大きいんだけど、分解清掃しながら設計を理解していくとナルホドな感じで、薄いお握りのような三角のボディーに大きなインスプールのスプールとローターが乗っかってる塩梅といい、左巻専用で裏っかわがミッチェル300みたいに背骨の部分が盛り上がってるスッキリとした形といい、なかなかに格好いいリールで、丈夫に作ってある感じの重さといい、我が家にあるリールではコレまで9500ssと706Zが漢らしくて格好いいリールの双璧だったけど、それらに匹敵するぐらい漢らしい。

 内部の機構は、大森ダイヤモンドがハイポイドフェースギアにたどり着く以前のリールのようで、おそらく60年代とかのリールなのかも。ワシより年寄りの御先輩。
 ドラグは普通にこの時代から3階建てなのねというかんじで、ドラグパッドへたってるので例によってテフロン仕上げガラス繊維製のパッド追加してそれなりに使えるドラグに調整。
 パカッと本体開けると、ギアは斜めに溝を切った傘状のギアとギアが接触するスパイラルベベルギアである。
 おおーッ、ミッチェルの名機408やそれに影響受けているだろうPENNスピンフィッシャー722Zに搭載されているギアやんけ。たしか刃切りしてギアを作らなきゃならんのでそのための工作機械やら技術がいるけど、力の伝達効率は良く、つまり軽く力強く巻けるギアで、滑らかさも併せ持つとか何とかだったように思う。
 凝ったギア入れてんなーと感心しつつ分解清掃していくと、驚きの事実が判明。
 このリールにはボールベアリングが1ッコも使われていません。

 ベアリングレス機。なんと漢らしい。
 右の写真のように油溝を切った真鍮の芯にこれまた真鍮のスリーブを被せていて、この芯とスリーブの接触面の滑らかさでローターの回転の滑らかさを確保している形。
 もちろん、ボールベアリングが入っている場合ほどの軽い回転ではない。でも、古いグリスとかぬぐって新たにリール油注してグリスシーリングしたら、まずまず使えるぐらいの巻きの重さでしかなくベアリングなしでもスピニングリールが成立するというのは、ちょっと衝撃を覚えるぐらいの事実。
 でも考えたら、ベイトキャスティングリールにおいて、アンバサダーの「C」なしのモデルはスプール軸を受けるのにボールベアリングじゃなくて銅のブッシュが入ってるけど、重いルアーなら問題なく「投げられる」ぐらいの回転が得られるんだから、不可能じゃないんだろう。
 ただこういうリールが成立するには、製作精度が高いのは当然として、力の伝達効率が良いスパイラルベベルギア方式も貢献しているんだろうし、ギア比が多分3倍チョイぐらいと小さく力強い設定なのとかもあわさっての全体の設計の上手さによるんだろう。ギア比が小さいからスプールの直径大きくして巻き取り速度を稼いでいるようにも見える。さすが大森製作所、栴檀は青葉から香しか。

 という感じで、サクサクと分解清掃してたんだけど、落札時は「動作確認済み」で問題なく作動していた逆転防止機構が、実は爪を歯車に押しつけるバネが錆びていてギリギリ持っている状態で、このまま触らずにここはソッ閉じだと思ったんだけど、なんと、錆を止めるためにちょっとだけグリスを盛るかと触った瞬間ポロッと折れた。大ショック。
 あれこれ悩みつつも、ベールスプリングじゃなければそれ程耐久性はイランということは学習済みで、タチウオ用のステンレスリーダーを加工して爪を押しつけるようにバネっぽく細工して復活させた。一安心一安心。
 スパイラルベベルギアってルアー用だとミッチェルとPENNに見られるぐらいで珍しいけど、この時代の日本製投げ釣りリールには意外に多く使われていたのかも知れない。使い道なくて放置中のオリムピックの「モデル93」もスパイラルベベルギア機だ。
 力がある巻き上げで、遠投した仕掛けをゴリゴリ巻くのに向いていたのだろうか。私は投げ釣りあんまりしないので、「スーパー99」を使うとしたら、ギア比が低くてゆっくり巻ける、かつ力もあるのを利用してデカいルアーでスズキ狙いとかかな。こいつに武勲をあげさせるために釣りモノ探したくなるぐらいに味のある1台である。


 最後の1台はグッと趣が異なるリョービ「サイノスSS700ZM-T」。
 リョービの釣り具部門がJ屋に移ってからの時代の製品のようで、本体・ローター・スプール全部樹脂製で、おかげでカタログでは235gという軽量を誇っている。
 ”樹脂製リール爛熟期”に隠れた名機が実ってたんじゃないか?っていうのを探してたときに買ってしばし放置してあった。ちなみに某中古釣具屋の年末割引で税抜き800円。定価は3,400円と”安物”とまではいかない普及品。
 コレがなかなか悪くないリールなんである。
 分解していくと、まずはドラグが滑りの悪い赤い繊維のドラグパッドにワッシャー1枚で”ドラグノブ=スプールを固定するためのツマミ”系ドラグなんだけど、そのあたりはもう慣れたモノでフェルトを底に敷いて調整幅稼いで滑りはテフロン仕上げガラス繊維製のパッドで確保という感じで使えるドラグにしてしまうと、ラインローラーは直径大きいラインに優しそうなのがついてて、しかも錆びない樹脂製ブッシュ入り。逆転防止機構がメタロイヤルと同様のローターの裏に爪の掛かる歯を設けた「マルチポイントストッパー」方式。と、悪しき高級リール化への階段であるラインローラーへのベアリングやら瞬間的逆転防止機構の搭載に至っていない良い塩梅の進化具合。まあ安いからおいそれとはベアリングとか入れられないってだけかも知れないけど。
 ベアリングはローター軸に1個入ってるだけだけど、ちゃんと軽くクルクル回ってて回転バランスも悪くないように思う。ちなみにハンドル軸は真鍮のブッシュで受けている。
 J屋が吸収したスピニングリール屋である大森製作所に関しては、「ロングマイコン」とか見る限りどこが作っても同じような安リールでしかないと思うしブランド自体消えてしまったけど、リョービについては少なくともこのサイノスはリョービらしい技術が残っているうえにまだ日本製で、ちゃんとリョービの日本工場の人にJ屋が飯食わせてたようで立派である。大森の件では正直恨みに近い感情を抱いていたけどちょっと見直した。さすがにもう工場は日本にはないようだけど今でもリョービブランドのリールはJ屋で売っているようである。
 ただコイツをコレから使っていくかというと、樹脂製の安いリールとしては大森晩年の「アクションM」を使っていくことにしているので出番が想定されず、あと往年の大森ダイヤモンドのようにハンドル軸のギアに堅い鉄系の軸が鋳込んであれば、ブッシュは真鍮製で問題ないんだろうけど、亜鉛鋳造一体成形のギアの軸受けとして真鍮はどうなのか?どっちか削れちゃうんじゃないかという不安もあって不採用とした。その辺もう少し詳しく次回書いてみたい。
 とはいえ安く仕上げつつもなかなかに工夫の跡がしのばれる1台ではあり、ネットオークションとかで売っても低評価で手間賃にもならん気がするし、捨てたり死蔵するのも惜しく思ったので、もう使う機会がなさそうなシマノとダイワのスプリンターマックスと詰め合わせにして使ってくれそうな男の子のいるご家庭に適当に竿も見繕って進呈してきた。ぶっ壊れるまで使ってもらえれば嬉しいナと思う。

 いろんなスピニングをいじくってきたけど、どのリールも完璧じゃないけど利点や愛すべき面とかがありそれぞれに個性があって、実釣に支障を生じさせるようなダメな点がなければ、どんなリールでも使い込んで愛着を持つことはできるような気がする。
 「スピニングリールの性能は基本的に値段に比例するので、可能な範囲で良いのを買ってください」的なことをいけしゃあしゃあとのたまう、釣具屋のまわし者の言ってることなんて全部無視して良いので、自分が欲しいリールの性能や機能はなんなのか、自分の好きなリールはどんなのか、それを考えて悩むこと自体が楽しくて仕方ないことなので、くれぐれもその楽しみを他人に任せたり奪われたりしないように自分でよく考えて、道具選びの面白さを存分に楽しんで欲しい、と老婆心ながら思うのである。

(2019.2)




2019年2月24日日曜日

やめられないとまらないッ♪ダッイヤモンド♬


 かっぱえびせん風に始まっちょりますけど、今回もスピニングリール熱にうかされての「こんなモンを買った」的しょうもない記事でございます。お目汚しを。
 マニアックなリールネタ、ワシみたいなオタクな人間しか読まんだろうと思ってたけど、もともとこのブログの読者であること自体が相当にマニアックなせいか存外読まれているようで、それならばと遠慮なくスピニングネタ連投させていただく予定。まあ釣り具って魚釣れりゃ良いジャンとも思うけど釣り人ならこだわっちゃう部分だよネということでお楽しみいただければ幸い。写真のリールがなんなのか?は後半あたりに出てくるヨ。



 なんというか、朝起きてネットオークションサイトとかで新着のスピニングリールを確認するのは習慣になってしまっていて、12月ぐらいからかれこれ3ヶ月ぐらい見続けているので、だいぶ目が肥えてきた。
 みていると、案外人気のある機種って限られていて、なんでコレが値段付かないの?ってのが結構あったりする。
 以前書いたようにそういうのでも自分が入札参加すると値段が釣り上がって安くは落札できない。と、羨ましい落札価格を横目で睨みつつ指をくわえていたんだけど、なんか写真写りがイマイチで全然入札されないままのがたまたま目について、ものは試しと入札してみたら開始価格の1500円のまま落札できてしまった。
 人気の大森製作所ダイヤモンドリール「タックルオート」のNo.1サイズである。
 配送されてきたモノは、赤土コマセでも使ってたのか”土汚れ”が付着していたけど、分解清掃したところ機関良好で見た目もそれ程悪くない。
 以前外側ボロッちい個体を500円で落札したオートベールの普及版的なリールだけど、オートベールではワンタッチボタン付きのスプールになるのとベアリングが2個になる程度の違いで、タックルオートは大森ダイヤモンドではお馴染みのハイポイドフェースギアでローター軸のギア直上に歯を掛ける逆転防止機構、真鍮製ブッシュで受けられた硬い鋼製の軸にねじ込むハンドル、樹脂製スリーブ入りラインローラー、折りたたみ収納できるベールワイヤー。という基本機能をそろえた”マイコンシリーズ”以前のダイヤモンドリール標準機という印象のリールである。
 このタックルオートのインスプール版が超人気のコメット、樹脂版がこれも超人気のキャリアーで、タックルオートも大森が一時期値段上がってたときにはだいぶ良い値段してたようなので、今でも状態良い箱入り個体とか2万円近い開始価格のもあったりして、多少見た目アレな個体でも1500円で買えるとは意外だった。
 ハッキリ言って中古市場の値段なんて、リールそのものの価値やらなにやらとはあんまり関係なくて、単に人気があって誰かが使ってるとか、もっとぶっちゃけ値段が高くなっているからありがたがっているっていう泡のような相場で意外に良いリールでも人気なくて安いのはある。
 大森製で今でも異様な値段が付いているのは、コメットGS・G1とキャリアーの一番小さいSSサイズで、他はインスプールのマイクロセブンやウォームギア機のプロラインの小型もそこそこ、オートベールとタックルオートとマイコンのSSサイズもそこそこのお値段だけど、他は普通の多少くたびれた程度の品なら、5千円も出しときゃ買えそうだし、3千円以下の掘り出し物もけっこうある。
 コメットやキャリアーが高止まってるのは、大森が傾きかけて人気が陰りつつあった時代の機種なので弾数がかぎられているのも一因だろう。その逆でロングセラーのオートベールやらタックルオートや高い人気を誇ったマイコンは中古の弾数多いのでよく使われていたNo.1サイズとかは欲しい人間にはあらかた行き渡ってて、当時バス用には小さすぎてそれ程売れなかったと思ってるんだけどSSサイズが、今時の細糸つかったウルトラライトな各種の釣りに応じたリール需要と合致して値を上げてるんじゃないかと中古ダイヤモンドリールアナリスト(経験3ヶ月)としては分析している。
 No.1サイズ、充分小さいし下巻きぶち込めば渓流でも使える、っていうか実際キャリアーのNo.1渓流に使ってたのは以前書いたとおり。PENNで言えば4300ssサイズ、国産リールなら2500番に相当するだろうか?バス釣りにも軽めの塩水系の釣りにも使える汎用性の高い大きさでッセ。
 コメットだのキャリアーだの今更買うんなら、欲しけりゃ買えば良いけど、オートベールだののSSサイズ以外とかを安く買って楽しんだ方が、ダイヤモンドリールの単純でも手を抜いていない良さとかを知るには充分だし楽しいと思うんだけどどうだろう。シーバス用ならNo.2ぐらいが2号(約8ポンド)200mの糸巻き量でちょうど良いサイズか。

 と人様にお薦めするのは、スピニングリール熱が悪化しまくってどうにもならないので、読者の皆様を一人でも多くこの沼に引きずり込んで一緒に沈んで楽しもうという、沈みゆく人間の悪あがきなんである。
 なんせ2月は魚が釣れんかったから、道具いじくってるぐらいしか楽しみがなくって、暇さえあればスピニングリール買って分解して清掃して、クルクル回して「ハ~ッ・・・良いッ!」とかつぶやきながらニマニマしておりましたとさ。

 でもって、もう1000円縛りとかとうの昔に忘れ去って「安くて良いダイヤモンドはないかね」と南アあたりをうろつく宝石商みたいなことを考えながらネットの海をさまよって、またこれがなかなかのブツをゲットしたったですとよ。

 へっへっへ冒頭の写真のとおりリールマニア筋には人気の小型インスプールでっせ。お値段ちょっと張り込んで2200円。また例によって2000円前後の落札価格と読んで2100円まで入れてくる競合者をキッチリ100円差でかわしてハンマープライス!
 上の写真のとおり、れいによって潮カブって放置してました系の表面腐食で左サイド塩吹いてて、機関も不動のジャンク品となってたけど、何度も書くように大森のリールが潮カブって放置したぐらいで使用不能になるわきゃなくて、実に狙い目の美味しい獲物。
 見た目なんてどうでも良いじゃんと、正直思わなくもない。そう思って買ったばかりのアンバサダー5000をリール下にしてコンクリの上に置いてF師匠に「リールの扱い方がなっとらん」とお叱りを受けたりもして、リールは砂埃とか入れば故障の原因だし、そういうことを気をつけてない証拠がリールの傷や汚れなのでリールの外見もなるだけ綺麗に保たねばならんし、道具を大事に扱うのは何事においても基本だと学んでいくんだけど、自分が不注意で腐食させたスプールとかとっても恥ずかしく思うけど、他人が腐食させたり傷付けたりしたのを使う分には平気である。他人にどう見られようが、自分が犯した過ちのせいじゃないのは自分が知ってるので気にならない。オレが赦せるかどうかだけが重要だろ?てなもんである。
 見た目格好いいかどうかは趣味の道具において重要だけど、ピカピカの新品みたいなのがいつでも格好いいかといったらそうでもなくて、古いリールなんてのは経てきた年月に相応のボロさが格好良かったりもするんである。コレクションの価値としては新品箱入り娘が高いんだろうけど、実釣の相棒とすることを考えるなら、ことさらに処女性をもとめる童貞野郎のように未使用とかにこだわる必要などないと思うんだけどね。相棒にするなら相性が大事でそんなもん使ってみなけりゃ分からんって話だろと。中身が大事だろと。
 こいつの名前がまたイカしてて「マイクロ二世301」といって、マイクロセブンの後継機的な位置づけで出したけど、あまり売れなかったのか生産された期間も短そうで弾数少なく知名度も低いようであんまり人気もないようだ。
 いかにも昭和骨董的な雰囲気の大森インスプールの銘板に漢字で「二世」とあるのがなんとも趣がある。メカに漢字っていうのはアニメ「コードギアス」の「紅蓮」のオペレーティングシステムみたいでどうにもオタク心をくすぐる。
 大森製作所にはどうもアニオタいたんじゃないかと疑われる節があって、リールの命名に「タックルファイブ」とか「タックルエース」とかあるのをみると「ボルテスファイブ」とか「ダンガードエース」とか思い出してしまうのはワシだけじゃろうか?もちろん「二世」で思い出すのは「バビル二世」。マイコンは良くわからんけどコメットは「コメットさん」ってアニメじゃないか。ドルオタもいたのか?と疑問に思ってググったら驚愕の事実が発覚、「コメットさん」原作は横山光輝先生やったんや!バビル二世と原作者一緒という原作者繋がりがでてきた。大森製作所には横山ファンがいたのかもという仮説に基づいて横山光輝作品をウィキってみたら冗談のつもりがホントっぽくなってきた。「マイクロ7」の”7”はラッキナンバーでありがちな数字なので「地球ナンバーV7」と関連づけるのはこじつけかもだけど「プロラインNo.101」の”101”を「その名は101」と関係あるとみるのは、他のリールがNo.1とかとなっているのに加え、プロラインがハイポイドフェースギアの得意な大森製作所が高級機種として満を持して放った”遅れてきたウォームギア機”で意外に新しく「その名は101」が「バビル二世」の続編なのと符合しすぎるぐらい符合してくる。ってのは妄想だろうか?当時の大森関係者に誰かその辺聞いてくれないだろうか?まあそんな取材機会があったら他にも技術的なこととかいくらでも聞くことあるだろうけどさ。
 思いっきり脱線したけど分解清掃に話戻すと、左巻き専用機でパカッと蓋を開けると、ギアはいつもの大森ハイポイドフェースギアなんだけど、平行巻機構がギアのある面の空いてる隙間に突き出した出っ張りで上下させる方式。この出っ張りにも真鍮製のスリーブが被せてあって、とにかく回転して摩擦が生じるところにはスリーブかブッシュかワッシャーをというのが徹底されていて、この辺が大森製作所がファンをして”真面目な機械屋”と称され愛される理由だろう。
 もちろんラインローラーにも樹脂製スリーブ入り。
 ここまで大森ダイヤモンドリールを何台か分解清掃してきて、いつも感心させられるのは、ドラグがしっかりしていることで、フェルト製にしてもテフロン製にしても、経年変化による劣化が少なく、グリス塗り直してやれば見事に何の問題もなく使えてしまう。正直、機械部分は人様の説明読んでそうなんだ~と思うぐらいで良く分かってないんだけど、ドラグは単純な機構なのでさすがにライン巻いて引き出してみりゃある程度分かる。
 素材選定において、間違いなく何十年と使う愛用者のことを考えていたとしか思えず、今時の10年そこらで劣化する素材を使ったリールやら、今後も供給されるか定かじゃないというか供給されないだろう、わっけの分からん素材を使ったリールやら作ってる会社は、供給安定していてなんならドラグなんか自作もできるような一般的な比較的安価な素材使って実用性抜群の耐久性もあるリールに仕上げていた大森製作所のリールの、古くなった固まったグリスでも煎じて飲んでおけと説教したくなってくる。イヤーねぇ昭和のオッさっんは説教臭くて。

 ただ、真面目な機械部分については定評あれども、意外にライントラブルが多いとかTAKE先生とかの玄人衆には使用感にダメ出しされてたりもするのがダイヤモンドリールの可愛いところ。
 私などはある程度熟成された後期の製品であるマイコンTBシリーズやキャリアーを使ってたおかげか、そのへんあんまり不満はなくて”普通に使える”としか思ってなかった。
 ただ「二世」となってるぐらいで、このリールは結構そのあたりも改善されているように思う。”一世”のマイクロ7では重量分散でラインローラーと反対側に持ってきたベ-ル反転機構にラインが絡むとかは、その後のプロラインやコメットではカップが深くなって改善されたとTAKE先生解説にあるけどコイツもカップは深め、そしてベールアームのローラー固定しているナットは六角ナットから円錐を2カ所削ったナットに変更、スプールはワンタッチボタンなしのタイプとキッチリ宿題やってきた優等生になってるように見える。あとは実釣でどうなのか試してみたいけど、このリール使うような渓流の釣りに今後いつ行けるのかわからんので、実釣での報告はまたの機会にということで。
 渓流でもメインのリールはどうせPENNだと思うけど、ダイヤモンドリールの地味に良いところはベールが折りたためてコンパクトに収納できるところであり予備機として持っていって使ってやろうと思う。今回紹介した2台も機構は違えど折りたたみ式のベールを備えていて、後期のマイコンとかはベールアームの下のボタンをスライドする方式だったけど、それ以前はベールアームが返ってアタるところの出っ張りを押し込んでベールをたたむ方式になっている。

 とまあ今回、大森ネタでいってみたんだけど、スピニングリール熱こじらせて急性の”大森熱”も発症してしまっているようで、まだ紹介していないダイヤモンドリールが4台もござる。どうすんのよ?
 コレどうすれば治るのか?あるいは不治の病なのか闘病生活はまだまだ続くようなので、次回も大森ネタ連投の予定。
 「使えない大森を2台落札!そしてナマジは途方にくれる!!」にご期待下さい。 

3 件のコメント:

  1. こんばんわ。お久しぶりです。
    沼に沈んでいくナマジさんが心配です……

    ……が、それはそれとしてマイクロ二世301は良いですね。
    大森インスプールの最高峰はコメットorプロライン101という主張が世間の主流派ですが、自分的にはマイクロ二世301は両者に並ぶ最高峰大森インスプールの一角であると思っています。
    マイクロ二世301は左巻きor右巻きの専用設計のおかげ(によるオシレーション機構の差?)でコメット(タックルオート)よりもスプールの上下方向のガタがかなり抑えられています。
    ↓竹中先生が過去にそのあたりの差を検証しているページです
    http://www5c.biglobe.ne.jp/~take300/BB-ST-J.htm

    ローターの軽さならコメット、ウォームギアフェチならプロライン、
    プロライン並に各部のガタが少なくハイポイドフェースギアの巻き上げ力を求めるならマイクロ二世301。
    加えてコメット、マイクロ二世301ついでにマイクロ7No.201あたりの大森はスプールをはじめ各パーツに互換性があり色んな意味で楽しめます。

    No.1クラスの大森は万能機ですよ↓。
    https://www.youtube.com/watch?v=S7Lwz0i4M1s

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    1. nori shioさんこんにちは

       順調に沈んでいってます。でも大丈夫。沼の底にもnori shioさんみたいな仲間がいて楽しそうだから。

       やっぱマイクロ二世301はその筋の人からみても良いリールなんですね。経験3ヶ月にしては良いところ狙ったかな。

       パーツ共有の話は実は次回のネタの一つです。実際に買ってスプール交換できるかとか試すという泥沼な作業に突っ込んで行ってます。息が苦しい。
       手ひどい失敗もやらかしていて、そのあたりも他山の石となればと次々回あたりに書きます。

       1個リールを買う毎に「もうこれで終わりにしよう」と後ろ暗い不倫関係のように、あるいは禁煙・禁酒のように反省するのですが、3日と持ちません。2個を友人にプレゼントしたら1個もらい、2個無期限借用してたのを持ち主に戻して、1ッコ売ってそれでもまだ制限値を3個越えており、今日また1台届く予定。何とか減らしたいんですけどPENNの4500SSとか大森のフリッパーとかもらってくれませんか?と人に重石を渡そうとしたりして。

       魚さえ釣れ始めれば症状は治まってくれると思うので3月は攻勢かけたいところです。
       しかし川のヒラスズキは私も釣りましたがエラい釣り場環境が違うので羨ましいです。まあドブでも楽しめる節操のない人間ではあるんですが。

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  2. また嘘書いてました。
    プロラインは結構発売早くて、76年のカタログにNEW-TYPEの文字が、マイクロ二世の登場は78年とその後のようです。
    まあ、アニメネタはナマジの妄想と読み流しておいて下さい。
    ゴメンねッ!





2019年3月16日土曜日

翡翠の輝きも悪くない



 水辺で鳥たちを眺めるのは楽しい。

 さすがに目の前でカワウに操業されると「後から来て割り込むのは勘弁してくれよ!!」と、ここでも思ってしまうのだけど、鳥には鳥の理があり人間の理とは別のところで動いているのでしゃーねェっちゃしゃーねぇ。
 カワウが生きていけるぐらいに魚が沢山居る釣り場で釣りたいなら、カワウの襲撃ぐらい織り込み済みで釣りを組み立てるのが正しいんだと思う。ヘタクソでも釣れるように魚ジャブジャブ天然の水域に放流したりしたら、ワラワラと捕食者が寄ってくるのは当たり前。その当たり前の自然の理をねじ曲げてまで欲をかくのは不自然で歪だということに、いい加減気づけよとしつこく書いていく所存。そういうのは「箱」とかの管理できる限定された水域でやっとこうぜ。
 そういう所があっても良いけどジャブジャブ放流しなきゃ川に釣る魚が居ないっていうなら、川の環境や生態系がおかしいってことだろう。そのへんどうにかしようよ、いいかげんさ。

 カワウのような積極的に潜水して魚を追い回す鳥とは漁場が競合すると、どちらかが退散するしかないけど、同じ魚を食べる鳥でも待ち伏せ型の鳥とは隣り合った釣り座?で仲良く操業することもできる。
 都会の鳥って、人間には慣れているのでっていうか、いちいち人様にビビってちゃ商売あがったりなので、警戒してどっかいっちゃて「邪魔してゴメン」ってなることもあるけど、意外に平気で良いペースで着実に水揚げ重ねてたりする。写真撮ろうとカメラ向けると視線を感じるのか飛んでったりするけど、良い釣り座はそうそう諦められないのは彼らも同じようだ。
 ちなみに”鳥見の人”に聞いた話だけど、カメラのファインダー覗かずに済むデジカメになってモニターを横目で見ながら撮ると意外に逃げられないとかも聞いてナルホドナと思わされた。
 
 シーバス釣りのときに夜間操業するアオサギかゴイサギが釣り場にいると、確実に餌になる小魚が寄ってる証拠であり期待が高まる。特にアオサギは大きくて格好いい鳥なので自分の中では”幸運の青い鳥”(実際はその名に反して灰色だけど)的な位置づけである。
 でも一般的には、最近は都会でも珍しくないぐらいに身近になって、まさに”青い鳥”な人気者といったらカワセミで異論はないだろう。
 高度経済成長期に、魚も棲めなくなった水辺が、排水基準とかの規制が効いてきて、魚がいくらか戻ってきてという、自然環境の改善を象徴する存在であり、人もどのみち汚染された自然環境では生きにくいはずなので、まさに”幸せの青い鳥”じゃなかろうか。
 カワセミの名前の由来は”川に棲んでる背中の美しい鳥”という説があるようで、その背中は金属的な青さでキラめいている。羽は緑にお腹が橙色とじつにオシャレ。
 クチバシがアンバランスなぐらい大きくて3頭身ぐらいのゆるキャラじみた愛らしさ。
 漢字で書くと翡翠とも書く。そう宝石の翡翠(ヒスイ)と全く一緒。
 学名はAlcedo atthisで今回調べて初めて知ったんだけど、欧州産も日本のと同一種とされているようだ。まあ鳥は空飛んで海越えられるから飛べない生き物に比べると分布は世界的になっててもおかしくないので当たり前といえば当たり前か。
 でも、日本の釣り人が水辺で親しんでるカワセミと、イタリアの釣り人が同じように”アルチェード”に親しみを覚えているというのはなんとなく親近感が湧いて楽しい気分だ。

 長い枕で、読者の皆様今回スピニングネタじゃないのか?といぶかっていたかもしれないけど、もうおわかりですね。そう「アルチェード」でっせ。
 「なんだと、ナマジが好きなのはPENNだの大森だのの実用機か誰も欲しがらないようなゴミスピじゃなかったのか?アルチェードなんてイタリア製の名機じゃないか、この裏切り者!!ころびやがって!」とお怒りの皆様、イヤイヤ違うんです。弁護士はまだ呼ばんでいいけど、刑事訴訟法第203条に基づきまずは弁解の機会を与えて欲しい。
 コイツはSUZUKIさんからご厚意でいただいたモノで、スピニング熱が長びいている私を心配してさらなる重石を乗せて沈めようと、じゃなくてお見舞いとしていただいたもので、人様のご厚意をむげに断るわけには行かず仕方なく頂戴したモノなんです。
 嘘です、「ブログネタにできそうなら差し上げますよ!」というメールに、一応「そんな高価な物をいただくわけにはいきませんよ」的な心にもないことを返信に書いたけど、よだれ垂らして欲しがっとりました。
 なんと、某中古屋で350円ぐらいだったので気にしないでくださいとのことで、ありがたく頂戴することとして、さすがにもらいっぱなしというのも気が引けたので、こっちからも相応のブツを出さないとこの勝負負けるッ!と別に勝負じゃないけど思ったので、350円のアルチェードには勝てないにしても、我がごみスピえぐり歴でも会心の一撃であった500円の大森ダイヤモンド「オートベールNo.1」を持って取引の場である、とある岸壁に臨んだ。取引の様子は2月22日の釣行顛末記で確認されたい。
 この冬大森熱再燃しているらしいSUZUKIさんにも共に沼に沈んでもらわねばなるまい。自分だけ重石手放して軽くなって、足洗って堅気に戻ろうなんざぁ赦してちゃこの業界生きていけやぁしませんゼ。
 オートベールはベアリング2個も入ってる高級ダイヤモンドだし、ワンタッチスプールはタックル5やタックルオートとスプールの互換性がないので余らせ気味だったこともあり、こういう”お使い”任務にはもってこいだったので「頼んだぞ!」と行ってもらった。


ということで我が家にやってきました”アルチェード”。ご覧のとおりギアが入って丸く飛び出しているところにカワセミのレリーフが入った銘板が付いてたのが剥がれていて、それが350円程度というゴミスピ価格の遠因だろうと思うけど、銘板なくてもスプールにも「ALCEDOーMADE IN ITALYー」と書かれていて、値段付けた店員は知識が足りないというよりは、この手の古リールでわざわざイタリアからの輸入品ならそれなりの値段かもと、検索するなりして相場を調べるという仕事の丁寧さに欠けているわけで、中古屋の店員としては程度が低いと書かざるを得ない。おかげで手に入ったんだけどさ。
 アルチェードといえばワシらオッサン世代の元バス釣り少年なら、経典である「ブラックバス釣りの楽しみ方」でオープンウォーターのためのスピニングリールとしてカーディナル、ミッチェルとともに紹介されていたのが印象深いだろう。ていうかそれ以外にほとんど見たことない。カーディナル使いはJOSさんが渓流では見事に教科書通り右手人差し指でラインの放出調整しながらバシバシとピンポイントキャスト決めて釣っていたのが印象深いし、ミッチェルはケン一が高校のときバスプロショップスで個人輸入(って当時は言ってた)してナマジ君がベール手で返して壊したっていうぐらい、釣り場やら売ってるのやら目にしたけど、アルチェードはずっと後になって中古釣具屋じゃない”オールドタックルショップ”で良い値段付いてるのをみかけたぐらいで、我々世代よりちょっと上のそれこそ則さん世代の釣り師が使ってたリールなんだろう。
 その中でも、一番人気あったであろう小型のアルチェード「ミクロン」じゃなくて、コイツはちょっと大きいアルチェード「2CS ERIE」通称「2C」と呼ばれる機種でカーディナル、ミッチェルの2大舶来インスプールに比べマイナーなアルチェードでもまた地味な機種ではある。ということでナマジが手にするのもお許し願いたい。

 ”ALCEDO”の読み方としてはアルセドとか書かれていることもあるけど、まあイタリア語の読みなんでカタカナ表記はどうでも良いかなと。ワシら元バス少年にはアルチェードがなじみ深いのでそう書くことにする。さすがイタリア語は読み方が失われているらしい”ラテン語”の正統な後継筋にあたるらしいので、カワセミの属名ラテン語表記と一緒の単語がイタリア語でもカワセミなんだな、というのも雑学的には楽しめた要素。


 ま、我が家においでいただいたからには何はともあれ歓迎の分解清掃といきたい。
 まずはスプールからとドラグノブ外してみると、確か読んだことあったけどドラグが金輪でハメ殺しになってて、油注すぐらいしか手入れのしようがないなという感じ。だけど、なんかスプール裏の座面にもワッシャーが3枚入ってて、繊維質のワッシャー二枚で金属のワッシャー1枚を挟んでて、それなりに直径も大きく多分一緒に回るので1枚のドラグパッド的に効くんじゃないだろうか?ハメ殺しの下のドラグの構造がどうなってるのかは知りようがないんだけど、案外本命のドラグパッドはコッチだったりして?いずれにせよしっかりドラグは機能してて、ドラグ性能なんてのは半世紀から前のイタリアンリールでさえ既にちゃんとしたのが搭載されてて、今頃になってそんな当たり前の機能をことさら宣伝しなきゃならんってのが、ドラグのなんたるかを知らなかった日本の釣り人相手に長くいい加減なドラグで売ってた日本製リールのそれまでのお粗末さを示しているように思える。それが今じゃ、あつものに懲りてで、実釣において不要なまでの過剰なドラグ性能を備えてたりして、まあこの国の釣り人は相変わらずドラグがなんなのかなんてほとんどの人は知らんのだろうなというのが良く分かる。なーんて本当のことを書くとシラけちゃうからあんまり書かんほうが良いのか。

 お次は蓋をパカッと開けて、ギア行ってみましょう。
 ギアはウォームギアで、ほんとにハンドル軸のギアの分本体が丸く膨らんでるってのがよく分かって笑える。ただ、ギアの軽量化で穴が空いてたり、ウォームギアといってもローター軸のギアが真っ直ぐの筒に床屋のグルグルみたいに歯を切ったものではなく、ハンドル軸のギアの円弧にあわせて微妙にカーブさせて広い範囲でギアとギアを接触させているのとか、なかなかにイタリアの職人さん良い仕事している感が漂ってるのである。
 ローター軸のギアの方、途中に油溜まりのくぼみもあったり傷が入ってる部分もあったりするんだけど、一点で接触してるんじゃなくて円弧に沿って面状に接しているからか、回転はゴロゴロしたりせず滑らかで、ギアがある程度傷ついたりしてもちゃんと機能するように、長く使うことを念頭に設計されてるんだなと感じる。
 その分巻き取りが重いのかも知れないけど、巻くのがかったるくなるほどじゃないし、どうせ釣り場じゃ抵抗のあるルアー引いてるんだから多少の巻きの軽さに何の意味があるんじゃ?50年から経ってギアに多少傷入っても使えるタフさの方がワシにはよっぽど金払う価値があるように思えるんじゃがどうじゃろ?
 ということで、実釣を想定して外してパーツクリーナーで古いグリス落としてグリスシーリングしちゃいたかったんだけど、ハンドル軸のギア外すにはハンドルの根元の金輪をマイナスドライバーで外す必要があるようなんだけど、小さい穴にドライバー突っ込まねばならないようになってて手持ちの眼鏡用の細いドライバーでは力がかけられなくて回せず、とりあえずグリス固まって動かなくなったりしてないので、追加でグリスちょっと足すのと注油で済ますことにした。
 ギアの分解清掃にこだわらなかったのにはもう一つ理由があって、コイツのベアリングはローター軸のギア直上に2つ入ってるんだけど、開放式っていうのかミッチェルと同じで分解したら玉が転がり出てきてなくしちゃいそうな形式で、ちょうど良い回り具合に締めるコツとか難しそうで、当初はそういう難しいのも練習だしやってやろうと思ってたけど、前回書いたマイコンNo.6の失敗で自分の過ちで貴重な稼動個体がゴミになってしまうのが怖くなったのもありベアリングも注油だけで現状保持を優先させた。ワシも人のことはいえず、あつものにこりてナマズを吹いているんである。

 ベールアームは180度近くすんごい角度まで開いてどの位置でベールを起こしても投げるときのフェザリングとかによるライン放出の調整を邪魔しないようになってるんだけど、そのためのベールスプリングがなんと数えたら8重にも巻いてあって、大きく開く分丈夫なバネを入れてるんだなと、ここでもイタリア職人の意外なぐらいの真面目さに、デザインと美食だけだと思ってたイタリアという国をちょっとというか大幅に見直すのであった。
 ドイツの酒場でドイツ人が日本人観光客と仲良くなったときにくり出す定番のネタに「日本人は最高だな!次やるときはイタリア抜きでやろうな!!」という、今時言ったのがバレたら社会正義の戦士(SJW)様につるし上げ食らいそうな不謹慎ネタがあるんだけど、こういうリール見るとイタリア仲間はずれにしなくても良いんじゃネ?と思う。料理は間違いなく世界有数に上手いし美味いしナ。
(こういう戦争を肯定するかのような不謹慎なネタを匿名で書くのは卑怯だ!けしからん!!とSJW様はお怒りになるだろう。私とて先の大戦で日独伊の枢軸国はもとより連合国側も酷い過ちを犯したことは明白だと思っていて、その戦争行為を肯定するつもりは毛頭ない。なくても、限られた読者しかいないネットの片隅のブログでも、それを読んで不快に思う人が居るだろうことも想定している。それでもなお、この程度の黒いネタすら書いちゃいけない”言論統制”された世の中なんてまっぴらゴメンだと思うので、不快に思われた方がおられたら素直に謝罪する用意はあるけど、吐いた唾飲み込んで書いたことを撤回するつもりはない。覚悟決めて書いてるつもりなのでご容赦を。ヒトラーが言論統制で本を焼き始めた時に「本を焼くようなヤツらはそのうち人を焼き始める」と予言した哲学者だったか文学者がいた。言論というのはおおよそ人間の本質の一つと言って良いと思う。それを規制したり無理矢理歪なものにねじ曲げたりする輩は、人間そのものを規制し無理矢理歪なものにねじ曲げようとしているのだと危機感を持って認識するべきだと思っている。)

 そして、このリールの最大の目玉だと私が思うのがラインローラーである。
 ダイヤモンドリールにはダイヤモンドが使ってあるわけじゃない。
 アルチェードにも翡翠が使われているわけじゃない。そもそもアルチェードにカワセミの意味はあってもヒスイの意味はないだろう。
 ただアルチェードのラインローラーは”瑪瑙”製!!
 メ・ノ・ウでッセ!仏教七宝の末席飾る宝石でっせ。まーイタリア人はシャレオツだこと、って話じゃなくて、実は宝石の硬くて摩擦に強く滑りが良いという特性はSICやらがない時代にはロッドのガイドとかにも使われていたりもしたんである。さすがにダイヤモンドを輪っか状のガイドに加工するとかは技術的にか経費的にかやられてなくて、ダイヤのリングは女性のあこがれだかなんだか知らんけど、リングっちゅうてもそういうう意味じゃない!
 ダイヤモンドリングガイドは見たことないけど、ある程度硬くて加工もできる”宝石”はリング状に加工されて実際に竿に取り付けられていたりするのである。
 ルビーガイドなんてのが代表で、そんなオッソロしい高級ガイドの付いた竿おいそれとは振れやん庶民的な私だけど、実は似たようなガイドにはお世話になってて、ルビーってじつは酸化アルミニウム(アルミナ)の一種なんだそうで、我々釣り人にお馴染みのハードガイドとかのお仲間だそうな。他にもサファイヤやコランダムなんて宝石も酸化アルミニウムだそうな。
 アルチェードのラインローラーはメノウという話はわりと知ってる人は知ってる有名な話で、TAKE先生が知らずに「この透明な樹脂はなんだろう?」とカッターの刃をあてる話を読んで、心の中で「先生ヤメテ~」とセクハラ教師に迫られ貞操の危機的な美少女のように叫んじゃったのアタイ。
 まあ漠然とルビーガイドとかと一緒かなと思ってたけど、今回調べてみたらちょっと違った。メノウは水晶とかのお仲間で二酸化ケイ素が主な成分だそうな。ケイ素っちゅうと炭化ケイ素である”SIC”ガイドを思い出すわけだけど、そこまで硬くないようだ。でも硬くて摩擦には強いし滑りも良さそう。
 にしてもまごうことなき宝石でっせ。ワシ宝石なんて時計に入ってる水晶ぐらいしか持ってなかったから気持ち的には初ジュエリーでんがな。ちなみに水晶の入った時計って成金趣味の宝石が文字盤にゴテゴテ付いたヤツじゃなくて、振動子として水晶使ってるいわゆる普通のクォーツ(水晶)時計のことね。わし時計も質実剛健なのが好きだからセイコーのダイバーズウォッチをもう30年近く使ってる。
 っていうメノウなんて高価な素材を使ってるのが伊達や酔狂じゃなくて、もちろん成金趣味でもないのは、緩み止めを填めた引っかかりの少ない丸い頭を持った六角ナットや、樹脂製ワッシャーで隙間なくかつちゃんと回るように調整されたラインローラー全体のきちんとした造りや、ラインが引っかからないように絞られて曲面で構成されたベールワイヤーとの接続部分とかを見れば分かる。ラインの縒れとかなくラインを痛めないように丁寧に作られている。

 そういうふうに素材も良いのを使ってて高級感あるし、造りも職人さん良い仕事してるしだけど、なんといってもこのリールを手にした釣り人は、その造形の個性的な良さに痺れて、カーディナルやミッチェルともまた違う趣のあるこのリールを持つことに喜びを感じただろうことは想像に難くない。
 ドラグノブがベンツマークみたいな三本の足でリングを支える形とか、全体ベタッと覆ってしまう丸いのより軽くしていると共に、デザイン的にはスプール上面のメイドインイタリーとかのロゴがオシャレに覗いている格好良さで個性的。
 本体のギアの部分が丸く出っ張った”お腹”の感じとかリール全体として木の枝に止まってるカワセミの可愛らしさが思い起こされる可愛いデザインだとおもうし、出っ張ったお腹の分ギアが大きくてギア比高く巻き取り速度が高速化しているという機能面に由来した造形でもあり、上手いデザインだなと改めて見惚れる。
 イタリア人のデザインってどうにもやっぱり格好いい。典型が車なんだろうけど、フェラーリはまだ正統な欧州車的格好良さだけど、ランボルギーニとかになるとちょっとぶっ飛んだ唯一無二のこれぞイタリアンデザインという格好良さになってくる。

 そう思うと、渋いカワセミのレリーフの銘板が落ちているのはちょっと惜しいなと思えてきて、カワセミをあしらったコインとか大きさ合うの見つけて貼り付けちゃおうと、ネットでカワセミコインを探してみたら、あったあったオーストラリアのワライカワセミのコインがある。属が違って学名Dacelo novaeguineaeだけどそこはカワセミ科Alcedinidaeだし目をつぶることにして、直径5センチに近いと良いなと大きさ調べてみたら残念ながらこれ何かの記念コインのようで1オンスもある銀貨でダメだこりゃ。

 ウーンどうしようか?適当にカワセミの写真加工してシールにして貼り付けるとかでお茶濁すか?とか考えていて、ふと「イタリアンリール、つまりイタリールなんだから痛リールにしてしまおう」と思いついた。
 マンガやアニメのキャラクターを車全体にあしらった「痛車」のリール版である。
 ハッキリいって半世紀を生き抜いて現存するアルチェードに対する冒涜である。でも批判を浴びてでもやる意義があるのではと思うところがあった。
 ここのところ毎日ネットオークションにかけられる沢山のスピニングリールやパーツなどを見てきた。その中でどうにも赦せない改悪を施されたリールや醜悪としかいいようのないドレスアップパーツを見るにつけ、どっかで誰かが「あーカッコ悪ぅ」と指摘してやらねばならんという気がした。
 今時のリールにゴテゴテとしたドレスアップパーツが付いていてもなんとも思わない。あんまり興味がないし今時の似たようなリールを個性的にするにはそういうのもありかなとも思う。昔遊漁船の竿立てで迷子になりそうだったPENNにカスタムパーツが豊富に作られてたのも機能面だけでなくそういう意味もあったんだろうと思っている。まあワシゃペイントマーカーで名前書いたけどな。
 ボロボロになった個体のリペイントやら部品の自作やらは私もやってるけど次善の策的にしゃーあんめぇ。そうやって大事に使っていくことには意義もあるし、独特の味わいも出てくる。
 機能面を向上させるカスタムパーツも理解できる。軽いスプールやら釣り人それぞれの手に合ったハンドルノブとか釣りを快適にしてくれるだろう。
 ただ、カーディナル3とかの名機に、本来の質実剛健な実用機のもつ美しさを損なうような悪趣味な勘違いしたドレスアップ?パーツが売られているのとかを見ると、ほとんどそれは陵辱ではないかと憤りを感じるのである。アタイがリールなら泣いて「そんな恥ずかしい格好するぐらいなら舌噛んで死ぬ!!」って言っちゃうわ。
 歴史的な名機に冒涜的な装飾を加えることがどれほど不快か、そういう勘違いを喜んでやってるヤツらに目にモノ見せてやる。というのが罪を犯す1つめの理由。
 もう一つの理由が、既にある素晴らしい造形を修復するのではなく、新たに手を加えて越えるためには、生半可なごまかし程度では全く用をなさず、一旦ブチ壊すぐらいの勢いで覚悟を持っていかないと陳腐なモノにしかならないと思ったからである。
 渋谷駅に近年メキシコだかで発見されて、岡本太郎先生の大作「明日の神話」が修復されて公開されている。この作品に3.11の後に福島の原発の爆発した様子を描いた作品を付け足した自称芸術家集団がいた。
 草葉の陰で太郎先生激怒していることだろう。ご自身の作品を汚されて怒ってるのではない。太郎先生、万博のときに「太陽の塔」に立てこもった過激派だかが現れたのを見て、自分の作品を使って自己表現をしようとする人間が居るというのも実に面白い。創って手放した作品はその後壊されようがどうしようがかまわない、そいうった新たな関係性が生まれていくことがまさに芸術だ、的なことを言って非常に喜んでおもしろがっておられた。
 「福島の原発事故に怒りを覚えて、それを私の作品を使って表現しようとしたのなら、なぜ私の作品にその剥き出しの怒りをぶつけて、作品を壊してしまわないのだ!その程度の怒りや覚悟で新しいモノなど生まれるか!!」と目を剥いて面罵するだろう。
 あとで付け足した部分をちょろっと取り外せば元通り、そんなに悪いことしてないでしょ?ボクらも太郎先生のことはリスペクトしてるからね。なんていう甘っちょろい姿勢で表現などするなと説教したい。そんなものはオママゴトでしかない。家に帰ってお母ちゃんにおチチでも飲ましてもらってろ。
 
 というわけで、元々填まってたレリーフの位置決めの出っ張りも削って平面にして、おもいっきり冒涜的にデカデカとシール貼ってエポキシかウレタンでコーティングしてしまおうと、プリントアウト用のシールも用意して、権利関係の問題がないかもお勉強した。
 そもそも”痛車”って著作権とかに抵触しないのか疑問に思ってたんだけど、調べたらやっぱり抵触するそうで”痛車”にしてくれる業者はちゃんと権利者に許可取って使用料払ってて、どの作品の許可を持ってるかなんかをリストにしていたりする。
 ただ”業”として儲ける場合は権利者の許諾が必要だけど、いわゆる”私的複製”として個人でシールつくって貼るぶんにはおとがめなしだそうである。要するに自前で痛リールにしても良いけど売っちゃダメよという線引きのようだ。かなり不可逆的に覚悟を持って”痛く”してしまうつもりなので売れるようなモノではなくなるだろうから権利関係は問題なさそう。

 さてそれではどんな作品のどの登場人物を使おうかと楽しく悩む。
 まず思いついたのが、アニメ「コードギアス」で、主人公に不思議な力を与える巫女である「C.C.(シーツー)」。リールが「2C」なので分かる人には分かるかなというネタ。
 ただ、コードギアスはメジャーすぎて”痛さ”が足りない。イマイチ冒涜感に欠ける。
 もっと痛いキャラクターでカワセミ関係とかイタリア関係、あるいはエリー関係で何かないかとウィキペディア先生におうかがいしてみる。カワセミ関係、エリー関係はピンとくるのがなかった。「御宿かわせみ」とか「八百森のエリー」じゃどうしようもない。しかし、イタリア関係は痛々しいのが揃ってる。
 例えば「ストライクウィッチーズ」のフランチェスカ・ルッキーニちゃんなんてのは、同作品最近自衛隊がポスターに使って物議を醸してたけど、パンツいっちょで空飛ぶ魔法少女とか公式がアレはズボンといったところでどうしようもなく救いようのない痛さがある。ルッキーニちゃんのおパンツは青のシマパンというのもカワセミっぽい色目で良い。
 でもこの作品を忘れてたらあかんやろというのがあった。「ガンスリンガーガール」である。イタリアを舞台にした美少女ガンアクションもので、年端もいかない少女達を政府の秘密工作機関が炭素繊維の皮膚や人造筋肉でサイボーグに仕立て上げて、テロ組織の鎮圧やら暗殺に使うという酷い設定の作品である。これが設定は痛いんだけど実に良い内容の作品で「好きでナニが悪い」とオタクなら開き直らざるを得ない傑作なんである。
 美少女も誰にしようかよりどりみどり。まあでもトリエラちゃんかな。人身売買でアフリカから売られてきて、変態相手のスナッフビデオに出演させられ、多分手足切り取られるとか酷い目にあったであろう出自が、あやしげな取引で我が家にきてこれからワシに陵辱されるリールと重なるモノがあるように思う。

 というわけで、ロングコートにウィンチェスターM1897のトリエラで決まりだなと思ってたんだけど、結局ようせんかった。
 やろうと思ってたときに先に手を入れてたマイコンNo.6で失態を演じ、モノが自分の手で壊れることの怖さを痛感してしまったのもあって、半世紀がとこを生き抜いたこのリールを覚悟を持ってブチ壊しにする腹づもりを決めきれなかった。ワシも実家に帰ってお母ちゃんのチチ飲んで出なおさなならんようですばい。この腰抜けめ!!
 いうて、ワシお気楽ブロガーとはいえ言葉についてはそれなりに覚悟して書くつもりはあるけど、造形とか視覚的な美の創造とかそっち方面はからきしで、ワシの手を出す分野じゃないとも思うのでまあしゃあないジャン。
 その分、気合い入れて今回も書きまくってみたので読者の皆様どうかお許しください。
 あと、もちろんワシゃ釣り人なので、リール使ってやることといったら本来魚釣ることなので、このリールが充分現役で実釣に耐えうるということを証明はしてみたいと思う。
 使ってぶっ壊れることに関しては、いささかのひっかかりもなく覚悟完了である。

2 件のコメント:

  1. こんばんは

    イタリアンリールとはディ.モールト良い!ですね。
    しかも元は350円とは(笑)
    アルチェードミクロンやらコプテスのマスコットやペリカンは一時期、スミスが国内での代理販売していたらしいので、その縁で国内中古市場に流れていたかもしれないですね。
    実釣レビュー楽しみにしています。

    参考までにイタリアンリールマニアのHP貼っときます。
    http://www.antipes.it/index.html

    地味にかなりのリール大国で面白いですよ。

    http://www.antipes.it/mul_Alcedo_CopTes_Mariner.html
    ↑ウォームギアにミッチェルのお家芸、プラナマスティックを組み合わせた夢のリールとかあります(笑)

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    1. おはようございます

       2CS問題なくシーバス釣れます。っていうかけっこう使いやすいです。
       イタリアンリールなかなかにやりますね。

       それ以上に、714Zが手にしっくりくる感じで、やっぱり私はPENN使いだなと改めて思ってるところです。
       ちょっと重量感を感じる頑丈な造りと、カチッとした機械的な性能と、そして見た目が金黒!!コレ重要。

      削除




2019年4月13日土曜日

すべてがZになる?


 以前、インスプール初心者にはベールを手で閉じようとする”熊の手”対策でバール反転レバーの保護のための”棚”がローター本体から張り出している機種が良いよ、とお薦めしたところである。
 まったく今でも「ワシ、我ながらイイこと書いてはるな」と思うところだけど、そういう”初心者用インスプールスピニング”の中でも、PENNスピンフィッシャーの714Zはダントツにお薦めできるリールじゃないかと感じている。
 ハッキリいってつまんないぐらい良くできていて、釣っててライントラブルだのが全くないとまではいわないけど、それはスピニングならどれでもそうって話で430ssgと同程度には気持ちよく問題生じずに使える。
 使えるから魚も何の問題もなく釣れる。少なくとも道具を言い訳にしなければいけないような不具合は生じそうにない。釣れてないのは腕が悪いせい。
 だって、初陣で仕留めたのが写真の80のコイだったんだけど、ドラグも流石PENNというかんじで安定して効いてくれるし、”投げて巻く”部分についても思いのほか調子が良い。とくに飛距離は直径大きな浅いめのスプールって実は有利なんじゃないか?って感じるぐらいに放出性良く飛んでくれる感じがあって投げてて気持ちいい。
 さすがにウォームギアは巻きが重い部分はあるけど4300ssや430ssgで慣れているので気にするほどのこっちゃない。ワシ、魚かかったらゴリ巻きせずに基本ポンピングで竿でよせた分だけ巻くから「重くて巻けない」とかいう、そう書いてる記事とか見る度に「ポンピングしろよ、それがいやならベイト使っとけ!」と心の中で突っ込まなきゃならんような台詞は吐かなくてイイけんね。まあコイの80問題なくあげときゃ春のシーバスならメーターぐらいまでは問題ないんじゃないの?釣ったことないから知らんけど。
 正直、もっと苦戦して、スペアスプール頻繁に交換して「ジャジャ馬乗りこなしてやってるぜ!」ってな達成感にひたれるモノかと思ってたけど拍子抜け。右手の人差し指でラインの放出調整して糸ふけ出さないようにしてハンドル巻いてベールを戻す、という古式ゆかしい”基本のスピニングリールのお作法”さえ手に憶えさせてしまえばどうってことない。憶えるまでには何度もベールを左手で起こしそうになるけど、トゥルーテンパー先生の”熊の手対策の棚”がワシの熊の手を何度も止めて教え込んでくれてたので、714Zでは既にベール手で起こそうとすることはなかった。
 さも「使うのが難しいインスプールのリール使ってる俺ってエラい」っていう雰囲気出してくるよな”ややこしいインスプール使い”は、多分ライントラブル防止のための、ラインローラーの水平を出すとかスプールの高さ調整でラインが後ろ巻きにならないようにとかの然るべき基本を押さえてないのでトラブル多発のリールを使ってて、それを喜んでるンじゃないだろうか。気持ちは分からんでもないけどウザいよね。
 まあ、そんなわけで714Zは”熊の手対策付きリール”でデキが良いのでお薦めできるっていうのに加えて、不死鳥のように復刻版が出るカーディナルを除くと、インスプールでは最後まで生き残った部類で、日本市場で90年代まで売ってたロングセラー機であり中古の弾数多くて、かつそれ程古くなってない程度の良いのも多い。値段も高くもなく安くもなくほどほどで7、8千円ぐらいが相場とお求めになりやすい。
 かてて加えて、PENNなので丈夫で部品もまだ結構手に入るということで、ダイワやオリムピックの古いインスプールより長期運用を考えると安心感がある。
 「PENNスピンフィッシャー714Z」ピュアフィッシングさん復刻してくれないかしら?米本国では一回復刻あったらしいような不確定情報あったけど日本でも是非。

 で、なんでワレ716Zまで買ってるねン?と責められると私も心苦しい。
 つい出来心でやってしまったんです。反省してます。って感じだけど、渓流もこれまで4300ss、430ssgの大きさで私にはちょうど良くて、4200ssは小っちゃすぎて巻き癖とかキツくてダメだと感じてたので、インスプールでも714Zで良いだろうと思ってたんだけど、正月に気仙沼に置いてあったフェンウィックHMGのGFS55Jが似合うんじゃなかろうかとこちらに持って帰ってきて付けてみたら、微妙にリールが大きく感じる。スプールの径が大きいのでちょっとバランスしない感じになってる。まあそのへん好みの問題という程度なので使ってれば目がそのうち慣れるんだろうと思う。思うんだけど、もう一つ小さい716Z”ウルトラライト”ならスプールの径はそれ程小さくないようだし、よく似合うんじゃなかろうかと思ってしまい、思ったらポチッとする手を止められなかった。病気が憎いッ!憎い憎い憎い!!渓流なんていつ行く予定があるっちゅうねんッ!
 でも、おかげさまで716ZはGFS55Jのリングシートにしっぽりと似合ってくれて、アタイ後悔なんてしてないワ。ちなみに相場は714Zよりちょっと高め。
 そして買ってみるとチマチマとした発見が。
 710系Zシリーズにはハンドルの根元に油差しの穴が開いている初期型と開いてない後期型があるというのは、714Z買ったときに気がついていて、写真の上の方が後期型の714Zで下が初期型の今回買った716Zなんだけど、じつは油差しの穴以外にも違いがあることが判明。
 下の写真をよく見て欲しい。銘板が714Zでは平らなのに対して716Zではリングが盛り上がっていて立体的、っていう細かい違いより実は大きな違いがあって、後期型714Zの蓋が樹脂製なのに対して、初期型716Zは蓋が金属製なのである。よく見ると金属製の蓋の方はのっぺりとしているけど樹脂製の蓋の方は枠っぽい出っ張りがある。
 714と714Zの違いについて書いたときに、714Zになった時に緑から黒金に色が変わったと共に蓋が樹脂化され軽量化が図られた旨書いたけど、謹んで訂正したい。ま~たまた嘘書いてました。度々スイマセン。
 スピンフィッシャー710系はZシリーズにモデルチェンジした時に色だけ黒金に変わっただけでしたとさ。ズルッとずっこけるけど、前回書いたとおり見た目って重要だからイメージカラーの変更は大きかったと思う黒金好きなナマジであった。
 でもって初期型が金属蓋で油差し有り、後期型が樹脂蓋で油差し無しかっていうと、どうもそれだけじゃないようで、中期型とでもいうべき樹脂蓋で油差し有りも普通にあるようだ。PENNの場合部品共有でマイナーチェンジしながら継続的に売っていくというのが普通なので、後期型に移行しようとしたらまだ油差しの穴の開いた本体が残ってたのでとりあえずそっちの在庫から樹脂蓋付けてさばいていったというのも充分あり得るけど、それにしては数が多いので、段階的に、軽量化でまず樹脂蓋になって、その後に経費削減か機械油の品質向上とかでいらんだろとなって油差しの穴が廃止ってなったと考えるのが自然か?復刻版が樹脂蓋で油差し有りという可能性もあるかも?いずれにせよ中古市場では3タイプがあるのでお好きな人はその辺の細かい違いも楽しんでいただければ幸いである。
 お約束で、また716Zもスペアスプールとか買ってるわけなんだけど、世のPENN使いな諸先輩方の記事とか読んでると、710Z系にはベールスプリング以外で壊れやすい部品が2カ所有るようで、1つはワンタッチスプールの着脱のための主軸の先端に付いた銅製の3本の爪で、これはハメ殺しなので壊れたら主軸ごと交換が必要なようだ。もう一つはベールスプリングが強いのでベールワイヤーに負担がかかって長期使用ではベールワイヤーかベールアームが折れるというのも目にした。これはベールワイヤー交換かもしくはベールアームのベールスプリングを引っかける穴をもう少しバネを絞らない方向にズラした位置に追加で開けてベール反転の衝撃を弱めてやるという改造も紹介されていた。なので、ついでに予備を買っておくかといつもの「MYSTIC REEL PARTS」さんに発注かけようとしたら残念ながら主軸もベールワイヤーも欠品だった。っていうのもあって復刻版出たら部品の欠品も解消されるだろうから期待しているのである。本体も1票入れるつもりで買うんだろうけどさ。
 現実的には、主軸については714,714Z、716Zで共通なので3本あれば足りそうな気はするし、ベールアームはまだ在庫していたので失敗した時用に確保して、穴開けて改造を試してみようと思う。いざとなったら中古一台追加して買えば良いっちゃいいか。

 さて、では最近の釣果写真にも出てくる冒頭写真の3台目の茶色いのは何なのか、そろそろ吐いたらどうなんだ?と取調室で刑事さんに凄まれそうなので白状します。
 「スピンフィッシャー720Z」ネットオークションで買っちゃいました。
 720系には他に720、722、722Zがあって、722と722Zが誤解を恐れず書くなら”PENNが作ったミッチェル408”で720、720Zはその低速巻き版なんじゃないかと解釈している。
 ミッチェルを真似して作られたリールなんてのは”オリムピック81”みたいな完全再現を始めいっぱいあって、むしろ世界的に売れた量産機であるミッチェルの各機種に同時代においては影響されたスピニングの方が自然というか、そういう流れがあったんだと思う。今のリールがみんな似たようなのばっかりで個性がないとかいうけど、昔も売れてるヤツの真似はとりあえずしておけってノリはあったんだと思っている。
 で、ミッチェル408は60年代に登場して、720系が作られたのは70年代中程らしいけど、その頃売れまくってた歴史的名機なんだけど、なにが特徴かという話は”ミッチェル大好きTAKE先生”がネッチョリ書きまくってるので詳しくはそっちを読んでもらうにして、簡単に説明するなら、「308譲りのスポーツフィッシングに対応した手に馴染む設計を引き継いで、力の伝達効率の良い”スパイラルベベルギア”を搭載し高速化を図った小洒落たフレンチリール」なのである。
 それを質実剛健、海にも強いぜなPENN社が「ギアを作るのは我が社も得意だし、うちもスパイラルベベルギア機作っちまおうぜ」と作ると、しちめんどくせぇ平行巻機構のロアナプラじゃなくてプラナマティックなんて省略で単純にギアの上にカム乗せて往復方式、ギアはローター軸のは真鍮切削もので、ハンドル軸のはステンレスを鋳込んだ丈夫なの、ハンドルノブはごっついアメ人の手に合うようにデカいけど、ちゃんと本家のように捻りの入った樹脂製で、なんとPENNにしては珍しく全体的な造形も本家とはまた違ったアメリカンポップカジュアルな感じでオシャレに仕上がってるスピニングが誕生するのである。
 特に、初期のZ以前のモデル(当時はスピンフィッシャーの名前は付いてなかったという情報有り)の青いやつで蓋の上に魚が二匹書いてあってその魚に「PENN」「722」とか書かれているデザインのは、なんちゅうか愛らしい見た目で素敵スピニングなんである。
 ただ、そういうオシャレな部分が逆にPENNリールとしては異質で異端でいまいちピンとこない部分もあって、「722Z良いっスよ」という書き込みをいただいたときも「ワシの使うペンのインスプールは710系じゃけん」と邪険なつれない態度を取ってたぐらいだけど、その実、喉から手が出るぐらい欲しくて仕方ないのを押し隠してツンデレっていたのである。
 屁理屈こねて遠ざけておかないと、古い時代のとか結構な値段もついてるのでエラいことになりそうで「あの葡萄は酸っぱいに違いない」と自分にいい聞かせていたのである。
 でも病気だから一度でも欲しいと思ってしまったら負けである。結局買うことになる。ブクブクと底の無い沼に沈んで行くのみである。

 とはいえ、90年代まで生産されてた黒金のZでも7千円ぐらいの実用機価格が相場だし、古いのは大1枚は軽くしているので使うアテもないのにおいそれとは買えず、程度悪い部品取り用とかの個体が出てこないかなと長期戦覚悟で狙ってはいたけど、そんな都合良いやつがそうそう現れるわけもなく、部品破損個体がオークションにかけられても、PENN使いどもは部品在庫有るかどうかぐらいすぐ把握できるので意外に値段が落ちなくて全然自分の入札額では落とせそうもなかった。
 ところがどっこい待てば海路の日和ありで、蒐集家が720系まとめて何台も放出するというまたとない機会が巡ってきた。さすがにまとめて全部落とせるほど潤沢な資金を持ってる入札者はいないだろうから、人気が割れて一台当たりの競争者が減るのは明白。
 箱入り美品から、ベールアーム折れてベールワイヤー無しのボロ個体まであって、どれに狙いを定めるか吟味を重ねて最終的に落札した個体に絞った。
 ベールワイヤーは「MYSTIC REEL PARTS」さんにも在庫がないようだったので一番ボロいのは回避して、2番目にボロい個体で「ハンドル回すとスプール上下することは確認、それ以外は不具合あり」という、どんな不具合かも良く分からないうえに銘板が剥がれていて720Zか722Zかも分からんという茶色い一台に決めた。
 茶色というのはメイシーズだかどっかの百貨店で売ってた色だとか何とか目にしたことある。PENNの青は薄い空色でなかなか合わせる竿が難しいし使う人間も選ぶ気がするけど茶色は無難かつ渋くて悪くない。っていうかイイ。
 不具合の状態やら、ハンドル一回転で何回ローター回るかとか質問したくなるのをグッと我慢して値段が釣り上がるのを回避し、開始価格3000円を例によって3200円で入札して見事3100円でハンマープライス。

 無事入手できて我が家に来て、ハンドルクルクル回してみると1回転でローターは4回転。ということはギア比1:4の720Zで確定。ちなみに722のほうは1:5。低速機なら同程度の糸巻き量の714Zとも使い分けできそうで結果的に正解だったかも。
 回転は重くもなく問題なさそうだけど”それ以外の不具合”がちょっと触った段階では酷かった。
 ベールスプリングは生きているようでベールは返るんだけど、反転レバーが機能していない。まあこれはレバーを押さえるバネの取り寄せで何とかなるだろう。でもドラグがまったく効かなくて締めてもスカスカなのにはちょっと何が起こってるのか分からなくて不安にさせられた。単にワッシャーはめそこなってるわけじゃない。
 ともあれ、分解清掃して購入必要な部品を洗い出していくしかあるまい。
 とりあえずスプール周りからかなとドラグノブをはずすと欠けててバラバラと部品が抜けてくる。ドラグが締まらないのはこのせいかと思ったけど、よく考えると欠けている樹脂製の部分は、ドラグノブのナットと調整幅持たせるためのバネとドラグに押しつける金属の皿とをバラバラにならないようにまとめているだけで本質的には部品さえあればドラグは締まるはずである。本格的に修復不能かなと不安になりつつ、とりあえずもう一方の不具合である反転レバーを押さえるバネを確認すると、取り付け方が間違っていただけでちゃんと組み直したら復活した。
 ドラグノブの方はあれこれいじるもドラグスカスカのままで、どうにもスプールとドラグノブ交換必要っぽいなと思って在庫あるか確認してみたらスプールはまだあったけどドラグノブは在庫がない。これはどうにかして直さないといかんなと危機感もってしげしげと眺めていたら、主軸のスプールが刺さってるところが、主軸そのものじゃなくて座面と一連の’’スプール刺し部"になってるんだけど、その上の部分がドラグの上面より先にドラグノブの皿状の部品と接触して皿がドラグをぜんぜん押さえていない。単純な話で皿の凸凹の面を逆に組んであったので機能してなかっただけだった。反転レバーのバネといいドラグノブといい壊した人間お粗末といわざるを得ない。おかげで安く手に入ったんだけど。
 たぶんスプールを填めてる主軸の部分にわざわざ太くした”スプール刺し部”を設けているのは、太くした分接触面積を増やしてドラグが効くときの摩擦抵抗を分散させて安定させるためなんだと思う。写真右のように4桁スピンフィッシャーでも同じような”スプール刺し部”が設けてあってかつスプールのほう軸が貫通する部分には樹脂製っぽいスリーブが入っていてベアリングなんていう錆びて経費がかかって過剰で下品なものをぶち込むより実用的な設計だと感じる。

 ドラグ締めるのは問題なくできるようで、とりあえず最悪の事態は避けられそうなのでドラグノブの修繕は後回しにして全体ばらしてパーツクリーナーで洗っていく。
 ドラグの構造はテフロンパッドの3階建て方式で何の問題もなさそう。
 スプールの裏についている音出しが欠損していたけどこれは在庫があったので注文。
 蓋をパカッとあけると鎮座しておりますどとらも傘状のギアが主軸上で直交するスパイラルベベルギア。歯も欠けてないし何ら問題なさそう。
 ただ、ギアを横?に配列できるウォームギアと違って重ねる形になるので本体の厚みが必要で本体内部スカスカな印象がある。本体自体は同じぐらいの糸巻き量でもウォームギア機の714Zの方が小さくまとまっている印象。714Zは8フィートのシーバス竿にはやや小さいと感じたけど720Zはちょうど良い大きさ。
 ギアは亜鉛鋳造かと思ってたけど、パーツクリーナーで洗浄したらピカピカしててアルミ(切削?鋳造?)っぽい。軸はステンレスで、裏に設けた逆転防止の歯は真鍮製。

 ローター外してローター軸のギアが本体にネジ止めされているのを外してもボールベアリングが見えてこないので、これはれいの開放式のボールベアリングで油断してると弾が飛び散って落ちるヤツだなと、お盆の上にティッシュ敷いて慎重に真鍮のスリーブをズラしていくと、なんとビックリ弾なんて入ってねえぜ。

 このリールはボールベアリング一個も使ってません!!”ブロンズベアリング”機!なんと素晴らしい!

 我が家ではダイヤモンドスーパー99についで2台目のボールベアリング使ってないスピニングリールである。漢らしいジャン。
 グリスアップする前から普通にローター回っててグリスシーリング後は全く快調という感じで重くもなくクルクル回ってくれる。
 展開図見て確認すると、720Zはボールベアリング無しの”ブロンズベアリング機”で722Zは途中から設計変えて入れたのかもしれないけどローター軸に一つボールベアリング入れている。
 要するに、力の伝達効率の良いスパイラルベベルギアでギア比が低いのであれば、力強く巻けるので、ことさら摩擦の小さいボールベアリングなど入れなくても実用上問題ないという設計思想のようだ。逆にギア比大きく高速巻き仕様だと巻きが重くなるのでボールベアリングが必要になるという判断なんだろう。
 PENNと大森というナマジ大好きなリールメーカーが、等しく低いギア比のスパイラルベベルギア機にはボールベアリングを入れていないというのは、それが妥当な機械的解答だからなんだと思えてくる。
 実際に使ってみて、ボールベベアリングなしでも720Zなんの問題もなくクルクルと回ってくれる。回転が特に重いということはなく714Zとかのウォームギア機よりは軽いぐらいである。
 以前、ローター軸のベアリングが錆びて金属製ブッシュに成り下がっている状態の4400ssを使ったことがあるんだけど、正直重くて巻くのが嫌になるぐらいだった。ハイポイドフェースギアも力の伝達効率は悪くないはずで、あのときはギア比が高いからそう感じたのか、もしくは回らないボールベアリングの幅だけで受けていると回転が不安定で、ちゃんと最初から適切に設計された”ブロンズベアリング”とかなら滑らかに回ってくれたりするんだろうか?
 いずれにせよ今時の高級スピニング様がベアリング数10ッコ以上とかを誇っているのを尻目に、ボールベアリング無しの720Zで普通に魚を釣るっていうのは密かに「あんないりもせんベアリングゴチャゴチャ入ったリール買わされてゴクロウサン」という底意地の悪い優越感が湧いてきて気持ちよく釣りができる。
 「リールにボールベアリング入ってなくても魚ぐらい釣れまっせ!!」

 ということで、分解清掃してハンドル軸やらブロンズベアリングにはオイルを注しておいて、その他はとにかくグリスで全面を覆うグリスシーリングでグッチャリにしてやれば、じつはこの時点で欠品はスプール裏の音だし機構のみであり、無いと困るような部品の不足やら修理不能の不具合とかはなく即実戦投入できそうな感じである。
 ということで、実戦向けて調整を施していく。
 まずは壊れているドラグノブの再建。そのまま部品を順番に並べただけでも機能はさせられるけど、スプール交換とかしようとするときに、ばらけてしまうようではやはり塩梅悪いだろう。一旦パ-ツクリーナーで脱脂乾燥後、順番に樹脂のノブに填めていってドラグを押す金具の”皿”を半分ぐらい残っている樹脂製部品の填まる土手に瞬間接着剤で固定。これだけだとずれたり外れたりしそうなので、樹脂の欠けたところに熱した針金で穴を掘ってそこにカーボンの心棒を突き刺して”皿”がズレないように瞬間接着剤で固定。欠けているところ全体にウレタン樹脂を盛って防水性を高めておいた。これで皿・ばね・ナットが抜け落ちてくることは当面防げるだろう。ドラグを締め付ける動作も問題ないようでちゃんとドラグ効いてくれる。
 ラインローラー水平に角度調整するのはベールアームが金属なのでゴツいペンチ2本でちょっとずつ曲げてやれば問題ない。
 ただ、ラインローラーが固着したまま放置してあったらしく、パーツクリーナーで漬け置き洗いしても腐食した錆のようなモノまでは除去できない。
 ラインローラーの左右面は平面なので目の細かいサンドペーパーで錆を落とせるけど、曲面であるラインローラーの内側及びラインローラーが刺さっているベールアームの軸は下手に削ると偏ってしまい回転を妨げることになりかねない。
 ということで、大まかな部分はサンドペーパーで落としつつも、仕上げはラインローラーに研磨剤を塗りつつ実際に高速回転させて”あたり”をとる方式でいってみた。研磨剤は金属磨き用のコンパウンドとかがあればそれに越したことはないけど、歯磨き粉が身近な品で研磨剤入りなので使える。学生時代昆虫の樹脂包埋標本作ったときにレジン樹脂磨くのに歯磨き粉持参するように指示があったぐらいで、クレンザーほど削りすぎて傷つける恐れがなくつるつるに磨ける。
 手で回すわけに行かないのでラインクリッパーの上に付いているルーターに輪ゴムをかけてもう片方の端をラインローラーにかけてアニメ見ながら半時ほど回してやったら良い感じに引っかかりも少なく実用充分な感じに回るようになった。
 これで準備完了。とラインを巻いてみると困ったことに写真のように、えらい後ろ巻きになっている。
 とりあえずスプール座面のテフロンワッシャーを薄いのに変更してスプールを下げてみたけどまだ足りないので、あれこれ考えて、ローターの下にワッシャーを噛ませて上げる方法はこのリールは使えなさそうな構造なので、ベールアームとベール反転レバーの位置と形をいじってちょい前巻き程度に調整した。
 具体的にはラインローラーの位置を高くしたいので、ベール反転レバーを下げることでベールアームのラインローラーの付いている側を上げてやる。そうすると当然ラインローラー自体は水平だったのがベールワイヤー側に傾いた状態になるので、水平に戻すためにベールアームのラインローラー取り付け部分をベールアームの反対側に反らして曲げて調整してやる。
 これでバッチリの調整具合と実戦投入したら、ベールワイヤーの付け根が若干ろう付け剥がれかかってささくれていて、そこにラインがかかってラインローラーにかかるのを妨げてるときがあったので、引っかかる段差がないように瞬間接着剤を薄めに盛ってサンドペーパーでならしてみたら問題なくなった。以降好調で8時間労働でも特にライントラブルも生じず快適に使えている。
 ここのところの経験が生きて、壊れた樹脂部品の再建とかラインローラー角度調整、スプール後ろ巻きの補正等が、基本が分かってきているのか多少リール毎に状況違うにしても慌てることなくすんなりできるようになってきている。

 ということで替えスプール、ベールスプリング予備とかも発注して無事届いてるんだけど、落札して届いた時点でも、なくても釣りにはなるスプール裏のドラグの”音出し”以外は最初からそろってる完品に近い中古品だったという、最初不安な滑り出しだったけど結局大勝利的な落札であったとさ。
 ちなみに他に確保しておいたほうがいいパーツあるかなと確認していたら、「720Z」の銘板もあったのでコレも確保したった。見た目的にもかなり良い塩梅のイイ個体に復活した。スペアスプールも用意したしライントラブル防止のための微調整も決まって、かなり実釣能力の高いリールに仕上がっていると自画自賛する。
 私にとって、初の”熊の手対策の棚”が付いていない”インスプール初心者用”じゃないインスプールスピニングだけど、トゥルーテンパー先生、714Z先生によくお稽古つけてもらった後なので、手でベールを起こそうとするようなこともなく快適に使えている。
 ボールベアリングさえ入ってない単純なリールで、そこら辺でフッコ釣って遊ぶぐらいなら何ら問題なく釣りができるっていうか、むしろ単純ゆえの使いやすさも感じているところ。ギア比が低いのも気が短くて巻く速度が速くなりがちなワシにはおあつらえ向きかもしれん。手を掛けて修繕したこともあり使ってて楽しく嬉しいのでしばらくこいつを使ってご近所のフッコたちに挑みたい。間違ってスズキ様なんか釣れちゃったらなお嬉しい。

 インスプールのリールとかいうと小難しそうなこと言う人が多いので敬遠するかもしれないけど、大したこっちゃないので興味がある人は、まずは”熊の手対策の棚”付きの機種で稽古をつけてもらって、そのあとは、人気のABU、ミッチェル、大森にいこうが、イタリアやら英国やらにいこうが、アメリカに行こうが旧共産圏に行こうが、温故知新で古い日本製にいこうが、それぞれの道にそれぞれのふかいふか~い沼が待っていてズブズブと沈んで楽しめることうけあいなので、ぜひそういう方向にも楽しんでみてはいかがかな?と、ともに病と闘う仲間を集めるために感染の拡大を狙うナマジであった。

 そろそろ手持ちのネタもつきそうで、来週もいっちょPENNネタ連投でしばらくスピニングネタはお休みの予定。リール予備機を売りさばいたりして何とか90台に収めたし、そろそろスピニング熱は快方に向かってくれていると信じておきたい。


(2019.4.22)


○ボールベアリングなんて入ってなくても当たり前に普通に快適に釣りできる証拠写真。




2019年6月29日土曜日

仏の顔もサンドバックに浮かんで消える


 はい買っちまいました。
 PENN720

 一度でも欲しいと思ったら逃れられない運命だよね~。
 ああ、この可愛らしい魚模様にキレイめのライトプルー、一体どんな竿にあわせてやろう。黒やグレーのブランクスなら無難ではあるにしても、このアメリカンポップな意匠造形の素敵なリールにはもっとスマートなそれでいて質実剛健な竿をあわせてやりたい。青であわせるならパームスのコーラルスターとかに青系があったか、でもメタリックな青いリールにあわせるならむしろミスタードンのような透明感のあるブルーの方が涼しげで良いのではないだろうか?心はウキウキと舞い上がるが、実際には今使ってるのは茶色の個体なのでしばらくは”コレだ!”という竿と出会うまでお蔵入りだろう。

 てなこと考えてましたが、壊しちまいました。修復不能に最悪な感じの壊れ方。オレの所に来たばかりにと思うと面目なくももうしわけなくも恥ずかしい。消えてなくなりたくなるほど意気消沈。
 まあ、あえて克明に恥をさらすことにより、我と己の汲み取り屋さんに来てもらった後のボットン便所の闇よりも深い罪深さを深く反省し、皆様が同じような過ちを犯さないよう他山の石となることをあえて選ぼう。まあワシそういう芸風やし。
 他人の失敗は自分に跳ねが飛んでこなけりゃ最高の娯楽!!っちゅうことで笑ってやっておくんなまし。

 茶色の720Zがボールベアリングが使われていないにもかかわらず、4:1という低速に力の伝達効率の良いスパイラルベベルギアがあわさって、使用上何ら問題がないというか快適に使えているという状況で、コレなら今の茶色のは結構ボロいしもう一台あっても良いなと慢性的PENN症候群を悪化させてしまい、かつ、まとめて放出されてたなかで茶色買った後、720、722系の落札相場が下がってる気がする。欲しい人間にある程度行き渡った感触で、見ているとそこそこ程度の良い個体でも7、8千円ぐらいで落札されることが多く、コレはいま買い時かも知れんと、かねてから欲しいと思ってしまっていた720の初期の青で本体蓋のプレートがお魚のがオークションにかかったので、ソレッとばかりに入札したら、例によって「自分が参加すると落札金額は一段上がる」の法則どおりで、7,8千円で決着せず大一枚ちょっと越えたところでハンマープライス。
 最後の方はワシともう一人で競っていて、わしが参加しなければ間違いなく7,8千円での落札になってたはず。
 でもまあ、そのぐらいの値段はしておかしくないブツだと思うので悪くない取引であった。
 多少表面の傷や腐食とかもあるけど、回転もベール反転や逆転も問題なく”機関良好”な個体で、しばらく本棚の目に付く場所に飾っておいたけど、腐食がこれ以上進まないようにするためにも、一回全部バラして注油してグリスを盛りまくってグリスシーリングしておくことにした。

 基本単純で部品も少ないのでサクサクッと済むはずだった。スプール外してドラグにグリス塗り塗りして、ハンドル外してと思ったらこれが固い。
 CRC666を吹き付けて、ペンチでコンコン叩いてから外そうとするんだけど回ってくれない。回す方向はリール巻くときの逆だから間違いようがないんだけどな?と力掛けていたらちょっと動いた気がしたので、これを外さないことにはハンドル軸のギアも外れず分解できないので思いっきり捻った。
 グリグリッと金属が変形しながら回るような嫌な感触があったので、慌ててやめてハンドル正回転させると、回るんだけど1回転に1箇所カツッと引っかかる所がある。

 コリャなんか壊したなと慌てて本体蓋外して確認してみると、ハンドル軸のギアが割れている。最悪だ。
 回った感触は何だったんだろうと、蓋外したままもう一度ハンドル逆に回してみるとアルミのギアに鋳込んである芯の硬いステンレスがアルミから剥がれてギアが回ってないのに芯だけが嫌な抵抗感を残して回ってしまう。
 完動品だったのに、我が家に来たせいで使えない状態になってしまった。
 マイコンNo.6の時もそうだったけど、使えるモノをわざわざダメにしてしまってもうし訳ない気持ちでいっぱいで、心はどんよりドヨドヨと沈んでしまう。

 一応この状態でも巻けることは巻けて、ただ、一定以上の負荷がかかるとハンドル軸の芯が回ってドラグみたいになっているし、ギアの割れたところが引っかかって一周毎にカツカツと音がしている。正常なラチェット音とか全然気にならないし、むしろ拍子がとれて良いぐらいだけど、さすがに自分が原因で壊した証拠の音を聞かされ続けるのは、責め続けられているようで精神的に辛すぎる。無理。
 アルミを溶接でもして引っかかる割れた部分は削って平面にして”あたり”取るとか、金属加工の技術があればひょっとしたら復活するかもとは思うんだけど、いかんせんそんな技術は持ってない。そもそも回ってるなら芯からギアの歯車部分抜いてハンドル抜けるだろうと思うんだけど、ギアの歯車の下に逆転防止のラチェットが填まってて、それが芯を固定しているのか芯は抜けず、にっちもさっちもな状態。

 終わった、大1枚もかけて入手したけどゴミにしてしまった。と暗澹たる気持ちに沈んでいたけど、ひょっとして720Zとギアもハンドルも同じだから部品まだ「MYSTIC REEL PARTS」さんで在庫してたりして。と、まさかとは思ったけどダメ元で確認してみると、なんと在庫してございます。ギアも銀色のハンドルもあるぅッ!!
 パヤーッと雲の隙間からレンブラント光線が差し込んで頭の上から天使が舞い踊りながら降りてくるような心持ち、あるいは、お釈迦様が天上から垂らしてくれる蜘蛛の糸にすがるカンダタのような気持ち。とにかく救われた。助かった。命拾いした。

 在庫切れになると困るので、条件反射的にポチッと発注。とりあえず1週間もせず国際郵便でブツは届く。
 ただ、填まっているギアを抜かないことにはどうにもならないので、歯車だけ抜いてハンドルの方に抜くのは難しそうなので、現時点ではまだ生きているハンドルを使用不能にしてしまうけど、ハンドルぶった切ってギアを本体から抜くしかないなと判断。
 ということで金鋸も買っちゃいました。

 また余計な失敗をしてさらにドツボにはまるのが怖くて、しばらく放置していたけどいつまでもそのままでは仕方ないので、覚悟を決めてやっつける。
 やることはハンドルぶった切って、切り残し部分を引っぺがしてギアを抜くってだけで簡単で、気をつけることといえば切ったアルミの粉が本体に入ったりしないように覆いをかけるのと、切り残し部分はなるべく薄くしつつ本体側の被せてある金具に傷をあまりつけないように鋸を入れるってぐらいか。
 アルミは柔らかい金属なので金鋸であれば簡単に切れる。津波の後のボランティアで建物の土台の鉄のボルトとか切ったけど鉄は固かった。ちょっと本体側の金具の表面削っちまったけどこのぐらいは許容範囲。見た目はそんなに気にしないんじゃワシ。
 切ったら切り残しの部分をマイナスドライバーでこじって剥がして折り取る。
 無事終了で抜けてくれてホッとしたのは良いんだけど、どうも固着してたのハンドルのネジ部とギアの芯とじゃなくてハンドルのネジの所と本体側の金具が斜めにかじってたかなにかだったようで、金具外したらハンドルのネジはスルスルッと芯から外れてきた。
 うーんこんなしょうもない固着でギアとハンドルが一組死んだのかと思うとなんか悔しくムカつく。

 ともあれ、これで全バラし完了することができて、入手したハンドルノブは黒いので元の白いのと付け替えて、ギアはついでにローター軸のも新品に交換しようと思ったら、微妙に高さが合わずにローターが締まって止まってしまう。ワッシャーの厚さか枚数の調整必要な感じだったけどめんどくさいので予備に保管することにしてローター軸のギアは元のをそのまま使うことにした。
 グリスグッチャリ内部はもちろん、本体表面にも腐食が見られる箇所を中心に塗り込んでおいた。これで当面腐食は止められるだろう。

 これにて無事復活。たまたま中古の銀色のスプールもネットで見つけて確保。
 結局、本体10200円、スプール3000円、部品はハンドル軸のギア10.30ドルとハンドル18ドルで3000円がとこ、加えて金鋸2000円で計約18000円なり。他にも予備部品買ってるので実際にはそれ以上で、未使用に近い箱入り個体が買えそうな値段になってるけど、いいんです。本人納得してれば金額なんてどうでもよしこさん。苦労した分愛着がわくってなもんなんです。
 とりあえず、これまでにネットオークションで手に入れたリールの中で、コイツがナマジ的に一番価値ある1台だと思う。ようやくたどり着いた最終兵器的な1台。とりあえずは所有しているだけで満足だけど、そのうち使ってみよう。PENNは実用機だからナ。


 というのと同時並行で、実はもう一台ぶっ壊している。720のギア割った時点で、買って分解清掃せずに放置してあった大森製作所ダイヤモンド「タックル5No.2」も、グリスシーリングしておかないと固着やら腐食やらが進んでしまうだろうから、一回手を入れておこうと意を決して分解清掃したら壊した。短期間に2機壊したのはだいぶペコッと心が凹んだ。マイコンNo.6も数えると買ったリール使う前に壊したのは3台目である。
 もともと、タックル5No.2とタックルNo.2は左ハンドル用のネジが付いてないのを買ってしまい、箱入りで左ハンドル用ネジ付きのを探して買い直してあった個体。

 なので内部構造は把握済みで、すぐ使うでもなしで放置してあった。
 回転が悪くてあきらかにベアリングが錆びてる。他は特に悪くないようなんだけど、固着しているとまたねじ切ってしまいかねないので、CRC666をぶっかけて一番寝かせて浸透させてから分解清掃した。
 にもかかわらず、ベールアームにラインローラを固定する円錐形のナットを外そうとして、ちょっと回った感触があったのでCRC吹きつつちょっとずつ回して戻してしながら力をかけたらメキョッと折れた。
 これ、これだけ慎重にやって折れるんならどうやっても折れるはずで、どうしたらよかったのか正直わからない。大森はネジのゆるみ止めの接着剤が強かった時期があったというのを目にした気がするけど、その時代のだったのだろうか?
 安く手に入るリールでかつタックルとマイクロセブン(アウトスプール)ともベール周りは共通なので、安い出物を待って確保すれば復活させることはできるんだけど、その場合、結局また1台使えないリールを作ってしまうわけで、ベール回り以外死んでますっていう都合のいい壊れ方のジャンクが出てこない限り自分的にはスッキリしない。
 折れた部分のラインローラーの軸に穴掘って雌ネジに加工してっていうのをどっかネジ加工してくれる業者でやってくれないだろうか?1本からの対応ってやってくれるにしても手間考えたら多分5千円から1万円ぐらいはするんだろうけど、これも金額の話じゃなくて3400円で買ったリール5千円かけて直しても、それで自分の気持ちがスッキリすればいいじゃないかという気がする。
 気がするんだけど、そこまでする必要性ってあんのかよ?って気もやっぱりするから、1台もらってもらったダイキリさんにもう一台、スペアスプールと部品の確保用に進呈するのがスッキリするし、リールも生きるのかなと思わなくもない。そもそもタックル5はも一つ下の大きさのNo.1が調整済み使用可能な状態でぶっちゃけNo.2はなくても良いッちゃ良い。
 でも、往生際悪くもうちょっと悩んでみたい。タックル5、評価は高くないけど単純な中に初期大森のしっかりとした作りが味わえる隠れた名作だけに簡単には割り切れない。

 2台続けてぶっ壊して、改めてPENNの部品供給体制のありがたさを感じたところである。40年から昔のリールの部品が、その後モデルチェンジ何度かした最後の黒金のZとも共通だったからというのはあるにしても、それも含めていまだに部品が手に入るという、永く使う釣り人の味方でありつづける姿勢。他には丸ABUが近いかもしれないけど、いずれにせよ大量消費文明の現代において希有な存在ではないだろうか。
 オレは一生PENNに愛を捧げることをここに誓う。でも大森ダイヤモンドに浮気はする。
 寛一お宮の昔から、浮気の原因は”ダイヤモンドに目がくらむ”と相場が決まってまさぁね。

8 件のコメント:

  1. お久しぶりです。横浜のハマサです。
    あの時代のリールが、完全に使えるって
    素晴らしいですね
    私は、国内販売がない機種がいつも
    気になっています。

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    1.  まったくです。素晴らしいです。

       日本製のリールで国内販売あっても輸出仕様の方が簡素で実用的だったりして、どんだけ日本市場ってゴテゴテといらん機能がないと売れないのかって感じます。
       遊びの道具だから、買う人間が良ければどうでも良いって言えば良いんだけど、そんなモンがなくても釣りぐらいできるってのはしつこく書いておきたいです。

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  2. 720/722が相場下がってる理由、ワンタッチスプールがない、716/714より少し重いから渓流や管釣りやる人に不評なのが原因かと思います。

    左投げ右巻きじゃなかったら私もミッチェル止めて小型700系で揃えてますし

    それから最近ナマズ釣りに集中していてニゴイにもちょっかい出そうとしていますがナマジさんのスキル、非常に役立ってて助かります。


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    1.  確かにマス釣るのに5フート台の竿に付けるには大きいですよね。
       シーバスやらバスに使うにはちょうど良い大きさだと思いますが、バス釣りで古い道具好きなら両軸つかうだろうし、シーバスはなぜか古い道具って使う人少ない印象ですよね。
       最新の高性能な道具を使えばシーバス釣れるってんなら苦労しないですけど。

       お役に立てているのなら幸いです。

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  3. こんばんは。
    720……最高にイカしたデザインのリールですね。

    確かにこれに合わせられる竿はそうそうなさそうで。
    パッと思い浮かぶ実用的な青いイメージの竿だとちょっと色が濃すぎですがダイコーのプレミアブロスとかテンリュウのスパイクくらいでしょうか?
    最近はPFJが現行でABU Classicsなんて青い竿を出してますがベイトしか無いみたいですし……

    自分も722Zを所有してるんで、ダイヤモンドからPENNに浮気したくなりました。

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    1.  プレミヤブロスは振り出しの9フィートが我が家にも2本あるので候補ですね。
       まあ、最終的には使ってる竿のラッピングスレッドと飾り巻きを空色にまき直してしまうとかでも良いかなと思ってますが、しばらく茶色が現役のうちはたまに眺めてクルクルしておくかなという感じです。

       720/722はPENNにあるまじき小洒落たリールですよね。たまに使ってやっください。

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  4. ナマジさん、「マイクロ7-C2」 某オークションに出てるではないですか?(笑)

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    1. もちろん現在最高額で入札中です。
      今んところ入札私一人だけでこのままいけば良いんですけど。

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(2019.7)



○2021年1月30日土曜日のブログ

スピンフィッシャー714zはワシの終着点かもしれん

 「ああ!また熱がァ~ッ!!」 

 魚が釣れないと症状が悪化することで知られている”スピニング熱”、この冬の苦戦の状況でぶり返さないわけがなく、もうこれは仕方ない。あぁ仕方ない。

 というわけで買っちゃいました「PENNスピンフィッシャー714z」は落札価格7250円+660円送料、「マイクロセブンCS」は落札価格3000円+510円送料。

 しかし、刑事訴訟法第203条に基づき弁解の機会を与えていただきたいッ!

 「714z」はしゃーないんです。この大きさのは「430ssg」を主軸にする心づもりっていうか実際10年以上そうしてきたんだけど、うっかりインスプールのリールに手を出してしまったら、714zをたまに使うのも楽しいかな、ぐらいのつもりがすっかり気に入ってしまってシーバス釣りでは押しも押されぬ主軸機、さすがに1台運用では心もとなく、当初予備機のつもりで買ってあった緑の「714」を部品取りとかに使うのはもったいないので、714zもう1台欲しいなと以前から考えてたところで、何度か入札するも競り負けてたんだけどやっと予算内の妥当な値段で確保したんです。衝動的にとかじゃなくて計画どおりなんです本当なんですよ、刑事さん。

 というわけで2台目(写真左)なんだけど、714zは弟機の716zと比べても人気薄で、ましてやカージナル33、ミッチェル408、大森コメットあたりとは比較にならない地味な存在だけど、はっきりいってこいつはデキる子です。なにが売りかって聞かれると、丈夫で整備性が良いっていう、なんだかボンヤリした感じのことしかいえないんだけど、実際使ってみるとこれが、まったくもって面倒臭いことが全然なくて楽で快適このうえないので惚れずにいられない。

 基本PENNなのでパーツからしてステンレスやらアルミやら真鍮やら錆びに強い材質が多く使われていて、海水で使っててほったらかしでもそもそも錆びたりする箇所が少ない。普段はラインローラーに注油さえしていれば他に錆びるところはなさそうだし、よしんば水没させて浸水しても、サイドカバーがネジ一つでパカッと開けられるので浸水してたらそこから水道水注いで”水洗い”で当面は大丈夫なぐらいだし、心配なら全バラししてパーツクリーナーで洗って改めてグリス塗って注油しても、なにせ単純な作りなのでたいした手間ではない。昨年使ったのを年末に全バラしようかと思ったけど、浸水させていないし調子も良いのでラインローラーとハンドル根元、スプール外して主軸に注油という普段の注油だけで放置することにした。けど、まず間違いなく今年もシーバスの時期が来て引っ張り出せば問題なく使えると思っている。浸水させると唯一錆びそうなのが主軸にハマっているボールベアリングだけど、これは外径16mm、内径8mm、幅5mmの規格品でいいので簡単に入手できるし数百円なので消耗品扱いで良いと考えている。

 という感じで手入れが楽なんだけど、実際の釣り場での使用もこれがまた”楽”なんである。これまで書いてきたことの繰り返しになるけど、ラインが後ろ巻きにならないようにとかラインローラーを水平にとか場合によっては微調整は必要だけど、使ってて糸ヨレが酷いとか巻き癖が付いてドバッと出るとかのライントラブルがほとんどなくて、巻き癖が少ないのはスプールの径が大きめなのも効をそうしているんだろうけど、径が大きいスプールはラインの放出性も良い感じで、スプール上下は単純なクランク方式なんだけどむしろクランク方式ゆえにスプールの上下幅が狭めなのが右手人差し指でラインの放出を調整するときやりやすくて、”スプール直径大きめ幅狭め”っていうのは小型スピニングでは正解の一つじゃないかと感じている。幅が広くなれば、ライン放出に伴いスプールに巻かれたラインの直径が細くなっていってスプールエッジにアタる角度がきつくなるのを防げるので飛距離が稼げるぐらいの利点はあるのかもだけど、その分スプール上下の機構が面倒臭くなって、かつ投げるときに右手の人差し指にあたるラインの角度が不安定になるので悪い面もあるのかなと思う。遠投投げ釣りなら利点が生きてくるかもだけどルア-の釣りではそこまで幅が広いことの利点は生きてこないから、逆に幅が狭くてライン放出の調整がキマって正確に投げられる利点の方が大きい気がする。このへんの直径と幅の違いについては、714zとほぼ同じギアと本体でスプールの径が小さい716zと同じ太さのラインで比べてみればハッキリするかもしれないけれど、とりあえず716zは使う予定が無いのでどなたか比較したことあれば感想教えて欲しいところ。ちなみに似たような関係の430ssと420ssではあんまり差を感じるほどじゃなかった。けど、これはそもそも使ったラインが420ssに適合するような細めの5ポンドだったので差が出なかったのかなとも思える。8ポンド2号ナイロンを714zでは使っているけど、2号ナイロンは716zにはちと巻く気がせん。さすがに巻き癖ついて不具合出るんじゃなかろうか?まあそういう感じで適正なラインの太さってのは各機種想定されるんだろうけど、714zは716zという最軽量機と似たような軽快さでもって2号ナイロンでスズキ狙っても大丈夫っていう本体シールの「ウルトラスポ-ツ」って標語どおりの機種なんだと感じている。逆に714zに細糸4ポンド1号ナイロンは問題なく使用可能なはず。

 でもって投げたら巻くんだけど、これは滑らかな巻き心地には定評のあるウォームギア方式なので、チョイ重めだけどカリカリ鳴る逆転防止の感触とも相まってワシャ好みである。巻きの重さとかって好みの問題が大きいんだろうけど、実際問題として軽すぎると”巻き感度”が悪いっていう話も聞くし、実際そこそこ高級機種の国産スピニングのスッカスカの巻き心地は使ってみて好みとしても嫌いだし、慣れもあるのかもだけどルア-が水噛んでる感触も分からん感じで使う気にはならんかったよねって話。基本魚が食った”アタリ”をとらえたければ竿先なりラインなり見たほうが早いと思ってるので、ルア-の尻にスナップつけて引いてても気付かず、魚が首振り始めるまで根掛かりと区別がつかない(つかないほうが早アワセがなくて良いと思ってそういう竿にしている)程度の感度を気にしない人間の書いてることだと思って読んではもらいたい。あてにならんがな。

 という感じで、特にこの点が優れてますって宣伝しろって言われると最初書いたように丈夫で整備性が・・・とかぐらいしか書くことないんだけど、もうちょっと頑張って書いてみてもPENNなのでドラグがまともなのがついてるとかも含めて、”まともに使えて長く使えて面倒臭いことが少ない”っていう宣伝文句としては破壊力に欠ける説明になってしまうのである。

 でも、使って良さが分かってくれば、このリールはこれはこれで一つの完成形だなと納得する。今回落札した個体の出品者さんも714z大好きだそうで、まあ同じような病気で同じような症状だなと思うんだけど、一生掛かっても使い切れないぐらい所持しているので整理するために売りに出しますとのことだった。流石に愛用者の放出品だけあって”当たり”の個体で、本体蓋が樹脂性でハンドル根元に注油の穴が開いている”中盤”時代のモノだけど、調整済みなのか元からなのかラインローラーはほぼ水平、ラインのスプールへの巻き上がりはやや前巻き、ベールの返りもガチャンと鳴らない強すぎない程度で適正で、そこそこ使い込まれていて小傷とかはあるけど、調整無しでそのまま使える良い塩梅の個体。値段は7千円台というのは相場だなと思うけどお値段以上のお値打ち個体かも。浸水跡とかあるようなら全バラして洗浄注油だなとパカッと本体蓋開けてみると、浸水跡はなく、多分出荷時に塗られたとおぼしき”芋グリス(干し芋みたいな色のやっすい茶色のグリスをそう言うらしい)”が残ってて、”PENNは基本ほったらかしで大丈夫”を証明するような状態だったので”ソッ閉じ”しておいた。スピニングリールなんて単純に作っておけば10年単位で外回りの注油だけで使えるってことよ。出品者さんあと何台かは出してくると思うのでインスプール初心者の方にはこの機会に「714z」を狙ってみることをお薦めしておきたい。714zはベール返しの部品を”熊の手”で曲げるのを防止するために両側から挟み込むように保護してあり熊の手対策は万全。左手でベールを返すのではなく、ハンドル巻いてベールを返す癖を付けるのには最適かと。かつ値段も綺麗な個体で大1枚前後、実用級なら相場はさっき書いたように7千円台と手頃なお値段。PENNの小型機、716z、420ssあたりは最近良いお値段するようになってきたけど、しょせんPENN使いは少数派なのでワシがどれだけネットの隅で頼まれてもいない宣伝書いてもたいして値段上がんないので、希少価値より実用性のリールであり続けるとおもっちょります。インスプールのスピニングなんて骨董的希少価値だけで実用性はないだろうと思ってたけど、使ってみると充分実用的で、そこらでシーバス釣るぐらいなら、部品数少なくて単純で面倒も少ないインスプールっていうのはありだなと実感しております。


 でもって、オマエなにまた大森買ってるねん?

 スイマセンつい出来心で入札したら開始価格で落札できてしまったんです。悪気はなかったんです堪忍しておくんなまし。 

 過去ワシャ、小型スピニングを性能で選ぶなら本体樹脂性の4300ss、キャリアーNo.1、ウィスカーSSトーナメント600の3機種を選ぶと書いた。でも大森から樹脂性スピニング1台入れるならむしろ人気のキャリアーじゃなくてマイクロセブンCシリーズだろうと昨年使ってみて思った。キャリアーが悪いってわけじゃなくてキャリアーは単純構造で軽量に振ってて、マイクロセブンCは樹脂性の軽量さを活かしつつも金属の補強を入れたりしてある程度丈夫に耐久性も良く作ってあって、ワシの好みなら後者だろうという話。この辺は好みであってキャリアーの軽さにこそ価値を見いだす人がいても当然だと思う。ただ、ネットオークションで値段が付くからありがたがってるだけってのならケッて唾吐きかけときたいってだけのはなし。まあ最近大森全般値段落ちてきたけどな。欲しかったけど落札相場価格見て諦めてた人はそろそろ買い時でっせと、”大森アナリスト”としてこれまたお薦めしておきたい。コメットとかでも1万5千円ぐらいまで落ちてきました。まあ多くの場合モノの価値が分かる人間が買ってたわけじゃない泡相場だったんだろうなとおもっちょります。コメットの落札価格が下がったところでコメットの価値自体が下がったわけでは全くないんだろうと思う。そんなもんてんで関係ないさね。

 この1台でマイクロセブンCシリーズ7台目。主軸で使うつもりもないし、丈夫に作ってあるからシール剥げるぐらいはあっても滅多に壊れもしないだろうから絶対一生掛かっても使いつぶせないけど、こんなに持っててどうするねんって自分でも思う。でも買っちゃうの。アタイ病気が憎いっ!いっそワシがカリスマとか天才的詐欺師とかなら当ブログを読んでマイクロセブンCが欲しいって人が増えて、1台何万円もするようになって売り払ってワシの老後の資金が潤うのにと口惜しい。

 マイクロセブンCシリーズ、分かる人には分かる名機ということで、たまに使って自分で楽しんでおこう。でもまた安く売りに出されていたら、なんか不憫で入札してしまうんだろうな。病気だから仕方ない。

 

 魚が釣れない、去年とは状況が違う、海水温が高い、雨が多い少ない、いろいろ言い訳はあるけど、まあそういうのも含めて対応して”来た魚を釣れ”っていうことに尽きるんだろうとは思う。思うけどそれがデキれば”突き抜けてる”ッテ話で苦労せんぞってくらいで難しいヤね。

 コロナ禍緊急事態宣言のおり、釣りも遠征の釣りとか全くできなかったりなんだりもあって苦戦中の同志も多いと思うけど、時化るときもアリャ凪ぐときもある。ってことで釣れない時を耐え、釣れる時合いが回ってきたらここぞとばかりに釣ってしまえるように、道具をいじるのも良いけど、なるべく釣り場で悪戦苦闘しておきましょう。

2 件のコメント:

  1. 720zが主役張るって思ってましたが
    714がインスプールの主役になってますか

    700系に手を伸ばしてるのを見ててそのままどっぷり逝くのは予想してましたw
    やっぱりワンタッチスプールシステムですか?

    返信削除
  2. ドップリは予想どおりでしたね。

    ワンタッチはあんまり気にしてなくて、ドラグ調整は現場で竿の曲がりであわせてます。ドラグの使い方憶えたのがワンタッチが無い5500ssからなので昔は現場で秤であわせてましたが、慣れると締めるときの感触で合うようになってきたので最近は秤は使ってません。PENNはドラグの調整幅狭めなのでそこに入れておけば概ね大丈夫なところがあって、使いもしないドラグ値のあたりに細かく調整できたところで意味ねえじゃんと思ってます。

    720zは8f使う春使ってますが、メインが714zなのは7fの短竿との相性がいいのと、当たり前ですがギアとか一緒の430ssと感触が似てて手に馴染むってとこですかね。720zのほうが本体やや大きめです。あと720zのロケットベールのベールワイヤーはやや華奢で曲がるとベールの返りが悪くなったりPENNにしてはやや繊細です。714zは比べると丈夫ってのもあるのかな。どちらも好きですけど720zは使うのを楽しんでて、714zは実用的な道具として見てると言えるかも?

    なんでだろう?と考えてみましたがたいした理由はなくて正直よくわかんないですね。

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○2021年6月5日土曜日のブログ

コロナ禍で持病が悪化!さらにPENNの部品供給体制に暗雲が!! 

 コロナ禍で緊急事態宣言が6月20日まで延長される中、当然のようにそれにあわせて港の”釣り自粛”の看板の日付もペタッとテープ貼って更新されてて、豆アジはよ釣りたいのにどうにもならず、シーバスはセイゴも狙うと難しいもんで思うようには釣れず、チヌなんか初めっからアテになるほど釣れる魚じゃないのは良いとして、我が心のオアシスであったウグイちゃんまでなんか今年は難しくて、にっちもさっちもいかない状況。

 ってのが先日の素晴らしい釣果までは、ゴールデンウィーク前ぐらいからダラダラと続いていて、魚が釣れないと悪化するのが”スピニング熱”というのは、もうガチガチ鉄板のお約束で、売るほどリール持ってるくせに、それでもなんか出物はないかとネットの海をさまよって、程度悪いけどものは試しにと3300円で入札したら3100円で落札できてしまったのが、冒頭の写真の「PENNスピンフィッシャー712」。大きさ的には4400ssと同じぐらい、っていってもPENN使いの人にしか分からんと思うけど、カージナルC4とだいたい同じ大きさで2号か3号のナイロンライン巻いてシーバス狙うような大きさ。4400ssも売って整理したけどそれでも4台確保してあるし、カージナルC4もあるし大森なら”No.2”の大きさだけどそれも何台も蔵に転がってる。落札して届く前には既に”やっちまった”と反省する。インスプールで緑の712と黒金の712zはそんなに需要があるとも思えないんだけど、弾数も少ないのでネットオークションに出ると7,8千円はしてて意外に値が張るんだけど、今回安かったのは銘板が落っこちてるのはPENNではある種お約束なのでまだ良いとして、本体の背中と足下に名前を電気でバチバチと彫る方式で彫ろうとして失敗してて、なんて書いてあるのか良く分からんローマ字が掘ってあるというとってもよろしくない見た目が原因。ワシの場合PENNはインスプールでもあくまで”実用機”扱いだけど、普通の人はこの手のインスプールのスピニングは古き良き時代を楽しむための”アンティークタックル”として求めるわけで、こうも外見が悪いと整備して売りさばこうにも買った値段以上の値段が付く未来がまるで予想できない。送料入れて4千円チョイ、それだけあれば大豆製品ばっかり食ってないで肉かなんかでも食えたはずである。

 ということで売れないとなったら使うことを想定してスペアスプールでも確保するかと、その他の部品在庫も確認しておきたくて「Mystic reel parts」さんのホームページを開いて、衝撃を受ける。普段ワシ英語のサイトは英語能力が貧しい限りなのでグーグルクローム様の自動翻訳で「常に日本語に翻訳」で閲覧してるんだけど、たまたまクローム様の更新に伴って設定が初期化されてたのか原文で表示されて、コレまでコロナ禍関連で海外発送について「完全に停止しました」となってるのを見て、早くコロナ禍終息して発送再開して欲しいな、と無邪気に思ってたんだけど、原文には「Stopped Permanently」となってる。パーマネントリーってワシの英語能力では知らんだけで”完全に”って訳すのか?美容院でかける”パーマ”はパーマネントウェーブの略ってぐらいで、意味的には誇大広告だと思うけど”恒久的な巻髪”っていうような意味で、”恒久的に”今後も基本的にずっと続きますっていう意味だろって、詳しい説明のページに飛ぶと、「郵便料金高なったし、関税も高いし、運送は遅延が多いし、クレームが多くてうちとこみたいな中小企業では海外発送対応はもう対応ようしまへん。世界のお客さんスンマセン。米国にある輸入代行業者とか使ってください。」っていうようなことが書いてある。そんな殺生な!郵便料金の改定とか5年は前の話だと思うので直接的な引き金はコロナで物流が混乱したのが原因だろう。ワシ的にコロナ禍において魚港の実質禁漁の次に被害がデカい。基本的に今保持しているスピンフィッシャーの部品は一生使う分を想定して在庫していて、欲しいのは予想外に出番が増えたインスプールの714zと720zのベールスプリングぐらいだったので、まあそういうことならと速攻で「須山スプリング」さんに現物見本送って10個ずつ作ってもらう注文入れたんだけど、長期的にはどうにかせねばなと、輸入代行業者も調べてみたりした。けど、使うとなると面倒くせぇし当然手数料が掛かって割増になるしで、ミスティックさんにはコロナ禍終息後で良いので国際配送是非復活お願いしたいところである。泣けてくるぜまったく。このコロナ禍に海外発送遅れたりなんだりでミスティックさんにクレーム入れるのが馬鹿ってもので、そんなもん状況考えたら想定できるだろって話で馬鹿のせいでエラい迷惑である。まあスペアスプールは34ドルもしてて、送ってもらったら中古で一台買えるぐらいにはなるので現実的じゃないようでもあるけどね。古い製品のことで今のPENNの輸入元のピュアフィッシングジャパンが何とかしてくれるともおもえんしな。

 というわけで、中古で”部品取り個体”とか部品そのものを探すのもありかなと考えるにしても日本じゃ弾数少ないし米国中心のネットオークションなら「イーベイ」かなと思うも、イーベイに出品してる人も”海外発送いたしません”って人が多いので、ちょっと調べたらこれも代行サービスはあって、送料を節約するのに向こうで留め置いてまとめて配送とかもしてくれるらしい「セカイモン」とかいうところに登録してみた、けど眺めてみると米本国でのPENN需要はさすがに侮りがたく、けっこう強気のお値段設定で手数料送料かけてまで手が出るようなのはなかなかないのが実態のようだ。まあこれは金に糸目をつけない背に腹かえられない事態用だなといまのところ思うんだけど、登録しちまったら覗いてしまうのでひょっとしたら既に足がズボッとはまってしまっているのかもしれない。704の古いのとか、米本国じゃZの復刻版が出たぐらいの人気があって超売れたんだろうとは思うけど弾数多くてそそられるものはある。

 

 ちゅうわけで、スペアスプールも入手の目処はたたず、売って元が取れる筋も見えてこずでどうしたものかと思うけど、まあ手元に来ちまったものは仕方ないということで、まずは分解清掃して使える状態に復旧しておくかと、久しぶりの全バラし整備にちょっとウキウキ。プラモデルなら組み立てるだけだけど、リールだと分解して掃除して注油して組み立てってできてとってもお得だと考える、のはさすがに無理があるけど楽しくはある。これがまた、この時代のPENNは超単純明快で、部品数50ぐらいしかないのでサクサクと分解してパーツクリーナーでシュッシュと古いグリスを落とした状態がこの写真。ハンドル軸周りのギアが抜けてないのがご愛敬だけど不安になるぐらい部品数少ないのがおわかりだろうか?ベールレス機の「706z」だとさらに部品数少ないし、第4世代の逆転防止周りを一方通行のベアリングだけにして逆回転無しに割り切った「430ssg」も部品の少なさでは良い線いってるけど、部品数50ぐらいって、銃の世界だと「コルトガバメント」がそのぐらいの部品数で、製造も整備も簡単なので100年から前の設計だけど、今でもライセンス生産で途上国とかで造られてその国の軍や警察が使ってるとかいう話を聞く。単純で信頼性の高い道具は武器でも釣り具でも現場で長く愛されるっていうのは同じなんだなと実感できる。
 見ても分かるように、緑の時代のZの付かない古い機種で、まずは細かい所で恐縮なれど、油切れてどこも重くなってたので、分解前にネジ周りにCRC666を吹いてしばらく放置しておいたんだけど、なにげにハンドルノブとハンドル根元の注油口が凝ってて面白い。写真では分かりにくいかもだけど、ボールペンのペン先みたいな感じで丸い頭が顔を見せてるので何だろうと思ったけど、これ下からバネかなんかで球状の蓋を押し上げてる構造のようで、真ん中の丸いのを潤滑油のノズルの先で押さえると隙間ができて油が注せる。ハンドルノブのは後年のモデルでは開放しっぱなしの穴だし、ハンドル根元の注油口は普段はねじで蓋する方式を経て後年省略となってしまった。昔の方が職人さんが技を効かせてたって話は良く聞くけど、確かにこういう細かい所に凝った仕組みを使ってるのは、今みたいにせせこましく経費削減のことを考えないといけなくなる以前の”良き時代”を感じさせてくれる。とともに、やっぱりPENNってセネターとか庶民的な両軸だけど、トローリングの世界でインターナショナルシリーズっていったら高級トローリングリールの代名詞で、スピンフィッシャーもこの時代は細かい所まで贅を尽くした高級品だったのかなという気がした。
 高級品説を裏付けるもう一つのポイントがスピンフィッシャーにしては珍しく、スプールが樹脂性だというところ。てっきりアルミを緑に塗ってあるんだと思ってたので意外に思うと共に、PENNの樹脂部品ってワンタッチのドラグノブがよくヒビが入ってる印象があるけど大丈夫かな?とちと不安になる。けど現状普通に生き残ってるということは大丈夫で、当時の最新素材であったであろう樹脂素材をおごって軽量化を図ったんだろうか。アルミ製のと互換性あるの?っていうのは不安だけど、アルミの方だとなぜかドラグノブが550ssgのが使えるそうなので試してみたら、この樹脂性スプールでも使えたので大丈夫そうではある。

 樹脂性スプールだけど、真ん中には金属のスリーブが入っていてドラグは3階建て方式で今の4500ssとかのドラグパッドがそのまま使える大きさで、ドラグパッドは今のカーボンシート剥き出しの感じよりは樹脂でしっかり固めてある。ドラググリス塗って調子をみたら当たり前にドラグとして良い感じに機能している。面白いのはドラグパッドの一番上の主軸に固定される金属ワッシャーと、ドラグノブのドラグを押さえる金属面に穴ぼこと出っ張りがそれぞれ設けられていて、ドラグを締めていくと、ドラグ効くあたりになるとカチカチと締める感触が得られるとともに、締めたドラグが不用意に変わってしまわないようになっている。4400ssとかユルユルドラグで使ってると、ベール起こすときとかに触ってしまうのかドラグが緩んでしまってるときがあったりするけど、これだとそういうことは無いだろう。芸が細かい。ちなみに4桁第3世代スピンフィッシャーのユルユルドラグ時のドラグ緩み問題は、スプール共通でドラグノブが防水パッキン付きに進化している第四世代スピンフィッシャーのドラグノブに交換してやるとほぼ解決できる。なのでssg自体は430ssgしか持ってないけど、4400~5500ssには第4世代ssgのドラグノブを付けている。ので先ほどスプールの互換性の間接的な確認に使った550ssgのドラグノブは我が家では5500ssに装備されていたのである。

 他にも最新素材を惜しげもなく投入したんだろうなと感じたのがラインローラー。オークション時の写真にもなんか濃い灰色っぽい色で写ってて素材が不明だった。硬質クロームメッキが剥げて地金が錆びてるのかな、あるいは黒っぽく見えるタングステンとかの堅い金属かなと疑問に思ってたけど、届いてみるとどうも質感からいってセラミック系のようである。掃除して注油してやったらちゃんと回ってる。錆々に腐蝕してたらどうにもならんなと一番心配していたけど、流石PENN腐蝕には強い素材を使ってございます。

 あと面白かったのは、ベール反転機構の反転レバーを蹴飛ばす部分が、714zではアルミでベアリングを押さえる蓋が作ってあって、そのアルミに穴を設けてそこから蹴飛ばすためのステンレスの部品が飛び出してるんだけど、712では男らしくベアリングを押さえる蓋自体が真鍮で、その真鍮をちぃと曲げて尖らせて蹴飛ばす方式になってる。スプール樹脂製で軽くしても、本体部品はあくまで錆に強く耐久性のある素材で作ってるところがPENNなのであった。っていう作り方してたのを、714と716という”スパースポーツ”だったり”ウルトラライト”だったりする小型機を造るにあたって、真鍮部品でアルミに置き換えることができる部分はアルミに、ってやったんだけど蹴飛ばしはやっぱり耐久性考えるとアルミじゃ不安だ、ってなってわざわざステンレスの部品を追加したんだろうなと思うと、PENN社の錆びないように、壊れないようにっていうこだわりが、設計思想が、やっぱりとっても頼もしく感じられるのであった。

 という感じで、なかなかにスピンフィッシャーの歴史を、古き良き時代のアメリカの物作りを感じさせてもらえる分解清掃だったんだけど、1つ不具合が生じてて、腐蝕でスリーブが太ったのかあるいは何らかのゆがみでも生じているのか、ハンドル軸のギアが抜けてくれなかった。コイツ抜けないと逆転防止関係もちょっと抜きにくいので、仕方ないので、抜けるところまで引っ張っておいて、ブラシとパーツクリーナーのノズル突っ込んでゴシゴシシュッシュと古いグリスを除去して、最後はいつものように、青いグリスを特盛りにしてグリスシーリングで仕上げておいた。力技で無理矢理抜くとろくなことがないというのは経験則で学んでいる。

 グリスとオイルがまだ馴染んでないし、組み直してアタリが取れてない感じもあって、やや巻きが重いけど、もともとウォームギアは重めでしっとり滑らかな巻き心地が売りでもあるし、経験的に使ってればちょうど良い塩梅ぐらいには軽くなってくると思ってる。ハンドル軸のギアが抜けなくなってるのも回して適度に削れれば抜けてくれると信じたい。
 とりあえず分解清掃しての整備は無事終了で使用可能な状態になって、破損している部品とか探さねばならんこともなくて、とりあえずめでたしめでたし。お野菜の色を料理に生かしたいなら白出汁白出汁という感じだけど、じゃあコレが良い値段で売れるかというと、最初に書いたように絶対に3千円ぐらいにしかならない。ワシが半日がとこかけた手間暇など誰も評価してくれないっていうか、書く分には「分解清掃済みで使用可能」って書いても、それ確認しようがないって話で、やっぱり見た目をどうにかせねばならんっていうのが、リール売りさばくなら重要なんだろうなと思う。

 ワシの苦手な分野である。新品で買ったのならともかく、中古で買ったリールの塗装が剥げちょろげてようが、銘板がなくなってようが、機関がちゃんとしてて魚釣れればイイじゃんって正直思ってるので、手に入れたリールをきちんと機能するように整備してやろうっていうのはやる気満々で取り組めるけど、美しい外観にしようっていうのはあんまりやる気わかないのよね実際。
 塗装技術で元のとおりとまでいかなくても、緑一色に塗り直すだけなら何とかなるだろうって気もするけど、丈夫な塗装にするにはどうすれば良いかとか全く知識がないので手が出せない。車用品店でスプレー塗料買ってきてプシュプシュやればできるのなら簡単だけど、全く一緒の色目の塗料が手に入らなければ今塗られている塗料を剥がす必要があるのか無いのか?とか悩ましい問題はありそうで、そんなに簡単ならみんな自分でリペイントするだろうと思うけど、ルア-のリペイントなら珍しくないし、ワシも簡単なのならできるけど、リールのリペイントって工房に頼んだら良い値段してる印象しかなく、素人にどうにかできる気がしない。
 じゃあなんか素人にできることはないか?って考えて、以前アルチェードの「2CS」をいじったときに、シールベタベタ貼って上からウレタンかエポキシでコーティングして”痛リール”をつくったろうかしらん。って考えたのを思い出して、シールでごまかすっていうのは割と簡単で良いかもしれん。ダメだったら剥がせば原状復帰できるしなと思いついて、とりあえず試してみました。
 せっかくのアメリカンなリール、アメリカンポップカジュアルな雰囲気でアンディ・ウォーホルとまではいかなくても、たとえばフェンウィックのグラス竿のロゴ「FENGLASS」とかの良い塩梅のくだけた気安い感じを目指してみたい。

 ウインドウズの「ペイント」で適当にお絵かきする。
 銘板は720の”お魚銘板”の感じを取り入れて、背中は赤地に白文字のPENNのロゴの配色で「SPINFISHER」、フット側はアメリカンな感じを前面に星条旗背景に「U.S.A.」ときたもんだ。シールプリントできる光沢紙を買ってきて大きさいくつか用意して最初は普通の紙で試し刷りして大きさ微調整して刷ってみる。
 この時点ですでに失敗臭は漂ってたけど、貼ってみたら案外決まるかもと貼ってはみた。

 ご笑覧あれ。
  
 ダメだコリャ!

 徹底的に美的センスに欠ける代物になってしまっていて、これでウレタンコートかけて完成させようって気には当然ならず、ペリペリッと剥いでおいた。まあ何事も経験である。ワシは美的な方向を目指してもダメだというのが分かっただけでも良しとしておこう。
 丸い銘板は素人臭くも悪くはないけど、緑に赤地はドぎつすぎたし、星条旗にいたってはアホにしか見えん。まあ実際アホなんだろうけど、712自体は断じてアホじゃないから相応しくない。
 この見た目でネットオークションにかけたら、3000円以下の値段しかつかず、落札者は届いたらまずシール引っぺがしてウレタンが残ってたら有機溶媒で拭き取ることだろう。

 とりあえず、見た目は無視して2号ナイロンでも巻いて使ってみるか。ってところにおちついたけど、いろいろ勉強になったし”おうち時間”の暇もつぶせていい”遊び道具”ではあった。4千円がとこの価値は充分あったと思うことにしよう。
 良い魚も釣れて、スピニング熱は寛解してくれるんじゃないかって思うけど、それはさておき、とにかく早くコロナ禍落ち着いて近所漁港で豆アジ釣れるようになってくれと願わずにいられない今日この頃。皆様も悪い病気をこじらせないようにご自愛ください。



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