○706Z


 スピニングリールの歴史的な話がかかれた本を読み、スピニングリールについてあれこれ考える機会がありました。

 詳しくは「ベールアームはどこまで回る?」に書いていますのでそれを読んでいただくとして、ゴチャゴチャ考えているうちに、丈夫なスピニングリールのあり方として、現在の最高の技術で高強度、高精度なリールを作るという方向性がある一方で、とても原始的に見えるけれど、インスプールのローターにベール?アームをガッチリ固定してある「バンスタール」のような設計であれば意外と丈夫なリールが作れるのではないかということに思いが至りました。

 要するに、力のかかるアームの部分をアウトスプールのリールようにスプールのスカートの下でローターと接続し立ち上げた形ではなく、インスプールのスプールを覆うお椀型のローター部に直接ガッチリ接続する、しかもベールでラインを自動的に拾うためのベールの反転機能を取り入れず、可動部を無くしてしまえばさらに強度が稼げるのではないか?と思ったのです。

 

 インスプールのリールは苦手ですが、それはキャスト後ハンドルを回転させるとオートマチックにベールが返る仕組みが苦手なだけで、ベールを持たずキャスト後指でラインをラインローラーに引っかけてやるマニュアルピックアップ方式というやつなら何とか使えそうな気がします。

 

 実際につかって、どのぐらいやれるものか感じてみたいと思い入手しました。ベールワイヤーのないインスプールのリールとしては先ほどから話に出ているバンスタールが有名ですが、実はPENNにもあって、むしろこちらが先にあって、バンスタールができたのではないかと思っています。

 その名は「スピンフィッシャー706Z」です。5年ほど前まではカタログにも載っていたように記憶しています。

 20LBが300ヤード巻ける海用の機墲ナ、スプールはアウトスプールのような「スカート」部分が無くペッタンコな印象。ドラグは7500SSと共通のものが入っていて、今時のリールとしてそれなりのドラグ性能が期待できます。

 


 巻き取りは、ローターの片方だけに固定されたベールアームが付いているのでか、やや偏っている感じがあります。

 

 吊り下げテストをして、後は実際の釣りで感触を確かめてみたいところ。

 

 竿はブローショットマグナムMG9フィート、30ポンドクラスを予定しています。

 

 アウトスプールではないので、スプールを直接押さえるようにしてブレーキをかけるのはやりにくそうですが、ドラグ調整をしっかりしておいて走らせてとるオフショアの釣りなら問題ないでしょう。

 また、ドラグについては最近の新型スピンフィッシャーについているドラグノブは、従来のものと比べ微調整が効き、かつ高いドラグ値まで締め込む事ができるので、750SSmのドラグノブを流用して苦手のファイト中のドラグ調整もやってみる価値があるかもしれません。

 

 さてどうなることやら。

 

(2009.8)

ベールアームはどこまで回る? 

 

○2018年9・日土曜日ブログ再掲

ゼ ゼットォ~ 解き放たれたゼットォ~


 「オレ、病気が良くなったら706Z揩チて釣りに行くんだ。」

 などと、€亡フラグ臭い台詞を吐いている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 お待たせしました全国の女q高生のみなさ~ん。もといっスピンフィッシャーファンの皆様~、張り切って今週のビックリどっきりメカ発進!
 ということで、ハ真のPENNスピンフィッシャー706Zなわけだけど、なぜこの時期にいきなり706Zなのか順を追って語っていきたい。


 先週書いたようにここしばらくスピンフィッシャーのスペアスプールなどいじくっていたわけなんだけど、7500SSのスペアスプールを重ねて段ボールの筒に突っ込んだ状態のを見て、スプールが安いの自体も魅力だけど、重ねることができて場所いらずな感じに小さく荷物がまとまるのもスピンフィッシャーの良いとこだよね。と改めて好ましく思ってネットリとした視線でなめ回すように見つめてしまった。
 5500SS用以上の大きいサイズのは替えスプールの下の方のローターに被せる「スカート」の部分に別の替えスプールの上部・ェき部分までぐらいを突っ込んでしまえるのである。スカートの中とかあんまりネットリ覗き込むのはセクシャルハラスメントにあたるかもしれないと反省。
 何度か書いてきたけど、スペアスプールの充タは実釣において、ラインがトラブったときの復旧作業やラインの種類変更などを素早く行えるようになるので、非常に釣果に直結してくる大事な要素だと思っている。
 そのあたりスピンフィッシャー第3世代、第4世代のスプールは重ねることができる形状であり持ち運びやすく沢山揩チていくことができる、なんていうのがカタログなんぞに書いちゃねえけど細かいところで効いてくる良いデザインなんである。


 と、「PENNgい」として悦に入っていたんだけど、まてよインスプールのリールならそもそもスプールにスカート部分なくて多くは糸巻く部分も薄く作られているから替えスプールの携行性の良さではインスプールの方が良いんじゃなかろうか?と思って、我が家の蔵からゴソゴソとくだんの706Zを出してみた。
 スプールこんな感じで薄っぺらいです。

 706Zについては、「スピニングリールとはどこからきてどこへ行くのか?」などということを考えたときに(サイトの方の「ベールアームはどこまで回る?」Q照)、インスプールでベールワイヤー無しという個性的な設計にとっても興味がわいて中古で確保。スペアスプールにもラインを巻いてリーダーシステムも組んでいつでも使用できる状態で出番を待って蔵の中で眠ってもらっていた。
 出してみると相変わらず個性的な見た目と単純な機構とかが魅力的である。大きさ的には7500SSぐらいある大型のスピニングなので、船からロウニンアジとかマグロとか、岸からならブリとかヒラマサかとかいう感じのなかなかどうして男らしいリールである。どのぐらい単純な機構かというと、獅オに部品数を展開図から数えてみたら40個ぐらいで、今時の日本製リールと比べたらかなり単純な、ベアリングも3つしか入ってない7500SSでも部品数は85個ぐらいにはなるので、706Zがいかに単純かおわかりいただけるだろうか。
 あらためてこういう個性的な道具で魚釣ったら格好いいし気揩ソ良いだろうな~とは思うモノの、リハビリ中の身であんまり体力いる釣りはできないだろうというのの他に、そういう釣りなら使い慣れて絶大な信頼をおいている7500SSと750SSで間に合ってるのでわざわざ706Zを出す必要ってあるのかなという感じである。
 でも単純な機構で壊れるところとか少なそうで、醸し出す雰囲気とかの味わいもあってその実力を獅オてみたくはなるのも正直なところ。

 とりあえず、タ際に使った人の感想とか調べてみるかと検索。
 なかなか実釣で使った情報は少なくて、沖縄のとある「PENNgい」の人のブログぐらいしかでてこない。その人の感想では巻き取りがカリカリうるさいのと、ドラグノブが樹脂製なのはいただけないとのことだったが、カリカリ音は慣れればどうってこたないだろうし、ドラグノブは作られた年代で違うのかもだけど我が家のは始めから7500SSと共通のドラグノブがついていてドラグパッド抑えつける面は金属になっているので問題なさそうには思う。
 もうちょっと何か情報ないかなとみていると、割と上の方にアマゾンの売ってます情報っぽいのがあって、中古品でも売ってる業者がいるのかなとなにげに開いてみたら、なんと新品である。小口の輸入代行業者のようでポチッとしたら米国から発送しますとのこと。
 商品ハ真みたら、どうもドラグノブが第4世代の750ssmの流用のような感じだし箱が赤い影絵の今時のピュアフィッシング版っぽい箱なので「こりゃ今復刻生産されてるな!」と本家のサイトを確認してみたら正解。

 インスプールの大きいサイズ2機增Aベールワイヤー無しの706Zとベールワイヤーム有りの704Zが"Now on sale!"ッスよ全国のスピンフィッシャーファンの皆さん。
 日本だとインスプールのリールってカージナルやミッチェルみたいな小型のトラウト用の印象が強いけど、米国では大型のインスプールのリール(PENNさもなくばミッチェル)がストライパーやらスヌークやら海でキャスティングで釣るのに根強い人気があるというのは、あっちの釣りの本とか読んでて薄々知ってたけど、PENNミを吸福オたやり手の印象のあるピュアフィッシングミが、商機有りとして復刻するほどだったとは正直驚いた。
 タ際に、廃盤だった706Z、704Zを使い続けてたような釣り人からの評判は絶賛の嵐といっていいぐらいで、アマゾンのレビュー欄は多分米国アマゾンから引っ張ってきてるんだと思うけど星5つばっかりで熱烈なファンの思いがほとばしっている。
 「44年馬ヤ馬のごとく一番の働きをしてくれたオレの704と同じく使えるゼ!」
 「メイドインUSA!!信頼できるし時代を超えて価値がある。」
などなど、熱いぜ本拠地米国のPENNgい。
 米国の、人の頭の上に爆弾翌ニすような部分には軽蔑を覚えずにいられないけど、こういう道具を長く愛着をもって使っていく姿勢には尊敬を覚えずにいられない。最新ョのも売ってるけど古くから愛されてきたものも売っている米国s場の多様性を持った健全さをちょっと羨ましく思う。

 700番台の第1世代、第2世代のシリーズはPENNミ最初のスピニングリールである「700」が1961年生まれであり、もう半世紀以上も前の古い設計のようだけど、今回復刻した706Zも含め基本的な設計は700のものを受け継いでいる。でも復刻版ではドラグノブが微調整しやすい第4世代に付いていたタイプにされているし、рフ所有している時代のには第3世代SSと共通のドラグノブが付いてた。なんてことからも分かるように、半世紀以上にも及ぶ歴史の中でそういった細かいマイナーチェンジを繰り返しながら今も愛され使われているンだろうと思うと、そういう歴史を背負って多くの釣り人に愛されたたき上げられてきた「名機」を自分でも使ってみたい、コイツで魚釣りあげてみたいという思いが沸々と湧いてくる。

 っていうわけでまずは獅オ投げに行ってみた。タ戦導入を想定すると、カリカリうるさいのがどの程度気になるのかかとか、3.8:1のギア比が7500SSの4.6:1とくらべると巻き取り速度遅く感じないか、マニュアルピックアップは何とかなりそうか、ドラグ性能がどのぐらいかとかとかみておきたいところ。
 今回、竿はいつも遠征予備竿に甘んじてもらっているゼナQのルーフエクスペディション83を選択。ラインはPE80lb137m+下巻きに4号180m、リーダーがナイロン200lbでスペーサーが磯ハンター25号という感じでGT用の仕立て。
 ルアーはオッサンポッピング用ポッパーからダイブジャーク用のダイビングペンシル、早引きペンシル、大型ミノーまで各墲P00グラムクラスを準備。
 タ際にルアー付けて投げてみると、最初はベールワイヤーがないので左手でベールにラインを引っかけるのにアタフタするけど、左手側にベールが来るようにしてから投げればスムーズに引っかけて巻き取りに入れるので、ようは慣れっぽい。バンスタールが流行ったときも使ってる人はそうやって使ってたんだろう。コレはたいした問題じゃなさそう。
 肝心の投げて巻くということの性能に関して、投げるのは予想外に良い感じで竿との相性もあるんだろうけど、ラインを巻く幅が狭くてある種の密巻きになっているのがいいのか、ライン放出は引っかかりもなく素直で飛距離が出るように感じた。懸念の巻き取りスピード不足も、スプールの直径ゥ体が大きいのもあってかそれほど気にならず、比べれば若干遅いかなという程度。その分重いルアーを巻くのに力が入れやすいので結局どっこいどっこいで特別高速引きが必要とかじゃなければ、今時のバコンとポッピングしてユルユルライン回収してまたバコンな感じのオッサンポッピングや、ペンシルをダイブさせて水中で平打たせてアピールするなんていうルアーをゆっくり魅せる動きを与える最近の私の釣りにおいては何の問題もなさそう。
 カリカリ音はうるさいっちゃそうなんだろうけど、逆転防~機構が薄い金属板でラチェットで挟む方式じゃなく、ラチェットにバネで丈夫なドックを押しつけて、逆転しないようにラチェットのギザに掛ける方式なので、構造は単純だし部品は丈夫だしで、信頼性の高い逆転防~機構になっていることを鑑みて音ぐらい大目に見るべきだと思う。
 一方通行のベアリングを使用した現在の主流の逆転防~機構は低温による機械油の固化による作動不良がおこるなんてこともあり確タ性に難がある。ラチェットを薄い板で挟む方式は薄い板が金属疲労や衝撃で壊れたりする部分があってやっぱり確タ性という点では劣る。その点ラチェットに同じ厚みを持った金属のドックをバネで押し当てる方式は、カチカチうるさいかも知れないけれど、壊れにくく動作の確タ性が確保される原始的だけど信頼できる方式だと思っている。ちなみに逆転防~機構は今時のリールなら主軸に付けられているけど、706Zではハンドルイに付いている。
 ドラグ性能については、河原の木の幹にリーダーを結んで綱引きしてみた。これも普段рェかけるドラグ値5~7キロぐらいだと、竿曲げて引き上げてみても、竿真っ直ぐにして走ってみても問題なく滑らかにドラグが滑ってくれる。もっとドラグ値上げてと多分20キロ繧ョらいまで上げてみたら、リールがたわんだりはしなかったけど、密巻き気味に巻かれているラインが食い込む感じがあってあんまり良くなさそうだった。5~7キロドラグでドラグ値上げずに行くときゃ行かせてとるのが適切か。まあそれで30キロぐらいまでなら問題なく獲れるだろうという感触はある。
 
 つまり、タ釣において特に問題が生じそうではないというのが今のところの獅オ投げなどした感触である。
 コレはそのうち実戦投入せざるを得ないなという気がますますしてきた。
 してきたんだけど、そうなると「大事なモノには予備が必要だ」と思う人なので、もう一台欲しくなってくる。くだんの輸入代行業者から買うと2万6千円がとこだけど、2台体制ならスペアスプールもあと2個ぐらいは買っておきたい。そうなると度々お世話になってる米国のPENNリール関係の専門店「Scott's Bait and Tackle」だとおいくらぐらいになるかなと調べようとしたら、お店のホームページが見つからない。一瞬潰れたかと焦ったけど、調べてみたら新しい名前で新装開店していた。「MYSTIC REEL PARTS」です。PENNgいの皆様お知りおきを(「お尻置き」って変換候補筆頭に出てきて、あんまりお尻好きって訳じゃないのに困惑)。PENNの部品を専門に扱う店舗が商売成り立つぐらいには道具を修理して使う文化が根ざしている彼の国に、やっぱり敬意を覚えるところ。
 で気になるお値段は本体が199.95ドル、スペアスプールは44ドルで2個買うとすると計300ドル繧ナ送料関税考えると全部で今1ドル110円がとこで4万円ぐらい。ちょっと収入が今後どうなるかあやしい状態でホイホイとポチるのがためらわれる金額になってしまう。

 ウダウダと悩んで、そもそも予備が欲しいのは壊れた時にすぐに代打が出せるようにってことだけど、706Zって自分の使い方で壊れるのか?という疑問が湧いてくる。
 7500SSで今まで起こった不具合って、ベールスプリングの経年劣化、投げた直後のベール返りの衝撃とかで壊れたサイレントドックの挟む薄い板、ネジが緩んで外れたベールワイヤーぐらいのもので、そもそもベールワイヤーがない706Zではこれらの不都合は起こりようがない。前述したけどドックは薄い板でラチェット挟み込む方式じゃない丈夫な方式だし、ギアも耐久性が高いらしい古式ゆかしいウォームギア方式である。
 そう、以前PENNネタで第4世代の430ssgが世界で一番最後まで生産されたウォームギア方式のリールじゃないかと書いたところ「ドイツのダムクイックレトロがまだ現役でウォームギア方式ですよ」と教えていただいたのだけど、まだ現役張ってるダムクイックレトロと復刻Zシリーズは並んだところなのである。
 ドイツ人もなかなかにやりおるかんじで、なんというか「古い方式だけどウォームギアが信頼できて良いんです」的なリール哲学があってそうしているのが想像に難くない。ダムクイックレトロはメインギア以外は今時っぽい造りで決して懐古趣味で作られているわけではなさそう。そういうリールが受け入れられる、みんな違ってみんな良い的な市場の健全さが羨ましい。日本製の高機能なリールとその後追いの似たようなリールばかりの日本s場には私の物欲をチパカシさせてくれるリールがとんと見当たらない。ピクリともこない。
 タはウォームギアは力の伝達効率的にはあまり優れてないらしい。ようするに巻き上げは重いはずである。でも別に706Zの巻き上げ重いともなんとも感じなかった。だってラインの先に100gだかのルアー引っ張ってるのに巻き上げの多少の重さの違いがどうこうとか関係あるかよ。巻き上げの軽さとかに異様にこだわる人達って、常にラインが張ってない状態で巻き取りするような上流に投げる系の釣りばっかりしてるんだろうか?それとも腕に乳酸溜まってパンパンになるような過酷なジギングに明け暮れてて切実に軽さを求めてるとかだろうか?そんな釣り人は稀で、多くは釣り場でリール巻かずにお部屋でクリクリしてるだけとちゃうんか?と常々vっている。

 今の日本の釣り具市場で10年以上使う前提の「耐久性」を重汲オて設計されている道具はリールでも竿でも希有だと思っている。だって買う方の釣り人が3年とか5年のモデルチェンジの頃には飽きて中古屋に売っぱらうんだし、買うときもカタログ数値の軽さ重汲セし、魚ろくに釣ってなくても評価できる感度だとか飛距離だとかしか要望しないから、3年とか5年は壊れずなんとか持つ範囲で、なるべく軽く仕上げて買い手のご希望に添うような製品に仕上げてくるのは当然っちゃ当然だろう。
 逆にいうと、長持ちする道具なんてのは、壊れなきゃ買った人間が次の道具買うまでの期間が空くので商売としてはおいしくないので「丈夫な道具を売ってくれ」なんていう要望は今の大量消費文化の下においては無視されがちなのである。
 にもかかわらず、スピンフィッシャーZシリーズやダムクイックレトロはそういう少数派の声を聞き取ってくれて売ってくれたのである。
 そう考えると、一票入れて買い支えるために4万円がとこの支出は必要経費ではないか?評価するなら買うべきじゃないのか?と思うのである。正直706Zは1台あれば壊れることがあまり想定できないし、壊れても7500SSを代打で出してもいいんだから、今更2台目を買う必要性は低いと思う自分もいるけれど、それでもなおというやつである。

 というわけで、すぐには出番のあるリールじゃなし、じっくりと悩んでみたいと思っている今日この頃。
 皆様におかれましても、このなかなかに格好いい個性的なリールに興味があって、今時の優等生なリールにちょっと飽きたところなら是非清き一票を。
 706Zgいこなして良い釣りできるような釣り人とか、メチャクチャ渋くて格好いいと思うんですけどどうでっしゃろ?と、ピュアフィッシングミに頼まれてもいないのにもみ手して宣伝してみる。

※追加情報:スピンフィッシャー第6世代「Ⅵ」がもうすぐ登場!ワシャ買わんけどお好きな人はどうぞ。

 

○2018年10・7日土曜日ブログ再掲

紡ぐ糸巻き


 頭の中をスピニングリールのローターがグルグル回っている。

 今年l十路後半にして初めてインスプールリールに手を出して使ってみたら、いろんな発見や新しく気付かされることが多くて、ものッすごく楽しめている。
 gってみて率直に思ったのは「インスプールのリールって意外と実用的ジャン」というところである。
 今のところ使ってみているオリムピックがトゥルーテンパーのブランド名で作ってたトゥルーテンパー727も、PENNスピンフィッシャー706Zについても、道具としての熟成度的に洗練されていなくて荒削りな部分はあるとしても、gってて不愉快な不具合とかは少なくて、むしろ40年とか50年も昔の設計なのに、gってて心地良く感じる部分が多いのである。インスプールのスピニングなんて骨董的な価値を楽しんで「不具合も愛でるんです!」的な面倒くせぇものかと思ってたけど、ぜんぜんそんなじゃない。
 トゥルーテンパーについてはベールアームが当たる部分のクッションがだいぶへたって沈んでラインローラーに角度がついてしまっていたので最初・・撃ェ酷かったけど、ラインローラーが水平に来るようにクッションを自作してやったところ、・・撃ヘ実用上問題ない程度に収まっている。
 両機墲ノ共通するのは、なんというか投げたときのラインの自然な感じの抜け具合が快適に感じることである。
 おそらく、平行巻(オシュレーション)機構が単純だった時代に設計されたこともあって、スプールの高さがとれずある種の密巻きになってて、スプールの径は逆に巻き取り速度を稼ぐため大きく取ってあって、シンプルなギアとかの機構とあわさって、チョイ前のリールの「ドデカコンパクト」に近いような感じで「・叝oして巻き取る」機械であるスピニングリールとして、なかなか使いやすいところに翌ニせているんじゃないかと感じたところである。

 これなら、706Zも「いつか使うことがあるだろう」的な備蓄というより実戦投入すべき戦力として数えることにして、いっちょグリスアップして「耐塩水d様」にしてしまおうということになり、ついでにこれはアウトスプールのリールだけど、ブログでも取り上げて所在も明らかになった、初めてのバスを釣らせてもらったダイワのスポーツラインST-600Xを修理して調整しておこうということで、あれこれいじくってったら。ゥ分の中で「スピニングリール熱」が加熱してきて、この2台に限らずうちの蔵(まあ押し入れなんですけど)にあるスピニングをいじったり、新たなリール(まあ古い中古なんですけど)を買ってしまったりと、ここのところ部屋ではスピニングリール漬けなので、そのあたりのネタをボチボチと書いていきたいのでご用とお急ぎでない向きはしばしお付き合い願いたい。

 とりあえず今回は706ZとスポーツラインST-600Xからハリキッて行っちゃうヨ。

 706Zを分解してみると「エッ!コレで終わりなの?」というぐらいにあっさり終わってしまう。部品数が、大きさ的には同程度のコレも決して部品多くはない4桁スピンフィッシャーとの比較でさえ半分ぐらいしかないのは以前も書いたように知ッでは知ってたけど、タ際に自らの手でバラして目の当たりにすると驚いてしまう単純さ。ハメEしで外せないラインローラーとか既にグリスアップ済みのドラグパッドとかを外してないだけで、ハ真でプレートに乗ってるのがバラせるほぼ全てだと言えば、スピニングリールを分解したことがある人なら驚いてもらえるのではないだろうか。

 コレまで自分が所有してきたスピニングリールで一番単純な設計だったのは、第4世代スピンフィッシャーの430ssgだった。コイツは逆転防~機構を一方通行のベアリングにドンと任せてハンドル逆転オンオフの機構を省略するという割り切りで、普通逆転防~機構でゴチャゴチャとしがちなローター内部に一方通行のベアリングが鎮座しているのみという単純さ。経費削減の意味もあるんだろうけど、その単純さは壊れるパーツが少ないことにつながるだろうから、後は一方通行のベアリングの耐久性さえ良ければ合格だなと使い始めてはや十数年。壊れる気配もなく快調でとても気に入っていて3台確保してあるし我が人生の小型スピニングの主力として位置づけている。
 その430ssgより706Zの造りが単純な理由は、スピニングリールの標準装備といえるベールワイヤーを取っ払ったマニュアルピックアップ方式なのでベールアームがローターに固定されてたりして大幅に部品数が減ってるのが大きいけど、逆転防~機構もハンドルギアの裏に一体化させたラチェットにドックを引っかける単純方式で本体内の小さなスペースで済ませていて、ローターは単なるお椀からベールアームが伸びててその逆側に重さ調整の内側への出っ張りがあるだけの単純さとなっている。

 あと、地味に効いてくるのが平行巻機構の単純さ。スプールが長くないので特殊な形状のカムを使ったりしない機構で実用性充分だというのに加え、真鍮の一枚板を端をくるっと曲げて作ってある部品を主軸にネジ~めしてあるので実質部品がネジ含めても2個しかない。ちょっと感動を覚えるスッキリとした単純設計。PENNって真鍮が好きなのか切り削ってギアの山作ったりする加工が得意なのか、イはステンレスの剛性のあるモノを使っていても、ギアやらなにやらは、軽い鋳造アルミ合金(ダイキャスト)系でも剛性のあるステンレス系でもなく伝統的に真鍮切削系で、それって重いかも知れないけど、加工の自由度や経済性、多少ゴロゴロいっても回り続ける耐久性とか総合的な実用性では実績に裏打ちされて優れてるPENNらしい個性なんじゃないかと思う。

 PENNのリールといえば、古くは渋いえんじ色や黒のセネターやら緑のスピンフィッシャーやらもあるけど、今なら、トローリングリールの世界標準機「インターナショナル」のシャンパンゴールドや金黒仏壇カラーのスピンフィッシャーに象徴されるように「金色」の印象が強いと感じている。その象徴的な金色は外見だけじゃなくて、本体パカッと開いたときにも真鍮の部品が渋く金色に輝いているのである。

 ベアリング数だってラインローラー、蟯、ハンドルイの各1個。ラインローラーには正直いらん気がするけど「ベアリングなんて多くても回転する軸に1個づつ入っとりゃ良いんじゃ」と常々vってるので3つも入ってりゃ・沢ってモンだ。
 そういう重くても丈夫さ実用性重汲フPENNの印象からすると意外だったのが、本体カバーのプレートが樹脂製だということ。確かにこの設計だと、ローターのついてる主軸だけじゃなくてハンドルイの方も片軸受けになってて、カバーの方で軸の終わりの片端を受けていないので強度なんて必要なくて、キッチリ蓋して防水できれば事足りるので軽い樹脂の方が適材適所なはずだ。片軸受けで大丈夫なのかと若干心配になったけど、ギアの耐久性じゃ伝説的な定評があるABUミカーディナル33とかが同じようにウォームギアで片軸受けなので多分大丈夫なんだと思う。PENNだしアホなことはやってないだろという根拠のない信頼感もあったりする。
 ちなみに706Zにおいては蓋の端にグリスを盛る「グリスシーリング」はPENNミ公式のようで始めから盛ってあったけど、今回グリスアップに伴って改めて盛大に盛っておいた。ベアリングにも前後にこんもりとグリス盛ると内部浸水してもある程度大丈夫だと言われております。ベアリングにグリスってどうなの?と疑問に思うのは、たぶん昔流行ったアンバサダーのスプールのベアリングのオイルをガソリンとかで洗浄して粘性の低いCRCを吹いてやる、という調整で回転が良くなって飛距離が如タに伸びるというのを経験した世代に刷り込まれた強迫観念かと。ベイトリールで投げるときは10gそこらの軽いルアーがライン背負いながら高速で飛んでく。その時には極小さい力でスプールを回転させなければならないけど、スピニングリールに入ってるベアリングの回転なんて人間様が手でグリグリ巻いてる程度の回転、大して早くも回ってないし充分力も込められるので「巻き感度」とかいうのを重汲キるような繊細な釣りでもなきゃ、全くもってベアリングにグリスが入ってても問題なし。特に重くなるようにも私には感じられない程度。

 ちょっと古くさい見た目で実際古典的といえるだろう古い設計。マニュアルピックアップなんて1932年登場の元祖フルベールアーム搭載機であるハーディーミアルテックス以前に遡るよな設計である。でもとても理にかなって合理的な、道具を知ってる人間が作ったリールというのがありありと使ってみて分かる。ハンドルノブ一つ取ったって、рフ大好きなコーヒーミル型のが付いていて握りやすい。コーヒー豆挽くなんていう日常の中で、永い年撃フ中で翌ソ着いた形が握りやすいなんてのは言われてみればそうなんだろうなと納得するけど、なかなか思いつかないだろう。
 これは懐古趣味的なアンティークリールという性格だけで語れない立派な実用機だと、だから米国では望まれて復刻されてるんだと、まだ魚も掛けてないうちから気が早いけど、現時点で確信している。しかも自分の想定している使い方、具体的には「ドラグは6,7キロ程度で魚を無理矢理~めず、ファイト档宴Cンはポンピングで竿で稼いだ分巻いてゴリ巻きしない」で壊れそうな部分が、唯一気に入らないハメEしで特殊な工具とかないと交換できそうにないラインローラーのベアリングの腐食ぐらいかなという感じで、予備にもう1台持っておく必要もない気がしている。
 扱いに慣れて習熟する必要はあるかもだけど、gいこなせば荷物を減らしたい遠征とかにおいて有利で信頼できる強い味方になってくれそうな気がしていて、この大きさのリールについては、今後706Zを主軸に据えることも視野に入れて行きたいと思うのである。
 惚れたゼ706Z!!7500ssちゃん浮気してゴメン!


 というわけで、706Zや430ssgあたりの単純な機構のリールが私の最後のリールになってくれるのだろう。ただ、男にとって死に水とってくれる生涯の伴侶と同じぐらいに、筆おろししてもらった女性が大事な意味を持つんだとかなんとか読んだことあるけど、そういう意味で初めてルアーでの釣果をもたらし、ブラックバス童貞を切ってくれたリールであるダイワのスポーツラインST-600Xも私にとって大事な思い出深いリールである。
 確かFt匠から、マグサーボ買うから使ってたスピニングを安く買ってちょうだい、ということで譲り受けて、ダイワのグラスのルアーロッド、ジェットスピンでバスハンターDR投げて足下でバコンと食ってきたのが、ドキドキの初体験だったと憶えている。
 その後、ロッドもリールも違うのに買い換えていくんだけど、フてずにテトラの根魚穴釣りに使ったり、竿自作してのワカサギ氷結釣りに使ったりと、超小型スピニングとしてたまに出番を作っていた。ハ真でも分かるように手のひらに乗るような可愛いサイズである。

 ここ何年も全く出番がなかったのは、たしかベールスプリングが壊れたか何かで使用不能になってるんだったっけ?とうろ覚えなので、蔵をほじくり返してみたらワンタッチで折りたたみできる「リフトアップハンドル」の爪が折れてハンドルが固定できなくなっていた。
 そういう基本的なパーツが修理不能な壊れ方するのとかが、なんとも道具としてはいかがなモノかな感じだけど、まあハンドルの固定はなにか外からグルグル巻きにするか、逆に接着剤で固めてしまえば折りたためなくなるけど釣りには使えるようになるかと、修理してみるついでにコイツも中を開けてグリスアップしつつ使えるように調整し再起動ということになった。

 まずはぶっ壊れているハンドルをテニスのグリップテープを細く切ってグリグリと巻いてハンドルがたためないように固定。揩ソ運びに不便だけど小さいからそのまま袋にぶち込んでもいけるだろうし、いざとなったら写真のようにハンドルだけ外して持ち運んで使う時に組み立てりゃいいか。
 この手の小型リールのハンドルはこういう変哲もない普通に”つまめる”形状が使いやすいと個人的には感じている。
 さっき、コーヒーミル型のノブがいいって書いてたやンけ、と突っ込まれそうだけど、リールのハンドルって長さで大きく2つに分かれると思ってて、短い方は当然小さいリールに付いていて、長い方はその逆。で、その分岐点になる基準が回すときに手首から先だけで回せるか、肘も使って回すかの違いにあると思っている。短いハンドルの小型リールはすき焼き食べるのにお箸で生卵をかき混ぜる感じで、ハンドルノブを軽くつまんでクリクリクリクリッと手首から先で軽快に回す。長いハンドルの大型リールはまさにコーヒー豆挽くようにガッシとハンドルノブ閧フひらで囲むように掴んで機関車ごっこでシュッシュポッポ的に肘まで回して力入れて回す。
 でも中間的な大きさってやっぱりあって、シーバス釣りとかで使うリールは普段はゆっくり軽く回してるけど、魚が掛かると力入れて急いでグリグリ巻いたりもする。このぐらいの大きさのリールにはT型ノブが付くことが一般的なんだけど、これが手の形に合わないと、рフ場合ノブの根元を挟んでいる人差し指と中wの間、特に中w側が痛くなってくる。かといってコーヒーミル型だと軽く巻いてるときに”つまみ”にくいし、小さいノブだとガッシと掴めないので力を掛けにくい。ので多分人によって手の大きさや形、握り方も違うのでノブについては好みの形に換装するキットとかも売られている。オシャレなドレスアップパーツとして買われているのかも知れないけど、本来gい心地をもろに左右しかねない直接人の手と接触する部分だけに好みや最適化の幅がある部分だから売ってるんだと思う。
 ハ真のノブは左から950ssmのラグビーボール型ノブ。隣の9500ssの円形コーヒーミル型を楕円形にして厚みをつけたような形でガシッと力を込めて握りやすい。右から2番目の4400ssのT型製のハンドルがイマイチрフ手には合わなくて、このサイズだとまだ我慢できるんだけど、コレより大きいのは根元が細い金属製である一番右の5500SS初期型ドングリ形ノブのほうが痛くなくて好き。 

 ハンドルノブ方面に脱線したのを元に戻して修理ネタを進めると、氓ノ外蹴り式のベールアームが当たる”蹴飛ばし”部分の樹脂製パッドが取れてたので、ワシ熊の手でベール起こす人だし、ハンドル回してベール返してもパッドなくてちょっとうるさいだけで放置でもいいんだけど、せっかくの機会なのでそれらしく修繕してみた。ふっといショックリーダーを曲げて穴に突っ込みウレタン接着剤で固定しつつ盛っておいた。
 いい加減で外れそうだけど元々が簡単に外れちまうような造りだったので気にしてもしかたないだろう。
 こう言っちゃ何だけど、スプールのスカートやサイドプレートに浮き彫り施して高級感醸し出してる暇があったら、ハンドルぶっ壊れるなんて論外な部分はもとより、外蹴りの衝撃吸菶pのパッドぐらい外れないように接着しておいてくれよと思う。この時代、80年代の日本製リールにありがちな感じだけど、同じ時代でも実用機としてしっかりした造りのPENNや大森製作所のリールが、サイドプレートのシールとか結構いい加減ではげ翌ソたりするのと好対照だと思う。優先順位の付け方としてシールとか見栄えは後回しの方が正しいと思うんだけど、大森はなくなったし、PENNも既にピュアフィッシングの一ブランドになってて「釣り人の皆さんちゃんと良い道具を評価して買いましょう!」とオジサンお小言いいたくなっちゃうワ。
 とはいえ見た目格好いいっていうのは使う気にさせる重要な要素だとも重々承知だけどね。今見ると、このお世辞にも高級品じゃない小型リールに細かい浮き彫りとか、タに80年代っぽさを醸し出していて正直なかなかに昭和骨董的な味わいがあって好きだったりする。

 でもって、パカッと本体の蓋を開けてみると、この頃の日本製リールの標準的な感じだと思うけど、平行巻機構は単純なクランク方式でハンドルギアはハイポイドフェースギア、逆転防~機構はローターの方にラチェットョでカリカリと鳴るように入ってて、ベアリングもローターに1個でハンドルイには樹脂製のスリーブという、高級とはほど遠い平凡な機構となっている。でもこの程度でも正直あんまり太いラインも使わない小型リールについて内部機構的には不都合感じたことはない。結構長く使ってたけどベールスプリングもまだ折れてないしハンドルの不具合除けば値段考えたら文句言うほどじゃないかなとちょっと反省。

 というわけで、当面の出番としてはこういう小さいリールgった華奢な道具立てでセイゴ釣って遊ぶのもイイかなと思うところなので、古いグリスを歯ブラシとティッシュで翌ニしてから、新たにぎっちりグリスを盛って「グリスシーリング」を施して本体グリスアップ終了。
 ベアリング1個しか使ってないけど、今時のリールと比べりゃそりゃショボいにしても、普段からPENNとかつかってる人間からすれば別に重くもないし多分普通に使える。愛着のあるリールだしたまにはこういう小っちゃいリールで遊ぶのも悪くないだろうと素直に思える。

 と思って、ドラグもグリスアップしておこうとドラグパッドを取り出して愕然とする。あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
 「ドラグパッド入ってないやンけ!」
 これが仕様なのか自分かFt匠が抜いたのかも定かじゃない。でも事タとしては金属のワッシャーが2枚入ってて樹脂製のドラグノブで押さえてるだけという単純機構。上の方のワッシャーは平面で軸と固定されるように穴が円形じゃなくて、下の方のワッシャーは穴は円形で微妙に曲がっている。こんなモンでドラグ効くのかとドラグノブ締めたりゆるめたりしながらライン引き出してみたところ、かなり出だしも引っかかるし出てからもウィンウィンとしゃくるけど、最低限の働きはするようだ。
 うーんひょっとして最初っからこういう仕様だったのかもという気がしてきた。
 80年代の日本の釣りの現場において、ドラグなんてこんなモンで良かったのかも知れない。迷バス釣り少年だった私もこのリールのドラグなんて締めッパでいじった記憶がない。バス釣りは障害物周りを狙うことが多いので、ドラグ出して走らせて獲るなんてことは現実的でなく、ドラグは締めておいてラインが切れるギリギリでチョロッと出てくれれば良い的な保険の意味ぐらいしかなかった。いわんやぶっとい糸で遠投してカレイだのキスだの釣るような餌釣りの世界ではドラグなんて認ッさえされてたかどうかあやしいモノだ。ドラグノブはスプールを止めるためのネジぐらいに思われてたんじゃなかろうか?滑らないようにしっかり締めておかなきゃギュッとネってなもんである。ドラグについては別の機会にもうちょっと書いてみたいけど、そういうわけで高級機墲ナもなければ、すでに70年代には今のドラグと同じような構造のドラグがあったにもかかわらず、釣り人も求めてないし使う人もいないしで安いリールはこんな感じだったのかも知れない。

 しかしながら、セイゴ釣って遊ぼうというときに、セイゴだけ掛かってくれればコレでも用をなすだろうけどフッコやらコイやらがかかると多分ラインが切られるかハリが伸びる。なんとかせねばと考えていると、なんか不ゥ然にワッシャーを止めるリングとワッシャーの隙間が空いているのに気がつく。これ同じシリーズの高級機墲ノはドラグパッド入ってて安い版では経費削減で抜いてたんじゃなかろうか?
 入るんなら入れてまえということでドラグパッドを追加してやることにした。適度に滑るドラグパッド1枚入れてグリスアップしてやるだけでだいぶ違ってくるはずだ。
 といっても古いリールなので純正のドラグパッドが売ってるわけもなく、既存のドラグパッドでも加工して作るしかないかなと思ったけど「さよならアンバサダー」の人が百均の耐熱タッパの蓋で実用充分なドラグパットが自作できると紹介していたのを思い出して、百均行くのも面倒くさいので多分こいつもそれなりに耐熱性あるだろとカップフポリエチレン製の蓋を切って加工して作ってみた。
 コレを含めてどの順番で重ねればいいのか、インドの山奥の3本の棒に刺さってるアカシックレコードの組み合わせほどではないにしても、曲面のワッシャーの裏表も換えてあれこれ獅オて、最初の状態のワッシャー2枚の間に自作ドラグパッドを挟む形が一番滑りが安定するので、とりあえずはこれで良いだろう。暇があればカーボンシートとか獅オたり枚数増やしたりも獅オてみても良いかもしれない。

 てなことをやってたら、むしょうに当桙フことが懐かしくなってきて、vわず竿をネットオークションで翌ニしてしまった。当枷ってた「M」より柔らかい「L」型だけど飾り巻きとかシートやガイドとか涙が出るほど懐かしい。ちなみに落D価格は290円という「ゴミスピ」価格で送料の方がよっぽど高かった。でも満足。眺めてるだけでもうっとりできちゃう。рセけが分かる価値のある道具なんである。
 リールの方は意外に昭和骨董的な見た目と渓流に使うのに良いような可愛い大きさが人気なのか2,3千円からはしててゴミスピ価格だったらハンドル買うつもりで買っちゃおうかと思ったけど諦めた。まあたまに思い出して遊べりゃイイ程度なのでこの1台あれば充分だろう。

 眺めてるだけでも楽しいけど、ワシャ道具は使い倒してなんぼやと思うねン。ということで、竿は携行性考えてパックロッドgうと思うけど、スポーツラインST-600Xは今夜にでも使おうかと思っている。そのあたりは顛末記で書くと思うし、他にも今いじくってるリールのことを来週以降書いていく予定なので、こういう道具話がお好きな人はこうご期待。書いてて楽しいのでお好きな人には多分楽しんでいただけるかと。



2023年6月10日土曜日

ラングレー社スピンフローの逆転防止機構の謎-パソコン椅子探偵スイッチ無し逆転防止機構編-

 エラい錆びてはいたので、固着がなく分解できるかどうかがまず第1関門だと思っていた。

 結果から書くと、分解自体は意外と上手くいった。というか、固着している部分は既に前の持ち主がねじ切ってやがったのが2カ所、その修繕はせねばだけど、他に一カ所ラインローラーの固着はどうにもなりそうにないので無理にいじらないでおく。

 錆がキツく見えたけど、掃除して磨いてやればそれほどでもなくて、そこはさすがにアメリールって感じの耐久性の良さを感じて好印象。ダムとかでも採用されている表面シワシワの塗装は錆には強いらしく、そこは全然腐蝕が見られないのは立派。

 でもって、このラングレー社「スピンフロー822」。ラングレー社がゼブコ社に吸収合併された際にも引き継がれてたくらいで、当時は人気のあった機種のようだ。当時っていうのが、れいのゼブコ狂氏の記事を読むと吸収合併が1962年のことなので、ラングレーのモデルだとそれ以前のリールのようで半世紀前の古いリールのようだ。でも別に使おうと思えば今でも使えそうな機能を有していて、なかなかにやりそうなリールではある。

 と同時に、このリールの逆転防止が独特で、切り替えスイッチが無くてゆっくり逆転させると逆転して、素早く巻いたり逆転したりすると逆転防止が働くという記事をネットで読んでいて、是非その仕組みを知りたいと興味津々だった。なぜその機構に興味があるかというと、現在春のシーバスシーズンをベールワイヤー無しのマニュアルピックアップ方式にした丸ミッチェル304を使ってるんだけど、これがストッパーは通常切って逆転できるようにしておいて、タモ使う時のような片手をハンドルから離すときだけストッパーを掛ける”ミッチェル式”で使うと、非常に投げて巻くのがやりやすいことが理解できた。投げるときは上の写真のようにラインを人差し指で拾ってから”逆転”でラインローラー(なのか?)からラインが外れて投げられるようになるので、通常マニュアルピックアップ方式と聞いて思い描く”投げる度にラインを手で外す”という作業は必要ない。ラインを拾って巻き始めるのもサミングした人差し指でラインを引っかけておいて、そこから巻き始めれば普通に巻ける。ラインをたまに拾い損ねたときだけ竿立ててラインを放出しつつ再度ラインを拾う動作が必要になるけど、慣れたら夜釣りでも苦にならないようになってきた(握りが基本の”サムオントップ”じゃないのは良い子は真似しないでね)。その話とスピンフローの逆転防止機構と何が関係あるのか?っていうと、ミッチェル式で逆転防止を普段切っておくのはシーバス相手ぐらいならなんら問題ない。いきなり魚が走ったところでドラグも付いてるしゆっくり手動で逆転してやってもいい。
 ただコレが例えばPENNの706zのような大型機で青物とか狙うとなると話が違ってくる。逆転防止切ってる状態で、ドカンと食ってきてバビューンって走ったときにハンドル持ってる手でささえきれるかどうか、怪しくなってくる。下手するとハンドルが手から離れてしまってハンドルノブで殴打されて怪我しかねない。その際に急激な回転で自動的に逆転防止が効くようになる逆転防止機構というのは好適なように思う。今の普通の逆転防止機構の706zで、投げたら空中にルアーがあるうちに逆転防止レバーを入れて魚に備え、巻き取ったら一回レバー切ってライン放出の準備と忙しく切り換える、っていうのはちょっと面倒臭いしだいぶ練習が必要な気がする。
 706zのような大型機だとさすがにワシの右手小指はレバーに届かず(スプールに人差し指がちゃんと届くところはさすがPENN)、ハンドル握ってる左手の親指ぐらいが一番使いやすそうなぐらいで切り換えムズい。とはいえ、ローター逆転させてラインを投げる状態にする手順に慣れてしまうと、いちいち手で摘まんで外すのはもう面倒臭くてやる気にならん。ということで、スピンフロー方式が単純な機構なら706zに追加して改造できないかというのが、今回の裏テーマとしてあり、そのためにどういう仕組みなのか解き明かすのがパソコン椅子探偵の今回の推理すべき事案である。

 ということでボチボチと分解整備していきます。

 スプール方面から行くと、ドラグノブを外すとまずはノブを回すとカチカチ音がするタイプで「凝ってるなー」という感じ。一番上は樹脂製のカラーで上面に音出し用のへこみ穴が掘ってある。樹脂製カラーは軸と同期して回らず、その下にバネが来てその下にもいっちょ軸と同期して回らないワッシャーが来る。ちゃんとドラグが分かって設計してあるのでバネにドラグパッドの仕事をさせるような無茶はしていない。回らないワッシャーと回るスプール底面の間に、黒い樹脂製のドラグパットが入っていて、スプール裏の座面に当たるところにも同じような大きさの樹脂製パッドが貼り付けられていて、1階建て方式っぽい実質2階建てという感じになっている。滑り出しや調整幅も充分で、ドラグなんぞ半世紀は前に実用充分なのがあったといういつものお話。ただ、せっかく良さげなドラグが付いているのに、ドラグの音出しが付いてたとおぼしきネジをねじ切った痕跡が有り、前の持ち主のやらかし項目その1である。これは後で何か対応策考えよう。
 本体蓋のネジを外しても蓋がポロッとは取れずにちょっと焦ったけどナイフを隙間に入れてパカッと開けたら、ギアは基本のベベルギアでスプール上下も至って普通で単純明快な設計。とこの時点では思ってた。まあ、ブレーキが本体内にはないので単純ではあるけど、実は普通ってほど無個性じゃなくなかなか面白いことになっていた。
 この時点ではグリスまみれで気がつかなかったんだけど、後ほど気付かずパーツクリーナーで洗浄してしまったローター軸のギアがなんと樹脂製。そしてハンドル軸のギアはアルミだと思うんだけど、やけに薄っぺらくて、軸もアルミ一体成形で強度を出そうとしてるんだと思うけど根元が太い円錐形になっている。ローター軸のギアはローターに鋳込んである鉄系っぽい主軸が入る芯に後付けで填めてEクリップで止めてある。組むとき順番注意でハンドル軸のギアを本体に填めて、その上にローター軸のギアを置いてからローターを本体に突き刺してEクリップ止めという順番でいかないと「あれっ樹脂製のギアが入らんがな?」ということになる。ちなみにローター軸の芯を受ける本体側には真鍮製のブッシュが填め込まれていてボールベアリング不使用機!
 でもって、今回の主目的である逆転防止機構なんだけど、ローター裏にあるドック的な部品がそれっぽい。けど、いまいちどうやって機能しているのか分からんので、後ほどじっくり推理することにしてとりあえず後回し。正直もっと複雑な、今の瞬間的逆転防止機構のようなややこしい機構を想像していたので、この単純な部品でどうやったら”早回しの時だけ機能する逆転防止機構”なんていう面倒臭い仕組みになってるのか意外な感じがした。瞬間的逆転防止機構の油ぎれのときとか、まさにゆっくり回すと逆転してしまったりするので、それを狙ってやらせてるようなものかな、とか妄想してたけど、そんなご大層な仕組みはどこにも入ってない。
 でもって次はベール周り。意外、それは外蹴り式のインスプールスピニング!って感じで、ローターの中とかが妙に単純でなんにも入ってないのは、ベール反転機構が内蹴りじゃなくて外蹴りだから。写真の左が起こしかけの状態で、青の矢印の板バネの山をベールアームの突起が越えると右の写真の位置でベールが起きた状態で止まる。でベールを返すには、ハンドル回すと本体の脚と反対側にチョリッと”蹴飛ばし”が突き出ていてオレンジの矢印で示したベールアームの角が蹴飛ばされてカションと返る。っていうのともう一つ方法があって、外蹴りなので構造見たら分かると思うけど、アウトスプールみたいに”手で返す”こともできる。そういえば針金ベールのインスプールスピニングも外蹴りで手で返せた。

 ベールアームにはベールスプリングを引っかける穴が最初から3カ所開けられていて、ワシのような「ベールワイヤーとか長持ちさせたいから”弱”一択で」な釣り人から、あちらさんの中には当然「力こそパワー」な思想傾向の持ち主も居るだろうから”強”バネでガシャンと返すようにすることも選択可能とわりときめ細やかな心配り。
 そして、固着しててどうにもならんかったのがラインローラー。ゼブコ版822のカタログを読むと「クロムメッキかけた鉄だぜ!」と書いてあるようなんだけど、これがメッキが剥げて錆錆なのは越えてきた年月考えれば仕方ないとして、じゃあ取っ払って”ルーロン樹脂製なんちゃってツイストバスター”に換装しちまうかと、小型万力で固定しておいて金鋸で切ろうとしても、表面ヤスリで擦って錆が落ちたような程度にしかならず切れん。ならばと鉄工用のドリルで地道に穴開けてニッパとかで崩していくかと、電動ドリルでドリドリと回してやるんだけど、コレもなんか穴があいていく気配がない。錆錆なので鉄なのは間違いなさそうだけど、鉄ってこんなに堅かったっけ?っていうぐらい堅い。そういう堅ーい鋼材なんだろうか?ワシのノコの引き方とかが悪いのか?諦めて表面の錆だけダイヤモンドヤスリで削り取って光らせておいたけど、こんなモン剥き出しの鉄なんてすぐ錆びるわな。そもそも回転式だったのか固定式だったのか?っていう疑問もあって、下の写真は”カラー”が外れたところなんだけど、カラーでローラー部分の端を覆う構造ってことは回転式だったんだろうなという気がするけど、これまた情報なかなか出てこなくて分からんかった。ネットでも関連情報上手く拾えずパソコン椅子探偵まずは軽く敗北。情報お持ちの方タレコミお待ちしてます。

 ベールアームの反対側支持部にいくとネジ二つで金属板を留める構造になってるんだけど、そのうち1つがネジ切れていて、前の持ち主のやらかし項目その2で一応留まってるといえば留まっているんだけど、不安なのでドリルでネジの芯の残ってた位置に穴開けて、堅いバネをグルグルと捻って細くしてから穴に突っ込んで、バネが元の太さに戻って穴に固定されてネジ山の役割をする”リコイル”という手法で一応ネジ復活させたけど、リコイルでガッチリと固定するのは難しくてネジ締めていくとバネが抜けてくるのである程度しか締まらないという締まらない修繕になってしまった。ワシの力不足であり無念。軽く2敗目。

 という感じで、分解洗浄はおわって、固着はラインローラーだけ、固着を前の持ち主がねじ切ってたのが2箇所と、最初見たときは錆錆ボロボロで一番上の作業開始時の写真でさえ、CRCぶっかけてブラシで磨いてから封印していた状態であり、分解できるのかずいぶん心配したけど、最初にも書いたように、このぐらい分解できればまあ上首尾かなという結果になり一安心。設計自体は単純で、ラインローラーが鉄系なのはいかがなモノかと思うけど、その他は腐蝕に強い素材で構成されていて、塗装も丈夫でそのあたりはやっぱり”アメリール”の質実剛健さかな、と感じるところ。
 
 でもって、後回しにしておいた、ドラグの音出し再建と、逆転防止機構の構造等解明に移っていきたいけど、まずは単純なドラグの音出しの再建からいってみる。

 まあこんなモンはドラグの乗っかる座面の歯車に適当に引っかかるように金属板でも、プラ板でもあてがえば良いだけの簡単なお仕事です。って始めたけど意外に難しかった。
 お手本は、すぐにスプールが出てくるという理由でPENN714zを選択。1の写真の左の金色のほうがそれ。右がスピンフローで714zで使われているような、リボン状のバネ的復元力がある薄板が手元に無いので、ステンレスのバネ硬線で良いだろうと曲げて作ってみた。先さえ曲げて立ててやれば歯車に引っかかって弾かれて音ぐらいたてるだろうという寸法。スピンフローの方もネジでスプール裏に留めているように見えるけど実はまやかしで、実際にはねじ切れたネジの残ってる所にドリルで穴を開けて、そこに単に押しこんだピンのようにしてネジが突っ込んであるだけなので後で接着剤で固める方針。最初①のように右側に長い部品を作ってしまったらドラグが出ていく方向に回るときは調子よくパリパリと音が出ているけど、逆に回すと歯車に巻き込まれて硬線が歯車の下に潜ってマズいことになってしまう。というわけで右に出る部分を短く作ったのが②で今度は巻き込まれはしなくなったけど逆転しなくなった。逆転は無くても良いけど手でドラグ馴染ませるときに前後にジコジコと捻ったりするので、どちらにも回せる方が望ましい。ということで、細い硬線使ったらどうか?と③ではタチウオ用単線ステンレス線でやってみたら上手くいった。ということで、そのままズレないように穴に突っ込んでるだけのネジを瞬着で固めて、その上からエポキシで固めてやって、まあ力がかかる場所じゃなし、こんなもんでいけるでしょ?という仕上がりが④。スプールがアルミでかつステンレス線が細いのもあってか軽やかにシャリシャリにちかいようなカリカリ音で鳴ってくれて良い感じにできた。まあ及第点というところだろう。

 で、今回の主題である逆転防止に手をかけよう。この案件を構成する要素はおそらく、「ローター裏のドック状部品」、「本体のローターが乗る面の側壁に儲けられた凸部分」「ちぎれてローターと本体の間に落ちていた革片」の3つが鍵だろうと探偵役としては考えざるを得ない。だって他にはストッパーになりそうな部品なんてねぇんだもん。特に「謎の革片」は重要な意味を持つのではないかと探偵の感が告げている。
 革片はドックの右上の方に切れ込みがあって、もともとはそこに挟まれていたのは、ドックの切れ込みに革が残っていることからも明らかである。探偵は見逃さなかった。
 急な回転時に遠心力がかかって、ドックが革の重さで外に開くと本体の凸部に引っかかって逆転防止が機能するとかだろうか?それだと普段から外に開きっぱなしで常に逆転防止は掛かる気がするけどどうなんだろう?回転がゆっくりだと革がローター底面に摩擦でひっついていてドックが開くのを妨げるとかだろうか?
 馬鹿の考え休むに似たり、で考えるより手を動かせってことで、実際にドック状部品に革片を挟んで実験してみることにした。
 写真一番上のように、ドック状部品の上部切れ込みにマイナスドライバーをねじ込んで新しい革片がはさめるように開ける。そして挟んでペンチで締める。
 で予想としては、正回転時には写真真ん中のような状態で 革が本体側の凸部に押されてドック状部品自体は”寝た”状態になりラチェット式のようなカリカリ音もなく正回転する。
 それが急激な回転を加えると、革の重さが遠心力に引っ張られて下の写真の様にドック状部品が”起きた”状態になり、そのまま逆回転すると本体の凸部に引っかかって回転が止められる。正回転すると凸部を越えるときに革ごと押されてドック状部品が”寝た”状態に戻り、そのまま正回転ができる。という推理なのだがどうだろうか?関係者を集めるにはまだ早いか?実際回してみてからだな。
 と回してみたら、全くそうはならなかった。簡単に言えば早く回そうがゆっくり回そうが、正回転はサイレント仕様の正回転。逆回転は確実にストッパーが効く。という結果になってしまった。
 どどどどういうこと?
 革の接触具合をローター底面だけに当たるようにして、本体上面に当たらないようにしなければならんとか、そういう細かい条件かなと思いつつも、公式ではどうなってるんじゃ?とゼブコ版のカタログをつらつら読んでみても「クイックに巻いたときだけアンチリバースが掛かるよ」的な記述が見つからない。逆に真相を究明するために重要な手がかりとして、”セルフセンタリングベール”機構が搭載されていて「ハンドルクランクを逆回転させると、自然にラインをピックアップするのに適切なところに来て止まるよ」的な記述がある。
 つまり、逆回転させると確実にローターが1箇所で止まるという状態で正解らしい。たしかにハンドル逆転するとベールアームが手前に来てベールワイヤーが左側にある位置で止まるので、すぐにラインピックアップしてベール起こしてキャストという流れに入れる。これあれだ、スピニングのベールアームをライン拾うと同時にレバーを引いて起こす”オートキャスト”とかの一歩手前ぐらいの機能だな。あれはベール起こすのも右手の人差し指でできるようになってるけど、ラインを指で拾いやすい位置である手前側にベールアームが来て止まるように、遊びがローター一回転分あるところは一緒。
 じゃあ何で、急に回したときだけ逆転防止が機能するとかいう記事があるのか?なんでだろうと推理してみると、2つ可能性があるように思う。
 一つは過去にそういうモデルが存在したというもので、実はスピンフローの逆転防止機構については「そんなモノは存在しない、ダイレクトのスピニングリールだ」という記事が何件か目について、実際にダイレクト仕様やら急回転作動仕様があったという可能性。単純に逆回転で1箇所で止まるだけにしては、ローター裏のネジ穴やら留め棒やらの数が多い。右巻機があった痕跡もあるんだろうけど、ラングレー時代にはローター1回転に止まるのが1箇所だけじゃなくて4箇所まで増やせたんじゃないかとも思う。というようないろんなバリエーションをやってておかしくなさそうな気配を感じる。
 もう一つが、多分こちらが現実的な推理で、革という変質しがちな素材で部品を構成してしまった結果、後年本機のようにちぎれてドックだけになってたり、固まってたり、ちぎれて短くなってたりして、確実に逆回転でベールアームが止まる機能を失っていて、急回転したときとかの遠心力で、たまたま上手く爪が起きてくれたら逆転防止が効いて止まる。という状態が生じていた可能性。コレ実証するにはもう一回革を外して試せば良いんだけど、革を挟んでるのは細かい部分なので何回も開け閉めしてると金属疲労で折れそうで怖いので芋引いて止めておいた。ただゼブコ時代のスピンフロー822の”セルフセンタリング”な逆転防止機構は新しい革装着で再現できているはずだし、実際に使用する場合を想定しても、効くか効かんか分からん逆転防止機能より、逆回転でいつもラインピックアップする位置にベールアームが来て止まる方が確かに使いやすく利点が大きいので、コレで今回は良しとすることにした。イメージとしてはラチェット式で薄い板バネ付きのドック方式の板バネでラチェットを挟んでサイレントに正回転して逆回転の時は挟んだ板バネがドックを起こすのを、板バネじゃなくて革がやってる感じか。

 引き続き、情報収集はしてみるけど謎はだいたい解けたかな?ぐらいで良いンとちゃうかな、といい加減なパソコン椅子探偵としては思うのである。引き分けぐらいでイイかなと。
 ラインローラーをできたら回転式に持っていきたいけど、とりあえず現状でも見た目的にはそこそこ綺麗だし、ドラグも良いし、大きさも手頃でシーバスにちょうど良いぐらい。巻き取りも3倍強ぐらいで低速機なのもシーバス向きか。
 くびれの無い樽のようなボディーラインも、ローター裏と本体上部の隙間に逆転防止機構を入れるための形状だと思うとなかなかに味わい深く可愛らしく見えてくる。ロボコンとかボスボロットとかの寸胴樽型ロボ的な可愛らしさ。
 ハンドル側から見たときのザラザラッとした風情もなかなか(オレンジの矢印の部分が例の外蹴りの蹴飛ばし部分)。
 しばらく手元に置いて愛でつつ、ラインローラーの件が”元々固定式でした”と判明したり、とっぱらって回転式にできる方法を見つけたりしたら、売りに出してもイイかなと。セカイモンで見ててもゼブコ版は安めだけどラングレー版はちょっとイイ値段してるので、日本じゃ弾数少ないしマニアが買ってくれる事を期待したいけど、まあ甘いんだろうな。なんにせよ急がないな。

 で、結局706zの問題は解決せずかと思うでしょ?”急回転で掛かる逆転防止”っていうのは結局よく分からんかったので、その方向での改造は無理だけど、比較的簡単かつ充分実用的な改造方法はキッチリ思いついたのは今回のパソコン椅子探偵のお手柄大勝利かと。「逆転防止なんて遊びがローター1回転分あったって私はいっこうに構わない」っていうことが分かれば方針簡単。706zの逆転防止機構はハンドル軸のギア裏に入ってるラチェット方式で歯が16枚ある。ギア比は1:3.8だから、ローター一回転に1回ぐらい止まれば良いなら約1/4のラチェットの歯の数にすれば良くて、4枚歯のラチェットに純正を削るか、真鍮製なので自分で作っても、金切りバサミと金鋸、ハンドドリル、ヤスリで何とかなる範疇だと思う。8枚で1/2回転でも指でラインを拾って逆回転でラインローラーからラインを外すのには足りるかも。ハンドル1/4回転や1/8回転では指は打撲せんだろう。いずれにせよ色々いじって考えてると、いい手が思い浮かぶものである。「博打でも良いから手を動かしておけ」と子宣わったようだけど、現物があってイジリながら考えるっていうのは大事だなと思いましたとさ。

 ということで、ゴミスピ5台なんとかかんとかイジリ倒して一応のカタがついて昨年秋からの懸案事項だったのでフーッっと一息つけた感じ。
 まだイジらなければならないリールは沢山ござるので、あんま暑いと作業にならんので秋までペースダウンを余儀なくされるだろうけど、ボチボチと片付けていこうかなとおもっちょります。
 今回の5台、それぞれ個性があって、なかなかに楽しかったです。

 

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