○大森製作所ネタ その3  

  大森ネタをブログにしたときに、サイトのほうにも再掲してまとめてたんだけど、写真データが多くなると重すぎて読み込み編集できない有様になってきたので、わけてみました。その3(2023.7)



2023年1月7日土曜日

アメ車っぽいけどアメ車じゃないキャデラック

 昨年の後半の大森熱から来る急性”デカ大森”欠乏症は今もちょっと続いているぐらいでたちが悪い。 とりあえず、昨年からの続きでコンパック「スーパー7」がスプール上下関係の亜鉛部品がボロボロだったので、ボロい同型機を買って”ニコイチ”化して1台稼動品に持っていきたいというのが作戦としてあって、セカイモンでお買いもんしてコンパック「キャデラックⅣ」というのの足折れ個体を確保して、無事クリスマス前ぐらいに我が家にやってきて、分解・清掃、そして合体できたのかどうなのか?っていう展開になっております。

 ということで、今年の”スピニング熱”関連一発目は「キャデラックⅣ」からいってみたいと思います。今年もご用とお急ぎでない沼の底の皆様にお楽しみいただければ幸い。とりあえず結果からいっときましょうか。

 この個体の部品を使って「スーパー7」を稼動品に持っていくことはできませんでした。

 はい、終了解散。

 ってわけにもいかないので、負け戦の解説なんていう言い訳がましいことを読んでいただきましょう。

 まずコイツら微妙に大きさが違います。右のキャデラックⅣのほうがちょい小さい。こんな似たような見た目で新しい金型作って新型ってことはないだろうと思ってて、まず本体は同じ金型で、スプール上下のためのオシュレーション機構も胴体の形が同じだから同じようなモノを入れるためにそうなってるんだろうと、今思えば自分の都合の良いように思ってた。人は真実や論理的、客観的なことがらを信じるわけではなく、自分が信じたいことを信じるとは良く言われることだけど、全くその通りと認めざるを得ない。
 でもってパカッと開けると、スパイラルベベルギアなのは同じとして、オシュレーション機構は、ハンドル軸のギアの上で主軸に固定されたオシュレーションカムが上下するという極めて単純な方式で、「スーパー7」のあのローター軸の回転を拾って力強く歯車回して、90度曲折して”タイヤ”はかせたカムが主軸を上下させるという凝った方式は全く捨てている。オシュレーションカムの裏側に玉が入ってて滑らかな上下動を助ける設計なのはちょっと凝ってるけど、方式自体はごく一般的なハンドル一回転で一往復の左右入れ替えできないギアに採用される方式で、肩すかし食らうと共に、ひょっとして大きさは微妙に違うけど、オシュレーション関係の部品は共通だったりして(そうあってくれ!)、という願いも空しく、この時点でスプール上下関係がボロボロの「スーパー7」、フットが折れてて全体的にボロい「キャデラックⅣ」という、個別の2台の使えない大型リールが我が家に勢揃いしてしまっている。沼の底のドロに足がハマったイヤな感触。
 仕方ない、キャデラックⅣの内部は特に問題ないようなので、外回りは何か考えてみるとして、とりあえず分解清掃してキャデラックⅣをどうにか使用可能なところまで持って行く方針とする。こうなるんなら足折れてない個体が数ドル上乗せで手に入ったものをと、死んだ子の歳を数えてしまうようなワシ。

 まあ、特に変わったところはなく、気をつけるところとしては、ローターがナットの他にギア上部に切ったネジで締められて止まっているので、本体側のローター軸のギアの底に切り欠きがあるのでそこにリール付属品のドライバーなど突っ込んで固定してローターを回して外してやる。外してやると玉が転がり出てきて、スラストベアリング機であることが判明。玉をなくさないように気をつけましょう。というぐらいか?特にビックリするような機構はなくてわりと単純にまとまってて、それはそれで良い。良いんだけどちょっと気になるのはローター軸のギアが真鍮の芯に亜鉛のギアをあわせているように見えるけど、強度的に大丈夫なのか?ハンドル軸のギアも同様でギア自体は亜鉛かアルミかっていう見た目。最終的に組み上げてグリス盛り盛りにして回してやると、わりとギアゴロ感強めで、スラストベアリングの締め付けがキツすぎたのか、ギアが摩耗してしまってるのか、それともベベルギア系ならスパイラルベベルギアでもこんなもんなのか?正直良く分からんところ。まあ気にすんなか?ワシが気にせんかったら日本ではほぼ気にする人間はいないはずだ。

 というかんじでギアゴロ感はあるものの、釣りできないほどの不快さはなくて内部はグリスマシマシで仕上げたのでとりあえすこんなもんかという感じなんだけど、外回りは折れてる足の他にも塩かぶってか結構ボロい。

 とりあえずラインローラーが腐蝕して固着してるのは取れそうにない。早々に諦めた。そして、ラインローラーに落ちるラインの輪っかをしごくワイヤーのガードを止めているネジがこれまた固着していてねじ切れて頭が取れた。こちらはワイヤーガードを固定することができれば足りるので、ベールアーム側に残ったネジをほじくるようにドリルで穴を開けて、ちょうど穴に入る200LBのナイロンショックリーダーを炙って頭を作って固定、反対側で切ってちょっと炙ってウレタン系接着剤でシーリング。ローターに固定式のベールアームでベールワイヤーだけが反転する方式とともに、ラインローラーに落ちる前にラインを一回しごくのはこの時代のデカ大森の”売り”だと思うので頑張って補修してみた。ベールアーム反対側の巻き数多いバネを使ったベール反転機構も、これで3度目なので外してグリス塗って難なく填めることができる程度には慣れてきた。

 ドラグ周りはとりあえず無事で一階建て方式。スプール裏のドラグの音出しのバネが紛失していたので、適当にステンレスワイヤーででっち上げておいた。

 折れてる足だけど、竿のシートにそのまま填めようとすると、竿のシートに刺さってた部分が残る形でポキッと折れたんだろうなというのが良く分かる。試したのはFujiのパイプシートだけどほぼ折れた側は刺さらないので”ダメだこりゃ”感が漂うけど、どうにかせんとゴミが増えただけという結果になってしまうので、まだ残ってる部分をシートにねじ込めるように加工する。まあ角を金ノコで落としてから、サンドペーパーで削って尖らせてという力技の工作。ゴリゴリ切ってガリガリ削る。

 おかげさまで、Fujiのパイプシートは足を樹脂でしっかり保持する感じなので、浅めに入るようになっただけでかなりしっかり固定はできる。無理矢理削っていけばもっと深く差し込めるようにはなるけどまあ今日はこのぐらいにしといたるワ。


 ということで、折れた足はなんとかシートにハメられるようになって、内部機関はギアゴロ感程度で使用可能、あとは固着したラインローラーなんだけど、これはスーパー7と共通部品なので、実際使うとなったらスーパー7から持ってくるという解決策はある。ということで苦しいながらも”ニコイチ”でなんとか1台稼動状態には持って行ける目処は立った。たったけど、この大きさのリールを実際使う場面はなかなか想定が難しい。糸巻き量的には大型青物とか狙う大きさだけど、丈夫なベール周りやどちらかというと滑らせるよりガッチリ止めて使うのに適したドラグを見ると、ドラグあまり出さずに魚とケンカして獲るような釣りのためのスピニングなのかなと想像してるんだけど、そういう少ないチャンスを逃したら後がない一発勝負的な釣りに、使ったこともないリールの性能を知るために使えるかってうと、正直よう使わんだろうな、ということで冷静に考えると3台もデカ大森買ってしまったけど、出番作れんよなこれ?と我に返るのである。

 まあ、ここらで手を引くのがこれ以上傷口を広げないためには得策で、だいぶお金も時間も情熱も突っ込んでしまって引っ込み付かなくなってきてたけど、投資でいうところの”損切り”でここら辺で一旦終了としたい。したいんだけど多分このベールアームがローターに固定されたインスプール大型機の最終形であろう「シェイクスピア2250」あたりがポロッとネットオークションとかに出てたら、自動的に手が滑ってマウスをクリックしてしまうんだろうなという予感はしてたり、してなかったりする。

 ”スピニング熱”はもう持病であり完治しない気配がアリアリとする。今現在整備待ちのリールが、ブログネタにするつもりがないPENN714Z、マイクロセブンC2×2の他に、大森関連が3台、その他ボロリールが5台と溜まってしまっているので今年もスピニング熱ネタはボチボチと書き続けてみたいと思います。沼の底の皆さま、ご期待ください。

 関係ないけど、キャデラックもスーパー7も車に同名のがあるけど、この時代は商標権とかそのへん大丈夫だったんだろうか?スーパー7はともかくキャデラックとかもろ米国製だしどうなんだろ?





2023年1月14日土曜日

ついでにもひとつキャデラック

 前回紹介したスーパー7の部品取り用としてのキャデラックⅣボロ個体は、結果からも明らかなように、購入時点ですでにある程度”ハズレ”で、ゴミを金掛けて米国から個人輸入するということになることが、予想というか予定されていたところであり、それだけだと悲しすぎるなと、お楽しみ用にもう一台ついでに(何が”ついで”なのか意味不明な供述をしており)とこれまたキャデラックの”Ⅲ”を確保していた。うんうん、しかたないしかたない。来た時点でグリス古くなって回転重く小傷とかはある状態だけど、機関はとくに異常ないようで分解清掃、グリスアップ整備で冒頭写真のようにそこそこ良さげな状態に復活。まあ一安心である。4,975円(送料別)もはりこんで、もともとのお買いモンであるⅣより金かかってるという本末転倒状態だけどまあ気にしないでおこう。

 このリール、形的には丸ミッチェルに似てて、ボディーは丸いベベルギアの形を反映しつつ、主軸が下がるお尻の部分が突き出してるのは基本一緒。ただだいぶ違うのが大きさで、単体の冒頭写真だと渓流とかに使えそうな大きさに見えなくもないけど、実際には重さ約570グラムと海用大型リールのサイズ感で4桁PENNだと金属ボディーの6500ssよりちょい小さいぐらいだろうか。デカリールであるⅣと比較しても右の写真のようにそこそこ勝負になる大きさ。

 でもって、使いもしないだろうから既に飽和状態で我が家の蔵に転がってるデカ大森を、さらにもう一個追加しようとなぜ思ったのかというと、これ1952年発売”ダイヤモンドリール第1号機”の候補の一つだとワシにらんでいるからである。大森沼の住人としてはちょっと興味あるよねって話で、ただ、正確な情報がなくて、このタイプのスピニングだったのは確かだけど、そもそも販売時の名前もブランドも不明、大きさも分からんということで、箱絵っぽいイラストからその正体を推測してるに過ぎないんだけど、候補として絞ったのは今回入手したコンパック「キャデラックⅢ」とオリムピック「ハリケーンNo.45」そして同「サーフライダー」でとりあえずコンパックブランドのに手を出してみたというわけ。他にもオリムピック「ハリケーンサターンNo.49」はハンドルちょい違うだけ、同「マーキュリー」もちょい脚が違うぐらいで似てる、と似たようなのは結構あってこれらのどれかがダイヤモンドリール第1号機なのか?それともダイヤモンドリールブランドで出ている機種が別にあり、これらの中にその同型機が含まれるとかなのか?現時点ではなかなか知りようがないので、引き続き情報気にかけつつ、とりあえず今回のキャデラックⅢは候補の一つという整理にしておくことにした。
 話脱線するけど、マーキュリーと言えば洋楽好きなら”フレディー・マーキュリー”だろうし、アニオタならちょっと前までなら”セーラーマーキュリー”だったんだろうけど、今なら断然”スレッダ・マーキュリー”ちゃんだろう。「ガンダム水星の魔女」の第12話ではドン引きさせられた。
 閑話休題、でもって分解していけばある程度癖とかで大森っぽいか?そうでないか?分かることもあるだろうし、いじったことがない機種なので面白そうなのもあり、はりきって分解清掃注油の作業に突入していく。

 まずは、スプール周り。
 70年前のリールだとすると、ドラグができすぎなぐらいに普通に今時のと同じようなのが入ってる。スプール裏のドラグの音だしは逆回転しない方式で凝ってるし、ドラグパッドとワッシャーを押さえる”蓋”もリールのオマケのドライバーの背中をマイナスドライバーとして使うようなーネジ切ってあってしっかり締めて留める方式。ドラグのバネはドラグノブの中に内蔵、そして、ドラグパッドは3階建て方式。
 ドラグの構造なんて昔っから変わってないって話。
 さすがに皮のドラグパッドは干からびて固くなってるけど、当時の状態のままをなるべく維持しておきたかったので、洗って古い油と汚れを軽く落としてグリス塗るだけにしておいたけど、カーボンのドラグパッドで似たような寸法のを入手して大きさ調整して換装してやれば、今時のリールと遜色ないドラグ性能になるはずである。古い日本製のリールだとドラグが分かってない設計のもたまにあるけど、コイツは既にドラグが分かってるリールである。そのへんちょっと大森臭がするところ。

 次に本体内ギア周り。
 パカッと本体蓋をあけると、丸いボディーに丸いベベルギアが鎮座してるのは丸ミッチェルでも見慣れた構造。
 スプール上下(オシュレーション)機構はハンドル軸のギアの上に突き出したピンで主軸に固定したオシュレーションカムを上下挿せる方式。なのでハンドル一回転一往復。
 ハンドル軸のギア上のピンは、”カラー”をネジで留めている方式で、カラーが回転して摩擦軽減してるのは後年の大森の左右両用じゃないリールでお馴染みの方法と似ている。
 ストッパーはハンドル軸の裏に歯が切ってある方式。
 ギアの素材はローター軸のは真鍮。ハンドル軸のはおそらく亜鉛だと思う。ハンドル軸のギアには当然のように焼き入れした綱だと思うけど鉄系の芯が鋳込んである。そしてその芯を受ける本体のハンドル支持部には真鍮のブッシュが入っている(写真でちょっと見えているのはガタ調整の銅製シム)。このへんのギア周りのしっかりした作りは大森っぽいといえばいえる。
 なにげに本体に本体蓋を填める端は段差になっててカパッと填まって、グリスシーリングしておけば防水性良さそう。

 でもってローター軸のギアを抜きたいんだけど、ちょっと抜きにくい。ローターを留めているナットを外しても抜けず、明らかにローターを回してローター軸のギアの上部から抜かなきゃなんだけど、ギアを固定しないとローターが回せず、ギア固定用の穴とか切り欠きとかがないので、ハンドル軸のギアを押しつけて回転しないようにしてギアをガリッと削ったりしないように慎重にローターを回して緩めると無事外すことができた。
 ハイ、全国のBBB団(ボールベアリングをボロクソに貶す者の団)の皆様、お待たせしました。このリールにはボールベアリングは入ってません。リング状の真鍮製の輪っかが”ブロンズベアリング”として入ってるだけです。実に良い感じです。
 ローター軸のギアは本体内に落とすように外して、上部のカラーを上から抜くような構造になっております。

 そして、独特なのがベールリターンの構造。
 写真上2枚がベールを起こして投げられるようになった状態。
 左のようにローター裏に本体から突き出す棒を”とおせんぼ”するように斜めに板が突き出す形の部品が配置され、これがローターの外までつながる棒につながっていて、棒の先が右写真の矢印の位置でベールアームの穴状の窪みに刺さって反転を止めている。
 ハンドル回してローターが回って”とおせんぼ”してた斜め板が本体から突き出した棒に蹴飛ばされると、下写真左のように、ローターの外でベールアームの窪みに刺さってた棒を内側に引っ張る。そうすると当然刺さってた棒は外れて、ベールアームが返る。写真下右は返った状態で矢印は棒が刺さってた窪み。
 やや機構が複雑だけど、確実に作動する仕組みになってる気がして面白い。

 あと、ラインローラーは固定式で、素材が濃い灰色っぽい金属でタングステンっぽい気がする。固定式なんだけど何故か芯に真鍮のスリーブが入ってて、真鍮のスリーブを延長するようなちょうど良いワッシャー的な部品を追加してやれば、隙間に落ちない太いナイロンライン使用が前提だけど、ラインローラー回転式にも改造可能なような気がする。ベールアーム側にはラインローラーが填まる窪みがあるのでライン落ちないだろうから、逆のベールワイヤーの終わり側に樹脂製のカラーでも成型して追加して隙間の上を覆ってやればある程度細糸でも落ちないようにできるかもしれん。とはいえとりあえずは現状維持で。

 パーツ数も少なく、整備性は良好。ベベルギアで1:3.5ぐらいの低速機なので巻きは重くない。ギアゴロ感もたいしたことなく、ハンドル回してのベールの返りは軽くて気持ち良い。このサイズのリールでラインローラー固定式は、さすがに対象となってくる魚が青物とかだろうから厳しいけど、回転式に改造して、ドラグパッドをカーボンシート式のに換装したら、巻き取りスピードの遅さはスプール径のデカさである程度カバーできるとして、ついでに巻きが軽いので一所懸命巻いたら何とかなりそうで、単純で丈夫に作ってあるしそこそこ使えそうに思う。
 っていうぐらい、基本設計的には良くできてて、1952年製にしては整いすぎてるような気がする。足の裏には「compac japan」表記があるので日本製なのは間違いなく、だとすると大森っぽくはあるんだけど、コイツは”ダイヤモンドリール第1号機”ではないのだろうか?もっと後の時代のとかの可能性もあるのか?
 さすがに70年前の機種でイラストでしか見たことないリールがなんだったかを断定するのは難しいのが正直なところ。なので、今回はその候補の一台ってことでお茶を濁しておきたい。

 実際に第一号機からこの完成度で、大森製作所が”栴檀は双葉より香し”だという結論になったらそれはそれでさすがというところだし面白いなと思ってるので、引き続き情報拾えないか、気が向いたらネットで沼の底のほうに潜ってってみよう。

5 件のコメント:

  1. このキャデラックの国内仕様はオリムピック#83だと思います

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  2. 匿名さん こんばんは
     オリムピックNo.83はボディー同型っぽいですがベールがハーフベールで異なっています。
     このへん似たような機種まだあると思います。

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    1.  オリムピックの83にはフルベールのモノもあったようです。失礼しました。ロゴがオリムピックになってるのとハンドルノブの色が違うぐらいで同型機のようです。匿名さんの情報で正解のようですね。

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  3. ナマジさん、今年もよろしくお願いします。

     なんと、キャデラック系統補完計画でしょうか。自分でリスク負わずして詳細を見られるとは涙が出ます。
    イラスト1点と伏せられた商品名しか手がかりがありませんが、ナマジさんは慎重ですが私はこの機種に特定していいような気がします。

     私は似た機種のHURRICANE MODEL 45 SURFKING に同じく使いもしないのに手を出しましたが、フットにolympicと入っているもののドラグなんかの考え方は大森臭があり、雰囲気はバンタムなどに通じる感じがあると思います。
    アトラスⅡの時期まで日本仕様もコンパック銘で流通させてたので「ダイヤモンドリール第一号」とはいってもダイヤモンド銘の個体があるとは考えづらい気がします。

     このところヘビー級高脂質のコレクションで見てるだけで腹が出そうです。
     この調子でセンタウレ似のハーフベールまでオーバーランしての比較検証期待してます。

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    1. こんばんは
       キャデラック方面はそろそろ熱が冷めてきて、また変な方向にポンと飛びます。
       キャデラックⅢとハリケーンNo.45はビンゴかなと私も思ってますが、真相は謎のままの方が楽しいかなとも思って確定的な書き方は避けました。

       スーパー7がヤ○オクに出ててドキッとしましたが、れいによって「スプール上下しません」というジャンク個体でやはりあの亜鉛鋳造のオシュレーション関係部品には問題があったのかもしれません。

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2023年2月4日土曜日

ガシャーン!!って昭和ロボ感がそこはかとなく

  気にはなってたけど、手を出さずにきていたものに、大森のアウトスプールでも”外蹴りアウトスプールマイクロセブン”以前のアウトスプール中大型機があって、独特の外付け方式のベールスプリングの収まったシリンダー的部品とかが特徴的で、気にはなっていたけど、大森1300サイズは4桁PENNだと5500SSぐらいの中型機で使いみちも想定されず、かといって人気があるわけじゃなしで、買ったところで売るのに困る不良在庫化必至のしろものなので、まあ手を出すまでもないかと思ってたんだけど、ここのところ”デカ大森”を立て続けにいじってきて、勢いがついてしまい、売れはせんけど買うときもたいして金かからん、という割り切りもあって、またついマウスが滑ってクリッククリック。開始価格の1200円落札でプラス送料870円は立派なゴミスピ価格。その名は「ダイヤモンドスーパー1300V」。

 さて、我が家に来てみるとわりとボロ目の個体でいきなりハンドルのノブをクルッと反転させて収納するのが固着している。これはいきなり分解清掃ではなくて、スプール、ハンドル外した上でネジだの隙間だのにCRC666を吹き付けた後ビニール袋につめてしばし漬け置き、が必要だなとなって、その後の作業とあいなった。
 CRC漬けにして数日放置の後、分解清掃に入ると、残念ながらハンドルノブをクルッと本体側に回すためのネジは緩まずで残念な結果だったけど、その他は問題なくネジも外せて一安心。

 スプールから古いラインを引っぺがすと、下から真ん中が盛り上がった形状の樹脂製の”エコノマイザー”的な部品が出てきて面白かった。外せそうで微妙に外せず、壊しても馬鹿臭いのでそのまま放置。深溝を浅溝化するのはこの方式でそんなに支障ないと思っている。一つのリールにいろんな仕事させようとすると、細糸だと下巻きが面倒だったりするけどエコノマイザー方式なら楽で良い。でも今時のメーカーは浅溝スプールが交換用にあるどころか、浅溝専用機種を買わせてくる方針のようで胸くそ悪い。騙されてそんなクソリール買わんで欲しいと思う。互換性のある浅溝スプールがあれば良しだし、エコノマイザーなら貧乏人にはなおありがたい。まあエコノマイザーは自分でコルク削ったりして作れるけどな。

 でもって、分解していくともうこの時代だと、ザ大森方式っていう感じで、ドラグはフェルト製3階建て。一枚耳付きワッシャーが多いのは、スプールのドラグ穴の底が平面じゃなく軽量化のために柱が入ってるような構造なのでドラグ穴の底の代わりにスプールに固定の座面として入れられている。
 真ん中の脚付きの本体フレームはれいによって左右両用で、ネジ2個でしっかり止める方式のオシュレーションスライダーが、左巻き仕様本体左側のハンドル軸ギアの上のカラーの填まった突起でハンドル一回転で1回上下する単純方式。オシュレーションスライダーを填めるのに、本体フレームにオシュレーションスライダーを主軸に刺して先に固定してから、ハンドル軸のギアを入れた本体左側をギア上の突起がオシュレーションスライダーの溝に入るように填めてソッ閉じ、というのが順序だと思ってたけど、この機種だけか、インスプールマイクロセブンとかでも実はそうなのか、先にハンドル軸のギアを填めた本体左側と、本体フレームを合体させてから、縦にしたオシュレーションスライダーをギア上の突起に合わせて隙間からギア上に置いて、クリッと90度回転して収まるべき位置に収めてから上から主軸をブッ刺して固定というのが問題なくできた。この方が何かとやりやすい。
 ラインローラーは真鍮製のブッシュ入りで回転式。特に固着もなく普通に回ってた。
 ギアは大森得意のハイポイドフェースギア。別に気になるほどのギアゴロ感もなく充分スムーズ。逆転防止はハンドル軸のギア裏にかける方式。ローター軸のギアにベアリングが一つ入ってるのもあってか巻きは充分軽い。

 でもって、この機種の最大のみどころである、ローター外側ベールアーム下部に鎮座いたしますグルグルバネの入ったシリンダー。隙間から見せてる部分は一部で実際にはシリンダーの長さいっぱい使ってバネを収めてあるので、ベールを起こしたり返したりするベールスプリングの耐久性的には。今時の真ん中に心棒があってグルグルバネ方式、もしくは溝にはまったグルグルバネ方式と比べても遜色ないものだろうと思う。
 グルグルバネ方式は長らく特許の関係でスピニングリールに採用できなかったと聞くが、このシリンダー方式は特許的には大丈夫だったのだろうか?微妙な線のような気がするけどあまり気にしないでおこう。

 小型機に乗せるようなあんまり小さいシリンダーは難しそうだし、ローター外側に可動部が露出してしまってるのは、ラインが噛んだら一発裁断されてしまいそうな不安もあるけど、耐久性については後年大森製作所も採用していた2巻きか3巻きしかないトーションバネ方式(安全ピン開いたような形のバネ)より間違いなく長寿命で、通常5巻き前後と巻きが多かったインスプールスピニングのベールスプリングよりも長持ちするだろうことは明白。

 仕組み自体は難しくはなくて、ばねが押し縮められて入っているシリンダーが、シリンダーの根元からみて中央から右にベールアーム側の接続部があれば、右に押しあげてベールアームは戻った状態に固定される。手で中央を越えてベールアームを開いてやると、中央から左に接続部が行った時点で今度は左に押あげるので、ベールが返った状態で固定される。やってることは一般的な手でベールを返すことができるアウトスプールスピニングのベールスプリングと一緒。外蹴りでそれなりに作動時重い感じはあるけど、ガシャーンってシリンダーが縮んで伸びるのは、なんとなくメカメカしくて良いのです。

 ハンドル収納時のノブの反転だけ固着してるけど、他は分解清掃できて実釣可能な感じに仕上がりつつあるんだけど、塩水使用で塗装が剥げて腐蝕しているスプールエッジが、さすがに投げるときにラインを痛めかねないし飛距離もおちるだろうということで、スプール主軸に刺してドリルで回しつつサンドペーパーで腐蝕の凸凹をならして、そうすると剥き出しになったアルミは腐蝕に弱そうなので、気休めかもだけど上にエポキシを塗ってコーティングしておいた。

 いつものように青グリス盛り盛りで整備終了。左右兼用の本体フレームにハンドル側にギア、反対側に蓋という大森好きにはお馴染みの構造からいって、マイクロセブンDXと同時代1960年代真ん中へんの設計なのだろうと思う。投げ釣り用でよく売れたのか、同様の設計で「デラックス1300」「スーパー1300」「スーパー1300QS」「1300SSS」とかの1300系のほかにもファミリアというシリーズもネットオークションとかで散見される。この時代になるとだいぶ洗練されてきてる印象で、部品数も少なめで単純な整備性の良い設計だし、真鍮スリーブ入りラインローラー、滑らかで丈夫な綱系軸入り大森製ハイポイドフェースギア、ネジ込み式ハンドル、耐久性の高いベールスプリングのシリンダー方式にドラグはフェルトパッドの3階建て方式と実釣に持ち出してもある程度使えることは想像に難くない。兄弟機の多さから言っても、大森製作所を代表するようなリールの一つだろうなと感じたところ。
 ただ、いかんせん投げ釣り用のリールということで、冒頭でもボヤいたけど中古リール市場ではあまり需要が無く、そのくせ玉は少なくないのでいきおい値段は安い。買うには嬉しいけど売れんがなこんなモン。
 ラインローラーがブッシュも入った回転式ならPEラインでも行けそうに思うので、ドラグがフェルトパッドのままでいけるかどうかは試験してみないと分からんけど、青物狙いとかに持ち出しても案外使えてしまいそうな気がする。ギア比も4:1ぐらいとそれほど遅くはない(4桁PENNの5500ssで4.6:1)。

 売れぬなら使ってしまおうホトトギス。という気がちょっとしてます。




2023年2月11日土曜日

スーパー7とはこういうのだと思ってました

 

 まあ普通の人なら”スーパーセブン”っていったらルパン三世が乗ってたようなクラッシックカーを思い出すんだろうけど、大森熱患者なら以前紹介したゴッツいコンパックブランドのではなく、こっちの方を思い出すんじゃなかろうか(当社比)?

 こっちの大森製作所「ダイヤモンドスーパー7」は、大森の歴史ではプロラインの後に作られた最後のウォームギア機だと思うんだけど、ちょっとカタログ掲載年とかわからない。つくりが”オートベール”的なので70年代終わりか80年代始めぐらいだと思ってるけど、ご存じの方おられたら情報提供ヨロシクです(※1979年発売と判明)。

 ウォームギア機って使い慣れると独特の味があるように思うところ。「パワーがなくてゴリ巻きできないからダメ」とかの不平不満を、スピニングリールのなんたるかを知らん釣り人が書いてたりするけど、これまでも何度も書いてきたけど「ポンピングしろ」とだけ書いておくにとどめるとして、愛好者がわりと多いのは、カーディナル3とかが何度も復刻されることからも分かるし、PENNがパワーの必要とされそうな海のリールとして「706z」「704z」という大型ウォームギア機を復刻させたりしてることやら、ドイツD・A・M社も近代的な設計のウォームギア機「クイックレトロFD」シリーズなんていうのを今世紀に入っても新規に設計して作ってたりしたのとかからも分かると思う。好きな人は好きなんです。大森製作所にも好きな人がいたんでしょう。ハイポイドフェースギア作るようになってからもウォームギア機もしぶとく作ってました。

 ウォームギア機の何が良いって、巻きが滑らかで感度が良いってよく言われてて、確かにPENNの430ssgとか使ってた時に、今時の国産機使ったら巻きが軽すぎてカスカスな感じで、まったくルア-引いてる抵抗とかが手元に来ず「こりゃ気持ち悪い」と感じたもので納得するところである。あとメッチャ丈夫らしいのも良い点だけど、色々考えていくとパワーがなくてゴリ巻きできないところがスピニングらしくてなんか気に入ってるのかもなとも思う。ぶっちゃけ巻き心地だ感度だはワシあんまり気にしてないからな。別にギアゴロ上等の丸ミッチェルとかでも使ってて嫌じゃない。むしろ好ましく感じてる。

 っていうことで、ウォームギア機大好きなナマジとしては「見せてもらおうか、大森のウォームギアの性能とやらを!」と思ってたんだけど、意外と縁がなかった。人気の「プロライン」はお高くて手が出ず。「アトラスⅡ」は2台入手したけど個体差ばらつきがあって、まだ大森っぽいリールに育ちきってない気がした。そこで今回の「スーパー7No.3」ですよ。そこそこマイナーだけど、小型のSSとかは手が出ない値段に大森沼の住人が競り上げてしまうので買えないけど、今回不人気の中型機でNo.3の大きさ。ちょうど外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」が蔵にあるので、おそらく色々と部品共通でスペアスプール体制も組めるだろうと入札。説明振りだと「逆転防止が壊れてて効かないジャンク」となっていて、入札ワシだけで900円(税込み1001円)で落札、送料入れて2121円は送料の方が高い。

 まあ、逆転防止が効かなくなってるのはグリスが固まって爪が動かなくなってる程度だろうから余裕で直せるはずで安い買い物である。またもや中型機で売れない代物だけどいまさら気にすんな。って思ってたらモノが到着してみたら温度変化で固まったグリスが溶けたとかか、なんかわからんけど逆転防止も普通に機能していて、表面が潮かぶったみたいに腐蝕してるところもあるけど、稼動品に持ってくのはわけなさそうでホッとした。

 下の写真なにやってるのかわからんかもだけど、中型機にタップリ巻かれた投げ釣り用の途中で色が変わるナイロンラインをそれ用の道具を使って引っぺがしてます。「ラインクリッパー」っていってバークレーから出てた商品なんだけど、電動のモーターでゴムのローラー2個を回してその間に挟んだラインを素早く引っぱがしてくれるので、デカいリールの長尺ラインの巻き替えとかには”アルトベンリ”な代物。写真では足下に引っぺがしたラインが裸でごちゃついてるけど、ビニール袋の中に出口を向けてやれば後始末が楽。

 ラインを引っぺがしたら、スプールからバラし始める。

 やっぱりあれだ、これは”オートベールのウォームギア版”だな、この時期の大森スピニングではすっかり皆様お馴染みの作りで、オートベールと同じくワンタッチ交換できるスプールにドラグは硬質フェルト湿式3階建て、ベールアームは樹脂製でポチッと左上のボタンを押してベールを畳むことができる。ラインローラーは樹脂製スリーブ入り、同じ大きさのオートベール所有してないので比較できないけど、ローター自体がタックルオートも含め3機種で共通の可能性もありそう。っていうか多分そうだろうと思う。ギアが違うスーパー7はひょっとしたら違うかもだけど、オートベールとタックルオートとは変える必然性がないように思う。ちなみに外蹴り時代のアウトスプール機のマイクロセブンとタックル5(と同型機タックル)のローターは同規格。ハンドルは左右両用に使えるネジを切った方式のネジ込みハンドルだし、銅製の板の”簡易ローターブレーキ”も大森沼住民にはお馴染みのが付いてる。ストッパーは本体内ローター軸のギアに掛かる方式。

 でもって、今回の本題であるギアはドーン!とこんなん出ました。

 オーッ!確かにグルグル棒のローター軸ギアに500円玉みたいに側面に歯を切ったハンドル軸のギアが重ならず並んでいて、まごうことなきウォ-ムギアスピニング。

 スプール上下させるオシュレーション機構は本体裏の蓋にハンドル軸のギアから回転持ってくるためのギア2枚並べてハンドル2回転で一往復ぐらいの減速オシュレーションにしている。デカい機種だけかも?と思ったけど、写真見る限りNo.1サイズでも蓋の方がそれなりに膨らんでて、単純クランク方式のウォームギア機独特の、本体が薄っぺらくてなんか格好いい感じはなくて少しウォームギアフェチとしては残念に感じるところではある。

 まあでも見た目より機能よ、引っこ抜くと真ん中写真のような感じになるんだけど、ウォームギア機の場合、ローター軸側がステン、ハンドル軸側が真鍮というのが一般的な組み合わせだと思うけど、大森ウォームギアはローター軸側が綱系(上の写真でちょい錆が見える)、ハンドル軸側は軽量化のためにアルミに芯が綱系かと思ってたけど、写真見てるとアルミじゃなくて綱系に見えてきて、グリスグッチャリにする前に磁石でもくっつけて確認すれば良かったと思ったけどあとの祭りで、バラして確認も面倒くせぇのでネット検索で情報無いかと探ったら、スーパー7では出てこなかったけど「プロラインNo.101」が”鋼のウォームギア”だという記事が出てきて(まあTAKE先生のところです)、たぶんその後を継ぐようなスーパー7も鋼のウォームギアの可能性が高い気がする。大森沼に沈んでる方でお手元のスーパー7のギアの材質確認してる方がおられましたら情報提供いただけると嬉しいです。まあ、鋼の円盤から切削でギアの歯作ってるなら「EXCELLENT GEAR」と誇らしげに表記したくなるのも分かりますね。ボールベアリング3個も入れてるけどそんなモンはもう表記するほどの価値はないってのも時代の趨勢か。

 ちなみに、ウォームギア機のハンドル軸のギアが真鍮製で重いということの対応策としては、イタリア製アルチェード「2CS」では穴開けて軽量化されていて、スウェーデンのABU「カーディナル4」とかになると小さめのハンドル軸ギアになってて(瑞穂製の「C4」にも引き継がれる)、「デカくて重いけど、それがなにか?」という態度だったPENNのスピンフィッシャー710系、アウトスプール3桁の「430ss」、「420ss」も、後継機の4桁「4300ss」、第4世代「430ssg」ではカーディナルっぽく小さめなハンドル軸ギアになっている。PENNにも、軽量化の小うるさく求められるようになってた時代に、そうまでしてでもウォームギア機を残したいっていうウォームギア好きの同志がいたのだと思うと胸が熱い。

 でもって、全バラしてパーツクリーナーでシュッシュのゴシゴシと汚れを落として青グリスグッチャリで組み上げてくんだけど、ここで問題発生。右巻になってたのを左巻きにしようとしたら入らんがな。この時代の大森のハンドルは同じ軸に左右のネジの山をクロスさせるような感じで切った左右共用で(この方式シェイクスピアが特許持ってたとかどっかで目にしたけど出典が分からんくなった。ゴメン未確認情報扱いです)、左にも付け替え可能なハズなんだけど、空転して入って行かない。たまに初めて左巻きにするときにちょっと抵抗があることはあって、でも力入れてゴリゴリとねじ込んでいくとキッチリ填まって、その後は問題なくなるってのがパターンだったので、今回もそう思ってゴリゴリっとねじ込もうとしたらネジ山なめったような嫌な感触を残して空転し始めて「やっちまったダ!」と暗澹とした気分に落ち込む。ただ、入り口のところで多少ネジ山舐めてても、奥の方はまだ生きてるハズでなんとか奥まで突っ込む方法はないかと、頭捻ってたら、パーツ互換性を試すために用意していた外蹴り「マイクロセブンNo.3」の左巻きのハンドルのネジでほじくって、ネジが入る道筋をつくってやってからねじ込めばどうか?と考えて真ん中写真のようにやってみたけど一発目は不発。やっぱりダメだったかと思いつつもダメ元で、ハンドルネジの方もマイクロセブンの方のギアに突っ込んでネジ山を整えてみたらどうだろう?と試して再度突っ込んでグリグリしてみたら、無事ねじ込めました。ふぅ一安心。

 ただ、この方式は諸刃の剣のようで、あまりお薦めできるモノではない事がその後判明する。続くときは続くモノで記事にもするつもりもない通常業務として、我が家にお迎えした4台目の「マイクロセブンC2」を整備してたら、上記と同じように左ハンドルにしようとしても空転する状態に突入。でも、左巻きの状態になってるハンドルでギア側のネジ山整えてやれば行けると学習済み!とC2の普段使ってる個体のハンドルでグリグリやって、整備する側のハンドルも使ってるC2のギアにグリグリ入れてってやってから、と思ったらそもそも入らんし。仕方ないコイツは諦めて右巻のみで運用するかとおもって、使ってた方のC2を元に戻そうとしたら、なんと逆に使用中の個体のハンドルが元通り左に付けられなくなってしまった。グハッまたやってしもた!同型機含めたら5台もあるので2台右巻個体でも大丈夫な気はするけど、これまで左右どちらでも使えてたのを片方潰したというのは精神的にダメージが大きい。ここで”損切り”して諦めるのが賢いのは目に見えてるような気がするけど、悪あがきいたしました。左右共用のネジ山が切ってあるハンドルを突っ込んだから左用に整いにくかったのではないだろうか?という薄い可能性だけど藁にもすがるような気持ちで信じたい仮説のもと、左右でネジが別の外蹴りの「マイクロセブンNo.2」で同じようにグリグリやってみた。わが家の蔵からはなんでも出てくるので助かるね。結果、マイクロセブンNo.2まで左巻きダメ個体になる予感もあったけど、なんとか元々左巻きで運用してたC2は左巻きOKに復活させることができた。新たな個体はボロいのでスプール要因にしてしまうつもりでこれ以上無駄に触って被害を広げないようにしたのは我ながら賢いのではなかろうか。ちょっと嫌な汗かいたけど原状復帰まではできて一安心。ということで、左右両用のハンドルがどちらかにしか入らないという場合に、裏技として「右用左用が別だった時代の大きさ同じ大森スピニングを用意して、グリグリッとしてネジ山を整えてやる。」というのは、上手くいくこともあるけど下手すると片側しか使えないリールが1台から2台になる可能性があると憶えておいて欲しい。

 ということで、無事使用できる目処も立ったし、スペアスプール体制は組めるかな?と外蹴りマイクロセブンNo.3と部品共用具合を確認してみると、無事スプールは共通。スプールの前にはからずも確かめることになってしまったけどハンドルも共用可能。スプール交換するとちょい見た目あってないけどスペアスプールはいつも出番が有るわけじゃなしで、それが鞄にあるという安心感が大事。

 でもって回した感触なんだけど、なんというか大森ハイポイドフェースギアも充分滑らかなので、部屋でクルクル回した程度では取り立てて言うほどには違いが分からない。ウォームギア独特の重さも、減速オシュレーションのおかげもあってかそんなに感じない。まあこういうのは実釣で試してこそ真価が分かるというものだと思うのでそのうち出番を作ってやろうと思う。

 という感じで、大森熱は昨年から引き続き終息宣言など出せるわけもないような状況で、毎日ネットオークションとか出物が無いか見回ってるんだけど、最近なんだか値段が上がってるような気がして、特に「タックル5No.1」が1万5千円で売れてたのには、こんな強気の値段でも運が良いと買い手つくんだ!と、とぼけたことを思ってたら、そうじゃなくてどうも「ギジー」っていう釣り雑誌の新春号でオールドタックルの特集があって、その中で何故か「タックル5No.1」と「オートベールNo.1」が紹介されたようで、その一瞬の商機を逃さず売りに出した商売上手が1万5千円の高値で、普段なら3千円になれば上々のタックル5を売り切ったようである。タックル5はワシも好きなリールで3台持ってて1台はまさにNo.1サイズだけど、商機はもう過ぎたようで現時点では6千円ぐらいでも入札されてない。まあ根魚遠征用に使ってるから売らんけどな。だれか、雑誌とかで”不人気実力派マイクロセブンCシリーズ”を紹介してくれやンもんかいな?全部で13台もござる。使うとしても3サイズ2台づつあれば上等で、7台高値で売れたら、また別のリールが買えるのに・・・。赤字を解消しようとかいうのは道のりが遠すぎて諦めかかっている。現在の赤字額は236,479円。

 あと、最近思うのがワシそろそろ左投げ右巻もできるように練習した方が良いのかもってことで、まあ昔右手首腱鞘炎になったときにちょっと練習したことあって真っ直ぐ投げるだけならできるんだけど、歳食って万が一右手が振れんようになってもフライキャスティングのメル・クリーガー氏の逸話みたいに逆の手で同じように振れれば問題無いじゃんって話もあるし、なにより右巻専用機が使えるようになれば、ネットオークションとかで「ああこれ右巻か」と見送らずに済む。

 絶対練習してはいけない気が、書いててしてきた。両手使って全力で沼に潜ってどうするよ?

2 件のコメント:

  1. ウォームギアのリール使ってると
    根掛りの察知が容易なんですよね。
    8枚ギアで同じ場所トレースしてシャッド一個無くしかけたけど
    713zだと明らか根掛りってわかりましたし。

    現在、根魚小突きに使ってるシマノ、巻き心地そのものはシルキーですが、リール感度はPE使っても明らか落ちます。
    巻き上げが重くなる現象って
    カーディナルC-4でしか実感したことがなくて
    713zも4300ssもシーバスくらいで重いって感じる事すらないですし大森のプロライン等小型機も最初だけ重くてすぐに軽くなるって聞こえてきます。


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    1. ぬこさん おはようございます
       巻き重りは言うほどでもないってことですかね。どちらにせよゴリ巻きしないので困らないですが。
       感度は、ナイロンでウォームギア機じゃない4400ssとか使っててもそんなに困った記憶が無くて、今時の軽い巻きのリールに独特の現象で、だから竿やラインが感度感度と五月蝿いのかなって気が薄々してます。

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2023年2月25日土曜日

ベール周りが針金一本のリールってどんなもんなのよ?

  なんじゃら買うてしもてます。アタイ病気が憎いッ。

 これはあれです。以前人様にお借りしたリールをいじくったときに、「バンタムⅢ」という異形の大森スピニングを目のあたりにして、ベール周りが針金を曲げてたわめたパーツでやっつけてあるリールに興味が湧いてしまい、「ナイト600」ってのを狙ってたけど意外に左巻き機が出てこなくて、同じく大森製らしいこのコンパック「シエラⅣ」に手が出てしまったのである。ちなみに送料込み4200円とわりとはりこみました。欠損とか派手な疵とかのないまともな個体なのでまあこんなモンかなと。

 人様のリールをお借りして、分解してお勉強して楽しんでみるというのは、自分の持っていないリールを楽しめて非常に良かったんだけど、買わなくてイイから送料だけであんまりお金掛からんだろう、という目論見はその後の”大森熱”の悪化状況を鑑みるに、まったくアテが外れて、欲望のたがが外れて、財布の紐の縛りもほどけてしまって、という体たらく。病気になりたくてなる人間はいないけど、なるときはなってしまうものである。しかたないね。病気は憎いよね。

 まっそんなこんなで我が家にお迎えしたからにはこのリール、いつものように分解整備して稼動状態にもっていき、実戦導入して針金ベールのリールの実力のほどをみてみようって目論見のもとサクサクと分解清掃。

 入ってた古いラインを引っぺがして、スプール周りから見ていくとなかなか面白いドラグが入ってる。「バンタムⅢ」ではバネの役割をする曲げワッシャーの上にドラグパッドが乗ってて、ドラグ締めていくと曲げワッシャーに接する面積が増えていきそうな見るからに不安定そうな、そのわりにわりとまともに機能するドラグだったけど、バンタムⅢが1954年発売でその翌年1955年発売らしいシエラⅣはちょっと改良されていて、曲げワッシャーの代わりにクラゲのエフィラ幼生みたいな放射状に脚の出た金属部品の脚がバネの役目をしていて、その真ん中に乗ってるフェルト製のドラグパッドはいつも円状の部分と接する形になってる。エフィラ幼生状部品はスプールと同期して回転、上部の欠け金属ワッシャーは当然主軸と同期して回らない、その間のドラグパッドが適度に摩擦力を生じさる構造。これ結構まともなドラグになってて、そこはやっぱりさすが大森製作所という感じなのである。単純だけどちゃんと仕事ができるドラグになっている。ドラグにボールベアリング入れてるようなアホメーカーはこのへんのリールから勉強し直せと言いたい。
 でもって、本体パカッと開けていくと”強化ナイロン”製だとかいうハンドル軸のギアがドーンと鎮座している。蓋側にだけどな。

 純正状態なのか以前の持ち主がぶち込んだのか、グリスグッチャリで好ましい。けど、なんか真鍮製のローター軸のギアの根元あたりにヒゲのようなモノがチョロリと見えてるので、なんだろう?と引っ張ってみたら、これスプール下に噛んでしまったラインを巻き込んで、そのままギアのあたりまで絡んでしまっている。慎重に逆回転とかさせながらほぐしていって綺麗に除去できたけど、このリールもバンタムⅢもそうだったけど、スプール上下のためにハンドル軸ギアの上面?に刺さる棒が、金属製スリーブ噛ませてあって丁寧な仕事ぶりなのはいいんだけど、ハメゴロされていて主軸が抜けない状態になっっているのでローター及びローター軸のギアが外せない。なので、絡んだままほどけなかったら致命傷モノである。この点、整備性という面はイマイチ。

 でもって、強化ナイロン製のハンドル軸ギアなんだけど、ギアとしては意外と大丈夫なのか上の写真見てのとおりのベベルギアなんだけど欠けたり摩耗したりはみられず、整備後は巻きも軽くそこそこ滑らか。なんだけど、ストッパーはさすがに樹脂製ではいかんともしがたいようで一部つぶれていたりする。ミッチェル式で普段はストッパー外しておく運用なら使えるかもだけど、取り込みでタモ使うときにストッパー掛けて魚が最後の抵抗で暴れたときに、はたして大丈夫なのかやや不安な強度。どうせ金属の軸を入れるのならストッパーは金属製にすれば良かったのにとは思うけど、軽量化優先の尖った仕様だったんだろうな。バンタムⅢでも樹脂製ストッパーは欠けてたのでまあ無茶な仕様かと。
 というわけで、PENNやら往年の大森スピニングやらのように丈夫なギアでもなさそうなので、グリスは耐塩性より耐摩耗性やらを重視してちゃんとしたリール用のグリスであるABU純正グリスでグッチャリグリスシーリング。

 主軸が抜けないのはいかんともしがたかったけど、パーツクリーナーのスプレー圧で古いグリスは吹っ飛ばして、ややストッパーに怪しいところはあるものの、稼動品で見た目もそれなりに綺麗な状態で残ってる良い状態に整備できたとは思う。

 ただ、逆に状態が良いだけに海水での使用にはもったいなく、あとやっぱり樹脂製ストッパーの強度は実用上信用しかねるので、コイツはお蔵入りか売りに出すことにして、ナイト600の左巻き個体を手に入れて針金ベールのリールは一回実釣導入して使ってみたいところ。大森製にこだわらなければ、この手の針金ベールの安っぽいスピニングは「ノーマン」とか初期ダイワがお得意で中古の弾数も多めだけど、どのみち左巻き版は少ないのが悩みのタネ。ひょっとしたら大森製かも?なオリム系も同様右巻主流。やっぱり左投げ右巻きの練習するか?

 ボロい個体が出てきたらもいっちょシエラⅣでぶっ壊れるまで使ってみるっていう手もなきにしもあらず。大きさ的にはバンタムⅢほど異様な小ささではなくて、比較対象に左に置いてみた「マイクロセブンDX」のような小型軽量機と同程度のサイズ感でそのあたり大きさ的にも実釣には向いてそう。スプール径はむしろマイクロセブンDXより大きめで使いやすそうにも思う。あと特徴的なのはその薄っぺらさで、ハンドル軸のギアに直接スプール上下のための溝が掘ってあるのもあってギアの厚さ分ぐらいしかボディーの厚さがなくて、主軸が収まる部分はミッチェルみたいに筒状に張り出しているだけという個性的な見た目でなかなかのもの。軽さはさすがにギアまで樹脂製にしただけあって、マイクロセブンDXも200gをチョイ切る軽量小型機だけど、シエラⅣは170gを切る軽さ。なかなかのトンガリ具合。

 てな感じで、針金ベールのスピニングなんていう方向にも症状が出てしまっていて、我ながら困ったモノです。再度いつもの台詞で締めておきましょうか。

 アタイ、病気が憎いッ!

2 件のコメント:

  1. シエラやバンタムって日本が悶えてた頃の製品ですね。
    8枚ギアの丸パクリモデルもドライブギアが樹脂製とか読んだ事があります。

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    1. ぬこさん おはようございます
       この頃の日本のメーカーの多種多様なというか手当たり次第な開発(とパクリ)ぶりには驚くと共に楽しませてもらってます。いろいろと手探りで試行錯誤してた時代なんでしょうね。 

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2023年3月4日土曜日

ややレア?大森製コンパック「カプリⅡ」サンレイ商会ってなんぞ?

 ネットオークションで、ジャンクリールとしてコンパックブランドのこの見慣れない「カブリⅡ」というスピニングが出てきた。独特の色あいといい、ローター下部の角度といい、コンパック「アトラスⅡ」を彷彿とさせる特徴がありどうにも大森っぽい。サイズがやや大きめ中型機で、あと見た目ボロいことから入札者ワシぐらいしかおらんだろうという予想どおり、競らずに開始価格の900円+送料1100円と送料の方が高い立派なゴミスピ価格。

 届いて足の裏を確認すると「OMORI S.S.(最初のOに上線)」とあり、大森製作所製のスピニングで間違いなさそう。

 ちょっとネットで調べてみると、箱ありで売られた事例が目について、”箱書き”ある程度読めたんだけど、コンパック「No.86 カプリⅡ」と表記があり、製造は大森製作所、販売は「サンレイ商会」となっていて、コンパックブランドの国内販売元として、「サンレイ商会」というのがあったのかもしれない。コンパックで検索してて箱入りのモノが出てくるとたまに見る商会名(※タレコミによるとコンパックのというより大森製作所の販売店っぽい)

 ちなみに「カプリⅣ」ってのもネット検索してると出てくるけど、どう見ても茶色い「マイクロセブンDX」で、つまりコンパック89「アトラスⅢ」と同型機、なんで同じブランドで別の名前ででてるんじゃ?という混沌とした状況(※ゴメン間違い。カプリⅣは同じデラックススーパー系でもっと大きいサイズ)

 まあ、そのへんの販売上のあれこれやら歴史やらはとりあえず脇に避けておいて、このブツにはぱっと見て、非常に怪しい部分が見えているので、私気になります!

 右の写真をみたら、「ああこれアレっぽいな」と予想が付く方も多いのではないでしょうか。

 そう、これD・A・M「クイック110」とかで見られた、ハンドルとハンドル軸ギア、ついでに逆転防止関係をまとめてズボッと抜いて、ハンドルが左右逆に付け替え可能なリールなんではなかろうか?とハンドル軸のギアが3つのネジを外せばヌポッと抜けそうなのと、反対側にその抜いたハンドル軸側の一式を突っ込んで収まりそうな穴の蓋がやっぱり3つのネジで止められているのを見たらある程度予想できる。

 まあ予想どおりかどうか、分解整備していけばわかるだろうから、いつものようにスプール周りからボチボチとバラしていく。

 ワンタッチスプールなんだけど、なぜかエポキシで上部を固められていたりして、そいつを引っぺがして、やや堅く抜けが悪かったのは、刺さってる主軸の頭の金属板のバネを調整して正常に作動するようにしておいた。

 以前の持ち主が、塩梅悪いと接着剤で固めるという悪癖があったようで、実はラインローラーを留めるナットがサイズ合ってないんだけど、接着剤で固めて落ちないようにだけされていて、グラグラで全く機能していないというジャンクぶりも早々に判明している。

 ドラグは3階建てなんだけど、ちょっと意図が不明な設計になっていて、下の二枚のドラグパッドに比べて一番上の革製っぽいドラグパッドが直径大きい。

 当然、スプール側の穴にも段差があって、かつ2枚パットがはいるにはやや浅めで、革も赤い繊維のパッドも劣化して怪しくなってたので、パッドは交換したんだけど、下の2枚は薄くて滑りが良いテフロン仕上げ硝子繊維シートにして、一番上を2mmの硬質フェルトにして、実質フェルト1枚が仕事をするドラグに仕上げたら割と良い感じに仕上がった。ドラグパッドの直径に違いがあると、大きい直径のドラグパッドの性質が強く反映されるように感じたところ。ちなみに最初、上のパッドを百均フェルト製にしてみたら厚さが足りず、ドラグノブがスプール上面にアタって干渉してしまい塩梅悪かった。

 ラインローラー周りが、ちょっと壊滅的で前述のように止めるナットがサイズ合ってないのを接着剤で固めてあるだけという、やっつけな前の持ち主の処理もあれだけど、ラインローラーについては大森製作所自体もやらかしてて、常々ワシャ水が入るこの位置に錆びる部品(であるボールベアリング)を入れてはいけないと書いてきたけど、このラインローラー、ローラーもスリーブも鉄系で固着より何より、ハズしたらボロッと崩れるぐらいに錆びてボロボロになっていた。本体内部である程度防水されているギアの芯とかが鋼製なのは、グリスシーリングで錆びるのは概ね防げる。でもラインローラーは何度も書くけど浸水しまくる位置であり、こんなところに錆びる部品を持ってくるのは愚かである。大森製作所もまだそのへん分かってなかったということか。初期の大森スピニングは前回取りあげたシエラⅣとかでもそうだったけど、なんというかいろんなスピニングの設計を手当たり次第に試してた気配があって、このあたりは模索の時期にあったのかなという気がする。
 ローター周りは、この頃から既にベールアームと反対側にベールリリースの機構を組み込んで重量を分散させていて、このへんは後の大森スピニングにも脈々と受け継がれていく美点かと。

 蹴飛ばしが、リングを折り曲げたのではなく、本体に刺さってる別部品なのも丁寧な作り。

 ちなみにローター軸のギアにもボールベアリングは使われておらず、アルミかもしくは亜鉛のでっかいブッシュがローター軸ギアにはまってて、BBB団の皆様お待たせしました、このコンパック「カプリⅡ」はボールベアリングレス機です。ボールベアリングレスだとなると、がぜん使ってみたくなるややこしい性分。でもラインローラーが無いのはどうにも処置が難しいけど、なんとかならんもんだろうか?

 今シーバス用にメインで使ってるのがマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル304なんだけど、マニュアルピックアップだいぶ手が馴染んできたけどそれでもラインを指で拾い損ねることがあるので、モタクサしてると食ってくる場所から外れてしまう超近距離戦が予想されるN川攻略の日には別のリール使った方がイイかもと思ってて、まあボールベアリングレス機にこだわるのであればPENN720zが手に馴染んでもいるし適任ではあるけど、コイツを実戦導入できたらなお楽しめるかもしれん。なんか修繕の手を考えてみたいところ。

 でもって蓋を開けていくと、ドーンと鎮座しますのはアトラスⅡに良く似た感じの亜鉛鋳造っぽいウォームギア。そりゃそうだダムクイック110とかと同様のハンドル左右切り換え方式なら当然ひっくり返してもギアの歯切の方向が同じになるウォームギア方式じゃないとおかしい。

 でもって、予想どおり”ダムクイック方式”でハンドル、ハンドル軸のギア、その裏の逆転防止機構はセットでズボッと抜けて左右入れ換え可能なようだ。

 ただ、ダムクイック110では、逆転防止のレバーは、逆転防止、フリー、正転防止と逆付けした際をあらかじめ想定して、正転防止という普段は使わないレバー位置も用意されていたけど、このリールにおいては爪とバネを一旦ハズして逆位置に付け替える必要があるようだ。

 でもって、ちょっと笑ったのがハンドルの固定方法で、そこまでダムのまねせんでも良いだろ?って思うんだけど、ピンがネジじゃなくて押しこむ方式。で抜くのも千枚通しとかあてておいて、木槌でトントンというD・A・M式のお作法どおりで抜けてくれる。

 まず間違いなくダム社製スピニングを参考に設計したんだろうけど、黎明期のオリムピックみたいにフルコピーしたわけじゃなくて、基本的な設計思想を拝借しつつ大森独自の味ツケにしてるんだけど、にもかかわらずハンドルピンはネジじゃないんかい?ってところがツボに入った。大森製作所の技術者もダムクイックを分解するのに「ハンドルピンどうやって抜くんだ?」って苦闘したのが印象に残り、ダムクイックを手本に作るならハンドルピンはネジじゃダメ!って思ったとかだろうか?

 いずれにせよ、面白いリールでラインローラーをどうするかは考えなきゃならんけど、稼動品までもちこんでなんとか実戦導入してみたくなってきた。ということで、とりあえず左巻きにして、グリスグッチャリシーリングして一旦作業終了しようとしたら、これがもいっちょ問題発生。

 上の写真のように、爪を右から左に移動するのは問題無くできた。これで左巻きの時に正常に逆転防止が機能するはずである。

 そして、ハンドル軸のギアを突っ込んでハンドルもピンブッ刺して取り付けて、左側からそれらを突っ込もうとして、オシュレー(スプール上下)のクランクがどうにも塩梅が悪いことに気がついた。クイック110の時は、クランクは平面的で左右どちらにするときにも、ギアの上から真っ直ぐ出て、オシュレーションスライダーの両面どちらからでも固定可能になっているのでクランクは左右兼用できた。しかし本機ではクランクは写真下の様にグイッと曲がって下がってオシュレーションスライダーの真ん中へんに刺さって上からネジで留める構造になっている。対称形になってないので、ひっくり返そうがどうしようがこのクランクは右巻専用で、左巻きにするには反対側に曲がったクランクが別途必要である。強引に曲げてなんとかならんかとちょっと試すも2mmぐらいの分厚いステンレスっぽい板製なので曲がらん。箱に左用クランクとか同封されて売られてたのかもだけど現状無いモンは無い。

 ちょっと困った。困ったけど、クランクはそれほど強度必要ではないだろうから、2mm厚のステンは加工できなくても、銅板ならあるいはアルミ板なら加工できるのではないだろうか?という気もするので、もがけばもがくほどどんどん沼に足が沈んでいくような感触は覚えるんだけど、とりあえずクランクは薄板加工に挑戦、ラインローラーも試したいアイデアがあったので、ちょっと頑張ってみることにしました。

 なにしろ、がーんとデカいブッシュがはいってるだけでボールベアリングなしってのと、ダムっぽい凝った左右切り換え方式、そしてなによりウォームギア機というのもあって、売れるような弾では全然ないし、いじれるだけイジリ倒してなんとか稼動機に持っていって魚釣ってみたいと思って悪戦苦闘してみました。悪戦苦闘の様子は長くなりそうなので次回回しということで、珍しく”引き”終わりです。こうご期待。

4 件のコメント:

  1. ナマジさん、こんばんは。

     これは隠しキャラレベルの激レア機ですね!
    まさかここまでダムダムしいとは思いませんでした。
    コンパックのネーム後ろの一桁ナンバーは世代だとは思うものの、見当たらないモデルが多く謎が深まるばかりです。
    ちなみにカプリ無番は外観オービスのあれです。

     デラックス期の主力ハイポイドフェースギアシリーズラインではカプリⅣは小型順に下から5番目です。
    アトラス、シェブロン、デイトナ、カリエンテ、カプリ、サーフライダー、キャデラックと並びます(多分)。
    14オンスとありますがⅡもそれぐらいでしょうか?


     レビュワーAlanHawk氏によると ”…(世界的スピニングメーカー)ビッグ 3 を比較すると、デザイン イノベーションの観点から言えば、DAM が 1 位で、次にアブ、3 位にミッチェルが続きます。…”
    当時最新鋭といえばダムだったのでしょうか、ダイワもダムを元ネタに数機種作ってたようです。

     ダイヤモンドスーパー1000取説には”製造発売大森製作所 総代理店サンレイ商会”とあります。
    70年フルーガー640取説には社名所在地が変わり大阪福岡の出張所が追加されサンレイ・フィッシングとあります。
    福岡のダイヤモンドリールサービスセンターとサンレイ九州地区出張所は同じ所在地です。
    シェイクスピア期も継続してたようですが、70年代後期には書類一切から消えてます。しかし大森九州出張所がサンレイ九州地区出張所の所在地の福岡市○○2-11広田ビル2階から福岡市中央区○○2-2-11広田ビルと見る限り一緒です。

    ローラー部、軸含めてノギスでコンマ1mm程度の精度で図にするかベール部現物送っていただければ旋盤で引かしてもらいます。
    険しそうですが復活期待してます。

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    1. レクエル堂さん おはようございます
       笑えるぐらいダムダムしいです。
       重さは360g強で14オンス(約400g)よりはちょい軽め。
       シェブロンとカリエンテはネットでも見た記憶が無いですね。またいらん知識に物欲が刺激されてます。

       サンレイ商会はコンパックのというより大森製作所の販売店的な会社だったんですね。やっぱり箱入りで買うと箱書き情報が手に入っていいですね。しかしどんだけ買われてるのか?恐れ入ります。

       ローラーの加工、とりあえずこの機種では試作品ができたので実釣で試して行けたらそのままで良いと思うのですが、次のネタが一応部品取り個体から引っ張ってきたローラーがスリーブ抜くと填まったのですがスリーブ入るなら入れたいのでお願いするかもです。
       基本は自分でできる修繕を楽しむという姿勢ですが”レクエル堂サンに頼む”は切り札としてとっておきます。
       

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  2. 既に314で体験済みでしょうけどラインローラーなんぞ無くても
    「ラインガイド」の体を成していればシーバスくらいで問題になることはありません。
    オシレーションクランクの問題解決すれば釣りは出来ると思います。
    画像で確認しましたが、PENN710/711と同様のローターブレーキまで備わってますね
    ベアリングレスって言っても死ぬほど凝った作りに驚きました。

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    1. ぬこさん おはようございます
       元が回転式ローラーだったようなので回転式にこだわってみました。とりあえず修繕完了して試釣待ちです。楽しみです。

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2023年3月11日土曜日

コンパック「カプリⅡ」修繕激闘編 金切りバサミとハンドドリルとダイヤモンドヤスリ

  お待たせしました。前回「カプリⅡ」を分解整備してはみたものの、

 ①ハンドル左右交換に必要なスプール上下のクランク”左巻き用”が無い。

 ②ラインローラーが腐蝕して破損、固定用ナットも正しいものが付いてない。

 という、にっちもさっちもなジャンク状態なので、ちょっと頑張って修繕してみることにして、アレコレ道具やら素材やら買ってお気楽に始めてみたら、えらい苦労してしまいました。

 とりあえず、クランク作成の方は単純で簡単だろうということで、まずはそちらから手を付けてみた。まあ薄い金属板を金切りバサミで切って曲げて穴開けりゃ良いだけの簡単なお仕事です。

 こちらはわりと想定どおりに事が運んで上手くいった。右巻用のクランクは厚さ2ミリあったけど、モノタロウオリジナルの金切りバサミの限界が銅板1.5mmまでとなっていたので、薄い分はテフロンワッシャーでも噛ましておけば事足りるので大丈夫だろうと銅板1.5mmを購入、したんだけど1.5mmもある銅板ってステンレスに比べりゃ堅くないにしてもペンチやら簡易な万力で挟んで曲げる程度で思うように曲げられるのか?っていう不安があってさらに曲げやすそうなアルミの1.5mmとついでに厚さ調整が上手く行かなかった場合の保険としてアルミ2mmの板も購入。使わなかった分はスプーンでも作ればいいやと採算度外視でこの時点で落札900円のゴミスピにサンドペペーパーやらテフロンワッシャーやらの小モノもゴチャッと買ったけど6,175円の追加出資。

 ブツが配達されてみると、1.5mmの銅板はこりゃ無理だっていう感じの堅さで早々に諦めて、1.5mmのアルミでとりあえず行ってみる。

 右用のクランクから型をとって、金切りバサミで切る。この金切りバサミ、テコで倍力するタイプなのもあってか1.5mmのアルミであれば問題無く切ることができた。大まかに切り出して、角を取るように形を整えてやって、端が尖ってないようにサンドペーパーで面取りしてやる。

 でもって、右用クランクと曲がりが対称になるようにペンチ2本で挟んでグイグイ曲げてやって、位置決めして釘でアタリをつけてからハンドドリルで穴開けてダイヤモンドヤスリでバリ取り。

 左巻きにするにはまずオシュレーションカムにクランクをネジで固定しておいてから、ハンドル軸ギア関連一式をズポッと刺す、そのときにギアの上の突起にテフロンワッシャー挟みつつクランクの穴を突っ込んでEクリップで固定する。実際填めてみたら、スプールはちゃんと上下して良い線いってるんだけど、ちょっとスプールが下がりすぎるようで、スプールが乗ってる主軸の横棒がローターナットにあたって音がしている。クランクの曲げを大きくして穴と穴の距離を詰めてスプールが上下する位置を上にズラしてやったらちょうど良い感じになった。一番下の写真のようにハンドル回して窓からクランクの仕事ぶりを観察すると、曲げた形でちょうどハンドル軸のギアにアタらないようになってきちんと機能していて気持ち良い。左巻き用クランクの作成については合格点。

 さてややこしいのがラインローラーのほうで、腐蝕してボロボロと崩れ落ちたラインローラーは、都合良くピタッと填まる部品を別のリールから持ってくるか、それができなきゃ”自作”というやや気が重くなるような作業に突っ込まざるをえない。まあ大森製のリールで似たような形式のラインローラーとかで共通のを探してみるかと、「アトラスⅡ」「マイクロセブンDX」「スーパーデラックス730」と調べてみたけどいずれも互換性なさそう。どのみち2台でパーツ共有というのも気持ち悪いので自作するしかないか、と覚悟を決める。

 通常、ラインローラー自体を自作するなら、真鍮を削り出してクロームメッキをかけるのが妥当だろうけど、真鍮削り出し自体はバス用のブラスシンカーで適当な大きさのを利用して、ドリルで穴を必要な大きさに拡張して、外径をベールやらの所定の位置に填まる直径に削るとともに、形状を昔やった”なんちゃってツイストバスター”みたいにドリルで回転かけつつ調整してやればできるけど、メッキは頼むとエラい金がかかるし個人でホイホイとできる技術じゃない。ので削れるのは織り込み済みで削れたら再度形状調整してやるか作り直す方向で、真鍮剥き出しというのは1つの手だろう。ただハゼ釣りチョイ投げ程度の使用なら削れて糸溝できてくるのに何年もかかるだろうから良いんだけど、ルアーでシーバス想定だともうちょっと投げる頻度も掛かる負荷も大きくて、真鍮剥き出しはやや頼りない。

 でもって試してみたいアイデアが1つあった。ジュラコンスリーブの加工である。ジュラコンというのは商品名でポリアセタール樹脂とかいうのの一種らしく樹脂なのに堅い。過去、ラインローラーのボールベアリング代わりに突っ込んだりするのに穴の大きさ調整でハンドドリルのヤスリで削ったけど、異様に堅くて動画とか見ながら何十分もかけて数ミリ穴を拡張したのを憶えている。ベアリングの代わりにラインローラーの軸受け仕事をやらせて全く問題無い耐久性ってそこそこいけるんじゃないの?っていう感触があってポリアセタール樹脂を成形して作ったラインローラーっていう、樹脂は摩擦に弱く削れるという常識の盲点を突く作戦。まあダメで削れたとしても、削れるまでの期間が長ければ”削れたら作れば良い”って話で1シーズンも持ってくれれば次の出番までに新しいのを拵えて換装すれば良いことになる。

 でもって、ジュラコン製でチクワ状の”スペーサー”と銘打って売ってる部品は、それなりに大きさもいろいろあるので適当なのが見つかるだろうと思いつつ、蔵に転がってる”いつか使うだろう”と買ってあったものの大きさを試しに確認してみると、あつらえたように外径はピッタリ。内径は大きいけどなんか詰め物を考えれば良さそうで、これは”ジュラコンで行け”という流れだろうと作業に入る。
 とりあえず、回転式にするので元々填まってたスリーブの長さを参考にジュラコンを金ノコで切って、ハンドドリルのヤスリの棒にティッシュの詰め物をしてガッチリ填めて回転させながら、ダイヤモンドヤスリを押し当ててなんちゃってツイストバスター的な片側にラインが落ちる谷を作る。つもりだったんだけど、これが過去真鍮相手に問題無くできた工程がまったく進んでいかない。かなりの時間回しても、ちょっと溝が掘れかかったかな?ぐらいの進捗状況で全然削れねえんでやんの。逆に言えばラインで削られにくいわけで好ましいわけだけど、成形できないのではどうにもならん。これだけ堅いと刃物もとおらんよなと、思いつつダメ元でためしてみると、ナイフの刃はそれなりに堅いけど入っていくし削って成形できる。摩擦には強いけど切り削りには弱い的な不思議な物性。なのでちまちまとだいたいの形を作ってしまって仕上げだけハンドドリルで回してダイヤモンドヤスリ。

 お次は穴の径が大きいので、ベール側の軸を太らせなければならない。ブラスシンカー削ってスリーブ作るかと思ったけど正直面倒くせぇ。削れない程度の堅さの金属で太らせれば良いだけなら針金巻いておけば良いんじゃないの?と安直に細いステンレス線何種類か試したら割と良い太さのがあったのでグルグルと巻き付けてローラーよりちょいはみ出させて、かつ微妙に太りすぎたようだったのでジュラコンの穴の方にダイヤモンドヤスリ突っ込んでゴシゴシ穴拡張でローラーのスムーズな回転を確保。ドリルで回転させつつ押しつける程度の圧力では削れていかないけど、手で思いっきり押しつけながらだとそこそこヤスリが効くことも判明。

 しかし止めるナットが無いのはいかんともしがたく、規格品では合わないようなので、ついでにこれも針金で行くかと、ベールアームから突き出したネジ山部分に細いステンレス線を巻き付けて最後ペンチでグリグリとねじりあげたら、とりあえず抜けることはなく止まるようにはなったので、ラインが引っかからないように落ちてたケミホタルの廃品利用でキャップを作って填めてエポキシで固定。これでエポキシが固化すればいっちょ上がり。

 って簡単にいったら”激闘編”にはならんのよねこれがって話で、翌朝固化してラインローラーも回ってるのを確認できて「上手いこといったな」とぬか喜びしつつベールを起こしてハンドル回してリターンをカショーンカショーンと何度かやったら、キャップを止めてるエポキシが割れ始めた。エポキシ割れるのぐらいはエポキシをシリコンに変えるとかで対応できるけど、なんで割れるかっていったらラインローラーが抜けずに止まるようになってはいるけどグラグラで軸がベール返る度とかに動くからで、写真一番上みたいにグラグラして斜めってる状態だとラインローラーの隙間が片側で開いてしまいラインが落ちそうな状態になってる。これはよろしくない。

 キッチリとナットで締め上げて、グラつかないようにしないとだけど、ピッタリのナットの確保が難しいから針金で縛ったわけだし、元の持ち主もスカスカのナットを接着剤で固めてたわけで手に入らん。万事窮すか?と思いつつ頭抱えて唸っていると、針金をネジ山にグルグルして太らせて大きめのナットで填まるヤツを探すってどうだ?と思いついたんだけど、それってそういうネジ穴が舐めきったときの修繕用で”リコイル”っていう手法で、かつそれ用のコイルが以前使ったのが余ってるのではと出してきて、填めてみたら綺麗に填まるんでやがんの。そしてナットはM2.6の規格品がドンピシャで、余ったバネ部分の針金がナットの下からチョロリ出てくるけどそれをニッパで切り取れば、ベールがグラつかないようにしっかり締めることができた。

 ふーっ、これで一件落着ってなれば良かったんだけど、これがそうはいかねんだわ。しっかり締めたら今度はグルグル巻きにした、軸の太さ調整のステンレス線の部分が太ってしまいラインローラー固定されてしまう。あちらを立てればこちらが立たず、帯に短したすきに長し、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ってなもんで悶絶。

 まーたラインローラーの穴を削るか?って思ったけど、そろそろ谷を作った溝が穴に近づいてちょっとヤバめ。しょうがないステンの針金のもうちょいだけ細いのを買うかと思ったけど、どうせ買うなら厚みの(ということはスペーサーとしての長さも)安定しないグルグル方式の針金を買うのではなくてパイプ買おうそうしよう。ってことでアマゾンでちょうど短めの真鍮パイプの太さ何種類かのセットがあったのでスルリとマウスを滑らせてクリッククリック。1,738円の追加出資。最近読んだマンガに「博打打ちは過去の負け分まで回収しなければいけないとムキになって自滅する」的なことが書かれていたけど、ここまでオゼゼと時間を費やしておいて負けてなるものかとは確かに思う、という相変わらず”損切り”のできないワシであった。

 届いて、太さ確認してみるとちょうど良さげなのが一本あって「負けもここまでよ!」と何が”負け”なのかよく分からんけど安堵する。削れたら作り直しっていうのを想定すると、穴削ってしまってる一個目のに合わせたパイプでは毎回穴削る無駄な作業が出るのでローラーはまたジュラコン切って削って新規に作成。

 真鍮パイプと軸の隙間は固定してしまえば削れるモノでも無いのでナイロンラインでグルグル巻いて埋めてエポキシで固定。チョイと真鍮パイプを長くしてかつ隙間にラインが落ちないようにパイプの長さをヤスリで削って微調整して、リコイル噛ませてナットで締めて固定。ちゃんとローラー滑らかに回ってる。ナットにラインが絡まないようにエポキシ盛ってやる。

 って感じで一晩おいたのがこちらでございます。良い感じじゃん。ベール反転カショーンカショーンってやっても今度はヒビは入ったりせず大丈夫、グリスとオイルで回転もそこそこ滑らか。まあたまに回ってくれれば糸溝掘れにくい程度でラインが一箇所に落ち着いて転がりにくいのがラインローラーのキモだとは思ってる。
 って感じで落札価格900円のゴミスピに多大な労力とそれなりの金額をつっこんで一応仕上がりはしたんだけど、結局釣り具の評価は魚釣らんと分からんってのがあるので、実戦導入してみます。苦労しただけに釣れたら嬉しいと思う。ちょい大きめの360グラム強でサイズ感としてはちょうどダム「クイック220」に似た感じなので、重いリール担当の初代アグリースティック7fと組ませてこの春シーズン超接近戦のN川担当で試してみたい。前回書いたように今期主力はマニュアルピックアップ化した丸ミッチェル「304」で行くことにしているけど、N川専属でこの「カプリⅡ」を試して、あんまり塩梅良くなければ、大森ダイヤモンド「デラックススーパー730」に継投という体制でいざ尋常に勝負勝負!

 最近すっかりPENNの出番がないけど、秋には714z主軸に戻そうかなとか考えてます。って書いておいて、秋になったら針金ベールのリール使ってたりして。まあ、なんにせよ楽しんでみます。

2 件のコメント:

  1. スピニング熱の症状のひとつで
    既存のレギュラーメンバーのリールないがしろにしてしまうってありますね。
    ナマジさんは合併症のロッド追加症出てないからまだマシに見えます。


    兎に角稼働状態おめでとう御座います

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    1. おはようございます
       ロッドは症状出てなくてその点は楽です。
       まあ最近の径の小さいガイドが付いてる竿がまったく自分に向いてないので選択肢が少ないってのもありますが。
       とりあえず早く今回のカプリⅡつかって魚掛けてみたいです。

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2023年4月1日土曜日

2001年と全く関係ない大森の旅

 ここのところ、大森製コンパック「カプリⅡ」、韓国日吉釣具製ルー「ゴールドスピン」×2と、悪戦苦闘のジャンク整備が続いたので、サラサラッとお茶漬け的なもので今日のご飯は済ましておきたいな、という気がしたので語感的には違和感あるけど”あっさり目の大森”で済ませてみました。メインは、また誰も興味がないような、韓国大森製の「ダイヤモンド2001SS」のなんと箱入り娘。その他のネタとしては、なぜかまた買ってる外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」、ついでに実戦導入したら調整が必要な不具合が早速生じた「カプリⅡ」と、大森じゃないけど昨年シーズン終わって全バラしフル整備しようと思ってそのままだったシェイクスピア「2062NL-2」の4台をいじってみましたので、気付いたことやら参考情報やらって感じのネタでございます。ご用とお急ぎでない方はゆっくりしていってね。
 「ダイヤモンド2001SS」は見たら大森沼の住人なら分かると思うけど、韓国大森製で安っぽいし色も変な茶色だし、なんでこんなモンを買ったのか?と思うかもだけど、箱入りで取説保証書付きで1500円送料込みだと、さすがに箱書きやら取説やらの情報欲しさもあって思わずマウスが滑ってしまったのである。アタイ病気が憎いのか何なのかもうよく分からないノ。
 でもたいした情報は拾えなかった。値札は意外に良い情報で、上州屋で売ってたっていうのがポイント。大森製作所が上州屋に身売りしたのが90年代初めのはずで、その直後に同じような茶色い「ロングマイコン」を今は無き渋谷のジャンボな上州屋のワゴンで見つけて、ワシ「大森ダイヤモンドブランドが残ってまた良いリールを作ってくれるのを望むなら買って支援せねば!」と1台買っている。っていう記憶があるので90年代半ばの製品だと推定できる。機種名に”2001”とあるけど2001年製では全くなくて、「2001年宇宙の旅」的に未来のリールっていうような意味合いの名前なんだろう。たとえ実際には未来的でも何でもないダイヤモンドリールの出がらしのようなリールだとしてもである。
 保証書にも箱書きにもどこにも、製造元の住所やら連絡先の記載がなくて、保証書には「修理はお買い上げ店にお申しつけ下さい」となってて、まあ上州屋でしか売ってないからそれでも良いのか?っていう感じ。箱裏に小さく「MADE IN KOREA」とシールが貼ってあるのは当時の韓国製工業品への信頼感の無さが偲ばれて味わい深い。
 同シリーズ2機種あったようで、この「SS」は175g、さらに小型の「M」は150gと樹脂製で小型軽量なのは評価できる点ではある。いらんもん付いてないから軽い。まあ全体的な仕様としては以前紹介した「ダイヤモンドキング」に近い。細かい違いはあるけど概ね似たような設計。というようなことが分かる程度の箱書きその他において、唯一「箱入りで買って良かった~」と思ったのが、このどういうセンスしてたんだろう?っていう茶色系のボデイカラー名が判明したことで”小豆メタリックカラー”だそうだ。ツボに入って腹抱えて笑った。アズキ色だとは思ってたけどそのまんまという感じ。なんでこの色になったのか?っていうのは奇しくも今回前後してシェイクスピアの「2062」をいじって「ひょっとしてコレのイメージじゃね?」と感じたところである。アズキ色のリールってシェイクスピアの2062系2052系界隈ぐらいしかない気がするし、シェイクスピアと大森製作所は切っても切れない縁でもある。関係ないか?

 でもって、購入時右巻になってたのを左巻きにしてからクリクリして不具合ないか確認していくと、逆転防止が効かない。まあ何度も書いてきたけど、逆転防止が効かなくなってるのは単なる組み間違いが多いので気にせず分解清掃に入っていく。

 とりあえず効かなくなってる逆転防止からみていくと、案の定外れてて填め直してはみるんだけど、填めても押しつけが弱くてカカカカッっとか掛かり切らない感じで逆転してしまう。これ明らかにバネが大きさ合ってなくて、本来なら爪の下のフリルの付いたスペーサーにクルッと巻き付くべき巻いた部分が、思いっきり軸より直径が大きくて左の写真の様に下にずれて傾いてしまってる状態で、そのままでは爪を逆転防止の歯車に押しつける力が足りない。タチウオハリス用のステンワイヤーでちょうど良いのを作っても良かったけど、面倒くせぇのでギュッと開いてやって、爪に掛かる部分が抜けないように角度キツくして填め直したら正常に機能するようになったのでとりあえず良しとしておいた。多分大きさが合ってないのは、他の機種用とかの余ってた部品を流用してとりあえず填まるからまあいいかという感じで出荷しているんだろうと思う。爪の下部にサイレント化するときのバネか樹脂パーツが引っかけられそうな凹部があるのも、多分他機種からの流用っていうか余り部品をぶっ込んででっち上げてるんだろうってのが想像に難くない。先ほど”出がらし”と書いたのはこういうこと。ヤレヤレだぜ。
 タップネジがネジ山ナメりそうになってるのも安パッチいし、ベール返しの蹴飛ばしがダイヤモンドキング同様、樹脂製本体そのもので金属製のガード兼簡易ローターブレーキが無いのも残念な仕様。

 タップネジがダメってならキャリアーもダメッて話で樹脂製の高級機ではないリールなら、不人気実力派マイクロセブンCシリーズのように金属雌ネジ入れたりしないのも、軽量化の点では有利だしダメとまでは思わないけど、ベールアーム受けとかが、樹脂製ローターの方で受けさせてて、止めているのはタップネジってのはさすがに耐久性的に不安で安っぽいと感じざるを得ない。同じ樹脂製でタップネジ使用のキャリアーではベールアーム受けるのは専用設計のネジのネジ山を切ってない円筒部分で受けているので、樹脂で受けるより耐久性には優れていて安心設計。

 とはいえ、ステンの打ち抜き2枚の安上がりで丈夫なストッパーの歯車とか丈夫そうだし、真鍮のローター軸ギアに、ネジ込みハンドルにできる鉄系の芯を鋳込んだ亜鉛鋳造のハンドル軸ギアとかは、これぞ大森ハイポイドフェースギアっていう設計を踏襲し受け継いでるし、小型のスピニングに単純クランク方式のスプール上下(オシュレーション)機構とかは、量販店の店頭で4080円で売られてたリールなら上等だろうし、ドラグが硬質フェルト湿式3階建てで良いドラグなのは、”でがらし”でもそこは大森ダイヤモンドリールなんだと感じたところ。ローター軸ギアがダイヤモンドキングと違ってスポンと抜けて整備性が良いのも悪くない印象。ベール折り畳み機構が省略になってしまったのは残念だけど、値段もそんなに高くないことと考えると、それなりに使えるリールにまとまっているのかなという気はする。ちなみにラインローラーはセラミックの直づけ回転式。ルーロン樹脂系スリーブ入りが大森熱患者としては欲しくなるけど、同様の仕様のキャリアー使ってて削れたとか不具合は生じなかったので、滑りの良いセラミックラインローラーは直づけでもあまり金属を削らないのかもしれない。
 ということで、青グリスとダイワリールオイルⅡでいつものように仕上げておきましたとさ。

 なんだけど、小型のスピニングは蔵に豊富にあったりするので、コイツ使うならマイクロセブンCSとか、何ならダイヤモンドキングミニという手もあって、また余計なモノを買ってしまったという気がしないでもないけど、この辺の”チープ大森”はワシが書かんと誰も書かんだろうし、”大森ダイヤモンド”が消え去る間際のリール達には、なんか見てて切なくなってくるような実態もこれあり、誰も読まんとしてもせめてワシとしては書きとめておいてあげたい。丈夫な大森ハイポイドフェースギアにまともなドラグという心臓部はちゃんと継承されているし、軽さも評価はできるので、キャリアーSSは使ってみたいけど、何万も出せるか!っていう人は2,3千円も出せばまず買えるので、軽さとギアの感じだけ体験してみるのに試しに買うのはありかなと思います。逆転防止のバネだけちょいと調整必要だけど実釣で”使えない”リールではなさそうに思うところ。

 で、お次は、なぜまたナマジは外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」を買っているのか?説明させてください。以前「スーパーセブンNo.3」を入手したおりに、マイクロセブンNo.3とワンタッチスプールが互換性があるというのは確認できて、換えスプール体制できたなと喜んだわけだけど、以前から我が家にあるマイクロセブンNo.3は初期の深緑の”グリーニー”な個体でスプールまでその色なので、イマイチ黒のスーパーセブンのスプールとしては色目的にしっくりこなかった。という状況の中、ポーンとネットフリマに2200円というお値打ち価格で1台出ていたので、黒ボディーにシルバースプールはよくある配色だし問題無かろうということで、スルッとマウスが滑って確保。分解清掃してみるとなんと、左巻き用のネジがハンドル後方?のネジ収納部に入っておらずちょっとガッカリだったけど、元々スプール要員で買ったわけだし、必要なら左巻き用ネジこっちに持って来ても良いので気にしないで右巻で整備しておいたんだけど、2箇所固着があってやや難儀した。ベールアーム反対のローターに填まる金具の固着はネジ山なめそうな気配がしたので放置しておいたけど、ローター軸のボールベアリングはシャーシャー鳴り始めてるので、現状使えるっちゃ使える程度だけど、今後ベアリング交換が必要になることを考えると固着は外しておいた方が良いなと、ボディ側からマイナスドライバー突っ込んでベアリングにあてて、木槌で小突いたらシーリング用のステンレスの輪っかはさすがに壊れたけど、ベアリング自体は外れてオープンベアリング状態でグリス盛って、固着しないように周りにも盛って整備しておいた。外蹴りで部品数少なく、丈夫で余計なモノが付いていない何度見ても良いリールだと思う。
 でもって、お手入れ関連の現場導入組の2台。

 アズキ色のシェイクスピア「2062NL-2」はなにげに超優秀。実釣面での実力は昨年秋に証明したところだけど、整備性の面でもアメリールらしい簡単さ&放置上等で極めて優秀。昨年秋にシーズン終わって全バラしフルメンテしようと思ったけど、整備待ちのリールが片付かなくてこの時期になってしまったのに無問題。シーズン中水道水ジャバジャバ掛けて外回り注油だけだったけど、どこも錆びてないし浸水らしい浸水もしてないようで、これなら分解清掃必要なかったぐらい。日本じゃ人気ないけどこのアズキ色のリールは買って間違いない。買ったらドラグだけ純正の皮パッドが干からびてたりするので適宜入れ換えてやれば、インスプールスピニングとして最強級の実用性を発揮することを確信する。渓流には小さい方の2052系の方が良さげだけど、2062系はC4クラスでシーバスにちょうど良い。ベールアームの反対側のベールリリース周りにラインが絡んだりしないか最初不安だったけど、よっぽど糸ふけ出したりしないと絡まず普通に使ってる分には大丈夫。2062系は4台も買ってしまってるけど売る気がなくなるぐらい気にいった。

 でもって、問題児のカプリⅡ。ルーロン樹脂製のラインローラーは意外に大丈夫っぽくて、一時間強の出撃3,4回では溝も掘れてないし特になんともなってない上に”なんちゃってツイストバスター”はやっぱり効果あるのか糸ヨレも気にしなくて良い感じ。わりと調子良いじゃんと思ってたら、なんか逆転防止が効かなくなってきた。最初ちょっと掛かりが悪い時があるなぐらいに思ってたら、気がついたらカリカリ鳴っててストッパーが稼動してるのに爪が掛からず常時逆転可能になってしまった。どういうこと?と分解してみたらストッパーの爪が掛かる部分がギアと一緒に亜鉛鋳造なんだけど、これが山が削れて低くなって爪があたってるけど掛からなくなってる。爪の方は鉄系の堅い素材で歯車の方が負けて摩耗してしまったようだ。写真は在りし日の正常な状態で、右側のギア裏、工場マークみたいなどっちの回転でも刃が引っかかるはずの凸部分が角が丸まって低くなってしまっていた。まだ凸が完全に平坦になったわけではないので、爪をもう少し内側に出るようにすれば引っかかりそうなので、爪の根元を削って調整したら上手くいった。ただまた同じようにカリカリ鳴らしてリール巻いてるとまた同じように削れていくのは明白なので、今後はミッチェル式でストッパーは外して使って、タモ使うときとかハンドルから手を放すときだけストッパーを掛ける運用でいかざるをえない。
 2001SSは”出がらし”だったけど、”カプリⅡ”は錆びて朽ち果てる鉄系ラインローラーといい、カリカリ巻いてると削れていく亜鉛製ストッパーといい、後の大森製作所にみられるような適材適所な素材選定の部分がまだ”煮詰まってない”段階のように見受けられる。やっぱり大森製作所も最初っから我らの愛する”大森品質”だったワケじゃないってことで、いろんなリールのマネから始まって、試行錯誤繰り返してだんだん上手にリール作れるようになっていったというのが見て取れる。概ね「マイクロセブンDX」の時代(1960年代まん中頃)から「マイクロセブンC」の時代(1980年代まん中頃)ぐらいまでが、ハズレの少ない大森製作所的黄金期なのかなと思ったり思わなかったりしてます。写真は蔵ひっくり返してて出てきた1985年の大森製作所カタログで、コレ見るとマイコンシリーズが基本の樹脂ボディー”100”シリーズ、ウィスカーチタンカリ仕様の”ウルトラ”シリーズ、ツイストバック搭載の”300TB”シリーズとあり、それぞれ米国流行のトリガーモデルがあって、ついでに公式でも「フィールドの実力派」「個性豊かなダイヤモンドリールの中で、地味ながら忠実」と地味な実力派扱いのマイクロセブンCシリーズと、似たような機種の派生が増えてて若干とっちらかり始めた気配はあるといえばある。とはいえマイコンTBシリーズ(85'新発売)とマイクロセブンCシリーズはワシの”推しリール”なので、この辺までを黄金期に含めたいところ。(アレッこの時代ですでにTBシリーズ以外樹脂本体ということは、大森製作所最後の金属ボディーのスピニングはマイコンTBシリーズだったのか。UPフィットとかアルミスプールの機種はその後もあったけど金属ボディーはないよね?)

 結局なんでも一緒で、釣りでももろにそうだけど、最初から上手くできるわきゃなくて、上手い人の真似して、試行錯誤を繰り返して、経験踏まえて、改良加えて、ものごとって上達していくんだと改めて感じましたとさ。

11 件のコメント:

  1. こんばんは。
    ご無沙汰しております。
    相変わらず熱量の高い文章でうかつなコメントは出来ないですね

    最近はオールド系のリールに手を出していなかったのでコメント控えておりましたが、最後の大森らしい大森リールは何か探っておりました。

    我が家にもdiamond 2001 Mが転がっており、こいつが最後のねじ込みハンドル大森機と思っておりました。(ナマジさんの分析通り各部タップネジはいただけませんが…)

    しかし先日Silster製 Tiny20なる超小型リールを入手したのですが、こいつがねじ込みハンドルで内部機構的にも間違いなく大森、それも「korea」の刻印がフットにあったので韓国大森が関わっている様に思われます。

    末期の大森がシルスター、上州屋に吸収されていったのは知っていましたが、その中にもねじ込みハンドルの大森イズムを継承したリールが他にもあるかもしれません…

    今、Silsterが熱いですよ‼

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  2. すみません。先ほどのコメント、以前norishioのHNで書き込んでいた者からです。

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    1. norishioさん おはようございます
       今私の中でもメイドインKOREAが来てて、明日一台到着予定。シルスターはKOREA沼に沈むなら避けて通れない流れか。
       昨日一昨日とヤ○オクにデカいアメリカンインスプールが何台か出てて、コレクターの方がお亡くなりになったのかなとか思いつつコレクション引き継ぐぐらいのつもりの気合いで参戦したけど、競り負けまくって一台PENNを確保したのみだったので、軍資金は残っててあるっちゃあるんですよね。
       しかし、シェイクスピアのシーワンダーとかどんな人が落としたンだろう?需要があったことに驚きです。

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    2. シーワンダー、うちのウォッチリストにも入ってました(笑

      現代で使うならコイとか投げぶっ込みくらいですかね?

      自分も昨晩はペンのスラマーに勝負を賭けてたのですが高騰してしまって見逃しです。

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  3. シルスター、ピナクルくらいしか知名度ないですが90年代前後のkoreaリールにも意外と見所のあるやつが居そうな気がしますね!

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    1.  日本のメーカーが70年代80年代欧米ブランドのOEMとかで培った技術を、生産拠点を持ってったり、下請けに出したりで韓国に移していったのがちょうど90年代ぐらいですよね。技術的に地続きって感じがします。
       それはまさに欧米の技術とそれを学んだ日本の技術が地続きなのと同じようで、歴史が繰り返されてるようにも思います。

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  4. こんばんは。

    ちょうど今日書籍版の「ミスター・ハラの記憶 リール共亡史」が届いて読んでいるところですが、シルスターの記述も多少載っていて物凄く面白いですね。

    技術者かつビジネスマンである1988年頃のハラ氏視点からの各メーカーの事業分析、今後の動向が記された項が最高でした。

    ただ、ある程度下敷きとなる基礎知識を持って挑まなければ、間違いなく読者を置いてけぼりにする類の濃厚さで心配にもなります

    自分はキンドル版の「リール風土記」は買っていないのですが、もしかしたらそちらとはまた内容が違うのかもしれません。

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    1. norishioさん(ですよね)おはようございます
       「リール興亡史」我が家にも今日届きます。楽しみです。
       「リール風土記」は書籍版もあります。面白かったですよ。韓国関連では80年代後半の「韓国日吉」と「ソウルフィッシング(シマノとかのOEM受け)」の比較とか、各々の立地による気風の違いとか面白かったです。1975年頃、1980前半、1987年頃の韓国下請けメーカーと発注元ブランドの相関図もあって、シルスターはシェイクスピアのリールも作ってたようです。なんちゃって大森はシルスターもありかも?
       90年代に日本の技術が韓国に引き継がれたようなことを書きましたが、実際にはもうちょっと早く80年代からその流れはあったようですね。

       ヤフオクにデカアメリールの第2弾が投入されてて今週末も決戦です!

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  5. すみません。
    先のコメントnorishioです

    リール風土記も先ほどポチってきました(笑)
    こういった本を読んでいると心が満たされますね

    今週末も青い720だったり緑の722だったり、その他美個体、はてには9500の予備パーツやらいろいろ出てますね。

    私も予算の許す範囲で参戦させていただきます

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    1. norishioさん こんばんは
       「リール興亡史」も届いて私も満ち足りてます。
       アメリール祭りは踊らにゃそんそん状態です。なんじゃそりゃ?
       シーワンダーさすがにもう買い手も減っただろうとリベンジマッチに挑みます。
       なにげにマイコンTBのカーボンボディー版というマイナー大森にもそそられてます。私以外に需要無いと思うんだけどこればっかりはハンマーが落ちるまで分からんのでドキドキと楽しんでみます。

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    2. よっしゃバンザイ!シーワンダーゲットだぜ!!

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2023年4月8日土曜日

ゆく川の流れは絶えずして同じ川に二度入ることはできない

 ななな、なんじゃこりゃ-!!

 釣り場から帰ってきて、苦労して修繕して釣り場復帰させた、大森製コンパック「カプリⅡ」を洗おうとして衝撃が走る。近場の釣りがほとんどなので竿にリール付けたまま2本継ぎの竿をロッドベルトで束ねて持ち運んでて、帰ってきたらそのまま外の水道でジャバジャバ洗うんだけど、釣ってるときは明かりつけたくない(魚が警戒しかねず釣り場がバレかねない)ので暗くて気がつかなかったけど、ラインがワンタッチのボタンにグルグルに巻いてしまっている。と一瞬思ったんだけどなんかそれにしては、巻いている部分が長い。ボタンそんなに飛び出てたハズがないので理解に苦しんでたけど、理由が分かってマズいことが起こっていることが判明してゾッとする。これドラグノブが無くなってる。

 普通スプール押さえているドラグノブが無ければドラグ滑ってラインが巻けなくなるかスプールが落ちるなんだけど、ドラグノブが填まってた位置にラインがグルグル巻きになってるのでドラグは効いてないけどラインは固定状態で近距離は巻けるしスプールもおちないので気がつかなかったようだ。写真は普通に巻ける部分15~20mを引っぺがしてグルグル巻きに到達した状態。ドラグノブ落ちた直後にラインが巻くという不幸な偶然が起こってしまったのかと思ったけど、そんな都合の良いというか悪いタイミングでそうそうことが起こるとは思えず、逆にラインが巻いたからドラグノブが落ちたというのが正解かもしれん。ラインがドラグノブの下に潜り込んで巻いてしまい、ドラグノブを押し上げて落としたっていうほうがありそうに思う。

 とにもかくにも無いと困るので探しに釣り場に戻る。途中の道も目を皿にして下を向いて探しつつ、釣り場では3つのポイント、立ち位置的には7箇所で投げたので足下はもちろん、柵から乗り出して投げてた場所もあるので、ヘッドランプで水中も照らして探したけど、足下には落ちてないのは間違いなさそうだけど、水中は暗い時間水位もあるとなんも見えんのでどうにも分からんかった。こうなっては発見は望み薄だけど、それでも一縷の望みにかけて次の日明るい時間の干潮時に行ったけど、降雨で増水してたから釣りに行ったぐらいで流れは結構あったし、アルミの軽くて小さい部品など流れてしまっただろうし、どこで落ちたのかも定かではないので覚悟はしてたけど見つからなかった。犯行に使われた凶器を探す警察のように鋤簾(じょれん)とか使って川ざらいしてしまいたいぐらいだったけど現実的ではなく、泣く泣く泣き寝入り。

 なんでワンタッチの部分を接着剤で固める必要があったのか?と以前の持ち主の意図が分からんかったけど、多分こういうことがあって、落として気がついて回収できたので固めたのかもしれんと思い当たった。なんにしても手間暇掛けて金掛けたリールが使用不能になってしまいガックリ来た。モノはいつか壊れる。釣り具が釣り場で壊れるのとかはある程度覚悟して使っている。どうしても壊したくないなら釣り場に持ち込まずに棚にでも飾っておけという話ではある。とはいえ自らの不注意で落としたことに気付かず、ラインをフケさせて巻いたから起こる不手際が原因だとなると、リールに対して申し訳なくてどうにか復活させられないかと悪あがきを始める。

 まずはパーツ取りにできるような個体が出ていないか、普段毎朝チェックしている国内ネットオークションとかに出てないのは調べるまでもないので、セカイモンでイーベイに出物がないか見てみるも、「86カプリⅣ(デラックススーパー系)」は部品売りさえあるけどカプリⅡはない。そらそうだ、ラインローラーが錆びて朽ちる素材でストッパーが削れる素材だと、使われたらすぐに壊れて生き残った個体は少ないハズで、完品が出てくるとしたら箱入りデッドストックぐらいで、ジャンクで残ってて今さら売りに出るほど売れもしなかったんだろうというのは想像に難くない。ジャンクと部品売りは薄い可能性に賭けて今後もチェックしておきたいけどコリャダメだ感が強い。なんかちょうど良いナットでも探して填まらんかな?填まればあとはスペーサーとか使ってドラグ締めるツマミぐらい何とかなりそうには思ったり思わなかったり、既に死んだ子の歳を数えるに近いような悪あがきに突入してるけど、手塩に掛けた我が子が生きていればいくつになったか親なら数えずにいられないように、ワシも諦め切れん。

 ネジ入ってる道具箱とかさらってみるも大きめのナットって在庫が無くて、ホームセンターまでひとっ走りするかと思って、ふと「待てよ、大森製のワンタッチのスプールのドラグノブならひょっとして填まるのがあるんじゃないか?」と悪あがきしてみる。大きさ的にはNo.3ぐらいかなと、先日いじったばかりの外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.3」のを試したらちょっと大きくてスカスカ。やっぱりダメかと諦めかかりつつも毒くわば皿までで一つ下のサイズの「マイクロセブンNo.2」のドラグノブを試したら、オオッ神よ!信じてないけど感謝します!!填まるしちゃんとドラグ締めてくれて機能する。相変わらず下部に隙間ができるのと見た目が致命的に全く合ってないというのは仕方ないとして、釣り場に再度復帰させられそうには思う。とりあえず今シーズンぐらいN川要員で使ってルーロン樹脂製のラインローラーの耐久性試験をしつつ、魚釣って釣り道具としての本懐をとげさせて、あとはドラグノブ外してわが家の蔵でワシが死ぬまで眠ってもらい、運が良ければ純正ドラグノブ入手して復活の目もなきにしもあらずって感じか。

 ということで、しばらくドラグノブは借り物で行くんだけど、浮いてるのでまたドラグノブの下にライン巻いて落としかねない。ちゃんと指でライン放出調整して糸フケないようにしておけよというのはごもっともな意見なんだけど、大きめのリールなのでアタイの小さめの手では指届きにくくてギリギリなの。許して。マイクロセブンNo.2は綺麗な個体でコイツまでドラグノブ欠品にしてしまうのは避けねばならぬ。仕方ない、ボロい個体探すか。と何が仕方ないのか全く分からんけど部品取りできそうな個体の出物が無いかネットオークションとか探してみた。なんとまさにビンゴなシェイクスピア版マイクロセブンNo.2同型機「2410」の”ドラグナット”がイーベイに出てる。しかし円安のおりセカイモン通して購入すると6千円以上となってしまい、何か別のモノ買うことがあったら送料節約できるので関税かからない額まで調整するのに買っても良いけど、さすがに部品一個にその金額はキツい。普通に中古リールが余裕で買える。かつ買うのはマイクロセブンNO.2でなくても、大森製作所の同じドラグノブ使ってる機種、具体的にはオートベールでもスーパーセブンでも問題無い。

 へっへっへ上玉が見つかりやしたぜ。ジャーン「オートベールNo.2」。我が家に新品箱入り娘がいるので2台目だけど、ひーとり娘とやるときにゃ親の承諾えにゃならぬ~♪ってぐらいで、おいそれと使えないのでちょうど良い。何がちょうど良いのか自分でも分からんけど次女なら問題ない。黄色いお店のネット通販で2,657円+送料880円の計3,537円で、カプリⅡにこれまで突っ込んだ金額はだいぶエラいことになりつつあるけど、趣味で楽しんでやってるんだから良いンです。と沼の底からゴボゴボと叫んでおこう。6千円でドラグノブ一個買うことを考えたらお得!れいによってハンドル周りの銘板が片側剥げ落ちて、かつラインローラー固着ということで中古屋価格としては安めだけど、ぶっちゃけネットオークションとかで待てばもっと安いかも。だけど、今必要なので時価で買うしかない。ということにしておこう。

 せっかく我が家にお越しになったので、とりあえずは整備しておくかと、固着してるというラインローラーも予定どおり復活させて全バラし青グリスグッチャリで仕上げたら、銘板ハゲやら小傷やらはあるけど、これまた予定どおり快調に仕上がった。大森ダイヤモンドリールにおいては部品欠損が無ければ、ギアも充分以上に余裕持って丈夫だから摩耗したりしてるのはまず無いし、ベアリングは今回生きてたけど、錆びてシャーシャーいってても規格品なので交換でクルックルに復活する。ベールスプリングが折れるのはこの時代の安全ピン開いたような”トーションバネ”では避けられないけど、バネ屋さんに作ってもらえば交換で復活するし、何なら自作してもいい。

 今回このオートベールをいじってみて、自分が大森ダイヤモンドリールの分解整備について”だいぶ慣れたもんだな”と感慨深かったのと、この機種がやっぱり大森製作所を代表するような標準機だなという思いを新たにしたので、ちょっとオートベールの整備については別途ネタにしてみたい。
 そして、なぜオートベールが”標準機”だと考えるのかというと、大森的なアウトスプールスピニングの基本設計、硬質フェルト製湿式ドラグパッド3階建てのドラグ、丈夫で滑らかなハイポイドフェースギア、使用中にガタがでない左右用のネジ山を交互に切った独特のネジ込みハンドルと、そのためにハンドル軸のギアに鋳込んだ鋼製の芯、丈夫でかつ本体内で浸水などから守られているローター軸ギア直上のストッパー、高らかに機種名で謳われる軽い内蹴り式のベール返し、ルーロン系樹脂スリーブ入りの回転式ラインローラー。収納時折り畳めるベールとハンドル。小型機種には単純クランク方式のスプール上下(オシュレーション)、ローター軸のギアのボールベアリングに加えハンドル軸のギアにもボールベアリング1個。ワンタッチ式のスプールが奢られている。というあたりが必要充分なアウトスプールスピニングの一つの完成形というように感じるからである。それ以前の外蹴りアウトスプール版マイクロセブンには、今のスピニングでは標準装備の内蹴りのベール返しがまだなく、オートベールの同時代の簡素版的な機種であるタックルオートはワンタッチとハンドル軸ギアのベアリングがない分単純で、その後の樹脂系キャリアーやらインスプールのコメットやらへの発展の原型とはなっているけど、設計の順番的には当時考えた一番の設計をオートベールに持って来て、簡素で値段を抑えたタックルオートをそこから作ったと考えるのが自然かなと。今時の大手メーカーみたいに旗艦機から4つも5つも別グレードを用意して、あげく魚種別、釣り方別に特殊モデルまで売りさばくようなことはしていなかったけど、大森製作所も旗艦機種と簡素版っていう品揃えはしていたと思う。外蹴りアウトスプール時代(写真上)にはマイクロセブンの下にはタックル5があってまさに、オートベールとタックルオートの関係と同様で、タックル5はワンタッチスプールじゃなくて、ベアリングも一個、ついでに左右のハンドルネジは交換式でネジ収納部がハンドルにあるのがマイクロセブンのデザイン面での特徴となっててタックル5にそれは無い。後の時代の樹脂製のマイクロセブンCキャリアー(写真下)になると、若干関係は違っててキャリアーはタックルオートの樹脂版という設計で軽量化に振ってて、マイクロセブンCは樹脂製でも耐久性を確保するために補強入れたりした新機軸の設計になっている。とはいえ凝った上位機種と簡素版という関係ではあったと思う。この2機種はどちらもワンタッチじゃなくてドラグパッドがテフロン製のスプールは共通。で、オートベールで完成の域に達した大森ダイヤモンドリールの機構を踏襲しつつ、ドラグを尻に持って来たのが大ヒット作”マイコンシリーズ”ってことなんだと思う。ってなことも今回オートベールNo.2をいじってみて感じたところである。
 
 とまあ、紆余曲折あってなんとかカプリⅡはオートベールNo.2からドラグノブを拝借して、釣り場復帰させることができるようにはなった。
 正直ジャジャ馬が過ぎるというか金の掛かるヤツである。
 でも最近の高級リール様が、いりもせんような遊びの無い逆転防止とか過剰な回転性能とかの他に、売りにしている機能をつらつらと読んでいくと、結局それってヘッタクソでもトラブルなく使えるようにメーカーさんが苦労して付けてくれた機能だよね?ってワシ思いあがってるかもだけど思わずにいられんのじゃよ。まあワシそんなに技術に特化した釣り人じゃないいけど、そこまでしてもらわんくても普通に釣りできるんで、高級リール様のお手を煩わすまでもないのですじゃ。つまりヘッタクソ用のリールなんか使わんでいい身分なので、ジャジャ馬でも楽しめりゃ良いさと思ってます。まあ今回みたいな致命的なトラブルは困るのでこれっきりにしてもらいたいけど、もうさすがに不具合は出尽くしたと思うので使います。どんなトラブルが出るか想定できてれば、防止も対処もできるので、道具は手に馴染んだモノが結局頼りにはなる。なるけど違う道具使うのも楽しいからアタイやめられないの。
 
 もしも最新鋭の高級リール様でないと釣りが成立しないとか感じておられるならば、一度貴兄が釣具屋や釣りメディアに洗脳されてはいないか、あるいは失礼ながら腕がヘッタクソではないか、ご自身を見つめ直してはいかがかと存じます。




2023年4月15日土曜日

リピートアフターミー!オートベールNo.2で学ぶダイヤモンドリールの分解整備

 ハイ、エッブリワン!今日も大森沼の底の方で楽しく溺れているかい?

 なになに、もっと深く潜りたいけど自分で整備するのとかちょっと取っつきにくくて、って何を言ってるんだ良い若い者が!そんなモノは安ずるより有無を言わせないでレッツトライだ!!四の五の言う暇があったら手を動かす!分かったな?

 そんな諸君達にちょうどよい教材となる事例があるので、今日はしっかりダイヤモンドリールの分解整備の方法を学んでいって欲しい。なお今回学ぶ方法は独自の”ナマジ流”なので、専門的な知識のある人からみたら、やっちゃダメなこともしてるかもしれんが、でもまああんま気にするな。ダイヤモンドリールはタフだから全く問題無いぜ。気軽にリピートアフターミーすれば、沼の底の濃い仲間にカモンジョイナスだぜ!

 ということで始まりました、ダイヤモンドリール分解整備講座、講師のナマジでございます。若輩者で恐縮ですが本日は皆様よろしくお願いいたします。

 はい、まずは準備が大事、何事も段取り上手に行きましょう。準備で何が大事かっていえば、とにかく作業する台にする”お盆”これが無いなら分解整備するなっていうぐらいに重要。とにかく細かいパーツが転がってどっか行ってしまうのは、お盆の上に分解した部品を並べていくことでほぼ防げます。というかテキトーな場所でバラしてると組み上げたときに部品が足りなくなること必至。”ほぼ”と書いたのはそれでも”跳んで脱走”系の部品があって、バネがたまに外した途端にピョンと跳ねることもあるけど、鬼門と言って良いぐらいに跳ねるのがCクリップで、始めから跳ねることを見越して、リール本体内に跳ね落ちるような角度から外してやるのが吉。細かい部品をネジとかどこのだったか混ざってしまわないように分けるための小皿もあると便利、パーツクリーナー液に部品を泳がせるのにも小皿有用。でもって、分解するのに必要な工具、ドライバー、スパナ、六角レンチ、細かい作業用のペンチ、場合によってはトンカチなどを用意して、固まった古い油を落とすにはパーツクリーナーとパーツクリーナー用のお盆(油で汚れるので大きめの食品トレーで何回か使ったら捨ててる)と歯ブラシ、ちなみにパーツクリーナーは「モノタロウ」オリジナルのお徳な増量版を愛用。そして何はなくてもティッシュ、あとは綿棒、グリスとオイル、意外と重要なのがデジカメ、というところが主な準備するモノだけど、リールが手に入って道具達の準備ができたらハイ始めましょうとはいかない場合もあるので要注意。錆びまくってて固着が心配されるようなときは一旦CRCをぶっかけまくってビニール袋に突っ込んで結んで数日放置し固着部にCRCが浸透して外し易くなってから作業した方が良い場合もあったりする。まあ、どうにもならん固着はそうやってもどうにもならんけどな。大森だと外蹴りアウトスプールの「マイクロセブン」と同時代の「タックル5」のベールアームの反対側のローターに止めるネジと、ベールアームにラインローラーを留める、円錐に切り込み入れた形のナットが固着外せず後者はねじ切った前科あり。ここで大事な事は固着は無理に外さない、ということか。ラインローラー固定でも使えるけどねじ切ってからベールアームごと再建とか難易度高いのでヤバそうに思ったら放置。あと、購入なり落札なりしたリールが届いて、ハンドル回したりするときも注意。ここでも動かなかったら無理に回さないことが大事。グリス固まったり変なところが腐蝕して固着してたりすると回したら壊れたということもあり得ます。

 ということで、準備もできたのでダイヤモンドリールを代表する”標準機”だとワシャ感じている、大森スピニングと聞いて思い浮かぶような仕様がだいたい全部乗せで揃っている「タックルオートNo.2」を分解しつつ整備のコツやらその機構やらをご説明してみましょう。分解していくときに、先ほど準備するものとして意外と重要だと指摘したデジカメでバシバシ写真撮りつつ作業を進めてください。あとでブログネタにするから撮影が必要ってわけではなく、部品の填まってた位置関係、順序、特にバネがどこに掛かっていたかなんてのは、見たモノを全て記憶しておける直感映像記憶能力でも持ってなければ憶えていないモノで(我が姉が能力者でトランプの「神経衰弱」で一回めくった札は全て憶えていた)、あとでどう填めていいか分からなくなってしまうのはありがちなので、分解時デジカメで部品の填まり方とかを撮影しておいて組むときに分からなくなったら画像で確認する。コレ大事。デジカメのない時代に丸ABU分解して、ストッパーのラチェットをはさむ薄い板のついた爪をどう填めたら良いのか途方に暮れるのは、あの時代にリールをいじった人間の共通体験だったのではないだろうか?

 まずは外し易いところから順番にという感じで進めていく、ハンドル外してスプール外して、でハンドルはこの時代のは分解できないので汚れをパーツクリーナーで飛ばして拭き取ってからグリスとオイルで適宜整備というかんじだけど、パーツクリーナーはイソヘキサンという油をとかす溶媒が主体にアルコールとガソリンという主成分のようで、イソヘキサンは樹脂に悪影響があるようなので、ハンドルノブは今のところ大丈夫だけど、細かいパーツやら接着面には使わない方が無難でCRCで磨いておくか樹脂OKのパーツクリーナーを使用するべきとのこと。ワシャハンドルとか金物と外せない場合を除いてCRCで汚れ落とすようにしている。

 スプールは、裏面のドラグの”音だし”が写真撮っておかないと分からなくなりそうな構造で、バネからのびる針金部分を開いてスプール裏の出っ張りを挟んで、その挟んでできた隙間に音出しの爪の曲がった部分を刺してネジ止めしてある。

 ドラグ周りは、ドラグパッド留めてるCクリップさえ外れればあとは外すだけなので、特に問題はないけど、ここでも順番を写真に収めていないと間違えるかも。良く考えていけば順番分かるはずではある。スプールと一緒に回る底か耳付きワッシャー、と軸に固定される小判型穴ワッシャーが交互に来て、その間にドラグパッドのグリス漬けの硬質フェルトが来るというドラグの基本構造が分かっていれば間違いようはない。スプール座面の赤いファイバーワッシャーはドラグの一部としても邪魔しない程度に機能してるハズだけど、邪魔しないようにするならもっっと摩擦の少ないテフロンとかが好適で、かつ長い期間においては赤いファイバーシートは経年劣化するのでテフロンワッシャーに交換できればしている。この時テフロンワッシャーの枚数変えたりして厚みを調整することで、ある程度ラインの巻き形状の調整もできる。薄くするとスプールが下がるのでそのぶん”前巻き”になる。ドラグパッドもパーツクリーナーにしばらく浸して拭き取って、また浸してと2,3回もやれば古い油が抜けてくるので、乾燥後新たにドラググリスを塗ってやる。

 次に本体蓋をパカッと外してやると、オシュレーション(スプール上下)のクランクのピンが主軸に突き刺さってるのを抜けば、ハンドル軸のギアも抜けてくる。ピンが抜けると主軸もローター軸のギアから抜けて、ローター周りを分解する準備も整う。

 ハンドル軸には力の掛かってくるギアの側に一個ボールベアリングが使われている。同時代の簡易版的なタックルオートではハンドル軸のギアは両側真鍮スリーブ受けとかで、それで小型機の巻きが重くなるとかは特に感じず、あんまりありがたみは感じたことはないけど、本体内なので錆びるような場所でもなく、あって悪いというほどではないと思っている。また大型機ではオシュレーションシステムがクランク方式ではなくハンドル軸の回転から歯車回して減速する方式らしいけど現物はまだ見たことがないので、見てみたいという症状が出かかってます。

 ハンドル軸のギアをヌポっと抜くと、ローター軸のギア直上の歯に掛かる、逆転防止の爪とか、スイッチ関係が見えてくる。

 右が逆転防止スイッチON状態で、本体にネジ止めされた”爪”はバネによってストッパーの歯に押しつけられている。左が逆転防止をOFFにして切った状態で、下げたスイッチから繋がる銅の部品が、爪の歯車に当たるのと反対側のお尻を引っかけて下げることにより、爪は歯車から離れてストッパーが掛かってない状態になり逆転するようになる。バネの巻いた部分はネジの下にあり片方の端が爪を引っかけて歯車に押しつける方向に効き、もう片方の端は本体上部の角の方に引っかかってる。オレンジで囲んだところがバネの各端。というようなややこしい部分は写真に撮っておく感じ。

 主軸も抜けたら、ローターが外せるようになるのでギア含め外していく。ここでちょっと注意が必要なのは、大森スピニングの場合、ローターを留めているナットは逆ネジがほとんどなので、正ネジのつもりで「堅くて回らないな」とグイグイ締めてしまっていると、ネジ山が飛んだりしますのでご注意を。

 でもってローターの下には、ベール反転蹴飛ばし関連と、ベアリング及びギアを押さえてる円盤、銅製の板を曲げた簡易ローターブレーキが見えてくる。

 3箇所のネジを外して、抑えの円盤を取っ払うと、No.1以下のサイズではローター軸のギアの上部を引っ張れば、ギアがボールベアリングごとヌポっと抜けたんだけど、このNo.2ではまずベアリングを上に抜いておいてから、下の本体内部側からギアとストッパーの歯車を抜く方式。

 たまにというか、ちょくちょく本体にローター軸のボールベアリングが固着してしまってる場合があって、錆が酷くなければここでも”無理に抜かない”で放置で良いんだけど、ベアリング錆々とかで抜かざるを得ない場合は、ベアリング壊して外しても規格品のボールベアリングなので本体壊さないようにだけ気をつけて、裏からドライバー当ててトンカチでどついて無理くり外したり、ドリルで穴開けて破壊してむしったりしても、新しいボールベアリングでクルックルに復活させられます。No.1、No.2サイズは共通で外径14mm、内径7mm、幅5mm、No.3サイズで外径24mm、外径9mm、幅7mm、いずれも国産のステンレスボールベアリングであれば数百円程度。ベアリング買うのはモノタロウ便利。

 ローターもローター軸のギアも引っこ抜けたら、本体は残ってる逆転防止関係、爪はネジ止めされてるのを外し、スイッチ関係はEクリップで留まってるので外せばガラのみになる、その後はローター関連。

 まずは、固着しているという触れ込みのラインローラーだけど、実は全く心配いらない。ローラーを留めているネジなりナットが固着している場合は前述したようにヤバい場合があるけど、ラインローラーにはルーロン系樹脂スリーブが入っているので、固着しているといっても真鍮スリーブやまして鉄系スリーブのように錆びて腐蝕して分かれがたく融合してしまっているような固着は起こり得ない。ルーロン系樹脂は錆びないので、CRCぶっかけたりしてつついてみたり捻ったり引っ張ったり、それでもダメならある程度柔軟性もあるので、金属部分との間に千枚通しでも突っ込んで変形させつつ引っぺがせば、剥がれてくれる。形は元に戻る。で腐蝕して緑青吹いて太ってしまってる真鍮にクロームメッキのラインローラーの内側、両サイドを目の細かいサンドペーパーなどで慎重に削り取って、本来あるべき寸法に戻してやって、引っかかりつつも回りそうになってきたら、隙間にコンパウンド(ワシ歯磨き粉で代用してます)塗って輪ゴムでルーターと接続して回して当たりをとって滑らかな回転に仕上げておく。なんら問題無い状態に復活。グリス塗って回転が重いようならオイルをさして緩めてやってお好みの回転具合に。
 ローターにはベールアーム側にベールスプリングとベール折り畳みのポッチが付いている。

 ベールスプリングはトーション2回巻きで、使ってると数シーズンで折れるのはいかんともしがたいところ。バネは作ってもらうか自作して用意して、折れたら交換と割り切るしかない。釣り場で折れてもアウトスプールのリールなら、投げ終わったらいちいち手でベールをキッチリ位置まで返してやるのが面倒だけど釣りが全くできなくなるということはない。インスプールだと手で返せないので難しいけど、釣り場ではしかたないので左手でローターを回しつつベールを手動で起こして釣りしたこともあるけど、それに比べればアウトスプールの場合はなんぼかましである。

 折り畳みのポッチがベールアーム基部の左上ぐらいにあるのが分かるだろうか?中にバネが入ってる先がふさがった筒がローターの穴に出たり入ったりする構造で、普段はちょっと出てベールアームをライン巻く位置で止めているんだけど、ポッチをローター内に押しこんでやると、ベールアームの止めが外れてライン巻く位置を越えてパタンとたためてコンパクトで携行や収納に便利。ハンドルさえたためない今時の高級スピニングさまのようにエラそうに手間やら場所をとらせない親切設計。

 ローターのベールアームの反対側には、内蹴りで”オート”にベールを反転させるための機構が入っている。

 上の写真がベールが返った状態で、下がベールを起こした状態。いずれも側面の蓋をハズした状態。

 ベールを起こすと、ベールワイヤーのお尻の部品にある出っ張りが”リリースレバー”の棒の部分を右に押しやって、リリースレバーの下部がバネをたわませつつ下の写真の矢印のように先がローターの中心に向かって出っ張る。

 その状態で、本体上部、ローターの下に入る部分の蹴飛ばしに、リリースレバー下部の先(写真×部)が回転して、まず軽くローターブレーキに当たりながら接触して、写真下の矢印と逆の方向に各部が動いて、ベールスプリングの力でカションとベールが返る。という仕組み。

 ちなみに、このリリースレバーを左側に寄せているバネがあるんだけど、No.2についてたのは填めるときにちょっと苦戦した写真上のグルグル巻きタイプ。
 大森熱患者には、小型機の眼鏡マークみたいな、バネの片方をネジ止めするタイプ(写真下)の方がなじみ深いかも。こちらの方が上下幅は必要としないけど、巻き数少ないので力と耐久性は劣るのかも。まあ、そのへん適材適所で必要な形に変えてあるんだろうなと思ってます。
 以前いじった「スーパーセブンNo.3」でも上のグルグルバネだったので、内蹴りのNo.2とNo.3のサイズがグルグル、それ以下は眼鏡型、No.4以上は残念ながら触ったことないので不明。大森のこの辺の代表的機種でNo.4かNo.5あたりの大型機は一度触ってみたいところ(使うあてはないけど欲しいモンは欲しいんじゃ)。

 という感じで、ローター周りも取っ払ったら分解は終了。
 パーツクリーナーによる汚れ落とし洗浄作業は、固まってるグリスとかはマイナスドライバーで掘り取って、大まかな汚れをティッシュで拭いてから、パーツクリーナー液ぶっかけて、ひたすら歯ブラシでシュッシュと、細かい所は竹串やら爪やら使いつつ、汚れを落としていく。固まってないユルいグリス汚れならパーツクリーナーのスプレー圧で吹き飛ばせる。汚れが落ちたらセッセとティッシュで拭きまくってしばし乾燥という感じ。
 細かい部品は、ローターならローター関係、ハンドル軸周りならハンドル軸周りと小皿に分けて、小皿にパーツクリーナー液をためて漬け置き洗いすると汚れを落としやすい。
 オートベールにはややこしい機構が搭載されているわけではないので部品点数もそれほど多くないし紛らわしい部品もあまりない。あるとしたらベールアームを留めるネジと反対側のベールワイヤーのお尻を留めるネジが似てるぐらい、ハマらなかったら逆ってだけでたいしたことはない。ややこしい部品が多い機種を分解するときは、デジカメで判別できるように撮影しておくのは当然ながら、小皿多めに用意して混ざらないように気をつけるのが良いと思う。

 で、4枚ある内の1枚がすでに剥がれて逸散してしてしまっている本体の銘板、残ってるのもどうせすぐ剥がれるだろうから、この機会に一回剥がしてしっかり接着し直そうということにした。
 ボディーごとお湯で温めて、接着剤ユルくしてマイナスドライバーでも使って剥がすか?と思ってたら、パーツクリーナーで洗浄した時点で、劣化してた接着剤がトドメ刺されたのか、1枚かってに剥がれてしまい、他の2枚もマイナスドライバーでちょっと突いたらあっさり剥げた。接着剤は茶色く干からびたようになっていて、摘まんでペリペリと剥がせた。
 さて、接着剤に何を使うか?はみ出した部分の拭き取り処理のしやすさとか美観面ではエポキシなんだけど、エポキシは堅い素材同士の接着はペリッと剥がれがち。接着力なら信頼の「コニシのSU」なんだけど、これは逆にはみ出すと乾いてもベタ付いていて始末が悪い。良いとこ取りしたような都合の良い接着剤ないかなと考えたけど思いつかなかったので、仕事を分担してもらうことにした。銘板中央付近にSUをベトッと付けて、端の方をグルッとエポキシで囲って接着。はみ出したエポキシは固まる前ならティッシュで綺麗に拭き取れる。はみ出さない程度に真ん中へんだけSUってのでも行けるカモだけど、端の接着剤が付いてない隙間に塩水入ってとかすると腐蝕の原因になりそうなので、接着はSUに防水はエポキシにまかせた。

 これで、洗浄とお化粧直しも終わったので、あとは”全ての金属面がグリスでグッチャリ”を基本にグリス盛り盛りでグリスシーリング。ローターの乗っかるベアリング周り、ハンドル基部、逆転スイッチ周りは浸水場所なのでとくにグリスを厚く盛ってグリスで浸水を防ぐぐらいの気合いで盛る。ドラグはドラググリス(「カルズ」が手に入らなくなったのでPENN純正をドラグ用に流用)、ベアリングと主軸周り、ラインローラーにはオイル追加で緩めに仕上げる。本体やらローター表面、ライン巻くまえのスプール表面にもグリスなすりつけておくと腐蝕防止になんぼか効くと思います。

 コレにていっちょ上がり。あとはライン巻いて使うなり、棚に飾ってたまにクルクル回して「は~っ、いいっ!」とか見惚れるなりご自由にプリーズ。

 グリスについてだけど、グリスは耐摩耗性潤滑性に優れたリール専用のモノを使うことが常識であり推奨されている。まあそれは基本正しいんだろう。
 ただ、大森とPENNに関しては、そんなご大層なグリスを必要としない。海での使用時のタフさで有名な4桁時代のPENNスピンフィッシャーの出荷時のグリスはただの茶色い”芋グリス”だったけど、ギアが摩耗したとか経験が無い。大森スピニングも黎明期のデカいコンパック「スーパーセブン」のように、亜鉛パーツがボロボロだったという例外除けば、そんな良いグリスが使われてなくてもギアが摩耗していた個体に当たったことがない。「リールのギアにはおよそ過剰なほどの耐久性」という評価も目にしたことがあるけど、それに頷きたくなるギアの丈夫さ。
 だから、ワシは容赦なく耐塩水性重視でとあるPENN使いのかたがお薦めしていた青いマキシマのグリスを愛用している。ギアは何かグリスでさえあればもうそれで充分で、海で使っててやられるのが、浸水箇所であるローター基部からベアリングへの浸水でベアリングが錆びるっていうのが一番防ぎたいところで、それには耐塩水性に優れたグリスが適任だと考えている。マキシマの青グリス使うようになってから”ここの浸水はしょうがないので消耗品”と考えてたベアリングを交換した記憶があんまりない(水没させた714zで一回替えたか?)ぐらいなので、塩水による腐蝕防止にはかなり効いてる気がする。調子悪くなければ外回り注油以外は、良くてシーズン一回とかの”ほったらかし”で塩水で使うのなら、耐摩耗性とかに優れたグリスより、対塩性重視で、ギアはそもそも丈夫なモノを選ぶ。っていうのもありだと思っている。そういうギアがなければ仕方ないけど、何十年も前の設計の、ローター軸のギアが真鍮切削、ハンドル軸のギアが真鍮か鉄系の芯入り亜鉛鋳造の組み合わせのハイポイドフェースギアが充分そういうギアなのに、なにをいまさら多少の軽さだの回転性能だののために、グリスが適切でないと持たないようなヤワなギアを選ばなきゃならんのか理解に苦しむ。

 何回も書いてるけど、某大手の2番艦モデルをうちの”釣りの上手い人”がもらって使ってて、以前の持ち主とあわせても数年程度でギアが摩耗したっていう実例を目にしている。冬には使わないし、渓流のルアーで上流に投げて巻いてくるのにそんな負荷かかるかよ?っていう使用状況なのに、一流メーカーの高級リール様がこのざまか!と思い出す度に腹が立つ。そんな昔の話もちだされても、今の最新鋭のリールは丈夫になってるって言われても、まったく信憑性がない。当時もそのリールは高級さに見合う丈夫さやらを充分持っているような説明だったはずで、最新鋭のリールも同じようなことを謳ってるのだろう。ただ、メーカー側が設定している、言い換えれば市場のお客さんが欲しがっている丈夫さのレベルがとんと上がってないなら、丈夫さが向上していることは期待ができない。要するに「軽い」だの「回転が滑らか」だのばかりが求めてられているなら、同じ丈夫さでより”軽く”より”滑らかな回転”にはするだろうけど、もっというならそれらを数字でハッタリ効かせるための目方やボールベアリング数は競うけど、丈夫さ耐久性は、ヘビーユーザーが数年でぶっ壊すような、素人の使用なら次のモデルチェンジぐらいまでは持てば良いっていうろくでもない基準からたいして変わってないハズである。丈夫にするぐらいならその分素材薄くして目方削った方が売れるので優先順位をそちらに振るのは自然というモノ。まあでも、高級機種は逆にそういう尖った性能のものが正しいのかもしれない。素人が荒っぽく使うような機種は丈夫に作られてるのかもしれない。それならそれで悪くはない。ワシャ買わんにしてもな。ダイワ、シマノ最近はアフターサービスも充実させて道具を長く使う層にも気を使ってきているから、ワシしらんだけで、ひょっとしたら今の最新鋭のリールは本当に丈夫なのかもしれない。でもそれはまだ市場に投入されてから何十年と経ってはいないので、そういう長期間での耐久性の評価がなされていない、今までの傾向からすればまだまだワシにとっては信用できない程度のものである。信用を回復するのって難しいのよ。

 じゃあ、なんで充分丈夫だった何十年も昔のハイポイドフェースギアのままでダメで、ギアの素材をジュラルミン(アルミ)系やらにして、ハンドル軸側のギアまで面倒臭い切削やら鍛造やらで強度稼いでまで軽くする必要があるのか。今回いじったオートベールは充分軽い、4桁PENNとかちょい(だいぶ?)重めだけど、その分耐久性も対塩性も信頼性が高いので、そこは利点が大きいし竿に付けて振ったとき意外に重くも感じないので受け入れられる、それらの充分余裕持った何十年って使えるギアを今のリールに入れれば良いはずである。でもそれをすると間違いなくオートベールのような軽快なリールには現代のスピニングは仕上がらないのである。なぜならこれほど”軽さ”にこだわっているにもかかわらず、根本的に重くなるボールベアリングの多用と瞬間的逆転防止機構の搭載がいまさらやめられなくなっているからである。オートベールのボールベアリングは2個、簡素版のタックルオートなら1個である、でも回転は素直に軽く滑らかで何の不足もない。瞬間的逆転防止機構の悪口はこれまでいくらでも書いてきたけど、しゃくったときにガチャガチャいわないっていう利点しかないのに、重いし繊細で扱いが面倒臭いしでろくなもんじゃない。

 というなかで、妙に軽くしたギアがいかにして耐久性のない、ハイポイドフェースギアの特性をダメにした分かってない代物かを、ワシ、大森ハイポイドフェースギアをいじくってつらつらと眺めながら考えたので、感覚的で根拠になるようなデータが示せるわけじゃないけど、大きな考え方は外してない気がするので、書かせてもらおう。この辺からは、初心者向け整備方法講座ではまったくなく、沼の底のキチガイの妄執の世界である。初心者の皆様は”ソッ閉じ”でも許します。貴君にはまだ早い。読むなら心して読まれよ。

 まずハイポイドフェースギアというのが何者かというところに迫ろうとすると、それ以外のギア方式から紐解きたくなる。このへんはTAKE先生の著書「TACKLE STUDY」にまとめられているので、そのおさらいである。まずは90度回転の軸を変換するとなったら、誰でもそうするだろうっていう円錐と円錐に真っ直ぐ歯を切った”ベベルギア方式”で、とても分かりやすい仕組みで力の伝達効率も良い。我が家にあるリールでは丸ミッチェルがそう。欠点は主軸ハンドル軸が直交するので左右両用にできないのと、ややギアがシャーコシャーコとやかましめ。で、やかまし目のギアはベベルギアの歯を斜めに切った”スパイラルベベルギア方式”になると、ずいぶん滑らかな回転になる。我が家のリールではPENN720zがそう、力の伝達効率が良いのはベベルギア同様だけど、かさ歯車に斜めに歯を切るのは難しいらしいのと、ベベルギア同様左右両用にできないのが欠点。というスパイラルベベルギアの軸をズラしたようなのが”ハイポイドギア方式”でPENNの3桁スピンフィッシャーの中大型機で使われているぐらいしかないレアな方式で、左右両用にできるし、ベベルギア系の長所は持ってるしなんだけど、双方のギアの歯を切って作るのがやはり面倒臭いようだ。もいっちょ左右両用ができるのがナマジも大好き”ウォームギア方式”で側面に斜めに歯車を切った円筒と円盤を軸が直行するように横に並べたような作り。これも通常切削で作るので面倒くせぇのと力の伝達効率は悪くて巻きは重め。ただ巻きの滑らかさと丈夫さには定評あり。世間的にはカージナル33とかなんだろうけど、我が家ではPENN714zシェイクスピア2062系といったアメリール達がこの方式。お好きな人が好きな方式。
 このあたりの方式は、左右切り替えできてスピニングリール向けの方式は作るの面倒くせえ!という欠点を抱えていた。スピニングリールのギア方式において作るのがもっとも面倒臭くないのは、円筒に真っ直ぐな歯を切って、平たい円盤に真っ直ぐな歯を設けた”フェースギア方式”が筆頭で、斜めの傘に歯を切るとかいかにも難しいことはしないので、ハンドル軸のギアを金型使って鋳造で大量生産するのにも向いている。我が家にはないけど古い安物スピニングとかクローズドフェイスリールなんかに使われていたそうな。
 コイツは安モンに使われるだけあって、ギアの滑らかさなど期待できないし、耐久性も悪く、左右両用にできない。でも伝達効率が良いのと生産性が良く安上がりなのは魅力。
 で、いろいろとフェースギア方式には改良が加えられ”歯をせめて斜めに”と”スパイラルフェースギア方式”ってのもあったようだし、シマノ製DAMやら稲村「ロディーマチック825RL」であった、ハンドル軸ギアの方だけ斜めに歯を切って、軸が直交せず左右両用ができる方式(ハイポイドストレートフェース?)もあったけど、これはどうも写真一番下のロディーマチックでもそうだったけど歯が削れてダメだったようだ。

 という中で、スピニングリールの90度回転方向を変えて力を伝えるギア方式において、日本発で世界標準になっていったのが、ハイポイドフェースギアである。
 写真一番上を見てもらうと分かるように、ローター軸のギア(ピニオンギア)は円筒にぐるぐる斜めに歯を切っている。ネジの山作るのと似たような工程だからかさ歯車のような円錐に斜め歯を切るよりは簡単そうに素人でも思う。
 次にハンドル軸のギア(ドライブギア)なんだけど、これは平面的な円盤に斜めの歯を付けているだけで、鉄系の芯を鋳込んではいるけど型に溶けた亜鉛を流し込む鋳造(ダイキャスト)で作れる。
 という生産性の良い作りやすいギア方式なのに、滑らかで力の伝達効率も良い。軸が直交しないので左右両用ハンドルにもできる。
 なんでそうなのか?ギアだけ取り出してどうその歯が重なって回るのか、手にとってクルクルしてみて裏から表から矯めつ眇めつしてみた。
 実際のリールの中では真ん中写真のような位置関係になるけど、歯同士がどう重なるのか、分かりにくいので、重なり具合を視覚的に理解するためにギアの前後と左右を変えて、重なり具合がイメージしやすい位置に持って来たのが下の写真である。円筒状にグルグルと切られたローター軸ギアの歯に、ちょうど良い角度でハンドル軸ギアの歯が重なるのが分かる。
 この時、どちらも斜めに歯が切られているのが肝のような気がする。円筒の曲面と円盤の平面に切られた歯が直線状なら、接する面は極端な話1点の狭い位置になりそうに思う。斜めかつハンドル軸ギアの歯は曲面も持たせているので、その分接する面自体が大きく、また回転する中で滑ってアタる範囲も大きいように思うが間違っているだろうか?つまり、動的な中で接触する面が大きいので安定して力の伝達効率が良く、接地面が広ければ当然摩擦にも強く、接触具合が安定してるから巻きも滑らかなんじゃないか?というのがワシの観察結果からの推定。どうでっしゃろ?
 なので、丈夫に作ろうとしたら接触面が大きくなるように歯の切り方を設計してやれば良いはずで、そうすると巻きも安定する。ただ、接触面が大ききければ発生する摩擦も大きくなるので、巻きの軽さという点では不利になっていく。
 そのへんの設計における優先度のつけかたで、丈夫かつ安定した滑らかな巻きで、巻きの軽さもそこそこという設計で、大森スピニングやら4桁PENNやらの亜鉛使ったハイポイドフェースギアは作られていたんだろうと思う。
 それが”もっと軽く”を、自重においても巻きにおいても追求していくと、歯の接触面は小さい方が良くて、ギア自体薄く軽い素材の方が良い。亜鉛のドライブギアでは接触面があまり小さくなると摩擦で削れて実用的な耐久性から外れていくだろう。なのでより軽量で堅い素材でとジュラルミンとかで鋳造以外の強度が稼げる面倒くせえ方法でということになってきているように理解した。
 亜鉛鋳造なら安上がりなのに、それを捨てて”軽い”っていうカタログ数値でアホでも数字が読めれば評価できる指標を稼いで、どうせ巻くとき軽いっていったって、ルアーでも魚でも引っ張るときには重さがかかってくるので、そんなのラインも巻かずにクルクル回したときの”店頭性能”でしかなく、異様なまでの軽さなど意味ないのに、巻きも軽く尖らせた性能にもっていって、挙げ句の果てに耐久性がおろそかにされている気がしてならない。狭い接触面ではちょっと削れたらかみ合わせが悪くなって回らないとか極端な不具合に繋がりやすいだろう、っていうのが実態じゃないの?違うというなら教えて欲しい。
 小難しいことはワシ分かってないのかもだけど、間違いないのは軽い素材や軽量化技術で今までと同じ強度で驚きの軽さに、とかなら強度は相変わらす足りてないだろうということ。
 何十年も前の設計の、安物ではなかったけど適正価格だった、全盛期の大森ダイヤモンドリールやら、脂の乗ったPENN4桁スピンフィッシャーやらの、芯を鋳込んだ亜鉛鋳造のハンドル軸ギアをもつハイポイドフェースギアは、丈夫だし、安定してるし、充分に巻きも軽いし、重量的にも大森はもちろんPENNでも意外に重いと感じることはない、実用上極めて良い塩梅に仕上がったスピニングだったんだと思う。
 始めて買ってシイラ釣りとかで愛用してたPENNスピンフィッシャー5500ssは、ベールスプリングは何度も交換した、ドラグパッドも何回か入れ換えた、主軸に填まってるスプールが刺さる真鍮製ブッシュが一回割れて主軸ごと交換した。銘板などとうの昔に剥がれ落ちた(そういう仕様です!)。ハンドルの塗装をワシの指が写真のように削るほど使った、ということで、どれだけクルクルしたか察していただきたい。でもそこまで使っても、ギアの摩耗など見受けられない。
 たしかに「リールのギアにはおよそ過剰なほどの耐久性」なのかもしれない、もっと軽く仕上げた設計のリールの方が好きな釣り人も多いのかもしれない。
 だとしても、ちょっとやそっとじゃ壊れないタフなリールに、ワシャ心底惚れ込んでるんじゃ。

 いろんなスピニングに浮気はするけど、最終的にはPENNが正妻、大森が2号さんというところに収束していくと思っている。

 今回”リールいじり”の導入編みたいなことを書いたのは、この楽しさを知ってもらって”スピニング熱”に感染させて沼に引きずり込みたいって思ってるからで、実際リールの整備とか自分で興味持ってやり始めることで、リールの構造や部品のそれぞれの役割や働き、そうなっている意味なんかが改めて分かってくることがあるので、分解もできん、中になんかゴチャゴチャ入ってて無駄に高額になってる高級リール様をあてがわれてありがたがってるのがいかに馬鹿臭いか、そういうのが分かる釣り人が増えたら良いなと思ってます。そうならんと馬鹿臭い道具しかメーカーも作れないので、もっとみんなが自分たちの使う道具がいったいなんなのか?どこから来てどこへ行くのか?とかに興味を持ってくれたなら、お気楽ブロガーの本懐であります。

 ここまで読んでくれた人がいたということは、それが全くの無駄じゃなかったということであり、あなたは既に濃厚接触者で発症待ちだということです。
 発症待ちもクソも、現在進行形で酷い症状に苦しんでるって?
 同志諸君、スピニング熱は不治の病です。あきらめて共に沼の底で楽しみましょうブクブク・・・ああ今日も仰ぎ見る水面は遠い・・・。


※追加:フェースギア機、我が家にも1台ありました。まさに昔の安いスピニングという感じの初期ダイワ製「スーパースターNo.2」。ベベルギアに一見似てるけど、円柱と平面円盤でギアが構成されています。1,450円は当時安モノってほどでもなかったのか?

8 件のコメント:

  1. これさえ読めば誰でも大森デビューできますね
    布教活動お疲れ様です。
    あとはスプールエッジの傷消し術もスピニングレストアの必須科目かと。
    私は200→1000→2000番耐水ペーパーの後、砂消しでフィニッシュです。

    私も最近浮気気味でアメリカ系チャイニーズなヴァンスタールに手を出してしましました。国産種とは別方向の系統樹上にいる珍種を発見した気分でいじり倒しています。
    近年はアメリカン方面から出てる怪しいリールに興味があるのですが、値段的になかなか手が出ないです。
    AccurateのTwinSpinやIRT reelsのスピニング、Camekoonなど一部メーカーは耐久性とメンテナンス性を意識した方向に回帰する気があってちょっと興味深いのですが…

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    1.  スピニングリールから諸悪の根源である邪悪な瞬間的逆転防止機構が取り除かれるその日まで地道に布教活動を続けようと思ってます。

       ヴァンスタ系のスピニングででサメ釣っておられましたね、羨ましい!フルベールのようでしたけどアレがそのリールでしょうか?

       米国の小規模メーカーはちょっと分かってる感じがしますよね。アキュレートのボスとかいうベイトの方を左手サミングでロウニンアジをと考えてたときに買おうか迷ってました。
       ただおっしゃるようにクソたけーんでやがる。結局叩き売りされてたPENNのグラファイトシリーズで練習するところまでやって、体力的にロウニンアジはもう無理!ってなって企画倒れになりましたが、丸ABU左モデルで左手サミングとかでシーバスとライギョは釣るところまでいって面白かったので結果良しとしておきます。

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    2. 米国マイナーメーカーはシグラーとかベイトのほうも気になります。。
      右投げの人がベイトで重量物を遠投するには競技系キャストの左手サミングが必須になりそうですね。

      泳がせでサメを釣ってたのがヴァンスタールですね。
      チャイナ製のヴァンスタール最廉価モデルVR50になります。小型、ハイギア、アウトスプール、ベイル有り…とかなり一般向けに迎合した仕様ですが、それでもなかなか個性的な奴でした。
      新品到着し開封直後の状態で、あまりにもハンドルが重く絶句した憶えがあります。
      完全分解、全パーツ脱脂の上組みなおし、シムを追加したり抜いたり、ワッシャーを製作して一部ゴムパッキンを抜くことでようやく、ふた昔前のバイオマスター程度の滑らかさになりました。
      おそらくオールドスピニングの蒐集&整備スキルを身につける前の自分だったら実用に漕ぎつけられなかったと思います。

      ただ元々の設計と各パーツぼ強度は抜群にあるのでちゃんと組み直せさえすれば強力な相棒になります。

      トラブルのリスクを減らすためか、オートベイルリターン機能が最初からオミットされていたり、標準でベイルレス化改造キットや完全分解用の専用工具が付属していたり、とユーザーにきちんと整備を求めるメーカーの姿勢には好感を抱きました。

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    4. 何よりもこの時代に、新品でこれほど手のかかる、手の掛けがいのあるリールに出会えたこと。
      スピニングリールの起源に近い丸ミッチェルを彷彿とさせるボディに、その内径スペースを目一杯使ったスパイラルベベルギア搭載のスピニングなんてものお出ししてくれるメーカーが存在するのに感謝を覚えました。
      どこかで安く見つければ上級機も欲しくなってしましました

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    5.  ヴァンスタールってオイルシーリングで分解不可の印象がありましたが、今の中国製モデルは分解整備できるんですね。
       昔のベールレスのモデルも分かってる人間が作った割り切りを感じるリールでしたが「たっかい値段してるのに魚が掛かって巻いたらたわんで巻けない」とか分かってないゴリ巻き系のタワゴトを書いている人が居ましたが、そういうパワーゴリラに対しては「ステラでも使ってろ!」の決め台詞しかないかと愚考します。

       デカいベイトは利き手サミングで振り回すと手首が死にます。ここ最近ABUの7000cの出番があるのですが7000番から丸ABUはいきなり重くなるので久々に左手サミングで投げてます。

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  2. PENNが正妻、ってか皇后って感じなんですよね
    私はミッチェルが側室、現シマノが妾です。
    マイコン以前の往年の大森、中味を見るとヘビーユーザー向けの構造してますね
    摩耗対策に加えて
    マルチディスクドラグとワンタッチスプール併用ってマニアックな設計が見て取れます。

    妾の耐久性、大衆機種の小型機に関してはだいぶ改善されてて
    ワンウェイクラッチ抜けたり
    ベイルワイヤ折れなくなりましたし塩害でスプール駄目になる事もなくなりましたが
    20年前より整備性悪くなり、浸水は相変わらずって所です。

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    1.  なんだかんだいってPENNのことは愛してます。

       オートベールと外蹴りマイクロセブンはまさにヘビーユーザー向けって感じです。せっかくのワンタッチスプールなので換えスプール体制組みたくなる気持ち分かりますよね?いまNo.5サイズが欲しくなってたまらん状態です。
       
       シマノも大衆機種は丈夫になってきてるんですね。シマノ・ダイワは技術力はあるんだから、改善は当然か。整備性が悪いのはリール放置しがちな私的には致命的ですが、初心者に薦めるならまずはPENNか大森を布教して、ダメなら大手の大衆機という無難な線だろうと思います。ハンドルもたためンような高級クソリール様だけは騙されて買わないように導いてあげなければならぬと思っております。

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2023年6月17日土曜日

大森を触るとホッとする?

 前回までのジャンク5台は、初めて触るような機種ばかりで、かつ製造元もあまり馴染みのない所だったりして、面白い反面、勝手が分からず苦労もさせられたし、きつめのジャンクっぷりに手を焼かされたりもした。スプール欠損とかぶっちゃけガラクタでっせ。

 なんか反動で、サクサクと分解整備できて気持ち良いスピニングが触りたいなという気分で、馴染みの大森スピニングで整備待ちのを2台ほどいじってみることにした。やっぱり大森はイイ。安定感があるっていうか、癖が分かってるってのもあるけど安心していじくれる(今思うとこんなこと考えてたのが”苦戦フラグ”)。

 そんな大森スピニングなんだけど、最近またちょっと値段が上がってるように思うけど気のせいだろうか、大森アナリストとしてはそのへん気になるところ。一時全体的に値段下がってて、ちょっとボロ目のコメットとか一万切る値段で晒されてたりしたけど、また何万って値段がつくようになっている。チョット驚いたのが今回分解したうちの1台は「マイコンNo.202」という200番台の数字が振られたシリーズなんだけど、コレの小型機「No.20S」がネットオークションで2万を超える値段で落札されていたのがあったことで、様子見で2200円で入札してたけど桁が違った。あんまり話題になってるのを目にしたことがないシリーズだけど”マイコン沼”の住人には高評価のシリーズなのだろうか?ワシが買った「202」自体は、2080円落札の送料750円と3千円がとこも出しときゃ買えるだろっていう不人気大中型大森の相場価格でしかなかったので、たまたまどうしても欲しいマニアが2人居て競ったのか、200シリーズ小型機は実は人気あるのか、中堅大森アナリストのワシとしてもどう分析して良いのか判断が難しい。まあ”たまたま”かなと思う。

 値段が競り上がった要因の一つとしては、弾数の少なさがあると思う。大森マイコンの系譜をたどると、元祖「マイコン」シリーズが1980年登場、そして樹脂製の「100」系シリーズが1983年登場、「200」系シリーズも同年のようで、84年カタログにはすでに掲載されている。でウィスカーチタンカリ強化樹脂を使用した「ウルトラ」シリーズとワシの愛機であるツイストバックシステム搭載の「TB300」系シリーズが1985年登場で、同年カタログには「100」系シリーズも掲載されているけど、「200」系シリーズはカタログ落ちになっている(海外では同時期シェイクスピア「Σプロ」としてまだ販売されていた様子)。その後は韓国大森になって「スペシャル」シリーズのあとはロングマイコンとか作りつつグダグダになってという感じか。つまり、国内で「200」系シリーズが販売されたのは、83年登場だとして、店舗在庫等はまた別としてカタログモデルとしては85年には消えていて、2年の短命モデルだったのである。今時の大手が3年でモデルチェンジしてて3年で陳腐化するような設計するなよな、と苦言を呈してきたけど、それよりもモデルチェンジが早い。なので中古市場に出にくく、欲しい人間は出たら親の敵を見つけたごとく討ち取っておかねばならないのかもしれん。

 で、もういっちょの要因としては、なぜ「200」系シリーズが廃版になったかというと、「TB300」系シリーズとキャラかぶりなところがあって、それが本体金属製でボールベアリングは一個のシンプル設計っていう、むしろ今の大森好きなマニアが評価しそうな設計になってて、同時期の「100」系シリーズ「ウルトラ」シリーズが樹脂製本体なのに対して人気が出る要素になっているのかもしれない。ワシも当初、泳がせ用にリアドラグ機をということで想い出のTB302(写真右)をぶっ込んではみたけど、使って壊すのがちょっと惜しい個体なので代わりの同じ機種を探していて、たまたま「NO.202(写真左)」が目について、ツイストバックシステムが付いてないぶんむしろこっちの方が単純で好ましいかも?とスルッとマウスを滑らせてみたところである。実際の所はツイストバックはほとんど使わないので、あっても邪魔してるわけでもなしで、その有無はそれほど関係なくて、実際に使ってみないと良し悪し判断できんなということで、実戦投入用に分解整備しつつ、それぞれの機構の違いとかを比較してみることにした。

 まずスプール周りからみていくと、左TB302で右がNo.202で横から見た感じは良く似ている。どちらもスプールは樹脂製で初代マイコン等に比べると糸巻き上面の傾斜がきつくなくて、ラインがグズグズッとなりにくい形状にだいぶ改善されている。
 でもって、ワンタッチでスポッと外すと、単純な横棒がスプールの十時に填まる右のNo.202に対して、TB302はツイストバック機構が入る都合上いくつか違っている点がある。
 ツイストバックは以前も書いたけど縒れたラインを引き出してどっかに引っかけて張りつつ、ツイストバックのスイッチを入れてやると、ハンドル逆回転するとライン放出されずにそのままの位置でスプールごとローターが逆回転して、ハンドル・ローター正回転のときに生じたラインのヨレの逆に縒りを入れてというか縒りを戻してやるという機構。なので逆回転時にローターと同期してスプールが回るように、スプール内側のオレンジ色の矢印でしめした所に凸部があって、ローターのオレンジ矢印で示したところからスイッチ入れるとレバーが出てきてこれを引っかける。でその時逆回転させるのにドラグユルユルにしておかなきゃならんと思ってたけどワシの勘違いで、TB302のほうのスプールを主軸に固定する方式は、一方通行に回転させる金具がスプール裏に付いていて、主軸にはそれに対応する形状の歯車っぽい台座が設けられている。なのでTB301はドラグが効かない方向には主軸と同期せずスプールは回る。ただしツイストバックのスイッチが入っているとさっき書いたようにスプール凸部をローターから出たレバーが引っかけるので主軸とは同期しないけどローターと同期する。あんまり使わなかった機能だけど考えた人はすごいと思う。

 ってぐらいが大きな違いだろうと思ってサクサクと本体も蓋開けてみていくと、意外に違ってる。右がTB302で左がNo.202(ゴメン左右統一しておけば良かった)なんだけど、スプール上下の機構がTB302がハンドル軸上にクランクを持ってきたハンドル一回転一往復のクランク方式、No.202はハンドル軸のギアの下から歯車介する形のハンドル二回転ぐらいでスプール一往復ぐらいの減速オシュレーションになっている。後に作られたTB302の方が原始的な機構になってるのはなんでだろうか?リアドラグ機にクランク方式突っ込むのって面倒臭くて、主軸に穴開けて棒突っ込むと主軸回らなくなってドラグが使えないので、クランクと主軸をつなぐ棒の代わりに主軸が中を通って回転できるオシュレーションカム的な部品が必要になるのでクランク方式の利点の一つである単純な形状の部品でできるというのは関係なくなってる。ワシ自身は小型機には単純クランク方式の綾巻気味のラインの巻かれ方はトラブル少ないような気がして良いと思うけど、飛距離とかでは減速オシュレーションの方が良いはずで、トラブル多かったのでクランク方式に変えたのか?でも1/2ぐらいの減速ではたいして変わらん気がするけど謎な部分。ちなみ両機種ともにハンドル軸に樹脂製パーツを組み込んでサイレント化している。真ん中写真がNo.202だけどチョット見にくいか。No.202は音出し機能はなしだけど、後発のTB302は音出しとサイレントの切り換え可能。「音がせんと巻いてる気がせん」という古い人たちの要望が根強かったのか?そんなモン、サイレント化用の樹脂製パーツ外せばいいだけだろって思う。
 TB302の明らかな改善点は、主軸にオシュレーションカムを固定する方法が”Cクリップ”じゃなくなってることで、写真一番下はNo.202のオシュレーションカムでCクリップ使ってる。Cクリップ嫌い。
 
 ローター抜いてローター軸のギアの方を見ていくと、写真はNo.202のだけど、どちらの機種もベアリングはローター軸に1個しか使ってなくてハンドル軸の受けはどちらも真鍮ブッシュ。ストッパーはローター軸ギアの直上のいつもの位置に鉄系のしっかりしたのが付いている。ベアリング1個でも鉄系の芯を鋳込んだ大森ハイポイドフェースギアは滑らかで軽いし、各部摩耗とかもみられない。最近ちょくちょく一つ小さいサイズの「マイコンTB301」を使う機会があったけど、回転は滑らかで軽いし、ベールの返りもハンドルリターンでカショッと軽やかにいくしで、今時のリールと比べても投げて巻いての機能に遜色ないのとちがうか?と思うところ。”遊びがない”っていうことのタメだけにどれだけ無駄なことをやってるかっていうのが良く分かった気がする。

 あとは簡易ロータブレーキが付いてたり、内蹴り方式も見慣れたのがついてたり、ハンドルはもちろんベールも折り畳みできたり、ラインローラーはルーロンスリーブ入りだったり、オシュレーションカムが乗っかる歯車の出っ張りには真鍮製のカラーが填まってたりと、いつもの大森仕様である。ドラグもTBシリーズと一緒で繊維の表面を樹脂で固めたようなドラグパッドを使った4階建て方式。ハンドルがいかにも大森小型機っぽい三角パドル型なのは嬉しいけど、ライン巻いてるときに思ったけどこの大きさになってくると、摘まむというより握るようになってくるのでT型とかマイクロセブンCシリーズの軸の細いウッドノブ型のほうが握りやすいかも。でもまあ悪いって程でもない。

 リアドラグなのでやや部品数多いけどそこまで分解整備も面倒ではない。

 例によって、容赦なく青グリスぐっちゃりでしあげてやった。元から巻いてあったラインを下巻きに、3号ナイロンを70m巻いて磯投げ竿で活アジ餌の泳がせでハモとか狙うのを想定。
 
 結局、No.202はどうなのよ?っていう話だけど、まだ実釣に使ってないのでなんとも言えん部分ではあるけど、分解整備していじった感触としては、かなり良さげ。発売当時は初代マイコンの単純廉価版ぐらいにしか思えなかっただろうからウケなかったんだろうと思うけど、今俯瞰的に見るとむしろベアリングを初代の2個から1個に減らして、スプールエッジの形状改善して、多分スプール樹脂製にしたぶん軽くなってて、と地味だけどかなり良い感じの叩き上げ方だったのかなと思う。思うけど時代は、なんかゴチャゴチャ説明がくっついてくる新機能がないと売れないような80年代真ん中頃で、悲しいことに評価はされなかったんだろう。けど、分かる人には分かるからの2万円超えなのかなと思いましたとさ。ワシャさすがにそんな大金突っ込む気はないけどな。「TB300」系シリーズ、ツイストバックは邪魔にはならん程度の機構なので気にする程じゃなし、減速オシュレーションじゃないのもライントラブル面では利点なので遠投しないワシにはあってる。そして何よりCクリップでオシュレーションカムを止めていないのがエラい。ということでワシ的には「TB300」系シリーズのほうが若干好みかなと思うけど、「200」系シリーズも悪くはなさそうな気配というか、多分コイツはヤる気がするので実戦導入が楽しみである。

 でもって、お次は外蹴り版「マイクロセブンNo.1」。
 昔、ジャンクを整備して、この時代の外蹴りアウトスプールの大森ダイヤモンドでは「タックル5」が好みなので、そっちを使うことにして”外蹴り版マイクロセブン”は手を出さないでおこうと思ってたんだけど、なぜかNo.3サイズを買ってしまい、気がつくともう一台、そしてNo.2サイズも入手しており、いまさら何を拒む理由があるというところに即決3000円で見た目綺麗っぽいこの個体が出てきたので思わずリアクションバイトでマウスをスルッと滑らせてクリッククリック。我が家に到着して、ハンドルの後ろ?の左右交換用ネジ収納部を確認するとちゃんと左巻き用のネジも残ってて、これで勝ったも同然と気を緩めたのがまず”苦戦フラグ”。ついでにネジの緩み止め剤がキツいとねじ切れてしまうラインローラーを固定する円錐状のナットも、過去1回ねじ切っただけだし大丈夫だろうと油断してまたフラグを立ててしまい。巻きが重くてゴーロゴロしてるのも、ベアリング交換で元通りさ!とフラグの追い打ち。ことごとく裏目に出て大苦戦で、もう何度も分解整備した構造も単純、部品数も少ない外蹴りマイクロセブンなど、鼻歌交じりで気持ちよく快調な状態に仕上げることができるだろうという目論見は、竹に流し込んだ水ようかんを節に穴をあけてツルッと吸い出す「竹流し」より甘かったのであった。ああ、今年も夏が来る。

 まずはハイ、やってしまいました。ラインローラー固定ナットねじ切り。
 充分注意はしていたつもり。ラインローラーは回っていたので、固着してたら外さなくてもいいぐらいの心づもりでいた。けどちょっと力入れたらちょい回って、大丈夫かと確認したら若干隙間ができていたので、回った回ったと喜んだら、その時点ですでにネジ切れかけて伸びてただけだったようで、そこからチョイと回したらポロッと逝きました。大ショック。ただ、過去にねじ切った「タックル5No.2」のラインローラー周りを再建する計画は準備していて、プランA及びBを既に立案済みで上層部(ワシ一人で現場と上層部兼任だけどな)のゴーサインを待っている状態だった。なので、コイツでそれをやっちゃっても良いけど、とりあえず整備待ちのリールが渋滞してるのもあって、後回しにできるなら後回しにしてしまえと、未来の自分に仕事丸投げで、別口の改造計画のために購入済みであった「タックルNo.1」から急遽ベール周りの部品を一式移植することでお茶を濁しておくことにした。ベール周りは外蹴りマイクロセブン、タックル5、タックルの3機種共通で互換性あり。「タックルNo.1」やっつけるときは改造と修繕の二仕事でエラいことである。まあ今は気にしないでおく。

 巻きが重いのは、ベアリングが死んでるのだけが原因じゃなくて、スプール上下のクランクの棒の部分がどうやったのか曲がってて、下に下がったときに本体の端に接触してつっかえ棒的に引っかかってしまっていて、たまに巻けなくなる始末。ペンチ2本で慎重に真っ直ぐに伸ばして填めて確認作業っていうのを何度か繰り返して、やっとまともに回るようになった。正直コレはダメかもと心折れかけたけど何とかなって良かった良かっただけど、この個体、海水に水没させて浸水した気配がある。写真の様に蓋開けたらあちこち茶色で外側が比較的綺麗なのにナンジャコリャな内部。これが思わぬ失敗を招く。幸いギアとかの腐蝕はなくて、ストッパーの錆が完全には取りきれなくてヤスリで削って不具合出ても困るので、ある程度錆落としてグリスシーリングで済ませて、そのへんはまあ大丈夫だったんだけど、逆転防止のスイッチを留めてるEクリップが錆錆でこれもある程度錆落としたら使えそうだったんだけど、パーツクリーナーで洗浄作業中にどっかで紛失した。パーツクリーナー液もティッシュも錆でまっ茶色でEクリップがどうも気づかないうちにそれらに混じって”廃棄処分”されてしまった、っていうと他人行儀だけどワシ捨てちまったらしい。配水管覗いてみたり指突っ込んだり、ゴミ袋からティッシュ引っ張り出して確認したりもしたけど、茶色い保護色のEクリップを見つけ出すことができず、いつも飛ばしがちなCクリップに引き続き「Eクリップおまえもか~!」と裏切られた気分である。仕方ないので在庫してるM3規格のEクリップを試したら、ちょっとユルかったのでペンチでキュッと締めて良い塩梅にしてしのぐことができた。
 グリスグッチャリで仕上げて動作確認で問題なしとなって心底ホッとした。

 ほんと、冷や汗タラタラの大苦戦で、仕上がりは快調で見た目も綺麗な状態なので結果は良かったけど、ラインローラー周りの再建は未来への負債状態で残ったし、楽勝どころかやや負け越した感すらある。”慣れてる道でも安全運転”、”人は見かけによらぬもの”、”勝負は下駄を履くまで分からない”気の緩みを戒める先人達のお言葉を噛みしめ反省するしだいであります。

 ジイサン歳食ってきて、明らかに手先も不器用になってきたし、注意力も落ちてきて、しょうもないミスをやりがちな今日この頃。今回この記事用の写真でも一番上と下はセイゴに飛沫かけられたのをレンズ拭いてなくて塩気でチョットボケてるこの有様。
 丁寧に注意深く、基本に忠実にというのを改めて自分に言い聞かせるのであった。

2 件のコメント:

  1. Micon No.201が厨房の時の愛機でした。
    今でも稼働状態にしてますがスピンフィッシャーよりだいぶ静かで滑らかなのが印象的です
    沢山釣るより楽しく釣ろうのフレーズ覚えてませんか?

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    1. おはようございます
       このあたりの大森はやっぱり滑らかですよね。最近改めて感じてます。
       そのフレーズ、どっかで目にしてるのですがネタ元わからずTB302の箱とか出して見ましたが判明せず。ググると日釣振の標語とか出て来ますが、何か別のところで見たような・・・もやっとしてます。

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2023年7月1日土曜日

低い確率の事象でも充分に長い時間においては必ず生じる

 っていうのが、確率の考え方の基本の一つにあって、永遠とか宇宙が終わるまでとか、そこまで極端でなくても”そこそこ起こり得る程度”で低い確率の事象は何年かに一回とか、死ぬまでにとかには巡り会うことは期待して良いと思っている。巡り会えなくてもそれはそれ、そういうこともまた確率的にあり得ると分かりつつ期待してその時を待つ。っていうのが、魚釣りにおいては結構重要な考え方だと思っている。一年も通っておけば釣れる程度の”高確率”な獲物、例えばスズキ様とか、正直はじめから釣るつもりで通ってる。それでも外すことはあり得るだろうし、現に今年ピンチではあるけど、多分ここ10年以上ハズしてないと思う。そこそこ確率低くて死ぬまでに1匹と今思ってるのは、近所漁港の岸壁泳がせで根魚でもエイでも良いので10キロ越えるようなの、っていうのとルアーブン投げての10キロ超えの青物がとりあえず頭にある。

 って感じで近所の海で狙ってる獲物があると同時に、ネットの海で狙ってる獲物もいくつかあって、もう10年は検索条件設定してあるけど1度も現れていないようなモノもあるけど、今回ポロポロッと小物ではあるけど永らく探していた”獲物”が現れて、ここであったが100年目とばかりにスルッとマウスを滑らせてダブルクリック。無事確保してホクホクだった案件が2つほどあったのでご紹介してみたい。

 っていう枕で冒頭写真が、大森「タックルオートSS」とPENN「スピンフィッシャー4400ss」だと、そんなもん永らく探さなくてもすぐ出てくるだろう?と疑問に思われたかもしれない。そうじゃないんですよコレが、ブツそのものじゃなくて部品?が出てくるのを待ってたって話で、ぶっちゃけボロい個体は入手の機会ならいくらでもあって、そっから引っぺがしたら部品ぐらいわけなく手に入ったんだろうけど、そうなると部品引っぺがされた個体に、部品をあてがってやりたくなって、また部品探さなければならず、またボロ個体を引っ張ってくると、また同じことが起こってしまい、一応完品の個体がズラズラと増えても、最後一台部品欠損個体が残る状態から脱出できないのである。なので”部品売り”で欲しい部品が出てくるのを永らく待っていたのである。部品取り個体から”部品だけ取っておしまい”にできるぐらいならそいつの”スピニング熱”は症状軽くて楽でいいやね。オラできねぇダ。

 ということで、まずは「タックルオートSS」。約4年前2019年にジャンク三台2束3文で購入してなんとか使える状態にした個体である。とにかくボロい個体で錆錆だったのもあるけど、ハンドルの反対側キャップ欠損、スプールがマイクロセブンC1のを無理くり填めてて、高さがあってないので酷い後ろ巻きなのを手動逆テーパー下巻きスプールでごまかしていたという有様。キャップは防水が確保できればいいので椅子の足のキャップを加工したものでも不具合は無かったけど、スプールは巻き形状的にはごまかしてはいたけど、投げて巻くのリールの基本性能に関わる部分なのでどうにかしたいところではあった。
 あったけど、なかなか古いリールのスプールだけって出てこないもので、一度フレームとスプールだけの出物がネットフリマであったけど、気がついた時点で売り切れてた。使ってる人なら替えスプールは是非欲しいだろうから安いとすぐ売れてしまう。ということでそこそこのお値段の出物があったのでちょっと値段交渉させてもらって2500円(下手するとボロいの一台買えるがな)でスプール確保!キャップはマイコンSSのボロ個体をバラしてまだ使える部品に分けてネットオークションで売ってた人がいて、ハンドル本命で入札してたけどそっちは競り負けて、側板と付属するキャップとネジを確保。大森はこのへん互換性がある部品多いので”Cクリップ”がトラウマになった原因のマイコンSSは二度と我が家の敷居をまたがせない”禁制品”扱いだけど禁を破って部品密輸してしまった。ネジは既に1本利用済みと買って良かった品だけどキャップももちろん役に立つ。

 キャップは填めてあったエストラマ-樹脂製の椅子足キャップをハズして填めるだけ。スプールは綺麗でそのままでも良さげではあったけど、潮かぶってたりすると蔵の中で腐蝕が進んでいくので一回バラしてパーツクリーナーで洗浄後、ドラグパッドのフェルトにはドラググリス塗布し直して、スプール表面にも青グリスを薄く伸ばして塗りたくってやった。ごらんのように本体も塗装ハゲハゲのボロい個体だけど、純正部品で完全版に戻ったわけで、中身は快調なので4年越しの宿題が終わったこともありスッキリ良い気分。

 お次はPENN「スピンフィッシャー4400ss」。いつも書いてるように、PENNやら大森やらの銘板が剥げるのはそういう仕様なんです!巻いて投げてのリールの機能にはなんら関係ないじゃないですか?別にいいでしょ!って話ではある。ではあるんだけど、世の中みんな物事の本質に関係ないところにこだわりくさるようで、銘板ハゲの個体は中古市場でも安く買いたたかれる。まあワシ買う方が多いから、安く買えるのはありがたいけどな。

 とはいえ、あったらあったで格好いいので欲しいっちゃ欲しい。リールの機能には関係ないけど、見た目の格好良さには関係あるのは間違いなく、自分のリールが格好いい方が使ってて気持ち良いのも確か。使われてきた年月相応にボロいのはカッコ良かったりもするけど、銘板は残ってた方が望ましいように思う。いざ売り飛ばすとなった際に値段も違ってくるしな。ワシもこだわらんわけじゃない。

 実は、いくらか確保してある銘板もあった。以前ジャンクな「720z」を整備したときに、部品を「ミスティックリールパーツ」さんに注文したんだけど、スペアスプールやベールスプリングの他にたまたま銘板まだ残ってたことがあって、その時に「おっ銘板剥げたスピンフィッシャーなんて蔵にゴロゴロしてるぞ」と他の銘板も買いあさろうとしたんだけど、やっぱり良く剥がれるので欲しい人は多かったのか売り切れが多く、一部の機種の右だけとかしか確保できなかった。写真左下の3枚は剥がれ落ちたのを保管してるのも含め確保済みだった4400ss用の3枚である。で、今回入手したのが写真下中央右寄りの「ギア比表示の銘板付き側板」である。これで左右揃ったので、今使ってる4400ss二台のうち、ドングリノブハンドルの方が銘板無しなので”銘板有りに復活”させた。
 ”4400ss表示”の剥がれたのをとっておいたものには、茶色く干からびた接着剤の残骸がこびり付いていたのでペリペリッと剥がして汚れを拭いて下準備。側板に付いている”ギア比表示”の方は側板から剥がして移植、側板ごと交換でもたぶん大丈夫だろうけど、ひょっとして薄いシムで隙間調整とかが必要になると面倒なので、調子良い部品は換えないの鉄則にしたがって銘板だけ移植とした。これが剥がすの苦労するかと思ったけど、白い薄い樹脂シートが残って簡単に剥げてきて、シールのシートをはがさずに貼ったのか?と思ったけど銘板の裏はシールにはなっておらず、熱でくっつける樹脂かなんかのようだけど、簡単に剥がれすぎである。やる気あんのか?

 はがしたら強力接着なら”コニシのSU”にお任せということで、銘板裏全面に薄く塗ってペタッと貼り付け、はみ出した接着剤は固まる前に丁寧に拭き取り、船釣り用のオモリを乗っけて固化させてできあがり。
 これで、我が家にある4400ssは4台全て銘板揃ってる個体ばかりである。4500ss、5500ss、7500ssに銘板欠け個体があるので引き続き出物がないか狙っておきたい。セカ○モンでチェックしているとイーベ○だとたまに銘板も銘板付き側板も出てくるけど、需要が大きいのか1枚2千円とかしてて送料手数料もかかってくるとなると、円安はちょっと収まりつつあるけどなかなか手が出ない。まああればあるにこしたことないけど、何度も書くけど無くても投げて巻くのになんら支障をきたさないからな。ちなみに今回はネットフリマに銘板付いてる側板が2枚セットで2500円で出てきて、部品は多い分にはこまらんだろうし、モタクサ1枚で売ってもらう交渉とかしてたら売り切れそうだったので、ままよと2枚とも購入。ということで4400ssの銘板は1セット余ってるので、必要な方がおられたらご相談ください。実費相当負担いただくか物々交換でいかが?

 という感じで、パズルのピースがきちんと填まるべき所に填まったような気持ちよさを感じております。ぶっ壊れて持ち主には価値のなくなったリールが、部品にバラすと、「それがあれば1台完成するのに!」っていうような他の人には非常に価値のある”お宝”だったりするので、我が国でも中古市場で人気のある丸ABUとかの古めのベイトリールではパーツ売りは一般的だけど、長く使えるスピニングでありかつ共通部品の多いPENNや大森についても、ぶっ壊れたら捨てる前に、ジャンク品として出しても良いけど、ばらしてパーツ売りしてもらえると非常にありがたいので、捨てるまえにパーツ売り是非試してみてください。”病気の人”が数百円から数千円で買ってくれたりします。1台丸ごとジャンク品ででてくると、はたして欲しいパーツが”生きて”いるのかわからん部分もコレあり。バラで売ってくれるとその点明確になるので買いやすくありがたいです。ボロ大森、ボロPENNを捨てようかなどと考えている場合、ぜひパーツ売りを!とナマジより伏してお願いもうしあげます。




(2023.07)



2023年8月5日土曜日

大森補完計画

  ワシ常々釣り具と釣り人の関係は一期一会というか、それぞれの好みや道具の使い方とか想い出とかで、良いも悪いも変わってくるものなので、相対的なその釣り人にとっての最高の釣り具というのはあり得ても、全釣り人共通で絶対的な一番の道具などというモノはあり得ないと思っている。

 大メーカー様が、ヘッタクソでも問題なく使えるように技術の粋とボールベアリングをこれでもかと突っ込んで恐ろしい値段になってる高級リール様とかワシ金積まれても使わんぐらいに嫌悪してるけど、好きな人にはたまらん魅力があるんだろう。何が良いのかサッパリ分からんけど、おそらくそういう人には瞬間的逆転防止機構の搭載される前のPENNだの大森だのの良さは、ましてやボールベアリングすら入ってない原始的なベベルギア機の丸ミッチェルとか、それこそ何が良いのかサッパリ分からんだろうからおあいこである。お互い好きなモノを好きに愛でておけばいい話である。

 とはいえ、大森製作所謹製のダイヤモンドリールは古いスピニングが好きな人種には評判が良く、大森沼の住人はスピニングではミッチェル沼、ABU沼に次ぐ人口を誇っている気がする(当社調べ)。

 そんな大森スピニングだけど、ここがイマイチとイの一番にあげられるのが、スプールエッジの形状で、スプールの糸巻き部分上面がなだらかな傾斜になっていて、スプールいっぱいにラインを巻くと、端の方はスプール上下の幅を超えていてラインが崩れてグズグズになってラインがドバッと出ていくトラブルになりかねないし、ライン放出時に斜面に広く当たって出て行くのでラインの放出性的にも良くないという理屈である。右がその大森スピニングのスプールの例で「タックル5No.1」のもの、左が糸巻き部分上面が真っ直ぐの優等生の例でPENN「スピンフィッシャー4300SS」でPENNはやっぱり分かってるなっていう感じ。
 とはいえ、実際にはラインをスプールの直径ギリギリまで巻かず糸巻き量少なめで運用してやればトラブル自体はあんまり気にならず、実際の運用時は写真の「タックルオートNo.1(スプールはタックル、タックル5と同規格)」ぐらいの糸巻き量にしてるんだけど、ワシ遠投性とか気にしない近距離戦特化型の釣り人なので困ってはいない。いないんだけど愛する大森スピニングの欠点とされる部分が解消できれば、それはそれで気分が良いだろう。スプールの形状を変えるとなると、どっかの小工房にお願いしてアルミから削り出してもらうぐらいしか手がないように思えるかもだけど、そんな金のかかる人任せなことをワシがやるわけがない。
 じゃあどうするんだって話だけど、ゆうてワシZEBCO「15XRL」では割れて上部欠損したスプールを再建したぐらいで、なんなら日曜大工で樹脂素材主体にスプールそのものを作るのも不可能ではないと思っている。思っているけどさすがにそれは時間がかかるしめんどくさい。こんなもんスプールエッジの形状だけ真っ直ぐにしたいのなら、シャンプーハットみたいな輪っかを作ってスプールに填めて固定して、適当にそれっぽい形状にしてやれば良いだけじゃん。ということでおあつらえ向きにちょうどいじくって遊ぶのに良さげな「タックルNo.1」が送料込み1980円でネットフリマに出てたので確保、そのうちコイツでやっつけてみよう、と思っていたら先にいじくった外蹴りアウトスプール版「マイクロセブンNo.1」でラインローラー固定ナットが固着してるのをネジ切ってしまうという失態を犯してしまい、その時にとりあえず問題先送りにして、ベール周り両機種共通なのでタックルの方の正常なベール周りをマイクロセブンにとりあえず移植してその場しのぎしてあった。なので、ネジ切ったラインローラー周りの再建も今回やらねばならない宿題となっている。ということで、スプールエッジの形状改良と壊してしまったラインローラー周りの再建が今回のお題であります。
 それではスプール改良からいってみよう。

 まずは何はともあれ現状把握からだなと採寸から始めてみる。今回スプール上下幅にスプールの糸巻き部分の幅を合わせるのも重要なのでまずはそこから。単純クランク方式の場合、どう考えても主軸に刺さってる棒の上下の幅がスプール上下幅のハズなので測ると約11mmというところ。スプ-ルの糸巻き部分は上端まで測ると約16mm。ちなみに直径は下のスカート部分で47mmあるのにスプール上部では42.5mmと小さくなっていて、インスプールだと下がったときにライン放出がローターと干渉しないように下の方が直径大きい必要はあるけど、アウトスプールの場合は同じで良いはずなので、これも修正するとスプール直径大きくなって”直径大きめのスピニングは使いやすい”と思っているので良い具合の改良になるはず。高さ的には5ミリ、スプール上面からスプールエッジが下にくる位置に輪っかを填めてやれば良いことになる。5ミリって大きいけど実際には現状のスプールエッジは丸く滑らかに立ち上がってるので、スプールエッジと呼ぶべきラインが当たるカド自体は2,3ミリ下がる程度という印象。

 でもって、どうやって輪っかを填めるか色々悩んだ。輪っかを切らずに填めるのはワシ手品師でも何でもないので難しい。難しいということはできるのか?と聞かれれば、一旦スプールを上下に切って填めてからスプールをカスガイ使って上下くっつける方法がないこともない。ZEBCO「15XRL」のスプール再建したときの方法の応用である。でもスプールぶった切るのは強度面やら切ることで短くなるおそれやらなにやらで、あんまりやりたくない。かといって輪っかの方を何枚にも分けて貼り付けると今度は輪っかの強度面と水平の確保に問題が生じそう。妥当な落としどころとしては、輪っかに1箇所切れ目入れて捻って突っ込んでやるのが無難に思う。でもってその材料としては1mmのアルミ板でいくか、0.8mmのFRP板で行くかで検討して、捻って曲がった後の復元性が良くて水平が出しやすいFRP板で行くことにした。FRP板は薄くて丈夫なので一部ルアーのリップにも使われていて、この手の薄いFRP板は電子機器の基板に使われているので”基板リップ”と呼ばれている。我が家にあったのもまさに基板リップとして使うために買ったモノで、ハルコ「ソーサラー」の元のリップが薄くて弱くボックス内で割れてしまったのでその修理用だったけど、ほとんど余らしていたので出番があって良かった。
 作成手順としては、外周はスプール糸巻き下面の直径にあわせて47mmでいくので直接スプールおいて油性ペンでなぞる。糸巻き部分が11mmにする位置に填めるには内径は35mmぐらいなので、外周から6mmの位置に点を打っていって内周を手描きする。

 FRP板はわりと丈夫でカッターでは切りにくいけど金切りバサミやニッパーは使えるので金切りバサミで大まかに切り出していく。

 1箇所内側に向けて切り込みを入れて、金切りバサミで大まかに直線的な穴を開けた後、ニッパーでバチバチと3角形を切り取っていく感じで内周を円に近づけていく。

 大まかに輪っかの形になったら、サンドペーパーでひたすら削って円形に仕上げていく。

 ヨッシャできた!と捻ってスプールに填めてみたら糸巻き部分が1ミリぐらい狭い。FRP板の厚さを考慮してなかったというお粗末。まあ削り足りなかった分には追加で削れば良しで、幅5mm弱でちょうど糸巻き部分の幅というか高さが11mmになる仕上がり。

 ここでちょっと迷ったのが、1箇所切れ目を入れたんだけど、これはカスガイなり穴開けて縛るなりした方が良いのか?接着剤でくっつけただけでは開いてきてしまわないか?ということだけど、カスガイにしろ縛るにしろ出っ張ると引っかかって塩梅悪いので、0.8mmの板に0.4mmの溝掘って出っ張らなくするとか面倒くせえことこの上ないので、5mm弱の幅に巻かれたラインの圧力は外側ということもあるしたいしたことないだろうということで、とりあえず接着のみで行く。開いてきてしまったらまた考える。

 輪っかの水平を保つために11mm幅に切った厚紙で下支えしつつ、瞬間接着剤塗って最初は細いティッシュで作った紙縒りをグルッと巻いて、瞬間接着剤塗って、隙間に合わせて太らせた紙縒りをグルッと巻いて、外周まできたらサンドペーパーで形を整えてエッジの角が立たないようにFRP板の面取りもしてから、主軸に刺して固定してロッド回しで回しつつエポキシでコーティング。スプールとFRP板の段差も切れ目もエポキシである程度ならしておく。最後黒のタッチペンで色塗ってスプールはこれで完成。

 スプール共通のタックル5で試してみたら、上下幅ちょうどよくラインがキッチリと巻かれて良い塩梅に仕上がっている。

 よっしゃ、スプールは上手いこといった。次は懸案のラインローラー固定ナットをネジ切ってしまっているところの再建である。以前「ラインローラー周りを再建する計画は準備していて、プランA及びBを既に立案済みで上層部(ワシ一人で現場と上層部兼任だけどな)のゴーサインを待っている状態」と書いたところだけど、プランAは機能回復というか修繕に近いんだけど技術的には難しくて失敗しそう。プランBは技術的には難しくなさそうだけど、ちょっと元と同じような機能には戻らなくて”改造”の範疇になる。プランAで失敗してからプランBに切り換えることは可能なので、いっちょ難易度高いプランAに挑戦してみる。現状は写真の様にナットが填まってたネジが根元近くで折れて、折れた残りはナットの中で回収不能になっている。どうするねんコレ?

 って考えて、難しそうだけど寸法的にはギリギリできなくもない。とワシが立案したプランAが、流行の?性転換モノ的な方法で、もともとはローラーが填まる軸から伸びた棒が雄ネジになってて雌ネジ切ってある円錐形ナットで締めてたんだけど、雄ねじの部分、いうなら”息子スティック”にあたる部分がもげてしまった状態なので、もう雄ネジとしては機能し得ないので、逆に穴を掘って雌ネジ化しようというものである。っていうても、ローラーが填まってる軸は2.7mmしか直径がない。穴掘ってバネを利用して雌ネジのネジ山をつくる”リコイル”で2ミリのネジを使おうと思うと、バネを入れる関係から2mmの穴では足りず2.5mmの穴を開けなければならない。整理すると2.7mmの真鍮の丸棒に2.5mmの穴を開けなければならないという、ちょっとズレたら穴が横に開いてしまいそうな危うい作業工程である。

 まあ失敗したらプランBだよな、という逃げ道は作ってあるし、ローラーが填まってる軸がダメになったら真鍮パイプ利用で軸から再建するプランCも追加で試してみてもいい。

 ということで”ままよ”とプランAにまずは挑戦してみる。

 はじめに、余ってる雄ネジの部分を金鋸で切り落としてラインローラーの填まる円柱部分だけにする。

 そして、まずは細い1mmのドリルから穴掘っていくんだけど、最初のこの時に穴が真ん中に真っ直ぐ掘れるかどうかが、成功と失敗を分ける分水嶺なので、写真では電動ドリルが写ってるけど、ドリルでいきなりギュィーンッて回すと真ん中からズレることが多いので、まずはドリルの刃?単体で手で持ってキリのようにグリグリと回して、少しずつで良いので真ん中に真っ直ぐな穴の取っかかりを作ってやって、そこからは小型万力に固定して、真っ直ぐ上からになるよう気をつけつつ電動ドリルでドリドリと穴掘ってやったら上手くいった。最初で失敗したら修復はほぼ不可能。素材的には真鍮にクロムメッキなので金工用のドリルなら問題無く穴は掘れる。あとはドリルの太さを順に太くして穴を拡張する。

 で、穴拡張して仕上げていくときに2mmのドリルで軸の長さぐらい穴を掘って、2.5mmのドリルの時は、その半分ぐらいリコイル用のバネが納まるぐらいの穴で止めておく。リコイルのバネで作った雌ネジを越えて雄ネジが収まるので、穴の底に雌ネジ部分があるより雌ネジ部分全部使えて、突っ込む雄ネジの長さは雌ネジ越えていい余裕があるので大雑把で良くなる。

 リコイル用の道具でバネを巻いて直径小さくしてから穴に挿入して、中で巻きを緩めて2.5mm部分の底に設置。

 長さ調整していない長いネジで試してみると、しっかりネジとして機能してバネが抜けてきたりもしないようだ。樹脂とかに”リコイル”を使うとバネの引っかかりが弱くて抜けてきたりするけど、真鍮だと適度に堅いのでしっかり噛んでくれるようだ。

 最後、雄ネジの長さを切って調整して、ベールアームの穴よりネジがだいぶ細いので間を埋める仕掛け用パイプ切ったリングを噛ませて、ネジの頭の手前に緩み防止のワッシャー填めてネジ締めてみた。良い塩梅に締まって固定できて、ちゃんとラインローラーも回転してくれて問題なさそうで、思ったより上手くいった。なんでも試してみるモノである。

 ということで、今回の大ネタは無事成功したので、いつものようにグリス盛り盛りで組んでやるんだけど、ちょっと小ネタもございます。

 一つは逆転防止のスイッチが欠けてるので、ちょっとお化粧直ししておきました。

 まあ、欠けてても機能に問題ないっちゃないんだけど、見た目良い方がイイかなと、割れた面に2箇所1mmドリルで穴開けてステンワイヤーを刺して骨組みにして、れいによって、ティッシュを瞬着で固めてそれっぽい形に成形して、ナイフとヤスリで適当に形を整えて銀色のスプレー塗料で目立たないように塗装。雑な仕事だけどまあこんなもんで良いでしょう。

 もういっちょは、今回の「タックルNo.1」はありがちなんだけど、右巻でこの時代のハンドルネジは左右別で左巻きにするには交換が必要なんだけど、そんなもん付いてないって話で、いただきものの自作「大森No.1、No.2用左右別型ハンドルネジ左」を使っても良かったんだけど、ちょうど部品売りで「オートベールSS」のハンドルが手に入ったので今回そちらを使うことにして、”左ねじ”は温存した。で、オートベールのハンドルには「2ボールベアリング」とかシールが貼ってあるし、ボロくて塗装ハゲハゲだったりもしたのでタッチペンの黒で塗装して使った。

 というわけで、いっちょ上がり。

 今回いじったローラーを固定しているネジは念のため引っかかったり抜け落ちたりしないように、エポキシを盛ってツルンとさせておいた。ナットがなくなった分軽くなって回転バランス崩れてプルッたらオモリ追加で調整だなと思ってたけど特に問題なくクルクル回ってる。

 スプール上面は”アルミ感”を残すため輪っか状に塗り残した部分を設けたけど黒一色の方が表情は引き締まるか?そのへんの美的センスはワシには欠けてるのであまり気にしないでおこう。田舎ヤンキーの改造車みたいにケバゴテしてなければ見た目なんぞ何でもイイや。

 ハンドルノブの形が、大森三角パドル型になったのも案外違和感ない。ハンドルノブはどうせ”改造”するなら好みの形にしたくなるところだけど、意外にどんなハンドルノブが良いのかって難しくて、たとえば世間的に評判の良い”ミッチェルのひねりハンドルノブ”だけど、最初摘まみやすく感じて「コレがミッチェルの捻ったハンドルノブか!」と感動したけど、ワシわりとしっかり摘まむのか摘まみやすくて指の同じ所にノブが当たってると長時間の使用では痛くなってくる。たいした痛みでもないので丸ミッチェルのハンドルノブわざわざ換える気はないけど、ハンドルノブの形状は実際摘まんだり握ったりして使ってみないと評価できないもので、手の形や大きさもツマミ方も個性があるので、自分に合ったものがどういうモノかさえ難しい。とりあえず大森三角パドル型は摘まみやすく痛くもならないのでワシ的には合格なので換える必要はないだろう。

 さて組み上がったし、ラインも巻いてみる。

 ちょい後ろ巻きになってしまってる気がするけど許容範囲。しっかり糸巻き部分の上下幅一杯つかってラインが巻けている。

 ワシはトラブルの少なさ重視でラインはあまりいっぱいいっぱいまで巻かないので、この状態で直径42mmラインが巻かれている。上の方に写真がある、元のスプール形状で少なめに巻いているタックルオートNo.1の巻いたラインの直径が37mmなので、実質5mm糸巻き部分の直径が大きくなっている。スプール糸巻き上面を真っ直ぐにしたのでラインの放出性も良くなってるはずだ。スピニングリールの改造っていうと、世間ではボールベアリングの数を増やしたがるようだけど、そんなもん少なくとも飛距離にはあんま関係ないはずで、あれほど飛距離にこだわるのなら、スプール形状いじって然るべきだと思うけど、あんまりそういう改造は聞いたことがない。なんかご大層な高級リール様のようにスプールエッジには特殊な堅い素材とか使わねばならんので”いじれない”と思ってるのかもだけど、耐久性とかはともかく飛距離に関係してくるのは”形状”であって素材は滑りやすい方がイイだろうけどまあ普通に磨いた樹脂でもアルミでも上等のハズである。あとはスプールの直径、純テーパーか逆テーパーか、オシュレーションが密巻きか綾巻かとかでも放出性が違ってくるというところか?飛距離にこだわるなら純テーパーのスピニングだってあって良いのに、昔みたいな純テーパーのルアー用スピニングってとんと見なくなった。今回の改造は、ライン放出性を良くする”飛距離に直接的に効く”改良だったということは自慢できる気がしている。

 しているんだけど、スプールエッジの形状について、大森のアルミの時代と樹脂製の時代のを比べたりしているうちに、ちょっとワケが分からなくなってきて、本当に今回の”改良”は自分にとって必要だったのか?という気がしてきて、改めてもうちょっと頭を整理してみることにした。長くなってるけどもうちょっとお付き合い願いたい。

 ワシが大森製作所が存在した当時に愛用していたリールは「キャリアーNo.1」と「マイコン302TB」である、これらの機種は大森製作所の”黄金期”最後の方にでてきた機種で、キャリアーは本体も樹脂製だけど、本体金属製のマイコンTBシリーズもスプールは樹脂製で、これまでワシ「後の方に作られたこれらの機種はスプール上面の傾斜がきつくなくなってて改善されていて使いやすかった」的なことを書いてきた。スプールがアルミから樹脂に変わったときに金型新しく作る時に改善したんだろうなぐらいにボンヤリ認識していた。なので、今回傾斜きつめのアルミスプールのタックル、タックル5、タックルオートをいじりつつタックルのスプールを改造してみて、じゃあどのぐらい違うんだろうって、タックル5No.1、キャリアーNo.1、スプール同じだけどマイクロセブンC1、マイコン301TBのスプールを並べてみて、比較してみた。それが上の写真である。

 ナンジャコリャ?キャリアーもマイクロセブンCもタックル5と形状一緒やんけ!マイコン301TBのスプールだけスカートも長いし糸巻き上面の傾斜も微妙になだらかな気がするけど、キャリアーもマイクロセブンCもきっちり傾斜してるやん。どゆこと?またワシ嘘書いてやがったな!あいすんませんなぁ。堪忍したってくんなまし。

 マイクロセブンCシリーズもそこそこ使ったし、写真のキャリアーNo.1とマイコン302TB、301TBは若い頃の愛機なので散々使い倒した。その時に、飛距離的に別に困りはしなかったのはワシの釣りが近距離特化型だから参考にならんにしても、ラインがドバッと崩れて出たとかのトラブルもなかったと思うし、今もちょくちょく使ってるマイクロセブンCシリーズも使いやすいリールでトラブルとかは少なくて快適なリールだと感じている。スプールの糸巻き部分に対してスプール上下幅が狭いスピニングは、巻いたラインの上下が崩れてトラブルが多いという理屈じゃないのか?明らかにその理屈に自分の感触が反している。いかに理屈から言ってなさそうであっても、現実にそうなっているのならそれが正しく、かつ、そうなる理由が隠れているはずである。その理由は何か、ここに来てパソコン椅子探偵の推理の時間である。

 ひょっとして、とノギス片手にライン少なめで運用しているタックルオートNo.1の糸巻き部分の幅を測ってみたら、謎はたぶん解けた。すまないが大森沼の関係者を呼んでくれたまえ。

 写真では分かりやすいように、スプールが上がって下がってする1回分ラインの色を変えてあるんだけど、ワシが経験則で少なめに巻いているラインの状態で、ラインはスプール上下幅一杯11mmに巻かれているのである。それより幅が広がるところまで巻いてない。なので上下部分で崩れたりはしない。単純明快。本体タックル5だけど同じ単純クランク方式なので気にしないで欲しい。というか、ワシがさっき書いたタックルオート、タックル5,タックル、キャリアー、マイクロセブンC、マイコンTB、どの機種もハンドル一回転でスプール上下一往復の単純クランク方式で、ということは綾巻でありラインの放出性はイマイチでもトラブルは少ない方式で、かつ、少なめに巻いたラインが放出するときには斜めったスプール上面の傾斜に多く当たって出て行くのでこれもライン放出性は悪いけどトラブルは少なくなる要素。つまり、大森スピニングのような放出性の必ずしも良くない糸巻き上面に傾斜が付いているスプールに少なめにラインを巻いて運用するとラインがドバッと出ていくようなトラブルはむしろ軽減されるのである。って言うかワシはそういうトラブルは記憶にないぐらいで極めて少なかったはず。知っててそうしてたわけでも何でもないけど、自然とそうなっていったし、近距離特化型でトラブルなく使えるリールが良いリールと思ってるワシにとって、形状いじってない元の大森のスプール形状が実は合理的というか合目的的だったのである。

 ワシ、今回スプールの改造が上手くできた時点で、これから大森スピニング片っ端から糸巻き上面真っ直ぐに改造してやろうかと思ってたけど、むしろそのままがイイと理解した。飛距離重視の人には参考になる改造になったかもだし、ワシも勉強になって良かったけど、若干無駄骨臭がしないでもない。

 よく考えれば、今時の高級リール様でも、単に放出性重視なら必要のない、糸巻き部分の上にちょろっと斜めに出たひさしのような出っ張りが設けられていたりする。要するにスプール上下減速式にして密巻きにしてたりしていて、放出性が良すぎるとラインがドバッと出てしまうトラブルとかが増えるので、ライン放出時にわざとちょっと当てて、そういうのを防ぐ仕組みを設けているのだろう。減速式は巻くの軽くなるしで高級機種では入れたいだろうし、そうするとそのままだとトラブルが多い、なので逆テーパーつけたりスプールエッジに”ひさし”つけたりラインの放出性は悪くなるけどトラブルの減る仕組みを設けているということだと理解した。

 最近流行の釣りが、アジングだの管釣りの鱒だので軽いルアーを使って、かつ前者だとフロロだエステルだといったあんまりしなやかじゃないラインも使うので、放出性重視でカッ飛び仕様にしてしまうとトラブル多くて使いにくいっていうのも、今時のリールにやたらライントラブル防止のための工夫が多い背景なんだろう。まさにヘッタクソが、カッ飛び仕様までいかなくても、普通のスピニングでそういう軽い仕掛けの釣りをしたら不具合多くて困るだろうなと想像に難くない。メーカーさんある程度マッチポンプでそう仕向けてる部分もあるけど、ちゃんと釣り人の程度と釣りに合わせた道具を売ってるってことか?

 ただ、そう考えると、そんな極端な軽いルアーを使わないシーバスとかでは、今時の高級機種やその機構を真似した下位機種では、トラブル少ないのは良いけど放出性良くなくて飛ばんがな、って遠投派のシーバスマンは思ってしまうかも。そういう人は今の逆テーパーのスプールじゃなくて投げリール由来の純テーパーが付いてた時代のスピニング、たとえばダイワの革命機「ウィスカートーナメントSS」とか今こそ出番じゃなかろうか?そこまでじゃなくても、スプールエッジの角がキリッと立ってるミッチェルとか飛距離的には優秀なはずである。たしかに丸ミッチェルはプラナマチック入ってなくても良く飛ぶように思うところ。スプール径大きめも効いてるんだろうけどな。

 逆に、ライントラブル防止策で、ライン少なめに巻いた大森スピニングをライトタックルの釣りに使うというのもありではないかと思えてくる。なにしろ、さっき書いたようにスプールエッジに大きな”ひさし”が付いてる状態だし、綾巻でもありライントラブルに強いのはワシ実感してきたところ。

 ついでに、PENN4桁スピンフィッシャーでも4400SS以上のモデルはぬこさんが”原始A-RC”と書いてたように、真っ直ぐな糸巻き上面にちょっと”ひさし”が突き出てる形状になっていて、純粋なライン放出性よりトラブル防止をやや重視している感じ。まあ昔っからこの手の工夫はあったって話で、スプールエッジ、糸巻き上面の形状は各社各時代で想定する釣りやら釣り人やらによって適切と考える形状を選択してきていたようで、釣り人はそれらの違いを認識しつつ選べる程度には各種スピニングがこれまで世に出ている。まあワシ認識あんませずに経験則でトラブル少ないリールをトラブルおこさないように使ってきたわけだけどな。あと細かい話だけどラインの放出性の良さが即飛距離向上を意味しないっていうのもある。何じゃそれ?って話かもだけど、例えば固定重心のミノーとか投げるときに、ある程度放出性が悪くてラインの抜けが悪くてルアーがライン引っ張って飛ぶ形になると、ルアーの飛行姿勢が安定して飛距離が出るとか、そういう細かい例外もチラホラある。

 という感じで、まあ道具っていうのは、それを使う人の好みや技術はもちろん、使う状況や仕掛け、調整具合、重視すべき要素なんてのが種々絡んで、一筋縄ではいかず、最初に戻るけど「釣り具と釣り人の関係は一期一会」「相対的なその釣り人にとっての最高の釣り具というのはあり得ても、全釣り人共通で絶対的な一番の道具などというモノはあり得ない」って話で、少なくともどういった機能がどういう理屈で働くようになっているのか、自分の釣りに必要とされる機能はどういったモノか、というのをなるべく理解していないと、フォーミュラ-カーで山道登るようなアホな道具の選択になりかねないので、皆さんよく勉強しておきましょう。

 ワシも今回、スプール糸巻き部分上面が斜めってるのは必ずしもスピニングリールにおいて欠点だとは限らないってことを理解できて、蒙を啓かれる思いで大変勉強になりましたとさ。

4 件のコメント:

  1. 放出性って軽いルアーでちょい距離出して着底させる釣り方には影響大きいんですが、
    シーバスで50mくらいまでしか距離出さない場合はあんまり意味無いんですね。
    理論的には放出性最悪で原始ARCの713zでサーフ同然の環境で最近のシマノ4000番代に迫る距離を普通に出せますから

    大森のスプール改善策、マイコンの初期モデルで長時間粘るって釣り方してるとかなり変わると思いますよ
    タックルオートとか減速機構のないモデルより減速機構のあるマイコンの方がやる価値はあると思います。

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    1. おはようございます

       なるほど放出性の評価の視点に”着底”させるときのラインの出の良さはあるかもですね。

       減速機構ありの大森はいまのところマイコンNo.201ぐらいで、あんまり困ってないけど次スプールいじるならコイツか軽い仕掛けで底をとるチキンリンド根魚用の小型機かな。

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    2. 減速機構無しの小型機での近距離戦でも
      メッキなんか相手する時にミノーやら巻物で長時間粘りしゃくり入れまくる展開になると
      往年の大森唯一の泣き所が消えてるってのは必ず効いてくると思いますよ
      手間掛けた元はすぐ取れると確信しています。
      私もマイコン201持っていましてこの改善策には
      注目していて材料揃えて始めようと画策しています。

      コータックの竿に大森リールってのも雰囲気出ますし
      上手く行けばカーディナルc-4もやってみようかと思ってます。

      使った感じ今のシマノが幅利かせてられるのもスプール改善策打ったからですし
      機械としてはあんまり進歩してないのに格段に長期戦に強くなりましたから



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    3.  参考になったのなら何よりです。

       シャクリ入れる釣りとなると自分の釣りだとやはりメッキ想定ですね。そうすると次は小型機優先ですが、1台やったら気が済んでしまったところがありやる気は下がってしまってます。ということで別の改造を先にやってしまったので次のネタはそっちの予定。

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2023年8月12日土曜日

プランBは時にプランAより良かったりする

  前回の「タックルNo.1」のネジ切ったラインローラー固定ナットの修繕においては、はからずしもプランAが成功してしまい、出番のなかったプランBだけど、わりと楽しげなプランではあったので、もいっちょ固定ナットをネジ切ってしまってた「タックル5No.2」については、せっかくの立案をお蔵入りさせるのももったいないし、同じこと2回やってもつまらんし、ということで最初からプランBのほうでちょっとした改造に手を染めてみたいと思ったしだいでございます。足の遅い台風のおかげでリールいじりが図らずも捗ってしまいました。
 この個体はネジ切った個体ではなく、ボロいのでいいからベール周りを”部品取り”できる安いのをということで入手してあった個体で、すでにベールワイヤー、ラインローラー、ローラーナット、反対側のバランス取りのオモリ兼ベールワイヤー固定部はもう一台に移植すべく正常な状態で一式取っ払ってしまっていて、ベール周りはベールアームが残ってるだけの状態。当然、ネジ切った方の一式は余ってるので、そちらをプランAでラインローラーの填まる軸に穴を掘ってリコイルで雌ネジ作って、というのもやれる余地は残っているけど、とりあえず今回はそっちは放置でプランBに邁進していく。

 今回用意する材料は少ない。写真の外径8mm、内径4mm強のジュラコン製スペーサー、4ミリの真鍮パイプ、M2.6のネジとワッシャーとナット、あとはスズハンダとアルミ板、セキ糸と接着剤のたぐいぐらい。
 ベールワイヤーの素材が見当たらないから察しの良い方なら見当が付いたと思うけど、今回の作業はベールレスというか”マニュアルピックアップ方式”への改造である。ベールワイヤーが折れるとか、折れたジャンク個体を入手したとかの場合に手っ取り早く使用可能な状態に戻す方法としてベールワイヤーを取っ払ってマニュアルピックアップ機にしてしまうというのはありっちゃありだと思う。特に普段ストッパーを外しておいて取り込みとかでハンドルから手を離すときだけストッパーを掛ける”ミッチェル式”とマニュアルピックアップ方式は相性が良いのはすでに紹介したとおりで、そのお作法さえ慣れてしまえば、いちいちラインを摘まんで外したりする必要もなく、実釣に支障を生じない程度には使えるので、ベールワイヤー折れて古いリールで部品の確保もままならん、というときには正直お薦めの方法である。今回はベールワイヤーじゃなくてラインローラー固定ナットが死んだのでいっそラインローラー一式再建してしまおうっていう流れだけど、単純にベールワイヤー折れた状態からのマニュアルピックアップ機への改造は、折れたベールワイヤーを根元から両側バチンバチンとニッパーとかで切って、多少絡み防止とかバランス調整とかしてやれば改造完了と簡単なはずである。

 とはいえ今回のラインローラー再建しつつマニュアルピックアップ化もたいして難しくない。

 ジュラコンスペーサーと真鍮パイプのサイズもピッタリだし、ベールアームの窪みにもジュラコンスペーサーの8mmの外径はちょうど填まるので、ラインが落ちたりすることはない。

 真鍮パイプを若干短くするのは、ネジの頭をジュラコンの中に収まるように4.5mmのドリルで穴を途中まで拡張してやるから。
 ネジの頭がジュラコンスペーサーの外に出ていると、糸落ち防止の”フリル”的な部品がないとネジ付近にジュラコンスペーサーとの間にラインが入る隙間ができてしまう。でも、ネジをジュラコンスペーサーの中に引っ込めてしまえばラインが噛んだり絡んだりする問題は生じないので、単純な設計だけど、ほぼ完璧な対策になるはず。

 ジュラコンにラインローラーの溝を掘る前に仮組みしてみると、ピッタリ填まって良い感じだけど、ネジと真鍮パイプの間に隙間がある分ちょっとガタが出るというかナット締めて固定したときのズレが気になるので対策必要かなぐらいで、問題なくいけそう。

 大枠は固まったので、ラインローラーの形状も調整して組み上げていく。

 ネジと真鍮パイプの間にはセキ糸を巻いてピッタリ填まるように調整して接着剤で固定。
 
 ラインローラーとなるジュラコンスペーサーの形状は、れいによって”空気銃弾型”でいくので、アートナイフで削り出して、電動ドリルで回しつつダイヤモンドヤスリをかけておく。

 実際に組んでみて、ギリギリ回るぐらいに拡張する穴の深さを掘っておいて、コンパウンド替わりの歯磨き粉をつけて一回組んでルーターと輪ゴムで接続して回しまくって当たりを取って滑らかに回るようにしておく。

 一旦バラして歯磨き粉とかを洗って落としてから、ネジの余分の長さを切断して、グリス塗りながら組んでナット側はラインが引っかからないようにエポキシ盛っておく。

 回転もスムーズで良い塩梅に組み上がってめでたしめでたし、ところがコレで終了にはならない。というか意外に難しい部分が残っている。ローターの回転バランスの調整である。

 もともとのベールワイヤーのベールアームと反対側には、写真一番上のバランス取るための錘がガッチリ填まっている。今回ベールワイヤーごと一式取っ払っており、ベールワイヤーの根元で切ってオモリ部分だけ回収して使うというのも手としてはあったけど、ネジ切ったラインローラーナットが付いてたベールワイヤー一式も、再生できるならそのうちやっても良いかなと思ってるので、新たにオモリを加えてバランスを取って巻いたときにプルップルにならないようにどうにかする。

 我が家に鉛線の類いは既に金属ゴミの日に出してしまって無いので、こういうときはちょっと不便。スズハンダで代用するけど明らかに軽いので元々オモリが填まってた場所に詰めこんで、アルミ板で蓋したぐらいでは全然まだ足りず横にするとベールアーム側がクルッと下に来る。

 仕方ないので、ローターの中、普段はスプールの下になる部分にもスズハンダぶち込んでいってウレタン接着剤でずれたり外れたりしないように固めて、どうにかベールアーム側との単純な重量的バランスは取れた。ただ、ベールアームは高さがあるので回すとどうしても完全にバランス取れているわけではなく、ややプルッてるかもだけどまあ許容範囲におさまった。

 同じようにベールワイヤー取っ払ってマニュアルピックアップ化した丸ミッチェルは特に調整必要なかったのは何でだろ?と思ったけど、あちらはそもそも回転バランス取るためのオモリは最初からローターにくっついているのでベールワイヤー取っ払っても、ある程度バランスはとれる構造。まあメーカー純正のマニュアルピックアップ化部品使ったのでその辺は問題なく作ってあるって話か。

 ついでにスプールエッジが腐蝕でザラついてたので、主軸ごと電動ドリルで回してサンドペーパーと歯磨き粉で磨いて、腐食防止に一応エポキシ薄く塗っておいた。
 ボロ個体で、ベールワイヤー一式持ってかれたダルマ個体だったけど、まずまず良い感じに改造により復活したんじゃなかろうか?ベールアーム自体から銅板とか加工して作るのも考えたけど、ちょっと金属加工は自信ない分野なので今回ありもののベールアームはそのまま使っている。なのでマニュアルピックアップで意味ないけどベール?を起こすことはできる。逆にベールアームを畳むことができるのはラインローラー部分が上に飛び出してて、雑に荷物に詰めると曲がりそうなベールアームの保護には役立つかも。

 こいつはせっかくなので、出番作ってやりたいところ。マニュアルピックアップ方式という単純で部品少なめな機構と、タックル5の外蹴りで部品数少なくシンプルな設計は統一感があって良い気がする。必要最小限でスピニングを作ったらこんな感じ、的な仕上がり具合に好ましさを感じる。
 ライントラブル防止重視なので、スプールエッジもいじらなくて良いだろうとライン巻き始めたら、No.1サイズは外周ギリギリまで巻くとスプール上下幅より糸巻き部分の幅が広くなってトラブルの原因になりそうだったけど、少なめに巻いてる分には糸巻き部分の幅とスプール上下幅はほぼ同じだった。でも、No.2サイズはわりと最初からスプール上下幅より糸巻き部分の幅が広い。糸巻き部分の下面に円盤追加で1~1.5mmも調整してやればちょうど良くなるハズだけど、面倒くせえので下側がグズグズになるのはそれほどドバッと出ていく原因にならないだろうから放置して、やや少なめの糸巻き量にしたときに上側は上面までキッチリ巻けるようにやや前巻きで巻いてやった。
 実釣で問題生じれば、糸巻き幅調整するけど、以前純正状態で使ったときに特に問題生じてなかったので大丈夫だと思う。

 今回は「ラインローラーが自作できる」と「マニュアルピックアップ方式のスピニングに馴染みがあって使える」の合わせ技一本な感じだけど、スピニングリール色々いじって身についた小技が役に立つようになってきて、なかなか楽しいことになってきたように感じてます。


2023年8月26日土曜日

苦労をともに

  現実に絵描いたり、小説書いたりする人工知能(AI)が出てくる時代になって、人工知能は人の相棒たり得るか、もっと端的な例ならAI搭載形のアンドロイドを人は愛せるか?とかいう題材をあつかったマンガとか増えたように思うけど、そんなもんは古今東西あまたあるSF作品とかで”可能”と答は出ているように思う。「ナイトライダ-」のナイト2000(キット)とか「コブラ」のアーマロイドレディとか、「時間停止勇者」の岩吉・・・はちょっと違うか。

 根本的に人が他者を認め、愛するという行為において、他者の本質が機械仕掛けだろうと何だろうと結局のところあんま関係なくて、自分がどうその他者を認識しとらえるかの方にこそ根源的な理由というか原因があると思う、と書くとちょっと飛躍と皮肉が過ぎるだろうか?

 ワシャ釣り具は”相棒”だとモロに感じている。物言わぬ道具に過ぎないけど、それでも頼りにして特別な絆を感じたりもする。要するに自分と共に何かを為す、そのために自分が何らかの働きかけをして使うと、相応の機能を発揮して仕事をこなしてくれる。そういう入力と出力的なものが伴う点では人間相手と一緒と言えば一緒、自分と他者との関係という大枠では変わらんがなと雑に考えている。

 人間は、太古に生まれた生命から脈々と引き継がれた遺伝的な情報と、生まれて育てられ学んだ文化や知識的な情報を元に、何らかの働きかけに対して、その情報に拠って答を出しあるいは反射的にその時々の反応を返す。物言わぬ道具であっても過去から改良を加えられつつ作られ調整されてきた、様々な”情報”で構成されていると言える存在であり、その情報に拠ってこちらの働きかけに対して然るべき機能を果たすところは、蓄積された情報が対応を決めるという点で同様である。といえばもう少し丁寧な説明になっているだろうか?ちょっと哲学的というか屁理屈じみているかもしれないがご容赦願いたい。

 投げて巻くだけの簡単な機能しか持たないリールでさえ”相棒”だと感じるのに、思いっきり人間くさくなってきたAIが人間の相棒たり得ないわけがない。”愛”についても、人はピグマリオンコンプレックスなんて言葉があるぐらいで人形に恋することさえできる、いわんや人型で受け答えができるアンドロイドおや、というところだろう(”いわんや~おや”の構文なんて使う機会滅多にないけど使い方これであってるか?)。

 でもって、今年の春のシーバスシーズンを相棒として共に闘った丸ミッチェル「304」マニュアルピックアップ版と大森製コンパック「カプリⅡ」を、遅くなったけど、304は来期も使うつもりで分解フルメンテ。カプリⅡは蔵で眠ってもらうべく内部浸水させてはいないので分解は無しで表面塗装が腐蝕しないようにグリス塗ってドラグノブを借りていたオートベールNo.2に返しておく。

 この春のシーバスは苦労した。なにせ最大が40あるかないかでセイゴしか釣れんかった。304はコレからも使うのでまた機会はあるだろうけど、カプリⅡはボロさ加減からいってこれ以上使うのは難しいので最後に良い魚釣って”釣り具”として生まれた本懐をとげさせてあげたかったけど、不甲斐ない使い手でセイゴしか釣らせられずに申し訳ない限りである。でも2台とも苦しい釣りを共にしただけに、愛着も湧いたし、何というか戦友感がそこはかとなく漂ってきている。304は今後もしっかり働いてもらう予定だけど、カプリⅡは売れるような個体じゃないし蔵に眠ってもらってたまにクルクル回して、ワシが死んだら中古釣具屋にでも流れていくんだろうけど、釣り場に出ることはおそらくもうないだろう。静かに余生を送らせてやろう。

 でもって、304なんだけどワシ雨が降ると喜んで釣りに行くタイプのシーバスマンなんだけど、304は雨の日の釣りにはあんまり向いてない。あきらかにローターの下部の本体との隙間から水が入る。しかたないのでその辺りにもミッチリ青グリスぶち込んだけど、水と混じって白く濁ったグリスが雨の中釣ってるとドロドロッと流れ出てきたりして塩梅悪かった。来シーズンから雨上がりとか専用にしてザンザカ降ってる最中は避けて使おう。

 今年は思いっきり雨の中使ってたので浸水しまくりで、途中で一回グリス入れ換えたけど、丸ミッチェルの良いところは極めて単純で整備性がすごぶる良いところで、全バラしでグリス入れ換えてもたいした手間じゃない。

 ということでパカッと開けると、元々青かったグリスが真鍮の部品から出た緑青で緑に変色したうえに水が混じって白濁している。まるいベベルギアの外側に白濁していないグリスが残っているのがお分かりいただけるだろうか?

 ギア抜いたところに入ってる逆転防止関連も真ん中写真のようにグリスに埋まってて発掘してやる必要がある。これぐらいガッチリとグリスシーリングしてあると、グリスに水が混じったので長期的にはどうか分からんけど、わりと鉄系の部品も多い丸ミッチェルだけど、ほぼ錆びは出ていない。ほぼと書いたのは実はハンドルノブのネジが鉄にメッキなんだけど、そこはさすがにグリスが落ちて注油はそれなりにしていたけど頭のあたりが若干錆び始めていた。ということで、内部に錆は認められなかった。というわけで防水性は良くないけど、整備性の良さを生かしてグリスまめに交換してやれば腐蝕対策は充分できるように感じた。実用機として問題無い程度には塩水での使用に耐えると評価できるんじゃなかろうか。

 分解するとこんな感じだけど、部品数30個もない。

 ベールワイヤーやら反転機構を取っ払ったマニュアルピックアップ方式にしてあるし、あと取っ払って省略できそうな部分って、逆転防止ぐらいか?って感じで、逆転防止は指でスプール止めても何とかなるけど、それ以上はもう省くところがないぐらいに単純な設計である。待てよ、ドラグも省略してブレーキはハンドルで調整するという”ダイレクトリール”にしてしまうという手がまだあるか?さすがにそこまでやると手先の技術に頼る部分が大きくなりすぎてちょっと扱いきれる自信がなくなってくる。

 っていうぐらいに原始的で単純で、でも魚釣るのに不快な問題としては、雨の日にグリスが水と混じって漏れ出てくるぐらいで、あんまり生じず、使ってて非常に気持ちの良い、使い心地の良好なリールである。なんだろベベルギアの巻き心地ってザラついてるけど力強くて独特の良さがあるように思う。ひとシーズン使ってみてかなり気に入った。

 ということで、来春も頑張ってもらうためにグリスグッチャリで仕上げておく。

 中身も青グリスグッチャリだけど、外側もグリスチョイチョイとつけてティッシュで塗り伸ばして腐食防止策としてるんだけど、塗ってると指もグリスでヌラヌラになってくるので、最後の方は手でヌリヌリとリールにグリスを塗ったくってやった。カプリⅡにも感謝を込めて塗ったくってやる。ドラグノブ落っことしてすまんかったな。

 2台とも、春シーズンお努めご苦労さんでした。苦戦続きだったけど良い相棒と一緒だったから頑張れたよ。ありがとう。

2 件のコメント:

  1. ベイルレスの個体はプラナマティック抜いてますね。
    スプールが314系に入れ替わってるなら塩害は楽に防げますよ。
    ベイルレス使いこなせない体質だから手は出してませんが、
    整備保守ってなると最強かもしれませんね

    304系で塩害がヤバいのはアルミをカシメて作ってあるドラグハメ殺しスプールで毎回糸も抜いて塩抜きしなきゃなりませんので
    たまにしか海で出せないです。
    ドラグの効き目も自分好みに持っていけませんし

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    1.  おはようございます
       プラナマチック面白い機構ですが、実釣用としては無しの方が単純で好みです。
       スプール、ドラグハメ殺しは使い勝手悪そうに思って314から持って来ましたが正解ですね。
       なんにせよ自分の使ってるスピニングでは一番単純な個体で整備が楽なのは良いです。

      削除


2023年9月23日土曜日

針金ベールリールの系譜ーパソコン椅子探偵オリムピック「MOVADO」編ー

  ベールがなんか折り曲げた針金でできてて、針金の弾力でベール反転もおこなうような”針金ベール”のリールについては、大森製コンパック「バンタムⅢ」「シエラⅣ」をいじくって、一回実釣でどのぐらい使えるモノか試してみたいと思ってた。

 ただ、バンタムⅢは借り物でシエラⅣは程度が良すぎて使いづらいので、多少ボロい出物がないか探してたんだけど、これがなかなか出てこない。針金ベールのリール自体は珍しくも無いんだけど、昔の日本市場のスピニングは右巻仕様が多く、左巻きがなかなか出てこないのである。やっと出てきて値段も手頃だったので、このオリムピック「MOVADO」を入手したのはこれもだいぶ前の話である。そこそこ錆も出てたのでCRC「666」をぶっかけて、他の整備待ちリールと共に封印してあったのを打順が回ってきたのでいつものように分解清掃し青グリスグッチャリで仕上げてみたんだけど、このリール実は大森製作所製の”オリムピック”リールなんじゃないかと疑っていたので、そのあたりも検証してみた。

 オリムピックについては、国内では一時圧倒的なブランド力と販売網を持っていて、大森や日吉といった埼玉勢はもちろんのこと、長野の松尾工業にも下請け仕事でリール作らせていたようで、そう考えると同時期のリールでも妙に味の違うリールがあったりして、製造元が違うならそらあたりまえか?と納得するところである。ワシ、オリム製インスプールスピニングでは「トゥルーテンパー727」はしっかり作ってあって好みのリールなんだけど、ヘドンにも同型機をOEMで提供していた「エメラルド350」はなんかスカスカした感触で今ひとつピンとこなかった。作ってた工場が違うならそういうこともあるだろう。まあ、この2機種についてはなんの裏付けもないので案外同じ工場で作ってたのかもしれんけどな。

 というオリムピックのお家事情のなかで、大森製の”オリムピックリール”はどれなのか?というのには興味があった。以前コメント欄で教えていただいたオリムピック「83」のフルベールモデルはコンパック「キャデラックⅢ」と同型機でかつ大森製作所作成の最初の機種なのではないかとパソコン椅子探偵としては推理しているところではある。

 そのほかの大森製”オリムピックリール”の容疑者として、以前から「MOVADO」には疑いの目を向けていて、今回そのあたりもパソコン椅子探偵としては検証してみたいと思っている。ローター周りの処理が写真で見ただけでも似ているし、ハンドルの軸方向への丸い出っ張りとかも大森っぽい。バラしてシエラⅣと比較していけばさらに証拠は集まるだろう。写真右のアズキ色ボディーのがシエラⅣ。

 どちらも針金ベールのスピニングだけど、その針金の”ベールアーム”に相当する部分の曲げ方が直線的ではなく、「7」のように曲線をえがく形状に曲げられており、非常に”癖”が似ている。このことだけでも、疑うには充分であり探偵としてはマークせざるをえないところだろう。どちらかがどちらかを見本に真似したという可能性も充分あるけど、まあここ以外もしっかり隅々までみて真実をあきらかにしていこう。真実はいつも分かったような分からんようなモノでしかなかったりするにしてもだ。

 まずはスプール周り、スプール外すと両機種の板金ローターの形がそっくりなのが見て取れる。これ同じ型じゃないかと思ったけど、微妙に大きさが違っててスプールの互換性とかはない。でも色こそ違えど、本体に乗っける部分が盛り上がってる形状とか、ベール基部の金具を留める処理方法とか癖が一緒。

 ドラグが、シエラⅣともバンタムⅢともまた違う構成で、シェイクスピア「2103」で見たのと同様に一番下にフェルトパッド、その上に曲げワッシャー、一番上が1方向切り欠きありのワッシャーとなっている。曲げワッシャー一番上に持って来たいところだけど、2130でもそうだったけど、なぜかこの単純な構成でいちおうドラグとしての機能は生じさせており、パッドの直径も小さく良いドラグとは言い難いけど使えと言われれば使える程度ではある。まあ使うつもりなんだけど、シーバスならいけるでしょ?って感じ。

 でもって本体パカッと開けてまずは、ハンドル軸のギアが樹脂製じゃなくて亜鉛製なのに安堵する。芯に鉄系のが鋳込んであって丈夫そう。逆転防止のストッパーはギア裏に入ってる。

 樹脂製ギアはギア自体は何とかなるのかもだけど、ストッパーが過去2台見たどちらも潰れたりしてたのでもたない気がしている。亜鉛ストッパーも削れた例は見てるけど、普段はストッパー外してミッチェル式の運用なら何とかなるだろう。

 ロータ軸のギアも亜鉛っぽくてここはシエラⅣ同様の真鍮にして欲しいところ。亜鉛亜鉛の組み合わせは若干不安。

 ギアの素材自体は違うけど、シエラⅣと設計自体は似ているというか、ほぼ一緒なんだけど、微妙に違うところが今回突破口につながった。

 スプール上下(オシュレーション)のピンが主軸に刺さってるんだけど、シエラⅣではハメ殺しっぽくて抜けず、ローターを外すことができなかったけど、MOVADOでは填まってるカラーを外したらピンの頭がマイナスネジになってて、外すことができた。外せば主軸は抜ける。

 すると、次に外せそうなのは写真一番上の矢印の位置の小さなネジで、これを外すと真ん中写真でちょっと浮き始めてる一番上部に襟が付いてるスリーブが、主軸が刺さってた部品なんだけど、ローターとギアごと抜けてくる。このスリーブの上部の襟とロータ軸のギアの上端ローターにナット留めされている部分に隙間ができるように、小さなネジで留めて、ローター軸のギアとスリーブとが接する形で回転している。というわけで、あたりまえだけどボールベアリング不使用機。

 ローターからスリーブを抜けばローターにギアを留めているナットも外せるので外せば分解終了。ちなみにローターにギアを留めているネジが逆ネジなのは地味だけど大森っぽい癖だと思う。オシュレーションのピンもなぜか逆ネジ。

 ここまで分解して、シエラⅣにもスプール外すと上部に襟付きのスリーブが見えているし、小さなネジでそれを留めているのも見えるので、構造ほぼ一緒と思う。これハメ殺しだと思ってたオシュレーションのピンもペンチで摘まんで回したら外れるんじゃないかと試したら外れた。

 そして同じようにスリーブを留めてる小ねじを外せばスリーブ抜けてギアごとローターも抜ける。

 一番下の写真はスリーブがどんな感じに入ってるか、ローターを外して本体にスリーブ刺してみたところ。見えている小穴が本体の穴のあるところまで差し込まれて、小ねじで留める構造。

 ここまで設計が似てる、というか同じだと、製造元は同じと考えるのが自然というモノだろう。

 そんな複雑な設計じゃないので、ミッチェルのフルコピーを高精度でやっちまえるぐらいに技術力があったオリムピックなら真似するの自体は簡単だったと思うけど、自社の海外販売先でもあるブランドで出てたシエラⅣを真似する意味がないというか、シエラⅣをコンパック側(コマースパシフィック社)に納入してたの自体はオリムのはずで、大森は孫請けという関係だっただろうから、他にネタ元があるとかもあり得るけど、少なくとも この2機種においてどちらかが模倣されたとかいうことは考えにくい。普通に考えて同じところで作ってるんだろう。となるとシエラⅣについては大森公式が「うちが作ってました」って言ってたので、どちらも大森製というのが今回のナマジの推理。

 他にも細かい所だけど、足の裏が三本線入ってるとか、大森沼の皆さんなら「ああこれは確かに大森臭いな」とご納得いただけるだろう。

 ということで、大森沼の関係者を集めてくれたまえ。

”オリムピック「80MOVADO」は大森製作所製です”

 ここのところ、パソコン椅子探偵ナマジ、迷宮入り案件続いてて負けが込んでたけど、久しぶりに探偵らしい仕事したかなと。まあ、実際にどうだったかはわかんないもんだけど、状況証拠的には、なんか真実に近いようなところまでこぎつけたかなと思っちょります。

 ということで、分解整備も済んで青グリスグッチャリで仕上げたし、3:1ぐらいの低速機なので、使うならシーバスなということで、2号ナイロンで運用の予定。

 針金ベールは削れて糸溝できそうではあるけど、そこはそれ複雑な部品じゃないのでステンレス硬線でも曲げてたわめて自作できるんじゃないかと思うので、とりあえずどっかで余裕ができたら、今年のシーバス戦線の不調具合を鑑みると出番作れるか不透明だけど、一度どんなもんか使い心地を試してみたい。

 使ったらまた、釣行顛末記とかでご報告いたします。


2023年11月25日土曜日

斜にかまえたNo.5

 なんでナマジは使うアテもなさそうな、大森大型機を2台も買っているのか、まあ「欲しかったんじゃー」という一言で済ませても良いのですが、れいによって説明の機会をば与えていただきたくぞんじます。

 左「マイクロセブンNo.5」、右「オートベールNo.5」、双方600gを越える、糸巻き量6号240mの大型機である。大森製作所のリール的にはNo.6サイズがあるので最大ではないにしても大型で、PENNなら糸巻き量的には6500SSぐらいの大き、見た目の大きさ的には糸巻き量考えるとコンパクトで5500SSよりちょい大きいかなってぐらい。

 大森の小型機は人気機種ではなくても、それなりに情報がネット上にも転がっている。でも大型機に関してはその人気の無さ、注目の薄さを反映してか情報たいして出てこない。むしろロシアのオッチャンが外蹴りマイクロセブンを激賞してたってぐらいで、シェイクスピア版で馴染みのあった海外の釣り師の方が詳しいかもしれない、日本語サイトの情報は限られている。

 そんな中、興味深い報告をされているのが、以前ギブスのルアーネタのときに書き込みいただいた、米国製海用ルアーを投げている方で、ブログを読ませてもらっていたら、「タックルオートNo.4」を愛用されていて、かのリールには「ストローク減速機構装置」というのが搭載されていて、スプール上下のオシュレーションカムが斜めになってるのがそれではないか?と書かれているんだけど、おそらくストローク減速機構装置自体は、ハンドル軸ギアの回転からギアを介して回転を持ってきて、ギア比によってハンドル1回転で1回スプール上下するのではなく、ハンドル数回転でスプール上下1回とかにスプール上下を減速するという、一般的な減速式のオシュレーション機構そのもののことだろうなと思う。このあたりの大森スピニング、外蹴りアウトスプール「マイクロセブン」「タックル5」はNo.3の大きさまで、「タックルオート」や「オートベール」もNo.2の大きさまでは、単純クランク方式でハンドル回転1回転でスプール上下が1往復で、使ってて特に問題は感じていない。それ以上の大きさになってくると、ハンドル軸のギアからギアを介して回転を減らしたいわゆる”減速オシュレーション”となっている(タックルオートNo.3はクランク方式ではないけど減速してないのかも?確かめたくてまた物欲が・・・)、減速オシュレーションにする理由としては、デカいスピニングになるとまずはスプールからなにから重いので、減速して軽く巻けるようにというのがあるだろう、ギア付きの自転車で坂道で低速ギアに入れるようなモノである。デカいスプールがハンドル1回転ごとにガションガションと上下してる様は迫力ありそうで見てみたくはあるけど、実釣的には巻きが重くてどうもならんだろうな。さらに、減速式にすると、巻きが綾巻気味から密巻き気味に変わるので、投げるときのラインの放出性は良くなるだろう。その分綾巻のトラブルの少なさは削られるのは行ってこいの関係で、そのへんは良い塩梅の減速比率で仕上げるのだろう。けどまあ、大型リールで減速無しはあんまりないぐらいでそれが使いやすい妥当な設計なんだろうと思う。

 なので、オシュレーションカムが斜めになっているの自体は「ストローク減速機構装置」そのものを指しているのではないんだろうけど、ここで興味深いのが、タックルオート(たぶんオートベールでも)でNo.3サイズではオシュレーションカムが水平なんだけど、No.4からNo.6サイズでは斜めになっている。これは何の意味が効果があるのだろうか?私気になります!

 ということで、自分でいじくってみんとあかんなということで、買いました。なんで2台あるねんって話は、れいによって予備スプール体制が組めるからで、実釣に持ち出す予定もないのに予備スプールもクソもあるかよ、という気もするけど気にしない。欲しけりゃ買うんです。

 マイクロセブンの方はクソ安くて1000円落札+760円送料、オートベールは出物が少なく、ちょっと高いけどコレ買わんと次がないかなと、3980落札+980円送料とボロ個体に張り込んだけど、その後綺麗なのが3000円即決で出ててジイさんちょっとガックリ。まあ綺麗な個体はコレクター氏の棚に、ボロい個体はワシのところで整備して良い状態に、ってことでこれで良かったんだと思っておこう。

 ということで、わが家に来たからには分解整備。

 先に見た目ボロいオートベールから、まずスプール周り、ドラグがちょっと面白い。この時代の大森スピニングはフェルトの湿式ドラグパッドが標準装備で、この大きさでも基本は一緒なんだけど、3階建てのドラグで3枚のパッドのうち1枚が赤いファイバーワッシャーになっている(写真上列右)。このあたりの大型リールの国内での用途としては、投げ釣りが主に想定されるのでドラグとしての性能よりもしっかり締まって、投げたときにドラグが滑って指を切らないというのが求められていたのかなと想像するんだけど、ドラグパッドを一枚摩擦の大きい繊維性のドラグパッドにしてそのへんの”締まり”を確保しているんだと思う。3階建てドラグでドラグパッドの材質やらを変えるとき、変える枚数に応じてドラグの性能が調整できるってのは以前実験したとおり。さすが大森製作所、わかってらっしゃるという感じだ。
 あとは、簡易ローターブレーキがついた内蹴り機構、真鍮のローター軸ギアに鋼を鋳込んだ亜鉛のハンドル軸ギアのハイポイドフェースギア、ローター軸直上の鉄系のストッパーあたりのいつもの大森方式なんだけど、さすがに大物用のリールという感じがするのは、主軸が5.6mmもあるステンレス系なのと、小型機だと樹脂製のベールアームがアルミっぽい金属製なところとかで、このあたりガッチリ強化すべきところは強化されている。ローター軸のギアもゴン太で、ギア比は4.2:1とやや低速だけどスプール径もデカいのでこんなもんでしょ。
 でもって、問題のオシュレーションカム、確かに主軸に対して垂直じゃなくてちょっと斜めっている。

 なんで斜めになっているのか?オシュレーションカムの形状をS字にすると、だいたいスプール上下が等速に近くできて、ダイワとか最近の機種は高級機種でも丸ABUの平行巻機構に使われているようなクロスワインド方式じゃなくてS字カム方式だそうで、オシュレーションカムの形状いじると、当然スプール上下に何らかの影響が出るはずで、なんのためにそうなっているのかは、後ほど考察してみたい。

 とりあえず、全バラしするとこんな感じで、ボールベアリングが2個も入ってる高級仕様だけど、無駄なモノがついてるわけじゃなく単純明快な設計になってて整備性は良い。

 ただ、デカいのでお盆にバラした部品が乗り切らないので、お菓子の箱を用意して適宜作業が終わった固まりからそちらに移したりして作業した。

 デカいリールは当然ながらグリスぶち込むにしても必要なグリスの量が多く、こういう海で使うしかないだろって機種こそグリスグッチャリにしておきたいけど、リール用高級グリス様ぶち込んでたらいくら銭があっても足りまへん。芋グリスでも良いぐらいにギアとか丈夫なので、まあいつものマキシマの青グリスぶち込んでおく。

 ただ、ぶち込む前に、ちょっとばかしお化粧直しはしてやりたい。ワシそっち方面苦手だけど、ちょっとずつ練習していこうと思ってるので、今回は塗装ハゲハゲで地金が見えてるところを、黒の車用タッチアップペンでごまかして、奇跡的に全部揃ってる銘板を、一旦剥がして貼り直しておく。

 銘板は、パーツクリーナーかけた後にマイナスドライバーで突っついたら、いとも簡単にペリッと剥がれる。この時代の接着剤に期待してはいけない。

 色は本当は黒じゃなくて濃紺みたいな色なんだけど、黒でもごまかせるだろうエイヤァという、やっつけ仕事。タッチペン付属の筆でペタペタ塗ると確実に塗ったところが段差になって物理的にも雰囲気的にも浮くので、いったん小皿に出して綿棒でポンポン叩いて乗せたり、シャッシャと薄く汚す感じで見えてる地金を隠したり、あんまり塗り直したところがあからさまにならないようには努力したつもりだけど、銘板もコニシのSUではりつけて仕上げたけど、まあ新品同様とはいかんのはいかんともしがたい。

 それでも、いつものことだけど、大森スピニングのギア等内部構造はまったくガタなど来ておらず、ベアリングも今回錆びておらず、機能的にはクルックルの絶好調に仕上がったので良しとしておこう。

 当時の国内では、大型のスピニングは糸巻き量が必要な投げ釣りが主な使いどころで、正直、キスだのカレイだの釣るのにこのリールの性能は必要ないというか、対大物用の性能が活かされていたのかはなはだ疑問ではある。そもそも大物用には両軸使えって話ではあるけど、このリールの想定しているナイロン6号、8号あたりって、ポンド換算でいえば22ポンド、30ポンドぐらいなわけで、PENNでいえば6500SS、7500SSで狙うような、必ずしも両軸にお出まし願わなければならんほどじゃない大物に使うなら、その実力を発揮しえるだろうなと夢想する。

 続いて、マイクロセブンNo.5の方も分解整備していく。古いリールなのでグリスがネットネトになっていて、最初エラい重いのでやや不安な立ち上がりだったけど、鬼門のラインローラーナットも固着しておらず無事外せて、グリスをパーツクリーナーで洗浄したら、ギアも当然健在でベアリングも錆びておらず、スプール裏とかに多少砂が残ってたけど、大事に使われていたのか、はたまたこの青い塗装は強いのか、見た目的にも表面塗装のハゲとかは少なく、小さな置き傷とか擦れはあるけど、比較的綺麗な個体で、外蹴りでオートベールよりもさらに単純な設計なのでサクサクとバラしてグリスグッチャリで仕上げた。

 うーんどうにも格好いいな。小型の機種については、最近も代打で登場願った「マイコン301TB」で感じたんだけど、ベール反転が内蹴り式で軽いのは使っててすんごく気持ち良いってのはある。ワシ、昔はスピニングは全部左手でライン放出調整してそのまま左手でベールを返す方式でやってたけど、インスプールスピニングも使うようになって、最近は小型スピニングは基本どおり右手人差し指でライン放出調整してハンドルでベールを返すようになっててベール反転が軽いことの重要性が腑に落ちてきてはいるんだけど、一方なぜもともと左手でライン放出調整してたのかといえば、デカいルアー投げると右手人差し指ではライン放出調整しきれないので、そっちにあわせてたんである。ということは内蹴り式でベールをハンドルリターンした時の感触はオートベールに軍配が上がるけど、大型機では左手で返すからハンドルリターン時の感触は関係なくて、となると単純な設計の外蹴りマイクロセブンのほうがワシ向きかなという気もしてくるのである。

 ドラグの方式は、オートベールと同じくパッドが1枚赤い繊維性のワッシャーで、スプールの互換性もあり。

 オシュレーションカムが”斜め”ってるのも同じで写真は引っこ抜いて溝が見やすいように裏向けたところ。基本オートベールは外蹴りアウトスプール版の「マイクロセブン」に内蹴り機構をぶち込んで、本体の形状をやや曲線を帯びたデザインにあらためた後継機だという認識で良いんだと思っている。

 マイクロセブンにも大型機ならではの強化が施されていて、ローターのベールが付く”腕”部分に斜めに張り出した補強部分が設けてあり、いかにも大物仕様といった雰囲気が醸し出されている(訂正:小型機でも補強されてました。嘘書いてゴメン)。やっぱり格好いいぞ。

 写真はベールアームと反対側のベールワイヤー支持部で左側にはみ出してる部分がそれ、もちろん向こう側のベールアーム側にも同様の補強部分がある。そして背景に見切れている主軸はこちらのも太ましい。まあスプール共通からして設計同じだろうからあたりまえか。

 でもって、今回の大きな疑問である”なぜ大型機でオシュレーションカムが斜めになっているのか”についてだけど、頭から煙噴くぐらいに考えたけど、コレっていうしっくりくる答にはたどりつけなかった。たぶんこうかな?という推定はしてみたけど、正しくその設計思想が読めた方がおられましたら是非、私めにも教えてください。

 まず、前提条件としてワシ頭の中でイメージ図を動かすことが苦手というかほぼできない。なので、そういうのが得意な人からしたら「なにやってんだコイツ?」かもだけど、そういう人なので四苦八苦してるところはお見苦しくともご容赦願いたい。

 とりあえず、疑ったのは”斜めにすると平行巻に近づくのではないか?”ということで、これはマイクロセブンNO.5に最初巻かれていたナイロンラインが、そこそこ綺麗に巻かれているようにもみえたので、きっとそうだと期待してしまった。

 なんだろ、オシュレーションカムの端まで棒が来て折り返す”死点”の前後で上下動のスピードが落ちるのが平行巻にならず端が盛り上がる原因だけど、斜めにすることで死点が上下動の一番上と下とズレるとかか?と思って、頭の中でイメージが動かせないので、現物でとりあえずと考えてる作業風景が、マイクロセブンの分解整備作業の写真でオシュレーションカムを溝が見えるようにひっくり返しているものである。正直斜めの角度も緩いので良く分からん。ということで、次にこれはTAKE先生がS字カム方式のときに書いてたような略図を書くしかないなと書いてみたのが、写真上の図なんだけど、適当にフリーハンドで角度を決めて点を打ってるので精度が全くアテにならず、死点を越えてから下がってるのか上がってるのか良く分からんかった。つぎにじゃあ実際に回転する時におこるイメージを視覚的に追えるようにしてみようかと円書いて、仮想の主軸位置(紫)と仮想の傾きを紙に書いて、その上に重ねられるようになんかの蓋だったプラのシートに仮想のオシュレーションカムの溝(オレンジ)+仮想の主軸(これも紫)を書き込んで、プラに書いた主軸を上下させて、死点を越えて主軸が上がったり下がったりするのか確認したところ、「しない」「速度が死点前後で落ちて、上下動は両死点の高さの間」だとワシャ判断した。誰か同じようなこと調べてないかなと思ったら、インスプールのカーディナル33とかは、クランク方式だけどクランクを回してるハンドル軸のギアの一番上と下から斜めにずれて死点が来る点で似ているようで、じゃあスプール上下の動きはどうなるのか?っていうのを考察されている方がいた。その方は、ワシみたいな”数学が苦手な理系”というアホとはちがって、三角関数つかってグラフ書いて同じような結論にたどり着いていた。彼我の理系的頭の良さの差を思うと泣けてきた。サインコサインは役に立たない数学的知識の例として歌にまで歌われていたけど、知ってると機械の働きとか理解するのに役に立ったりします。
 じゃあなぜ、オシュレーションカムを斜めにしているのか、死点間の高さでスプールが上下動するので、運動エネルギーがその分節約できる。っていうのはスプール上下幅減るのと行ってこいの関係で、それをやるならオシュレーションカムを上下させてる歯車の径を小さくすれば良いだけで、そのほうが軽量化にもなるだろう。

 って考えてって、スプール上下のためになにか寄与してる、っていうのではなさそうだなと思う。じゃあなんでって考えて、本体内の配置とか見ていると、どうもオシュレーションカムを真っ直ぐにしてしまうと、ハンドル軸と干渉してしまいそうに思う。単にそれを避けるためという配置上の都合であったのではないかというのが、今のところの私の考察。たぶん、No.4サイズから設計していったので、同じように設計しようとしたら、大型化するに際してカムの肉厚とかも増したら「入らんがな」ってなって、回転する歯車の上のカムに刺さる棒をもっと中心に寄せて回転する径を小さくするか、カムを斜めに下げて干渉をさけるか、どちらにしてもスプール上下幅が小さくなるけど”致し方なし”として後者としたのではなかろうか?これら2台より後発になってギア形式の違いから設計やり直しができた「スーパー7No.3」では素直にもう1枚歯車を入れてハンドル軸からオシュレーション上下の歯車を遠ざけている。その際にカムは斜めではなく真っ直ぐになっていて、斜めにすることでラインの平行巻に寄与するようなことがあれば、後発機でもそうしてそうだけど、スーパー7はまだNo.3サイズで直接比較にはならんのかもだけど、他に「マイコンNo.6」でも斜めではなく、やっぱり平行巻への寄与はなさそう。設計上スペースが無かった、っていうショボい理由が案外正解かなと思っちょります。「こういう利点があるんですよ」というのが分かった賢い方がおられましたら、是非とも教えてください。ワシのピンボケた頭ではこのあたりが限界でした。

 なんで、あんまり巻き上がりが凸凹してないのか不思議な感じである。れいによってスプール上下幅より糸巻き部分の幅を大きく取ってごまかしてるのかと思って、スプール上下にともなってどこまでラインが巻かれているか、ラインの色を変えて確認してみたところ、写真の様にわりとキッチリ上下幅一杯にラインが巻かれていて、なかなかヤる感じになっているのである(この写真で見ると真ん中へんが若干くぼんでて平行巻にはなってないなという気はする。ちなみに減速比はギア比4.2:1でハンドル一回転で4.2巻きと考えると、片道6巻きになってるからだいたい1/3弱ぐらいに減速というところか?)
 というところも含め、2台いじくって感じたのは、大森のこの時代の大型機はなかなかやってくれそうだということで、90年代ぐらいにルアーキャスティングの世界でPEラインが使われるようになり始めて、ロウニンアジとかが対象魚として注目されるようになったんだけど、当初国産の大型機はお話にならなかった。ほぼPENN一択。なぜならそれまで国内向けの大型スピニングは前の方でも書いたように投げ釣り用が主で、ドラグもろくなもんじゃなかっただろうし、強度も不足していたはず。なので、ルアー用の大型スピニングを、ってなっても作り慣れてないので、最初の頃はダイワのトーナメントもシマノのステラも、PENNユーザーが鼻で笑う程度のデキだった。ファイト中に瞬間的逆転防止機構が壊れる、ドラグはウィンウィンと音を立ててしゃくる、ハンドルノブのベアリングが錆びて潮かぶると一発でキコキコ鳴き始める。そこで反省してPENNみたいなスピニングを作っておけば良いのに、そうならずに逆転防止機構の改良やら防水、あつものに懲りてドラグにボールベアリングまでぶち込んで、ベアリングも防水してってやって、アホみたいな価格の高級リール様が誕生するに至っている。もし、あの頃に大森大型機を投入するという発想があったら、案外すんなりロウニンアジぐらい釣れたんじゃないか?っていう気がするのである。オートベールNo.5で”釣力”17kgとなってて、これは最大ドラグ値(あるいは耐破壊強度のほうか?)と同じような意味だったはずで、手持ちのスピニングタックルでドラグ値10キロ以上に上げて使えるマッチョな釣り人など希有なぐらいではあるけど、そのぐらいの負荷に耐えうる強度は確保してあるっていうことで、実際ワシを例に出すならPENNの7500ssでドラグ値6~7キロで運用してたんだけど、そのぐらいのドラグ値なら大森大型機はまるで平気な気がする。主な購買層が投げ釣りで、性能の良いドラグも、大物と渡りあえる”釣力”も必要とされていなくても、大型のスピニングリールならば大森製作所はそれが必要だと考えてたんだと思えてくる。

 ただ、大型スピニング用のドラグパッドとしてフェルトはどうなんだろう?とかドラグノブ樹脂製なのはドラグキツめで突っ走られたときに摩擦熱で溶けたりしないだろうか?っていうのは、ちょっと不安なところではある。ただ、ドラグ周りは難しい機構じゃないので好きにいじる余地はある。パッドはたぶんアクリルとかの化繊であるフェルトよりは、フライパンの表面加工にも使われるぐらいの耐熱性があるテフロンや、大型リールでは定番のPENN方式といって良いかも?なカーボンシートやらのほうが良さそうだし、ドラグノブの摩擦熱対策は、ドラグノブと一番上のワッシャーの間に、熱伝導率の良くないパッドを断熱材として挟んでやるとか工夫はできそうである。逆に言うと不安なのはドラグ周りぐらいしかなく、何しろギアやら本体枠やらはガッチリ作られていて頑丈で、設計も複雑なところがなく壊れる要素も少ない。90年代始めには大森製作所はなくなってしまったので、100g超の大型ルアーのキャスティング向けとしては誰も目をつける人はいなかったけど、もし使ってたら多少の改造でアッサリ必要な性能を確保できてたのではないかという気がしてくるのである。なので、遅きに失した感はあれども、この冬ちょっと手を入れた対青物仕様の大型大森スピニングっていうのを考えて、遊んでみようかなと考えている。実際の青物釣りは、この地で岸からだと試行錯誤して遊んでる余裕はないので、実釣はPENNで行くんだけど、魚掛けなくてもドラグテストとかは可能なのでちょっと頭の中に試したいことがいくつかあるので、暇をみて試してみたい。

 タイトルに使うにあたって”斜にかまえる”という言葉を検索して意味を確認したところ、実はこの言葉はもともとは剣術の用語に由来するようで、剣を斜めに、つまり中段にかまえて、相手の動きに即応できるようにかまえることから、本来「真正面から気合い入れ直してかかる」的な意味だったようだ、現代では逆に「正面からとらえず、皮肉な態度をとる」と反転している。

 大森製作所が、オシュレーションカムを斜にかまえたのは、まさに”斜にかまえて”設計上の問題に即応したんじゃないかと考察したところであり、適当に語感の良い言葉を並べただけのタイトルなんだけど、なんか意味深長な感じになってるやんけ、とほくそ笑んだところである。

2 件のコメント:

  1. ナマジ様 いつもブログを楽しく拝読しています。しかも今回は、私の拙いブログに言及してくださっていて、驚きました。そして、まるで、よくできた推理小説を読んでいるような趣きがありました。「オシュレーションカムを真っ直ぐにしてしまうと、ハンドル軸と干渉してしまいそうに思う。単にそれを避けるためという配置上の都合であったのではないか」というご考察を読んで、目から鱗が落ちるとはこのことか、と思っています。とても楽しく、また、とても勉強になりました。

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    1. Masahiroさん
       楽しんでいただけたのなら嬉しいです。
       興味の方向性に似通ったものがあるので、ブログ私も楽しく読ませていただいてます。
       タックルオートNo.4のスプールエッジ形状がなだらかに傾斜しているのが、手でドラグの補助をするのに役立っているとか、実際に使ってないと分からない視点でとても参考になりました。4桁PENNのスプールエッジもそういえば”ハンドドラグ”かけやすい形状です。
       ”斜め”の理由は正しいのかはなはだ自信がありません。どなたかアッというような解答を書き込んでくれないモノかと期待してつたない考察を書いてみたところです。
       大森製作所の小型機が単純軽量実用性抜群なのは定評のあるところだと思いますが、中大型機もなかなかどうしてしっかり良くできてると思ったしだいです。

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2023年12月2日土曜日

あらためてキャリアー

 大森アナリストを勝手に自称してるワシではあるが、中古リールの値動きって正直読めそうで読めない。一時値段が落ちていたコメットがややまた値を上げて、逆にキャリアーは一時期4万とか5万とかしてた人気のSSサイズでも2万円台とかのが入札無しでさらされてたりする。そんなわけでここは”買い”だろうなと3500円スタートの「キャリアーNo.1」にダメ元でと入札しておいたら、入札ワシだけで落としてしまった。わが家には若い頃の愛機が1台、黄色い中古屋のワゴンでエグったのが1台と既に2台あり、もっと言うならスプール互換性のある「マイクロセブンC1」が4台もあり、なんなら大森スピニングのNo.1サイズは売るほど在庫しているので必要性は全くなかったのだけど、マウスが滑ったものは仕方ない。せっかくわが家に来たので分解整備しつつ、あらためてどんなリールか、マイクロセブンC1との比較なんかも交えてご紹介してみたい。

 ちなみに自称大森アナリストが今が買い時だと思ったのは、また値段が上がって高く売れると思ったからではない、単純に欲しかったから。それがたった一つの理由。

 でもって、C1と比較しつつ分解清掃なんだけど、C1の今使ってる個体は銘板片ハゲ個体で、そいつを出すとスカがほとんどないぐらい滅茶苦茶働く個体なんだけど、ハゲててもかまわんとは思ってたけど、なぜか買った記憶がない銘板が部品棚の大森用のジップロックに入ってて、耄碌ジジイどこでいつ買ったのか、まとめ買いとかしたときに入ってたのかわからんけど、とにかく働きに対して褒美をあげるのにちょうど良いなと、銘板を貼り付ける作業も同時進行で行った。どうせもう剥がれそうになってるだろうと、ついでにまだ剥がれてない側も針先で突いて隙間に突っ込んでペリペリ剥がして、残った接着剤のカスを爪でこそげ落としてアルコールで汚れを拭き取って、さらについでに整備するキャリアーの銘板も両側剥がして改めてコニシのSUで接着。C1はハンドルの塗装ハゲもタッチペンでごまかして綺麗に、とまではいかないにしても良い感じのお化粧直しになった。
 そしてキャリアーNo.1の分解整備に着手、いつものようにスプール周辺から。スプールはC1のとも互換性のある樹脂製スプール。裏面に音出しと、ライン留めがネジ留めしてあるごく普通のものだけど、ドラグはテフロン3階建てで、金属製ワッシャーのスプールと同期して回る1枚は、良くある耳付きじゃなく6角形で、2箇所だけで支える耳付きより樹脂のスプールに”噛み”にくくしてるんだと思う。テフロン3階建てのドラグの優秀さは「マイクロセブンCS」でボラ釣って身に染みて理解できた。ドラグが良いのは大森の伝統だなと改めて思う。必要充分で無駄なくデキが良い。今時安リールでもまともなドラグぐらいついてると思うけど、1980年代終わり頃にワシが買ったときは新品投げ売りで3千円台だったと思うけど、86年の発売で定価5300円と決して高級品ではなく、当時同価格帯のスピニングでこれほど実用性の高い使えるドラグがついてた国産品はなかったと思う。85年登場ダイワ「ウィスカートーナメントSS」はさすがにドラグも良いけど2万近い値段の高級品だしな。ちなみに86年の大森カタログには”CAREER”「カーボンボディを装い、伝説の名機復活。」とあり「軽快なフォルムと信頼性の高いメカニズムで、国内はもちろん海外でも圧倒的に支持された名機タックルオートが復活しました。」という感じで、樹脂版の「タックルオート」というのは公式見解でもあるようだ。
 本体は黒い無塗装系のカーボン樹脂ボディ、パカッと本体蓋を外すと、タックルオートNo.1同様に単純なクランク方式のスプール上下機構、ギアはローター軸真鍮そしてギア直上に綱系逆転ストッパー、ハンドル軸は鋼を鋳込んだ亜鉛鋳造の、これぞ”大森式”なハイポイドフェースギアと本体内逆転防止方式で、本体蓋止めているのは樹脂に直に穴開けて長めのタップネジで、ここはC1のほうが金属製雌ネジ使ってて丁寧。あと、ハンドル軸が本体樹脂を分厚くして受けてて、特にスリーブの類いは入れていない樹脂直受けなのはちょっと心配になるけど、実際に数年酷使した愛機はとくに削れてガタついたりはしてなかった。この樹脂丈夫な気がする。TAKE先生の「リール哲学」でミスター・ハラが「ポリブチレンテレフタレート。堅く成形時の流れも悪い。しかし「日本リール」が使ったポリアミド=ナイロンのように吸水性はありません。最初期大森が使い、私はローターのみに使いました。」と書いているのも、そのことを裏付けるかと。ちなみにC1はハンドル軸に1個ボールベアリングが奢られている。ギアの歯に力が掛かった状態ではハンドル軸のギアはローター軸のギアから逃げて”浮く”方向に力がかかることになるのでギア側に1個、というのは外蹴りアウトスプール版「マイクロセブン」、「オートベール」から引き継いだ大森の伝統か。
 ワシ的にはボールベアリングの数はともかくとして、C1みたいに補強入れるところは金属で補強してる方が、やっぱり丈夫で長く使えるように感じられるので好みではある。キャリアーの単純で軽く安価にという方向もありだとは思うし、実際に使ってて消耗品のベールスプリングぐらいしか壊れたことなくて充分丈夫だし愛着もある機種だけど、あえて好みを言えばという程度。

 左の写真は3枚ともC1で、蓋固定用ネジに金属製の雌ネジが使われているのと共に、ストッパーに掛ける爪が押さえつけられる部分に金属製のつっかえ棒的な”棚”が補強で入ってて、2枚目の写真の矢印の部分が爪をズラして棚を見えるようにしたところで、3枚目写真矢印は銘板の下に確認できる、棚に繫がる金具を本体に穴開けて固定してある、そのお尻が見えているところ。キャリアーでは樹脂本体から張り出した樹脂製の棚でつっかえ棒をしている。本体内で”補強を入れるならココ”っていうのが分かってるのが大森製作所のエラいところで、アワセの時など竿しゃくったときやら魚が突っ走ってストッパーがガチンと働いたときに、ココに爪が押しあてられて負担が来るはずなので納得である。以前にも書いたけど「エギングはしゃくりまくる釣りなのでヤワなギアだとすぐにダメになる」とか言っちゃうような、しゃくって負荷が来るのはストッパーだろ?フケた糸回収してるだけでギアに負担が来るかよ、なアホとは違うということである。

 ローター周りは、大森沼住民にはお馴染みの方式、というか後述するラインローラー関係以外はC1と共通だろという感じ。ローターナットは大森は逆ネジなのに注意して外すと、ローターナットが乗る部分は四角い金属ワッシャー?が樹脂製ローターにハマってて、間に樹脂製ワッシャーが入ってる。ローター外すとベアリングの蓋と銅製の”簡易ローターブレーキ”が入っていて蹴飛ばしになっているのもいつもどおり。内蹴り方式もいつものグルグル眼鏡型ネジとL字の金具を使ったもの。いつも”簡易ローターブレーキ”と書いてる部品は”トリセツ(学生時代買ったときのが残ってた)”の「部品見・部品表」で確認すると「ベール返しブレーキ」となっていて、「(2)オートベールシステム」の説明の中で「さらに投餌の際,回転してベールが返らないようブレーキ装置が内蔵されています。」となっていて、実際効果あるのか、ワシあんまり遠投しようと竿ぶん回したりしないからもあるかもだけど、大森スピニング使用時は意図しないベール返りは少ないように思う。ローターブレーキの付いてないPENNの4400ssとかだとたまにベール返りあったので適切に機能してる気がする。キャリアーの場合は樹脂製ローターの”蹴飛ばし”の保護にもなっている。
 樹脂ローターの”樹脂で直受け”については”蹴飛ばし”以外にも、ベールアームとベールワイヤーの支持部を直受けにしてタップネジで留めているリールについて大森「ダイヤモンド2001SS」とかPENN「パワーグラフ2000」とかで「大丈夫か?」と疑問を呈したところだけど、キャリアーはその点ローター部分は上位機種のマイクロセブンCシリーズの流用ぽいので、樹脂で受けてなくて、ネジの腹の部分で受けている。写真上の段がベールアーム、下の段が反対側のベールワイヤー受け、そしてそのネジ自体もタップネジじゃなくて雌ネジも金属製のを使ってしっかりしたものになっている。写真じゃちょっと分かりにくいかも。本体蓋は3箇所長いタップネジで間に合うだろうけど、起こして返してを繰り返す場所であり負荷のかかるベール周りはタップネジじゃダメというのがこの時代の大森製作所の整理なんだろうと思う。あと、ついでに写真右上でベールアーム取っ払った後に見えてるアルミの棒はなんだろ?と思うかもだけど、大森の場合ベール反転機構はベールアームと逆側に入れているのでこの時点ではなにコレ?だけど、蓋を外すとベールをたたむスライドスイッチにつながってて、普段はこの位置にあってベールアームを止めてるんだけど、スイッチで棒を左に倒すとベールアームの凸部が右側を通れるようになってベールアームがたためるという、電車利用やリュックに詰めて自転車乗ってっていう釣り人には収納性良くベールワイヤーが曲がったりするのも防止できてありがたい機構。マイコンシリーズからこの方式で、それ以前のタックルオートとかはバネ入りのボタンがポチッとローターの”腕”から飛び出ててベールアームを止めていた。そっちの方が単純な仕組みで組むときも簡単だったけど、新方式のメカメカしい感じも悪くはない。
 ここまで見てきたように、キャリアーはローターより上はマイクロセブンCシリーズの流用、本体はタックルオートの雰囲気とギア関係を残しつつ樹脂化して簡素に仕上げてるって感じなので、ラインローラーの素材がマイクロセブンCシリーズはルーロン樹脂スリーブ入りのクロムメッキ真鍮製だったのを、キャリアーでは当時流行だったセラミック製(おそらく酸化アルミ系)のモノをスリーブ無しで入れている。でもラインローラーが刺さる棒の径は同じだろうから、ラインローラーは樹脂スリーブごと交換したら互換性あるだろうと思ったけど、意外なことにセラミック製の方が若干長さが長く、径も微妙に違ってて互換性無かった。セラミック製ローラーが他社用とかの半既製品があってそれに合わせたとかだろうか?変える必要性が良く分からんけどとにかく互換性はなし。セラミックラインローラー直受けについては、キャリアーでもダイワ「カーボスピンGS700ーRD」でも削れてきた経験がないので、滑りが良いので金属で受けてる面を削らず問題無いのかも?ついでに互換性の確認でキャリアー関係ないけどマイクロセブンC1出したので、C1とマイコン301TBのハンドル軸のギアは互換性あるだろうと思ってたので、301TBボロ個体(2000円落札+送料780円)がちょうど整備待ちだったので整備しつつ確認してみたけど、写真下のようにクランクとギアのサイズ自体はあってて入るんだけど、軸の長さかなにかが違うのか、填めて蓋締めてハンドル回そうとすると回らない。調整可能かもしれないけど今回そこまで詰め切れなかった。
 って感じでキャリアー分解は余計な部品がない単純設計なのでサクサク終わって整備性はとても良い。

 スプール座面の赤い繊維性ワッシャーだけテフロンワッシャーに変えて、ドラグにPENN純正グリス、その他は今回樹脂製なので本体とかには盛らなかったけど、ギアとか金属はすべからくマキシマ青グリスでグッチャリ、あとは適宜ダイワリールオイルⅡで仕上げておいた。

 キャリアーNo.1には想い出も、思い入れもいっぱいあるけど、それを差し引いても、軽快で、単純明快で面倒臭いところがなく、樹脂製で錆に強く、整備性も良く、ドラグも良い、使ってて不具合を感じることなく使える非凡なリールだと思っている。ベールスプリングが折れるのはこの時代のトーション式スプリングでは仕方ないとして、他に不具合が生じた経験がない。でも、とりたてて特殊な機能や機構が付いてるかといえば、そういうものはない。カタログスペック的に誇れるのはこのサイズで220gという軽さぐらいだろうか?ゴッチャゴッチャ新機能を付加していってカタログスペックで釣り人を釣るようなリールの真逆で、自社のマイクロセブンCシリーズから引き算できるところは引いて、無駄をそぎ落としたようなリールだと言えるかもしれない。削りすぎて”ハンドル軸を樹脂製本体直受けで大丈夫か?”とか危うそうな部分もあるけど、樹脂素材の選定が丈夫なモノを選んであるので何とかなってるように見える。とか、これ以上削ったら破綻する際まで攻めているんじゃないだろうか。その結果、SSサイズだと200gを軽く切って170gという今時の小型軽量機と勝負になるレベルの軽さを得て、えらい中古市場で人気が出たんだろう。

 ただ、中古市場で値段がつこうとつくまいと、不人気実力派といつも書くマイクロセブンCシリーズも、最後の金属本体大森スピニングかもしれないマイコンTBシリーズも、使えば分かる良さがある。コレクターズアイテムとして値段がついたり逆に値が下げたりとかはあるんだろうけど、それとリールの使いやすさや”良さ”とはあんまり関係がない気がする。今時のスピニングに慣れていて瞬間的逆転防止機構がなければ手に馴染まないとか、釣具屋に洗脳されてラインローラーにもドラグにもボールベアリングが入ってないと不安になる、っていうかわいそうな人とかでなければ、大森スピニングは高かろうが安かろうが買って不満の出るようなリールじゃないと、自称大森アナリストとして断言してお薦めしておこう。

2 件のコメント:

  1. だいぶ簡略化されて樹脂ボディになったって言っても
    メカの大森ですね。
    ローターブレーキは抜かれてても
    無駄なベアリング使わない、
    部品の加工精度の高さが欧米系より優れてるのが見て取れます。

    合衆国じゃシグマって名前で売られてたモデルですよね?

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    1. キャリアーには簡易ローターブレーキまだ残ってます。抜いたヤツが次週のネタです。お楽しみに。

      その次の週も大森ネタで、外蹴り小型機いじってて、ほんとベアリング1っ個でなんでこんなに気持ちよく回るんだろうな、とまさに書いたところです。

      シグマはシリーズ名のようで、イーベイでよく見るのは同じ形の金属版の方、タックルオートが多いです。キャリアーⅡもシグマウィスカーチタンの名で出てますが、キャリアーそのものはあまり見た記憶がありません、あるのかも?

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2023年12月9日土曜日

パチモン?ゲットだぜ!

 ”大森熱”患者は三角パドル型のハンドルノブを見ると、思わずマウスが滑りそうになる。なるけど過去にシェイクスピア「アルファ2260-030」のような”なんちゃって大森”に騙されたりして経験積んでると、それなりに自制は効く。でもそれなりはそれなりで、欲しかったらマウスなんてスールスルのクリックリで軽く滑らかに滑ってしまうのである。
 まあ左はいいだろう(いいのか?)、「ブロウニング」ブランドで韓国大森あたりが作ったマイクロセブンCシリーズの後継機「ポスカ」の派生機種か余り部品で組んだバッタ臭い代物あたりで、それでもまあ大森スピニングには間違いないと思う。その名をブロウニング「SDX2」というらしい。
 右の”グリーニー”な色の可愛い白い三角パドル型ハンドルノブの一品は、なかなかのパッチモン臭さをごまかしきれない。その名をアビースペシャル「マイクロフィッシャートラウトUL」という、我々オッサン世代にはバスロッドとかで馴染みのあったアビースペシャルだけど、現在の「エイテック」のことである。ここは竿はそれなりにちゃんとしてる安い竿って印象で、エイテックのテイルウォークブランドの竿はワシも中古で一本買ったくらいだけど、ルアーとかはパチモン臭いのが多く、このリールもなかなかに香ばしい。
 そもそも韓国大森自体、ダイヤモンドキングミニあたりの色をグリーニーに塗り替えた「アルフォード」ってのを売ってて、グリーニーカラーをパクって売り上げに何らかの貢献が見込めるのかね?と首を捻らされるところだけど、このアビースペシャル製の小型スピニング、いったいいかなる層を狙って企画した商品なのか?PENN伝統の”グリーニー”カラーに大森お馴染みの三角パドル型ハンドルノブ、大森熱患者のPENNマニアぐらいしかこんなモン買わんだろう。あっそれってワシのことか。ということで買ってしまいました。
 まあ、あれですよ下世話な銭の話ばかりはしたくないですけど、「SDX2」は1000円落札送料780円、「マイクロフィッシャー」のほうなど送料込み1000円ですよ。マウスもなんの抵抗感も無くスルルのポチチですよ。

 まったく、一般的な釣り人の興味のありそうな機種ではなく、誰が読むねン?って話だけど、ぶっちゃけ当ブログにリールネタ読みに来る読者様が、人気のカーディナル33やらミッチェル408の記事などまったく金輪際びた一ペソも期待してないだろうという気もするので、これはこれで当ブログならではのネタということで良しと整理しておこう。いずれにせよ基本方針は”誰も読まなくても書きたいから書く”であり、読者様を置いてきぼりにしてでも書きたいことは書いていく所存。楽しんでいただけたらなお良しということで、お暇ならごゆっくりお楽しみください。

 まずはウチに来たら分解整備は珍品銘品パチモンバッタモン有象無象の差別無く平等に与えられた権利である。
 とりあえず「SDX2」から、パッと見まず形と大きさが「マイクロセブンCS」と金型同じだろうなってぐらい似てるので、スプール互換性があると、それだけでスペアスプール1個確保なのでありがたく、スプールから分解に入る前にサクッと調べてみる。ハイ合格、交換可能ですめでたしめでたし。ということで、バラしてさらに詳しく見ていくけど、基本的にマイクロセブンCSの金型を使って、あれこれ省略できるところは省略した”ダウングレード”モデルのように見受けられる。

 スプールはドラグノブのてっぺんにブロウニングの鹿さんマークがついているけど、基本マイクロセブンCSっぽい、と思って抜いてひっくり返すとドラグの音出しと糸留めの固定が樹脂部品を金具でか締めてあっていきなり安っぽい。ただこの樹脂製の音出しはパリパリしたかん高い音で安っぽいけど悪くない。
 ドラグは3階建てでマイクロセブンSCと一緒でテフロンパッド。当然何の問題もなく機能してくれそう。
 このへんブロウニングブランドで売るには、安物であっても米国市場に流すとなると、ドラグぐらいちゃんとしたモノがついてないとダメなんだろう。ポスカはワンタッチになってたけど安くあげるならワンタッチは無しってことか。同じマイクロセブンCシリーズのダウングレーディング版のような機種でも、国内向けのポスカがワンタッチノブとワンタッチスプールという素人受けする機能を足しているのに対し、米国向けは基本引き算方式なのが我が国の釣り人の素人臭さを表していて面白くて鼻で笑ってしまうところ。ポスカはかなり良いリールだとは思うにしても。
 本体もそうだけど、銘板じゃなくて樹脂製のスプールに直接ブランド名とか印刷?してるので、かすれて薄くなって読みにくくなってる。銘板にすると剥がれるし痛し痒し。「マイクロセブンDX」とかみたいに文字を凸らせてしまうのが一番長持ちするけど、まあ古いリールは年式相応に剥げたりかすれたりも味のうちか?

 本体方面にいくと、まずはハンドルが共回り式。ただワンタッチが付いてない共回りで捻って折り畳み方式なのでそれほどハンドルが重い感じはしない。ガタついてもないしワンタッチは重いのでアリャダメだという気がしてくるけど、共回りでワンタッチ無しはデキが悪くてガタが来てるとかならダメだけど、小型機ならそれで良いんじゃないのかなという気がしている。ただ、ハンドル軸が樹脂本体直受けなのは微妙に気になる。削れないのかどうか?というのは樹脂がマイクロセブンCシリーズやキャリアーのような堅い樹脂じゃなくて、ちょっと安っぽいテカリのある樹脂で素材もケチった可能性があるのでキャリアーはある程度大丈夫だと確認できているけどコイツがどうかは正直わからん。
 で、本体蓋がタップネジでこのへんは、形はマイクロセブンCSなんだけど、抜ける手は抜いてる感じの作り。ギアの素材はローター軸が真鍮でハンドル軸が亜鉛の一般的な組み合わせ。
 この方式は、韓国だと複数のメーカーが使う方式なのか、それとも大森、ダイワ双方の下請けをしていた企業があったとかなのか?まあ良く分からんところである。
 あと、生意気にも正転時消音化してあって、マイクロセブンCSは音出し、消音、逆転可の3段階だったけど、SDX2は音出しは無し。音出したかったらハンドル軸のギア裏についてる、樹脂製の消音化部品を取っ払えば良い。正回転時に回転の力で逆転防止の爪を浮かせる方式。大森はこの方式がほとんど。

 大森式の逆ネジのローターナットを外してローターをひっこぬくと、アチャーそこを省略しちゃったか、という感じで銅板でベール返しの蹴飛ばしも兼用していた”簡易ローターブレーキ”が省略されていて、樹脂で蹴っ飛ばしているのですでに溝が掘れている。ベール反転の方式はいつものL字の金具と眼鏡型のバネの内蹴り式。ボールベアリングはローター軸に一個。その下に逆転防止のラチェットが入ってるのもいつもの大森式。
 
 逆に、エラい!よくそこを残した、っていうのがベールアームとベールワイヤーのお尻の支持部。ローターの樹脂で直受けしてタップネジ留めではなく、前回ネタにしたマイクロセブンCやキャリアーのように、ローター側樹脂に雌ネジ埋め込んで、雄ネジの腹を軸にしてベールアームとお尻を受けている。樹脂で回転部分を受けていない。
 ベール折り畳み機構は省略で、真ん中の写真の様に単なるベールアーム止めの無骨な金具が填まってる。アメ人はリールは竿につけっぱの車やボートに乗せっぱで袋にしまったりしないそうなので省略は妥当か。ワシ的には予備リールとかを選ぶときに、場所取らないからベール折り畳める大森スピニングを、って場合がけっこうあるので評価している部分だけどお国が違えば好みも違うというところだろう。
 あと、ラインローラーはキャリアーと同じでセラミックのスリーブ無し直受け。

 という感じでバラして、部品数はもともとそれほど多くないマイクロセブンCSから省略してる部分もあるぐらいなので少なく、単純で整備性は良い。そして単純にして取っ払えるモノは取っ払った結果、重さが約177gとかるーく軽量に仕上がっている。
 なかなかの仕上がり具合で、樹脂が安っぽいのはいかんともしがたいけど、これは実釣能力高いんじゃないかと思う。
 ただ、ベール反転の蹴飛ばしを樹脂でやってるのは、すでに溝が掘れてるので何とかならないかと思ったけど、例のマジックテープをエポキシで接着するローターブレーキ追加改造方式は簡単だし、削れてきた蹴飛ばしの保護になる上にローターブレーキ追加で意図しないベール返りが防げて一石二鳥じゃん、と改造してみた。
 結果、手持ちのマジックテープでは分厚すぎてハンドル回してベール返すのが重くてどうにもならん状態になってしまいダメだった。もっと薄くて柔いのでないとダメっぽい。まあ急ぎ出番のあるリールでもないので”改良できる”っていうのが把握できてればまあ良いことにして放置とする。同様に樹脂で直に蹴飛ばしてる「ダイヤモンド2001SS」とか「ダイヤモンドキングミニ」もこの改造は有効だろうと思う。小っちゃいリールに合う薄っぺらいマジックテープなりその代替品なりが見つかると良いんだけど、なんか良いのがあれば活躍中のキングミニあたりから実装してやりたいところ。

 お次がお待ちかね、アビースペシャル「マイクロフィッシャートラウトUL」。
 まずはなんといっても小っちゃい。マイクロの名に恥じぬ小ささで、冒頭写真で大きさはマイクロセブンCSと同等のSDX2より小さいぐらいなのが見て取れるかと。
 ただ、そのわりに手にすると重量感があって「これひょっとして金属本体か?」と思うんだけど、スプールはアルミだけど本体は樹脂製。なんで持ち重り感があるのかはオイオイ書いていくとして、実際の重さは約183gとSDX2よりちょい重い。
 そしてバラす前に思うのはこいつもやっぱり直接印刷してるっぽい機種名やらブランド名がかすれて読みにくい。ちなみにスプールにかろうじて「madei n China」と残ってるので中華リールのようだ。
 スプールの方はまだマシなぐらいで、本体のアビースペシャルのロゴはせっかくちょっと小洒落た竿とリールの上にロゴが踊る意匠なのに風前の灯火状態。そんなの気にしてられないような安いブツだとしても、自社のブランドを大事に育てたいならもうちょっとどうにかならんのかなという感じ。リールのでき自体が思ったより善戦してる感じなので余計にそう思う。

 そう、見るからにパチモンなこのリール、わりと頑張ってるとワシャ思ったので、まずはスプールからいってみよう。
 おおっ、ドラグがすげぇまとも。湿式のフェルトパッド3階建て方式。
 そしてギア裏のドラグの音出しが、スプール裏からでた突起を、バネで音出しの爪部品と共に挟むという大森でお馴染みの方式。
 三角パドル型のハンドルノブだけ真似した”なんちゃって大森”かと思いきや、以外とちゃんと機能もパクってる。パクってるのが”ちゃんとしてる”のかどうかはこの際おいておこう。
 そして、写真では伝わりにくいと思うけど、このスプール滅茶苦茶重いのである。アルミ鋳造なんだろうけど一瞬南部鉄瓶みたいな鉄の鋳物かと思ってしまうぐらい重い。どのくらい実際目方があるのかと秤に乗せたら驚愕の数値をたたき出しよりました。
 180gがとこの超小型リールのスプールが約27gもあるってどういうことよ?
 南部鉄瓶とかナマジはまた面白おかしく書きたてよって、と思ったでしょ皆さん。でも27gは場違いに重いっす。ローターのバランサーもそこそこ重量増には寄与してそうだけど、それでも4gかそこら。いかにスプールが重いかとご理解いただけるでしょうか?
 これたぶんあんまり軽すぎると合う竿が無いっていう問題からというより、軽すぎると高級感が損なわれて安っぽくなるからわざと重くしてるよね?って思いましたとさ。全体で180gと軽量に収まってるのでまあ過剰ではあるけど丈夫なスプールだということで良しとして先に進みましょう。

 このリール、こんなパチモン臭い見た目で実はハンドルはねじ込み式で、左右の交換はハンドルの雄ネジ側の根元と先で太さを変えている方式。
 ちなみに最近、ねじ込み式のハンドルと、良く似てるワンタッチじゃない共回り式のハンドルの見分け方が分かってきたので参考まで、買うときに質問すればいいんだろうけど”ねじ込み式”とはなんぞやというのを知らない人に「左右交換するのにハンドル側がネジになってて回して止める方式です」とか説明しても「??よくわからないけどネジを回して外す方式です」って全く分かってない、大くくりでネジ留め以外の方法があるのか教えてくれっていう回答が返ってきたりしてラチが開かないので知ってると良いかも。ハンドルと反対側のキャップが、写真左のように本体から出てる筒状のハンドル基部より太くて被せてあるのが共回り式、同じ径で填めてあるのがねじ込み式でだいたい正解。そうじゃないと防水性モロモロあんばいが良くないはず。

 で、本体蓋をパカッと開ける。蓋を止めているのは長めのタップビスでまあしゃあないけど4箇所で止めてるのはしっかりしてて良し。
 で、ジャジャーンと出ましたハンドル軸のギアが亜鉛鋳造一体成形で軸も亜鉛とやっとパチモノ臭くなってきて調子出てきた。亜鉛そこまで堅くないからねじ込んで大丈夫なんか?
 でも、樹脂製の本体で直受けじゃなくて左右共に真鍮のブッシュを入れていて、そこは真面目な感じで好感が持てる。
 スプール上下はまあこの大きさのリールの場合クランク方式一択かなという感じ。
 ストッパーがハンドル軸のギアの回転を軸に填めた針金パーツでストッパーの爪のお尻に填める方式で、正回転で爪が浮いて消音で回転、逆回転で爪がローター軸のギアと一体成形のストッパーのラチェット?に押しあてられて掛かる。
 そう、このリールのギアはハンドル軸亜鉛鋳造、ローター軸もストッパーとまとめて亜鉛鋳造なのである。やっとパチモンの本領発揮。色々頑張ってるけど糸巻きとしての本体であるスプールと心臓部であるギアが残念な仕様ってのが味わい深い。
 耐久性的にどうなのよこのへんって感じだけど、それをどうこう言うべきリールじゃないのかも?まあこのリール使うような釣りではそれほど削れていかないか?

 でもって主軸抜いて、ローターナット外してローターをヌポッと外してやると、ベール反転の内蹴り方式はバネこそ眼鏡型じゃないけど大森に似たL字の金具方式で軽く返って良い塩梅。
 そしてそのベール反転の”蹴飛ばし”なんだけど樹脂製本体じゃなくて、ベアリングとローター軸ギアを止める部品と兼用の亜鉛一体成形の部品が鎮座していて、樹脂削りながら蹴飛ばすよりずいぶん耐久性良さげな感じになってて感心する。ボールベアリングがここに1個だけなのも好印象。
 と同時に、なんかこのギアの亜鉛鋳造一体成形、のくせにネジ込みハンドル、蹴飛ばし兼ベアリング押さえ部品、あたりに激しく既視感がある。これ方式としてはシェイクスピア「アルファ2260-030」がスゴく似てる。”なんちゃって大森”でこれだけ重要な部分の癖が似てるってのは、同じメーカーが作ってるんじゃなかろうか?という気が強くする。さらに言うなら、今回のマイクロフィッシャーはもともとシェイクスピアブランドで欧米市場で売ってたのがあって、それの色違いの可能性があるように思えてきた。そう思って両製品とも80年代真ん中から後半ぐらいの見た目なので、そのへんの欧州版のカタログとか覗いてみたけど見あたらず。イーベイでリールの「Shakespeare」では多すぎるので「micro」とか「UL」で絞り込みかけたらシェイクスピア「LX UL」というのが、本体の形状、ねじ込み式なところ、逆転防止のスイッチの形状とかが一致するのでかなり近い、ただコイツはスプール樹脂製版とアルミスプールでも若干ドラグノブが違う版もありのようだ。いずれにせよシェイクスピア「LX UL」の色違いアビースペシャル版で確定だろう。で、そうなってくると製造元なんだけど、「リール風土記」の下請け元請け関連図でみると、この時代80年代後半のシェイクスピアの下請けには韓国大森と香港シェイクスピアがあったようなので、中華リールであるコイツは香港シェイクスピアがアビースペシャルブランドの下請け製造したものである。いうのがパソコン椅子探偵ナマジの推理。ということでアルファ2260も香港シェイクスピアかなと思いましたとさ。というわけでパチモンもなにも、発注元のシェイクスピアが大森のリール持って来て「こんな感じでよろしく」って感じだったんだろうから”パクリ”っていうよりはシェイクスピア通じて技術的な交流があったと見る方が妥当なんだろうな。パチモン扱いして失礼いたしました。
 とまあスッキリしたところではあるんだけど、またぞろ病気が出てきて樹脂スプールの「LX UL」はちょっと秤に乗せてみたいのアタイ。ああマウスがツルツルしてきた・・・アアァッ!

 まあ煩悩を断ちきるためにも残りを急ごう。
 ベール周りがまたなかなかやりおる感じで、ラインローラーはステン無垢のローラーを直受けなんだけど、受ける軸に油溝が真ん中へんに設けけてあって、アルファ2260ではメッキの質が悪くてボロボロだったけど、その二の舞は舞ってない。
 そして、ベールアームとベールワイヤーのお尻の回転部分の軸が樹脂で受ける形になっていないのが立派。かつ大森みたいなローターの腕側に雌ネジを埋め込んでという手間の掛かる方式でもない。
 ダイワの革命機「ウィスカートーナメントSS600」が同じ方法だったと思うけど、ネジじゃなくて腕の裏まで貫通させた軸の尻を写真真ん中の矢印のところに見切れているけどEクリップで止める方式。これなら樹脂にネジが効きにくいという問題が回避できる。そして金属の軸で回転を受けているので耐久性は高い。
 その他にも、回転部分を樹脂で直受けにしないというのは徹底されていて、ギアもハンドル軸は真鍮ブッシュ受けでローター軸はボールベアリング受けというのは既に書いたとおり。さらに細かい所で写真下のように、ベール反転のL字の金具を止めているネジにもカラーが填まり、ストッパーの爪もカラーに填まってからネジ留めされる。

 全体通してみれば安っすいつくりではあるんだけど、丁寧には設計して作ってある。ギア周りの耐久性はやや不安ながら、ドラグはしっかりしているし、ベール反転も軽くて調子良いし、回転も重くなく、使ったら気持ち良さげなリールで、正直もっとどうにもならないゴミスピかと思ってたけど、存外悪くない。
 部品数も少なく単純で、ややプラスねじが多用されていて慣れない感じだったけど、整備性も悪くない。80点90点の高得点のリールじゃないとしても、性能としては60点でギリギリ”可”で、でも、可愛い見た目と短期的には使いやすそうな機能が備わってて、ちょっと使いたくなる程度に魅力的。

 今回の2機種はどちらもそんな感じで、経費削減しつつどう実用的なリールにするかっていう苦労が偲ばれるし、苦労の甲斐あってどうにかこうにかまとまったリールに仕上がっていると思う。
 ぶっちゃけ、そこらでお魚釣りするのに、高性能な100点満点のリールなんて必要ない。魚が釣れる程度の性能があれば足りる。なのにゴチャゴチャと余計なモノを付加していって逆に釣りにくくなってるリールのいかに多いいことか。
 このぐらいのちょっと足りないぐらいのリールの愛嬌の方が、そういう過剰なリールの傲岸不遜よりよっぽど好ましく感じる。
 こういう、情報もろくに出てこないようなショボいリールでも、分解してみるとなかなかに楽しめる部分を発見できたり、リールの歴史とかの知識に照らし合わせて考察したりするのもまた楽しい。
 これではマウスが滑るのを止めることは難しく、”スピニング熱”は一向に治りそうにないのでアタイ困っちゃうのである。アアッ!

2 件のコメント:

  1. スピンフィッシャー712だとローターブレーキ装着しないでもベイルトリップの位置変えるって裏技もあります
    マジックテープのブレーキ弱くするなら
    マジックテープをお湯で茹でるって手段もありますよ

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    1. ワームやらも煮て柔らかくしたのを思い出しました。
      樹脂系は柔らかくしたかったら茹でるのは共通なんですね。試してみようと思います。

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2023年12月16日土曜日

ハンドル長者

 積み上がった整備待ちのスピニング達を精力的に分解清掃しているところだが、ここらで一発回転数を上げて”巻き”でいかないと、今年中ははなから諦めてたにしても、この冬中も怪しくなってきた。あと27台あるけど、いやなことに多分そこそこの速度で増えるしな。

 常々感じているところだけど、過去に分解清掃したことのある機種は、バラし方も組み方のコツも憶えてるので、仕事が捗る。初めての機種でややこしい機構が入ってたりすると当然その逆で手こずる。というわけで、馴染みのある機種だけまとめてとっとと片づけてしまえば、より直近の記憶でやり方を憶えているだろうし、回転数上がるんじゃないかと、今積んであるスピニングのうち、大森外蹴りアウトスプール関連、具体的には「タックルNo.2」、「ニュータックルNo.1」×2、「タックル5No.2」、「マイクロセブンNo.1」を連続して、っていっても一日で全部できるわきゃないので一台やっては飯食って、もう一台やっては次の日にとかやってくんだけど、とにかくこの5台をやっつける。 

 やっつけるんだけど、目ざとい読者の皆様なら「ナマジまた右巻き買ってやがるけどどうすんの?」というところに引っかかるだろう。タックル5No.2は左ハンドルが付いているし、マイクロセブンNo.1はハンドルに左用のハンドルネジが収納されているので大丈夫だろうけど、その他の3台は左用のネジごと購入できたのでなければハンドル左にできないだろうと思った皆様、その通りです。なにしろ安いのが出たら条件反射的にスルリとマウスを滑らせてクリッククリックしてたので、右巻のに左用ハンドルネジが付いてくるわけはない。

 ご心配にはおよびません。ジャーン、大森No.1,no.2共通サイズ、左右両用ハンドル~。って感じでハンドルが手元にございますのよオホホホホ。金持ちケンカせず、衣食足りて礼節を知る、左右両用ハンドル備蓄充分、右巻大森機恐るるに足らず。

 我ながらアホかと思うけど、最初左の3本がイー○イに出てて、セカ○モンでお買いモンのときに、関税掛かる手前までなんか買っとくかというときに見つけて、こりゃ良い!あっても困らんだろう。と買ったすぐに、ヤ○オクでバラで2本出てきて、入札しておいたらどちらも落札という感じで、ヤフオクも1本千円ちょっとしてたし、セ○イモンも送料分足したらそのぐらいにはなるので、このハンドルが必要となるような外蹴り大森小型機って、タックルだろうがニュータックルだろうがタックル5だろうが、タックルが雑誌で取りあげられて一瞬値が上がったことがあったけど基本は3千円も出しときゃ買える。ボロ個体なら持ってけ千円台ってことが多く、そんな安リールに割高なハンドルつけてどうするよ?って気はするけど、綺麗なヤツはともかくボロ個体はワシが一旦回収して使えるように整備して、かつハンドルも左右イケるようにしてやるぐらいしないと、ゴミ箱行きが避けられないように思う。まだ使える大森スピニングをワシャ救いたい。まったくそんな必要も義理もないんだけどそう思ってしまうから仕方ない。

 ということで、5台ワシワシと分解整備していきます。

 まずは、一番酷い状態のニュータックルNo.1。とにかくボロい。ハンドルが回らんぐらいに錆がキツく、コイツは稼動状態に持って行けるか怪しいぐらい。

 でも過去同程度に酷かった「タックルオートSS」は、わりとアッサリ復活したので、何とかなるだろうとCRC666ぶっかけて、ビニールに他のジャンクリールと共に寝かせてたのを引っ張り出してきても、やっぱりハンドルはハンドル外してCRCぶち込んだのにほとんど回らん。大丈夫かコレ?ちなみにタックルとニュータックルの違いはベールアーム。金属製ならタックル、樹脂製ならニュータックル。でも箱書きにしか「ニュー」と付かないのでネットオークションとかでは「タックル」として売られていることが多い。

 いつものようにお盆を用意して分解開始するんだけど、これ思った以上に状態が悪く、過去の事例でコレより酷かったのは丸ミッチェル「314」の最初の個体ぐらいか?

 とにかく錆が酷くて、その錆が粉状に剥がれてティッシュでぬぐうとジャリジャリとした嫌な感触。

 ハンドルも回らんわけである。ハンドル外すとなんか錆なのか砂なのかわからん黒っぽい粒子がみっちりとハンドル軸と本体のハンドル根元の筒状の部分の間に詰まってる。なんじゃこりゃ?スプール外したローターにも茶色いこちらは錆っぽい粒子がジャリジャリに付着している。

 のわりには、本体蓋パカッと開けたら、ギア周りとかは普通に固まった古いグリスぐらいで、このぐらいなら珍しくもない。

 上から4枚目は、ベアリングが片面シール型なんだけど、そのシールを止めてるCクリップを針で突いて外してシールも外した状態。今回ベアリングは交換だろうと思って、苦労して固着気味のベアリングをローター軸のギアごと抜いたんだけど、ベアリングはギア周りと同様、あんまり錆びてもいなくて、シール外して古いグリスとかも落としたら普通に使える状態になった。

 外回りがやたら錆びまくってるけど、中はそれほどでもないという落差。どういう経緯でそうなったのか分からんけど、大森式で本体内にストッパーまで入れて防水防塵性をあげる設計は意外としっかり機能してる気が改めてしている。浸水したらしい丸ミッチェルはさすがに本体内も錆で酷かった。大森もハンドル軸やら主軸に鉄系の素材を使ってるので、ステンレス多用のPENNほど腐蝕には強くないけど、本体内部はある程度守られているので、致命傷にはなりにくい気がしている。

 とはいえ、外回りはあちこち錆はきていて、ベールアームのお尻のローターへの固定ネジは腐蝕して固着していて外せなかった。幸い、”ニュー”タックルはベールアームは樹脂製で錆には強いので、大森金属製ベールアームで良くあるラインローラーナット固着からの”ねじ切り”はなく、ローラーもスリーブ入りなので問題無く外せた。主軸とハンドル軸が鉄系なのでやや錆びてるけど、これは使ってれば滑らかにはなるだろう程度。ちょっと手こずったのがさっき書いたローター周りで、まずはローター自体が抜けてくれなくて、コレ抜けないと交換予定だったボールベアリングに手が出せないので、コレで壊れるなら寿命ということで部品取り個体に、という整理で「ええい、ままよ!」と木槌使ってカンカンやって外した。

 と、だいぶ苦戦したので分解に掛かった時間は約40分、単純な設計のリールのわりには時間食ったけどボロいとどうしても固着外したりとか汚れこの時点で拭けるだけティッシュで拭き取ってとかやってると時間を食うのは仕方ない。

 次にパーツクリーナーと歯ブラシで汚れをシュッシュゴシゴシと落とす作業だけど、これも錆や汚れが酷いと、時に竹串やらマイナスドライバーやら爪やらでこそげ落としつつ進めなければならず時間がかかる。

 パーツクリーナーは揮発性のある薬剤を使っているので台所の端の作業ブースや横着してコタツで作業するわけには行かず、換気しやすい玄関の三和土から階段に上がるところに小さい椅子を置いて階段に物を置いて作業している。

 ギア周りとかの内部は普通に汚れたグリスの除去という感じなんだけど、主軸の台座周りとか、本体と蓋のハンドルの穴周りとかがジャリジャリの汚れが酷くて、このジャリジャリが他に回らないように、部位ごとに分けて混ざらないように気をつけて作業する。

 小さい部品もティッシュで拭き拭きしつつ、ここでしっかり汚れを落としておかないとマズいのでかなり手間暇かかった。約50分ほど。ただココをしっかりやっておけば後の組む作業はボロかろうがそんなに手間は変わらないはず。

 とはいえ、今回はコタツに入って動画見ながらというか聞きながらではあったけど、全ての金属部品と摩擦面にはグリスをグッチャリとを基本に、主軸とラインローラー、ハンドルノブにはオイルも注すという丁寧な作業はそこそこ時間はかかった。1時間ちょっと。ということで、ハンドルも左に付けて、1台目は都合2時間半ほどのお仕事でございました。流石に新品同様の滑らかな回転とはいかず、錆びてる軸が擦れるのかコーッという感じの音がしていてやや重いけど、手に来る気持ち悪い振動が出たりとかはなくて、使ってて慣れると同時に錆びた面が滑らかに磨かれていけば特に使うのに不快なことはなくなりそうで、現時点でもワシなら気にせず使えそう。大森ハイポイドフェースギア自体は特に削れたりしてないようで滑らかなので、軸から一定して出てる小さな異音ぐらいは聞かなかったことにしておける。海なら波の音に負ける程度だろうしな。

 2台目は次にボロいタックルNo.2。これは買うときにハンドルキャップがなくて錆びてるのが見えていて、別機種と2台セットでゴミ処分価格だったんだけど、これはハンドル穴からの浸水で内部錆びてて苦戦しそうだなと思ったけど、実際にブツが来てみたら普通にハンドル回るのでわりとイケる感じ。ハンドルキャップってたまに釣り場で拾うけど(ゴミ拾ってるので地面よく見てる、エラいよねワシ)、ネジ込みとかネジ留めなら落としてもしばらく気がつかずに使い続けることはあるかもだけど、共回りのネジ付きキャップも拾ったことあって、仕舞うときに緩めすぎて落とした時かなと思わなくもないけど、ないとハンドル取れてくるので釣りにならないはずで困っただろうなと気の毒に思う。ただ、ねじ込み式とかでハンドルキャップなくしてもとりあえず巻くことはできる状態でも、そこから浸水するのは見りゃ分かるだろ?ってはなしで、部品取り寄せするなり、なんか填まりそうなモノを、それこそキャップなんで填まりゃ良いのでハメておけって、ハンドルキャップ無しで売られてるような中古を見ると思う。今回は、以前これまたハンドルキャップ無しで入手したタックルオートSSに填めてた椅子の足の樹脂製キャップを加工したものを再利用。こういうショボい部品も捨てないところがまたエラいよねワシ。で、分解はサクサクで固着もなく15分ほどで終了。部品数少ないからね。

 ただ、潮カブって白く析出したスプールの腐蝕とか、回ってなかったラインローラーの錆とか、パーツクリーナーでシュッシュ、歯ブラシでゴシゴシ程度では取れない部分もそこそこあって、マイナスドライバーやら爪やらでガリガリと削り落とす作業は地味に生じて、分解ほどサクサクとは作業進まず45分ほどかかってしまった。
 表面塗装が脚周りとか剥げてて、お色直しするべきか迷いどころだったけど、銘板も剥がしていっちょやっつけるかなと剥がそうとしたら剥げず、なぜかしっかり接着されていたので、そんならまあ見た目はこのままでいくかと流しました。

 各部品が綺麗になったら、グリス塗りつつ組んでくのはそれほど時短できる要素は無く、続けて2台目だから熟練度が上がって早くなったかというとそうでもなくて、普通に1時間ほどかかって、全行程通してでは約2時間となりました。キャップもちゃんと填まってウレタン接着剤で落とさないように接着。
 前回より時間が短縮できたのは、前回時間が掛かった固着を外す作業が無かったので分解が楽だったところに負うところが大。まあでも2時間で全バラフルメンテ完了なら悪くはないかなと。
 前回の鉄系の軸周りに錆が出てたニュータックルNo.1はさすがに巻きが多少重くなってたというのが、今回はベアリングもギアも軸周りも錆びてなくてクルックルに復活したので比較して良く分かった。なんなんだろうねこのボールベアリング1個しか使ってない大森スピニングの滑らかな回転は?ちなみにハンドル軸は両側アルミ直受けじゃなく、鋳込んであるのか填めたのか真鍮ブッシュで受けている。金属本体なのでストッパーの音もチリチリよりシャリシャリに近い涼やかで気持ち良い音。上出来だな。

 お次はニュータックルNo.1の2台目、こっちは普通に使えそうな感じだったのでサクサク行くつもり。分解はやっぱり固着が無ければ15分で終わる。サクサク。
 パーツクリーナー洗浄も35分くらいと良いペース。
 こりゃ2時間切るなと動画見ながらコタツでダラダラとグリス盛り盛りして組み立ててたら、それでもやっぱり1時間ぐらいで合計1時間50分ほど。
 仕上がり快調で、ちょい時間も短縮できたけど、正直3台目で飽きてきた。

 でも4台目は黒いタックル系から青いタックル5No.2に変わるので気分も新たに、って色が違うだけの兄弟機だからやること一緒だけどな。
 こいつはライン付きなのでライン引っぺがすところから始める。”ラインはオマケです”とか書いて出品されてるのは良くあることだけど、使用時間もわからんようなラインそのまま使うわけにもいかず、新しそうなら下巻用に使ったりするけど基本捨てる。オマケもクソも引っぺがすの面倒だしスプール腐蝕してたらバレるしで手間かけてないだけだろって感じで今回も古いナイロン糸なので容赦なく引っぺがす。小型リールだとそれほどでもないけど長尺の道糸の交換とかには専用の”ラインクリッパー”があると仕事が捗る。
 しかし今回は問題発生。
 なんか途中から赤さび色になってきて、ラインが固まっててラインクリッパーのモーターの力では引っぺがせない。なんじゃこりゃ?と思いながらドラグユルユルにしてライン手で引っ張って剥がしていくと、クソ忌々しいことにガムテープで”エコノマイザー”的に嵩上げして糸巻き量調整してやがった。そのガムテが腐って粘着部分が染み出してラインを固めている。苦労してガムテを剥がしたけどスプールの芯のところに小汚く赤茶けたカスがへばりついている。ここまで30分もかかってしまってムカつく。

 ムカついてても仕方ないので分解してパーツクリーナーをシュッシュ、歯ブラシでゴシゴシ。幸いなことにパーツクリーナーはガムテのカスにも効果大でしばらく漬けてから歯ブラシかけたら綺麗に取れて一安心。
 内部は綺麗な状態で、パーツクリーナーの廃液もガムテのカスで赤茶に濁ってるけどわりと綺麗な状態。
 いつものようにグリスグッチャリで仕上げて、こいつは見た目もそれほど腐蝕等もなく機関も快調に仕上がった。苦労した甲斐もあったというものである。
 コイツは売れるかもと一瞬思ったけど、No.2サイズはいかんせん需要が少ない。買った値段ぐらいにしかならん。でも快調な個体を使う人に届けるだけでも意味があるかなとも思うので整備待ちの渋滞が解消したら来年は本格的にリールを売ろう、などという鬼が笑うことを言うております師走の今日この頃。

 ということで、ライン引っぺがしに30分、分解15分、パーツクリーナー35分、組み上げやっぱり1時間と都合2時間20分かかってて、うちラインはぎを除くと1時間50分ぐらいで、このあたりが今のところの限界かな?雑にやっては意味がないのでこのぐらいが適正かなと思っちょります。

 やっと最後の5台目マイクロセブンNo.1まで来た。
 こいつもライン付きだったけどラインクリッパーが存分に威力を発揮してくれて、ライン引っぺがすのに所要時間2分。早い!改めてその便利さに惚れ惚れする。
 そして分解17分、内部も写真のようにそれほど汚れておらずパーツクリーナー40分、組み上げ65分、合計2時間4分ほど。
 微妙に時間がかかってるのは、真ん中写真見るとお分かりいただけると思うけど、タックル系に比べて上位機種の外蹴りマイクロセブンは、ハンドル軸ギア側にボールベアリングが一個追加され、スプールがワンタッチ式採用となってて、その分部品数が増えてちょっとずつ時間がかかっているのである。意外にワシ正確に同じように作業できてるんだなと面白かった。
 ここから時間短縮するなら、一番時間掛かってるグリス塗りながらの組み立てのところをどうにかするんだろうけど、グリス塗り多分メーカーとかの組み屋さんは、熱して液体状に溶けたグリスに部品をくぐらせて表面全体に均一に塗布してるか、液状になったグリスをスプレーしてるんだろうと思うけど、電気ポットあたりを改造してグリス溶解槽でも作るか?何台分も流れ作業でやるわけじゃないから、あんまり効率上がらないか?まあ丁寧に塗ってくのも良い気分なのでそこまでしなくても良いかなとは思う。
 あと訂正してお詫びしなければならん件に気がついた、ちょい前の大森”No.5”ネタの時に「マイクロセブンにも大型機ならではの強化が施されていて、ローターのベールが付く”腕”部分に斜めに張り出した補強部分が設けてあり、いかにも大物仕様といった雰囲気が醸し出されている。」と書いたけど、ごめんアリャ嘘だ、小型機にも同じように補強が入ってる。ワシの目は節穴である。信用しすぎないようにお願いすると共に伏してお詫び申しあげます。ゴメン!
 という感じでやや擦れ傷多めながらも、2個もボールベアリングが入ってるおかげか回転もクルックルで気持ちよく仕上がった。マイクロセブンNo.1は薄い水色も雰囲気あって綺麗で格好いいので一回魚と一緒に並べて写真撮りたいのでそのうち実戦投入したいけど、タックル系もあるので出番作ってやれるかどうか。まあいつでも出せる良い状態で保管しておけるのは悪くないさね。

 という感じで、5台無事使用可能な状態に復帰。良い塩梅に整備完了で満足。満足してるんだけど、ボロくて重いニュータックルNo.1は、回して錆落とししてやりたいので実戦投入予定だけど、せっかくなのでちょいいじくってやりたい。
 まあ来年のシーバスシーズンに間に合えばいいやということで、これもまた鬼があんまり笑わせるなよと言うような話。
 同じ系統の機種を連続してやっつけるのは、確かに手順をハッキリ憶えている間にやれて作業効率的には悪くなかったように思う。後半部品位置確認用のデジカメ写真とか省略してたぐらいである。
 同じ作業ばかりで飽きるということを除けば良い手かなと思いました土佐の一本釣り。
 ということで、次もまた同じような機種が4台ほど溜まってるのを片づけるかなと予定しております。ハンドルもまだ2本あるしな。お楽しみに。


2023年12月23日土曜日

中身が大事だけど外側もそれなりに大事

 年末進行で巻きでいってます。なんで、大森製タックルオートが4台もあるのかと言えば、実は欲しいのは「タックルオートNo.3」で、探してるとどうしても「あっこれ大きさ違うけどボロいし安いしワシが買わなきゃ」と救出したくなるのである。仕方ないよね。マウスも滑るよね。なぜ、No.3サイズが欲しいかというと、大森のこの時代のワンタッチじゃないスプールの機種には、なんとPENN5500SSとかのドラグノブが装着可能ということで、そうすると5500SS後期のドラグノブはワッシャーとの接触面が真鍮製になっていて、ドラグ高速回転時の熱で溶けたりしないわけで、その互換性に気がついたnorishioさんから名言(迷言?)「これで大森はあと100年は闘える。」もとび出して、ワシんち5500SSのドラグノブは蔵にいくつか転がってるので、ワシも欲しい~って熱にうなされたんだけど、これがなかなか中大型の大森は人気薄で、出れば安いことが多いけどなかなか手頃な値段とボロさの弾が出てこないので、思わず弾数多い小型機に誤爆しまくってるのである。アタイ病気が憎いっ!
 No.2サイズは持っていなかったので1個買ったら、次にハンドルが変なのが付いているジャンク個体が出て来たので最悪替えスプールゲットということで確保。No.1サイズSSサイズはそれぞれ蔵に1台あるので、もう一台買ったら換えスプール体制組めるしまあいいか?っていうのはSSは確かにそうなんだけど、実はNo.1サイズはスプールはタックル系統と互換性あるので換えスプールは既にあるっちゃある。No.2サイズがちょっとややこしくて、タックルオートNo.2に例えばタックル5No.2のスプールは一応そのまま使えるけど、逆は高さの関係で何らかの調整なしではちょっと使えない。写真の右がタックルオートNo.2のスプールで左がタックル5No.2のスプール。No.2でもタックル系統とタックルオートはスプール同一規格だと思ってたけどちょっとタックルオートの方が高さがあるということに今回買って比較して気がついた。要するにスペアスプール云々は後付けのいいわけで、結局いつものとおり「欲しかったんじゃーッ!」という物欲に負けてマウスをスルリと滑らせてポチっただけのことである。
 そんなこんなで、年末進行でサクサクいきまっせということでNo.2から分解整備に入って行くんだけど、とりあえずハンドルが変なのが付いているジャンク個体はハンドルのネジのサイズが合ってないのを無理くりねじ込もうとして中途半端な位置で抜き差しならなくなってしまっていて、このままではどうにもならない。幸いなことに右にハンドルが突っ込んであるので、左側にまともな大森製ハンドルを突っ込んで逆に捻ってやって外れたら万々歳、外れなかったら仕方ないので右のネジ穴は死んでもらうことにして、カナノコでハンドルぶった切ってとにかく外すという方針でいく。ハンドルはまだ2本残ってたので1本使う。

 結果、ポキッと変なハンドルが折れてくれて、軸からはみ出した部分をカナノコで切って左巻き専用ギアとして無事救出できたんだけど、これ今考えると、ポキッといったのが左に填めた大森純正ハンドルでなくて良かった。最悪軸の左右両側のネジ穴がふさがってるというダルマギアにしてしまうところだった。最初から安全策でカナノコで切っておくべきだったんだろうけど、結果オーライではあった。

 あとは、前回5台まとめてやっつけたタックル系統に設計的にはベール反転の内蹴り機構が追加されている程度なので、基本的な構造は似ていてサクサクと分解整備が進む。似たような機種をまとめてやっつけるのはやっぱり効率的ではあるな。

 とはいえ、元の持ち主にはハンドルの件も含め説教くらわしたくなるんだけど、塩水かぶってもろくに洗ってもなかったのか、スプールが酷く腐蝕している。内部は糸抜いて保管してないとどうしても腐蝕してしまうとかはワシもやりがちなんだけど、スプールエッジってそうは腐蝕せんぞ?かつ、ココが腐蝕しているとラインが引っかかって出が悪いし傷つくしでそのままじゃ使えん。これはあとでアレしてしまうことにしてとりあえず今回は放置して暫定的に組んで片づけることを優先して、グリスグッチャリでいっちょ上がり。

 次も、同じタックルオートNo.2でこちらの方が見た目も綺麗で回転やらも変なところはないので、サクサク進むかと思いきやラインローラーが固着してしまっていた。しかし、ここは樹脂製スリーブが入っているので、まず外れないことはないので、強引にペンチで摘まんで引っこ抜くとかはローラー割りかねないので、CRC666液に浸るようにジップ付きのビニールに入れて一晩おいて手袋填めてゆっくりグリグリと捻ったら無事取れた。ルーロンスリーブがラインローラー側に固着してたので、千枚通しで引っぺがしてやった。このチューブ状のルーロンスリーブは変形させても後で軸に刺せば元通りになるのでぺちゃんこになっても気にしなくて良い。という感じでバラしても部品数こんなモンなのでパーツクリーナーかけてグリス盛って2ちょあがり。
 サクサクいくぜと次はNo.1サイズ。コイツは見た目がボロい。塗装剥げまくり。回転は問題無いし、ベールの返りが悪いのは錆びてるからだろうぐらいで、お化粧直しだけは面倒だけど楽勝だろうと思ってたら意外な落とし穴というか、これまた元の持ち主説教案件。

 まずは分解とさくさく作業を進めると、ストッパーの爪がラチェットにガチンと噛んで凹んでて驚く。ラチェット鉄系で、爪はステンの板の打ち抜きのはずで、相当な負荷にも耐えうる丈夫な大森設計の逆転防止機構なのに、どういう力のかけかたをすればステンの板が凹むのか想像できない。

 でもって、ローター外したらローター軸のギアの填まる俵型穴になってる筒状の部分が割れてやがった。ココは下はボールベアリングで上をローターナットで挟んで締めてという構造なので、割れていても固定はできていてまともな回転はしていた。とりあえず瞬着で接着してズレないように細いステンレス線で巻いて締めて固定して実用上問題無い程度には処置したつもりだけど、そもそも割れる力がかかるにはローターナットで固定してあるローター軸のギアとローターがズレて、内側のローター軸のギアの俵型の部分がローターを割らなければならず、そんなにズレることがやっぱり想像できない負荷の掛かり方で、ドラグが、それも優秀なのが付いている大森小型機で、どんなラインを巻いてどういう無茶をすればこうなるのか、責任者一回説明しにこい!っていう感じである。インスプールのベールを手で無理矢理起こす”熊の手”の持ち主が理解できないとTAKE先生は嘆いていたけど、これは次元が違う。世の中にはオッソロシイ熊以上の手を持ってる愚か者がいるようだ。PE巻いて根がかり相手にスプール握り込んで走ったとかか?分からん?まあ、とりあえず使えるようには復旧できたので良しとしておこう。接着剤で留めて針金巻いたぐらいで大丈夫か?と心配される方もおられるだろうけど、そもそもさっきも書いたように、ローターとローター軸のギアはロータナットで締めて一緒に固定されていて、どう使ってもズレて力が掛かる構造ではないハズなのでまず大丈夫なんである。壊す方がよっぽど難しい箇所。

 なんにせよちょっと驚かされた。ほかにもベールの返りが異様に悪いのは、ベールワイヤーのお尻の金具が錆びて太ってるからだと思ったら、どうも微妙にお尻を止めるネジとベールアームを止めるネジは長さが違うようで、逆に組まれていて正常に作動しなかった様子。まともに組めないんならバラさんでくれと切に願う。なんとか分解修繕してパーツクリーナーかけてからタッチペンで塗装。

 まあ新品同様とはいかないけど、充分実用に耐えうる状態に復活させた。見た目もこんなもんだろというぐらいにはお化粧直ししてやったつもり。

 このぐらいボロい個体だと、なんとか復活させることができると、わが家に来てもらって良かったと思える。普通に使えばあと何十年と使える状態にはなったと思う。ウチに来てなければ燃えないゴミの日に出されててもおかしくない。生きてる部品は回収しておけば使えるけど、日本の中古市場では特定の機種を除いて部品売りってあんまないので曲がりなりにも単体で稼動品だというのは意味と価値があると思いたい。

 最後のSSサイズも、一見調子よさそうだけど分解したらエラい目に遭うとかないだろうな?と疑心暗鬼になるも、コイツは良個体でサクサクバラして掃除してグリス盛って組み上げて終了って感じでホッとした。スプールの銘板がれいによって剥げてるけど、こっちの方が全体的に状態は良いのでもう一台からスプール持って来てこちらに付けても良いかも。基本ボロい部品は1台に集中させてそのボロい個体から使い潰していきたいんだけど、これが大森スピニングは普通に使ってると潰れないんだわ。まあ末永くよろしく、もしくは売りに出して稼いでもらうか?いずれにせよ悪くない買い物であった。
 ちょっと、元の持ち主なに考えてたんだって個体もあって苦労したけど、基本大森スピニングはボロいの買っても、分解整備してやれば快調に復活してくれるので、整備のしがいがある。

 タックルオートなんて、内蹴りで簡易ローターブレーキもついてて、ボールベアリングは一個だけど回転も滑らかで軽くて、本体もアルミ製で軽くて丈夫、ドラグはもちろん良いしで、アウトスプールのスピニングに求められる性能はかなり高く保持していて実用機として堂々の実力派である。ベールスプリングは交換用の予備をバネ屋さんにでも作ってもらうなりして備えるとして、スプールエッジの形状もアレしてしまえば良いだけで、それほど中古の相場も高くないし超お買い得である。まあ、マウスが滑ったのは遺憾に思うけど、この4台並べて眺めて「アアァッ!良い!!」と悦に入ることができただけでも、銭つこうた価値があったというモノである。ということにしておこう。

 これで、だいぶ整備待ち渋滞解消にむけ進捗した。整備待ちリストにある機種の中には珍しく新品箱入りなんてのもあって、そいつらは当時のまま残す方向で分解はしても古いグリスのままでも良いかなとか、ある程度割り切ってあと20台前後、この冬中に終わらせてしまおう。あぁそうしよう。

(2024.05)


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