○釣りにおけるブレーキについて
最近、ナマジはアンバサダーをいじっているし、ベイトリールの遠心ブレーキ周りの話かなとピンと来た人は鋭い。そのあたりの話題です。でもまあブレーキの壊れた勢いで、釣りにまつわるブレーキ全般について書いてみたいと思います。
釣りでブレーキというと、基本リールから「ラインを放出」する際のブレーキが主に議論になるわけで、ベイトリールの主軸を挟み込むメカニカルブレーキなんていうのは、締め込めば「巻き取り」に対するブレーキにもなり得ますしクリックブレーキのフライリールでは実際にブレーキを強く効かせると巻き取りにブレーキがかかるなんてこともありますが、それは意図しないブレーキであってレアケースでもあり無視しておきます。
もう一つ魚を止めるための機能ということをブレーキとして考え始めると、クッションゴムなんかもブレーキの一種だし、竿の弾力などもブレーキになり得ますが、ちょっとそのあたりの「魚の引き」に対するブレーキもひとまずは横においておきます。まあ、「ドラグ」と呼ばれるブレーキなんかは、ライン放出に対するブレーキでもありつつ魚を止めるために働いており、明確には分け難いのですが、ここからはあくまで魚に対する側面からではなくライン放出という視点からみて、ブレーキについて書いてみます。
まずは、「ライン放出」に限定しても、いくつか種類があるのでその分類から。
とりあえず、真っ先に思い浮かぶのが「投げる時(キャスト)」と「ファイト時」のブレーキ、それから「投げる時」に似ているけどちょっと違う、「落とし込み」時と、「アタリをとる」時、あとはフライリールとか垂らしの調整の時の「ライン引き出し」ぐらいの5つに分けると考えやすいと思います。
でもって、釣り具のどの部分でブレーキをかけるかという視点で分けると、メインはやっぱりリールで、「メインは」というからには、他にもあるのか?といぶかしむかも知れませんが、ロッドによるライン放出へのブレーキ、ラインによるライン放出へのブレーキ、ひょっとすると浮きやルアーによるライン放出へのブレーキもあるかも知れないと思うので、その辺のメインであるリール周り以外の話は先に片付けておきます。
まず、ロッドによるライン放出へのブレーキは、主にラインガイドとの摩擦であり、キャスト時にもファイト時にも発生するし、意図的に使用するテクニックもあります。キャスト時には、飛距離を出すためにはキャスト後なるべく竿先を投げた方向に真っ直ぐ向けてやりラインガイドとラインの摩擦を小さくしてブレーキをかかりにくくするというのは誰に教えられるでもなくとも皆やっていると思います。逆に飛んでいるルアーなどを減速させるときに、もちろんサミングやらがメインになりますが、竿を立ててやるというのも結構実践的な技術としてあります。ファイト時にも同様にラインガイドとの摩擦はブレーキとして働くのですが、基本ファイトは竿の弾力で魚の引きを受け止めるためにラインとの角度をつけて保持しているので、通常はブレーキがかかった状態です。その状態から、魚のジャンプ時やドラグが滑ることによるラインの放出が間に合わないぐらいの突進時には竿先を魚に向けてしまい、竿の角度分ラインを瞬時に放出すると共に、ライン放出の抵抗を減らしてやるというテクニックはあって「ボウイング」とか呼ばれています。
ラインによるライン放出のブレーキというと、なんのこっちゃと思うかも知れませんが、ラインには重さと太さがあって、空中では重力や空気抵抗、水中では重力か浮力と水の抵抗を常に受けていて、それがブレーキになり、ラインが長ければ長いほど、太ければ太いほどラインが放出されにくくなるということを意味しています。この辺はもの凄い長さのラインやバッキングを使うトローリングや海のフライで、魚が方向転換したときのラインの引かれる角度変化による横方向への引っ張りなどによる抵抗の増大や、スプールが痩せることによるドラグ値の実質の上昇とともに、ようするに「ラインが長く出ているときは、いろいろブレーキが強く効いているので切れそうならドラグ緩めるなり、船で追いかけるなり対処しろ」ということを覚えておく必要があると思います。
ルアーや浮きによるライン放出へのブレーキは、まあラインによるブレーキと同様。ラインより空気抵抗なり水の抵抗があるので、その分ブレーキがかかるという話し。ちょっと脱線すると、長いルアーを横ぐわえした魚って、割とおとなしい気がするけど気のせいだろうか?テコの原理的なもので魚の頭がこちらに向きやすくなっているんじゃないかと考えもしたが、支点力点作用点をイメージすると、それほどフックがかかっている作用点に力が入るような位置関係にないので気のせいかも知れない。どなたか膝を叩くような解説をしていただけるとうれしい。
もいっちょついでに、ブレーキとして重要なのは、人体によるブレーキだけど、サミングやフェザリングなどのリール周りについてはおいおい語るとして、昔、マグロ釣りの漁師さんが、放出するロープを軍手でブレーキ掛けつつ、さらに腰の部分に擦りつける形でブレーキかけている映像を見て痺れたということを書いておくにとどめたい。
でもってやっと本題の、もっともブレーキらしいブレーキであるリールのブレーキの話。リールのブレーキの主なモノは、メカニカルブレーキ、遠心力ブレーキ、マグネットブレーキ、ディスクブレーキ(いわゆるドラグ)、クリックブレーキ、ハンドル(ダイレクト)ブレーキ、珍しいところで空力ブレーキ、リールに組み込まれていないけどリールのブレーキとして切り離せない重要な役割を果たすサミングやフェザリングなどのハンドブレーキあたりでしょうか。
まず「投げるとき」のブレーキ。
スピニングリールにはバックラッシュが無いので、キャストに関連するブレーキらしいブレーキはついて無くて、ブレーキとなるのはスプールエッジの抵抗だけ。ラインが放出されるにつれスプールが痩せるとエッジとの角度が大きくなりブレーキが強くかかるので、その点を比較するとスプールの回転が始まってしまえば放出の抵抗が小さいベイトリールより理論上飛距離が出ないといわれていたりする。ただ、ベイトリールにはバックラッシュの問題があり後述するように常に何らかのブレーキをかけているのが普通なので、投げっぱなしでだいたいOKなスピニングの方が飛距離は普通出る。
投げっぱなしだと、ルアーなりが目標のポイントを超えてしまって、奥の木に引っ掛かったりするので普通は目的の位置に落とすためにハンドブレーキをかける。ナイロンラインでもそうだけど、PEラインは特に投げっぱなしでテンションのかかっていない「フケた」状態から巻き取ると、ラインがグズグズになってトラブルが多発するのでハンドブレーキは基本毎回かけるようにしている。
スピニングリールの場合のキャスト時のハンドブレーキは、スプールエッジ近くにロッドを持っている方の人差し指を差し出して、指にラインを当てる感じでブレーキをかける「フェザリング」が正当派のテクニック。妙にリールフットが長くてスプールエッジに人差し指が届かないリールは、「スピニングリールの使い方を知らないド素人が設計したリール」とけなされたりする。しかしながら、大型のスピニングリールではさすがに、スプールエッジに人差し指が届く設計というのは難しく、また人差し指一本では大型ルアーが飛んでいくのにブレーキはかけきれない。ということで竿を持っていない方の、当方なら左手の全体でスプールを包み込んで手のひらに放出するラインを当ててブレーキをかけてやるという方法になる。この方法がカタカナ英語で何というのか知らないが「フェザリング」の亜種だろうと思う。当方はスピニングは永らく投げっぱなしでいい加減に投げていて、正確なキャストはベイトリールでサミングで行うものと思っていたので、渓流でJOSさんのフェザリングの実戦レベルの技術を目の当たりにして、目から鱗で早速練習してものにした。その時、どうせ大型のスピニングも使うなら、左手でやる方法を覚えた方が良いということで、当方はスピニングは大きくても小さくても左手でフェザリングするようになった。渓流でややこしい場所に投げまくって修行しまくったので、スピニングリールでのキャストの正確性にはそこそこ自信がある。
ベイトリールだと、キャスト時のブレーキとしてはとにかく、バックラッシュを避けるためのブレーキが重要になってくる。バックラッシュはベイトリールはキャスト時スプールが弾み車のように回転し続けてラインを自動的に放出するんだけど、初速の回転が勢いよく回りすぎるか、後半ルアーなりが失速したときにスプールの回転が落ちない場合に、ラインが出ていく量より自動的に放出されるラインの量が増えて、ラインがスプール上で渋滞してもつれてしまう状態である。
この辺の解説は、競技としてのキャスティングもやっていた村田基氏の「間違いだらけのバスフィッシング」だったかに詳しいので概ねそこからのパクリなんだが、結構重要なことなのでここにも書いておきたい。
自動的に放出されるラインの量を、完全に、ルアーなりが飛んでいって引っ張り出されるラインの量と一致させると、理論的にはベイトリールではもっとも飛距離が出せる。そういう理想的なブレーキとしては、何があるかという解説で、村田先生は「サミング」と言い切っている。そうじゃない画期的なブレーキが開発されていれば大きな話題になるはずで、そうなっていないことから考えても、今でもそうなんだろうと思うが、ようするに最初に回転数が上がりすぎるのを抑えて、かつ後半投げたモノの失速に伴うライン放出量の調節を理想的に行い得るのは、今のところ人間の指先の職人芸だけだとのことである。なので、飛距離を争う競技の場では、遠心ブレーキを取っ払ったメカニカルブレーキも緩めまくった回転の良いリールでぶん投げて指先の技術で距離を稼ぐのだそうである。まあ、今後超小型のカメラアイ搭載でライン放出量にあわせて回転数を制御するような電脳的なリールが出ない限り、村田先生が何十年か前に書き記した言葉は色褪せないのだろう。
ただし、競技会の場ではない通常の釣りの場面では、村田先生は遠心力ブレーキとメカニカルブレーキの併用を勧めていた。メカニカルブレーキはどんなベイトリールでもついているスプールの軸を両側から物理的に押さえつけるブレーキなので、これで大まかな回転のスムーズさを調整してやる、その後に、マグネットブレーキか遠心力ブレーキかどちらかを選ぶなら、村田先生は、回転速度に比例してブレーキの効きがあがっていくマグネットブレーキよりも、摩擦力利用しているので速度の2乗に比例するんだったと思うけど、回転速度が上がると等比級数的に強くブレーキがかかる遠心力ブレーキの方が実用的だと書いていた。たしかにキャスト直後の高速回転中のバックラッシュは指先で調整するのは難しいが、後半ルアーの失速していく緩やかな調整は比較的簡単なので、高速回転時の効きが良い遠心力ブレーキを選べというのは一理あると思う。概ねその教えに従ってベイトリールは選んできた。
しかしながら、ぶっちゃけ遠心力ブレーキととマグネットブレーキはバス釣りだののルアーキャスティングではどちらでもいいんとちゃうのではないかと、いい加減な当方は思っている。結局、遠心力ブレーキでも、マグネットブレーキでもその効果が明確に感じられるほどブレーキを効かせると、如実に飛ばないんである。だから、ある程度ブレーキはゆるめにして、サミングで調整してやるというところに落ち着いてしまい「どっちゃでも実用上大差ないがな」と感じてしまうのである。
新型の丸ABUにはブレーキブロック6個も付いているが、結局2個しか使わないし、4個付いてるPENN975やアンバサダー7000Cも2個にしてしまった。最初のABUが2個ブロックだったのでその感覚に慣れているんだと思う。
(順番に6500C、6600CLロケット、PENN975、7000C、PENN545GS)
マグネットブレーキは、手持ちのリールではアンバサダーMAXに搭載されているけど、バス釣りに使う分には問題はなかった。わざわざ軽い樹脂製ボディーに重い磁石を使用するブレーキつけるのは何だかなと思わなくもない。
「キャスト当初の回転があがりすぎてしまうのは遠心力ブレーキで制御、後半の失速対応はマグネットブレーキで制御すれば完璧じゃないか。オレって天才」なリールも実在するが、2種類もブレーキつけると重くなるだけで、結局ブレーキが切り替わるわけでもなく、ダブルで効いてしまうと、またこれが飛距離が出ないので、結局ブレーキゆるめて元のもくあみになってしまうのである。
「バックラッシュせずに飛距離が出ます」という触れ込みのリールでも、現実的な物理法則に縛られている限り、魔法のように都合の良い性能はあり得ず、せいぜい「程度がよい」レベルだというのは、釣具屋さんに騙されないためには肝にめいじておいたほうがよいと思う。まあ、釣具屋さんに騙されてやるのも釣り師の努めかなと思わなくもない今日この頃。過去には空力なんていう囲いの中にプロペラ付いてるような意外なブレーキも発案されたこともあるようなので、驚くような新技術が出てきたら一口乗っても良いかもしれない。
次に、船でカレイなんか釣るときの「落とし込み」時のブレーキについて、これは実は当方はマグネットブレーキ派です。「そんなもんどうでもいいやないか?」というツッコミが聞こえてきそうですが、実際使ってみると「落とし込み」のためにこそマグネットブレーキはあると思うぐらいです。単純な話ですが、着底時にバックラッシュしない。この一点につきます。メカニカルブレーキも遠心力ブレーキも基本摩擦力でかけるブレーキなので、低速でスプールが回転しているときは効きが悪いのです。「そんなモン効きが悪けりゃメカニカルブレーキ締めろ!」というツッコミも聞こえてきますが、そうすると今度は着底までに時間がかかってしまって手返しが悪くなる。ところが、マグネットブレーキは直接接触しない摩擦の無いブレーキで、低速時だろうが常に磁力で一定以上のブレーキをかけておける。これが、餌つけて放り込んで着底を待つ間に、釣った魚の血抜きしたり手を拭いたりという忙しい作業にかまけて、着底のタイミングを見逃しがちなせっかちな釣り人にはありがたいのである。着底したときにバックラッシュしない程度にブレーキかけても仕掛けの落下速度がそれほど遅くならない。というような話をしたら「ちゃんと見といてサミングしろ」というツッコミをいただいてしまいましたが、船の手返し重視な釣りに使うベイトリールにはマグネットブレーキだと当方は思います。
次に「アタリをとる」時のブレーキ。
置き竿のブッコミ釣りでデカイ魚を釣るときにはラインはフリーに近い状態で出ていくようにしておかないと、竿を水中に持って行かれる。スピニングリールだとドラグをユルユルにしておいて、魚が食ってドラグがチリチリ鳴り出したら、やおらドラグを締めてフッキングという手法があって、カザフのヨーロッパオオナマズのガイドはその方法を薦めていた。ただアタリがあって慌てふためいてドラグを締めるのはなかなかにスリリングだが、締めすぎたり緩かったりもあって今一ドラグが決まらない。ということで、アメナマ釣りでは、竿掛けにクリップを付けるか、ロッドに輪ゴムで棒を止めて、それにベイルを起こしてフリーにしたラインをはさんでラインが風や流れでフケていかないように止めていた。魚がかかってひっぱっていくと、挟んだラインがはずれる。クリップにはスズが付いていてチリリンと鳴るようにしていた。
ベイトリールでも当初同様にフリーにしてラインを挟んでいたのだが、ツーテンの虎ファンさんとアメナマ釣りに行ったときに、不思議そうに「ナマジ、クリックブレーキって知ってるか?」と聞かれて、恥ずかしながら存じませんと答えたところ、丁寧に教えていただいた。ベイトリールの左の方のプレートに付いてるボタンをカチッと入れると、ラインを出すときにジリジリと音がするようになる。この状態でラインをフリーにすると、良い塩梅にラインにブレーキがかかって、全くのフリーではないので風やら流れで糸はフケて行かないけれど、魚がかかるとラインは出ていく。かつジリジリ音がしてアタリがわかるという優れた機能。さすがPENNインターナショナル975と感心していたら、「ABUでも6000番より上のサイズやったらだいたい付いてるで」とのこと、見ると自分の6500C4にもある。単にちょっと引っ掛かる金属片かなんかが左のプレートに組み込んであるだけの単純なブレーキだが、これがブッコミ釣り始め餌放り込んでアタリを待つ釣りには極めて優秀で便利きわまりない。
そうなるとスピニングにも同じ機能をと思うようで、アメリカの通販カタログにはクリックブレーキ機能を付けるためにやけにゴテゴテとしてしまっているスピニングが見受けられる。気持ちは良く分かるが、スピニングにはむかない機能だと思う。
「ラインの引きだし」の際に関係するブレーキは、概ね次に最後の項目として説明する「ファイト時」のブレーキに含まれるんだけど、1つだけ特に書いておきたいことがあって、フライリールのティボーのドラグはなぜジリジリ音がしないのか、理由があるんです。魚の背後に忍び寄ってさあキャストするぞというときにラインを引き出すときに「ギーッ」と甲高い音がして、魚に逃げられないようにそうなっているんだそうな。空中の音は水面で反射されてあまり水中に伝わらないらしいけど、でも心構えとしては重要だと思う。そう知っているとティボーが逆転するときの「コーッ」という音の味わいもまた深くなるというモノ。ティボーだけじゃないのかも知れないけど。
最後は、ファイト時のブレーキ。
キャスト時に働く、メカニカルブレーキ、遠心力ブレーキ、マグネットブレーキ、それからアタリとるクリックブレーキなんかもファイト時に影響がないかというと、ちょっとはあるんだろうけどまず無視して良いと思う。フライリールのクリックブレーキしか付いていない機種ではメインのブレーキだけど手でかけるブレーキとも併用なので説明省略。
まあ、ファイト時に使うリールのブレーキと言えば、ディスクブレーキであるドラグ、人間の手で止めるハンドブレーキ、逆転するダイレクトなハンドルによるハンドルブレーキの3つだろうか。
ドラグについては、いまさらここでとやかく言うのも無粋なぐらい、あちらこちらで書かれているし、メーカーもこぞって自社製品のドラグ性能を誇っているが、正直、そんなご大層なもんかよという気がしないでもない。原理は単純、スプール軸など(たまにスプール軸からギアなど介して別のところに持ってきている場合があるがだいたいダメ)に金属やらカーボンやらテフロンやら皮やらコルクやらの輪っかを何枚かあるいは1枚噛ませて、ネジで締め付ける。締め付けをきつくするとブレーキが強くかかる。以上。
ぐらいのモンで、まあ、熱に強い素材やら適当な滑りの確保やら、表面積と直径は大きい方が良さそうだとかは分かるけど、根本的にめちゃくちゃ高性能なものが出るわけがない、単純な機能である。
最近、F師匠にいただいた1982年製と見られるアンバサダー7000Cをいじっているんだけど、このドラグが3キロぐらいのそれなりに強めのドラグ値で実にスムーズに効いてくれて、どんなドラグ入っているんだろうと、グリスの塗り直しも兼ねて分解してみたら、ビックリ仰天、元はトローリングリールとかの技術だろうけど、てっきりキャスティング用のベイトリールには最近搭載されるようになったと思っていた、PENN975やらカルカッタやらの、メインギアに五枚ぐらいのドラグパッドという方式のドラグがまんまそこに鎮座していた。
PENNインターナショナル975多少、細かい調整ができるようになったくらいで、大仰に騒ぎ立てるなよメーカーさん、30年前に基本はできてたんやないか。という感じである。
ドラグに関しては、スピニングリールに関してはPENNスピンフィッシャーで問題を感じたことがない。ベイトリールに関しては、「ABUのドラグは今一で」とエラそうに講釈垂れていたが、全くABUアンバサダーの設計思想とかを理解していなかった馬鹿者の戯言でしかなく恥ずかしいとしか言いようがない。アンバサダーはサイズごとに対象魚とかを考慮して必要なドラグを想定して、無駄に高性能なドラグを積んだりはしていなかったというだけのことであった。ドラグに関してはベイトリールもメインギヤに5枚くらいパッドが入っていればそれ以上は贅沢言わなくて良さそうである。
アンバサダーということで、ドラグはまあまともなリールなら普通にドラグ効かせて使う分には問題無くて、魚を思いっ切り止める必要のある釣りをするときだけ、特殊なギッチリ締まるドラグのリールを探すなり、改造するなりしてやればいいのだろう。30年前のリールが頭の中をスッキリさせてくれた。
でもって、実は結構重要だと思っているハンドブレーキ。フライリールではクリックブレーキしかついて無くて、ハンドブレーキで実質調整するシーンは結構あったりする。その前にリール使わずフライラインたぐり寄せて勝負が付いてしまう場面も多いが、この場合のラインの出し入れもハンドブレーキの一種かも知れない。
当方が、ドラグは適当でいいやと思う根拠の一つに「ドラグで間にあわなけりゃ手で止めりゃいいや」という開き直りもある。海のフライでは最初からドラグ締めておくとフライライン引き出すのがしんどいので最初ユルユルにしておいて、ハンドブレーキで対応しながら竿の曲がり見て締めていくとテツ西山氏が書いていた。回っているフライリールの下の方から左手中指をスプールに当ててやる感じで当方はやっている。高速回転するハンドルに指ぶつけないように注意である。
ベイトリールでも、昔のトローリングリールには親指でブレーキかけても摩擦熱で火傷しないように、皮のパッドが付属しているモデルを見たことがある。高速でスプール回してくれるような魚を相手にするなら革手袋はめて親指でブレーキかけたって良いはずだ。やったこと無いけど。
スピニングでも、左手で回転するスプールをワッシとつかんで魚を止めるというのは可能で、これは練習していて結構できるようになってきた。
とにかく、ドラグをファイトの途中でいじるのは難しいので、魚は止めて頭をこっち向けてしまえば後はスムーズに寄ってくるはずなので、止めるのはハンドブレーキ、それ以外のファイト中は最初に設定したドラグ任せが自分には合っているように思う。
上手い人の映像とか見ると、最初のダッシュを止めた後はドラグギッチリ締めこんで、反撃させずに一気に寄せたりしているが、当方はまねすると必ず途中で反撃されてその時ドラグが滑らないと竿が支えきれない。何度か失敗して無理だと理解した。
そういう大物相手でなくても、ファイト中にドラグを締めるのは失敗につながるので止めた方が良いと思っている。ファイト中のドラグ調整が簡単なら、トローリングリールにレバードラグなんていう、あらかじめドラグ値をレバーでキッチリ設定してドラグ値を調整・変更できるような機能は必要ない。
船でカレイ釣っててもドラグが滑ると船頭さんが「滑っているから締めろ」と言ってきたりするが、滑らしているのである。ダッシュされたときにハリスが切れないように設定したドラグを締めたら、ダッシュされたら切れる。当たり前である。急いであげる必要ないのでゆっくり引きを楽しみながらあげてきているが、もし急いであげるなら、やっぱりドラグはいじらずハンドブレーキかけながら竿であげてポンピングで巻き取るの繰り返しであげるのだろう。ハンドブレーキなら突然突っ込んでも指を離せば良いだけである。
今はどうだか知らないが、昔の東北のヒラメ釣りでは、餌が小さいカタクチなのでハリスが4号とか細めなこともあり、結構同船者がハリスを切られているシーンを見たことがある。その後「ハリスを6号に」とか言っているのだが、当方は「ドラグって知ってます?」と聞いて良いもんだか失礼なんだか分かりかねる状況だった。ヒラメ底さえ切ってしまえば、根に突っ込むでもなしドラグ設定だけしっかりしておけば特に問題無いはずだけどよく分からない状況だった。
ドラグはほどほどに、後はハンドブレーキ。これが当方のファイト時の方針である。
最後の最後、重箱の隅をつつくような項目だが、逆転するダイレクトなハンドルによるハンドルブレーキである。
フライリールならビリーペイトのアンチリバース意外ほとんどダイレクトでラインが出ていくときはハンドルが逆転する。なので、最初のダッシュはドラグやらハンドブレーキに任せるが、ファイト中、巻いているときに魚が反転したりして、適当にラインをくれてやる必要がある場面では、手で加減しながらブレーキかけつつライン出してやるというのが普通にある。
ベイトリールでは昔はダイレクトリールが当たり前で、投げるときもハンドルが回っていた。その時代は直接は知らないけれど、虎ファンさんがコレクターなのでどういうリールかは知っている程度。普通にフライリールのようにファイトしていたのだと思うが、今のベイトリールはほぼ逆転しない。ちょっと前だとダイレクトな釣り味を堪能するための片軸受けのムーチングリールなんてのはあったし、アンバサダーでも投げるときにはハンドルは回らないけどファイト時にはダイレクトなやりとりができる「D」モデルがあって、ケン一が確か1台持ってた。
で、スピニングリールなんだけど、スピニングでダイレクトって無いだろ?と思っていただければ幸い。書きガイもあるというモノ。スピンフィッシャーでもSSGでは省略しちゃって、無くても良いような機能なんだと思うけど、スピニングリールには逆転できるようになるレバーが付いていて、これを逆転させてダイレクトドライブ状態にしてファイトするというテクニックが存在したのである。今やっている人がいるかどうかは別として、昔のドラグが今一なスピニング使用時に魚が突っ込んでドラグが滑らないときに、とっさに右手の小指でレバーを切り替えて、逆転させて切れないようにラインを出してやるというのをやっている人がいた。ついでに言うとその人はそのためにはレバーが小指の届く位置に無ければならず、アホみたいにリールフットの長いスピニングは「スピニングリールの使い方を知らないド素人が設計したリール」とまたもこき下ろされていたのであった。
ちなみに写真はスピンフィッシャー6500SSでそれなりに大きなリールですがちゃんと小指届きます。
とまあ、いろいろ書いてみました。ブレーキ良いのが付いてた方がありがたいけど、キャストもファイトも「最後は手で止めろ」という感じです。
(2013.1.27)
最近ミッチェル300系のドラグワッシャー交換して再調整しましたがシンプルな構成でこのサイズまでマルチディスクになってないし、
それよりかなり小さい308系と殆ど同じサイズの小さいワッシャーしか入っていないしペンより頼りない感じですがコンデイションが良ければ、
都市部の運河程度なら差し支えが出る感じではないです。
赤い繊維系のあれ、ミッチェルのは経年劣化から駄目になってましたからスピンフィッシャーのファイバーワッシャーに交換、ドラググリス塗ったらかなり良い感じになりました。
スピンフィッシャーのあのワッシャーは好感触ですがある程度のサイズの魚を調子に乗ってバンバン釣ってると確実に薄くなってきて巻き形状に影響するから定期交換の対象です。
440ssまでは神経質になる必要はないですけど450ss系以上になると無視出来ない問題です。
こんばんは。
返信削除釣行記作成中だというのについつい読みふけってしまいました。
確かに普通に釣っていると走らせる釣りを覚える機会は少ないですね。私の場合は青物がかかった時にベールオープンで走らせる方法を磯釣りの本で読んではいたのですが、地元の波止でナルトビエイを掛けて、一瞬で切られた次の1投が初体験でした。
磯釣り、特にグレ釣りは走らせてはいけない釣りの最たるものですね。ドラグと磯竿の相性は悪く、効きも不安定になりがちだし、糸がズルズル出てしまったら反撃すらできずにKOです。
そんなグレ釣りでのやり取りの主役はリールではなくて竿です。竿の弾力で糸を守りつつ魚を止め、体力を奪っていくので、弾力が最も活かされる角度(今の竿では90度、一昔前の竿では竿尻が魚の方を向く角度)を維持し続ける必要があります。レバーブレーキ(普通のリールの逆転ストッパーつまみが進化したもの)は、魚に強く引かれて体勢を崩された時にリールを逆転させて必要最小限の糸を出すことによって一瞬にして角度を取り戻すための仕組みです。
なお、今のレバーブレーキにはドラグが付いていますが、基本的にはそういうやり取りの補助装置として機能します。もちろんブリとかシイラとかスマなんかが食いついたら普通にドラグを使ったり、ベールオープンで走らせたりもしますけどね。(レバーブレーキには負荷を調整する機能はありませんし、リールの逆転で大型青物に対処するのは無理があります。)
磯釣りのやり取りは一見特殊なように見えますが、色々な釣りで役立つので、研究してみるのも楽しいですよ。
まーた嘘書いてしまいました。恥の多い生涯をおくってます。
削除レバーブレーキはあの位置にあってどうやってドラグに干渉させてるんだろうと不思議に思って、竹中先生のレバーブレーキリール本を読み始めたところでしたが、普段から使ってる人に教えてもらうのが早かったですね。べつにドラグの効きを調整してはいないのか。納得。ご教授感謝。
磯に上がってサメ釣らなきゃですので磯から手持ちの竿で大魚を狙う青木氏のブログ「磯の作法2」とか読んで勉強しておきます。分からんことあったらまた教えてください。