○PENN 545GS
スピニングリールについてあれこれ考えたときに、巻き取りパワーの必要な釣りにはスピニングよりベイトリールが有利な面があることは否めない。と思い、ベイトも使ってみたいなぁと物欲が芽を出しました。それでも買うとなるとそれなりの出費だし、今のところいらんよなと自分を説得にかかったのですが、そういえば我が家の蔵には1台大型のベイトリールが眠っているのを思い出しました。
それがこのPENN545GS(グラファイトシリーズの略かな?)です。
このリールは、九州時代に博多の釣具屋で定価2万円以上のモノが7千円でたたき売られていたので思わずバイトしてしまったものです。
ラインキャパはスピンフィッシャーでいうと8500SS並の大容量、巻き取りスピードも6:1とハイスピードでディープジギングとかにはもってこいだし、遠心ブレーキも付いているのでキャスティングにも対応できます。今回欲しくなったのはGTとかに使えるキャスティングもできる大容量のベイトリールだったのでまさにピッタリなのですが、じゃあなぜそんなリールが買ってからライン巻いただけで一度も使わずお蔵入りになっているかというと、このリールはドラグが決定的に弱いという弱点があったのです。
スタードラグをギッチリ締めこんで3キロか4キロ。GTやるなら最低5キロは必要で、ベイトリールの丈夫さを活かす強引なファイトを想定するのなら10キロぐらいまではドラグを締め込むことができてほしいところ。というわけで竿さえ買わずにしまい込まれていたわけです。
惜しい、ドラグさえよければまったく問題ないのにと思って、ドラグ強化パーツがないかアメリカの「スコット釣り具餌店(Scott's bait and tackle)」のサイトのパーツリストを眺めていたら、どうも現行のGSシリーズはドラグが強化されていて、「バーサドラグシステム」というカーボンのドラグパットと間に入れる金属ワッシャーの順番を変えることで締め込めるドラグ値を変えられるというドラグシステムが採用されていて、最大で20LB以上までドラグ値を上げられるとか。しかも、そのシステムは古いGSにも移植可能とのこと。さっそく部品を注文しました。
こういうふうに新型が出ても、そのパーツが旧モデルと共有できて古いリールもパーツ交換しながらバージョンアップして長く使えるというPENNのやりかたは本当に有り難く良いシステムだと思います。愛用するスピンフィッシャーでもドラグノブが新型のものの方が微調整が効きドラグも締め込めるので新型のドラグノブを取り寄せて付け替えて使っています。
部品が届いたのでさっそく組み込んでみます。
パカッと開けるとメインギアが鎮座しているのが見えます。
コイツを外すと。
旧型では金属のワッシャーのうち一枚だけが2本の爪でメインギアに固定されています。
対して新型ではカーボンのドラグパッド3枚全てが6本の爪でメインギアに固定される方式です。
ドラグパットにグリスを塗りつつ交換作業完了。お疲れ様でした。
というわけでさっそく、ギッチリドラグを締めてからバネばかりで測ったところ、10キロちょうどぐらい。合格!
ということで、とりあえず当面のキャスティング練習用にと中古の安い船竿で100g以上のポッパーが投げられそうな「ダイワクロスカーボスーパー剣崎120号240」をこれまた数千円でゲット。とりあえずこれでキャスティングが上手くできるようになったら良い竿買うかセミオーダーで作ってもらうか考えようというところ。まあ、スピニングリールもあるので実際買う必要が出てくるかどうかは疑問ですが、当初の物欲はとりあえず治まったようでめでたしめでたしです。
ちなみに大型のベイトリールを使ってのキャスティングでは、リールが重いのでリールごと振り回してキャストするのは得策でなく、振り下ろす右手側でサミングするのではなく、引き手の方の左手でサミングする形になります。釣りキチ三平の石鯛釣りの時のキャスティングを思い出して下さい。ということで長めのフォアグリップが必要になるので、荷造り紐と防水テープとラケット用のグリップテープでフォアグリップでっち上げています。
(2009.11)
○ダイコーサザンクロススティックSTC70H購入
545GSにあわせる、GT用のルアーをキャストできるようなベイトロッドが欲しいな〜という物欲は常にあったのですが、GT用の100gオーバーのルアーをキャストできるクラスのベイトロッドというのは、現在ほとんど作られておらず、フイッシャーマンあたりにセミオーダーでもしないと入手できないのが現実です。
スピニングリールがソルティガやらステラやらのように丈夫になってしまった現在、強度的な優位性があったはずのベイトリールも、GTルアーのキャスティングに使おうという人はほとんど見かけなくなりました。昔はGTフィッシングでもベイトリールユーザーはいたものです。
丸橋英三大先生のクリスマス島での記録魚もアンバサダー10000Cという激シブなベイトリールで釣られていますし、常見忠さんやテツ西山氏の釣りの本にはベイトリールでGTフィッシングをしている写真が見られるので、そのぐらいの昔には「やっぱり力勝負の釣りにはベイトリールだぜ!」とバックラッシュも何のその、ベイトリールを使いこなしてGTに挑んでいた釣り人がいたことがうかがえます。
でも、日本のGTフィッシング黎明期に多大な影響をもたらした、オーストラリア、グレートバリアリーフの有名ガイド、キム・アンダーソン氏(だったかバリー・クロス氏)が、キャスティングによるGTフィッシングにおいて、「ベイトリールは巻き取りパワーや丈夫さで勝るが、ベイトリールを充分に扱いきれている釣り人は、今まで多くの釣り人を見てきたがほんの数人だった。」と語っているように、やっぱりベイトキャスティングリールはバックラッシュやら何やらでキャストが難しい。少なくともスピニングリールのように取っつきやすくないというのは確かにそうなんです。
ベイトキャスティングリールのキャストが難しいというと、「俺バスマンだからベイトリール問題無く投げられるよ、何が難しいの?」と思うかも知れない。しかし、ちょっと違うのです。当方もバスマン出身ですから、シングルハンドだろうとダブハンだろうと、普通のサイズのベイトリールで、右手で竿を振って投げるときに右手でサミングするのなら、全く慣れ親しんだキャスティングの動作なので問題無いのですが、上の方でも書きましたが、大きいサイズのベイトリールになると、重いリールを振り回すのは非常に力が必要で無理が生じるので、右手で竿を振って、左手は引きつけの動作をしつつ、その左手でサミングもするというキャスティングの動作になります。そのために写真を見ていただければ分かるように、リールシートは割とグリップエンド近くにあり、キャストするために右手で握るフォアグリップが長くなっています。
サザンクロススティックはダイコーの古いオフショア用のロッドシリーズです。ラインクラス別に長さを変えて、スピニング、ベイトあわせて30種以上というラインナップをそろえていた、地味に凄いシリーズなのですが、このシリーズでもSTCと表示されるベイトリール用の竿の、MとかLとかのライトクラスの竿ではリールシートはグリップエンドから比較的離れた位置にあり、トリガーグリップが採用されていますが、30LBクラスドラグMAX値10kgのHやそれ以上のXになると、写真のSTC70Hのように左手サミング仕様になります。
そのH以上の、できれば短めの7フィートのモデルが、中古屋かヤフオクで出たら買おうと狙っていたのですが、なかなか弾数の少ないモデルらしく現れなかったのですが、やっとヤフオクで見つけたので「こんなモン今時買うのはオレぐらいだろう」という予想の通り、入札一人だけでスタート価格の12,800円でゲット。今日、試し振りなどしてきたというところです。
今のところ、当方のGTフィッシングは20キロを目前に足踏み状態が続いていますが、スピンフィッシャーと8フィート強のGTロッドを使うスタイルで20〜30キロまでは何とか釣れそうな気がしているところです(まあ、希望的予測ではあと5年内には釣れるでしょう)。それが釣れた後のことを捕らぬ狸の皮算用しまくって考えると、当然それ以上のサイズを狙いたいと次には思うだろうし、ステップアップして行きたいと思うのですが、その際に、じゃあソルティガなりPENNでもトルクなりの丈夫なスピニングを買って、短くて堅い竿を買うかというと、なんか自分の釣りはそうじゃないだろう?という気がするんですよね、当然、今よりも体を鍛えてパワーアップを図った上で道具のパワーも上げたいのですが、そのときにスピニングなのか?と考えると、どうも「スピニングというのは、軽い仕掛けを楽に遠くに飛ばすモノ、力勝負はベイトリールにまかせろ。」という考え方が、頭から離れないんです。
ドラグ値を今スピンフィッシャーでは6キロなのを、10キロにあげてがっちり大型GTと力勝負をするというときに、それならやっぱりまだ使っていない545GSを活躍させてやるべきだという気がするのです。ドラグも強化して10キロまでドラグ値を上げることもできるようにしているし、やれるリールだと思うのです。と言うわけで、とりあえずSTC70Hも手に入ったし、こまごまとしたところを詰めるべく、ラインシステムも組んで、リフティングとキャスティングの感触を確かめてみました。
まず、本格的にゴリゴリ巻いて巻きまくるタメに、ちょっとリールのハンドルを改良しました。
545SGのハンドルは、スピンフィッシャーでもお馴染みの、弾力のある樹脂製のカクカクした感じのハンドルです。こいつは握りやすいのですが、握る部分が割と小さいので当方の手の大きさだと、握った右手の中指の横のところが写真のようにグリップの根本に強くあたるために、そこが痛くなってしまうのです。
そこで、テニスのグリップテープ(剣崎のフォアグリップをほどいて再利用)をグルグルと巻いてハンドルノブにボリュームを持たせて、ビニールテープでグルグル巻きにしました。イメージはスピンフィッシャー950ssmのラグビーボール型のハンドルノブのように、手のひら全体で鷲づかみにするようなグリップです。力のかかるところが分散されるのでどこかが痛くなりにくいはずです。
握ってみると良い感じ。見た目は今一ですが、実用上はたぶん上出来のはず。
次に、ダンベルつり下げ。ラインシステムは、スパイダーワイヤー・アルティメットブレイド80LBにバリバスナイロンリーダー140LBを電車1回FGノットで接続。
ドラグMAX値10kgということで、10キロのダンベル持ち上げようとすると、ちょっと曲がりすぎて怖いので、10キロあげきれなかった。7.5キロは問題無くあがった。さらにパワーのあるSTC70Xを探してきてどっちが自分に合っているか比較してみたいところだ。
河原に出かけて、ドラグ値10キロで、木にハーネス巻いて、ルアー引っかけて引っ張り合いしてみる。ダンベル持ち上げ10キロは折れそうで怖かったが、水平方向の引っ張り合いでは、ドラグ出るぐらい曲げても問題なかった。7フィートと短いことで結構力はかけやすくドラグ10キロでもやれそうな感触。真下に突っ込まれたとき、ダンベルブラ下げの時はそれなりに角度を上げざるを得ないので怖かったが、もう少し竿先を下げる角度でやれば大丈夫なのか?バラムツとか実戦で確かめつつその辺は詰めていきたい。
キャスティングは、最初どうしてもスピニングのタイミングで投げてしまい、リリースが遅すぎてライナーで飛距離が出ずに今一な感じだったが、斜め前の空に向けて放り上げるぐらいのリリースタイミングでやると割とうまくいった、飛距離は4〜50m以上は出ていそうで充分釣りになりそう。しかし、たまにバックラッシュするし、今回は追い風だったので投げやすかったというのもある。実戦に使えるようなキャスティングにはまだまだ習熟が必要だと思うが、不可能なことに挑戦しているような感触ではない。充分使えるところまで持って行けるのではないだろうか。
愛用のジャイアントでは重くて投げにくかった、170グラムぐらいのリアルベイトとS−POPの大きいのを投げてみたが、割と上手く投げられる。とくにリアルベイトはベイトでサミングしながら投げると空中の姿勢が安定してスピニングより良く飛んだ。デカイルアーにはベイトリールは案外合っているのかも。
しかし、ちょっと試投した程度だが、今現在、右肩、右腰、右太もも裏、左手、左脇腹が痛い。使ったことのない筋肉を使う動作なのかも知れない。
左手サミングになれるためには、何か手を考えないといけない。たまに練習するぐらいでは実戦に使えるようにはなかなかならないだろう。秋のシーバス、杭まわりを攻めるのに、今はスピニングでポンピングしてよせているけど、フッキングと同時に竿を立てたままベイトリールでゴリゴリ巻いて杭から引き離して勝負を決めるという手は考えてはいたので、まあシーバス用なら普通は右手でサミングで良いのだろうが、左手サミング練習用に竿1本作ってしまおうか。重いリールを使って右手サミングで投げるのは厳しいが、軽いリールで引き手の左手サミング仕様の竿はまあ作れるし、使えるはず。あえてそんな不慣れな仕様には普通しないだけだが、「引き手でサミング」に慣れるには、実戦で感覚を鍛えるのが一番良いだろう。秋までに要検討だ。
ルアーをポッピングしながらゴリゴリ巻いてくるのだが、レベルワインダー(平行巻き機構)がついて無いので、始めは偏って糸が巻かれてしまった。左手の親指で調整しながら巻くとうまくいく。ゴリゴリ力を入れて巻くと、ややリールシートがガタつく感じがある。早速家に帰って、付属の竿への固定用のパーツを取り付けた。
来年、20キロUPを釣って、再来年実戦導入となるのか、それとも10年ぐらい眠る事になるのか。こうご期待。
ベールアームはどこまで回る?(2012.5.27)