○釣りにおけるブレーキについて

 

 最近、ナマジはアンバサダーをいじっているし、ベイトリールの遠心ブレーキ周りの話かなとピンと来た人は鋭い。そのあたりの話題です。でもまあブレーキの壊れた勢いで、釣りにまつわるブレーキ全般について書いてみたいと思います。

 釣りでブレーキというと、基本リールから「ラインを放出」する際のブレーキが主に議論になるわけで、ベイトリールの主軸を挟み込むメカニカルブレーキなんていうのは、締め込めば「巻き取り」に対するブレーキにもなり得ますしクリックブレーキのフライリールでは実際にブレーキを強く効かせると巻き取りにブレーキがかかるなんてこともありますが、それは意図しないブレーキであってレアケースでもあり無視しておきます。

 もう一つ魚を止めるための機能ということをブレーキとして考え始めると、クッションゴムなんかもブレーキの一種だし、竿の弾力などもブレーキになり得ますが、ちょっとそのあたりの「魚の引き」に対するブレーキもひとまずは横においておきます。まあ、「ドラグ」と呼ばれるブレーキなんかは、ライン放出に対するブレーキでもありつつ魚を止めるために働いており、明確には分け難いのですが、ここからはあくまで魚に対する側面からではなくライン放出という視点からみて、ブレーキについて書いてみます。 

 まずは、「ライン放出」に限定しても、いくつか種類があるのでその分類から。

 とりあえず、真っ先に思い浮かぶのが「投げる時(キャスト)」と「ファイト時」のブレーキ、それから「投げる時」に似ているけどちょっと違う、「落とし込み」時と、「アタリをとる」時、あとはフライリールとか垂らしの調整の時の「ライン引き出し」ぐらいの5つに分けると考えやすいと思います。

 でもって、釣り具のどの部分でブレーキをかけるかという視点で分けると、メインはやっぱりリールで、「メインは」というからには、他にもあるのか?といぶかしむかも知れませんが、ロッドによるライン放出へのブレーキ、ラインによるライン放出へのブレーキ、ひょっとすると浮きやルアーによるライン放出へのブレーキもあるかも知れないと思うので、その辺のメインであるリール周り以外の話は先に片付けておきます。

 まず、ロッドによるライン放出へのブレーキは、主にラインガイドとの摩擦であり、キャスト時にもファイト時にも発生するし、意図的に使用するテクニックもあります。キャスト時には、飛距離を出すためにはキャスト後なるべく竿先を投げた方向に真っ直ぐ向けてやりラインガイドとラインの摩擦を小さくしてブレーキをかかりにくくするというのは誰に教えられるでもなくとも皆やっていると思います。逆に飛んでいるルアーなどを減速させるときに、もちろんサミングやらがメインになりますが、竿を立ててやるというのも結構実践的な技術としてあります。ファイト時にも同様にラインガイドとの摩擦はブレーキとして働くのですが、基本ファイトは竿の弾力で魚の引きを受け止めるためにラインとの角度をつけて保持しているので、通常はブレーキがかかった状態です。その状態から、魚のジャンプ時やドラグが滑ることによるラインの放出が間に合わないぐらいの突進時には竿先を魚に向けてしまい、竿の角度分ラインを瞬時に放出すると共に、ライン放出の抵抗を減らしてやるというテクニックはあって「ボウイング」とか呼ばれています。

 ラインによるライン放出のブレーキというと、なんのこっちゃと思うかも知れませんが、ラインには重さと太さがあって、空中では重力や空気抵抗、水中では重力か浮力と水の抵抗を常に受けていて、それがブレーキになり、ラインが長ければ長いほど、太ければ太いほどラインが放出されにくくなるということを意味しています。この辺はもの凄い長さのラインやバッキングを使うトローリングや海のフライで、魚が方向転換したときのラインの引かれる角度変化による横方向への引っ張りなどによる抵抗の増大や、スプールが痩せることによるドラグ値の実質の上昇とともに、ようするに「ラインが長く出ているときは、いろいろブレーキが強く効いているので切れそうならドラグ緩めるなり、船で追いかけるなり対処しろ」ということを覚えておく必要があると思います。

 ルアーや浮きによるライン放出へのブレーキは、まあラインによるブレーキと同様。ラインより空気抵抗なり水の抵抗があるので、その分ブレーキがかかるという話し。ちょっと脱線すると、長いルアーを横ぐわえした魚って、割とおとなしい気がするけど気のせいだろうか?テコの原理的なもので魚の頭がこちらに向きやすくなっているんじゃないかと考えもしたが、支点力点作用点をイメージすると、それほどフックがかかっている作用点に力が入るような位置関係にないので気のせいかも知れない。どなたか膝を叩くような解説をしていただけるとうれしい。

 もいっちょついでに、ブレーキとして重要なのは、人体によるブレーキだけど、サミングやフェザリングなどのリール周りについてはおいおい語るとして、昔、マグロ釣りの漁師さんが、放出するロープを軍手でブレーキ掛けつつ、さらに腰の部分に擦りつける形でブレーキかけている映像を見て痺れたということを書いておくにとどめたい。

 

 でもってやっと本題の、もっともブレーキらしいブレーキであるリールのブレーキの話。リールのブレーキの主なモノは、メカニカルブレーキ、遠心力ブレーキ、マグネットブレーキ、ディスクブレーキ(いわゆるドラグ)、クリックブレーキ、ハンドル(ダイレクト)ブレーキ、珍しいところで空力ブレーキ、リールに組み込まれていないけどリールのブレーキとして切り離せない重要な役割を果たすサミングやフェザリングなどのハンドブレーキあたりでしょうか。

  

 まず「投げるとき」のブレーキ。

 スピニングリールにはバックラッシュが無いので、キャストに関連するブレーキらしいブレーキはついて無くて、ブレーキとなるのはスプールエッジの抵抗だけ。ラインが放出されるにつれスプールが痩せるとエッジとの角度が大きくなりブレーキが強くかかるので、その点を比較するとスプールの回転が始まってしまえば放出の抵抗が小さいベイトリールより理論上飛距離が出ないといわれていたりする。ただ、ベイトリールにはバックラッシュの問題があり後述するように常に何らかのブレーキをかけているのが普通なので、投げっぱなしでだいたいOKなスピニングの方が飛距離は普通出る。

 投げっぱなしだと、ルアーなりが目標のポイントを超えてしまって、奥の木に引っ掛かったりするので普通は目的の位置に落とすためにハンドブレーキをかける。ナイロンラインでもそうだけど、PEラインは特に投げっぱなしでテンションのかかっていない「フケた」状態から巻き取ると、ラインがグズグズになってトラブルが多発するのでハンドブレーキは基本毎回かけるようにしている。

 スピニングリールの場合のキャスト時のハンドブレーキは、スプールエッジ近くにロッドを持っている方の人差し指を差し出して、指にラインを当てる感じでブレーキをかける「フェザリング」が正当派のテクニック。妙にリールフットが長くてスプールエッジに人差し指が届かないリールは、「スピニングリールの使い方を知らないド素人が設計したリール」とけなされたりする。しかしながら、大型のスピニングリールではさすがに、スプールエッジに人差し指が届く設計というのは難しく、また人差し指一本では大型ルアーが飛んでいくのにブレーキはかけきれない。ということで竿を持っていない方の、当方なら左手の全体でスプールを包み込んで手のひらに放出するラインを当ててブレーキをかけてやるという方法になる。この方法がカタカナ英語で何というのか知らないが「フェザリング」の亜種だろうと思う。当方はスピニングは永らく投げっぱなしでいい加減に投げていて、正確なキャストはベイトリールでサミングで行うものと思っていたので、渓流でJOSさんのフェザリングの実戦レベルの技術を目の当たりにして、目から鱗で早速練習してものにした。その時、どうせ大型のスピニングも使うなら、左手でやる方法を覚えた方が良いということで、当方はスピニングは大きくても小さくても左手でフェザリングするようになった。渓流でややこしい場所に投げまくって修行しまくったので、スピニングリールでのキャストの正確性にはそこそこ自信がある。

 ベイトリールだと、キャスト時のブレーキとしてはとにかく、バックラッシュを避けるためのブレーキが重要になってくる。バックラッシュはベイトリールはキャスト時スプールが弾み車のように回転し続けてラインを自動的に放出するんだけど、初速の回転が勢いよく回りすぎるか、後半ルアーなりが失速したときにスプールの回転が落ちない場合に、ラインが出ていく量より自動的に放出されるラインの量が増えて、ラインがスプール上で渋滞してもつれてしまう状態である。

 この辺の解説は、競技としてのキャスティングもやっていた村田基氏の「間違いだらけのバスフィッシング」だったかに詳しいので概ねそこからのパクリなんだが、結構重要なことなのでここにも書いておきたい。

 自動的に放出されるラインの量を、完全に、ルアーなりが飛んでいって引っ張り出されるラインの量と一致させると、理論的にはベイトリールではもっとも飛距離が出せる。そういう理想的なブレーキとしては、何があるかという解説で、村田先生は「サミング」と言い切っている。そうじゃない画期的なブレーキが開発されていれば大きな話題になるはずで、そうなっていないことから考えても、今でもそうなんだろうと思うが、ようするに最初に回転数が上がりすぎるのを抑えて、かつ後半投げたモノの失速に伴うライン放出量の調節を理想的に行い得るのは、今のところ人間の指先の職人芸だけだとのことである。なので、飛距離を争う競技の場では、遠心ブレーキを取っ払ったメカニカルブレーキも緩めまくった回転の良いリールでぶん投げて指先の技術で距離を稼ぐのだそうである。まあ、今後超小型のカメラアイ搭載でライン放出量にあわせて回転数を制御するような電脳的なリールが出ない限り、村田先生が何十年か前に書き記した言葉は色褪せないのだろう。

 ただし、競技会の場ではない通常の釣りの場面では、村田先生は遠心力ブレーキとメカニカルブレーキの併用を勧めていた。メカニカルブレーキはどんなベイトリールでもついているスプールの軸を両側から物理的に押さえつけるブレーキなので、これで大まかな回転のスムーズさを調整してやる、その後に、マグネットブレーキか遠心力ブレーキかどちらかを選ぶなら、村田先生は、回転速度に比例してブレーキの効きがあがっていくマグネットブレーキよりも、摩擦力利用しているので速度の2乗に比例するんだったと思うけど、回転速度が上がると等比級数的に強くブレーキがかかる遠心力ブレーキの方が実用的だと書いていた。たしかにキャスト直後の高速回転中のバックラッシュは指先で調整するのは難しいが、後半ルアーの失速していく緩やかな調整は比較的簡単なので、高速回転時の効きが良い遠心力ブレーキを選べというのは一理あると思う。概ねその教えに従ってベイトリールは選んできた。

 しかしながら、ぶっちゃけ遠心力ブレーキととマグネットブレーキはバス釣りだののルアーキャスティングではどちらでもいいんとちゃうのではないかと、いい加減な当方は思っている。結局、遠心力ブレーキでも、マグネットブレーキでもその効果が明確に感じられるほどブレーキを効かせると、如実に飛ばないんである。だから、ある程度ブレーキはゆるめにして、サミングで調整してやるというところに落ち着いてしまい「どっちゃでも実用上大差ないがな」と感じてしまうのである。

 新型の丸ABUにはブレーキブロック6個も付いているが、結局2個しか使わないし、4個付いてるPENN975やアンバサダー7000Cも2個にしてしまった。最初のABUが2個ブロックだったのでその感覚に慣れているんだと思う。

80年代丸ABU最近の丸ABU975遠心7000C遠心545GS(順番に6500C、6600CLロケット、PENN975、7000C、PENN545GS)

  マグネットブレーキは、手持ちのリールではアンバサダーMAXに搭載されているけど、バス釣りに使う分には問題はなかった。わざわざ軽い樹脂製ボディーに重い磁石を使用するブレーキつけるのは何だかなと思わなくもない。

MAXマグネットブレーキ

 「キャスト当初の回転があがりすぎてしまうのは遠心力ブレーキで制御、後半の失速対応はマグネットブレーキで制御すれば完璧じゃないか。オレって天才」なリールも実在するが、2種類もブレーキつけると重くなるだけで、結局ブレーキが切り替わるわけでもなく、ダブルで効いてしまうと、またこれが飛距離が出ないので、結局ブレーキゆるめて元のもくあみになってしまうのである。

 「バックラッシュせずに飛距離が出ます」という触れ込みのリールでも、現実的な物理法則に縛られている限り、魔法のように都合の良い性能はあり得ず、せいぜい「程度がよい」レベルだというのは、釣具屋さんに騙されないためには肝にめいじておいたほうがよいと思う。まあ、釣具屋さんに騙されてやるのも釣り師の努めかなと思わなくもない今日この頃。過去には空力なんていう囲いの中にプロペラ付いてるような意外なブレーキも発案されたこともあるようなので、驚くような新技術が出てきたら一口乗っても良いかもしれない。

 

 次に、船でカレイなんか釣るときの「落とし込み」時のブレーキについて、これは実は当方はマグネットブレーキ派です。「そんなもんどうでもいいやないか?」というツッコミが聞こえてきそうですが、実際使ってみると「落とし込み」のためにこそマグネットブレーキはあると思うぐらいです。単純な話ですが、着底時にバックラッシュしない。この一点につきます。メカニカルブレーキも遠心力ブレーキも基本摩擦力でかけるブレーキなので、低速でスプールが回転しているときは効きが悪いのです。「そんなモン効きが悪けりゃメカニカルブレーキ締めろ!」というツッコミも聞こえてきますが、そうすると今度は着底までに時間がかかってしまって手返しが悪くなる。ところが、マグネットブレーキは直接接触しない摩擦の無いブレーキで、低速時だろうが常に磁力で一定以上のブレーキをかけておける。これが、餌つけて放り込んで着底を待つ間に、釣った魚の血抜きしたり手を拭いたりという忙しい作業にかまけて、着底のタイミングを見逃しがちなせっかちな釣り人にはありがたいのである。着底したときにバックラッシュしない程度にブレーキかけても仕掛けの落下速度がそれほど遅くならない。というような話をしたら「ちゃんと見といてサミングしろ」というツッコミをいただいてしまいましたが、船の手返し重視な釣りに使うベイトリールにはマグネットブレーキだと当方は思います。

船釣りにはマグネットブレーキ

 

 次に「アタリをとる」時のブレーキ。

 置き竿のブッコミ釣りでデカイ魚を釣るときにはラインはフリーに近い状態で出ていくようにしておかないと、竿を水中に持って行かれる。スピニングリールだとドラグをユルユルにしておいて、魚が食ってドラグがチリチリ鳴り出したら、やおらドラグを締めてフッキングという手法があって、カザフのヨーロッパオオナマズのガイドはその方法を薦めていた。ただアタリがあって慌てふためいてドラグを締めるのはなかなかにスリリングだが、締めすぎたり緩かったりもあって今一ドラグが決まらない。ということで、アメナマ釣りでは、竿掛けにクリップを付けるか、ロッドに輪ゴムで棒を止めて、それにベイルを起こしてフリーにしたラインをはさんでラインが風や流れでフケていかないように止めていた。魚がかかってひっぱっていくと、挟んだラインがはずれる。クリップにはスズが付いていてチリリンと鳴るようにしていた。

 ベイトリールでも当初同様にフリーにしてラインを挟んでいたのだが、ツーテンの虎ファンさんとアメナマ釣りに行ったときに、不思議そうに「ナマジ、クリックブレーキって知ってるか?」と聞かれて、恥ずかしながら存じませんと答えたところ、丁寧に教えていただいた。ベイトリールの左の方のプレートに付いてるボタンをカチッと入れると、ラインを出すときにジリジリと音がするようになる。この状態でラインをフリーにすると、良い塩梅にラインにブレーキがかかって、全くのフリーではないので風やら流れで糸はフケて行かないけれど、魚がかかるとラインは出ていく。かつジリジリ音がしてアタリがわかるという優れた機能。さすがPENNインターナショナル975と感心していたら、「ABUでも6000番より上のサイズやったらだいたい付いてるで」とのこと、見ると自分の6500C4にもある。単にちょっと引っ掛かる金属片かなんかが左のプレートに組み込んであるだけの単純なブレーキだが、これがブッコミ釣り始め餌放り込んでアタリを待つ釣りには極めて優秀で便利きわまりない。

 そうなるとスピニングにも同じ機能をと思うようで、アメリカの通販カタログにはクリックブレーキ機能を付けるためにやけにゴテゴテとしてしまっているスピニングが見受けられる。気持ちは良く分かるが、スピニングにはむかない機能だと思う。 

 

 「ラインの引きだし」の際に関係するブレーキは、概ね次に最後の項目として説明する「ファイト時」のブレーキに含まれるんだけど、1つだけ特に書いておきたいことがあって、フライリールのティボーのドラグはなぜジリジリ音がしないのか、理由があるんです。魚の背後に忍び寄ってさあキャストするぞというときにラインを引き出すときに「ギーッ」と甲高い音がして、魚に逃げられないようにそうなっているんだそうな。空中の音は水面で反射されてあまり水中に伝わらないらしいけど、でも心構えとしては重要だと思う。そう知っているとティボーが逆転するときの「コーッ」という音の味わいもまた深くなるというモノ。ティボーだけじゃないのかも知れないけど。

 

 最後は、ファイト時のブレーキ。

 キャスト時に働く、メカニカルブレーキ、遠心力ブレーキ、マグネットブレーキ、それからアタリとるクリックブレーキなんかもファイト時に影響がないかというと、ちょっとはあるんだろうけどまず無視して良いと思う。フライリールのクリックブレーキしか付いていない機種ではメインのブレーキだけど手でかけるブレーキとも併用なので説明省略。

 まあ、ファイト時に使うリールのブレーキと言えば、ディスクブレーキであるドラグ、人間の手で止めるハンドブレーキ、逆転するダイレクトなハンドルによるハンドルブレーキの3つだろうか。

 ドラグについては、いまさらここでとやかく言うのも無粋なぐらい、あちらこちらで書かれているし、メーカーもこぞって自社製品のドラグ性能を誇っているが、正直、そんなご大層なもんかよという気がしないでもない。原理は単純、スプール軸など(たまにスプール軸からギアなど介して別のところに持ってきている場合があるがだいたいダメ)に金属やらカーボンやらテフロンやら皮やらコルクやらの輪っかを何枚かあるいは1枚噛ませて、ネジで締め付ける。締め付けをきつくするとブレーキが強くかかる。以上。

 ぐらいのモンで、まあ、熱に強い素材やら適当な滑りの確保やら、表面積と直径は大きい方が良さそうだとかは分かるけど、根本的にめちゃくちゃ高性能なものが出るわけがない、単純な機能である。

 最近、F師匠にいただいた1982年製と見られるアンバサダー7000Cをいじっているんだけど、このドラグが3キロぐらいのそれなりに強めのドラグ値で実にスムーズに効いてくれて、どんなドラグ入っているんだろうと、グリスの塗り直しも兼ねて分解してみたら、ビックリ仰天、元はトローリングリールとかの技術だろうけど、てっきりキャスティング用のベイトリールには最近搭載されるようになったと思っていた、PENN975やらカルカッタやらの、メインギアに五枚ぐらいのドラグパッドという方式のドラグがまんまそこに鎮座していた。

7000C

PENNインターナショナル975

 多少、細かい調整ができるようになったくらいで、大仰に騒ぎ立てるなよメーカーさん、30年前に基本はできてたんやないか。という感じである。

 ドラグに関しては、スピニングリールに関してはPENNスピンフィッシャーで問題を感じたことがない。ベイトリールに関しては、「ABUのドラグは今一で」とエラそうに講釈垂れていたが、全くABUアンバサダーの設計思想とかを理解していなかった馬鹿者の戯言でしかなく恥ずかしいとしか言いようがない。アンバサダーはサイズごとに対象魚とかを考慮して必要なドラグを想定して、無駄に高性能なドラグを積んだりはしていなかったというだけのことであった。ドラグに関してはベイトリールもメインギヤに5枚くらいパッドが入っていればそれ以上は贅沢言わなくて良さそうである。

アンバサダー  

 ということで、ドラグはまあまともなリールなら普通にドラグ効かせて使う分には問題無くて、魚を思いっ切り止める必要のある釣りをするときだけ、特殊なギッチリ締まるドラグのリールを探すなり、改造するなりしてやればいいのだろう。30年前のリールが頭の中をスッキリさせてくれた。

 

 でもって、実は結構重要だと思っているハンドブレーキ。フライリールではクリックブレーキしかついて無くて、ハンドブレーキで実質調整するシーンは結構あったりする。その前にリール使わずフライラインたぐり寄せて勝負が付いてしまう場面も多いが、この場合のラインの出し入れもハンドブレーキの一種かも知れない。

 当方が、ドラグは適当でいいやと思う根拠の一つに「ドラグで間にあわなけりゃ手で止めりゃいいや」という開き直りもある。海のフライでは最初からドラグ締めておくとフライライン引き出すのがしんどいので最初ユルユルにしておいて、ハンドブレーキで対応しながら竿の曲がり見て締めていくとテツ西山氏が書いていた。回っているフライリールの下の方から左手中指をスプールに当ててやる感じで当方はやっている。高速回転するハンドルに指ぶつけないように注意である。

 ベイトリールでも、昔のトローリングリールには親指でブレーキかけても摩擦熱で火傷しないように、皮のパッドが付属しているモデルを見たことがある。高速でスプール回してくれるような魚を相手にするなら革手袋はめて親指でブレーキかけたって良いはずだ。やったこと無いけど。

 スピニングでも、左手で回転するスプールをワッシとつかんで魚を止めるというのは可能で、これは練習していて結構できるようになってきた。

 とにかく、ドラグをファイトの途中でいじるのは難しいので、魚は止めて頭をこっち向けてしまえば後はスムーズに寄ってくるはずなので、止めるのはハンドブレーキ、それ以外のファイト中は最初に設定したドラグ任せが自分には合っているように思う。

 上手い人の映像とか見ると、最初のダッシュを止めた後はドラグギッチリ締めこんで、反撃させずに一気に寄せたりしているが、当方はまねすると必ず途中で反撃されてその時ドラグが滑らないと竿が支えきれない。何度か失敗して無理だと理解した。

 そういう大物相手でなくても、ファイト中にドラグを締めるのは失敗につながるので止めた方が良いと思っている。ファイト中のドラグ調整が簡単なら、トローリングリールにレバードラグなんていう、あらかじめドラグ値をレバーでキッチリ設定してドラグ値を調整・変更できるような機能は必要ない。

 船でカレイ釣っててもドラグが滑ると船頭さんが「滑っているから締めろ」と言ってきたりするが、滑らしているのである。ダッシュされたときにハリスが切れないように設定したドラグを締めたら、ダッシュされたら切れる。当たり前である。急いであげる必要ないのでゆっくり引きを楽しみながらあげてきているが、もし急いであげるなら、やっぱりドラグはいじらずハンドブレーキかけながら竿であげてポンピングで巻き取るの繰り返しであげるのだろう。ハンドブレーキなら突然突っ込んでも指を離せば良いだけである。

 今はどうだか知らないが、昔の東北のヒラメ釣りでは、餌が小さいカタクチなのでハリスが4号とか細めなこともあり、結構同船者がハリスを切られているシーンを見たことがある。その後「ハリスを6号に」とか言っているのだが、当方は「ドラグって知ってます?」と聞いて良いもんだか失礼なんだか分かりかねる状況だった。ヒラメ底さえ切ってしまえば、根に突っ込むでもなしドラグ設定だけしっかりしておけば特に問題無いはずだけどよく分からない状況だった。

 ドラグはほどほどに、後はハンドブレーキ。これが当方のファイト時の方針である。

 

 最後の最後、重箱の隅をつつくような項目だが、逆転するダイレクトなハンドルによるハンドルブレーキである。

 フライリールならビリーペイトのアンチリバース意外ほとんどダイレクトでラインが出ていくときはハンドルが逆転する。なので、最初のダッシュはドラグやらハンドブレーキに任せるが、ファイト中、巻いているときに魚が反転したりして、適当にラインをくれてやる必要がある場面では、手で加減しながらブレーキかけつつライン出してやるというのが普通にある。

 ベイトリールでは昔はダイレクトリールが当たり前で、投げるときもハンドルが回っていた。その時代は直接は知らないけれど、虎ファンさんがコレクターなのでどういうリールかは知っている程度。普通にフライリールのようにファイトしていたのだと思うが、今のベイトリールはほぼ逆転しない。ちょっと前だとダイレクトな釣り味を堪能するための片軸受けのムーチングリールなんてのはあったし、アンバサダーでも投げるときにはハンドルは回らないけどファイト時にはダイレクトなやりとりができる「D」モデルがあって、ケン一が確か1台持ってた。

 で、スピニングリールなんだけど、スピニングでダイレクトって無いだろ?と思っていただければ幸い。書きガイもあるというモノ。スピンフィッシャーでもSSGでは省略しちゃって、無くても良いような機能なんだと思うけど、スピニングリールには逆転できるようになるレバーが付いていて、これを逆転させてダイレクトドライブ状態にしてファイトするというテクニックが存在したのである。今やっている人がいるかどうかは別として、昔のドラグが今一なスピニング使用時に魚が突っ込んでドラグが滑らないときに、とっさに右手の小指でレバーを切り替えて、逆転させて切れないようにラインを出してやるというのをやっている人がいた。ついでに言うとその人はそのためにはレバーが小指の届く位置に無ければならず、アホみたいにリールフットの長いスピニングは「スピニングリールの使い方を知らないド素人が設計したリール」とまたもこき下ろされていたのであった。

 ちなみに写真はスピンフィッシャー6500SSでそれなりに大きなリールですがちゃんと小指届きます。

小指 

 

 とまあ、いろいろ書いてみました。ブレーキ良いのが付いてた方がありがたいけど、キャストもファイトも「最後は手で止めろ」という感じです。

 

(2013.1.27)



2018年11月25日日曜日

日本よ!これがドラグだ!!


 日本の釣り人にリールの「ドラグ」というものが何なのかというのが理解されるようになったのは最近のことだと思う。でもまあ分かってない釣り人が多いと思うけど。

 かくいう私も同様でね。

 「アンバサダーはドラグがショボくて」「マイコンのリアドラグがイマイチ」なんて書いててゴメンナサイ。いかに日本の釣り人がドラグについて知らなかったかの好例がここにあり、という感じである。
 そんな私も釣りを始めて苦節40年経ってようやくドラグが分かり始めた。ような気がする。断言してまた頓珍漢なこと書いて後で身をよじるよな恥ずかしい思いをする心配がなきにしもあらずだけど、そんときゃそん時でまた謝りゃいいし、ワシの場合恥かくのも芸風だと最近思うようになってきた。恥部さらけ出すつもりでワシワシ書いていこう。

 最近の釣り人がリールのドラグについて知るようになったのは、ルアーでも管理釣り場のマスだの海だとメバル、アジ狙いだのといったやたら細い道糸を使いたがる方面の人気が要因としては大きいようで、細糸は嫌いというかアホかと思ってる私としては遺憾に思わんでもないけど、道具についての正しい知識が広まるのは悪いことじゃないように思う。正しい知識があれば釣具屋に騙される回数が気持ち程度は少なくなるかもしれない。
 繊細さに”女々しい”と今時の男女平等の思想からすれば言葉からして怒られてしまいそうな印象を持ち(のわりにハゼ釣りとか小物釣り好きだけど)、豪快さを良しとする昭和のオッサンなら、ドラグというものを糸が切れそうなギリギリの時に滑ってくれれば良いという”保険的”にではなく、積極的に”滑らせて”一定の負荷を与えつつ魚を走らせて釣るという方法を学ぶのは、船で沖に出てのシイラ・カツオ釣りで初体験という場合が多いのではないだろうか。

 かくいう私もそのくちで、シイラ初挑戦の時にJOSさんにビミニツイスト練習しておけとナイロンラインのボビン渡されて、細い道糸に太いハリスであるショックリーダーを繋ぐ”ラインシステム”というモノについての薫陶を受けたけど、正直説明聞いただけでは「なんで魚の目につくハリスの方が太いねん?」という疑問が頭に渦巻くだけであった。
 しかし魚掛けてみると、体で理解が進んでいく。たかだか50センチかそこらのぺんぺんシイラが止めろと言われても止めきらないぐらいに引きやがる。まあ後年GT狙いのときにメーターオーバーのシイラ掛けて、ドラグ一瞬ジジッと鳴っただけで止まってしまい、道具の力を上げていけば止められるっちゃ止められるンだとも知ったりはしたけど、だんだん分かってくるけど止める必要がない魚と止めなきゃならん魚があって、止める必要ない魚は走らせて疲れさせてからあげた方が、バレにくいし何より引きが楽しめて面白いということだと思う。
 止めなきゃならん魚は止めなきゃ障害物に巻いたり突っ込んだり穴や砂に潜ったりする魚で、淡水の魚の多くはそうで、バスにしろイワナにしろ障害物周り狙うのにアホみたいな細糸で狙ったらそら切られるって話で、逆に走らせて良いのは大河川や湖のコイ系ぐらい。だから鯉釣り師は昔からドラグの使い方知ってたようで、学生時代ゴムボートでプカプカ浮いてバス釣ってたら鯉釣り師がデカいの掛けてて走ったコイがボートの下通っていったことがある。走らせまくってからキッチリ上げてて、あんな魚を走らせる釣り方もあるんだなと思った記憶がある。
 逆に海だと砂浜でも沖でもなにも逃げ込む場所がなければ本来無理に止める必要もない。
 当然だけど同じ魚種でも状況によって止めなきゃならん魚だったり止める必要がない魚だったりする。例えば同じスズキ釣るにしても止めなくて良い場所なら6ポンドのナイロン道糸ハリス3号か4号あたりでドラグが鳴るのをドキドキしながらしばらく聞いてれば良いけど、カヤック出して杭周り狙うとなったら止めるために倍以上の16ポンドナイロンにショックリーダー40ポンドが必要だと感じている。多少障害物際も狙う近所では間の8ポンド道糸で場所毎にドラグの締め方変えている。
 
 っていう違いがある中で、日本の釣り人は長い間、淡水では止めなきゃならん魚を主に釣ってきたというのと、海では日本ならではの釣り事情で止めて釣ってたので、ドラグなんてのはラインが切れそうになった時にだけ滑る保険であって、なめらかに道糸を放出するよりしっかり止まることの方が重視されてきたという”ドラグ不遇の時代”が長かったんだと思っている。
 まず淡水では滅多に止めて止められない魚はかからないし、ドラグなんて締めッパで良かった。逆にドラグが滑るとアワセが決まらないので、最初ドラグ締めておいてアワせた後に魚がデカければドラグ緩めるというのが、むしろ技術として使われていたのが実態だと思う。
 今の若い人にはこのあたり意味不明かもしれない。今時の伸びないラインと刺さりの良いハリを使ってれば、アワセの時以上の負荷が後からかかる状況って想定しにくいだろうけど、そうじゃなくて軸が太いうえにゴツい返しのついたハリをビヨーンと伸びるナイロンラインで魚の口に確実に掛けるには”アワセ重視”で滑らせずに強くハリ掛かりさせることが必要で、ハリがかかった後はドラグ多少緩めて慎重にやりとりしても良いってのが実態だったんだと思う。そういう使い方には今じゃ低評価に甘んじている”リアドラグ”方式が使いやすかったのかも知れない。
 今でも太いハリを使わざるを得ない水生植物の茂った場所でのライギョ釣りではアワセが効きにくくて苦戦するけど、昔のナイロンラインの時代にはあわせてもライギョこっちに飛んできて全然かからんことも多かった。当時から玄人衆はダクロンという伸びの少ないナイロンの編み糸を使ってたようだけど、田舎じゃそんなの売ってなかったから、中空フロッグのぶっといダブルフックと比較したらまだ細いワームフックを使うホウグフロッグやらスワンプラットを使うようになって格段にライギョが釣れるようになったのを書いてて思い出した。
 昭和の時代、淡水の少なくともルアーの釣りではドラグはしっかり締まって滑らずアワセが効くのが良いドラグだったのである。

 じゃあ海の方はどうなのよ、砂浜での投げ釣りとか昔から人気の釣りじゃん?と思うだろうけど、そっちはそっちでまた事情があったらしくて、思いっきり遠投する場合にドラグが滑るとラインの摩擦で指を怪我する恐れがあって、これまたドラグはきっちり締まらなきゃダメだったのである。かつナイロンラインで遠投してたら道糸がショックを吸収してくれるのでドラグ締めっぱなしでもスズキぐらいなら何とかなったというのがあったんだと思う。なんともならなくてもアカエイのせいにしとけば万事問題なし。
 沖ならドラグ締めなくても良いジャンと思うのなら、アンタは昭和のというか今でもそうだろうけど、日本の遊漁船の釣りのなんたるかが分かっちゃいない。魚走らせてユルユル引きを楽しもうなんて不真面目な態度では船頭さんに「リール滑ってるよツマミもっと締めて」と怒られてしまうのである。ドラグノブなんてスプールを固定するためのツマミ扱いである。たまの休日ぐらいユルユルと楽しみたいと思っても、ジャパンでは船頭さんの監視の下、横並びで空気読んで太仕掛けで効率的にサッサとあげなきゃならんのである。
 釣り具会社のテスター様あたりがもっと細仕掛けで楽しみましょうと主張するのにも一理あるんだろうけど「そりゃテスター様は船貸し切り状態だろうから好きにやれるだろうけど、しがない素人衆は両舷に釣り人びっしり並んだ状態でそんな自分勝手が許されるわけないでしょ」とボヤきたくなるというもの。
 という感じで海でも日本じゃドラグ使ってたのは金持ちの道楽的な印象が強いと私が僻んで思っているトローリングぐらいで、磯の底物釣り師なんて太鼓リールのスタードラグをハンマーで叩いて締めてた始末である。
 唯一ドラグ使いそうな磯の上物師は、これが日本独自のガラパゴス化路線でドラグじゃなくてレバーブレーキという特殊な機構を育て上げてきた。凝り性の日本人らしい職人芸的な技巧を要求されるブレーキで、ブレーキの強弱が指で調整できるというより、本質はレバー一発で逆転スイッチを切り入れして根ズレしそうになったら一瞬で道糸を緩ませてライン切れを回避するという機能にありそうだ。
 磯に立つルアーマンも根ズレしそうになったらスプール返してラインを放出して魚を沖に走らせて「仕切り直し」をするとは読んだことあるけど、それを瞬時にやってのけるための機構らしい。
 西洋式のあらかじめ決めておいた負荷より大きな力がかかったらラインが出ていく「ドラグ」が自動的で車で言えばオートマなのに対して、自分でブレーキのタイミングや強さを手動で調整する「レバーブレーキ」はマニュアル車に相当するのかもしれない。
 オートマにはオートマの利点もあるけど、やりとりの途中でブレーキの効き具合をいじるなら、リアドラグ方式にしたって左手をハンドルから離して調整する分の時間差が生じるので、投げるとき以外は空いている右手の人差し指を最初っからブレーキレバーに掛けておけるレバーブレーキ方式の方が瞬時に対応できて理にかなっているように思う。加えて、そいうあしらいに技術のいる道具を使いこなす楽しさもあるだろう。
(訂正:レバーブレーキは逆転スイッチを切り入れして、グレの引きをためられる竿の角度を確保するのに使うそうで、レバーブレーキにはブレーキの効きの強弱を調整する機能はないそうな。あと青物にはハンドル逆転じゃ間に合わないので普通にドラグとかベール返してとかで対応するそうな。また嘘書いてゴメン。風雲児さん教えてくれて感謝です。)

 でもまあ、磯っていう障害物の上に立って魚を障害物に寄せてくる釣りだからそんな技巧が求められるんであって、単純に障害物から離せば良ければドラグ締めて、障害物無ければドラグユルユルでというので普通は間に合うと思っている。かつやりとりの途中でドラグをいじるのは難しい。私は何度も書くように「赤子泣いてもドラグいじらない派」である。
 普段のシーバス釣ってるときのドラグの使い方としては、8ポンドのナイロン道糸なのでいにしえからの教えに従うなら1/4の2ポンド(1キロ弱)に設定するところだろうけど、シーバスの場合ブレーキ強めで道糸張ってやりとりすると、やたら跳んだり首振ったりでバレる場合が多いのでもっと緩めの500グラム以下ぐらいのユルユルに設定しておいて、やりとりの間は一切ドラグノブには触らない。アワセはドラグが一瞬チッと鳴るぐらいを目標におもいっきりかますけどナイロンラインだと意外に力伝わらなくてなかなかドラグ鳴るようなアワセは決まらないのでその分しつこく複数回あわせる。PEとか伸びない道糸の場合だと逆にドラグきつめだと切れるぐらいにアワセの力は伝わる。初めてPEラインをベイトリールに巻いてバス釣りに行ったら14ポンドの強度のハズの道糸がアワせる度にバッツンバッツン切れて往生こいたものである。結び方云々以前に伸びがないと意外なぐらい衝撃に弱い。そういう伸びの少ない道糸を守る意味でも今日ではちゃんと”滑る”ドラグの重要性が増しているように感じる。
 ”赤子泣いてもドラグいじらない”の例外は明らかに口に掛かってるデカいコイの場合でヤツらはシーバスを想定したユルいドラグ値だと巡航速度で延々と走りかねないので口がかりならまずバレないのでドラグ慎重に締める場合がある。
 でもまず途中でドラグはいじらない。最初の設定は昔は秤で計ってたけど、最近は自転車の前カゴにルアーのフック引っかけて竿の曲がりを見ながらアワセ食らわせたり後ずさりしたりして決めている。
 赤子泣いてもドラグいじらない派としてはドラグノブは触らないけど、それでもやっぱりラインの放出を止めたいときや逆に出したいときは生じるモノで、障害物の方に突っ込み始めたとかで魚を止めたいときはスプールに指をあてて、なんならガッシとスプール鷲づかみして負荷をかけてやる。コレなら負荷かけてたら急に突っ込んだ場合でもドラグノブを元に戻すような手間暇掛かってかつ不安定な方法じゃなくて指を離せばすぐに元のドラグ値にもどるので”竿をのされてラインブレイク”とか、今時「あんたのリールにはまともなドラグついてないの?」と小馬鹿にされそうな恥ずかしい失敗を犯さなくてすむ。
 達人の映像とか見ると、ロウニンアジとかを最初の突進だけドラグ滑らせてかわしたら、ドラグ締めまくって鬼のようなポンピングで寄せきって勝負つけてたりするけど、あれ真似しようとしたけど相当難しくて、ポンピングで竿下げるときだけじゃなくてずっとゴリゴリとリール巻き続ける位じゃないと魚反転して反撃食らって腰砕けにされる。オレには無理。かつそういうゴリ巻き系の使い方するとスピンフィッシャーだとハンドルのピンが折れてハンドルもげるらしい。だから第4世代スピンフィッシャーには改造用の強化ハンドルが売られてたんだろうし、現在の高級リール様は最初っからバカみたいに丈夫にできてるけど、安易に道具の強度を上げて対応してしまうってのが正直気に入らないのでワシャそっちには行かずに済む方法を模索してきた。道具は大事だけど道具に依存するのは技術の進歩を阻害しかねないと思うんだけどどうだろう。まああんまり偏屈になるのもどうかと思うので、なんでもそうだし何度も書いてるけど良い塩梅が大事だとは思う。

 一方、止めてしまいたい場合と逆に道糸緩めたいときは、まずは竿を寝かせてそのぶん緩めるってのと、その延長線で腕を前に伸ばしたり水に落ちなければ前進したりというのがある。それで間に合わなければ小指で逆転スイッチ切って道糸繰り出すか、ベール起こして道糸放出だけど、ユルユル設定だと放出したい時って限られてて、魚が足下で食ってラインの伸びによる衝撃吸収とかが期待できないときぐらいで、そん時は即ベール起こすというのを知識として知ってた方がイイ。ちなみにアワセはライン送った後でも間に合うのでとにかくベール起こすのが先、ととあるシーバスボートの船長さんに教えてもらったけど、そこまで冷静な対処はできたことはない。
 参考までに書いておくと、今まで一度も起きたことがないけどドラグを緩めた方が良いとされている状況としては、想定外に走る魚を掛けて道糸がどんどん減ってスプールがやせ細ってしまった場合というのがあって、ライン残量少なきゃドラグ締めて止めなきゃでしょだと感覚的には思うんだけど、実際には長い道糸は水の抵抗も大きいのでそれだけで”止める力”が強くかかるようになっているうえに、スプールの直径が小さくなっているのでテコの原理でドラグが強くかかるようになってきているので緩めないと切れる。というのを昔釣友がネットで紹介してるのを読んだと記憶している。でもドラグ緩めて船で追っかけながら道糸回収するという選択肢がある釣りと、追っかけられない岸からの釣りとかでは条件違うだろうから、護岸からシーバスとか元々余裕のあるユルユルドラグで釣ってる釣りなら赤子泣いてもの基本方針どおりドラグいじらずで徐々に強くなるドラグが効いて止まってくれるのを信じて我慢、船で追っかけられる釣りなら同船者の皆さんゴメンナサイでドラグ緩めて追っかけてもらうとか、竿の曲がりとかでドラグの効き具合とかも感じながら、その時々の状況よくみて考えて判断するんだろうな。

 という感じで、現代の伸びの少ない道糸を想定するとスピニングリールのドラグの使い方の基本はどんな釣りでも上記同様にやりとり中にドラグノブいじらず止めたけりゃスプール手で止めて、道糸出したきゃベール起こすかハンドル逆転、でだいたい一緒だと私は考えている。あとは障害物までの”距離”によってどこまで走らせるかが決まってきて、魚の大きさや引き方とあわせて自ずとドラグ値が決まり、ドラグ値が決まれば道糸の強度が決まり、全体の道具立てが決まっていくという感じで、例外は力を上げようとしても限界のある道具である”自分の体”が使える道具立ての上限を決めるので、なんぼ引く魚を障害物の際で釣ろうとも、自分の体力で扱えない道具は使いようがないので、自ずと道具に制限がかかってくるという場面で、具体的にはまあまたロウニンアジとかなんだけど、そういう場合は裏技的に竿を真っ直ぐ魚に向けてしまってスプール手で押さえて”綱引き”しかないのかなというのが長き模索の結果の今のところの私なりの解答。


 で、使い方はある程度整理できたつもりなんだけど、ドラグってそもそも何なのよというところも、理解しておいて損はないので、具体的な実例をあげつつその構造やら仕組みやらを整理していきたい。

 ドラグはそんな複雑なしろものじゃない。以前サイトの方でブレーキについて書いたときにも、リールのドラグについては
 「原理は単純、スプール軸など(たまにスプール軸からギアなど介して別のところに持ってきている場合があるがだいたいダメ)に金属やらカーボンやらテフロンやら皮やらコルクやらの輪っかを何枚かあるいは1枚噛ませて、ネジで締め付ける。締め付けをきつくするとブレーキが強くかかる。以上。ぐらいのモンで、まあ、熱に強い素材やら適当な滑りの確保やら、表面積と直径は大きい方が良さそうだとかは分かるけど、根本的にめちゃくちゃ高性能なものが出るわけがない、単純な機能である。」
 と書いているぐらいで、その認識は今も変わらないんだけど、古いスピニングリールとかいじり回していて色々と感じたところもあるので、もう少し細かくみていきたい。

 まずはスピニングリールのドラグとして一番単純なのは、スプールの上面をドラグノブで直に締め付ける。スプール底の座面受けとドラグノブがスプールに接している2カ所の抵抗がブレーキとなる。とか書くとそれっぽくなるけど、要するにスプールを上のネジで止めてるだけで、ドラグとしてホントに使ったら安定したブレーキ力が云々より、摩擦面が削れていって不具合が生じる。ネジ止めするだけにしても接触面にはワッシャーぐらいかませてやれよというところで、大昔のオモチャのような安物以外ではまず見ないだろう。

 でも先日バラした我がルアー用の初めてのスピニングリールであるスポーツラインST-600Xは”つまみ”にワッシャーかませたのみ状態に近いモノがあって衝撃を受けた。70年代の安い日本製品はこんなモンでっせ。凝った浮き彫りで飾ってる暇あったらドラグパッド入れといてくれだと思うけど、どうせ締めっぱなしでドラグの”滑らせる”機能なんて使ってもらえないならコレでも問題なかったのだろう。事実私もこのリールのドラグに文句言ったことはない。基本は締めッパな時代のリールだったのである。
 でも同じような、ツマミにワッシャー噛ませたような単純な構造でも、ワッシャーやツマミの素材を吟味してスプールとの摩擦を上手く使って良いドラグに仕上げているのもある。
 写真左のスピンフィッシャーだと4400ssとかに採用されている方式は、カーボンシートのドラグパッドは耳付きでスプールに固定されていて、それと金属ワッシャーの摩擦でドラグを効かせるという、ドラグパッドがスプールと一体化してて、それにワッシャーかましてドラグノブ締めて終了。という単純な方式だけど、写真のようにドラグパッドの面積がスプール直径のいっぱい近く大きく取ってあるので、調整幅の狭さは若干あるかもだけど実用充分で、ドラグの滑り出しやら安定性やらは実に優秀で信頼できる。
 右の714Zの耳無しのテフロンワッシャー1枚をドラグパットとして使う方式も同様に単純だけどやっぱり信頼できるドラグになってて、枚数が多かったり、ましてやスムーズさを確保するためにドラグにベアリングまで入れる必要性は感じない上手な仕上がりになっている。

 ちょっとスピニングじゃないけど1枚ドラグパッドで素晴らしいのがティボー”リプタイド”でフライリール。写真左下の金属にコルクを貼り付けた大きなドラグパッドが左上のスプール底面を押す単純な構造だけど、調整幅も安定性も素晴らしく、ワシ程度のインチキフライマンが使うのはもったいない分不相応なテッドおじさんの力作で、90年代の登場から多少軽量化で穴が増えたぐらいで今でも支持を受けている。コルクって難しい素材のようで、ティボーの真似したのかいくつかのメーカーからコルク製ドラグパッドのフライリール出てたけど、小マシな魚が走るとコルクがオガクズになり果てるお粗末なデキのものも結構あったとか。

 でもまあ、スピニングリールのドラグの一般的な形は、耳付きとか多角形の「スプールと同期して回るワッシャー」と欠けた円状の穴とかの「スプール軸と同期して回らないワッシャー」でドラグパッドを挟んだのを重ねた”3階建て”のものだろう。ドラグが効きながらスプールが回るとき必ずワッシャー2枚はドラグパッドを挟んでズレる動きをする。
 なので全てのドラグパッドが上下の、あるいは上か下どちらかのワッシャーと摩擦しながら回るので安定してドラグ力が発揮される。
 限られた直径のドラグのスペースに複数のドラグパッドを入れることよって、表面積を稼いで安定したドラグ力を得るとともに、締め付けたときに”締まる”高さを稼ぐことで調整幅の広さにもつながっているのだろう。
 また、ドラグパットの素材の特性を踏まえたり組み合わせを考えたりということにより、ドラグの効き具合を調整できたりもするように思う。このへんまだお勉強が必要だと思うけど、例えば写真の左はスピンフィッシャー750ssなんだけどドラグパッドは下から白いテフロン、灰色のカーボン、カーボンという3枚になっている。一回試したことあるけど全部テフロンにすると滑り良すぎて強めのドラグ値に締められなかったように記憶している。1枚だけテフロンだと5〜7キロのドラグ設定がちょうどやりやすい感じになる。もっと締めたければ全部カーボンとか、さらには滑りのさらに悪い石綿代替品のドラグパッドに替えてやるとかでいろいろ調整はできそうに思う。PENNには”バーサドラグシステム”というワッシャーとドラグパッドの並べ順を替えてドラグの効きを変えるドラグもあったりする。
 真ん中のキャリアーNo.1のドラグは、小型リールらしく低いドラグ値で作動が滑らかで調整幅も大きく、古いリールとは思えないぐらい優秀なことに改めて感心させられた。ドラグパッドは3枚とも良く滑るテフロン製のようだ。適材適所な素材の選択とか比較的低価格のキャリアーでもちゃんと3階建てのドラグを入れてて手抜きはないところとか、いかにも大森製作所のリールらしいところ。
 40年前のインスプールスピニングであるオリンピック製トゥルーテンパー727でもドラグの方式は写真右のように3階建てで基本一緒で、経年による変化でコルクっぽいドラグパッドがペッタンコになってるからか、一番下のドラグパットだけやや堅い別の素材でできていて、そいつが引っかかり気味なのか、やや滑り出しやら安定しない感じである。ただ、ドラグパッドは適当な素材を買ってきて作ればいいし、3階建ての方式自体は今時のリールと同じなので充分”良いドラグ”に調整可能だと思っていろいろ試してみた。そのあたりはまた別の機会に書いてみたい。
 他にドラグパッドとして使われる素材としては油をしみこませたフェルトとかも調整幅が大きくとれて、ドラグが熱を持つほどの高速でスプールを回す魚を釣るわけじゃない小型のリールとかで一般的なドラグパッドの素材の一つのようだ。

 他に特徴的なドラグを持つスピニングリールとしてはスピンフィッシャーの950ssmがある。写真は第4世代だけどスプール共通なので同じドラグの導入は第3世代の9500ssからである。
 一番上の写真見ると750ss同様にスプール上部にドラグ入ってるように見えるんだけど、ここの外しにくいCリングを外してみると、ワッシャーとカーボンシートが1枚づつ入ってるだけで肩すかしを食らう。
 実はドラグの本体はスプール底面に鎮座しているのである。
 今時のリールには珍しくもなくあるのかもだけど、ドラグの直径を大きくとるためにスプール底面を使うという、本気でデカい魚をドラグ使って獲る仕様のスピニングリールが、90年代の9500ssですでに登場していたというのがいかに先進的だったかは、当時チャーマス北村氏もフィッシャーマンの鈴木文雄氏もジギングでこのリールを愛用していたことからうかがえるというモノ。
 同じ第3世代のスピンフイッシャーでも8500ssから4500ssまでは750ss同様の3階建てのドラグで”ssj”が出るまではラインローラーにベアリング入れてたのも9500ssだけだったし、30ポンドナイロンが300m以上巻けるというデカさもあいまって、真に”漢”らしいリールだったのである。
 ドラグの構造自体は単純で、スプールの底にはめ込んで接着された土星の輪っか状のカーボンのドラグパッドに金属のデカいパッドを押し当てる方式で、確かにドラグの効きを左右するのはドラグパッドの円周外側の回ったときに移動距離が大きく摩擦が大きくなる部分だろうから、中心近くの部分はあまり効いてないのかもしれないし、ドラグパッドがへたって薄くなるときに周辺部から薄くなったりしたら中心部分の摩擦が相対的に増えてしまいせっかく直径大きい設計の利点が死に体になりかねないので意図的に真ん中を抜いているのかもしれない。素人にはその辺の細かい設計の妙が理解し切れているとは思えないんだけど、単にドラグパッドの数増やしました、面積増やしましたというのではなく、狙って設計しているンだということは想像に難くない。
 同じようにドーナツ状のドラグパッドを持つリールとしては、80年代の丸いアンバサダーの5000番台がそうで、それ以前の7000番台とかには既に3階建てのドラグが入ってたのとあわせて考えると、淡水での使用が主と想定される5000番台にそういう釣りで想定されるドラグの強さや使い方に適したドラグ方式を当時のABU社は採用していたんだと、5000のドラグパッド固着事件を経て理解するに至った不肖ナマジであった。


 あと、「(たまにスプール軸からギアなど介して別のところに持ってきている場合があるがだいたいダメ)」とか書いたし、リアドラグは効きがイマイチ的なことも書いてたことを先日反省したところだけど、写真右のオービス「バテンキル」は典型的なスプール軸からギアを介してドラグを作動させる方式のリールで写真の右下の雪だるまみたいに見えてる二つのギアの小さい方にくっついてるのがドラグで、同じ平面上にドラグを持ってきているのでリールが分厚くならないですんでいる。Sスイの店員さんに用途と予算を伝えて相談してお薦めされるまま買ったんだけど、ドラグがコレじゃダメなんじゃないかと買ってからちょっと思った。だけど、使ってみたら何の問題もなく充分優秀なドラグだった。マイコンのリアドラグがそんなに悪くなくて結構使えそうだというのは先日書いたとおり。
 このへん、理屈どおりじゃないんだけど、道具なんて実際使ってみなきゃ分からんってことだと思う。大森製作所とオービス様の技術力にとりあえず敬礼。


 という感じで、やっぱりドラグなんてのはそんなに複雑じゃなくて、でも大きさやらドラグパッドの素材やらそれらを生かす設計やらで良し悪しが確実に存在するモノだというのが私の今現在の理解である。
 ご大層に今時の高級スピニングリールにはドラグの滑らかな回転に寄与するためにベアリングまで入れてあるんだそうだけど、ワシにはその必要性がいくら考えても理解できない。
 ベイトリールのスプール軸にベアリングが入っているのは分かる。だって投げるときになるべく抵抗は少ない方が良くて軽く回ってもらわないと困るから。スピニングリールのローター軸にベアリングが入っている必要性も学習した。多少重いのは味のうちだと思ったりもするけどローター軸のベアリングが錆びて単なるスリーブと化したら使うのが嫌になる程度に巻くのが重くなって、少なくともスピニングリールにはローター軸に1個ベアリングを入れるべきだと思う。他の場所にはベアリングじゃなくても丈夫なスリーブとか軸受けでも何とかなるかもしれないと思っている。
 でもドラグってそもそも摩擦力で抵抗かけて回転を重くして効かせる機構でっせ。なんぼベアリングのところで摩擦が少なくて滑らかでも、ドラグパッドがブレーキ掛けてるのに滑らかに回る理屈がない。ドラグパッドより少ない抵抗で回ってドラグの仕事をじゃましないスリーブなりワッシャーなりが入ってれば、軸が通ってるスプールの穴自体も含め、引っかかって明らかに滑らかじゃない品質なら別だけど、その抵抗も含めてドラグって効いてきてちゃんとブレーキがかかるんじゃないの?ドラグにベアリング必要なぐらいの無視できないぐらい大きく不安定な抵抗がどっかで生じるっていうなら是非教えて欲しいものだ。「ドラグパット以外の抵抗を極力減らしドラグパット本来の性能を引き出し滑らかなドラグ作動を実現する」とか説明するのかも知れないけど、ぶっちゃけアホかと思うね。ほぼベアリングに対する信仰でしかなく、ベアリング様が入っていればありがたがってるんじゃないだろうか。
 ベアリングって軸を受けるのに回転抵抗少なくできるし小さくても摩擦ですり減らないという意味では丈夫だしで、軽い回転と軽量化には役立つけど、錆びたりして壊れる部品だし、昔より安くなって”高級”でもなくなってるとはいえスリーブよりは経費のかかるものだから不利な面もあって、軸さえあればどこにでも突っ込めばいいってモノでもないという認識だけど違うんだろうか?

 スピニングリールのことを改めて考えるきっかけになったトゥルーテンパー727のドラグをみると40年前から3階建て方式である。今でもそこからたいして進化してないしシーバスやら釣るためならほぼ必要充分だろう。トゥルーテンパーはドラグパッドがさすがにヘタってたのでちょっと調整したけど顛末記読んでもらえば分かるように魚釣るのに問題ないドラグになっている。

 500m突っ走るような何百キロの魚相手や、そこまでの大きさでもなくても最初の突進を通常使用する道具立てで止められない魚を相手する場面やら、細糸で慎重にやりとりする場面なんかではそれなりに”良いドラグ”が必要だけど、それ以外なら普通のドラグで充分だと思う。今時のリールなら昔の日本製みたいにドラグノブが単にスプールを固定するネジの機能しか持ってないようなリールはないはずなので充分である。

 PENNスピンフィッシャー以前は、ドラグ使ってやりとりすることを想定したような”良いドラグ”のついた大型スピニングリールは少なくとも日本製ではなかった。アングリング誌上で鈴木文雄氏が各社の大型スピニングの滑り出しカーブ等を比較していたと記憶しているが、たしかダイワもシマノも滑り出し引っかかってた。ってぐらいルアーでロウニンアジやらカンパチやら釣るようになるまで日本じゃドラグは”放置”されていた。それが釣り人がドラグの良いスピニングが欲しいと求め始めて、何のことはない欧米の真似して作ってた頃に戻って、まともなドラグを追求し始めたらすぐに”良いドラグ”は実現したんだと思う。それ以上は蛇足だと感じている。
 第3世代のPENNスピンフィッシャーと同等な性能で大型スピニングリールのドラグは必要充分だと思っている。カーボンのドラグパッドは大型リール用としては現在最良の選択だろう。
 ドラグの良し悪しは、実際にドラグ使わなきゃならない魚をかけないとなかなか評価が難しい。私がスピンフィッシャーのドラグに絶大な信頼をおいているのは、グレートバリアリーフででっかいヨコシマサワラかけた時に、尋常じゃない速さで走られてドラグがウィーンって音を立ててスプール回転して、ライン切られるんじゃないかと不安になったけど、7500ssのドラグは見事に安定した作動でしのぎきってくれたという経験があってのことである。20キロのキハダも30キロのロウニンアジもあれに比べれば走る速さ自体は一段落ちぐらいだったのでラインを引き切られる心配はしなくて済んだ。
 そういう”引き”を疑似体験するとともにドラグを試験するなら、実際に竿にリール付けてドラグ設定して原付とか車に結んで走ってもらうというのが冗談抜きで有効である。マグロとか本当にそのぐらいの勢いで走ってくし、走らせて獲る場合が多いからお薦めしておく。
 釣友が一緒にターポン遠征行くときに原付で走ってもらったそうで、アジア某国製のシイラとかでは問題なかったそこそこ良いリールがしゃくりまくってドラグ安定せず、スピンフィッシャー6500SSは滑らかにドラグ作動してPENN圧勝だったそうな。
 それでもPENNの評価が日本で低いのは、まあ重いからってのもあるんだろうけど、いまだにドラグをハンマーで打ちつけてた思考を引きずってるからでは?と思っている。ロウニンアジでも根に持っていくのを力ずくで止めようと考えすぎだと感じている。例えば根ズレ対策でメインラインを太くするとかはショックリーダーを長くとるのが定石でメインラインに根ズレで切れない太さを求めるのならむしろナイロンラインに戻るべきだろうとか、止めるためにドラグ値どんどん上げるというのは特殊な”パワーこそ力”的筋力崇拝だろうとか。そういう釣りがあってもいい。でもそんな使い方をしないできない普通の釣り人が、使いも使えもしないドラグ値を備えた過剰なリールを特殊な玄人の言うことを鵜呑みにしてありがたがってどうすると思う。
 そもそもそんなに力をかけて壊れないリールが必要ならベイトリール使えば良いじゃんと思ってしまう。
 日本人はドラグがまだ分かってないんだと勝手に思うし、スピニングリール自体分かってない気もする。「オマエの方が分かってないわエラそうに」と思われるだろうけどそう思うので書いてしまう。
 スピニングリールは無理したら壊れるんだって、そこをどうするかが腕の見せ所で作戦の立てどころなんだって。
 無理矢理止めなきゃならないような所では魚をかけないっていうのも取り得る作戦だし、スピニングリールの構造上どうしても強く負荷がかかっているときに巻くと、ローターの片方に寄っているベールアームの方にローターが歪むので”巻けない限界”が生じると織り込むべき。その限界があるのでそれにあわせて他のギアだのハンドルだのの部品の強度も造られているハズである。そこを高負荷がかかってる状態で巻くからハンドルやらなにやらが壊れるのだと思う。じゃあってハンドルだけ強化しても次はドラグやらギアやら負荷のかかるところからこわれて、結局全体を”ゴリ巻き仕様”に設計し直すようなはめになる。
 スピニングリールでは”ゴリ巻き”はしないし巻きアワセもしない。っていう制限つけて使えば、おいそれとは買えなくなってる値段の高級スピンニングじゃなくても充分釣りが成立する。
 どうしても魚を止めなきゃならないときは、リールを巻くんじゃなくて巻く手はハンドルから離してリールのスプールを直接鷲づかみで止める(やけどしないように手袋したり水かけたりの工夫は自分で考えてやってね)。必要ならそのとき竿は真っ直ぐ魚向けて綱引きする。それで魚が止まって竿が立つようになったら竿を立てた分だけ巻き取るポンピングで寄せる。高負荷でゴリ巻きしなければスピニングリールもそうそう壊れない。
 というのが、ドラグについてあれこれ考えながらそのまま勢いでスピニングリールについても考えた私の今のところの整理である。

 異論はあるだろうし正解もあるようでないんだろうけど、メーカーやらカリスマやら他人の言ってることを鵜呑みにせず、ちゃんと考えて釣り人それぞれがたどり着いたのなら、それがその人にとっての正解だと思うので、みんな誰かの意見に安易に流されずに、いろんな人の言うことは参考にしつつ自分で納得いくまで探求してみたほうがいいよと、おせっかいながら書いておきたい。

 釣り人みんなバカばっかりで簡単に道具造る側に騙されていると、ろくでもない道具しか売ってない状況になると感じでいるので、アホみたいに他人の下した評価を鵜呑みにする輩の多さを腹に据えかねてエラそうに書いてみたところである。ああ〜スッキリした。

2 件のコメント:

  1. こんばんは。
    釣行記作成中だというのについつい読みふけってしまいました。

    確かに普通に釣っていると走らせる釣りを覚える機会は少ないですね。私の場合は青物がかかった時にベールオープンで走らせる方法を磯釣りの本で読んではいたのですが、地元の波止でナルトビエイを掛けて、一瞬で切られた次の1投が初体験でした。

    磯釣り、特にグレ釣りは走らせてはいけない釣りの最たるものですね。ドラグと磯竿の相性は悪く、効きも不安定になりがちだし、糸がズルズル出てしまったら反撃すらできずにKOです。

    そんなグレ釣りでのやり取りの主役はリールではなくて竿です。竿の弾力で糸を守りつつ魚を止め、体力を奪っていくので、弾力が最も活かされる角度(今の竿では90度、一昔前の竿では竿尻が魚の方を向く角度)を維持し続ける必要があります。レバーブレーキ(普通のリールの逆転ストッパーつまみが進化したもの)は、魚に強く引かれて体勢を崩された時にリールを逆転させて必要最小限の糸を出すことによって一瞬にして角度を取り戻すための仕組みです。

    なお、今のレバーブレーキにはドラグが付いていますが、基本的にはそういうやり取りの補助装置として機能します。もちろんブリとかシイラとかスマなんかが食いついたら普通にドラグを使ったり、ベールオープンで走らせたりもしますけどね。(レバーブレーキには負荷を調整する機能はありませんし、リールの逆転で大型青物に対処するのは無理があります。)

    磯釣りのやり取りは一見特殊なように見えますが、色々な釣りで役立つので、研究してみるのも楽しいですよ。

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    1. まーた嘘書いてしまいました。恥の多い生涯をおくってます。

      レバーブレーキはあの位置にあってどうやってドラグに干渉させてるんだろうと不思議に思って、竹中先生のレバーブレーキリール本を読み始めたところでしたが、普段から使ってる人に教えてもらうのが早かったですね。べつにドラグの効きを調整してはいないのか。納得。ご教授感謝。

      磯に上がってサメ釣らなきゃですので磯から手持ちの竿で大魚を狙う青木氏のブログ「磯の作法2」とか読んで勉強しておきます。分からんことあったらまた教えてください。

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2018年12月1日土曜日

黄昏よりも移ろうモノ、潮の流れよりも紅きモノ、スプールに埋もれし偉大なる部品の名において、 我ここに闇に誓わん、我らと道糸で繋がりし全ての獲物どもに、我と汝が力もて、等しく重さを与えんことを!

 ドラグについてちょっと書いておこうと思ったら、前回予想外に筆が走って長くなってしまい、1回で書こうと思ってたネタが書ききれず。
 前回のが「理論編」としたら、今回はそれを踏まえた「実践編」という感じになるかと。ホントは釣りにおいて実践っていったら釣り場で魚相手にする話かもだけど、お部屋でリールのドラグをいじりまくって調整しまくるという感じになっております。
 ”赤子泣いてもドラクいじるな派宣言”しているところだけど、それは魚とのやりとりの最中の話で、魚釣る前にはドラグの試験やら手入れやら調整やら改良やらあれこれ頭と手を使っていじって遊んで、それもまた楽しという感じ。

 ぶっちゃけ、薄いワッシャーを作るために買ったテフロン仕上げのガラス繊維シートが滑るし丈夫そうだし、量は多くて余ってるしで、ドラグに組み込んで遊べるんじゃないだろうか?というのが直接の動機。
 上手くいかなくても別にそれほど困ってるわけじゃなしで気楽に行く。
 まずは、ドラグに使われる素材の違いとか見るのにドラグパッド1枚の単純なドラグの方が比較しやすいので、ちょうどドラグがイマイチで、もうちょっとなんとかならんのかというスポーツラインST-600Xにまたおでまし願う。
 とりあえずワンカップの蓋でドラグパッド作ったときに、元々ドラグパッドとして?入れられていた曲がった金属ワッシャーと、軸と同期して回らないワッシャーとの間にワンカップ製のを挟んでやっつけ仕事としてあったけど、ちゃんとしたドラグパッドを入れる場合、スプールの底と回らないワッシャーとでドラグパッドを挟んで、曲がったワッシャーは、ドラグノブと回らないワッシャーの間の回らない位置でワッシャーを押さえつけておくためのバネとして働いてもらうのが合理的なように思う。
 ひとまずドラグパッドはあり合わせで3種類用意。下から一応の基準となるワンカップ蓋製、テフロン仕上げガラス繊維製、コルクシート製って感じで、テフロン仕上げガラス繊維製が本命か。これらをグリス塗ってスプールとワッシャーで挟んで、ドラグノブ締めてライン手で引っ張り出したり、竿にリール付けてペットボトルぶら下げてみたりしてドラグの効き具合、滑らかさ、調整幅などをみてみる。

 ちょっと脱線するけど、ドラグに塗るグリスはこれまでモリブデングリスを使ってきた。これは昔の釣り人には”モリブデングリス信仰”とでもいうものがあって、リールにゃ高価なモリブデングリスが良いと信じられていたのである。でも最近じゃ、リールにはリール用のグリスが良いって話になってきてて、でもワシのようなPENN使いにはどっちかっていうとギアの摩耗防止やら滑らかな潤滑性能やらより、海水浸水した時の防水性が重要だと思うので、某PENN使い氏推奨のマキシマのウォータープルーフグリスを値段も安いのでここ何年か使ってる。だけど、ドラグのグリスだけはドラグの効き方が変わってしまうのが不安で昔からのモリブデングリスを使ってたんだけど、調べてみるとモリブデングリスってそもそも圧が掛かる場所の金属用でドラグに向いてるとも思えないので、ドラグ用のグリスで、モリブデングリスに近いどっちかっていうとユルめのがないかと探して、PENNのパーツ屋さんであるMYSTIC REEL PARTS」さんところで売ってる「Cal's Universal Grease」の小型リール用という紫のを買ってみた。順次ドラグ用グリスはこっちに移行しつつある段階。今のとこ実戦投入済みはトゥルーテンパー先生だけだけど問題なさそうで良い塩梅な気がしている。

 話本線に戻して、第1回ドラグパット素材別試験の結果は、期待のテフロン仕上げガラス繊維製は思ったほど優秀って感じでもなく、悪くないけどワンカップ蓋製とあまり変わらない印象。まあ使えるけど改善って程でもない。
 コルクはしゃくりまくって全くダメ。柔らかく弾力あるので調整幅は稼げるかなと思ったけど、引っかかりよすぎて安定しない感じ。そもそも写真貼り付けるコルクボードみたいな安物コルクではダメなのかも。もっと目の詰まった高級ワインの栓ぐらいの上等級のコルクで比較しないといかんのかもだけど、やっぱりコルクは天然素材だし品質差とかあって当然で扱い難しい感じだ。コルクはやめておこう。
 ドラグの効き自体はコルク以外は似たような感じなので、調整幅がマシな感じのワンカップに戻すかなと思いつつ、ダメ元でワンカップの上にガラス繊維製を乗せて試してみたら、なんとなく一番良さげに感じたので、悪くはなってないのは確かなので暫定的にこの組み合わせにして、次はカーボンシートとフェルトという今時のスピニングリールのドラグパッドの素材として最も一般的な2種類も試してみなきゃなと、とりあえず第1回のドラグパット素材試験は終了。
 カーボンとフェルト入手するのに日数結構空いて、その間釣りに行って実際に使ってみて、セイゴ釣ってボラをスレで掛けてバラして、セイゴはアワセた時にチリッチリッと鳴ったぐらいでドラグ使ってる感じにはならなかったけど、ボラスレで走られたとき、意外なぐらいにドラグちゃんと効いてくれて、ハリ途中で外れなかったら上げられてた気がする。それなりに使えるドラグになったようでよろしいンじゃなかろうか。 


 でもって、第2回のドラグパッド素材試験のまえに、トゥルーテンパー727のドラグが、緩めのドラグ値では実用上問題ないけど、きつめに締めて止めたい状況で”滑り始めたら止まらない”という状況が釣り場で生じて、とっさにスプールに手をやって止めて事なきを得たんだけど、ちょっと改善が必要だなという案件になっていた。
 構造から考えて、新品当時のドラグ能力は悪くなかったんだろうと想像できるけど、何しろ永い年月が経っているので、ドラグパッドがペッタンコのツンツルテンになってるのはある程度いたしかたない。
 ここで、適度に滑りが良くて凸凹もあり、かつ布状なのでひたすらツルツルというわけでもなく、締めればそれなりに摩擦も生じるであろうテフロン仕上げガラス繊維製のドラグパットを試してみた。ついでにドラグいじる度に四苦八苦して外すのが面倒になって、穴に先端を突っ込んでCリングを外すペンチも使ってない安物ペンチをハンドドリルでヤスリ回して先端尖らせて作ったった。

 最初、純粋にテフロン仕上げガラス繊維製単体の実力を見てみたいと全交換してみたら、薄くて厚みが足らずドラグノブ一杯に締めてもスカスカでドラグ効かなかった。仕方ないので、元の純正ドラグパッド上乗せにして2枚づつのパッドが入ってる状態にしてみると、多少締めたときのドラグ値が安定したような、それ程でもないようなという感じだった。まあ、これも悪くはなってないかなと実戦投入。ダメならカーボンパッド購入かと思っていた。
 しかし、お部屋での試験はパッとしなかったこの調整が、釣り場では劇的な改善を生じさせた。きつめに締めたときの滑りすぎも改善した感じだけど、ふつうにドラグ効かせて魚が走っているときのドラグの安定性が素晴らしく良くなった。ほぼ竿お辞儀とかなし、竿一定の角度で曲がったままで走ればライン出るし、止まればラインの出も止まって竿が立てられるようになる。ぶっちゃけ”使える”程度じゃなくて”良いドラグ”になってしまったと思う。
 スレ掛かりのスズキとの長時間のやりとりを、身切れもさせず一定の張りを道糸に与え続けてしのぎきってくれた。釣果的には「釣ったけどイマイチ納得してねぇ」感じになっちゃったけど、トゥルーテンパー先生は実に良い仕事っぷりだった。
 話また横道にそれるけど、TAKE先生のレバーブレーキリール本を読んでたら、グレ釣り黎明期には足を短く改造したインスプールスピニングでハンドル逆転させながらローターに指をあててブレーキ調整して魚とやりとりしていて、それをヒントにダイワがリールのローターの底に外側から自転車のブレーキのようにブレーキパッドを押しつける初の「レバーブレーキスピニング」を開発して今に繋がっていくとのこと、その時に使われてたリールが大森製とかオリンピック「ツルテンパー」だったと書いてあって、ツルテン?何か聞いたことある名前だなと思ってたら、次のページで足ぶった切って短くした「トゥルーテンパー(TRUE TEMPER)」の写真がドンと載っていて思わず電車内でオウッフとか変な声でそうになった。トゥルーテンパー、われグレ釣ってたんけ〜!

 ということで、トゥルーテンパー先生はこれで良いだろうというところまで調整できたので、予定どおりスポーツラインST-600Xで、まあこれ以上あんまり変化しないかも知れないけど、百均の手芸コーナーでフェルトも入手したし、怪しげなカーボン製中華ドラグパッドも通販で安く手に入れたので、第2回のドラグパッド素材試験。
 ポンチで穴開けて外周はハサミでチョキチョキだけどカーボンシートはさすがに堅くて切るの苦労した。

 上から、ワンカップ蓋製、フェルト製、カーボン製の順で比較は単体で実施。
 密かにカーボン製ドラグパッドが結局良かったというつまらない結果になるんだろうと予想していたけど、カーボンのドラグパッドを入れたところで、この小さい直径のドラグではそれほど安定した作動は見込めないのか、正直ワンカップ蓋製と大差ないように感じた。
 逆にフェルト製は、こいつだけグリスじゃなくて油を染みこませて使ったけど、コルク以上にフワフワと柔らかいのでシャクって使えないのならまだマシで、グチャッと折れて潰れてしまうのではないかと思ったけど、意外に大丈夫で、でもやや不安定でワンカップとカーボン単体に比べると竿先が小刻みにお辞儀する感じ。引っかかって不安定というほどではないのでドラグパット複数枚使う形式とかなら意外と手芸用のフェルトでもいけるかも知れない。
 後はカーボンの上にテフロン仕上げガラス繊維製のパッドを重ねたらどうだろうと、まあワンカップ製とあんまり違わないだろうことは分かりつつ重ねてみた。
 これが、お部屋段階でちょっと良い感じに安定してくれた。カーボン製パッドがスプールの穴にギリギリ填まって回転してないようだけどそれが良いのか何なのか、理屈は分からないけど明らかに良い気がする。ということで次回いつ出番があるか分からんけど、スポーツラインST-600Xのドラグは下からスプール本体、カーボン製パッド、テフロン仕上げガラス繊維製バッド、軸固定金属ワッシャー、曲がった金属ワッシャー、ドラグノブという構成で行ってみたい。部屋でドラグ滑らした感触的には、普通に良いドラグになってて、70年代の古くさい外観のリールに今時基準の実践的ドラグってのはなかなか羊の皮を被った狼っぽくて良いかも。

 なんやドラグの改良って簡単やン。ドラグ値最大10キロ必要とかのキッツイのは素人じゃ無理なんだろうけど、小型スピニングのドラグ程度ならなんも難しくないジャン。っちゅうわけでもっと他にイジリがいのあるリール転がってないかなと蔵を探したら、あったあったダイワの「ウィスカーSSトーナメント600」。
 ダイヤモンドキャリアーNo.1の後継選びでスピンフィッシャー4300ssに敗れ去って蔵で眠ることになったものの、小型スピニングリールに初めて投げ釣り用の遠投リールに使われていたテーパーのついたロングスプールを導入した”革命機”である。
 このシリーズまでリアドラグブームが吹き荒れていた日本のスピニングリールに新風を吹き込み、これ以降はお尻が四角いスプールの長いリールが大流行して、リアドラグブームを起こした革命機マイコンの大森製作所も、晩年にはなんかそれっぽいモデルを作ってたってぐらいに、リールの世界に変革をもたらしたリールのようだ。と最近お勉強した。
 80年代半ばの発売なので、私が使っていた90年代には既に型遅れのリールだったはずで、たぶん代々木にあったカディスあたりの中古釣具屋で買ったかJOSさんに譲ってもらったかあたりだと思うんだけど、入手経路が思い出せない。けど、なんでこのリールだったのかは分かるような気がする。
 スピニングリールが本格的に高級化しだすのは、さらに後のトーナメントEXあたりからで、それにくらべれば、SSは革命的だったんだとしても、ボディーは樹脂製だしラインローラーやドラグにベアリングなんて入ってないし値段も新品でも2万円もしてなかったしでナマジ好みの”実用機”だったんだと思う。
 でも、今に繋がっていくスプールの大きなスピニングの基礎的な機構は揃っていて、例えば長いスプールに平行に巻くためベイトリールのと同じ仕組みの平行巻機構でスプールを等速で上下させていたり、大きな口径のドラグをスプールにぶち込んであったりと基本は良くできているスピニングだと思う。
 使っててバネが壊れてすでに部品が手に入らなかった以外は特に問題なく使いやすく感じてたと思うけど、当時使ってた釣り人のブログ記事とか読むとライントラブルが多くて苦労したとか不評がけっこう目について違和感を覚えた。渓流でも近距離戦が好きであんまり遠投とかしないので、テーパーついてるがゆえのドバッとラインが出る不具合とかにたまたま縁遠かったのかも知れないけど、正直このぐらい良くできたリールに文句言わなきゃならん釣り人ってヘタクソなんと違うか?と疑っている。
 みんな飛距離、遠投ってうるさくいってた癖に、ライントラブルが嫌だからトラブル起こらないリールを作ってくれってなって、ダイワなんてSSトーナメントと反対に逆テーパーつけたスプールをつけるにいたってて、金持ったヘタクソの要望に応えて道具開発するのが正しいのかワシにはよう分からんわい。遠投派の上手い人とか「昔のテーパーのついてたスプールの方が良く飛んで良かったのに」とか思ってないかしら?遠投性能なんてどうでも良いと思ってるから人ごとだけど心配になっちゃうワ。
 コイツの色違いなのか後継機なのか、米国じゃ瞬間逆転防止機構もついてないような”古い設計”の黒金仏壇カラーの「トーナメントSS」が少なくとも2012年までバスプロショップスのサイトで売ってたってぐらいで、テーパーついてて良いんだと思ってた玄人衆もいたんだと思う。けど日本じゃ「助けてダイワえもん!スピニングで投げられないんだよ〜」と素人衆に泣きつかれてダイワえもん仕方なく「イーグージースト〜」って出してきたんじゃないの?
 とまあ、自分の”昔の女”を悪し様に言われたように感じて感情的になってしまったけど、久しぶりに会ってみたら、最後ベールスプリングが破損してオレたちの関係は終わったんだと思ってたけど記憶違いで、逆転防止機構のバネが壊れてた。ちゃんと部品なくさないようにテープで本体に貼り付けてあるのが我ながらマメだな。
 この頃のダイワの音のしない逆転防止機構は独特で、良く目にする爪についた薄い金属板でラチェットを挟む方式じゃなくて、ローター(軸のギア)と一緒に回る小さな円盤に輪っか状のバネをぐるっと巻き付けて、そのバネの端でラチェットに立てる爪の部分を正回転では引っ張ってフリーにして、逆回転の時には逆方向に引っ張って爪がかかる方式。
 壊れた当時は、リールの構造とかぜんぜんうとかったので直しようがないと思ったけど、今見ると適当なステンレスのピアノ線とかでバネモドキ作ったら直せそうなので、ドラグいじって遊ぶついでに直してしまおう。ベールスプリングみたいに反発力と耐久性が必要な動きをしないので大丈夫そうな気がする。
 バラしててだんだん思い出してきたけど、使ってたときもなんでこんなややこしい組み立てかたしてあるンやと思ってたぐらい、パーツ数自体は大したことないはずなのに面倒くせえ構造で写真上のようにお尻のカバーを外してフォークみたいなピンを外して平行巻の棒を下げると、隙間からマイナスネジの頭が見えるので、コレを外すと主軸が上から抜けて、ローターが外せるようになって、今回はこの時点で目当てのローター軸ピニオンギア上部についてるラチェット等の逆転防止機構部分が出てくるのでここまでしかバラさなかったけど、本体のギアとかにグリス塗ろうとするとPENNとかだと最初に外せる本体カバーが、ローターが外れたこの状態までこないとバラせないという「おまえは箱根寄木細工の秘密箱か!」という状態。今回も組み方分からなくなるといけないので写真撮りながらバラした。
 スプールを長く大きくしたので、ローターも大きくなってその中に逆転防止とかぶち込んだ都合上こうなったと読んだけど、逆転防止って普通ここについてるやろと思うのでイマイチ納得いかないが、事実そうなってるので仕方ない。
 修理自体は、ラチェットの上の円盤外周の溝に合わせてクルッと自然に巻くようにピアノ線曲げて、引っかけるために端に出す長さとかチョイチョイと調整してつつがなく終了。動作確認すると、ごくたまにラチェットに爪掛けきらなくてガガッと1ッコ飛ばしになったりしてるけど、バネじゃないからこんなもんかという感じ。小型リールでは逆転してもハンドル持ってれば実際には困らないのでラチェットの歯を1つたまに飛ばすぐらいは問題ない。油ぎれで一方通行ベアリング方式の逆転防止機構が不調の時困ったのは、タモ入れの時に左手が離せなかったことで、ちょっと焦ったけど右手の人差し指でベールアーム引っかけて回転止めて何とかした。ということがあったりしたので、小さいのは何とでもなるけど、下手すると怪我する大きいリールの逆転防止機構は一方通行ベアリング方式よりラチェットに爪掛ける方式の方が確実性があって良いと思っている。今時は両方付けて瞬間的に止めつつ不調時の保険かけてるリールもあるそうな。多少遊びがあってガチャガチャいうぐらいがそんなにイヤかね?

 さてあっさりと修理完了で逆転も止まるようにできたし、本題のドラグについてだけどその前に、テーパーの付いた巻き上がりはこのリールの本来の個性なので直さない方が良いのかもだけど、夜セイゴ釣ったりするのに遠投性よりライントラブル防止だよねと日和ってとりあえずスプールの座面にワッシャー2枚入ってたので1枚抜いたら、ほぼ真っ直ぐに巻き上がった。たいした平行巻機構ついてないリールしか使ったことないので山もできず綺麗に巻けてて感動する。ライター見せられた現代文明非接触の部族民的な感慨。
 あらためてしげしげと眺めると小さいこともあってなかなか可愛らしい。機械の入った四角い箱に糸巻いた円筒をチョコンと乗っけたような単純な造形が、今の流麗な凝ったデザインのリールを見慣れた目に逆に新鮮である。
 ラインも巻いたら準備完了ということでドラグに着手。ドラグが固着してるのはお約束。でも同じ600番台でも70年代のST600Xからは思えば遠くへきたもんだという感じがする。
 ちゃんと3階建てのドラグで、薄いカーボンシートのドラグパットが入ってて、しかも直径が確かに大きくなってて、固着を剥がしてグリス塗った段階で、ドラグちゃんと効いてまっせ!と強烈に主張してくる王冠のような上部ワッシャーの突起に押しつけるドラグノブ横腹の「音出し(クリッカー)」も、ゴトゴトチンチンと一定のリズムを刻む感じで十分に上出来な感じのドラグである。
 一応、ドラグパッドの大きさに合わせてテフロン仕上げガラス繊維シートを加工して、単品でカーボンの代わりに、カーボンと重ね合わせて、と試してみたけど、お部屋試験の段階では正直違いが分からんぐらいでどれでも問題なさそうではあった。とりあえず重ねておくか。
 革命機ウィスカーSSトーナメントは日本の「ドラグ暗黒期」をも革命した、のかもしれない。

 スピニングリールの歴史も学んで、改めて昔の愛機を眺めたりいじくったりしてみると、PENNじゃなくても大森もダイワもみんな違ってみんな良い的に、それぞれ欠点はあるかもだけど、なにかしら良いところはあって個性的で、楽しい釣りの思い出と切り離せずそこに存在する様に、改めて好きにならずにいられないと感じるところである。
 とりあえずこれで蔵にとっておいてあった古いスピニングも全部使えるように修理できたので、そのうち使ってやらねばならぬ。それってきっと楽しいだろう。

<おまけ:言葉の整理>私基本的に生物の人なので、機械に詳しいわけじゃなくてワッシャー、スリーブ、ブッシュの区別が付いてなくて、過去スリーブとブッシュを一緒くたにしてスリーブと書いてるけど、本当は薄い筒状のがスリーブ、軸を受けるベアリングの代わりになるようなのがブッシュのようだ。今後はそのように整理して書くことにしたい。過去のは賢明な読者のみなさまにおかれましては文脈で適切に読んでいてくれてたと思いますのでそのままとしておきます。訂正とかめんどくせぇし。ちなみにワッシャーは円盤状の薄い奴という認識。あとメーカーによっても違うのかもだけど、スピニングリールのギアでローターと一緒に回るのがピニオンギア、ハンドルと一緒に回るのがドライブギアらしい。でも、普通の釣り人には分かりにくいと思うので、前者をローター軸のギアとか主軸のギア、後者をハンドル軸のギアとか書いているのはわざとです。スピニングリールのローターとハンドルは釣り人なら分かるだろうし、分からなければこんな文読まないだろうな、ということであしからずよろしくです。


2019年6月23日日曜日

ドラグについて大げさなことを謳ってるリールは信用しなくて良い(当社比)


 常々書いてきているように、ドラグなんてのは40年前のリールに既にいまと遜色ないような性能のものが搭載されていたぐらいで、ハッキリ言って画期的な性能を喧伝しているようなリールがあったら疑ってかかった方が良い。
 基本的にドラグという機構は、回ろうとするスプールと一緒に回るワッシャー(一番底ならスプールそのものでも良い)と回らない主軸に固定されたワッシャーの間にドラグパッドを挟んで適度に摩擦抵抗を発生させながら滑らせるという仕組みである。
 日本の釣り人は”日本製リールドラグ暗黒時代”が長かったので知らなかったから、急に進歩した技術が出てきたように感じるのか妙にありがたがってる節があるけど、あんなもんはドラグパッドの材質を適度に滑りが良くて調整幅に繋がる弾性があるものを選んでやることと、主流の3階建て方式にするか、パッド1枚で済ますかの選択とかで、表面積と直径を適切に稼いで安定した能力を発揮するようにどう設計してやるってだけの話である。
 ほかにも主軸が太いとスプールの傾きが押さえられるとか接する面積が増えるとかで安定性に寄与するのかもとかはあるけど、ドラグにボールベアリングはあきらかにベアリングの使いどころを間違っている。摩擦を安定的に発生させて作用するのがドラグであり、その時に発生している摩擦力に比較して極めて小さい摩擦力で回ってしまうベアリング入れてどうする。安定は必要だけど低摩擦性は全く必要ない機構のハズである。この辺もっと物理詳しい人とかにガッチリ理論整然と「アホ認定」していただきたいものだ。オレが分かってないアホなのか?
 ただ、そういう基本があった中で、リールの性格や使う状況に応じてどういうドラグを選ぶべきか、適切な選択ってのはあるように感じてきていて、ワシもドラグがやっと分かってきて面白くなってきたので、色々いじって楽しんでるので、そのあたりのドラグネタで、ドラグネタ自体は以前も書いたんだけど、それでもしつこくいってみよう。

 ドラグをパッド1枚にするか3階建てにするかは、現在主流が3階建て方式なのでそっちの方が優れていると思われているのかもしれないけど、前回ドラグネタ書いたときにPENN9500SSのスプール裏面の土星の輪っか型ドラグやらティボーのコルク1枚ドラグの優秀さを紹介したように、1枚でも直径大きくして表面積稼いであると良いドラグになってたりする。直径が大きいとその分回転したときに長い距離で摩擦を発生させるので摩擦を発生させて機能するドラグとして利点が生じているんだと思う。


 PENNスピンフィッシャーの小型の機種もドラグパッド1枚方式のが多くて、シーバスで愛用の4400ssや430ssg最近お気に入りの714Zも1枚方式である。
 ただ、これが714Zはデッカいテフロンのドラグパッドで、テフロンのドラグパッド自体は大森ダイヤモンドでもお馴染みなのだけど、1枚方式は初めてだった。
 これが、色々調べると普通はグリス無しで”乾式”で使うんだけど、乾式で使ってると摩擦で削れてしまうことがあるという情報もあり、そりゃまずいなとごく薄くドラググリス塗って使ってみたら割と良い塩梅で、これなら大丈夫だろうと調子に乗ってネッチョリと多めにドラググリス塗ったところ、思いっきり安定性がなくなって、止まるときは思いっきり止まるけど、ユルくしていくと全然止まらなくなり欲しいドラグ値に調整できなくなってしまった。
 ドラググリスの粘性って思いのほかドラグの効きというか調整幅に影響してきて、これまで使ってた緩めのモリブデングリスより、今使ってる比較的粘っこいCAL'sのドラググリスはあきらかにあまり締まってない早くからドラグが効き始めて、普通の3階建て方式のドラグについては調整幅が広くなった。グリスの粘性がドラグパッドが回るのにブレーキに働いてドラグ表面とワッシャーの摩擦以外のブレーキ力として補助的に効いている感じである。
 その粘性が、そもそもテフロン素材の1枚パットの場合、表面が滑りやすいことを利用して良い塩梅にブレーキ掛けてたのに、表面積が大きい1枚型ゆえにテフロン本来より滑らずネッチョリと粘るようになって、このクラスのリールで出したいドラグ値が出にくくなってしまったのではないかと考えた。
 グリス拭き取って”乾式”で使えば良いんだろうけど、ご近所はシーバスはともかくコイをかけるとドラグにかなり頼るやりとりになるので、そういうのを想定していない小型リールのドラグパッドのままでは”削れる”のが不安になってきた。
 ということで、幸い手に入らなくなってる714Z用のテフロンドラグパッドの代わりに4400ss用のカーボンシートのドラグパッドが使えるとのことなので、交換して様子を見てみた。
 当たり前だけど、これまで使ってた4400ssと同様に良い塩梅のドラグになって、カーボンのパッドとCAL'sのドラググリスは相性良く、調整幅も申し分ない。
 3階建てのパッドの場合、テフロンにCAL'sのドラググリスでも違和感なかったんだけどなかなか微妙なモノである。

 お次に、最近いじったドラグで驚いたのが前回もちょっと触れたけど、ポスカ1のドラグ。2枚が写真のような薄緑と白の混じったパッドなんだけど、メチャクチャドラグ値が上げられる。ラインが全く出ていかないいわゆる”フルドラグ”が余裕でできてしまう。石綿代替品とかいうやつだと思うけど手触りザラザラでいかにも摩擦力強そうな素材。スプールの座面に乗っている赤い繊維質のワッシャーもざらついてるけどそれ以上。
 ただ、逆にユルいドラグ値を安定してかけられない感じだったので、間に薄いテフロンパッドを噛ませて実質殺して小型リールに必要な適度なドラグ設定が可能な調整幅を確保しておいた。

 で、もいっちょちょっと面白かったのが、ハズレ引いたアルファ030のドラグ。フェルトか何かの柔らかい素材に樹脂がかけてある表面のドラグパッドなんだけど、2枚が完全に耳付きワッシャーに固着してしまっている。
 実はこの状態でも問題なくドラグ作動していて、固着していない面がワッシャーと滑ってるので機能するのである。無理矢理剥がすとボロボロになりそうだったので、グリスアップだけしてそのまままたぶち込んでおいた。
 この方式で、耳付きワッシャーの両面に滑る素材の薄いシートを貼り付ければドラグの高さが低くできて良いんじゃなかろうか?とか考えてたら、最近出たTAKE先生のリール本読んでたら、本職の技術者はさらに突っ込んでいて、耳付きのワッシャー自体を耐久性もたせたドラグパッドの素材で作って、ドラグパッド、耳付きワッシャー、ドラグパッドの3枚を耳付きドラグパッド1枚で代替、という設計のリールが紹介されていた。大型リールではちょっと強度面が心配だけど、小型リールなら問題ないだろうし軽量化と小型化に貢献しそうでナルホドという感じ。
 基本単純な機構で、もう新しい工夫とか出てこないように思うけど、こういう意表を突く改良点とか出てくるのをみると、まだまだ革新的技術が出る余地はあるのかもしれない。けど今のところ40年前のドラグからそれほどは変わってない。

 てな感じで、ドラグについて最近学習したことをまとめると、
一.ドラググリスの粘性はドラグの効きと調整幅に影響する。粘度が高いグリスにすると締めがユルい段階から効き始め調整幅は広がる。ただ、テフロンの表面積広い1枚もののドラグパッドとはテフロンの表面の滑らかさを消してしまうので相性悪い。
二.ドラグパッドの素材の性質がドラグの性能に大きく影響する(当たり前)。表面がざらついて摩擦が大きいモノほど高いドラグ値がかけられる。多分順番は石綿代替品、赤い繊維性、カーボンシート、テフロンの順でフェルトはカーボンと同じくらいで柔らかい分調整幅が大きくて耐久性とかが必要とされない小型リールに好適。

 という感じだと思う、で以前から気になってたのがスピンフィッシャーの3階建てドラグの場合、パッドが上からカーボン、カーボン、テフロンなんだけど、ひょっとしてこれ、同じ枚数でもその構成を調整することで効かせるドラグ値変えられるんじゃないか?ということ。
 そのへんをついでなので750SSで試してみた。予想では全部カーボンにするといつもよりドラグ値上げられるンじゃないか?というのが主な関心事項。
 いつもはドラグノブ締めていってギュッと止まるあたりで7キロ前後という認識で、そこからさらに締めることもできるけどあまり安定しなくて、ギュッと止まるあたりが調整しやすい得意なドラグ値だと思っている。なのでギュッと止まるあたりまで締めて秤でその時のドラグ値を3回計ってみた。
 結果は驚くほどに綺麗に予想通りで嬉しくなる。やっぱりドラグって単純で理屈どおりの機構である。わけの分からん不思議なフォースとかを発生させたりはしない。
 全部カーボンだと3回計って10.4、8.9、10.3キロと10キロぐらいのドラグ値。実際にはそこまで締めるとワシャ竿支えきれんのでこのドラグパッド構成にはしないけど、スピンフィッシャーのドラグをもうちょっと締めたいと思ってるマッチョな貴兄には全部カーボンをお薦めする。10キロぐらいなら余裕でリールはもちます。スプール握りしめて立木と引っ張り合いして確認済み。
 以下、通常の1枚テフロンが7.8、7.5、7.8で8キロ弱、実際には竿の曲がりとか見てもうちょっと緩めて6〜7キロで使ってた。
 テフロン2枚だと6.4,6.7,6.6、全部テフロンだと5.0、5.2,5.4と順次ユルくなっていきましたとさ。
 ということでもっとドラグ値上げたいならばドラグパッドに石綿代替品か赤い繊維質のを混ぜるとかで、もちろんリールの耐破壊強度を超えないようには考えなきゃだけど、ドラグ値なんて上げられそうなんである。
 カタログ数値でドラグ最大30キロとかのスピニングリールがあっても、30キロのドラグ値をスピニングタックルでかける場面って想像できなくて、そんな数値はカタログ上のこけおどしでしかないということである。
 実際に使うドラグ値を想定してその付近の調整幅や作動の安定性があるかどうかってのが重要で、そこはカタログ見ててもわからんから魚掛けてみるか、車とかにラインの先結んで走ってもらうとかして確かめていくしかないんだと思う。
 ちなみにこの実験ではグリスは以前使ってたモリブデングリス、ドラグノブは純正のはドラグワッシャーを押さえる部分が樹脂製で、長距離走られると熱で溶けるという噂があるので、念のため押さえるところが真鍮製の第4世代750ssmのドラグノブにしてあるのが細かい気遣い。グリスは次回出番がめぐってきたらCAL’sに塗り直しの予定。


 スピニングリールにおいて10キロ程度までドラグが締められたら充分で、耐熱性含めた耐久性を考えると、大型リールではカーボンのパッドが今のところ最良で、小型リールでは広い調整幅とか扱いやすさでフェルトが選ばれてるんだろう。テフロンは滑りが良いので台座とかのワッシャーに使うのにもドラグに与える影響が少なくて良いだろうし、ドラグパッドとしても経年変化とかが少ないし良い素材。
 石綿代替品は”フルドラグ”が必要な特殊な釣りにおいては使うのかも知れないけど、正直リールか体を壊しそうで怖いぐらい止まる。
 赤い繊維質のワッシャーの素材はそこまで極端じゃなく、リールにはよく使われてきた素材なので耐久性やらにも問題無さそうだしドラグ値上げるならむしろこっちを試す方が危なくないかもしれん。
 写真は左から、ポスカ1の石綿代替品2枚と赤い繊維質の1枚、750SSのカーボン2枚とテフロン1枚、マイクロセブンC1のテフロン3枚、714Zのテフロン1枚、タックル5No.1のドラググリスでグッチャリ濡れたフェルト3枚でございます。

 というようなことをお勉強して、ドラグは単純な機構であり、説明できないような不思議な力を発揮するようなモノはないと改めて確信しているので、皆様釣具屋にはいつも言ってるように適度に騙されておいて騙されすぎないようにしましょう。というお話でした。

2 件のコメント:

  1. 最近ミッチェル300系のドラグワッシャー交換して再調整しましたがシンプルな構成でこのサイズまでマルチディスクになってないし、
    それよりかなり小さい308系と殆ど同じサイズの小さいワッシャーしか入っていないしペンより頼りない感じですがコンデイションが良ければ、
    都市部の運河程度なら差し支えが出る感じではないです。
    赤い繊維系のあれ、ミッチェルのは経年劣化から駄目になってましたからスピンフィッシャーのファイバーワッシャーに交換、ドラググリス塗ったらかなり良い感じになりました。
    スピンフィッシャーのあのワッシャーは好感触ですがある程度のサイズの魚を調子に乗ってバンバン釣ってると確実に薄くなってきて巻き形状に影響するから定期交換の対象です。
    440ssまでは神経質になる必要はないですけど450ss系以上になると無視出来ない問題です。

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    1. おはようございます

       ぶっちゃけ近所でシーバス釣るぐらいなら、そんなにドラグに求められる性能って厳しくないですよね。最悪ドラグ効きが悪かったら逆転スイッチ切ってラインくれてやるってので昔の釣り人は対処してたぐらいだし。それも含めて「なにをご大層に」って思ってしまいます。
       赤い繊維系のが経年劣化するのは知りませんでした。参考になります。
       PENNの良いところはパーツが手に入れやすいことで、自分の場合メインで使ってる4400ssとかだと5年ぐらいでペッタンコになってきて、カーボンシートの表面が凸凹してない感じになって調整幅も狭くなってくるので交換してます。その年数から逆算して80まで生きる(釣る)つもりでドラグパッドは在庫してます。最近使ってない4500サイズ以上のドラグパッドとかとても死ぬまでに使い切れそうにないです。アホですね。
       へたってきて巻き形状に影響してくるのは、ドラグパッドよりも、スプール座面のテフロンのパッドが摩耗で薄くなってくるのとスプール裏自体が若干削れてくるのが大きいと思っています。私はスプール座面のワッシャー交換か追加で調整してます。ご参考まで。
       あと、スプール方面の問題の他にベールアームの傾きが変わってくることによる影響も巻き形状に加えてラインローラー角度にも影響してくるので対策が必要だと感じてたんですが、最近一つ解決法を実践してみたのでそのうち書こうと思っています。

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(2019.7)

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