○大森製作所 ダイヤモンド「マイコン」他 

 

 大森製作所と聞いてピンと来る釣り人はかなりのベテラン世代でしょう。

 三十路半ばの私は、このメーカーの終わりに近い頃とメーカーが無くなるところを体験しています。

 

 メーカー無くなるときはたしか、釣り具販売大手の上州屋に吸収合併される形でした。しばらく同製作所の名シリーズの後継機ともいうべきロングマイコン(追加註)とかの比較的低価格のリールを作っていましたが、しばらくすると影も形もなくなりました。

マイコンシール部分アップ

 写真の私の使っていたリール2台はダイヤモンド「マイコン」シリーズの割と後の方に出たシリーズらしく、ラインを出さずにハンドルを逆回転することによってラインのひねりを取るツイストバックシステムや、ベールアームを折り畳んでコンパクトにしまえる機能、リアドラグなど当時の先進の工夫、今風にいうならギミックのあれこれが特徴的でした。

ツイストバック

 私自身は、ベールアームがたためるのは気に入ってましたが、ドラグの効きはいまいちだし、ツイストバックに至ってはヨレがとれてもナイロンラインはそろそろ劣化している頃なので結局巻き替える必要が無くなるわけではなくまあ無くても良いかなと思ってました。

 しかしながら、リール自体の基本的なできはいいというか、ボディーも金属製で丈夫だし、釣具屋さんも同じ値段なら大手より出来は良いかもしれないと薦めていました。

 写真の2台は同じシリーズの大きさ違いで、PENNでいうと4500SSと4400SSの大きさです。シーバスやらバスやらに使っていました。たまに古い釣果の写真に写っていると思います。

 例によって、ベールアームを起こすバネが折れて、折れた時点で10年以上前のリールだったので部品もなくその後はPENNに買い換えています。

 南の島の遠征で、マングローブの川でメッキサイズというにはちょっと良いサイズのオニヒラアジをかけたときに、いつもスムーズに動かない小さい方のドラグが奇跡的に働いてくれて釣れたことが印象に残っています。

 

 次に、渓流用に使っていたダイアモンド「キャリアーNO.1」です。渓流のスピナーの釣りが得意な友人が、大森製作所の小さなインスプールのリール(コメット)を使っていて、これがとても使いやすいと聞いて、インスプールの苦手な私は同じメーカーでアウトスプールのこのリールを買って渓流に使っていました。

キャリアーキャリアーシール部分

 どうということはないリールですが、このシリーズはボディーが樹脂製で軽く小さく、ベールアームがたためることもあってコンパクトでリュックに詰めて渓流に釣りに行くのに便利でした。ボディーの小ささの割にスプール経はそこそこあってラインの巻き癖もそれほどひどくなく扱いやすかったです。

たたむ前たたんだ後

 これも使えなくなったのはベールアームを起こすバネが折れたことで、これさえ補充が効けば今使っても特に支障はないと思います。

 バネを特注して使い続けるという手もありますが、そこまでするよりは今手に入るリールから次に使うリールを選ぶのが手早いと思ってPENN4300SSを買いました。同時期にダイワのスーパースポーツ(これもSS)とかとも使い比べましたが、結局、スペアスプールの安さやモデルチェンジの期間の長さからPENNを選ぶことになりました。

 

 こういう個性的なメーカーが日本の市場から無くなってしまったことは残念に思います。

 

 さすがにリールは特許の固まりのような道具ですから、仕方ないことかもしれませんが、ルアー部門は日本の個性的なメーカーに大いに頑張ってもらいたいものです。

 実際にはなかなか厳しいようで、割と有名なメーカーがつぶれて、中古屋に在庫がどかっと流れていたりして栄枯盛衰を感じたりしますが、アメリカの通販を見ていると、ここ10年ぐらいではヨーズリ、ラッキークラフト、メガバスの3社あたりは定番商品化していて世界で健闘しているメーカーもあります。

 頑張れ日本の釣り具メーカー!良いモノは買わせてもらいまッセ!

 

 後半の2台は、釣具屋の棚の奥の方から見つけ出してきた、いわゆる「エグリ」でゲットしたものです。

 私は釣り人にしては比較的収集癖が薄く、使うことを前提としない道具は買わないのですが、房総のとある釣具屋で箱入りのこの2台を見つけたときには、使わないことは目に見えていましたが思わず「レジダッシュ」していました。

 ヤフーなどのネットオークションが盛んになってからは、こういったレアものは片っ端から売りさばかれてしまい今や「エグリ」という楽しみは過去のモノとなってしまったようですが、ちょっと前まで、ひなびた釣具屋にはこうしたお宝が好き者にエグられるその日まで棚の奥でほこりをかぶって眠っていたものです。

 

 一台目はダイヤモンド「オートベールNO.2」。アウトスプールのリールです。ヤリマンボウとかのお魚イラストが描かれたオレンジのリール袋は大森製作所リール愛用者にはおなじみのもので比較的新しい時代のもののようです。

オートベールオートベール箱

 ご覧のように箱入り娘状態なので性能などについてはよく分かりませんが、キャリアーをちょっと大きくしたような印象のリールです。

 

 2台目は、ダイヤモンド「フリッパー」。かなり箱からも時代を感じるオールドテイストのリール。ラインローラーすらない時代なのにアウトスプールのリールでボディーもスプールも同系統の樹脂製(ボディーはひょっとすると金属製かも?)でかなり当時としては斬新なリールだったのではないでしょうか。

フリッパーフリッパー箱

 対象魚にクロダイとかが書かれているのは、当時の最先端の釣りだったのでしょうね。

箱裏

 コイツも箱入り娘で使っていないので性能はどうか分かりませんが、ルックスはかなりイカしていると思うのですがどうでしょうか?

 

 大森製作所のリールにはマニアの方もいらっしゃると思いますので、これら2台のリールがいつ頃作られて、どのような位置づけだったのか知っている方がおられましたら、是非そのへんの蘊蓄を聞かせていただけたらと思います。当方、好きで使っていただけですのでその辺の歴史などにはまったく疎いのでよろしくお願いします。

 

(2008.7)

 

(追加註)これがロングマイコンです。大森ファンでもこの辺のダイヤモンドリールブランドが無くなる寸前のリールは既に興味なかったと思いますので案外レアかも。

ロングマイコン

(2009.6)



○2018年11月3日土曜日ブログ再掲

大森ダイヤモンドは永遠に

 最近アタイ以外のリールにばっかりかまけてて悔しいッ!

 と、430ssgちゃんやら4400SSちゃんやらがプンスカしてそうだけど、今回もPENN以外のスピニングリールネタ。まあ「昔の女」的な想い出話なので許してネ。

 全てのスピニングリールをスピンフィッシャーでまかなうような偏狭で妄執に凝り固まった私だけど、最初っからそんな釣り人じゃなかったということはここに書き記しておきたい。ダイワもシマノもリョービも使ったことがある。オリムピックはそういやトゥルーテンパーが初めてだな。
 でも「PENN使い」になるまえに好きだったのは大森製作所であるというのは以前にも書いたとおりで、今でも学生時代から社会人になってしばらくの間愛用していたダイヤモンドリール3台が蔵に眠っている。”ダイヤモンド”キャリアーNO.1、同マイコン302TB、同マイコン301TBである。
 2台はベールスプリングが折れているので使用不能で3台とも後継はスピンフッシャーに任せて引退させてあった。

 しかしながらも恥ずかしながら最近スピニングリールのことばかりを考えていて、引退させてたダイヤモンドリールもクリクリ回してみて、部品1個ありゃ直るのになと思ってしまった。
 古リール好きが、パーツを特注して愛機を使い続けているというのは知識としては知っていたけど、バネ一つだけ作ってもらうっていうわけにはいかず、何十個とかの単位で買わねばならないものだと思っていた。それってお高いんでしょう?
 そういうマニアが大量に作った部品をネットオークションでばら売りしているのとかは散見されたし、ABU社カーディナルとかミッチェル社のインスプールモデルとかの人気機種の部品ならあるだろうけど、大森製作所じゃ無理だろなと思いつつも、ネットオークションでひょっとして程度の悪い中古でも”ゴミスピ”価格で安く手に入れば、そこから部品持ってきても良いかと眺めてみたら、部品ばら売りがなかったのは予想してたけど、ダイヤモンドリールの人気の高さは正直予想外で驚いた。
 インスプールのコメットが人気なのは知ってたけど、アウトスプールのマイクロセブン、タックルオートやマイコンシリーズも軒並みイイ値段で、特に小さいのはちょっとパーツ取りに1台って感じじゃない。キャリアーとか弾数少なくて相場が分からなかったので検索かけて調べてみたら、一番小さい”SS”は何万円って値が付くらしい。


 ネットオークションはあきらめて、nori shioさんに教えてもらった「須山スプリング製作所」さんでベールスプリング作ってもらったらなんぼするンやろ?でもお高いんでしょう?と試しに見てみたら、なんと最小単位はアウトスプールの”トーション式”なら5個から、インスプールのグルグルバネ式なら2個から、どちらも1000円+消費税送料で請け負ってくれるとのこと。頼んだ。脊髄反射で速攻で。


 「見本」として折れたベールスプリングを郵送して待つことしばし。ってほどでもなく1週間もしないうちにサクサクッという感じで、見本とともに5本ずつできたベールスプリングが郵送されてきてポストに入ってたので、ワクワクしながら早速組んでみた。
 ベールを折りたためる機構も同じ場所に入っているのでちょっと組み立ての順番がパズルっぽかったけど、まあ初めてじゃないし昔取った杵柄で何とか組み込んで無事復活。
 こういうサービスは本当にありがたい。モノなんか壊れたらどんどん新しいの買って経済回しましょうなんて、それも大事なことかも知れないし現実そうなってる部分もあるんだろうけど、そんなんばっかじゃもういろいろ立ちゆかないだろうって状況になってきてるし、良いもの大事に直しながら使ってくのって、やっぱり理屈じゃなくて直感的にそれも正しいんだと思う。新品売らなきゃならん釣具屋やらはその分苦労するのかも知れないけど、そういうご時世だと思って気合い入れて良いもの作ってくれとしか言いようがない。再利用とか部品だけとかに関連した小商いとかも、それはそれで立派な経済活動だろという気もする。

 でもって、復活したリールをクリクリ回したり、ベールをハンドル回してカションと戻り具合を確かめてみたりして、改めてダイヤモンドリールのデキの良さを実感させられた。
 大森ファンは声を大にして褒めちぎるけど、正直使ってたけどそれ程でもないやネ、普通の良いリールだヨと思ってた。しかしながら、認識改めてワシも褒めちぎらざるをえんなこれは。
 使ってたときも以前サイトの方でキャリアーについて「どうということはないリール」と書いてたように、取り立ててスゴイ高性能だったり驚きの機能があったりというリールじゃなくて”普通”のリールだと思ってた。
 でも、よく考えたら年間100日以上平気で釣りに行ってたような若い頃に、何年も使い倒して、ベールスプリングが折れるまで他のを買う気も起こらなかったという不具合のなさが既に非凡である。
 リールとしての基本性能である回転性能とかがなにげにイイ。今現在愛用してるのがスピンフィッシャーという丈夫方面とドラグ方面が得意だけど、そういう方面は全然期待してないリールだからというのもあるだろうけど、巻き取りが軽やかで単に軽いというよりバランス良く回ってくれる。ベール手で返してたので今回初めて分かったけど、ハンドル回してベールが返るときの抵抗も軽くて音もガッチャンじゃなくてカションと鳴る。
 そんなこと言ったって、いまのイグジストやらステラやらと比べたらショボいでしょ?と思うだろう。それは半分正解で半分不正解だと思う。
 ダイヤモンドリールの少なくともマイコンやキャリアーは大手の旗艦機と比較するようなリールじゃない。どっちかというと安い価格帯のリールでダイワ、シマノ、オリンピック、リョービの四天王の隙間を縫って職人技と上手な設計で良心的な価格で玄人好みの良いリールを売ってた「スピニングリール屋」謹製のリールだったのである(断言)。
 私が買った90年代には既に大森製作所は傾きかかってて、釣具屋さんも古い在庫を貧乏学生に買える値段で安く売ってくれたように記憶していて、キャリアーは3千円かそこらだったような気がする。だから万札飛んでくよな値段付いてるとビックリするんである。なんせ高価なベアリング様は1個しか使ってないような庶民派でっセ。
 もし、今時のリールで比較するなら5~7千円とかの機種で比較しろと。そのぐらいの機種となら20年以上経った今でも使い心地で互角以上に闘いそうなぐらい回転性能良いし、逆転防止の遊びも少なくて4桁スピンフィッシャーほどには今の機種に慣れてる人が触っても違和感ないように思う。ゴチャついてない適材適所な基本設計からくる壊れにくさとか「上位機種の劣化版」という印象がなく特別感があるというのなんかを上乗せすれば多分圧勝する。だから中古でも5~7千円なら人気機種でなくても普通にしてるんだと思う。今の5~7千円のリールがダメなんじゃなくて凄く良くなってると思うんだけど、20年前においてはダイヤモンドリールが多分特別だったんだと思う。
 今の5~7千円のリール買っても、古いダイヤモンドリールの程度の良いのを探してきても、多分ほとんどの釣り人が「クソたっかいリール買わんでもコレでいけるやン」と普通に使えると思う。
 回転軸を90度捻ってグリグリ回すというケッタイな糸巻きで”普通に使える”といのがどれほど難しいかってところで、今の普及品も昔の大森もエライってことだろう。

 でもって「マイコン」についてだけど、過去私は「ドラグの効きはいまいち」と書いた。「いつもスムーズに動かない小さい方(註:301TB)のドラグが奇跡的に働いてくれて釣れた」という昔話も紹介した。
 「ダイヤモンドマイコンさんスイマセンでした。私が間違ってました。」
 と、まずは平謝りに謝っておこう。
 いや~ネットの情報ってあてになんないよね~嘘ばっかり。

 今回2台を復活させたついでに、分解してじっくり鑑賞するとともにグリス塗り直すかなとバラしてみて、仕舞うときに分解清掃したのか綺麗な状態で、マイコンは海で使いまくってたけどドラグを押さえるバネがちょっと錆びてたぐらいで問題なく、錆だけ落として本体はグリスもそのままでドラグだけ何とかイマイチ状態を脱出するにはどうすれば良いかなといじくってて、そもそも使ってた当時の状態でライン引き出してみて違和感が走った。
 「えらい堅く締めてるな?」
 マイコンシリーズはドラグがスプールの上の方じゃなくて、リールのお尻のほうに付いている”リアドラグ”方式が大人気を呼んで、ダイヤモンドリール史上最大のヒット作となったシリーズ。同時にスピニングリールに一大リアドラグブームを巻き起こした歴史的なリールでもありながら、それまで手堅い設計で玄人好みのリールを作ってた大森製作所がへんな方向に行き始めた元凶となった傾国のリールであるとも好事家の間でまことしやかに囁かれていて、そのせいか弾数の多さゆえか中古でもそれ程値段が付いていない。
 リアドラグって一般的に糸巻いてあるところから距離が離れるから効き悪いよねってのが今時の常識で、大森製作所をもってしてもそこから逃れられないと思っていた。

 でも違った。
 マイコンのリアドラグは、 右の写真のようにドラグを締めるネジを切った部品の上に数字を振ったキャップをネジ止めする構造になっていて、キャップは1周しか回せないけど、どのぐらい締めるかはあらかじめ持ち主が調整しておけるようになっている。ドラグパッドを押さえつけるバネがへたってきたりグリスアップでドラグの効きが違ってきたりしたら再調整ができるというよく考えられた仕組みである。これだと調子に乗ってゆるめすぎてキャップを落としたりしないし、あらかじめ調整して数値化して把握しておいたドラグ値にファイト中にサッと変更可能である。
 でも、リアドラグ方式はそもそも安定しないから数値どおりのドラグ値になんてならないよねと思ってたのだけど、ハッキリ言って当時のナマジ青年がドラグのなんたるかをよく知らなかったから調整に失敗して締めすぎてたというのが判明した。
 手で引っ張ったときにズルズル出てこないぐらいに「締めたときには止まる」のが大事だと思ってきつめに締めてた。結果最大限ゆるめてもそれ程ライン出て行かず実質的な調整幅も極狭くて「ドラグ効かない」と感じる状態になっていた。
 普通にシーバス狙うときのような8ポンド2号のナイロンラインを切れないように、締めたとしても2ポンド約1キロ前後で滑り出す程度を上限にまあ1ポンド以下を中心にというような、実釣に即した緩めの設定にしてやると「ドラグが良い」とまでは行かないまでも、充分にドラグを使った釣りになる程度の性能がありそうに思う。部屋の中で手で引っ張るのと竿も介して魚に実際に引っ張られるのとでは違うことも多いけど、昔の想い出の中にあるマイコンのリアドラグの印象とは全く別物のまともなドラグだというのは間違いなさそうである。海より深く反省した。

 とはいえ、リアドラグが好きになるかというとそうでもなくて、写真見てもらえば分かるように大森製作所の職人技を持ってしても、リアドラグをまともに機能するように設計すると、部品も多くなるし実際ドラグを押さえる大っきなバネが錆びたりと、壊れる部分が増えてしまうのである。
 この写真を撮ってからグリス拭き取りながら作業してたら、さらにキャップの中にはもう一枚スリーブが入ってたし、一番左の部品は筒状の部品にドラグ音鳴らす歯車とワッシャー2枚が組み合わさっていて写真以上に部品数多いのである。さすがに手が油で汚れてから写真撮り直すのははばかられたので想像以上のややこしさを写しきれてないのはご容赦願いたい。

 部品数が増えれば当然リール自体が大きく重くなる。
 実はマイコン301TBはキャリアーNo.1より大きくてPENNで言えば4400に相当すると思ってて、そう過去に書いていた。
 マイコン301TBはJOSさんが元の持ち主に「うちの後輩に大森のリール好きなヤツがいるよ」と話したら、もう使ってないのがあるからあげるよということでJOSさん経由でいただいたモノで、その時点でシールも剥がれていて、今回ネットで調べて大森製作所でいうところの「No.1」の糸巻き量に相当すると初めて知ったところである。ちなみに「ミニ」「SS」とつくのが一番小さくてPENNなら4200相当で「No.1」が4300相当で以降数字が大きくなるとリールも大きくなる。
 写真で並べても同じ糸巻き量なのに大きさ違って見えると思うけど、実物だともっと差があるように感じる。

 そのぐらい大きく重く複雑にしてまでリアドラグにする必要あるのか?と聞かれれば、ファイト中にドラグいじる人には価値があったのかな?という気もするけど、ファイト中には赤子泣いてもドラグいじらない派の自分としては、別にいらんがナと正直思う。
 じゃあなんで、そんな質面倒くさい機構をマイコンは付けたのか、そして人気を呼んでリアドラグブームまで来てしまったのか?
 私が思うには9割方その理由は昔のABU社カーディナルのリアドラグが格好良かったからだと思う。
  釣り具なんて好きか嫌いかが重要で、性能とか重いとか、ましてや値段の高い安いなんてのは格好良さの前では割とどうでも良かったりする。
 遊びで面白おかしく魚釣りするのに、多少のデキの悪さだのは我慢できても格好悪いのだけは我慢できないってのはお好きな人なら分かるでしょって話。

 マイコンシリーズ、中古市場を見る限りじゃそれほど人気ないし、評価しない人もいるかも知れないけど、そんなことはどうでも良いんである。
 学生時代から愛用してベールスプリング折れるまで使い切ったマイコン302TBもキャリアーNo.1も、縁あって手元にやってきた2人の主人に仕えて楽しい釣りを友にしてくれたマイコン301TBも自分にとっては最高に価値のある格好いいリールで、3台とも使える状態になったし、想い出に浸りながらいつの日か釣り場に再度持ち出す日まで、また蔵で眠ってもらうことにしよう。

 想い出の詰まった思い入れタップリのこのリール達。なんぼ金積まれても売る気はないけど、私にマイコン301TBを託してくれた釣り人の気持ちは歳食ってなんとなく分かってきたような気がしている。
 想い出だけ心に残れば、使ってくれる人にあげるってのは悪くないのかもしれない。



○2018年12月27日木曜日ブログ再掲

安物のダイヤモンド


 706Zに端を発し、トゥルーテンパー727から感染発症したスピニングリール熱のおかげで、この秋から冬にかけての間ずいぶん楽しませてもらった気がする。
 とにかくスピニングリールが欲しい、触りたい、分解したい、使いたい、というやっかいな症状は落ち着いてきている。このまま年内いっぱいで峠を越して生還したいモノだ。
 インスプールのスピニングも面白そうだなぐらいの軽い気持ちで、歩を進めたら、思わぬ深い沼にはまった形だけど、おかげでスピニングリールについて再度学んで考える機会を得ることができた。
 興味深かったのは、自分が使ってきたスピニングリール達を改めて眺めてみたら、その場その場で流されてたまたま手にしたリール達だと思っていたけど、結構、そのリールを手にしたのは必然の出会いだったのかもしれないということ。
 ろくなドラグも搭載されていないけど安くて少年の味方だったダイワに始まり、流行のリアドラグも使いつつ、日本で作られていた晩年の頃の大森ダイヤモンドを選んでいるのも、当時費用対効果を考えれば貧乏学生には当然の選択だったように思う。
 海のルアーの流行に乗っかって、往時は名前書いておかないとシイラ船の竿立てのところで迷子になりそうなぐらいの標準機だったPENN5500ssでPENN初体験。
 その後、小型機種について大森キャリアーが使用不能になった後の後継機選びではウィスカーSSトーナメント600とスピンフィッシャー4300ss(+430ss)で迷ったけど僅差でスピンフィッシャー勝利。その後のおそらく今後も死ぬまで続くだろうスピンフィッシャー偏愛体制に繋がっていく。でも革命機SSトーナメントを選んでいても米国では兄弟機が00年代半ばまで売っていて、この2機種に絞られたのも当時種々悩んだんだろうけどこれまた必然だったんだろうなと思う。
 大型機種で丈夫なリョービメタロイヤルに一票入れているのも、ワシまんざらPENNを盲目的に信仰してるだけってわけでもなかったんだなという気がした。よい子のNAVIも買ってるし。
 でも、それ以降で次にPENN以外のスピニング買ったのが40年前のインスプールスピニングであるトゥルーテンパーだっていうのが、なんといっていいのか。ぶっちゃけ買いたくなるリールがまったく出てこなかったということだと思う。
 耐久性やら手入れのしやすさ部品の入手しやすさなんかを除いて、小型スピニングであれば、15年以上前に買ったワゴン売りのNAVI程度でも一般的な釣り人には4桁スピンフィッシャーよりは使いやすいし、丈夫さも実用上問題ないことぐらいは承知している。定価で3千円ぐらいから1万円台ぐらいの日本製の実用機を買って、モデルチェンジのサイクルにでもあわせて古いのは売っぱらって買い換えていけば、故障もまず出ないだろうし費用対効果も高くて賢い方法なのだろうと思う。道具的にはそれで問題なく快適に釣れるはずだ。
 それでもその快適さよりも、自分のような同じ道具を愛着持って使い続けることに執着する人間が、それを放棄して手を出したくなるようなリールなど出てこなかったということである。
 自分がかたくなにPENNにこだわっていて、凄く良い製品が既に出ているのに不便を強いられているのに気付いていないんじゃないかという恐れは心の端にあった。でも、40年前のインスプールのリールでも投げて巻くのに問題ない性能は既に備えていて、シーバス釣るのに必要なぐらいの機能なら問題なく果たしてくれることを知って、さらには今に繋がる90年代後半のシマノのそれなりの高級機も別に完璧でも何でもなくて、だったら今現時点の良くできたリールも所詮今流行ってるだけのモノでしかなく、その程度の微差を産むためにどれだけの試行錯誤や時間や熱量やその他諸々が費やされたのか、そこに敬意を払う必要は認めるにしても、別に流行を追っかけて慣れ親しんだ機種やその管理体制を捨てる程の利点なんてなくて、アタイ一生PENNについていくノ、と改めて思うのであった。

 思うんだけど、逆にインスプールの単純なややこしくないスピニングに触発されて、本当にスピニングリールに必要とされる機能って突き詰めれば何なのか?あるいは技術的に習熟して補うことによって、どこまで単純な機能のスピニングで釣りを楽しむことができるのかということには興味が出てきた。
 その疑問に一般的な解答を得ることはおそらく不可能だろう。個々人の技量や好み考え方によってスピニングリールに求めるモノは千差万別だろうから「完璧なスピニングリール」とかはあり得ない。
 ただ私個人の中ではそういう1台が”オレがそう思うんならそうなんだろう、オレん中ではな”的にあり得るのかもしれない。特に、とにかくぶっ壊れないことが優先になる大型スピニングじゃなくて、余裕を持って遊ぶ余地のある小型スピニングにおいては、別に第3世代と第4世代のスピンフィッシャーで困ってるわけじゃないけど、もっと自分の釣りに最適化したリールとか逆にもっと削れる機能を取っ払って単純化して技量で使いこなすようなリールとか、そういうのを探っていくのもまた楽しいんじゃないかと思う今日この頃。
 後者の単純化の方向では、多分インスプールでベールアームなしというのが当面の目指すところで、来年からスピンフィッシャー714Zを使いながらその辺意識してインスプールのリールについて習熟していこうと思っている。
 前者の自分の釣りに最適化したリールについては、今一方針が良く分からんかった。今使ってるリールで多少不具合あることもあるけど、そんなもんどってことなくて特段機能的にはこれといった具体的要望があるわけじゃないのに最適化っていってもな?というところだけど、根本的なところで自分がリールにナニを求めているかとつらつら考えていくと、酷い不具合が生じないのは前提として、楽しく面白く気分良く釣りができたら重畳じゃ、っていうのはやっぱりあると思う。
 じゃあナニが楽しく面白く気分良くなることかって考えたら、まずは魚が釣れることだけど、それは今のリールで自分の欲する程度なら充分できてるはず。そう考えると自分の天邪鬼で底意地の悪い性格からいって、人様の思いつかないことができたり、裏をかけたり、素人に理解不能で馬鹿にされるけど玄人衆が「そんな手があったか!」と舌を巻くようなことができれば、心の中でグフフと下卑た笑いを禁じ得ないだろう。
 ということで普通スピニングリールに求められるだろう性能や要素のなるべく逆を行くような天邪鬼なリールを目指せば良いんじゃなかろうか。
 極端にいえば、性能が悪くてすぐぶっ壊れて見た目が格好悪い安っぽいリールである。
 さすがに天邪鬼を自認する私でもそれをそのまま体現したリールで釣りを楽しめる自信はない。
 でも、今時の高級リール様の宣伝文句に踊る「高強度軽量な金属素材」「スムーズで遊びのない逆転防止」「滑らかな回転を生む沢山のベアリング」「精度が高く効率の良いギア」「何かわけわからん横文字の機構」「ご大層なデザイン」「溢れる高級感」あたりなら、あえて「逆に考えるんだ」っていう遊びはできるように思う。ンなもんなくても魚ぐらい釣れらぁ。
 というか、最初の3つに関してなら逆の方が良いんじゃないかと割と真面目に思って書いてきているのは、このブログの読者の皆様ご存じのとおり。

 例えば自分の好きな小型ルアー用スピニングで能力的に優れている3台を選ぶとすれば、4300ss、キャリアーNo.1、ウィスカーSSトーナメント600がベスト3になるだろう。こいつらみんな本体樹脂製でラチェット式逆転防止、ベアリングはラインローラーにも入ってなくて3個か2個と少なめである。
 今の主力機である430ssgは、油が切れたりするとたまに不調になる一方通行ベアリング方式の遊びのない逆転防止機構と錆びそうなラインローラーのベアリングが数少ない気に入らない点であるってぐらい(でも小型リールなら突然逆転しても大事には至らないし、ベアリング錆びたら交換すりゃ済むしなんなら樹脂製ブッシュの大きさあうの探してきて入れてもいいので気にするほどでもないし、理屈じゃないところで好きなので良いんである。)。
 樹脂製の本体とか塩水で使っても絶対錆びないっていうのは、金属では金でも使わない限り塩の腐食から完全に逃れるのは難しいので、そんな大げさな強度が必要されるってわけじゃない小型スピニングでは良い選択だと思っている。
 逆転防止機構については前回書いたとおりでラチェット式とかの方がどう考えても良い。ベアリングについても、なくて良いところに値が張って錆びる部品入れる必要性なんてない。断言するけどない。ローターの所に1個が必須で、後はハンドル軸に1個入れるか2個入れるか、それともブッシュとかで必要な耐久性を確保するかどうかお好きなようにという感じだと思う。

 その3つの要素以外も、ギアは耐久性と精度は良い方が良いんだろうけど、別に普通でいいって話で小型リールならそんなに重くならないし、巻き上げ効率も気にする程じゃないしで、普通でいいよ普通で。1シーズン持たずにギアの歯が飛ぶような粗悪品じゃなきゃいいって程度だと思う。
 何かわけの分からん作った側ですら日本語で必要性や客観的な優位性を説明できない機構なんて故障の原因が増えるだけだからいらんのです。
 デザインはウームという感じ。見た目は重要だけど、コレばっかりは好みもあるからどうともいえん。使ってるうちに最初嫌いでもだんだん惚れてく、なんてツンデレ的事例は良くあることだからどんなのが良いとは言い切れないけど、明らかに減点したくなるのは、なんか見たことあるあるような流行の型に似せたような見た目。
 高級感とか上質感とか、正直ケッて思ってる。あんまりピカピカしてると恥ずかしくって使えねぇって。
 ていう風に考えていくと、今時の高級リール様の逆を行くような天邪鬼リールは充分実現しそうというか、実在しただろう。
 たぶん、一般的な釣り人の感覚で今一番古くさく目に映るあたりの時代のリールがそれなんじゃなかろうか。
 多分今のスピニングリールの軽量金属製高級路線ってダイワのトーナメントEXやシマノのステラあたりからのハズだから、それから金属製が主流になる以前の樹脂製本体の行くところまで行ったあたりの”樹脂製スピニング爛熟期”の80年代終盤から90年代前半あたりに、腐りかけの果実のようなお汁タップリの美味しいスピニングがひっそり実っていたに違いない。

 ということで例によってネットオークションで色々物色して、結構いい加減にホイホイと、3台まとめて買えば送料も安くていいやと聞いたこともないような安パッチいスピニングを落札。一応大森とダイワなら安物でもそれほどアホなリールじゃないだろうと選ぶあたりは、アバンギャルドな無頼派を気取っても結構根元では小心者で保守的なナマジであった。なかなか完全にブランドイメージとかまで払拭してまっさらな気持ちで選ぶってのは難しい。
                   
 でもって1台目は、大森製作所のダイヤモンド「アクションM」という樹脂製の多分ワゴン売りされてたような安パッチい1台。結構ボロくてネジとかも錆びてる、中古で1000円の品。80年代終わり頃とかの製造だとおもうけど当時流行のロングスプールで四角いお尻の造形が、今見ると中途半端に古くさくてかつどこか大森らしい垢抜けない感じもあって今回の趣旨にぴったりで実に良い。
 大森製作所のリールは、日本で作られてた最後の頃のと会社潰れて釣り具量販店J屋グループに吸収された後の時代の「ロングマイコン」というワゴン売りの安リール以外の何物でもないどうにも評価もしようがない代物を購入していたけど、その間の時代、大森製作所最晩年には生産拠点を韓国に移した韓国大森製のリールが存在していたことは知っていたけど手にしたことはなかった。その頃のリールのようである。
 この頃の韓国大森のリールの評判は最悪といって良い。TAKE先生はじめ往年の大森ファンからは総スカンで酷評の嵐である。曰く「大手の真似に成り下がった」「大森の真面目さを捨てた単なる安物」「これは大森ファンの愛したダイヤモンドリールじゃない」等々。
 普通ならそんな酷評を目にしたら買わないんだろうけど、人がダメって言えば言うほど逆らいたくなるのが天邪鬼の困ったところで、地雷踏むの覚悟でいきなり2台も買ってみたところである。
 回転性能だの飛距離だのにこだわるような”うるさ方”が仰ってることなんて自分にとってはあてにならんことが多いし、腐っても大森製作所だし良いところ見つけて楽しめるだろう、ぐらいに考えた。
 さて、手元に来たのをまずは分解清掃だなとバラしていくと、まず本体蓋を留めているネジとかが錆びている時点で全体のデキを察して然るべきだったかも知れないけど、なかなかの安物ッぷりを発揮。
 ドラグは安物なりに苦労の跡が見て取れて味わい深いものが入っている。一番底に皿のような湾曲した金属ワッシャー2枚を向かい合わせて入れてあり、コレが普通ドラグノブに入っているバネの代わりに弾力を備えてて調整幅を稼いでいるんだろう。おそらくABUアンバサダーのハンドル軸に同じようなワッシャーが入っている所からの着想だと思う。おかげでドラグノブが単純な造りで済んでいる。ドラグパッドも1階建て方式だけどテフロンのドラグパッドが入っていてそれなりにドラグとして機能している。ただ、耳付きワッシャーがこれでもかというぐらいに錆びててテフロンと固着していたのはいただけない。写真のどれがテフロンのドラグパッドか分からないと思うけど、一番黒いのが錆がこびり付いたドラグパッドである。
 パカッと本体蓋を開けるとハンドル軸のギアの上には海水侵入したっぽい水玉模様が見て取れる。ハンドル軸で重要なギア側の軸受けはベアリングじゃなくて樹脂製のブッシュかなと思ったら、芯の部分に真鍮っぽい金属のリングが入ってたけどやや頼りないか?ギアは軸だけ堅い金属を鋳込んでた往年の大森の設計とは異なり、安いダイワ製とかと同じくハンドルから伸びる6角形の軸を挿入する方式。
 平行巻機構はさすがにロングスプールなのでクランク方式じゃ往復激しすぎちゃうので減速ギアのカム方式採用。逆転防止はローター軸のベアリング直上の歯に爪を掛ける往年の大森方式でこのリールの数少ない大森っぽいところ。
 ローター軸のギアはベアリングで受けているけど、ベアリングを穴に填めて上からネジ3個で押さえつけているというやっつけ具合。
 オイオイ大丈夫か?と心配になったというか、コリャダメだと思ったのが、本体側のハンドル軸を受けるのにベアリングは入ってるわけないにしても、ブッシュすら見当たらず樹脂製の本体でノーガード直受け。普通ベアリングがないと亜鉛鋳造(ダイキャスト)とかのギアの場合軸が削れていくらしく、だから往年の大森製作所は堅い金属を軸に鋳込んだ真面目な設計を採用してたって話だけど、さすがに本体樹脂の場合は本体削れるでしょ。耐久性とか大丈夫か?
 もちろん、ラインローラーにも樹脂製スリーブとか噛ませてなくて直受け。
 3台もスピニングリールが届いて楽しめるとウキウキだった心が、この時点でどんよりドヨドヨと曇ったのはご想像いただけるだろう。

 もう一台の大森製は、買う時点で多分表面のプリント変えただけの同型機だろうな、という感じだったダイヤモンド「タックルA SS」なので、同じのもう一台もあるのか・・・ハァ。と既に後悔先に立たずな感じになっているが、仕方ないのでバラしていく。ちなみに1500円と予算オーバーだけどまとめ買い送料分を言い訳に買った。新品で売られてたときの価格もそんなモンだろうけど割と美品なので目をつぶる。
 なぜか全くの同型ということではないようで、スプールが微妙に違っていて、替えスプールが手に入る算段すらご破算になりそうな感じ。よく見ると糸巻き量表示が違っててタックルAが2号150mに対しアクションMは2号80mとなっている。
 ローターと本体の大きさは一緒なので浅溝なのかなとスプール交換してみると、スプールの底の出っ張りの高さが違っているようでうまく高さがあわない。糸巻きの部分の幅自体はタックルAの方が若干狭いぐらいの微差で、ワッシャーとかで高さ調整してやれば替えスプールにするのはなんとかなるかもと若干の希望。

 どちらが先に作られたのか分からないけど、タックルAが後に作られたのだとしたら改良の跡が見て取れる。逆なら手抜きの跡であり少し悲しい。
 ドラグがテフロンのドラグパッド3枚の3階建て方式になっていて、ドラグは何の問題もないだろう。スプールの糸巻き部分の幅が若干狭くなって平行巻機構の上下動幅分キッチリ道糸が巻けるようになっているのもライントラブルの防止には効いてくれそう。ローターと本体はバラした結果多分一緒だったけど、スプールは明らかにこっちの方が良い。
 どうも他にも同じような型の「プロフィット」「POSCA」というのがあるようで、スペアスプール確保がてら大森でいう「SS」の大きさの見つけたら毒くわば皿までで入手してみるか。このあたりの大森スピニングについてはさすがにネットにも情報少なくて、何か知ってる人いたらタレコミ情報よろしくです。

 次に、ダイワの「スプリンターマックスST600」というのに取りかかる。
 コイツはどうにもならなかったら「スポーツラインST-600X」用にハンドルだけでも取れればいいやと1000円も出してゲット。
 フットの裏には「JAPAN」とだけあるけど、メイドインなのか企画設計なのかなんなんのか。昔愛用していた緑の救命胴衣に「国産」と表記されていて、そりゃどっかの国で作られたんは確かだろうけどさ、というトホホ感でウケを取る鉄板ネタだったのを懐かしく思い出したりした。
 このリールが、ダイワが生き残って釣り具界を牽引するまで成長した鋭さを彷彿とさせるモノで、なかなかに良い勉強させてもらいましたという感じ。
 同じようにワゴン売りで初心者やら普段釣りをしない客層に売っていただろう安物でも、生真面目な大森製作所が「スピニングリールにはきちんと作動するドラグが必要である」って考えてたんだろうってのが見て取れるのに対し、この頃のダイワは「安リール買う層はドラグなんて使わないでしょ」とばかりに、調整幅も滑らかさもクソもないワッシャー2枚を樹脂製スプールにハメ殺して、ある意味ダイワの安リールの伝統である”ドラグノブ=スプールを固定するためのツマミ”方式を樹脂製本体の時代になっても貫いているのである。平行巻機構もクランク式、ベアリングも1個でハンドル軸両側直接本体受けでブッシュすら噛ませてない。薄っすいワッシャーは多分ガタ調整かなにかで耐久性向上には役立ってないだろう。
 この消費者の求めるモノはなにかということに寄り添い、削れるモノは徹底的に削る姿勢が、弱肉強食の資本主義経済自由競争社会で生き残る強さかもしれないなと思わされた。資本主義って厳しいネ。
 と同時に、この手のリールを普段我々釣り人が使っているリールと単純比較するのは間違いだなとも気付かされた。多分新品でも千円台とかの箱にも入ってないようなリールで、夏休み海に行くから釣りでもするかと買ってみて2度と使わないとか、そういう客層が買う道具に、年間100日釣行とか当たり前の玄人衆が求めるような耐久性なんて求めても意味ないじゃん。だったらその分安くって、それなりにリールっぽい見た目なら上出来ってもんでしょ。
 今回の大森スピニング2台はそういう意味で、道具としてのデキとしては安ダイワより良かったけど、安リールとしての洗練度的には負けてるっていうのが、評価するとしたら一つの評価の仕方かもしれない。安ダイワはその辺エグいぐらいの領域にギリギリまで切り込んでる。多分今の安ダイワも今時の消費者はネットとかで要らん知識ばっか増やしてて耳年増だから、オモチャみたいなデキでは売れんと把握してるだろうから、エグいぐらいに良くできたモノを突っ込んできてるんだろうと想像に難くない。
 もし、韓国大森製スピニングの実力を知りたいなら、その時代の実用機であるタックルシルバーあたりを見てみないとなんとも言えないのかも知れない。
 ダイワやシマノが技術的にも力をつけて、リールとしてはどうなんだ?っていうような安リールも売りさばきながら大きくなっていった時代に、中小企業でしかなかった大森製作所が生き残りを賭けて真面目に経費削減のため生産拠点をまだ人件費も安かっただろう韓国に移して、らしくない安リールも作ったりして努力したけど、広告が今以上に効いた90年代初めとかにTVで番組持って宣伝して大量に売りさばけたダイワやシマノには勝てなかったっていうのは「大森が大森らしい真面目さを捨てたのが悪かった」って決めつけできるほど簡単な話じゃなかったんだと思う。正直真面目に良いものつくり続けてたって、宣伝文句にホイホイ踊らされる日本の釣り人を相手にしていたら遅かれ早かれ潰れてたと思う。かといって世界市場で勝ち抜くには、韓国やら台湾でもリールが造れるような時代にもなってきてたし、もう中小企業の市場戦略程度じゃどうにもならなくなっていくなかで、どっかに吸収されずに生き残れたとも思えない。ABUやらPENNでさえ世界的な企業統合の流れに飲まれて今やピュアフィッシング傘下の1ブランドである。死んだ子の年を数えても仕方あるまいて。タラは北の海だしレバは焼き肉屋である。
 ダイワ「スプリンターマックスST600」にはハラホロヒレハラという感じに正直毒気を抜かれた。タックルシルバー買おうとかいうやる気ももう正直なくなった。まあスピニングリールもそろそろお腹いっぱいだ。

 とはいえ、せっかく我が家に縁あってやってきたリール達。いじくって遊んで楽しんで可能なら使えるリールに改造してみたい。
 まずは、スプリンターマックスから行く。っていってもたいした技術があるわけじゃなし、ドラグをいじるぐらいが関の山である。
 とりあえずハメ殺しのドラグパッドを取り出さなければどうにもならないので、樹脂製スプールをカッターで削って、後刻填め直すときに抜け落ちにくいように対角線上に2カ所だけ削り残す。
 入っていたのは金属と滑りにくい赤い繊維のワッシャー2枚の構成で、ドラグとして機能していたのはむしろスプールの裏側の音出しの赤い樹脂製の爪で、クリックブレーキのフライリールのようなけたたましい逆転音を響かせつつバックラッシュが起こるような回転数上昇をドラグノブ緩めた場合には防いでいる。要するに滑らすか止めるかの2択しかないドラグである。
 この手のドラグの改良はスポーツラインSTで経験済みなので、余ってた中華製カーボンパッドを適当に切って、テフロン仕上げガラス繊維の自作バッドを乗っけて元からあった金属ワッシャーで押さえていっちょ上がり。ついでに抵抗が大きすぎる音出しも先を切って調整しておいた。
 6ポンドナイロン巻いてコイ釣って試したところ、調整幅が狭いのはいかんともしがたいけど、ちゃんとドラグとして機能するようにはなっていた。ただ切って調整した音だしの爪が最初は鳴ってたんだけどそのうち曲がって鳴らなくなってしまって、巻けてるんだかドラグ出てるんだかわからんようになって茂みに突っ込まれたりしたので、帰ってきてからペンチで摘まんで引き延ばして応急処置しておいた。曲がるのも計算して切るか、曲がりにくい素材を接着して補強すべきだったけどまあいいや。

 大森2台の方はとりあえずアクションMの方を使うことにして、アクションMの1階建てのドラグの調整幅はもうちょっとあれば良いのにな、とあれこれ試してみて、一番下にフェルトを敷いて調整幅を稼いで、耳付きの錆びた面にテフロン仕上げガラス繊維のパッドを敷いてやると大分改善した様に感じる。
 コイツはそこそこ”良いドラグ”になった気がするのでナイロン0.8号5LBというこれまで使ったこなかで最も細い道糸を巻いて、コイさんに引っ張り回してもらって試験したところ、まずまず良いドラグといって良い感じなんだけど、ちょっと滑り出しが引っかかり気味かなという感じだった。
 帰ってきて色々考えて、スプールが乗っている座面の赤い繊維製のワッシャーの滑りが悪いのが、直径は小さいけどテフロンとかの良く滑るドラグパッド使う際の低いドラグ値では余分な摩擦力を生じさせてドラグの挙動に効いてるのかもと、とりあえず例によってテフロン仕上げガラス繊維のワッシャーを敷いてみたら良くなったような感じがしたけど、いじってるうちにイマイチな感じになって安定しないなと思ったら、ガラス繊維の縦横に編んだ繊維がほつれたようになって切れてしまっている。
 714Zもスプールの高さを下げるため同じ位置に入れていて部屋での試験段階では問題なかったけど、ドラグパッドみたいな面積大きいのはほつれにくくて大丈夫そうでも、幅の狭いワッシャーとかは強度的に不安になってきたので「モノタロウ」で近いサイズのテフロンワッシャーの薄いのを買って穴の大きさ調整して交換しておいた。
 アクションMにも同様に座面には元のワッシャーの上に薄テフロンワッシャーを重ねておいた。良くなった気がする。
 ドラグも良くなったし、ギアや逆転防止などの機構自体は単純で故障しにくそうだし、ロングスプールで直径も大きいのでライントラブルも少なそう。回転バランスとかも問題ないし、樹脂製の小さいリールなので軽さも充分。防水なんて樹脂製なので金属部品だけグリスシーリングでいける。なかなか使いやすそうなリールなんだけど、いかんせん樹脂ボディーで直接ハンドル軸のギアを受けてるのは削れそうだし、ラインローラーも直受けなんだよな、耐久性はどうにも期待できないなと惜しがっていたら。またも頭に浮かぶお決まりの台詞。

「逆に考えるんだ」

 削れちゃってもいいんだと考えるんだ。
 ワシ別に機械屋でも何でもないので金属加工するような技術を持ってないので、リールのギアやらなにやらを直すような手段を持っていない。
 でも、樹脂ならハンドドリルで削れるし、接着剤も各種あるので、ある程度の単純な加工はできる。やったことないけど多分できる。削れるような強度なら削ってサイズの合うブッシュを探してくるなりブッシュ自体を近い大きさのから削り出すなりして加工してはめ込んで固定するとかできるんじゃないだろうか?ラインローラーは金属で受けてるけどライン噛むぐらい隙間できたらこれも薄いシートか何か突っ込むとか工夫はできるだろうって気がする。
 と思うと、この安っぽい紛れもない”ごみスピ”を使うのが楽しみになってきた。
 まああんまり無茶はさせる気はないけど、いざとなったらスズキでもコイでもあがる範囲の”細糸”でセイゴ釣って遊ぶのに使って、不具合出たらその都度工夫して直していき、直す度に強度が上がって良いリールに仕上がっていくなんていうのは面白いかも知れない。
 なにも遊びの釣りで、ガッチガチの高性能な最新鋭機やら人がうらやむような歴史的名機を使わなきゃならないって決まりなどない。ルアーでもB級ルアーの楽しみがあるように、リールでもちょうど時計の世界でやっすいデジタルの”チープカシオ”なんてのにもけっこう人気あったりするように、ちょっとダメ系の二流の安物を楽しむという遊び方があっても良いし、まあ実際にそういう楽しみ方をしている御仁がいることもネットで知って影響を受けまくってるわけだけど、釣りの場合遊びが自分だけで完結するわけじゃなくて魚も巻き込むので、あんまり程度の低い道具だと道糸切れたりして魚大迷惑だったりするのでどうかとも思ってたけど、この程度のデキの道具なら充分釣りになりそうでかつ不具合にも対処する方針が立ったので、実際に使い始めれば想定外の難問とか出てくるだろうけど、それも含めて面白がってしまっても良いんじゃないかという気がしている。ダメでゴミ箱にぶち込むしかなくなったとしても別にたいしたこっちゃない。


 ということで、スピニングリールについて座学はこの辺でいいやという気がしてきた、後は実際に釣り場に持ち出して、使って釣って行く中で失敗して試行錯誤して考えて学んでいく実践に移っていきたい。釣り道具だもん魚釣ってナンボよ。
 来年は430ssgを使う場面では714Zを使ってインスプール修行を引き続き進めてクンフー積んで、タックルMでセイゴ釣って遊んで学ぶというのをやってみたい。

 いくつかまだ買っただけで放置しているリールもあるけど、また気が向いたときにでもいじることにして、ひとまずスピニングリールネタは終幕。お付き合いのほど感謝。


○2019年1月19日土曜日ブログ再掲

銅・亜鉛・鉄



 オーリーハルーコーンッ!(©手塚神)


 っていきなり叫びたくなったのは、銅と亜鉛の合金である真鍮について調べてたら”オリハルコンの正体は真鍮”説がでてきて、家の鍵のキーホルダーにしているトビーも真鍮だし学生時代から愛用のマネークリップも真鍮だし、もちろんリールのギアとかの部品にもよく使われている真鍮が、伝説の金属オリハルコンだったのかと驚いて、知ることの感動が湧き上がったからである。
確かに海中での戦闘で使う短剣が鋼じゃ錆びまくって手入れ大変だよねと妙に納得した。
 ワシのリール、オリハルコン製の部品使ってるねん、と思うと妙に格好いい気がしてくる。
 真鍮って多少緑青ふいたりはするけど錆びにくくて、キーホルダーなんかで使ってると表面が徐々に摩耗していって実に良い塩梅に渋い光沢を放ってくれて愛着の湧く金属である。

 なんで真鍮の勉強なんかしてるのかっていえば、当然ながらリール関係で、前回樹脂製のスピニングであるリョービ「サイノス」のハンドル軸のギアを受けるブッシュに真鍮製のが使われていて「真鍮ってそれなりに堅いはずだからコレだと亜鉛鋳造の軸の方が削れるんじゃないの?」という疑問が湧いたので調べていたのである。
 ネットでサクサクッと黄銅とも呼ばれる真鍮と亜鉛と、ついでにリールではよく使われる金属素材である鉄系合金のステンレスやアルミ合金なんかについても堅さや特徴などを調べてみた。高校の技術の時間に習ったようなおぼろげな記憶があるようなないような気がするけど、昔日の記憶はすでに霞の向こうにあり頼りにならんのでウィキペディア先生とかに教えを請うた。

 サクッと調べたところでは、硬さを表す「ブリネル硬さ」という指標だと、

・ステンレス180
・アルミ合金(7000系、超々ジュラルミン)155
・アルミ合金45~100
真鍮(銅と亜鉛の合金)黄銅80~150
・亜鉛 銅と同程度かややもろい 
ぐらいとされているようで、亜鉛が真鍮よりことさら弱いという数値は出てこなくて、自分の中の印象と違っているので違和感を感じた。
 真鍮はそれこそローター軸のギアには最も一般的に使われている金属なぐらい、強度や耐久性に優れ、かつ堅すぎずに切削加工でギアの山とか加工しやすく歯車系の金属部品には向いている印象があったけど、亜鉛はそれよりもろく柔らかく、融点低いので溶かして型に入れて固める鋳造(ダイキャスト)には向いてるけど、真鍮と摩擦するような使い方すれば亜鉛が負けて削れていくのではないかという印象を持っていた。
 亜鉛はヘタすると一般的にグラファイトボディーとか呼ばれている樹脂にガラス繊維やカーボン繊維を混ぜて強化した樹脂製の部品にも負けて削れるんじゃなかろうかという気が、写真の安ダイヤモンドのハンドル軸のギアをみてしていた。右が結構使い込まれていた「アクションM」のもので左が新品同様の「タックルA」のギアなんだけど、写真じゃイマイチ分かりにくいけど、右のギアの軸の樹脂ボディーで直接受けている部分がちょっと細くなって先端が削り残ってやや太くなってる気がする。
 真鍮相手ならもっと削れるんじゃなかろうか?と思ってアクションMのギア側の軸についている真鍮を芯にしている樹脂製ブッシュを外してみたらワシの過ち発見。
 真鍮が芯に入ってると思ってたら、実は薄っぺらい銅製のワッシャーがガタ調整かなんかで入ってただけで、このブッシュ樹脂製だ。
 嘘ばっかり書いててスイマセンと、またも頭を下げるナマジであった。堪忍してつかぁさい。アクションMもタックルAもギアの側の軸受けのブッシュは大きな樹脂製でした。
 やっぱり亜鉛の軸を真鍮のブッシュで受けると亜鉛が負けるから、大森製作所はブッシュを樹脂製にしたんじゃなかろうか?亜鉛も樹脂もある程度削れる素材なので、樹脂製で回転も少しするブッシュを噛ますことで軸と接する面積を増やして分散させ削れる速度を遅くして長持ちさせようという設計思想なんじゃないかと思う。樹脂の方が先に削れてくれるなら、まあこの手の安リールじゃ買い直した方が早いんだろうけど樹脂ブッシュの交換で使い続けることができる。

 しかし亜鉛が真鍮との摩擦で削れるとすると、ネットでお勉強した亜鉛が真鍮と比べてそんなに柔らかくももろくもないという記述とは反するので何でだろうと考えていたら、思わぬ所から答らしいところにたどり着いた。

 スピニングリールはもう買わないというのも、ありゃ嘘で、また性懲りもなく1台買ってしまったんだけど、今回は「スペアスプール確保がてら見つけたら買うかも」とか書いていた安ダイヤモンド同型機なのでこれまた堪忍堪忍。
 2台目のタックルAであるコイツが、新品同様だったにもかかわらず、とんでもないハズレ個体で、まあシールが剥がれるのは大森とPENNじゃお約束でそういう仕様なので仕方ないにしても、クルクルカシャカシャと逆転防止の確認中に何か囓ったなという感触があったと思ったら、逆転し始め「アッこれはヤバい」と慌てて分解したら、ローター軸のギアの直上に鎮座している逆転防止用の亜鉛のパーツがボロボロに削れて爪が掛からなくなっていた。
 ちょっと引っ掻いただけでもボロボロと崩れるぐらいにもろく、あきらかにスが入った不良品である。こんなモンを出荷しているような品質管理体制ではそら大森製作所潰れるって。生産拠点を人件費安かったであろう当時の韓国に移すなんてのはべつにどこのメーカーもやってたような話で批判の対象にならないと思うけど、そこで作られ出荷された製品の質についてはまごうことなく大森製作所の責任だろうと思う。マレーシア工場製のシマノ「NAVI」もインドネシア工場製のダイワ「早船」も同社の名を汚さないデキだったと買って感じたのと対照的である。製造業で不良品売るようなところが長生きするわけがない。別に安物売ったってかまわない。そこにも商機があるなら商売だもん売りゃ良いさ。でも道具として機能しない不良品を売ったらダメだってって話。樹脂製でも亜鉛のギアとの接点は負荷の掛かるギア側はボディー直受けじゃなくて樹脂ブッシュ噛ませてたり、ドラグがちゃんとしたの入ってたりと安リールでも設計に大森の生真面目さを感じるリールだけに頭にきた。たまたまこの1台だけをみて断じるのは間違いかも知れないけど、1台そういうのを出してしまうことが信用に関わる、という話だと。
 これが”答”とどうつながるのか?というと、要するに亜鉛が金属素材として同条件で比べたら真鍮よりそんなに柔らかくもないのに、なぜもろく削れる印象があるのかっていったら、おそらく円筒状の素材から切り出したり切削して作っている真鍮のギアやブッシュよりも溶かして鋳型に流し込んで作っている亜鉛鋳造のギアの方が”製造方法の違い”でもろく柔らかく削れやすいってことなんだと思う。
 よく高級リール様が鋳造(ダイキャスト)じゃなくてマシンカット(切削)や延ばして鍛造で作ってるんで丈夫なんですって宣伝してるけどその逆で、亜鉛を鋳造して作るとなると、どうしても製法上冷やす段階で縮んでムラができたり最悪スが入ったりして、もろくなるんだろう。
 もちろん亜鉛ダイキャストのギアは広く使われていてちゃんと作られていれば強度上問題ないハズなんだけど、製造において温度管理とかによって強度に差が出てくるなんてのは、これは鍛造の話だけど昔の刀鍛冶が焼き入れするときの水の温度を盗もうと水に手を突っ込んだ弟子の手を叩き切ったなんて逸話からも分かるように、微妙なさじ加減が必要なはずで、不良品も出てくる製法なんだと思う。と同時に鋳造じゃない真鍮やらステンレス系の部品より削れやすいし、ひょっとするとアルミ合金や樹脂製の部品にも負けて削れる場合もありそうだ。というのが今のところの私の整理である。
 ということは、亜鉛鋳造一体成形のハンドル軸のギアを使うスピニングリールにおいては、昔の大森のように堅い素材を軸に鋳込んだりはしていないので、亜鉛の軸が削れないようにするには樹脂製の柔らかいブッシュを噛ませて交換して使うというのもありかも知れないけど、今時それ程高価な部品でもなくなっているボールベアリングを右左に噛ませてしまえば軸が摩擦で削れることが防げて現実的な解決策なんだということが理解できる。実際には亜鉛の軸を真鍮で受けたって削れるには相当な時間が掛かるはずで幅とかの設定で摩擦面積増やして削れにくくして実用充分なリールに仕上げることはできるのかもしれない。それを実証するには試験だの何だの面倒臭く、かつ買い手はベアリングをありがたがるんだからベアリング入れときゃ間違いないって話で、亜鉛鋳造一体成形のギアならスピニングリールに必要なボールベアリングの数は3個が現実的なのかもしれない。と、思ったところである。

 思ったんだけど、じゃあ手持ちの安ダイヤモンドにボールベアリング2個突っ込むかというとそういう気にはならない。せっかくの樹脂製で軽いという利点を損ないかねないし”ベアリング数を増やす”なんていう改造は下品で頭が悪い印象があるので好みじゃない。

 以前アンバサダーの真鍮製ボディーでクソ重い「6500CSロケットクローム」という両軸リールをいじってたときに、軸を受けているカップ側の端が銅製のブッシュなので「飛距離アップ、巻き取りをスムーズに」を謳って交換するための適合するボールベアリングがネットで売られているのを見た。一瞬買いそうになったけど「まてよ、アンバサダーってウルトラキャストデザイン以降キャスト時には軸は回らないんじゃなかったっけ?」と思って分解してみたら、やっぱりキャスト時軸は回らず、当然回転するスプール自体には既にボールベアリングが2個入れられている。投げる時回らないところにボールベアリング入れても飛距離には関係ないし、巻き取りぐらいはブッシュで充分滑らかだ。アホかとおもうよね。
 ベアリングの数が増えればありがたがるベアリング信者のバカを狙った詐欺的商売と言って良いだろう。とはいえこういうのは騙されるのが悪いんであって、騙されても本人気づかなくて満足しているなら問題生じないので勝手にやってくれという感じだ。けど、そういうバカにはなりたくないので、ベアリング数増やすのは最後の手段としたい。

 ということで、アクションMのギア側の純正の樹脂製ブッシュは削れたらおいおい考えるとして、削れ始めてるようにも見える反対側の樹脂製本体直受けの部分を交換可能な樹脂のブッシュを入れて、削れたら交換して使う方式にしてみた。
 難しいことはやりたくないので、ハンドルをとめる蓋兼ネジを外して見えているハンドル軸のギアの端にきつめにジュラコン樹脂製の輪っかを填めて、ハンドル軸はこちら側ではどことも摩擦せずジュラコン樹脂と本体が摩擦してどちらかが削れる方式とした。ジュラコン樹脂が本体に負けて削れる場合は削れたら交換ですむし、勝っちゃったらまた考える。
 外側の直径はピッタリのが手に入ったけど、穴の径が狭くてギアの端が入らないのでハンドドリルのヤスリでドリドリと時間を掛けて穴を拡張してちょうどはまって動かない様に加工。
 ジュラコンかなり堅い樹脂でドリルで加工するのも時間が掛かったけどその分頼もしい感じがする。本体と接する外側はテフロンのようにつるつるしていて摩擦少なくて良さそう。
 ちゃんと真ん中に填まってくれたようで、組み立てたリールの回転も問題なく滑らか。
 
 ついでにと、スプールの方にも手を入れてみた。
 平行巻機構の往復幅に比べてややスプールの糸巻きの部分の幅が広いので、スプールの高さを座面のワッシャーを薄くすることで下げて上にラインを寄せるとともに、スプール下面にワンカップ蓋製の土星の輪っか状のスペーサーを噛ませて底上げしてみた。半透明のワンカップ蓋をウレタン接着剤でくっつけたのでやや見た目がアレだ。でも、スプールの上の端はラインが当たる場所なので抵抗なく滑らかにつるつるの美しさを保ちたいところだけど、下面はどうでも良いちゃいいので適度な”やっつけ感”が出ててよしとしておこう。
 もともとのスプールにはテーパーが付いているので、下巻きを座面のワッシャー抜いた上巻き状態で巻いてならしておいた。
 ついでにラインを留めるパーツが欠損していたので、ワンカップの蓋の余りを利用して成型してくっつけた。ワンカップの蓋ドラグパッドにスペーサーにライン留めにと万能の素材である。割り箸とともに使える身近な素材として評価うなぎ登りである。惜しむらくは酒飲まなくなって久しいので料理酒として使う程度では数が確保しにくいことか。
 まあタッパーの蓋でもペットボトルの蓋でも良いんだろうけどね。
 という感じでせっかく我が家にきてくれた安ダイヤモンド。しっかり使って楽しもうと着々と手を入れて改良だか改悪だかまだ使ってみないと分からないけど遊ばせてもらってます。

 こうやっていじくれる楽しさがあるだけでも、今時の、おまえは恩返しにきた鶴かってかんじの”開けちゃダメ”系の高級スピニング様より持ってて楽しい道具だと思うんだけどね。

(2019.2)


○2019年2月24日日曜日ブログ再掲

やめられないとまらないッ♪ダッイヤモンド♬


 かっぱえびせん風に始まっちょりますけど、今回もスピニングリール熱にうかされての「こんなモンを買った」的しょうもない記事でございます。お目汚しを。
 マニアックなリールネタ、ワシみたいなオタクな人間しか読まんだろうと思ってたけど、もともとこのブログの読者であること自体が相当にマニアックなせいか存外読まれているようで、それならばと遠慮なくスピニングネタ連投させていただく予定。まあ釣り具って魚釣れりゃ良いジャンとも思うけど釣り人ならこだわっちゃう部分だよネということでお楽しみいただければ幸い。写真のリールがなんなのか?は後半あたりに出てくるヨ。



 なんというか、朝起きてネットオークションサイトとかで新着のスピニングリールを確認するのは習慣になってしまっていて、12月ぐらいからかれこれ3ヶ月ぐらい見続けているので、だいぶ目が肥えてきた。
 みていると、案外人気のある機種って限られていて、なんでコレが値段付かないの?ってのが結構あったりする。
 以前書いたようにそういうのでも自分が入札参加すると値段が釣り上がって安くは落札できない。と、羨ましい落札価格を横目で睨みつつ指をくわえていたんだけど、なんか写真写りがイマイチで全然入札されないままのがたまたま目について、ものは試しと入札してみたら開始価格の1500円のまま落札できてしまった。
 人気の大森製作所ダイヤモンドリール「タックルオート」のNo.1サイズである。
 配送されてきたモノは、赤土コマセでも使ってたのか”土汚れ”が付着していたけど、分解清掃したところ機関良好で見た目もそれ程悪くない。
 以前外側ボロッちい個体を500円で落札したオートベールの普及版的なリールだけど、オートベールではワンタッチボタン付きのスプールになるのとベアリングが2個になる程度の違いで、タックルオートは大森ダイヤモンドではお馴染みのハイポイドフェースギアでローター軸のギア直上に歯を掛ける逆転防止機構、真鍮製ブッシュで受けられた硬い鋼製の軸にねじ込むハンドル、樹脂製スリーブ入りラインローラー、折りたたみ収納できるベールワイヤー。という基本機能をそろえた”マイコンシリーズ”以前のダイヤモンドリール標準機という印象のリールである。
 このタックルオートのインスプール版が超人気のコメット、樹脂版がこれも超人気のキャリアーで、タックルオートも大森が一時期値段上がってたときにはだいぶ良い値段してたようなので、今でも状態良い箱入り個体とか2万円近い開始価格のもあったりして、多少見た目アレな個体でも1500円で買えるとは意外だった。
 ハッキリ言って中古市場の値段なんて、リールそのものの価値やらなにやらとはあんまり関係なくて、単に人気があって誰かが使ってるとか、もっとぶっちゃけ値段が高くなっているからありがたがっているっていう泡のような相場で意外に良いリールでも人気なくて安いのはある。
 大森製で今でも異様な値段が付いているのは、コメットGS・G1とキャリアーの一番小さいSSサイズで、他はインスプールのマイクロセブンやウォームギア機のプロラインの小型もそこそこ、オートベールとタックルオートとマイコンのSSサイズもそこそこのお値段だけど、他は普通の多少くたびれた程度の品なら、5千円も出しときゃ買えそうだし、3千円以下の掘り出し物もけっこうある。
 コメットやキャリアーが高止まってるのは、大森が傾きかけて人気が陰りつつあった時代の機種なので弾数がかぎられているのも一因だろう。その逆でロングセラーのオートベールやらタックルオートや高い人気を誇ったマイコンは中古の弾数多いのでよく使われていたNo.1サイズとかは欲しい人間にはあらかた行き渡ってて、当時バス用には小さすぎてそれ程売れなかったと思ってるんだけどSSサイズが、今時の細糸つかったウルトラライトな各種の釣りに応じたリール需要と合致して値を上げてるんじゃないかと中古ダイヤモンドリールアナリスト(経験3ヶ月)としては分析している。
 No.1サイズ、充分小さいし下巻きぶち込めば渓流でも使える、っていうか実際キャリアーのNo.1渓流に使ってたのは以前書いたとおり。PENNで言えば4300ssサイズ、国産リールなら2500番に相当するだろうか?バス釣りにも軽めの塩水系の釣りにも使える汎用性の高い大きさでッセ。
 コメットだのキャリアーだの今更買うんなら、欲しけりゃ買えば良いけど、オートベールだののSSサイズ以外とかを安く買って楽しんだ方が、ダイヤモンドリールの単純でも手を抜いていない良さとかを知るには充分だし楽しいと思うんだけどどうだろう。シーバス用ならNo.2ぐらいが2号(約8ポンド)200mの糸巻き量でちょうど良いサイズか。

 と人様にお薦めするのは、スピニングリール熱が悪化しまくってどうにもならないので、読者の皆様を一人でも多くこの沼に引きずり込んで一緒に沈んで楽しもうという、沈みゆく人間の悪あがきなんである。
 なんせ2月は魚が釣れんかったから、道具いじくってるぐらいしか楽しみがなくって、暇さえあればスピニングリール買って分解して清掃して、クルクル回して「ハ~ッ・・・良いッ!」とかつぶやきながらニマニマしておりましたとさ。

 でもって、もう1000円縛りとかとうの昔に忘れ去って「安くて良いダイヤモンドはないかね」と南アあたりをうろつく宝石商みたいなことを考えながらネットの海をさまよって、またこれがなかなかのブツをゲットしたったですとよ。

 へっへっへ冒頭の写真のとおりリールマニア筋には人気の小型インスプールでっせ。お値段ちょっと張り込んで2200円。また例によって2000円前後の落札価格と読んで2100円まで入れてくる競合者をキッチリ100円差でかわしてハンマープライス!
 上の写真のとおり、れいによって潮カブって放置してました系の表面腐食で左サイド塩吹いてて、機関も不動のジャンク品となってたけど、何度も書くように大森のリールが潮カブって放置したぐらいで使用不能になるわきゃなくて、実に狙い目の美味しい獲物。
 見た目なんてどうでも良いじゃんと、正直思わなくもない。そう思って買ったばかりのアンバサダー5000をリール下にしてコンクリの上に置いてF師匠に「リールの扱い方がなっとらん」とお叱りを受けたりもして、リールは砂埃とか入れば故障の原因だし、そういうことを気をつけてない証拠がリールの傷や汚れなのでリールの外見もなるだけ綺麗に保たねばならんし、道具を大事に扱うのは何事においても基本だと学んでいくんだけど、自分が不注意で腐食させたスプールとかとっても恥ずかしく思うけど、他人が腐食させたり傷付けたりしたのを使う分には平気である。他人にどう見られようが、自分が犯した過ちのせいじゃないのは自分が知ってるので気にならない。オレが赦せるかどうかだけが重要だろ?てなもんである。
 見た目格好いいかどうかは趣味の道具において重要だけど、ピカピカの新品みたいなのがいつでも格好いいかといったらそうでもなくて、古いリールなんてのは経てきた年月に相応のボロさが格好良かったりもするんである。コレクションの価値としては新品箱入り娘が高いんだろうけど、実釣の相棒とすることを考えるなら、ことさらに処女性をもとめる童貞野郎のように未使用とかにこだわる必要などないと思うんだけどね。相棒にするなら相性が大事でそんなもん使ってみなけりゃ分からんって話だろと。中身が大事だろと。
 こいつの名前がまたイカしてて「マイクロ二世301」といって、マイクロセブンの後継機的な位置づけで出したけど、あまり売れなかったのか生産された期間も短そうで弾数少なく知名度も低いようであんまり人気もないようだ。
 いかにも昭和骨董的な雰囲気の大森インスプールの銘板に漢字で「二世」とあるのがなんとも趣がある。メカに漢字っていうのはアニメ「コードギアス」の「紅蓮」のオペレーティングシステムみたいでどうにもオタク心をくすぐる。
 大森製作所にはどうもアニオタいたんじゃないかと疑われる節があって、リールの命名に「タックルファイブ」とか「タックルエース」とかあるのをみると「ボルテスファイブ」とか「ダンガードエース」とか思い出してしまうのはワシだけじゃろうか?もちろん「二世」で思い出すのは「バビル二世」。マイコンは良くわからんけどコメットは「コメットさん」ってアニメじゃないか。ドルオタもいたのか?と疑問に思ってググったら驚愕の事実が発覚、「コメットさん」原作は横山光輝先生やったんや!バビル二世と原作者一緒という原作者繋がりがでてきた。大森製作所には横山ファンがいたのかもという仮説に基づいて横山光輝作品をウィキってみたら冗談のつもりがホントっぽくなってきた。「マイクロ7」の”7”はラッキナンバーでありがちな数字なので「地球ナンバーV7」と関連づけるのはこじつけかもだけど「プロラインNo.101」の”101”を「その名は101」と関係あるとみるのは、他のリールがNo.1とかとなっているのに加え、プロラインがハイポイドフェースギアの得意な大森製作所が高級機種として満を持して放った”遅れてきたウォームギア機”で意外に新しく「その名は101」が「バビル二世」の続編なのと符合しすぎるぐらい符合してくる。ってのは妄想だろうか?当時の大森関係者に誰かその辺聞いてくれないだろうか?まあそんな取材機会があったら他にも技術的なこととかいくらでも聞くことあるだろうけどさ。
 思いっきり脱線したけど分解清掃に話戻すと、左巻き専用機でパカッと蓋を開けると、ギアはいつもの大森ハイポイドフェースギアなんだけど、平行巻機構がギアのある面の空いてる隙間に突き出した出っ張りで上下させる方式。この出っ張りにも真鍮製のスリーブが被せてあって、とにかく回転して摩擦が生じるところにはスリーブかブッシュかワッシャーをというのが徹底されていて、この辺が大森製作所がファンをして”真面目な機械屋”と称され愛される理由だろう。
 もちろんラインローラーにも樹脂製スリーブ入り。
 ここまで大森ダイヤモンドリールを何台か分解清掃してきて、いつも感心させられるのは、ドラグがしっかりしていることで、フェルト製にしてもテフロン製にしても、経年変化による劣化が少なく、グリス塗り直してやれば見事に何の問題もなく使えてしまう。正直、機械部分は人様の説明読んでそうなんだ~と思うぐらいで良く分かってないんだけど、ドラグは単純な機構なのでさすがにライン巻いて引き出してみりゃある程度分かる。
 素材選定において、間違いなく何十年と使う愛用者のことを考えていたとしか思えず、今時の10年そこらで劣化する素材を使ったリールやら、今後も供給されるか定かじゃないというか供給されないだろう、わっけの分からん素材を使ったリールやら作ってる会社は、供給安定していてなんならドラグなんか自作もできるような一般的な比較的安価な素材使って実用性抜群の耐久性もあるリールに仕上げていた大森製作所のリールの、古くなった固まったグリスでも煎じて飲んでおけと説教したくなってくる。イヤーねぇ昭和のオッさっんは説教臭くて。

 ただ、真面目な機械部分については定評あれども、意外にライントラブルが多いとかTAKE先生とかの玄人衆には使用感にダメ出しされてたりもするのがダイヤモンドリールの可愛いところ。
 私などはある程度熟成された後期の製品であるマイコンTBシリーズやキャリアーを使ってたおかげか、そのへんあんまり不満はなくて”普通に使える”としか思ってなかった。
 ただ「二世」となってるぐらいで、このリールは結構そのあたりも改善されているように思う。”一世”のマイクロ7では重量分散でラインローラーと反対側に持ってきたベ-ル反転機構にラインが絡むとかは、その後のプロラインやコメットではカップが深くなって改善されたとTAKE先生解説にあるけどコイツもカップは深め、そしてベールアームのローラー固定しているナットは六角ナットから円錐を2カ所削ったナットに変更、スプールはワンタッチボタンなしのタイプとキッチリ宿題やってきた優等生になってるように見える。あとは実釣でどうなのか試してみたいけど、このリール使うような渓流の釣りに今後いつ行けるのかわからんので、実釣での報告はまたの機会にということで。
 渓流でもメインのリールはどうせPENNだと思うけど、ダイヤモンドリールの地味に良いところはベールが折りたためてコンパクトに収納できるところであり予備機として持っていって使ってやろうと思う。今回紹介した2台も機構は違えど折りたたみ式のベールを備えていて、後期のマイコンとかはベールアームの下のボタンをスライドする方式だったけど、それ以前はベールアームが返ってアタるところの出っ張りを押し込んでベールをたたむ方式になっている。

 とまあ今回、大森ネタでいってみたんだけど、スピニングリール熱こじらせて急性の”大森熱”も発症してしまっているようで、まだ紹介していないダイヤモンドリールが4台もござる。どうすんのよ?
 コレどうすれば治るのか?あるいは不治の病なのか闘病生活はまだまだ続くようなので、次回も大森ネタ連投の予定。
 「使えない大森を2台落札!そしてナマジは途方にくれる!!」にご期待下さい。 

3 件のコメント:

  1. こんばんわ。お久しぶりです。
    沼に沈んでいくナマジさんが心配です……

    ……が、それはそれとしてマイクロ二世301は良いですね。
    大森インスプールの最高峰はコメットorプロライン101という主張が世間の主流派ですが、自分的にはマイクロ二世301は両者に並ぶ最高峰大森インスプールの一角であると思っています。
    マイクロ二世301は左巻きor右巻きの専用設計のおかげ(によるオシレーション機構の差?)でコメット(タックルオート)よりもスプールの上下方向のガタがかなり抑えられています。
    ↓竹中先生が過去にそのあたりの差を検証しているページです
    http://www5c.biglobe.ne.jp/~take300/BB-ST-J.htm

    ローターの軽さならコメット、ウォームギアフェチならプロライン、
    プロライン並に各部のガタが少なくハイポイドフェースギアの巻き上げ力を求めるならマイクロ二世301。
    加えてコメット、マイクロ二世301ついでにマイクロ7No.201あたりの大森はスプールをはじめ各パーツに互換性があり色んな意味で楽しめます。

    No.1クラスの大森は万能機ですよ↓。
    https://www.youtube.com/watch?v=S7Lwz0i4M1s

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    1. nori shioさんこんにちは

       順調に沈んでいってます。でも大丈夫。沼の底にもnori shioさんみたいな仲間がいて楽しそうだから。

       やっぱマイクロ二世301はその筋の人からみても良いリールなんですね。経験3ヶ月にしては良いところ狙ったかな。

       パーツ共有の話は実は次回のネタの一つです。実際に買ってスプール交換できるかとか試すという泥沼な作業に突っ込んで行ってます。息が苦しい。
       手ひどい失敗もやらかしていて、そのあたりも他山の石となればと次々回あたりに書きます。

       1個リールを買う毎に「もうこれで終わりにしよう」と後ろ暗い不倫関係のように、あるいは禁煙・禁酒のように反省するのですが、3日と持ちません。2個を友人にプレゼントしたら1個もらい、2個無期限借用してたのを持ち主に戻して、1ッコ売ってそれでもまだ制限値を3個越えており、今日また1台届く予定。何とか減らしたいんですけどPENNの4500SSとか大森のフリッパーとかもらってくれませんか?と人に重石を渡そうとしたりして。

       魚さえ釣れ始めれば症状は治まってくれると思うので3月は攻勢かけたいところです。
       しかし川のヒラスズキは私も釣りましたがエラい釣り場環境が違うので羨ましいです。まあドブでも楽しめる節操のない人間ではあるんですが。

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  2. また嘘書いてました。
    プロラインは結構発売早くて、76年のカタログにNEW-TYPEの文字が、マイクロ二世の登場は78年とその後のようです。
    まあ、アニメネタはナマジの妄想と読み流しておいて下さい。
    ゴメンねッ!

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○2019年3月3日日曜日ブログ再掲

おかわりっ!大森で



 大森製作所が世に送り出したダイヤモンドリール達のうち、どの機種が同社史上最高の傑作だったのか?”究極の一台”はどれか?なーんて書くとエラそうだし重くなるけど、そういうのをワイワイ「オレならコレだ」「いやいやアレだ」とやるのって結論あるようでなくって、言いっぱなしでも根拠もオチもなくたって楽しいジャンとおもってサクッと書き始めてみる。

 nori shioさんも書き込みしてくれていたけど、沼の底に沈んでいる濃いめの大森ファンのブログとかを読んでいると、TAKE先生も絶賛、大森最後のインスプール「コメット」が最高とされていたり、大森にしては珍しいウォームギアが滑らかに回る高級機種「プロラインNo.101」こそ大森の最高傑作と推す声もある。ワシの持ってるマイクロ二世301もそれらに並べてよい機種だとはnori shioさんの見解。
 いやいやインスプールならそうかもしれないけど、大森史上最大のヒット作っていったらマイコンシリーズなわけで、マイコン以外はあり得ないでしょと思う人もいるだろうし、アウトスプールなら小型軽量コンパクト、某”カリスマ”ルアーマンも愛用で人気の高いキャリアーSSが一番良いから一番オクで値が張るんでしょ?と思う人もいるだろう。
 以前私は、「生産性に優れて性能もよいハイポイドフェースギア方式、確実な内蹴り式のベール返し、錆びないし小型軽量な樹脂製スリーブの入ったラインローラー、3階建てのドラグ、単純で確実性の高いローター軸のギア直上のラチェットに歯をかける方式の逆転防止機構、ローター軸(と機種によってはハンドル軸)に一個のベアリング。手入れもなしに放置しても塗装が多少やられる程度の耐久性のある素材。小型リールには充分実用的な単純クランク方式の平行巻機構」を備えた、オートベールとタックルオートあたりが小型スピニングの一つの完成形じゃないかとかも書いた。じっさいこれらを大森のアウトスプールの最高到達点だと推す声も目にする。
 このあたりはまあ妥当な線だとはおもうけど、思うんだけど常々私が主張しているように、良いリールなんてのは釣り人との関係性の中からしか生じ得ないモノで、どんなに世間一般に不評だろうが、その釣り人が愛用してきて一番好きならその人の中での一番はそのリールになるんだろう。「俺が好きなんだからコイツが最高!」って意見は客観性を持った説得力はないにしても、大いに頷けるし気持ちは良く分かる。
 私がコレから安ダイヤの「アクションM」と「タックルA」を使い込んでいって、「オレのダイヤモンドはアクションM」とか言い始めても「ハイハイおジイさんそうですね」とウロ入り始めた年寄りをいたわるような目で見てあげて欲しい。


 とはいえ、一般的に大森ダイヤモンドが高く評価される点は、単純な機構に丁寧な設計と適切な素材選定で”必要充分”な、無駄なく実用的で値段も良心的なスピニングリールを世に送り出してきた点だとは言って良いかと思う。
 マイコンあたりはリアドラグにした分やや複雑な機構だけけど、それでも、その後の行き過ぎたゴテゴテしたリール達と比べれば充分単純明快なリールである。最近のリールは原点回帰で軽さとか回転性能とかが重視される傾向にあって、あんまりめんどくせぇ機構は付いてなくて逆転防止の切り替えも省略とかになってたりするけど、そのくせ部品点数としても多くて重く、繊細で扱いにくく防水性とか過剰に求められるようになる「瞬間的逆転防止機構」だけが現代のリールに存在する大きな矛盾点だと私は思っている。逆転防止なんて大森方式のローター軸の部品に歯を掛ける方式でも、それ以前のハンドル軸に設ける方式でも特殊な用途以外には困らないし、カリカリ鳴ろうがガチャガチャしようが慣れればどってことない程度の話である。
 そういう”必要充分”という視点で自分の釣りに照らし合わせて、さっきあげた小型アウトスプールの大森ダイヤモンドの美点をもう一度点検してみる。最初の前提としてアウトスプールを選んだのは、最近インスプールの扱いにも習熟しつつあるけどやっぱりアウトスプールの”ベールを手で返して良い”スピニングの方が馴染みがあるし、そういう釣り人の方が現代では多いんじゃないかと思って、インスプールはまあ語る人も多いのでそういうのは沼の深みに棲む人達にお任せして、私としては”左手でライン放出を調整してそのまま左手でベールを手で返す釣り人”代表として大森アウトスプールについて考えてみたいと思ったからである。
 点検してみると、ベアリングが1個が良いか2個が良いのかっていうのがなかなか難しい問題で、回転性能的にはそんなに差が出ないのはPENNで回らなくなったローター軸のベアリングをハンドル軸に回したら何の問題もなくて、ハンドル軸には回転性能だけ見たらベアリングなんて、少なくとも自分の釣りには必要ないと思っている。ただ、ベアリングの”摩擦が小さくできる”という特性は耐久性にも関わってくるのでベアリングなしだと軸が削れていくのでは困ってしまう。そのあたりは具体的にはベアリング1個のタックルオートと2個のオートベールのどちらを選ぶかなんてのに関わってくる。
 他はほぼ自分の釣りにも有利な美点なんだけどベアリングの他にもう一点、自分の釣りにあきらかにいらないな、というのがあって「確実な内蹴り式のベール返し」がじつはワシにはいらんのじゃないか?と思っている。
 不要なら取っ払える機能なので取っ払っても良いんだけど、重量変わると回転バランスに影響するはずなので”無し”でいくなら最初からない方が良く、部品点数減るのでその分故障箇所や経費の削減という利点が出てくる。
 右手の人差し指でラインの放出を調整して左手でハンドル回してベールを返す釣り人ならベール返しが確実で軽いことは重要でTAKE先生のリールの評価基準でも思いっきり重視している点だけど、そこは人差し指でライン放出調整できないような重いルアーとかも投げる塩分濃いめの釣り人である私には正直関係ないっちゃ関係ない。
 事実、昨年秋にインスプールのリールに慣れた手で430ssgを使って右手人差し指でライン放出止めてハンドル巻いてベールを返そうとしたら、なぜか空振りしてしまい投げ方を元に戻して左手でベール返して釣りは続行できたんだけど、部屋に帰ってから原因調べてみたら内蹴りのベール返しの組み方を間違えてて機能しなくなっていた。おそらく数年前に油ぎれ起こした一方通行のベアリングに注油がてら全分解してグリスアップしたときに組み間違えたんだと思うけど”ベール反転機構なし”の状態で気がつくまで何の問題もなく使用できていたのである。ついでに言うなら4400ssはワシの右手の人差し指じゃスプールまで届きにくいというTAKE先生的評価基準ならダメリールなんである。でも私の中での信頼感と評価は極めて高い。ってぐらい釣り人毎に最適な答って違ってくるよって話。
 実は仕様で”ベール反転機構なし”というスピニングリールなんてのもあったりする。起こすのも返すのも手でやるマニュアル方式。なぜこんな一見”欠陥品”のリールが売られているのか?重量級のルアーを投げるリールで、投げた際にハンドルが回るなどしてベールが反転してルアーが初速のエネルギーを持った状態で急ブレーキがかかりラインが切れたり逆転機構の破損やらが起こるというトラブルはありがちで、私も7500ssの逆転防止機構は2度壊している(それを想定してだと思うけどPENNには音出し式の逆転防止機構が予備に付いているので釣りは続行できた)。ベールを起こす位置を一定にして滑らかな無理ないキャストが実行できていれば起きない”過ち”なんだけどたまに過ちを犯すのが人間というモノである。くだんのリールはエイテックのテイルウォーク”クロシオ”シリーズにあるんだけど、そのあたりの人間の過ちを織り込んで割り切った、実際の釣りの現場が分かってる人が考えた賢い設計だなと感心したモノである。

 ということで、タックル”オート”、”オート”ベールの名に誇らしくその機構を謳っている大森式の”内蹴りのベール返し”なんだけど、大森さんスイマセンそれワシいらんかもしれませんわ。ということで、より単純な外蹴り式のリールが案外良いかもって考えたらどうにもたまらなくなってしまうという”急性大森熱”症状悪化で、実釣でも使用感とか試してみたいならシーバスかなということで、ネットオークションで写真上の「タックル5NO.2」と「タックルNO.2」をサクサクッと落札してしまった。他にも似たようなタイプに「マイクロ7」のアウトスプール版があるけど、これはワンタッチ着脱スプールでベアリング2個とタックルオートに対するオートベールと似たような機種のようで、ベアリング1個の「タックル5」は「マイクロ7(アウトスプール)」の普及版のような関係らしい。
 アホみたいにポンポンとリール買いやがってと自分でも思うんだけど、これがまた外蹴りアウトスプールのダイヤモンドリールって人気薄で1500円と1980円とゴミスピ価格一歩手前のお安さなんである。こりゃあ落札するしかないよね?

 まあ買っちまったモンは仕方あんめぇ。どちらもグリス固まってるのか回転も重いので早速分解清掃実施。特に黒銀の「タックル」の方は普及機だからぞんざいに扱われてたんだろうけど、スプールエッジにも結構傷が入っていたのでハンドドリルで大きな傷はえぐって引っかかりがないようにならしてサンドペーパーかけて、ラインローラーも注油なんかしてもらってなかったようで固着して糸溝できてたのでアロンアルファで溝を埋めておいた。
 パカッと蓋を開けると、オートベール、タックルオートでそろそろ見慣れたいつもの大森式の機構の数々で細かい説明省略。
 ベアリング1個なので、ハンドル軸は真鍮で受けてるけど特に鋼製の軸にも真鍮のはめ殺しのブッシュにも摩耗はないように見える。
 グリスも塗布し直して、さて、左にハンドル付けて終了。と思ったらクリクリ回しても「あれ、入らんがナ?」という感じで填まってくれない。
 愛用していたマイコンTBシリーズやら先頃購入したタックルオートもハンドルは左右兼用だったので、当然そうだと思っていたんだけど「タックル」に関しては左巻き用のネジに交換する必要があるらしい。そのために2枚目写真のようにはめ殺しじゃなくてネジが外せるようになっている。
 「あっちゃー!やってもうた~」という感じである。左用のネジなんて使わなければなくしてしまうだろう。実は紛失防止に「マイクロ7(アウトスプール)」ではハンドルの後ろを延長してハンドルネジの収納スペースを設けている。キャスト時にハンドルが回るのを防ぐ重さ調整のための設計かなと思ってたけど、それも兼ねてるかもだけど収納スペースらしい。ちょっと見た目はイマイチな気がするけどそういう機能があると知ると大森らしい実直な良さのある造形にみえてくる。
 今回落札した2台とも、困ったことに右巻き仕様になってて左巻き用のネジなど付いていなかった。どうすんのよこれ2台も?と途方にくれてしまうのだったけど、でも見たところネジの太さが右にも左にも付けられるマイコン301TBと一緒と違うか?と思ったので試してみた。あっさり装着可能で、私の場合リールを一度に2台使うことはあまりないので使おうと思えばハンドル借りてきて使えるようで一安心。
 と、思わぬ形でハンドルの互換性が判明してしまったけど、実は今回の購入で確かめたかったことに一つに、ダイヤモンドリールのパーツ共有性というのがあって、写真を見る限りスプールなんかは金型代節約のためだと思うけど形一緒で、いろんな機種で使い回せるんじゃないかという気がしていたのでその辺も確認したかった。
 一番下の写真が「タックルNo.2」に「タックル5No.5」のスプールと「マイコン301TB」のハンドルを装着した状態。何ら問題なく部品共有可能。

 ただ、「タックル」と次に分解した「タックル5」は同型機のようで、スプールどころかギアからナニからほとんど一緒。本体の表記が凸ってるのからシールに変わって色が骨董的な雰囲気の青から70年代日本リール風の黒銀に変わった他、スプールのライン止めが省略されてるとかの細かい違いだけ。ネットでカタログ登場年とか調べたところ「タックル5」は1975年からの登場らしく、「タックル」シリーズは1979年カタログには掲載されていて「タックル5」が消えているので色違いのを後継機的な扱いで「初めてのスピニングリールに」と売っていたようだ。部品共有もナニもあったモンじゃない。設計基本一緒。ただお化粧直ししてでも、一番ややこしくないことから値段も低く設定できるこの型のリールを残していたのは、入門者にも優しかっただろうし「タックル5」の愛用者にも部品供給が続けられて良心的だったんじゃないかと評価できる。
 ちなみに「タックル」のベールアームを樹脂製にした「ニュータックル」というのもあったようだ。 

 「タックル5」の方を分解していくと、思った以上に一緒で笑える。さっき見た「タックル」のギアでも平行巻機構のクランクの輪っかの端が右上の方削ってあって、多分蓋を止めるネジの場所に当たるので削ってあんのかなと思ったけど、こっちの部品も同じようになっててフフってなった。ちょっと削らんと入らんかったんだろうけど、新しく金型かなんかを作り直すのが経費かかるのでそのまんまにしてある感じが、人間の手仕事を感じさせてくれてほほ笑ましい。
 両機ともベールアームは金属製で、ラインローラーを縒りが入りにくいように水平に、とかの調整はしやすい。意外に使っていると金属の板で出来た部品は曲がるようでだいぶ曲がってしまっていた。ダイヤモンドリールのベールアームがたためる意義が小さくたたんで持ち運びしやすいという以上に持ち運びの際等にベールアームの変形を防ぐところにもあったんだなと実感できる。
 部品点数は45をちょっと越えるぐらいでとっても少ない。壊れるカ所やらお金の掛かる部品やらが少なくできている感じでとても好印象。
 このあたりから、分解清掃にパーツクリーナーを使い始めたんだけどスプレーするとグリスとか吹っ飛んでいくし、瓶に貯めて漬け置き洗いも頑固な汚れが落とせて作業が捗る。
 そうやって分解清掃してグリス、オイルを入れ直してやると「タックル」もそうだったけどコイツも問題なくクルクルと快調に回ってくれる。「タックル」のほうは全く手入れされてなかったけど、こちらはラインローラーとスプール外して主軸には注油してあって前の持ち主がだいぶ愛用していたと見えるけど、特にギアとか真鍮のブッシュとかに摩耗は見られず、やっぱりベアリングは1個で良さそうに感じる。
 
 出撃準備も整ったんだけど、ダイヤモンドリールのパーツ共有について確認してみたいという目論見は同型機だったのであんまり達成できなかった。おそらくスプールの形式から見て、アウトスプールの場合、同じサイズのワンタッチスプールの機種「プロライン(アウトスプール版)」「マイクロセブン(アウトスプール版)」「オートベール」はスプール交換可能。ワンタッチじゃない「タックル5」「タックルオート」「タックル」「ニュータックル」はこれまたスプール交換可能なんじゃなかろうか?ギアとかについてはひょっとしたら両者で共通の部分はおろか、インスプールともある程度共通しているようにも思う。
 そこまで調べる気はないにしても、スプールの互換性があるってのは蒐集していくとスペアスプールも手に入ることになって実戦投入するには極めて使える情報だと思うので調べて書いておきたい。自分の選ぶべきは普及版の方だと思うので、ワンタッチスプールじゃないほうのスプール互換性があるか調べてみたくなった。っていっても先にあげた4機種のうち「タックルオート」以外は形が一緒なので互換性あることは明らかで、「タックルオート」と他の3機種のどれかが互換性あることだけ確認すれば良い。



 No.2サイズの「タックルオート」を入手しても、逆にNo.1サイズの「タックル5」とかがあっても確認できる。
 サクッと「タックル5No.1」を某ネットフリーマーケットで3000円で購入。だんだん突っ込む金額が上がってきてヤバい感じに感覚が麻痺しつつあるけど、躊躇なく買ってしまった。
 前回の失敗の轍を踏まないようにちゃんとハンドル左に付いているのを確認して購入。上の写真の右がその個体。コレで左巻き用のネジが1本手に入ってネジだけの使い回しも可能。
 でもって、「タックルオートNo.1」とスプールとハンドル交換してみた。真ん中はタックルートの左右兼用のハンドルネジ。同一軸状に右用と左用のネジ山が交互になる感じで切ってあって、初めて見たときに機械にうとい私の場合「へーこんな方式があるんだ」くらいにしか思えなかったけど、これ機械に詳しい人が見るとびっくりするらしい。いくつかのブログで興奮気味に書いている記事があった。
 ナニが凄いのか分からん。ベイトリールの平行巻機構の細かい版みたいなもんじゃないのかと思って、むしろ平行巻機構の方がなんで端まで行ったら戻ってくるのか?同じ方向に回ってるのに途中で止めても行ったり来たりせずきちんと往復する仕組みが理解できん。
 だとしても既に設計してあって使ってるギアの軸の穴に合わせて、後付けでキッチリ左右のネジ山を切るのがそんなに簡単じゃないんだろうなというのはおぼろげに想像できる気はする。普通はPENNみたいに右と左で軸の穴の大きさを変えて、ネジの先の方半分を細くして右用、残りを太くして左用とかに切るンだと思う。いまのシマノの高級機種もそうなってたはず。そもそも高級機種じゃなければ軸の穴を四角や六角形にしてというのがもっと一般的。それを普及品の「タックル5」でも丈夫で緩まないネジ込み方式にこだわって、次には左右両用のネジまで切ってしまうあたりの大森製作所の真面目な機会屋ぶりなのである。
 ちなみに一番下の写真のようにハンドルとスプールは何の問題もなく交換可能。
 「タックルオート」がいけるんなら、ひょっとして樹脂版の「キャリアー」も行けるんじゃなかろうかと試してみたらキャリアーはダメだった。スカートの直径やら主軸の径は一緒で入ることは入るのだけど高さが合わなくて、低い方はワッシャーか何かを噛ませれば使えなくもないかも?という程度。キャリアーは逆に樹脂製どうしで「マイクロセブンC」とかとスプール互換性有るんじゃないかと思うので興味ある人は調べてみてはいかがかな?キャリアーSS2台買うのはちょっとキツい値段だけど「マイクロセブンCS」を予備機に使ってスプール共有とかできれば実戦的かもしれない。CSも充分お高いけどね。

 「タックル5No.1」も分解清掃してやろうとパカッと開けてみると、なんとグッチャリと”グリスシーリング”されていて、前の持ち主の愛用度合いが見てとれて笑みがこぼれる。正直スプール傷だらけとかのリール見ると「もうちょっと丁寧につこたれよ!」とムカつくモノである。
 2枚目は参考までにベールアームの反対側のベールワイヤー支持部の金属パーツ。重量を金属のベールアームと釣り合わせるために結構大きな金属の部品になっている。樹脂製ベールアームのニュータックルとかどうなってるんだろうか?
 笑ったのが、グリス塗り直してハンドル軸のギアを填めようとしたときになかなか填まらずに押しこんでも浮いてくることで、グリスで機密性上がると空気が抜けずに、左巻きなので後ろのキャップが填まった状態では空気圧で押し返してくるんである。精度高いうえに全然削れてないやンけ。
 くわえてこの個体は分解清掃後もハンドル回すとシャーとコーッの間のような音がしているので、最初ギアとか長い愛用の間にさすがに摩耗したのかなと思ったけど、どこが鳴ってるのか部品外しながら確認したらギア関係なしでローターで、それならベアリングかとベアリング買って交換してみたら、クルックルの滑らかな回転になってしまった。
 大森小型アウトスプールにおいてベアリングは1個あれば上等だと得心した。
 ミニチュアベアリングの世界ではトップブランドらしいミネベア社製とまでいかないけどそこそこ良い日本製の200円弱のステンレス製ベアリングで大復活である。
 大森ダイヤモンドぐらいの精度・耐久性高く作ってあるリールなら、故障するカ所も特には思い当たらないし、手元に来た使い込まれていたであろう個体達がべつにギアもブッシュも摩耗してないのとかみると、消耗品的部品であるベールスプリングとベアリング交換だけしていけば普通に100年使えそうに思う。どっかのメーカーが宣伝で言ってたことなんて大森やらPENNやらの耐久性重視した設計の実用機なら、別に今さら言うほどのことでもなくて、「モデルチェンジまで持てば良い」ってな新品で店頭にある時の性能に振りすぎた”その後”のリールの多くが、そういう代物だったってだけだろう。

 ということで、ナマジ的大森ダイヤモンドリール最高傑作は、どうも「タックル5」が”必要充分”に近い気がして、そうなんじゃないかと今のところ考えている。余計なモノはなるべく付けない方がイイ。「タックル」でも同じだけど色が懐かしい感じの「タックル5」の方が好み。
 あとは実際に使ってみて、金属のベールアームが糸がらみとかのトラブルを頻発させないかとか、ちょっとみてみたいところ。まあそんなに細糸つかわんしワシの場合大丈夫だろとは思う。
 そのあたりを確認するためには樹脂のベールアームの「ニュータックル」との比較が必要だ!とまた1台買いそうになって、なんとか寸前で踏みとどまった。樹脂のベールアームで同じスプールが付いている「タックルオート」がその辺の比較には使えるわけで、もっというなら同じような形の樹脂製ベールアームの「キャリアーNo.1」使ってたので既に使用感は”普通に使える”って知ってるだろう。全く油断も隙もありゃしない。くわばらくわばら。

 ということで、私と同じようにベールを手で起こす釣り人の皆さんには、大森の「タックル5」「タックル」といったアウトスプールで外蹴り方式の機種をお薦めしちゃいます。こいつら人気薄で安く手に入るうえに、部品数少なくて手入れも楽だしで、今時のリールに飽きたら、こういう良くできたリールを自分で分解清掃したりしながら理解して愛着持って使うなんてのはとっても楽しいですよと提案してみたい。

 さあさあ、皆さんふかーい沼に一緒に沈みましょう。ヌルヌルしてて気持ち良いですよ。
 現時点で我が家のリール数は制限である90台を3台オーバー。手放す速度より手に入れる速度が速くて困ります。全然へらんがナ。
 次回も大森ネタ「ナマジ痛恨の過ちに天を仰ぐ!」にご期待ください。


○2019年3月9日土曜日ブログ再掲

人は過ちを犯すが、それを償うことができたりできなかったりする



 ダイヤモンドマイコンNo.6! オマエに魂があるのなら...応えろ!!


 と、某ライドン系マンガの主人公気取りで(このネタ前も使ったような気がするけどまあいいや)、中古釣具屋のワゴンに「ドラグがユルい」という札を付けられて、なんとお値段324円というバカみたいなゴミスピ価格でたたき売られていたこのリールを再生させて、次の釣り人に橋渡ししてやるのがオレの宿命か、なんておこがましくも思ってしまっていた。
 最近、スピニングリールいじりまくってて昔は手が出せなかったメイドインジャパンの瞬間的逆転防止機構も分解清掃できるようになったし、強度の必要なギアやらベールアーム周りとかは無理にしても、ドラグやら逆転防止やら程度は破損や劣化していても何とか修繕できる自信もついてきて、自分の手が”動かなくなった道具を蘇らせる力”を持った特別なものになったような、そんな”中二”な気分に干支も4回目が巡って来る歳にもなって浸っていい気になっていた。やってることはそれこそ中学生の遊び程度の内容だったにもかかわらずダ。
 入手時、ドラグがユルいとなっていたけど、そんなもんマイコンのリアドラグは一定の幅で効きを設定しておける方式で、そのことを知らない大森素人が緩めに設定してあるドラグを最後の15まで締めても全然ドラグが効かないので”ユルい”とかほざいてるだけなのは火を見るより明らかで、他にも逆転防止が死んでたしベールの返りも悪かったけど、そんなモン大森製作所のリールが簡単にぶっ壊れるわきゃないってのはいつも書いてるとおりでグリス固まってるだけだろう、と余裕の大森ダイヤモンドアナリスト(経験3ヶ月)ぶりで、さて軽く復活させてネットオークションにでも流せば多少表面に腐食も見られるけど、2千円から上にはなるだろうから安いリールまた1台買えるなと、鼻歌交じりで分解清掃作業に入った。


 しかし、結果から行くと逆転防止の消音部品を破損してしまうという、あたら自分がいじったせいで部品欠損のない完品状態の個体を一部破損有りの状態におとしめてしまうという大失敗をやらかしてしまった。
 私は、釣行記でも釣れなかった失敗やらも隠さず書いているつもりである。なぜなら成功なんて運が良かっただけのこともあったりして参考になるかどうかはあやしいもんだけど、やったらあかんことをやってしまって犯した過ちは、自分を戒めるためにも文字に起こして書き記しておきたいし、同じ過ちを犯さないように読者が他山の石としてくれたら失敗したかいもあるというものなので、いくらでも転がってるような釣果自慢よりも失敗の記録の方が実は大事なんじゃないかと思うからである。
 だから書くわ。アタイ恥ずかしいけど読んで欲しいノ。


 分解するっていってもコイツの場合デカくて一気にやると分解清掃用のお盆に収まりきらないので、とりあえずドラグはドラグだけ外して整備できるのは愛用していたマイコンTBシリーズで知ってたので後回しにして、本体からバラしていってスプール、本体、蓋はお盆の外に雑誌を置いて乗せていく。
 オオッ!スプール止めている台座が、今までいじったことあるリアドラグのスピニングは横棒状だったけど、6角形のをスプールのほうにガッチリはめ込む形になってて大物用だなとちょっと興奮。
 パカッと蓋開けるとギアはいつもの角の立った大森製ハイポイドフェースギアなんだけど、平行巻機構はさすがにスプールも大型で高さもあるので、ハンドル1回転で1往復のクランク式じゃなくて減速カム方式なんだけど、ちょっと銀ビカの亜鉛ダイキャストじゃなさそうなカムが覗いている。
 ギアを抜くと、いつもの鋼製の軸に見慣れない薄緑の樹脂製パーツが填まってて「ハハーン、これがTAKE先生が部屋燃やしかけたとかいう逆転防止機構をサイレント化する部品か~」と、その時はあんなことになるなんて知るよしもないナマジであった。
 平行巻のカムも歯車もやっぱり亜鉛ダイキャストじゃないよねという感じのピカついた素材で小型機とは素材選定からして違うなぁと思うも、カムに引っかかる歯車の出っ張りにはやっぱりカラーが填めてあって、う~ん大森製という作り。
 主軸も太いんだけどローター軸のギアがいまだかつて見たことないぐらいのゴン太で、ギア比は1:3.3と速さより力強く巻くことに重きを置いた仕様。
 ただ、巻き取りスピード自体は10号250mという大口径のスプールなのでそれ程遅くないんじゃないかと思う。
 想定していたのは、巨ゴイとか投げで狙うタマン(ハマフエフキ)とか、ドラグ緩めて尻手ロープつけておいてジーッとドラグ逆転し始めたらやおら竿を手にとってあらかじめ決めていたドラグ値まで一気に締めてアワセを入れるとかだろうか。大きさも造りも実に漢らしい。
 PEラインを使ったロウニンアジのルアーフィッシングが始まった頃、国産のスピニングはドラグはショボいしそもそも耐久性はないしでブッ壊れたりして事実上スピニングはPENNぐらいしか選択肢なかったんだけど、当時90年代後半で、80年代当初の登場ですでに一昔前のリールだったはずのコイツだったら案外いけたんじゃないかという気がする。でも、巻き取りスピードが遅いのは当時の速い動きを多用した釣り方には合わんかったかもしれんか。でも今のゆっくり誘うような釣り方なら充分いけるンじゃないだろうか。というぐらい頑丈な作り方されているのが見て取れた。

 ドラグ除けば複雑な機構は何もなく、いつもの大森方式に逆転防止機構を消音化するくだんの部品が増えてるだけで、清掃注油もつつがなく終了して元通りに組んでいく。
 これぐらい単純なリールでも、分解していくときにデジカメで写真を撮っておくのは重要で、組むときにバネとかがどの位置に掛かってたかなんてのは意外にさっきバラしたばかりでも忘れてしまうモノである。
 今回も抜かりなく写真に収めていたんだけど、それでもお初にお目にかかる逆転防止の省音部品はどう組んで良いのか分からなかった。なぜならハンドル軸のギアの下に隠れているのでハマっているところが確認しようがなかったからである。ついでに言うなら前の持ち主も組みそこなっていて、そのせいでグリスそれ程固まってなかったのに逆転防止が働いてなかったようだと今なら分かる。
 でも、それ程苦労するとも思っていなかった。写真で折れている突起部分を切り替えレバーの金具で引っかけるか外すかで消音と音有りの切り替えをするはずで、それなら金具の後ろに持ってくるか前に持ってくるかの2通り試してみたらどちらかで何とかなるハズだし、それでダメなら再度考えればいいやぐらいに考えた。
 仕組みとしてはハンドル軸が正回転しているときに樹脂製の消音部品が一緒に回って折れた小さな突起じゃない2つあるほうの出っ張りで、常時バネでギアの上の歯車状の部品に押しつけられている逆転防止の爪を押し上げてカリカリ鳴らないようにして、ハンドルが逆転すると押し上げるのと逆に回るので押上げが止まって逆転防止が掛かるということだろうというのは見りゃ理解できた。
 どっちからやったのかうろ覚えだけど、最初に試したのは折れた突起を逆転防止の爪側ににしたはず。その場合、逆転防止が全く効かず正回転も逆回転もしてしまう。多分買ったときこの状態。逆だったかと組み直してみるとカリカリと逆転防止が効いているのでコッチだったなと消音化のツマミを切り替えてみるもなぜかカリカリ音がして消音にはならない。消音化部品が軸といっしょに回ってから、ある程度の摩擦で引っかかりつつ滑り出さないと上手く逆転防止の爪を押し上げてくれないハズなので、ぶっちゃけ消音化しなくても使えるのでまあいいやと思いつつも、消音化しないってことは滑りが良すぎて爪を押し上げ切れてないのかなとグリスぬぐって再度填めてみて、状況変わらないので仕方ないかと思いつつなにげにハンドル逆回転させたらストッパー掛からず逆転してしまい、最後ガリッとモノが取り返しのつかないかたちで壊れた嫌な感触が手にあり、慌てて止めたけど覆水は盆にかえらないし、こぼれた牛乳を嘆いても元に戻らない。
 自分の手の中で何かが壊れてしまう感触って最悪で、ガキの頃にカブトムシの幼虫を育てていて、やっと蛹になったのが嬉しくて、お腹クネクネするのを見て楽しもうと角持って土の蛹室から引っ張り上げようとしたら首チョンパになったときの取り返しのつかない感じ、後悔、自責、罪悪感、その他諸々の嫌な気分を思い出してしまった。心に傷がつくぐらいの世の中で考え得る最も嫌な感触である。
 もうダメだとは分かっていたけど、何かの間違いであることを祈りつつ蓋開けてギア抜いて、ぽっきり折れた突起を平行巻のギアのグリスの中に見つけて、暗澹たる気持ちになって、その日はそれ以上いじる気にならず、ドラグは放置して消音化パーツ取り外して寝た。ちなみに消音化部品とっぱらうとカリカリ音がするけど普通に使える。

 寝て起きても、嫌な気分から逃れられない。敬意を払うべき道具を軽くあつかい慎重さに欠けたこと、使いもしない道具を興味本位で買って本来の目的である釣りに使うことを想定せずにいっぱしの玄人気取りで整備しようとしたこと、が自分を責める主な理由だろうか?
 自分に責められて、せめて修理するためにナニが必要か考えて努力ぐらいはしてバチがアタらないだろうと翌日気合いを入れ直す。
 現状でも消音が効かないだけで使えるといえば使えるので、そう断りを入れて売りに出しても良いけどそれは最後の手段で、まずは今修理する方法がないか考えて、場合によっては確保しておいて直せる時が来たら直すというのもあるかなと考えた。樹脂製パーツなので3Dプリンターとかの性能が上がれば、それ程複雑な形じゃないので金型なしで安く作ってもらえる時代がくるかも知れない。

 いずれにせよ消音部品の仕組みや役割、構造を良く把握するのが最初にやることで、そのためには実際にギアに填まって働いているところを視覚的に再現するのが私の場合必要。物事を頭の中で正確なイメージを持って考えられるタイプの人なら、それぞれの部品を頭の中で組んでハンドル回してみるなんてことができるんだろうけど、私の場合それが全くできない。おそらく短期記憶の悪さとかそういうのだと思うんだけど、イメージが頭の中ですぐに消えるので、地図を頭の中に置いて回転させたりとかいうことも実はできない。物理的に地図を持って確認しながら歩ける山歩きとかは問題なくできたけど、バイクや車では全くの方向音痴で、道を行き過ぎて一区画ぐるっと回って同じ所に戻ってくるとかいうことが簡単だと思うにもかかわらずできない。3回角を曲がったら良いだけのハズだけど、2回目あたりですでに何回曲がったのか憶えていない状態で思ったような通りに出られないことが多い。歳食ってボケたとかじゃなくて記憶力良かった若い頃でも物語やら魚の名前やらは忘れないのに道順とか人の名前とかはなかなか憶えられなかったように思う。
 なのでギアの軸だけをイメージしてちょうど良い太さの透明なパイプがあったのでそれに折れた消音部品を填めて、実際の高さに持ってきてクルクル回してどういう仕組みなのか確認してみた。
 一番上の写真のピンクの丸で囲った部分が逆転防止の爪の”お尻のトンガリ”でコレを矢印のハンドル正回転方向に押してやると逆転防止の爪がローター軸のギア直上の歯車から離れる。逆回転すると戻って爪が掛かる。一応想像していたとおりの仕組み。
 じゃあナニが悪かったのかというと、填める位置が意外とドンピシャの狭い位置を外しちゃダメで、消音部品の2つある方の出っ張りの間に”お尻のトンガリ”を入れないとちょうど良く作動しない。2枚目の写真の位置がそれである。
 その時に、手前のピンクで書いた位置にあった突起を消音切り替えレバーの爪で引っかけておけば消音部品は軸と一緒に回らず、お尻のトンガリを押せないのでカリカリと音がする、レバーを”解放”の位置に切り替えると解き放たれた省音部品が仕事をしてお尻のトンガリを押し上げてカリカリ音がしなくなる。という仕組み。
 切り替えレバーに引っかけるのも、お尻のトンガリを押し上げるのも小さな力で済むので、強度のある素材である必要はなく、むしろ組み損なったときに平行巻のギアに噛んでギアまで壊さないように、あんまり硬くない樹脂の方が適していると分かる。必要なところに必要な強度の素材を使っているというのが良く分かった。
 分かったら、切り替えレバーに引っかける突起なんてのは、引っかかりさえすれば細かい形状も関係ないし、それ程強度が必要でもないので、ちゃんと作動する様に修理することはできそうに思った。
 ちょっと考えて、単純に接着するだけではポロリもありそうなので、折れた突起の位置に熱した千枚通しで穴を開けてそこに100LBのショックリーダーを突っ込んで接着。適度な太さを持たせて接着を強固にするためにセキ糸をまいて瞬間接着剤で固める。
 コレで行けるだろうと改めてハンドル軸に填めて位置間違えないように横から覗き込みながらギア填めて、蓋してハンドル回してみたら、消音、音有りの切り替えも問題なく、逆転防止も正常に作動してくれた。
 売るときは「消音のための部品を修理してあります」と謳わにゃならんけど、一応完動品に戻すことができて胸のつかえはだいぶスッキリした。今できる範囲で次善の策はとれたと思う。大物狙いの投げ釣り師に自信を持って良いリールなので使って下さいといえると思う。

 気分も良くなって、続いてドラグの方に手を入れる。といっても特に問題もない状態だったので、ドラグパッドやワッシャーにはドラググリスを、その他の部品には防水性の高いいつもの青いグリスを塗ったくってやった。
 ドラグパットが異様に沢山あるように見えるかもだけど、実はドラグ自体は2階建てでドラグパッドはテフロンより滑らない感じの堅めの樹脂製の2枚。
 組み直して、ドラグ値思いっきり手で締めた時の位置を、一応余裕見てもっと力持ちの人ならさらに締めるだろうと、15ある目盛の13に設定して、各目盛でのドラグ値を秤で計ったところ、13で5~6キロ、12で4キロ、11で4キロ弱、10で3キロ、9で2.5キロ、8で2キロ弱、7で1.5キロ、6で1キロ、5で600グラム、4で400グラム、3で300グラム、2で250グラム、1で150グラム、0で130グラムというおおよそのドラグ値となった。
 5~6キロは私がロウニンアジ狙うときに普通設定するドラグ値で、やっぱりそのぐらいの大物狙える性能があるように思う。ネット上では”釣力”10キロとかいう話もでてて、多分最大ドラグ値に近いような数値だから、ドラグパッドの素材変えたりしてもう少しドラグきつく締められるようにしてもリール自体は持つような剛性があるんだろうと、ドラグの試験していても感じられる。大森製作所が釣力10キロとか謳ってたんなら機械的には嘘じゃないんだろうと信じられる。ドラグの滑り出しやら効き方の安定性については手で引っ張り出した程度じゃ分からんって話だけど、滑り出しが悪くて衝撃で怪我するほどにはドラグ値上げられないだろうし、手でゆっくり引っ張ってる限りではそこそこに良いドラグだと思う。特に低いドラグ値の方は滑り出しも滑らかなように感じた。ぶっ込んでユルユルドラグ状態でアタリまつなら尻手ロープいらないかも。

 大きさ的にはこんな感じて、ドラグ試験の時には写真の9500ssのラインを巻き替えたんだけど、9500ssより若干糸巻き量は少ない感じでスプールぎっちり一杯になった。ちなみに重さは800グラムちょいと900グラムオーバーの9500ssより軽く仕上がっている。まあこの大きさのリールに軽さなど求めても仕方ないのでどうでも良いけど。
 正直、手元に確保しておいて使いたくなるリールなんだけど、この大きさのリールを使う釣りの時にリールの試験をしている余裕なんてないはずで、餌なりルアーなり投げる釣りならPENN使うし、ぶっ込んでじっと待つ釣りなら両軸の方が向いてる気がする。
 手に入れて使ってみたいっていう”大森熱”の症状の重い人がおられるようなら送料持ってくれれば差し上げます。人様を沼に沈める重石としてはなかなか良い重量物だと思ったりして。多分来週ぐらいには売りに出す流れかなと思うので欲しい人は先着1名様お早めにnamajipenn-ss@yahoo.co.jpまでご連絡を(注:もう輿入れ先決まっちゃいましたのであしからず)。転売目的はダメよ。

 仕事辞めたら、ボロいリール修繕してネットオークションで売って小遣い稼いで生きてくのもありかな、なんて一瞬思ったりもしたけど、そんな技量は到底ないって今回思い知らされたというか、儲けるには楽しんでちゃダメなんだろうなと色々と先人の事例を見て思い知らされる。
 個人でリールの修理とか請け負ってる人とかやっぱりいて、中にはオークションで分解清掃の権利を売りに出している人とかもいるんだけど、面倒くせえ瞬間的逆転防止機構の搭載された今時のスピニングのオーバーホールが2500円という開始値段になっている。まあそれでも金かけてまで分解清掃しようという釣り人って多くないはずで多分値段はそれ程競り上がらなくて開始時の値段でハンマープライスだと思う。でもあんな面倒くせぇ分解清掃二度とゴメンだとシマノ2台で思ったぐらいで、私ならなんだかんだで1日仕事になる。習熟していって手早くなっても1日2台が関の山で、2500円なんて安値では一日爪の間を機械油で黒く染めて頑張っても5000円にしかならない。金稼ぐんなら日雇いのバイトにでも行った方がなんぼかマシである。
 私の手に負えるPENNやら大森やらのボロい個体を安く仕入れて、楽しく手入れして修理して売りに出したとしても、これまた5千円にもならないだろうから1日1台売っても5千円にもならない。バカくせぇ。そんなら自分で使うって。使ってくれる人にタダであげた方がマシって感じだ。
 儲けるつもりなら、手間なんてかけずに目利きだけで、安いのを中古屋で買ってネットで高く売るとかの転売を数こなすとか、売れる時の単価が高いカーディナルだのミッチェルだの大森一部機種だのの状態の悪い安い弾を確保して、とにかく見た目が上等に見えるように体裁を整えるのを重視して売りさばくとか、リール好きな人間が魂売ってやるようなことをせにゃならんだろう。仕事にして金稼ぐとなると楽じゃない。
 気になったリールがボロくて安かったら、楽しみながら直してみて使ってみる。それ以上を求める必要もないし、それ以上にはなかなか踏み込めないモノだなと思った次第。

 大森ネタはそろそろネタ切れなんだけど、他にもネタは仕入れてあるので今しばらくスピニングリールネタをお届けの予定。
 でも、魚釣れ始めた気配があるのでリールのことなんかどうでも良くなるかも。などといらんことを書くのは典型的な”ボウズフラグ”なのでフラグぶち折って今夜も良い釣りしたいものだ。 




2019年3月30日土曜日ブログ再掲

保菌者一等賞!


 賽の河原で父母のために石を積む子供達は、積んだ石の塔を鬼に崩されるという。
 昔の帝政ロシアだかソ連だかの拷問では、穴を掘ってはその穴をまた埋めさせられたという。

 努力が何の意味もなく水泡に帰すとき、人は絶望感にさいなまれる。
 そんな酷いことが、この21世紀の未来社会においてもう平成も終わるというのにいまだ放置されているわけがないかというと、現実には往々にして生じているモノである。
 例えば病気などというものから人はまだ完全には逃れる術を知らない。懸命に治療やリハビリにあたったとしても”薬石効なく”な場合も往々にしてある。
 なんて思わせぶりな枕で書き始めると「ナマジの健康状態は良くないのか」とご心配いただくやも知れませんが、そっちの方はボチボチで心配するほどのことはなくまあ良くも悪くもないんだけど、スピニング熱のほうが、また熱がーッ!!っていう感じでぶり返しており、桜も咲いたしシーバスも釣れ始めたし(ヘラはデコったけど)で、もう大丈夫だろうと思っていたのに、いとも簡単に再発してしまっている。

 管理台帳によると2月からこちら11台を買ったりもらったりしつつも、9台を売りさばいたり人様に進呈したりして、いまネットオークションにかけているのが既に入札されていることもあり、やっと目標の90台に収まる予定だった。
 その後は欲しいリールが出てきたら、棚卸しで使い切れないぐらい備蓄があることが判明したスピンフィッシャーを放出していけばいいやという感じだったのだけど、既に今週1台買ってしまい91台、ネットオークションで入札中のが1台と即決で買おうかどうか迷っているのが1台と、また収拾つかなくなりそうな物欲が爆発している。

 それもコレも写真の1台が原因で、その名も「キャリアーNo.1」ときたひにゃあ、キャリアーって病原菌の保菌者の意味だったのかよ?と偶然にしても皮肉が効いてるなと思う。
 なんで、既に持ってるのをまた買ったのかと、またナマジは”大事なモノには予備が必要だ”とかいって同じの何台も買い集める悪癖が出たか?と思うかも知れないし、それもあるんだけど、仕方なかったんですよ。


 だって、コイツ1,296円だったんですもン、奥さんそりゃ買っちゃいますよネ~。

 例のマイコンNo.6を買った中古釣具屋のワゴン、そう毎回掘り出し物があってたまるものかと思ってたし、それなりの掘り出し物があっても、もう手を出さないぐらいには病状収まっていて、別の中古屋ではD・A・M社のリアドラグの小型スピニングがワンコインぐらいで売ってたのも、これはアワせてもカラツン!とばかりに手を出さなかったぐらいである。
 でも、高いリールの陳列棚から眺めていって、ゴミスピワゴンに視線を移していくと、どうにも我が家にもあるキャリアーっぽく見えるリールがある。心臓がドクンと高鳴るのを努めて冷静に「樹脂製で黒い無塗装に赤い文字のシールなんてのは安リールに良くある良くある」と落ち着かせながら、殺気が漏れないように気取られないようにとスルスルッとそちらに音も立てず忍び寄っていってシュパッと手に取ると、どう見てもキャリアーNo.1である。
 でもお高いんでしょう?と値札を見ると、ワゴンにぶち込んであるんだから大した値段なわきゃァなくて、もう一度書くけど1,296円のゴミスピ一歩手前の価格。
 おかしいでしょ店員さん!と抗議して値段を高く付け直してもらいたくなる混乱した衝動を抑えて、震えそうになる手を押さえながらレジへ急ぐ。
 へっへっへっ、金払ろてもうたらもうワシのモンや、今更返せっちゅうてもそれはデキひん相談でっセ。と、再開発計画で値上がり確実の土地を老夫婦からかすめ取った地上げ屋のような下卑た満足顔で店を出た。

 キャリアーで人気があって何万円もするのはもう一つ小さいSSサイズだけど、No.1だって悪かないし、正直特定の機種だけ異様な値段が付いているのを見るとバカバカしく思う。とはいえ弾数多くなくネットオークションとかでもあまり見かけないキャリアーのNo.1がたまたま中古屋で安く売ってるなんてのは驚き以外のなにものでもない。
 意外にSS以外は値段付かないのでオークションにもかけないだけで中古屋とかではワゴンに並んでよく売られてるんだろうか?そんなわきゃないよね。

 キャリアーは弾数少ないから入手しにくいかも知れないけど、タックルオートとかタックル5あたりのNo.1サイズって上手くすると2千円切るぐらいで入手可能で、かつ渓流からバス釣りからフッコ釣りぐらいの軽めの塩水の釣りまで、ルアーなら身近な釣りをだいたい射程に収める汎用性の高さがあって、絶対いま安くてそれなりに弾もあるうちに買って損はないように思う。値が上がって転売したら儲かるとかいう意味じゃなくて、安く”使える”リールが手に入るっていう意味でね。
 まあ、どのぐらい使えるかってのは、ナマジのフィルム時代の懐かしいの釣果写真達でご確認を。ワシもなかなかヤルもんやな。放流してるヘラごときでデコって凹んでると自分がド下手クソに思えてくるけど、そこまで悪くないヤね。

 キャリアー2台目が手に入り、なんとスペアスプールありの体制が整ってしまった。
 しまったんだけど、実は以前からキャリアーもう一台は手に入りそうにないけど、同じスプール使ってそうな樹脂製のマイクロセブンC1なら入手できそうだなという思いはくすぶってて、マイクロセブンCシリーズもそれほど高”値”の花というほどでもないので買っちまおうかと悩んだけど、90台に収めなきゃならんし止めておこうといったん症状落ち着いてたのに、キャリアーが呼び水になってまた欲しくなってきてしまっている。スプール交換はたしてできるんだろうか?私気になります!

 そうやってもう少しで目標達成だった目論見が脆くも崩れ去ってしまうと、アタイもうどうでもイイの、とハスっぱな台詞を吐いちゃう自暴自棄な気持ちも芽生え、シャブ中がなかなかシャブ止められんように、良くないことだと分かっているのにネットオークションでポチッと入札したりしてしまうのである。
 今の世の中は部屋に居ながら、それこそ世界中からお買い物ができるという、おそろしく欲望をかきたててくる世界になっている。まさに未来に生きているなと感じる。
 もういっそ、海外のオークションあたりで段ボール箱いっぱいに詰まった緑色のスピンフィッシャーとか老後の蓄え切り崩してドカンと買っちまって、チマチマ整備して売っていこうかとか考えてしまったりもする。
 しかし外国のスピニング熱患者にもモノすごいのがいるなァ。
 ワシの部屋の安ダイヤがいつの間にか増えてるのぐらいどうってことない気もしてくる。タックルAがいつの間にやら3台に。うち2台は送料入れると2000円ぐらいかかってて今回のキャリアーNo.1より金かかってるという冗談のような事実。
 さすがに、タックルAよりキャリアーはしっかり作られているしモノとしてのデキは違うようにワシでも思う。


 ちゅう感じでスピニング熱治りませんッ!もういやッ!!
(2019.4.22)



2019年6月15日土曜日

薬石効なく

 病気っていうのはこの21世紀の進歩した医学をもってしても根本的にどうにも制御できない時もあって、そういった制御不能な病とは上手いこと付き合っていくのが得策で、ゆめゆめ完治させてしまおうとか思わんぐらいの方が良く、ましてや精神力でどうにかしようなんて思ったところで、どうにかなるなら医者もクスリもいらんわけで、例えば糖尿病患者は気合いでインシュリン分泌量を増やすとかできやんから注射打つんである。
 そういった現代でも治療の難しい病にいわゆる「スピニング熱」というものがあり、これに罹患すると「大森が欲しい!」「この年代のギア方式は」「回転の滑らかさが」「スプールエッジの形状の違いが」などと意味不明なことを口走るようになり、ネットオークションサイトや中古釣具屋での散財が家計を圧迫し、山のように積み上がるスピニングリールを前に途方に暮れるという症例が報告されている。
 現代医学を持ってしても治療法が確立されていない不治の病である(「不治の病」って打とうとしたら「Fujiの病」と予想変換される我がATOK)。まったくもって痛ましいことである。

 かくいう私も昨年秋ぐらいから潜在的保菌者だったのが発症し、インスプール熱や急性大森症、慢性的PENN症候群などに日和見感染するという苦しい闘病生活が続いたモノの、リール管理台帳作成による「リールは一家に90台まで!」という治療方針が効をそうしたのか、四月以降はその症状は顕在化しておらず、当ブログにおいても”スピネタ”は4月20日以降ご無沙汰であった。
 ただこの間も症状が表に出ていなかっただけで、確実に病は深く静かに進行していたということを告白せざるを得ない。最後の記事から4台買ってしまっている。

 オレは悪くないんや!!大森にいつも変な値段付けてるTベリー○×店が悪いンや!!
 と、とりあえず人のせいにしておこう。中古釣具屋に街に出かけるたびに足を運んで掘り出し物がないか確認するという行動は釣り人なら多かれ少なかれやると思うけど、この店だけ異様にマニアックなリールがワゴンに転がってる率が高い。手が出たのだけでも「マイコンNo.6」、「キャリアーNo.1」、そして今回の「ポスカ1」と3台もあって、他にも逆回転している時代のカーディナルやら松尾工業の赤いボタンをポチッと押すとベールが戻るヤツやら、台数制限なければ手が出てただろう良い出汁のきいたスピニングが転がってたりした。
 写真のポスカ1なんて216円ですよ、おつり4円もらって小銭入れふくれるのいやなので1円出しておつり5円にしてますよコイツ、ワシ意外に細かい性格。
 大森熱もややおさまっていて、もうスプールやらギアやらのパーツの予備にもなるような機種以外買わないでおこうと思ってても、216円には思わず手が出たですよ。
 ポスカは大森晩年の生産拠点韓国に移した時代の製品で、フットにもKOREAの刻印があり、多分アクションMとかタックルAとかみたいな樹脂ボディーの安リールなんだろうなと思ってたけど、手にしてみると意外に作りもしっかりしていて悪くない。アクションMのような”チープ大森”的なリールではない。
 どうも、大森製作所の伝統あるリール名「マイクロセブン」の名が付く最後の機種であるマイクロセブン「V」シリーズと「C」シリーズのうちカーボン樹脂ボディーの「C」シリーズの方の後継機的なリールだったようで、多分本体の金型は一緒。
 これが、大森ファンには不評で「大森が大森らしさを捨てた時代のリール」と一刀両断されているけど、分解清掃しながら見ていくと、なぜそうしたのか、せざるを得なかったのか、大森製作所の苦渋の判断が浮き彫りになってきて、なかなかに味わい深いモノがあった。
 ワンタッチ折りたたみのウッドノブが付いたハンドルなんていう当時の流行も真似してる。だってそうすればハンドルネジ込みやめて亜鉛一体成形のギアに多角形の心棒入れる方式で良いから経費削減できるし、日本の釣り人はそっちの方が買うんだもん。
 スプールをワンタッチボタンで着脱可能にしたのも、スプールのハマる軸を太くしてドラグの効きを安定させるためというのもあったかも知れないけど、なんか見た目に分かる機能を付けて差別化しないと日本の釣り人買わないんだもん。
 一番驚いたのはドラグ。まあ大森なので基本の三階建てドラグなんだけど、これがエラい締まる。ギュッとドラグノブ締めると完全にラインが出なくなる。ドラグパッド見てみたら写真じゃ灰色っぽく写ってるけど実際には白と薄緑の斑模様の硬めのザラついたパッドで、どっかでこの素材見たことあるなと思いだしてみると、これライギョ用のアンバサダーの改造パーツとして売ってる”ドラグをフルロックするためのドラグパッド”と同じ素材だと思う。たぶんこれは石綿代替品系の素材かと。
 たかだかナイロンの2号とかで釣りするリールでこんなにドラグ締まるようにしてどうするんだと思う。正直アホのような設計だと思うけど、そうしないとドラグをしらない日本の釣り人には売れなかったんだろう。「ダイヤモンドリールはツマミ締めてもラインがズルズル出ていく」とか言われてたんだろうことは想像に難くない。
 「流行や釣り人の好みに迎合せずに良いモノを創り続けるべきだった」っていうのは評論家が後から言える台詞であって、当時自社製品が思うように売れなくなっていくなかで、生産拠点を人件費安かった海外に移したりもしながら生き残りを暗中模索していた当事者の苦悩をポスカに見てしまうと、そこまで言うたらんでもエエやんか、と思うのである。
 良いもの出しときゃ売れるんならマイクロセブンCシリーズが売れてなきゃおかしい。ポスカなんて作らんでも良かった。

 などということが書けるのは「マイクロセブンC1」買っちまったからである。
 ポスカ買ったジャン。悪くないリールだったジャン、じゃあその前身のマイクロセブンCも欲しくなるジャン。我慢できないジャン。仕方ないジャン。←急性大森症再発!!
 スプールが同じ樹脂製のキャリアーと互換性あるだろうから欲しいなと某ネットフリーマーケットで眺めてた個体、キャリアーそのものがもう一台手に入ったしいらんなと一旦心から追い出せてたんだけど、一回でも欲しいと思ってしまうと何かのきっかけで再発するネ。ジリジリと値を下げてきていたのもあって3900円でワシが購入させていただきました。箱入り取説付きでこんな値段でいいんかい?
 大森ダイヤモンドで樹脂製のリールといえばキャリアーが人気でワシも大好きだけど、マイクロセブンCもなかなかどうして悪くない、っていうかすんごく良い。
 キャリアーがボールベアリング1個で単純軽量設計のタックルオートの樹脂版で、マイクロセブンCはボールベアリング2個のアウトスプールの系統であるマイクロ7(アウトスプール)→オートベールの樹脂版的なリールかなと思ったけど、分解してみるとどうも、割と新機軸の気合いの入った機種だったようだ。
 ハンドルノブこそ日本風のウッドノブ付きだけどねじ込み式のハンドルで、当然ギアには堅い素材を芯に鋳込んだ大森得意のハイポイドフェースギア。
 ラインローラーも大森らしい樹脂製スリーブの入ったもので長く使える仕様。同じ樹脂製リールでもキャリアーとポスカは樹脂製スリーブなしのセラミックラインローラーを直受け方式だけどセラミックは滑らかで摩擦が小さいのかハードに愛用していたキャリアーNo.1でも摩耗した感じはまだない。とはいえスリーブ入りの方が安心ではある。
 音出しとサイレント、逆転の3段階切り替えはまああって困るもんじゃない程度だけど、蓋を開けてギアを見るとちょっと驚く。
 多分、ギアがマイクロセブンC用に新しく金型起こしたモノっぽい(マイコンとかと共通の可能性はある←追加註:マイコンと共通はないことに後から気付いた。理由はまた書く予定)。

 大森製作所はギアとかは変更が必要なければだいたい同じのを使ってるので、部品の共有使い回しが効くのが蒐集して使うにはもってこいの特徴だと思ってるけど、キャリアーとパーツ交換どこまで可能か調べようとしたら直径からして違ってた。左がC1でちょっと小さい。
 ちなみに予想どおりにキャリアーとスプールが交換可能、ついでにハンドルも交換可能ってことはギアに鋳込んでいる心棒は共通っぽい。
 細かい点だけど、蓋のネジが樹脂に直接ねじ込むタップネジじゃなくて、金属の雌ネジを埋め込む方式なのは他にはPENNの4桁スピンフィッシャーぐらいでしか見たことない丁寧な作り。ポスカではタップネジになってて経費削減したんだなと思う箇所。
 という感じで、大森製作所の最高傑作は何か?という問いにはいろんな回答があり得るんだろうけど、”大森アウトスプールの最終進化形”としては樹脂製でありつつねじ込み式ハンドル、堅い材を芯に鋳込んだハイポイドフェースギア、テフロンパッドの三階建てドラグ、樹脂スリーブ入りのラインローラー、ベール折りたたみ機構といった大森らしさを備えた「マイクロセブンCシリーズ」であると言っても良いんじゃないだろうか。
 その後のタックルシルバーとかはちょっと路線が違うので、対抗馬としては個人的にはマイコンTBシリーズかなと。大森アウトスプールの大きな流れであるマイコンシリーズの中でも終盤の機種で良い塩梅にマイナーチェンジが効いてて使いやすく良いリールだと思っている。でも他にもアウトスプールならキャリアーとタックルオートの単純軽量も一つの方向性だし、ってまあそのへんまた迷うヤね。でも現時点ではマイクロセブンCをワシゃ推す。
 マイクロセブンC1は実釣がまだなので、本当の意味での道具としての評価は現時点ではできないんだけど、まあ間違いないリールだと確信している。

 とかやってたら、ネットオークションで安いアグリースティックが手に入るようなら欲しいと「釣り具」「シェイクスピア」を検索条件として登録して定期的に見てるんだけど、ガツンと写真のリールが目に飛び込んできた。ハイ買っちゃってます。
 シェイクスピア「アルファ2260-030」である。
 ご存じのようにシェイクスピアは大森製作所にスピニング作らせてた時代が長くて、タックルオートとかはシグマシリーズの名前で売られていてたまにネットオークションにもかかってたりする。
 でも、このアルファのシリーズは金属製のがフルーガーメダリストと同じ機種だったりというのは目にしてたけど、樹脂製のは初めて見たうえに「030」は大森なら人気の「SS」サイズである。ちなみに「035」が「No.1」、「040」が「No.2」サイズと対応。
 ▲型の可愛いハンドルノブといい、マイクロセブンC系の造形といい、これは大森製作所の製造で間違いなさそう。あとは中身がマイクロセブンCかポスカかというところで入札に使える金額が違ってくる。コイツの正体がマイクロセブンCSなら即決価格の3980でも安いぐらい。大森人気最近落ち着いてきてるけどこのぐらいなら買いだろう。ポスカSなら開始価格の2980円の価値も正直ないかも。216円は安すぎるにしても、そこそこのデキの割に不人気だし中古本体のみなら千円台が妥当なところかと。
 写真見るとアメリカ仕様であちらでは需要のないウッドノブやベール折りたたみ機構は省略されているようだけど、ドラグノブはワンタッチボタンじゃなくて、ハンドルもワンタッチじゃなさそうということで、外れてポスカSでもまあ悪くないかと3200円で入札するも開始価格2980円でそのまま落札。

 手元に届いて”とにかくハンドル”と外してみると、ねじ込み式で「当たり引いた!」と喜んだんだけど、外してハンドルのねじの部分をみるとなんか違和感が。大森式で交差してネジ山が切ってあるんじゃなくて、PENN方式の根元と先とで太さを変えてあるネジ。
 ねじ込み方式ならマイクロセブンCS確定だと思って、入札中も質問したくて仕方なかったけどバレると即決で持ってかれそうなので我慢したけど、ねじ込み式でマイクロセブンCSじゃないっていうのは予想外だった。っていうかどこ製なんだこれ?
 でも、ねじ込み式なら丈夫な軸を鋳込んだハンドル軸のギアが入ってる実用的なリールなはずで、それならどこ製でもまあいいやと分解清掃に入ったんだけど、蓋を開けたらどう見てもハンドル軸のギアが亜鉛一体成形の鋳造もので、真鍮のブッシュで軸を受けてるのも亜鉛の軸が削れそうで怖いけど、それよりなにより、亜鉛の軸にハンドルのネジねじ込んだらダメでしょ?亜鉛そんなに堅くないんだからねじ込んで力かかり続けると軸太っちゃうでしょ?ねじ込みで太る軸を真鍮のブッシュで削るので一定の太さに、ってわきゃないよね?
 他にもローター軸のギアが強度が欲しいストッパーの歯車まで含めて亜鉛一体成形だったり、逆転のスイッチを切っても行き過ぎてちょうど良いところで止まらず逆転上手くできないとか、ラインローラーのメッキが甘くてライン巻いてたらハゲちょろげてきたとか、全体的に安っぽい作り。
 マイクロセブンCでもなきゃポスカでもなく、大森っぽい見た目にしてくれとシェイクスピア側が発注したのか、それとも大森が潰れた後に金型引き継いだ工場が作ったとかか、とにかく大森製作所じゃないところが作った安リールのようである。
 ドラグの安定性がイマイチなのを調整したり、メッキ剥げ剥げのラインローラーの表面がざらついているのをサンドペーパーでならして瞬着で表面コーティングして、逆転スイッチちょうど良いところで止まるようにカーボンの芯で止めを作って、と使えるようにするのに手間暇かけたけど、使ったら数年でどっか壊れるかも。ポスカの方がカチッとしていて数段モノが良いように感じた。
 シェイクスピアのブランドは好きだし、見た目も可愛くて良いんだけど、中身だけなら正直500円のワゴン行きだな。ハズレ引きました。でもまあこういうのも楽しいとは思うので2980円(と送料)は授業料込みということで文句はあまり言わないでおこう。

 とまあ、3台も買ってしまったわけだけど、マイクロセブンC1はキャリアーNo.1とスプール共用体制組めるしシビれる良いリールだしで手元に置くんだけど、ポスカ1とアルファ2260-303は正直単品で持ってても出番がない。かといって売るにしても値段が付くようなリールじゃないと思ってたら、ケン一が「余らしてて子供らハゼ釣るのとかに使えそうならもらうよ」とのことだったのでケン一へ業務連絡です、そのうち送るので待っててね。ラインもナイロン2号巻きました。

 リール文字通り売るほどあって、必要性が薄いのは売れるモノは売って、もらってくれそうな人には押しつけて、なんとか90台以下を保っております。
 スピニングネタもうちょっと仕入れてあるので、連投か休み休みか分からんけどあと2、3回書きます。お好きな人達はお楽しみに。


○オマケ「ギア交換」
 以前から、たぶん我が家の蔵にある、キャリアーNo.1、タックルオートNo.1、タックル5No.1はギア一緒じゃね?と思ってたんだけど、マイクロセブンC1とキャリアーNO.1のギア比較したついでに入れ替えできるか試してみた。
 キャリアーNo.1とタックルオートNo.1は交換可能。まあタックルオートの樹脂版がキャリアーなので当たり前かな。
 で、あたりまえにタックルオートNo.1のギアもタックル5No.1に入りそうに思ったんだけど、入りそうで入らない。逆は入った。
 昔のアンバサダーとか、組み立て段階で職人さんがピッタリ合う部品同士で組むので隙間とかがなかったと聞いたことあるけど、たぶん同じようにしてたり削って微調整したりもしてるんだと思う。
 大森製作所のサイズ同じリールはギア共通の場合が多いけど微妙にハマらないこともあるよ!ってことだと思う。
 ご参考まで。

8 件のコメント:

  1. スピニング熱なる病気は感染症で私も感染して厄介な事になってます。
    左投げ右巻きの体質で症状の進行に歯止めが掛かってますがこれが無かったら大変な事になってるでしょうw

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    1. おはようございます

       伝染してしまいスイマセン。
       一緒に深い沼の底に沈んで楽しみましょう。

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  2. ありがとう��楽しみにしてます

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    1. 次回ネタの撮影に使うのでもうちょっとまってね。

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  3. こんにちは。

    シェイクスピアの古いリールに興味がお有りで?
    http://shakespearman.freepage.cz/nova-stranka-243926/

    こちらのサイトでシェイクスピアのヨーロッパ法人、ノリスシェイクスピア60~80年台カタログがフリーダウンロード可能です。
    大森っぽいけど大森じゃない謎リールが満載です。

    自分も互換性スプールを求めていくつか買いましたが、ほぼ地雷でした(笑

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    1. ハイ!おありです。
      ていうか今まさに大森製(のはず)シェイクスピアが配送されるの待ってる状態です。

      カタログ公開してくれてるってメッチャありがたいですね。
      しばらく楽しめそうです。ありがとうございます。

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  4. はじめまして、おはようございます。

    「マイクロ7C1」の記述ですが、大変共感を持って読ませていただきました。

    何台かの大森リールを所持して使用していますが、このマイクロ7C1は、地味ながら総合的な使用感としては私はかなり上位にあります。

    特に「軽さ」、「ドラグの性能」に関しては実釣してみてなかなかのものであると感じています。

    私は、とある工房にお願いして、このダイヤモンドリール用のベアリング入りラインローラーを作製してもらい使用していますが、その使用感、巻き心地はなかなかのものですよ・・(笑)

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    1. はしどいさん はじめまして

       共感していただき嬉しいです。やっぱり良いですよね。
       実釣でも実力充分とのことで自分のみたてがそれほど的外れでなかったことに安堵しています。

       コレはぜひ使わねばと思うのですが、シーバス用にはちょっと小さいな、といらんことを思ってしまい、さらに病状悪化させてます。
       そのへんまたじっくり書きますのでお楽しみに。

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2019年7月6日土曜日

大森がいっぱい

 走りだしたら止まらない。ブレーキの壊れたバカがスピニング熱を発症するとどうなるか、克明に記録しておきたい。
 猛毒のヘビに噛まれて死ぬまでの様子を自ら克明に記録したカール・P・シュミット博士の前例に倣って、この病気の治療法の確立のための献体となる所存である。このような治療不能な理不尽な病で苦しむのは私を最後にして欲しいと切に願うナマジであった。

 一旦小康状態となり寛解するかに見えたスピニング熱が、大森製作所「ポスカ1」216円(税込み)をきっかけにまた急性大森症という形で再発してしまい、慢性的PENN症候群も悪化したことは既に皆様にご報告したとおりである。
 ここまで再発から「ポスカ1」「マイクロセブンC1」、シェイクスピア「アルファ2260-030」、PENN「720」を購入したことを報告しているところだが、その後報告中にも症状は悪化するばかりで現在までにシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」、大森製作所(以下同)「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」「プロフィットSS」と5台も買ってしまっている。
 賢明な読者諸氏におかれては既におわかりだと思うが、シグマプレジデントも大森製であり、これは急性大森症が劇症化しているとみて良いだろう。
 苦しい、辛い、病気が憎い!なんでアタイがこんな苦しい目にあわなきゃならないの?

<症例1>シェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」

 「ポスカ1」を買ったら、その前身である「マイクロセブンC1」が欲しくなり買ってしまったことは既にご報告のとおりだけど、「マイクロセブンC1」が大森ダイヤモンドの一つの到達点と思えるぐらいに良くできた設計で実際に使いたくなった。けど、大森の「No.1」の大きさは普段使ってる7フィートの竿にはやや小さい気がする。No.2サイズの出物があれば安けりゃ買うのにな。と思ってた矢先に検索条件保存で見張ってた「シェイクスピア」に「シグマプレジデント2440-040」がポンッと出品された。
 どう見ても「マイクロセブンC2」の輸出仕様である。開始価格も2800円と安い。
 実は大森製作所のNo.2の大きさって人気がない。SSサイズが人気で、何にでも使えるNo.1サイズぐらいまでは弾数多くて、逆にNo.4以上になるとぶっ込み系の釣りにはリアドラグのマイコンとか需要があるのかまた弾数増える。っていうか、古いスピニングに共通だけどマス釣りに使うような小型機種は人気で値段も付くのでネットオークションにかかることも多く弾数多く、金さえ出せば手に入ることが多いけど、2号200m巻くぐらいのシーバスとかに使う大きさは値段付かないので出品多くなく出たら買いで損はない。


 今回も開始価格のまま入札ワシだけで無事確保。届いたら大森製じゃなかったという過ちはさすがに2度も繰り返すことなく、間違いなく大森製作所謹製なのは、交互に左右のネジ山を切ったねじ込み式ハンドルと、ラインローラーの樹脂製スリーブだけで充分証明できるだろう。面白いのはハンドルノブで国内版が木製のT字型なのに対してシグマプレジデントは大森小型機種ではお馴染みの3角形のパドル型になっている。米国ブランドのスピニングでもPENNとか握り込みやすさ重視なのかT字型(トーピード型含む)が多いけどシェイクスピア社としては、樹脂製ならともかく重い木製は邪魔でしかないと判断して軽さを重視したということか。
 ダイワの超長寿スピニング米国ダイワ版「トーナメントSS」も兄弟機の「ウィスカーSSトーナメント」が木製ハンドルノブなのに対して単純な樹脂製I字型だった。彼の国の釣り人の好みと我が国の釣り人の好みの違いの差でもあるんだろう。
 ワシャ違いがわからン男なので、性能的にはどっちでもかまわんけど米国仕様の方が余計な贅沢さが省かれてる気がして好みかな。シーバス釣るぐらいの大きさのリールだとあんまりハンドルノブ握り込まないしな。つまんどきゃ充分。
 というわけで、いっちょ使ってみるかと思うんだけど、使うならワシ替えスプールが欲しい。でも大森ダイヤモンドのNo.2サイズはさっき書いたとおり弾数少なく、とくにスプールが共用できる樹脂製でワンタッチスプールじゃないのとなると、国内名でいうところのマイクロセブンC2とキャリアーNo.2(キャリアーⅡもひょっとしていけるか?)しかなく、おいそれとは手に入らない。
 でもワシ解決方法知ってるもんね。金属製の例えばタックルオートのスプールを樹脂製のキャリアーに填めると高さが低くてドラグ締めてもスカスカになる、っていうことはスプールの乗っかってる座面にワッシャーでも噛まして高さを加えてやれば使えるんである。多分。
 しかもなぜか大森No.2の大きさの金属製のとスプールの互換性があるフルーガー「メダリスト1626Z」が我が家の蔵には部品破損やら抱えて使えない状態で転がっている。これのスプールを有効活用する方向でいってみよう。
 ついでにいい加減な処理で済ませていた穴が浅くて3階建てにならないドラグを、CDのポリカーボネイト樹脂板で、1枚軸に固定して回らないワッシャーを作ったうえで、ドラグパッドを1枚は純正のもののまま、他をテフロン仕上げガラス繊維製の薄いシートで作成1枚は純正のと交替、一枚追加で3階建てに仕立てあげて無事浅い穴に収納。ドラグの効きも問題なさそう。

 座面に金属とテフロンのワッシャーで2ミリ弱ほど嵩上げしたところちょうど良い具合になってドラグも問題なく作動している。スプール裏の音出しが座面のギザギザから遠ざかってしまったのでドラグ作動中のクリック音が出なくなってるけど、これはまた暇ができたらCDのポリカーボネイト樹脂板を加工して作ることにしよう。
 よっしゃできた。とラインを巻き始めて問題が発覚。メダリストのスプールのスカート部分が短くてスプールが一番上に来たときにロータとの隙間が空いてしまうというミニスカパンチラ状態。”スピーチとスカートは短い方が良い”って今のご時世”社会正義の戦士”様にセクハラだの女性蔑視だの怒られそうなことが昔はよく言われてたものだけど、女性のスカートが短い方が良いということについては言論の自由を尊重する立場からあえてここに賛同の意を表しておきたい。が、スピニングリールのスカートが短いのは砂浜遠投用のリールじゃ珍しくないっちゃそのとおりなんだけど、投げる回数多いルアー用のスピニングだとライン巻き込みそうだし水とか砂とか入ってきそうであんまり塩梅良くない。
 ではとタックル5No.2のスプールを見てみるとスカートわりと長めの真面目な女学生という感じなのでこれで試してみると、こっちはドラグノブがキッチリ填まらずスプール上面を押さえてしまいドラグが効き始めるとドラグがどんどん締まっていく。ドラグノブごと交換すると上手くいくが正直イマイチ。メダリストのスプールはどうせ余ってるからワッシャーとかスプールに接着していちいちスプール交換時に現場でチマチマ填めなくて良くしようと思ってたけど、タックル5はまだ直す気があるので、接着しちゃうのはどうもな、となるとドラグノブとワッシャー類持ち歩かなければならず面倒くせぇということで、まあ予備のスプールがなければ釣りにならんわけじゃなし、しばらくは予備スプールなしで妙案が浮かぶかマイクロセブンC2かキャリアーNo.2の出物があるかを気長に待つとしよう。なに、急ぐ旅じゃないサ。
 こういうときに中古リールを蒐集目的じゃなくて実釣機として購入するなら、やっぱりPENNのような今でもスペアスプール含め部品が売ってる機種か、弾数多くて中古で予備が手に入りやすい人気機種を選ぶべきで”隠れた名品”は実用的じゃないなと思わされるところである。マイクロセブンCシリーズは人気はそんなにないけど実力は間違いないと思う、思うんだけど実釣で使うとなると、弾数比較的多い一番小さいCSを狙うのがまだ実用的なのかなと思ったところである。

 なんでマス釣りでは古いリールはそれなりに人気あるのに、シーバス釣りでは古リール愛用者は少ないのか?遠投とか巻き感度とかまったく重視してない人間からすれば不思議な気がする。マス釣るンでもシーバス釣るんでも魚釣りなんて基本一緒で最新鋭の道具の利点もあれば古い道具の勝る点もあって、好みとかも言い始めたらどっちゃ使おうがお好きなようにっていう世界のハズである。
 今時の釣り人からすれば、私のような型遅れの道具を愛用している人間は「最新式の道具を使えばもっと釣れるのに」と思われているのかも知れない。でも賭けても良いけど、明確な意図があってなら別だろうけど”新製品が出たから”程度の理由で道具変えたぐらいでは釣果は伸びない。使っていれば慣れて使いこなせるようになるとしても短期的には道具を替えると感覚が違ってしまうので釣果はむしろ落ちる。嘘だと思ったら私の釣行の過去記録を見て欲しい。近所のシーバス釣りで6.5フィートのフェンウィック社ランカーギアXからもうチョイ長め7フィートで無茶がきくアグリースティックライトに竿を換えたときも、長さでためる分魚に突っ込まれて根に持ってかれて何匹かリーダー切られている。そういう竿だと慣れて対処できるようになるのにしばらくかかった。
 40年前の道具からたいして進化していない程度の”最新”の道具に換えるぐらいなら、今の道具のままで良い。釣り場にゃ一番手に馴染んだものを持ってきたいんでね。
 って思いながらも最近はいろんなリール試してたりして、そういう道具を楽しむ喜びが最新の機種を使いこなす行為にも当然あるんだろうなとは理解できるけど”シーバス釣りでは最新鋭の道具を使いこなすモノ”っていう釣具屋サイドが仕掛けてくる洗脳的宣伝にあんまり簡単に騙されてんなよ、と思うので天邪鬼の務めとして、そうじゃなくても好きにやって良いんだよということをしつこく書くのである。 

<症例2>大森製作所ダイヤモンド「マイクロセブンNo.1」

 劇症型の大森症を発症すると禁断症状が激しく出る。既に手元に売るほどの大森スピニングがあったとしても「もっと、もっと~大森なら何だっていいからもっと欲しい~!」と全く止められなくなる。痛ましいかぎりである。
 さらに症状が進むと「コメットとかキャリアーSSとか大森の人気機種が欲しぃ~、最低でもインスプールのプロラインかマイクロセブンの程度の良いのが欲しい~」などとうなされるようになり高額な治療費が必要になるのだが、私の場合まだそこまで病状が進行しているわけではないので対処療法的に安ダイヤでも動作不良のジャンク機でもかまわないのでとにかく買うことを治療方針とした。
 おあつらえむきにネットオークションに即決3台3千円のジャンク大森が出ていたのでためらわず流れる水のごとく即決。その3台が「マイクロセブンNo.1」「タックルオートSS」「マイコンSS」の3台で、いずれもジャンクというに相応しい未整備の状態だったけど、まずはその中では一番マシな「マイクロセブンNo.1」から分解清掃、整備に取りかかった。リールの分解清掃、整備は大森症に限らずスピニングリール熱には実釣に次いで効果的な治療法である。
 マイクロセブンと名の付くリールは大森製作所からいくつも出ているけど、コイツはアウトスプールで金属製の初期の頃のモノ。
 ワシがアウトスプールのリールに慣れていて手でベールを起こす釣り人に超お薦めする「タックル5」はコイツの普及版という位置づけなんだと思う。
 とはいえマイクロセブン(金属アウトスプール版)が豪奢なリールかというと、そんなことはなくてあくまでも大森のリールは実用機である。タックル5との違いといえばワンタッチスプールの採用と、ハンドル軸にも1個ボールベアリング追加で2ボールベアリング。ハンドルの後ろにハンドルノブの重みと釣り合いを取る錘としても機能してそうなハンドルネジ収納部ぐらいで、他はタックル5と部品共有できるはずってぐらいでたぶん一緒。

 このハンドルネジ収納部はまだ大森製作所方式の同じ軸上に左右にネジ山を交互に切った左右両用ハンドル開発以前のもので、左右用が別々のハンドルネジを、使ってない余っている方をなくさず収納できるようになっているんだけど、底にはちゃんと劣化しにくい素材のスポンジが敷いてあって中で遊んでしまいラトルのように音がしないようになっている。神は細部に宿るそうだけどこういう細かい気遣いが実に大森らしい丁寧な仕事っぷりである。
 分解清掃自体は、今回もCRC666ぶっかけ浸透一晩の後に始めたけど、ベールアーム基部の固着、ハンドル軸のギアに填まったボールベアリングの軸への固着が外せなかった。けど注油グリスアップには問題ないところまでバラせたので固着部分は放置のままガッチリオイルシーリングと、適宜注油で回転が悪かったベアリングも問題なく復活したので、次の10年はやや錆がキツかったベールスプリングが折れたら須山スプリングさんに作ってもらって交換するってだけで分解清掃はせずにとも済むはず。固着は無理に外そうとしない。これ大事な学び。

 スプールの裏のドラグの音だしのバネは欠損していたので、タチウオ用に使ってた単線ワイヤーの細めのでバネ作って再建しておいた。良い音でちゃんと鳴ってる。力のかかるベールスプリングとかじゃなくて単に爪を押さえておけば良い程度のバネならステンレスワイヤーで自作できるというのもこれまでの経験から学んだところ。
 もちろん、ラインローラーの水平出しとスプールの高さの調整でラインは緩めの逆テーパーに巻き上がるように仕上げて、実釣に耐えうる状態に復活させた自信がある。
 使える個体をぶっ壊した時の嫌な気分と真逆の”ジャンク”を上手く復活させられたときのえもいわれぬ満足感よ!

 てな感じで、ジャンク3台のうち最初の一台は軽い挨拶、準備運動ていどのジャンク具合だった。次の2台がちょっと手間掛かりそうなボロさで本格的な困難を伴う荒治療に突入していくのである。
 ということで、続きはまたのお楽しみ、って感じに今しばらく”症例報告”を続けさせていただくことになる。
 劇症型大森症の恐ろしさと、その治療の現実について次回も克明に報告していきたい。
 症状が軽いからと適切な処置を怠っていると、思わぬ症状の悪化に見舞われることもあり、こんな感染源にもなり得るブログを読んでいるあなたにとっても決して他人事じゃありませんよ。ご自愛くださいね。

12 件のコメント:

  1. シーバスにオールドスタイル居ないのは状況に合ってない場合でも無理矢理PE使わせたいメーカーとメディアが原因です。
    PEの為に小型シマノ一台入れてますがナイロンだと4300ssと比較しても何も勝ってないですし整備の手間が激増しているからPEに対応したに過ぎず進化とは言えません。

    スピニング熱大森症もまだそれに向いた竿を物色しないで済んでるみたいですし大森インスプールに本格的にのめりこんだりするとか重篤化するともう治療不能になるかとw 

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  2. ぬこさんおはようございます

     確かに、なんでみんなPEなんだろうなって不思議なぐらいシーバス釣りではPE使ってますよね。夜釣りも多いシーバス釣りではライントラブル少ないナイロンラインの方が扱い楽で面倒臭くなくて良いと思うんですけどね。

     ただ、古いリールでPEが使えないっていうのもメディアとかの印象操作でしかないかも知れません。腰があってライントラブル少ないファイヤーラインでしたけど、4400SSで普通に使えてました。遠投したいサーフとか青物混ざるカヤックでのナブラ撃ちの時とかでつかってました。
     たぶんやり方と竿しだいでどうとでもなると思います。興味があったら試してみてください。ちなみに伸びるナイロンラインでちょうどよかった竿に遠投したくていきなりPE巻いたスプール用意して使ったらアタリ弾きまくって使いものになりませんでした。
     っていうようなことがあるので、メーカーお薦めの道具立て一式が考えなくても良くて”考えない釣り人”には無難で楽なのかもしれません。
     我々は考えましょう。

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    1. 私も中型SSシリーズはPE多用しますし440ssも一時期PEスプール準備してましたが、
      そんなPennでも710以下の700系と4300ss等小型ssでPE使用しますと、ラインローラーに溝が出来てしまいます。
      往年の大森等は素のPEでも溝が出来る心配はほぼないですが構造的に厳しいのがあるのも事実です。
      ファイアライン、まだ使用した経験がなく古い竿にも良かろうと550ssにスプール3個分準備しましたが、嫁さんにカネ掛かる釣り止められてて未使用のままですw
      菌は感染してもうすぐ私の手元にもΣの1が来ます

      この前の紀伊半島でのあれが羨まですw 

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    2.  溝ができてしまうのは困りますね。

       440SSが大丈夫で4300SSがダメってことは、細いPEだと狭い幅に強い力が集中して削れ始めるということでしょうか?
       そのへんよくわかりませんが、私は細いPEって信用してなくてっていうか、細いPEを扱うほどの細かい気配りができる釣り人じゃない、という風に自分のことを信用してません。
       シーバス狙いの場合のPEでも1号から2号を使っててそれより細いPEは使ったことがありません。PEラインは引っ張り強度の強さの割に傷に弱いし衝撃を吸収しないしで細いと結構簡単に切れるので結局引っ張り強度が示すほどには強いと思えないので細いのは正直使いこなせません。昔出始めに”同じ強度でこんなに細い”と喜んでPEラインでバス釣りしてあわせるたびにバツバツ切れて懲りました。

       というように、釣り人それぞれに癖やら好みやらがあって「真実はいつも一つ」なんてことはないんだと思います。
       ということで結局は人様の言ってることをましてや、釣り具売りたいのが見え見えの釣具屋のいうことなど参考程度にして、自分自身で試しておく必要があるよっていういつもの年寄りの繰り言になるわけです。

       お互い闘病頑張りましょう。大森症くれぐれもお大事に。

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  3. 小中型700系や小型ssはラインローラーの材質に問題があるからです。
    銅か真鍮に薄いメッキしてあるだけですしあれではPEの太さに関係なく溝ができます。


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    1.  確かに4400SSからブッシュ入りだったりしてラインローラーの仕様がちがうようですね。
       ただ疑問に思うのが、よくPEラインだとガイドやらラインローラーが削れると聞くのですが、同じドラグ設定で使うならむしろPEは滑りが良いので削れないハズなんです。そうするとなんで削れるかっていうと引っ張り強度が強いのでドラグ値上げてその分削れるか、編み糸なので砂とかを拾ってヤスリになってるかぐらいしか思いつかず、原因がそうであれば、ドラグ値を上げすぎないで表面を樹脂加工してあるファイアーラインとかを使うなら削れない理屈になります。
       とか考えていけば、ナイロンラインで問題なく使える道具がPEにすると使えないとは限らないんじゃないかと思うのです。
       小型のリールでPE使う時にそんなギリギリとドラグ値上げないように思うのですがそうでもないのでしょうか?
       逆に考えるとPEで削れるような問題ある材質ならナイロンでも削れるはずで、私の場合はそうはなっていないのでPEにすると削れるというのがどうにも腑に落ちにくいのですが、そのあたりは使用状況やらを実際に見てみないと分からない釣り人が違うことによる差とかもあるので、こうやって書いた言葉だけでは分からないことなのかも知れません。まあ、真実は一つだけじゃないってことでしょうか。

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  4. こんにちは
    自分がこの手のリールを集め始めた頃は房オクにフリー会員の5000円入札制限があって良い感じのリミッターとなっておりタックルオートや初代マイクロ7あたりで満足しておりました。
    そのリミッターがなくなり、数年でコメットやプロライン、スーパー7を揃えて大森症が完治……
    そんなふうに考えていた時期が自分にもありました。
    各方面の情報が集まれば集まるほど違う合併症の羅患者になるだけですよ(笑)

    1960`s Compac名義の大森、Heddon名義の稲村、同じくCompac名義1950`s Olympicもとい植野精工。

    最近海外オクにて下リンク先の広告を見つけたおかげでolympic model85なるジャンクリールを引っ張り出してきてレストア妄想をしております。
    https://www.sekaimon.com/itemdetail/151811823736?country=US

    ナマジさんも合併症にご注意を!!(手遅れかとおもいますが)

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    1.  手遅れ感アリアリです。
       稲村のロディー「ジャイロ」がちょっと欲しいなと思ってます。ベールアーム無しのスピニング方面の症状が出かかってます。

       先ほどマイクロ7C2が届いてニヤけております。ウッドハンドルがデカくて重い。C1のはそれ程でもない感じでしたがリール大きくなっても手は大きくなんねえの法則に反してます。3角ツマミのシグマプレジデント040のほうが使いやすそう。大森はハンドル共通のが多いので他のリールから持ってくりゃ良いんですけどね。
       今から整備して明日初陣に間に合うか?

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  5. コメント返信ありがとうございます。
    Cシリーズのウッドハンドルは確かに重いですね。
    握りやすさ以上に重いハンドルノブでサイド気味に雑なキャストをするとベイル倒れが起きやすいのに悩まされました。
    標準でローターブレーキ付きのカーディナルの偉大さを思い知らされます。
    邪道ですが後期大森インスプール(2世301)やPENN722(おそらく714も)だと内部にマジックテープの硬い側を貼り付けることでローターブレーキ使用に改造可能です。
    どんな変則フォームでキャストしてもベイル倒れと無縁になるのでオススメですよ。

    ロディー225を所有してますが、非常に凝ったギミックで一見の価値ありです。しかしローターバランスが壊滅的で実戦に出さずお蔵入りとなりました。確かもっと小型モデルがあったはずなのでそれならばあるいは……

    ベイルアーム無しだとFIN-NORのTYCOONとか素敵です。
    http://gt-exor.blogspot.com/2008/04/tycoon-fin-nor-no3.html

    その他イタリーのザンギやらコプテスがいっぱい出してた気がしますが実釣で使えるんでしょうかね?謎です。

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    1.  マイクロ7C2はラインローラーのベールアーム側の金具が欠損でした。オークションの写真でも確認できるので文句もいえン状態。まあ980円だったのでシグマプレジテントの替えスプール手に入ったから良いか。でも、ちょっとやる気なくしてシグマもライン巻いて明日使う気が失せました。

       意図しないベール倒れは私のような左手でライン放出調整ベール戻しを行う釣り人にはもう一つ使える裏技があって、内蹴り式のスピニングの場合、内蹴りのバネを外してしまいハンドル回してもベールが返らないようにするというのもあります。

       ロディーは実釣向けじゃないですか、残念。実用性のあるベールアームレス機としてはPENNのⅤ、Ⅵの6500サイズにベールアームレスのタイプがあって、こいつらどうもローター形状が専用設計のようで気になってます。

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  6. C2の欠損は残念ですね。
    まあ980円で予備スプールが手に入ったと思えば十分元が取れてそうな気もしますが……いつかキャリアや同型機に流用できると良いですね。

    近代型ペンにもベールレス機があるのは盲点でした。
    画像を見ましたがシンプルで男らしすぎますね。
    ローターもかなり肉抜きしてありますし別設計っぽい。

    そういえば海外のオールドリール愛好家が古いインスプールをベールレスやハーフベール仕様に改造して使っているのを見たことがあります。
    修復の厳しいジャンク品などはこういう使い方も良いかもしれませんね。
    https://www.youtube.com/watch?v=UWUxdULVoIs&list=LLqO3EJCWswbuBLnbvAGyzEQ&index=277&t=0s

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    1.  C2のローラーだめ元で壊れたフルーガーメダリストの部品試してみたら直径はぴったりで、厚さがあってローラーを締め付けて回転しなくなってるけど削って調整できそうな気配。復活させられそうなのでまた暇なときに作業してみます。こうやって直して遊ぶの楽しいです。

       PENNのベールレス機はやっぱりちょっとそそられますよね。

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2019年7月13日土曜日

症例3および4についての報告ー大森製作所タックルオートSS、同マイコンSSの場合ー

 先週に引き続き”スピニング熱”のなかでもやっかいで重篤化することで知られている劇症型大森症の症例についてつまびらかに紹介していきたい。 

<症例3>大森製作所ダイヤモンド「タックルオートSS」

 一番マシだったマイクロセブンNo.1は問題なくかるーく復活させることができたので、次は一番ボロかったタックルオートSSに手を入れることとした。
 そもそもタックルオートSSの本体になぜかマイクロセブンCSのスプールが付いている”ニコイチ”個体で、かつハンドル軸のハンドルの反対側のキャップをなくしたまま海水浴びて放置されていたようで、表面塗装が腐食で全体的にボロいのは我慢するにしても、ハンドル軸のギアも内部で相当さび付いているようで、最初はハンドルは回らないしベールも固着という有様で、さすがにどうにもならんだろうという代物だった。何か使える部品生きて残ってるのだろうか?


 ところが、他の2台と共にビニール袋に詰めこんでCRCぶっかけて一晩寝かせておいたら、割と各部普通に動くようになって、ひょっとしたら使えるようになるんじゃなかろうか?と希望が見えてきて全バラし。
 ハンドル軸のギアは心棒の部分は鉄にメッキがかけてあるようなんだけど、メッキは剥がれてたけど心棒自身に酷い腐食はなく、ハンドルねじ込みも問題なく右左どちらも可能で、パーツクリーナーで洗浄してブラシ掛けたら普通に使える程度に復活した。さすがにベアリングは新品と交換だったけど内部の機械的には何の問題もない状態に回復。
 これまで古い中古リールをいじってきて感じるのは、グリスで覆われている内部部品は腐食しないっていう”グリスシーリング”の絶大な効果で、グリスで覆ってしまうわけにはいかない本体表面とかがボロボロになってるような場合でも、内部に浸水の形跡がある場合でさえグリスが塗ったくってある部品自体は腐食していなかった。

 ということでこれでもかとグッチャリ大盛りでグリスシーリング。グリスの役目として最近のリールグリスにはギアの高負荷での摩耗防止とかが求められているようだけど、ぶっちゃけスピニングリールでギアに高負荷かけてのゴリ巻き自体が使い方間違ってると思ってて、普通にポンピングで竿で稼いだ分だけ巻き取ってればギアの摩耗なんて起こりようがなくグリスはそんなに上等なモノでなくても、ちゃんと油膜で水気やゴミから部品を守ってくれりゃ良いと割り切ってる。まあいうても気を使って対塩水的に定評のあるMAXIMAウォータープルーフグリス使ってるけどな。
 内部の機械的な動きは問題なくなったんだけど、古めのリールを快適に使うのに大事なのは、ライントラブルを防止するために、①ラインローラーの角度を水平にする、②スプールへのラインの巻き上がりを真っ直ぐかやや逆テーパーになるように調整する、の2点で、これを知ってて実行しているのと知らないのでは全く違ってくると思っている。
 ベールアームってベールが返るたびにガシャンガシャンとぶつかって力が掛かっているので、使っているうちに角度が変わってきてベールが深く返るようになってラインローラーの角度も変わってくることがある。
 金属の板を曲げて作ったベールアームなら曲げ直して角度を修正してやれば良いので簡単だけど、樹脂製や金属でも鋳造の、ちょっとやそっとでは曲げられないようなものはこれまで手が出ずに放置していた。
 ただ今回のタックルオートSSはけっこうラインローラーが斜めってしまってたし、壊しても惜しくないようなボロ個体なので以前から暖めていた方法を試してみることとした。


 ベールが返ったときにベールアームを受け止める樹脂製のキノコ型のストッパーが填めてあるタイプのリールでストッパーを太いナイロンハリスを炙ってキノコ型に成型して自作し高さ調整したのの応用編で、ベールアームかそれを受けるローターの面に穴を開けてそこに太いナイロンハリスで作ったキノコ型のストッパーを押し込んで高さを調整して角度を変えるという方法である。
 今回、ベールアームが樹脂製だったのでベールアームに熱したステンレス棒で穴を開けてキノコ型ストッパーを押し込んでから熱したステンレス棒で頭を押して高さ調整した。
 アルミ鋳造とかのベールアームでもアルミなら柔らかいのでハンドドリルがあれば穴が開けられるはずで、ローターかベールアームどちらかに穴が開けられれば同様の方法が使えると思う。
 ベールアームが傾いてくるとラインローラの角度が変わるとともにスプールに対しての位置が下がってくるので、ライントラブルに繋がる”順テーパー”にもなってくるので傾いてきたら対策取った方が良さそう。

 で、ベールアームの角度は上手くいったんだけど、スプールへのラインの巻き上がり調整が苦労した。なにしろ本来のスプールじゃなくて別のリールのスプールが付いているので全然高さがあってない。
 大森No.1サイズだとこの組み合わせではドラグノブの雌ネジが主軸の上部まで届かなくなって締められないんだけど、SSの大きさだと締めることはできるようだ。ただ、普通に巻いたら、きっつい順テーパーで、”プリン巻き”と表現している人がいたけど、まさにそんな感じに巻き上がってしまう。
 順テーパーを補正するには、スプールを下げるかラインローラー(が乗ってるローター)を上げるかで、まずはスプールを下げる一番手軽な方法、スプール座面のワッシャーを薄いのに交換を試すも全く焼け石に水で2~3ミリぐらいはまだ足りない。
 次に追加でローターを上げてみる。ローターとローター軸のギアの間に、ベアリングや枠に接触しないようにジュラコン樹脂のワッシャーの穴を削って調整して填めてみる。大分改善したけどまだけっこう順テーパー。だけど、ローターをこれ以上上げるとローターの下面の隙間が大きくなって塩梅悪そう。
 あとは主軸の穴の位置を開け直して主軸を下げると主軸に乗ってるスプールも下がるはずだけど鉄系の主軸には堅くて穴はよう開けん。
 悩んでたら一つ方法を思いついた。インスプールのABUカーディナルの巻き調整の方法で、その手があったか!と感心させられたのがスプール上下のクランクのシャフトを曲げて主軸が上下する高さを調整してやるという、主軸削ったりする方法に比べると簡単な方法で、幸いタックルオートもクランク方式だ。だいぶ形状は違うけど。
 ということで主軸に突っ込むピンの部分をなるべく下に曲げて主軸のお尻が本体の底を叩かない範囲で下げてやろうとしたけど、ピンを曲げるとクランクのギアの上に乗ってる部分が浮いてしまいよろしくない。理屈ではカクッカクッと2回曲げて主軸に突っ込む部分を真っ直ぐにしてやれば良いんだろうけど、ステンレスっぽいピンはそんな思うようには曲げらんねぇ。
 ということで若干斜めにできたかなという気持ち程度の修正にしかならなかった。

 最後の手段で、ダイワのアンチバックラッシュシステム(ABS)でスプールの形状が元から逆テーパーになってるのを下巻きで再現するというダイワABSスプール以前の結構昔からやられていたらしい”手動下巻きABS”で最終的な巻き上がりが真っ直ぐになるように下巻きを結構な角度で逆テーパーに巻いてなんとか帳尻を合わせた。
 小さくベールアームを折り畳める収納性の良さを生かして旅のお供に持ち出しての実釣でも、ライントラブルもなくドラグの効き具合も優秀で良い感じに使えて、さすがにここまでボロくて元々ニコイチの個体は売るにも売れないので手元において使うことにする。
 ハンドルがハマってない方のキャップがないのは、パイプ椅子の先に填めるようなエストラマー樹脂性の伸び縮みするキャップでちょうど良いサイズのがあったので高さを切って調整し水抜きの穴をウレタン接着剤で封してから填めておいた。
 防水性能も復活。これであと10年は余裕で闘えるだろう。ニコイチで見た目もボロボロで格好良くはない。それでも自分で修繕して復活させたリールなら愛着湧いて気分よく使える。ボロは着てても心は錦。今後”旅の友”はコイツにまかせよう。

<症例4>大森製作所ダイヤモンド「マイコンSS」

 大森製作所の名を世に知らしめた大ヒット作、初代”マイコン”の一番小さいSSサイズで押しも押されぬ人気機種である。箱入り美品なら1万円以上している。
 表面腐食が多くボロ目で回転も重め、音なし切り替えツマミが固着、ドラグは締めてもスカスカで機能していないという状態では3台3千円のジャンク扱いもやむなしだけど、大森のリールがギアまで逝ってたのはこれまで遭遇していない。症例3のように内部に塩水入っていてもなお錆を落とせば復活する程度に丈夫な部品を選んで組まれているので、見た目はともかく内部は無事なのは予想できる。
 音なし切り替えは、最悪できなくても釣りはできる機能だけど固着外せれば外せば良い程度の認識。
 ドラグにおいてはマイコンのリアドラグを前の持ち主が分解後適切に組み直せなくて、っていうのはお約束だと思うので何の問題もないだろう。
 再起不能と思われた症例3のタックルオートSSに比べれば構成部品数は多いにしても、マイコンシリーズ自体初期型もNo.6で経験済みだし301TBと302TBは昔の愛機で馴染みがあり、楽勝気分でこれは勝ったも同然と余裕綽々で分解清掃整備を始めたんだけど、これが予想だにしなかった難敵で思わぬ大苦戦で薄氷を踏むような辛勝。運が良かったとしか思えない有様で今思い返して胸をなでおろしている有様。もう二度とマイコンSSには手を出すまいと誓うほどのトラウマ的に厳しい闘病だった。


 まずは鼻歌仕事だと思ってたドラグでも落とし穴にハマった。
 リアドラグの部分は本体内部と分けて整備してしまった方が作業用のお盆の上が散らからずにすむので、最近使って現役リール棚に置いてあった301TBのリアドラグと比較しながら最初に手を付けて、案の定ドラグパッドとかの順番が写真のようにデタラメだったのを苦笑しながら直してグリスも塗り直して填め直して、苦闘の末の本体復活の後ドラグの効きを確認してみたら、最初ちゃんと作動するのに、すぐに何というか中でずり落ちてしまう感じでスカスカに空振りして作動しなくなる。
 No.6分解したときのドラグの順番の写真や301TBの現物と何度も比較してみるんだけどどう考えてもドラグパッド、ワッシャーの順番は間違っていないので、何がおかしいのかずいぶん悩んで、ドラグパッドの填まっている金属製のスリーブの、ワッシャーが止まる出っ張りの前後に分けて填めてやる必要があるという正解に何とかたどりつくことができた。全部まとめて出っ張りで止めてると思ってたけど、ドラグラチェットを鳴らすギザギザの歯車とパッド1枚だけを出っ張りより本体側に重ねて他をドラグノブ側に重ねるのが最終回答。
 でも本当にしんどかったのは本体内部。基本的にはNo.6と同様の設計である。にもかかわらずSSサイズはメチャクチャ難易度が上がる。SSはその小型軽量がルアーの釣りに好適として人気なんだと思うけど、小型軽量に仕上げるため、リアドラグ化で増えて複雑化した部品を狭い本体内部に配置するためのギリギリの立体パズル的な設計になっていて分解そのものが難しい。

 具体的にはスプールを上下させるためのオシュレーション機構の部品であるオシュレーションカムを主軸に止めているCクリップの上の方の1個。ハンドル軸のギアに隠れるギリギリの位置で外しにくいことこのうえない。これが外れないと主軸が抜けないのでハンドル軸のギアもローターも外せない。全く分解整備できないやんけ!?
 下の方はマイナスドライバーと千枚通しで何とか外したけど、どうにも上のが外せなくて、なんでいつもの単純なクランク方式で主軸に穴開けて刺す方式じゃないのかと”恨みます”って気分になるけど、考えたらリアドラグ方式ではスプールと固定した主軸の回転をお尻のドラグに伝えなきゃならんので、クランク方式にするにしても主軸に穴開けてピンで固定して回転しないようにしてはリアドラグは意味を成さない。リアドラグでクランク方式自体はABUカーディナル(インスプール時代とクラッシックラインのC3とか)という前例があるけど、どうしてもハンドル軸のギアの後方に大きく場所を取るので、カーディナルのように後方というより斜め後方にドラグを持ってくる設計じゃないと下半身が長くなりすぎる。オシュレーションをハンドル軸のギアから歯車で持ってくる方式なら、ハンドル軸のギアとある程度重ねる設計が可能で小さくまとめることができる。マイコンSSはオシュレーションカム方式をとりつつもほぼハンドル1回転で1往復で減速密巻きにも倍速綾巻にも振ってないそうなので、大型機種との並びもあったんだろうけど純粋に小型にまとめる設計のためにこのオシュレーション方式をとっているようだ。なので、マイコンシリーズは単純なクランク方式採用のフロントドラグ方式の小型ダイヤモンドリール達とはハンドル軸のギアに互換性がない。
 てな蘊蓄はCクリップを外すためには何のお役にも立たず、最終的にはCクリップが跳んでどっかに行ってしまう不安におびえつつ、普段は座椅子に座っての作業で力をかけるときは膝上にリールを固定して作業しているのを、リールをお盆に押しつけるように固定して腹ばいで両手にマイナスドライバーと眼鏡用プラスドライバーを持って艱難辛苦を乗り越えてやっとCクリップがリール本体内に落ちたのを確認しようやく峠を越したことに安堵したのであった。所要時間およそ1時間の激闘であった。
 他にローター軸のベアリングが固着してたのも衝撃加えて外すにもドライバーとかあてる場所が小さくて危なかったけど何とかギアごと外して難を逃れた。固着系はどうにもならんときはどうにもならないので運が良かった。ベアリングの回転の軽さとかおもクソ無視して最終的にはグリス盛りまくっておいた。音消しのツマミも問題なく回復。消音部品の爪をぴったりの位置に填めるのに何度かやり直しが必要だったけどNo.6の経験を生かして無事組み付けできた。

 分解してパーツクリーナとブラシで洗浄してみたらばギアとかはあんのじょうピッカピカでベアリングも特に錆びてはいなかったので軽い回転に復活。まあグリスで重くなったけどナ。
 ちなみに金属パーツ小皿にまとめてパーツクリーナーに浸してブラシがけしてるけど、手間食って非効率でもバラした順番に並べておいて一つずつ作業していった方が良い、っていうか基本。そうしないと組む順番が分からなくなる恐れあり。慣れればデジカメで分解するときに写真押さえていけば問題なく組めるようになるので手抜きしてます。
 ついでに、どうでも良いことだけど、マイコンがなぜ「MI-CON」で私のコンピューター的に「mycom」やマイクロコンピューターの略の「micom」じゃないかって話は、多分「マイクロセブン(MICRO7)」のマイクロとコントロールあるいはコントローラー(Controller)をくっつけた、リアドラグで”精密に調整できるよ”的な意味で名付けた一種の造語ではなかろうかと思っちょります。

 という感じで、リールの方は快調に復活したけど長時間根を詰めてストレスフルな状況下でお行儀悪く作業していたのでこちらの腰にきた。洗浄後乾燥させてから組み上げるのが嫌になるぐらいに腰が痛かった。こうやってキーボード入力で文字打ち込むのも座椅子に座ってこたつ机で打ってるけど、パソコン用兼釣り具いじり用に良い椅子と机を買うべき時期に来ているのかもしれない。
 見た目腐食有りでボロっちいのは致し方ないにしても、性能的には何ら問題なく好調な個体に復活。これでジャンク3台は三者三様に復活させられたことになり、とっても気分が良い。
 以前にも書いたようにマイコンシリーズでは愛用していた301TB、302TBが好きなのでコイツとマイクロセブンNo.1は売りに出す予定。

 何しろこの時点(書いてるのはチョイ前で7月4日)で台数は規定の90台を3台オーバーである。
 2月にリール管理台帳を付け始めてからこちら、この患者は21台を購入し18台を売却または譲渡した。前者の金額は計56,296円、後者が37,003円で差し引き利益はマイナス19,273円と大赤字である。健康保険は適用されないので全額自己負担である。
 なんでこんなに赤字経営なのかというと、値段が付かないマイナー機種は売る手間が面倒くせぇので人様にあげてしまっているというのが大きいといえば大きいけど、そもそも値段が付くような割と人気の機種であっても、買って一生懸命分解清掃整備してそのことを説明して売りに出しても買った値段ぐらいにしかならないからっていうのも大きい。儲けて商売にするなんて遠い彼方の話である。
 有り体に言って全バラフルメンテは業者さんに頼んだらどれだけ安くとも2~3千円はして普通5千円~1万円ぐらいはする。手間暇考えればそのぐらいは当然するはずと納得できる。
 順テーパーが当たり前の時代のリールを逆テーパー気味に調整したり、ラインローラーの角度を調整したりという簡単な整備だけでも、使いやすさに直結するので金払う価値はあるだろう。
 っていうのを中古リール買う方は分かってなくてピカピカした見た目にしかこだわってないし、”機関好調”は書くのはどうとでも書けるけど、客観的には評価する指標が難しく、表面拭いて可動部にグリス付けた程度の「整備済み」個体とワシが自分で使うつもりで半日からかかってグリス大盛りで仕上げて向こう10年はラインローラー、ハンドルノブ、スプール外して主軸への注油と折れたらベールスプリング交換のみで闘えるようにしたリールでも「整備済み」ということにおいては同じである。
 古いリールは見た目状態良くてもそのままじゃ使いにくいなんてことは普通にあると思うんだけど。
 そのへん海外のオークション覗いているとユーチューブからリンク張ってあるのがあったりして、滑らかにクルクル回転してベールも軽く返ってるのとか説明しながら撮影してあって、なるほどこれなら写真よりは回転具合とかの機関良好っぷりを判断するには参考になり得る上手い宣伝方法だとおもう。
 でもそんな面倒くせぇことやってられっかよってのが正直なところ。2、3千円で買ったリールが買値よりちょっと値が付いて5千円で売れるようになるぐらいの違いのために、カメラ買って興味もない広告映像のお勉強もせにゃならんくなるとかまっぴらゴメンである。
 同様の面倒くせぇという理由で見た目が良くなり売却値段向上に直結するだろう再塗装技術の習得にも今のところ興味はない。ボロいリールの場合そのボロさも味のうちだと思っている。自分で使う場合ボロくならないように丁寧に扱うとしてもだ。

 でも、これからもボロリールを買って苦労して修繕・整備して売るというのは多分続けていくだろう。リールいじるのが楽しいという単純な話だけでもおおいに買う理由になりえる。特に動かないような状態のジャンクリールを使えるように直せたときの気持ちよさは一度味わうと病みつきになる。使えるリールを壊したオノレの罪や汚れさえ浄化される気もして、もはや止められず完治は不可能なところまできている。
 直して気に入ったら自分で使っても良いし、友人にあげても良い。既に持ってるリールと役割かぶって売りに出したとして、値段がたいして付かないとしても、使えなかったリールを使えるように修繕整備して中古市場に還元して、手にした誰かが気に入って愛用してくれるならそれだけで充分嬉しい。
 新品売らなきゃな釣具屋には恨まれるかも知れないけど、いりもせん機能でごちゃついた道具ばっかり買わそうとしてくる勢力に対抗して、単純で必要充分な道具の良さを知る釣り人が一人でも増えることを目指してのナマジなりの体制・権威への抵抗活動である。
 ということで治療方針としては、当初のそれに改めて立ち戻って、ジャンクとされてるような動かない系ボロリールを買って直して楽しむということになるのだと思う。
 完治はもう望めないぐらい病膏肓に入ってる状態だと思うけど、ジャンク3台復活はだいぶ病状を軽くしてくれて、今現在なんでも良いから大森が欲しい的な劇症型大森症は治まってくれてスピニング熱は末期的症状というほど酷くはなく、今後も上手に病気と付き合っていくしかないのかなと思うのであった。

 ということで次回は割と得意分野になりつつある”安ダイヤ”関連の症例報告いってみます。お楽しみに。

8 件のコメント:

  1. マイコンのCクリップの脱着、苦労するんですよね(´・ω・`)
    私も201の全バラクリーニングでえらく苦労しました。
    輸出用の大森をミッチェルと共に淡水汎用に回す予定で、ミッチェルでは味わえないストッパーのクリアなカチンって音を楽しむつもりです。

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    1. ぬこさん こんにちは

       やっぱりマイコンのCクリップには皆さん苦労してるんですね。仲間が居て心強いです。
       と同時に、これってCクリップ上手に外せる器具を開発したら特許とって儲けられるんじゃないかと一瞬思いましたが、そんな私が思いつく程度のこと既にやってる人居るんだろうなと検索したら、案の定いろんな種類が売ってました。
      https://www.monotaro.com/k/store/c%83N%83%8A%83b%83v%20%8DH%8B%EF/
       なかなか銭の花は咲かないものです。

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  2. こんにちは。

    マイコンSSの記事のところでお尋ねします。

    ドラグワッシャーの配置が、「金属製スリーブ」の出っ張りの前後に歯車とパッドを分けて配置させた、とありますが、これは同じようなドラグ機構の「カーボンマイコン」(No101)とかでも同じ事なのでしょうか?

    それともこのマイコンSSだけに当てはまる事なのでしょうか?

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    1. はしどいさん こんにちは

       実は最初組むときはNo.6の順番を参考にしてて、No.6はまとめて全部お尻側で、それが初期状態か自信ありませんが、ちゃんと作動してました。
       マイコンSSの場合それでダメだったので、実物のある301TBをよく調べたら歯車1枚ドラグパッド1枚だけ前方だったので試してみたらうまくいきました。

       ということでカーボンマイコン手にしたことないので断言できませんが、同じようなドラグで設計変えてるとは考えにくいので、小型のSSやNO.1サイズには共通かなと思ってます。
       ちょっと自信なくてスイマセン。

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  3. こんばんは。

    某オークションでマイクロ7やマイコンSSを出品しているのはナマジさんですか?

    商品説明を読んで、感動しましたもので・・(笑)

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    1. うわっ!!バレてしまいましたか。
      ってブログ読んでたらバレバレですよね。

      写真綺麗に撮るのとか苦手なので、商品説明頑張って書いてます!!

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    2. 私も曲がりなりに分解したり、清掃したり、アチコチいじくってみたりしてまして・・(笑)

      それでもさすがに大森リールは壊れませんけどね~

      あのナマジさんの渾身の説明は私は感心しましたね!(笑)

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    3. お褒めいただき光栄の至りに存じます。
      マイコンSSは入札既にアリ、マイクロ7も売れると良いのですが。

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2019年7月20日土曜日

症例5についての報告ー大森製作所「プロフィットSS」の場合ーと”安ダイヤ”の世界

<症例5>大森製作所ダイヤモンド「プロフィットSS」

 この記事がいったいどんな層に需要があるというのか?やっすいダイヤモンドリールに興味ある人がナマジ以外にどれほどいるというのか?そんなことは一切お構いなしに自分の書きたいことを書きたいだけ書く、それが「ナマジのブログ」の基本理念。アー楽しい。
 「プロフィット」は以前紹介した「タックルA」、「アクションM」と見た目似たような、というか本体の金型あきらかに一緒の末期大森製作所の作で韓国製。 
 とはいえ名前だけ違うのかというと作りも微妙に違ってて、プロフィットSSはワンタッチ折りたたみハンドルでラインローラーはセラミック製と見た目からしてちょっと高級感が漂う(当社比)。

 分解清掃していくと、ドラグは樹脂製本体の大森スピニングではお馴染みのテフロン製ドラグパッドの3階建て方式、ワッシャーが錆びついてるあたりのメッキのお粗末さとかは末期大森の特長か?主軸にもちょっと錆。
 なぜかこのスプール、タックルAとは微妙に合わなくてアクションMとは合う。
 本体パカッと開けてみると、プロフィットSSはなんとボールベアリングが2個も入っております。高級や!!よく見ると本体表面にもその旨明記。
 タックルAとアクションMのハンドル軸のギアに填まっているブッシュはなんであんな大きいのかなと疑問に思ってたけど、要するにプロフィットではベアリングが填まってた場所にそのまま填まる大きさの樹脂製ブッシュだったわけだ。納得。
 ついでに購入時はズレて機能していなかったけど消音化のためのバネがハンドル軸のギアに付いててプロフィットはカリカリ音しないのが正常のようで復活させておいた。やっぱり高級だ(当社比)。
 過去の写真よく見ると、消音化のバネがおさまる溝がアクションMのハンドル軸のギアには存在して、タックルAの方にはない。
 以上のことから考えて、おそらく3機種のうち最初に作られたのはプロフィット兄貴でその廉価版として同時期かやや後に同じ本体、ギア、スプールを用いて、ドラグや消音、ワンタッチハンドルとかの部分を変えて安く仕上げたのがアクションM。
 タックルAはそれより後の製品で本体だけ共通で、スプールの上下幅より広すぎる糸巻き部分の幅を改善したのだと思いたいけどスプール形状変更して、プロフィットからはやや経費削減仕様にして、ちょうどプロフィットとアクションMの間ぐらいの設計で売った、というのが今回のパソコン椅子探偵ナマジの推理である。
 プロフィットのドラグノブの上には例のハイポイドフェースギアをあしらったトレードマークが残ってるのも時代がより前なのを裏付けているかなと思ったり思わなかったり。
 3兄弟並べるとこんな感じ。


 で、一件落着なら良かったんだけど、実はこの「プロフィット」から派生した、と今のところ整理している一群の樹脂製本体の韓国大森製作所作のリールはこれら3機種だけじゃないようで、ネットオークションに出品されているのをサイズが大きいので手を出さなかったのとかで確認しているのだけでも他に「ビックフィット」というのとスプールが金属製の「UPフィット」というのが存在して、スプール金属製のにはスズミ版の「Steams Spin」というのまであり、他にも資産家のスケベ爺ちゃんが死んだ時みたいにあっちこっちから母親違いだのの兄弟機は出てきそうなのである。
 大森製作所は最後釣り具量販店の上州屋に吸収されたので、上州屋のブランドであるスズミとかリョービとかのリールを韓国大森が作らされてたってのはあるんだろうなって想像してたけど”スズミ版プロフィット”があるってことはやっぱり現実にあったようある。リョービ「サイノスフィット」とかが出てきたとしても、やっぱりなというぐらいで驚かない自信がある。
 そんなワシも、さすがに韓国シルスター社がダイヤモンドブランドでリールを作ってたっていうのをネットオークションで発見したときには腰抜かしたわい。
 「DIAMOND EX35」っていう大森製にもおんなじ名前のなかったっけ?なロングマイコンの黒っぽいやつという感じのリアドラグスピニングで、多分本体ロングマイコンと金型共通だろうなって感じのだったけど、世の中にはどんな分野でもマニアっているようで、入札ワシぐらいだろうと思ったら意外にも競って1600円まで値が上がってさすがに使うあてもないのに買う気満々の相手とこれ以上競るのは危険と判断して手を引いた。あぶねえあぶねぇ。ひょっとして落札した人ココの読者さんだったりして。
 シルスターも上州屋が輸入している上州屋と縁の深い会社だから上州屋が作らせたってのが普通にありえるっちゃありえる話だけど、どうもシルスターって韓国ダイワとか韓国大森の部品下請けしてたか、もっと直接的に韓国ダイワや韓国大森っていうけど、日本の日吉産業がルーやゼブコのブランドでリール作ってたようにシルスターが韓国製ダイワや韓国製大森を作ってたってこともあるんじゃないかと思える。


 そう思ったきっかけは、写真の韓国大森製「ポスカ1」のクランクの方式。
 このブログの読者のマニアックな皆さんなら「アッ!」と驚かれるかもしれない。そう、私が「PENN101」をダイワ製と推理したときの決め手とした製造会社の”癖”が韓国大森にも認められるのである。
 メイドインジャパンのダイワの安リールにもPENN101にもクランクの金具を2回直角に折って主軸を囲んで上下に主軸ごとピンを貫くという方式がとられていて、その方式が韓国大森製ポスカ1にも使われている。しかもダイワの安リールとPENN101はちょっと同時代のダイワと毛色が違う設計でどっかで部品作らせて日本で組んでたんじゃないかということが疑われる。ということを韓国の1つの製造元があちこちから受注して得意の方法で図面引いてたと考えるとしっくりくる気がするけどどうだろう?
 その製造元がシルスターかそうでないのかは、韓国語堪能ならネットで調べりゃすぐ分かる気がするけど誰か調べてくれんだろうか?
 あるいは90年代ぐらいのシルスター社製のリールをお持ちの方で、パカッと蓋開けたらクランクが”2回直角曲げピン貫通方式”だったりしたら謎はだいたいとけた気がするので是非情報提供お願いしたい。
 シルスター製のリールも欲しくなってくるけどここは我慢のしどころだろうな。
 プロフィット兄弟に関する情報とかも「こんなんもありましたよ」とか教えてもらえるととっても嬉しいです。

 で、実際のところ安ダイヤは使ってみてどうなの?って話だけど、まあこの手のリールにあんまり厳しいことを言ってやるなということかもしれない。先日旅先で使った同じ大森製作所のタックルオートSSが、巻いてて作りの良さが伝わってくるようなカッチリとした機械の使い心地でストッパーのカリカリ音もシャリリリリっと軽やかに気持ちよく釣りができたのと比べるのは、正直野暮ってくらいのデキである。
 正確にどう違うのか、専門的知識もないので感覚的にしか書けないけど、現在使ってるアクションMは軽さが安っぽさにつながっててカスカスと精度の低い巻き心地という感じで、かつローターが軽い上にバランスやや取り切れてなくてプルプルするのが、普通部屋で回したときにプルついててもライン張って巻くときにはその分の”重石”がかかるので案外気にならなくなるんだけど、軽さ故に手に来る感触としてバランスの悪さとストッパーのカリカリが明確に増幅されてる感じで使ってて苦笑が漏れるところ。


 でもまあ、このリールやらの”安ダイヤ”の良いところは良くも悪くも安っぽい軽さにあって、アクションMは実際にはSSサイズでもロングスプールでベールも張り出してて他の機種よりはちょっと大きくて、並べたら左の写真ぐらいの違いがあるんだけど、それでも重さはアクションMも写真右のタックルオートSSに軽さじゃ負けず190gぐらいで、さすが樹脂製という軽さは小型リールとしては評価して良いんじゃないだろうか。プロフィットとタックルAは高級?な分金属部品増えるので200グラムぐらいはあるけどそれでも充分軽いといって良いだろう。
 あとは、釣り場で道具が人とかぶらないのと、クソ高い道具買わされてる釣り人どもに「ごくろうさん、魚ぐらいこのやっすいリールでも釣れまっセ」と歪んだ優越感にひたれるところが使ってて楽しいところだろうか。ドラグもちゃんと効くように調整したし魚釣るのに問題があるわけじゃない。楽しい釣りの共に悪くないリールたちだと思う。気楽に行こうゼ。
 カリカリの振動が気になってたのは、無視してても、何なら逆転スイッチ切って釣っても良かったけど、プロフィットではバネ一本で消音仕様になってたのをみて、例によってタチウオ用ステンレスワイヤーで消音部品自作してカリカリ音しないようにしておいた。
 スプールの幅が広すぎるのも調整してあるし、ハンドル軸のギアの芯、ブッシュが填まってない方にもジュラコン樹脂のブッシュ填めたし、だんだん使いやすく改良できているような気がする。結構気にいって愛着も湧いてきた。

 アクションMとプロフィットはスプール共有できるので替えスプール有りの1組と考えて、他にタックルAは3台もあるんだけど、1台は逆転防止がぶっ壊れてるのでスプールだけ使ってやっぱり2台で1組と考えると、1台余るのでプロフィット入手と入れ替えで売りに出す予定。
 これでなんとか90台に収まると思ってたら、なんとなかなか出物がないと書いたそばから「マイクロセブンC2」が某ネットオークションで安く手に入って、また売るリールを選ばねばならぬ。
 書くと出物があるパターンは結構あってPENN720も722に比べたらあまり見ない機種だったけど魚模様のが出てたりした。ワシが入札しないときは安くてムカつく。書き込み欄で話題に上ってた稲村のロディージャイロも出てた。
 ひょっとしてこれ読んで出品してる人居るのか?って疑いたくなる。自分で書くのも何だけど、このブログは読者が少ないので宣伝効果あんまりないと思うんだけど、逆に読んでる熱心な読者さんは末期的なスピニング熱患者の方も多いから、沢山売りさばくわけじゃないならむしろいいのか?一台ならワシがまず買うしナ。まあ人様の商売の心配しても意味ないな(っていうか単なる偶然なんだろうなってのは薄々知ってます。)。
 マイナーリールのファンの人からすれば、いらんこと書きくさんなヤ、相場が上がるやろ!って話かも知れないけど、不人気機種って金額付かないので売りにも出されずゴミとして処分されがちだと思うので、多少相場上がるのは我慢していただいて中古市場での安定供給に寄与できればなとおもっちょりマス。

 ただ読者少ない我がブログにおいて”スピニング熱”ネタは本人予想しなかったぐらい人気で、まあ普段が日曜と月曜には50人ぐらいの固定客様に読んでいただいているってのが、倍の100人ぐらいになるってだけで目くそ鼻くそレベルの話なんだけど、それでも当社比で倍に達するような多くの人に楽しんでもらえたのならば素直に嬉しい。
 ただ、自分も道具買ったりいじったりしてる時って、実際の釣りの方が不調の腹いせ的な部分って結構あったりして、読者の皆様が釣り場で苦戦されてるんじゃなかろうかと心配である。
 魚釣りは魚釣ってナンボだと思うので、道具イジリも楽しいけどほどほどにして皆様良い釣りをお楽しみください。


 

2019年7月27日土曜日

待てばジャンクの出番ありー症例6についての報告ー大森製作所「マイクロ7-C2」

<症例6>大森製作所ダイヤモンド「マイクロ7ーC2」

 症例5で一旦報告終わりの予定だったけど、ポロリと出物があって、前回チラッとふれたけど入札ワシだけでマイクロ7ーC2を入手。これだけならめでたしめでたしで名古屋の味噌ならあかだしあかだしで終了だったんだけど、なんとこれが部品欠損個体。
 やられたゼと思ったけど、確認すると出品時の写真にも堂々と欠けてる写真が使ってあり、ワシも気付かず買ったけど、売る方も気付かず売ったんだろうなという感じ。もちろん掲載写真のとおりじゃ文句も言えず、980円+送料で写真右の既に持ってた海外版の方のシェイクスピア「シグマプレジデント2440-040」のスペアスプールが手に入ったと考えて、それだけでも安いと考えてまあいいやとなった。
 
 欠損していた部品はラインローラーのベールアーム側に填める覆いの付いたワッシャーのような金具。
 スペアスプール確保でまあいいやって一旦なったんだけど、こんなもんラインがラインローラーとベールアームの隙間に落ちないようにすれば良いんだから隙間に覆い無しのワッシャーでも填めときゃいいんと違うか?とテフロンワッシャーでちょうど良い厚さのを填めてみるも、余裕で8ポンドラインが隙間に落ちる。当たり前だけど釣り糸って細い。
 まあ、マイクロ7ーC2を使おうと思えばシグマプレジデントから部品取ってくればいいし、多分マイコン302TBとかとも共通の部品だろうなとは思う。思うんだけど、部品外した方のリールが使えなくなるのはなぜか気に入らない性分。同時に2台使うわけじゃなし別にいいやんケと思うんだけど、2台使える状態にしたいと思ってしまうのがイジリだしたら止められなくなった。
 とはいえ金属削ってパーツ作るのは難易度高いし、樹脂製素材ならドリルで削って整形すれば作れるかな?とかも考えたけど面倒くせぇ。

 都合良く、部品取りに使えるNo.2の大きさの修復不能なダイヤモンドリールの出物があるまで待つか?とも思ったけど、そういえば我が家の蔵には樹脂製のベールアームが割れてたりして現在の私の技量では修復不能な”大森っぽい”リールが転がってるなとフルーガー「メダリスト1626Z」を引っ張り出してきて該当する部品を外して組んでみると、これがなんとラインローラーの径的にはピッタリ合う。よっしゃ捨てずに取っておけば役に立つ日も巡ってくる、と喜んで装着するもラインローラー回転せず。
 なんでじゃ?といじり回しながら考えると、どうもネジを締めていく途中まで滑らかに回ってるけどキュッと締め込むと回らなくなる。構造から考えて部品の厚さは関係なさそうで、ネジを通す穴の径が若干大きいので締めるとズレて斜めってしまってラインローラーを固定してしまうようだ。
 じゃあ穴とネジの隙間を埋めれば良いなと方針が立つ。

 簡単そうなのは”リコイル”に使うバネ状のパーツを適切な長さに切って隙間にはめ込むという方法だけど我が家にあるリコイル用のバネはサイズが合わなかった。買っても良いけど何か筒状のものを間に突っ込んで切れば良いだけだから、その辺に何か転がってるだろうと探してみるとあったあった。ちょうど填まりそうなカーボンの延べ竿の折れた部分発見。
 竿の折れたヤツって太さが徐々に変わるある程度強度のある筒という、こういう隙間埋めるのにももってこいの素材。主に竿の補修用として捨てずに保管してあったんだけど役に立った。物を捨てられない性格は将来的にゴミ屋敷を出現させる可能性大でどうにかせねばと思うところだけど、こういう”取っておいたら役に立った”という実例があるとますます物を捨てられない性格が補強されてしまう。困ったものだ。
 でもってちょうど良い太さの所を突っ込んで、意外に薄いとグシャッと潰れがちで一回失敗したけど2度目で必要なだけ切り取り成功。
 瞬着で固定して填めてネジ締めてみたら、思ったとおりにズレずに固定できたようでラインローラー問題なく滑らかに回っている。合格。

 手間暇掛けて修繕すると愛着が湧くもので、当初はシグマプレジデントの方がハンドルノブが軽くてルアー投げるのには向いてそうだし、竿もシェイクスピアのアグリースティックエリートだからシェイクスピアで揃うしでそっちを実戦投入の予定だったのを予定変更、マイクロ7ーC2を実戦投入しその実力を体感してみることとして、分解清掃グリスアップとあいなった。

 まあ、ダイヤモンドリールの分解はもう慣れたものでチョチョイのチョイと分解していく。
 C1の時にも書いたように、大森製作所としては伝統あるマイクロセブンの名を継ぐにふさわしい”樹脂製スピニングの最高傑作”をという意気込みで気合い入れて作ったのが見て取れるけど、だからといって不必要な機構やら部品やらがゴテゴテと追加されているわけではなく、部品数自体は少なく単純な設計である。
 だって、他に追加すべきものなんて正直ないんだもん。でもこのリールが天下獲るようなことはなかったし、現代の中古市場でもC2なんて980円である。


 樹脂製にすることによって軽さを追求したけど、その際に耐久性とかを犠牲にしたくなかったんだろうってのもみてとれる。既に書いた蓋を止める金属製雌ネジのほかにも、逆転防止の爪を受ける部分にアルミで補強が入れてあったりなんてのも地味なんだけど芸が細かくて感心する。写真の上2枚がそのへんなんだけど分かるだろうか?下が外したローター軸のギアの位置に爪が倒れ込んでいる状態。
 写真3枚目はこれまた樹脂製のキャリアーで、こっちは樹脂の出っ張りで受けていて、キャリアーはより簡素化して軽さを追求した形になっているけど、マイクロ7Cシリーズはベアリングも2つの交差する軸にそれぞれ1個づつ入っててより長く使うことを想定しているようにみえる。
 小型のリールでは単純で軽量なキャリアーの方が実用的なのかも知れないけど、マイクロ7Cの単純だけど丁寧な造り込みはさすが大森製作所と評価するべきだと思う。
 唯一当時の流行の高級感溢れる?ウッドハンドルノブがC2の大きさになるとちょっとでかくて邪魔に感じるけど、使ってみて握りにくいとかなら他のリールともハンドル共有可能なので持ってくりゃ良いし、投げるときにハンドル回ってベールが勝手に返ってしまう不具合あれば、”ローターブレーキ”自作改造でも良いだろうし、あるいは内蹴りのベール返しのバネを外して”マニュアルベールリターン”にしてしまっても、今や左手でライン放出調整してベールを起こすのも、お作法通り右手人差し指でライン放出調整してハンドル回してベール返すのもインスプール修行の成果で問題なくできて、自在にどちらも選べるワシには死角はないのであった。

 自分の中でシーバスに使うようなサイズのスピニングリールの最終完成形はどれかといえば、答えはPENNの4桁第3世代スピンフィッシャーで既に決着している。部品の入手しやすさとかも考えればこの答えは今後も変わることはないと思っている。もし変わるとしたら、どこかの大手メーカーが原点回帰で瞬間的な逆転防止機構を取っ払ってベアリングも1個から多くて3個にして単純な設計にしたスピニングを最新の技術で作って、今後の部品供給を10年単位で保証した場合ぐらいである。多分そんなことはあり得ないので私にとっては4桁スピンフィッシャーがスピニングリールの最終形だと思っている。
 ただ、マイクロ7Cシリーズは、機能性能的には4桁スピンフィッシャーに勝るとも劣らない実力の持ち主だと現時点で評価せざるを得ない。人気薄で確保が難しい(送料掛かるけど海外のネットオークションで”SIGUMA”を狙う手はある)のと、そもそも大森製作所がなくなってしまったので部品確保とかは予備機を現物で手に入れるしかないのがつくづく惜しいと思う。
 多分今時の回転性能とかが良いリールに慣れた世代の釣り人が評価すれば、4桁スピンフィッシャーよりマイクロ7Cシリーズに高得点付けるんじゃなかろうか?”日本のリール屋が日本の釣り人向けに作った実用機”って感じだと思う。
 まあ実際に使って魚釣ってみないと釣り具の評価なんて本当の意味じゃできっこないので、せっかく入手できたこのリール、たまにPENNから浮気して使って実力のほどを確かめてみたい。
 いまのところ魚掛けてないのでそのあたりなんとも言えないけど、投げて巻くのは問題なくハンドルノブも思ったほど邪魔じゃなくてこのままでいけそう。早く魚釣ってみたいけど、そろそろ気づくと梅雨も明けてテナガも終盤でハゼの時期だ。いま台風来てるけど風台風のような感じで濁りも期待薄で、次に使うのは移住先で秋以降かな。急ぐ話じゃなしボチボチ行きます。

6 件のコメント:

  1. 輸出用のシグマ、メインシャフトの歪みで購入諦めて余計に症状が悪化、また別のを物色しはじめてウエダの竿と組み合わせて埼玉黄金セットで釣ってみたいって幻覚に捕らわれてます。

    スピンフィッシャー700系でタックルの色の効果を書いてらっしゃいましたが、リールの場合はサウンドも影響が大きいと思っていて良い時代の大森はその辺最高でした。

    初期のマイコンとタックルオートなんかトリップカムの前に銅板を使った簡易ローターブレーキありますが、C-7にもそれが付いていたら多少ハンドル重くても影響はないと思います。

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    1. ぬこさん こんばんは

       メインシャフトはどうにもなりませんね。手に入らないと症状悪化しますよね。お大事に。
       埼玉黄金セット言われるまで気付きませんでしたが、若い頃シーバス釣ってたのはウエダのトラウトプラッギングスピンにマイコン302TBでした。たしかに相性良かったと思います。

       大森の音はサイレント切り替えがあっても”音だし”にしたくなる感じですよね。

       あの銅板がローターブレーキの役割をしてるってのは知りませんでした。たしかにバネでソフトに押さえてるのである程度ブレーキになりますね。と思ってC1の取説読んだら部品名「ベール返しブレーキ」で投餌の際に返るのを防ぐ的な説明もありました。知らんかったの私だけか?単純だけど芸は細かい大森製作所のリール。

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    2. 大森と組み合わせるウエダの竿、トラウトプラッギングスピンみたいな良い竿じゃなくて安くて古いスーパーパルサーなんですけどね。
      大森同様これが良いって思わせるものがあります。
      ちょうどマイコンが出たくらいの古いモデルで30数年前は「知ってる釣り人」の組み合わせのひとつでした。

      大森のサウンド効果、ドラグサウンドだけじゃなくストッパーの音がスピンフィッシャーやアンバサダーのガチン!とやや鈍い音質ではなくマイコンなんかカチン!とクリアでたまらなく気持ちいいんです。

      画像よくみると樹脂ボディでも雌螺に真鍮かましてあったり手抜きが見られないですね。

      簡易ローターブレーキ装備している機種、同世代だとダイワの一部、ミッチェルの8枚ギア系、スピンフィッシャー700系の大型くらいしかないですよ

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    3.  トラウトプラッギングスピンは確かに私らしくない良い竿ですね。なんで買ったんだったっけな?

       音の話はなんとなく分かる気がします。よく4桁スピンフィッシャーがジギングの時やかましいって言う人が居たけど、私は逆にリズムよくしゃくれてるとカンッ、カンッと調子良いときの音がするのを気持ちよく感じてました。これは樹脂製の5500SSじゃいまいちで7500SSが最高だったと思います。
       300gのジグ、水深150mでしゃくれとか言われてももうそんな体力無いので記憶の中にしかない音かもしれません。

       

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  2. こんばんは。

    マイクロ7-C2、どうだったのかな~?と気にしてたところでした(笑)

    色々な方向からの評価、面白いです。

    金属製とカーボン製の大森リールの好み、評価は色々と分かれるところですか、私はカーボン製のリールの好きな所は、「ローターの軽さ」かな。

    ルアーを投げて、着水、そして巻き出す時の軽さ、スムーズさが好きですね~

    ハンドルノブに関しては、そのウッドノブですが、最初は嫌いでした(笑)

    でも、実際フィールドで使い続けてみると、これまた手に馴染んでしっくり来るんてすよね~

    不思議なリールです!(笑)

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    1. おはようございます

       いろんな評価軸があって、かつ同じ評価軸でも人によって評価結果は変わりうる。そこに個性が生じる余地がアリ、多種多様な選択肢が生まれるということでしょうか。
       究極の一台があり、それを釣り人みんなが使っているなんてクソみたいな状況になったら道具選ぶ楽しさがないですからね。

       C2のウッドノブは見た目ちょっとダメ臭かったですが、使ってみると今のところ悪くないです。
       アウトスプールのマイクロ7って外蹴り金属製のも樹脂製Cシリーズもデキの良さの割に全然評価されてないようで悲しくなっちゃう(しつこく書きますが980円)ので私が書くのが務めかなと今回書いてみました。




(2019.7)



 

2020年5月23日土曜日

大森熱もたまに再発する


 小人閑居して不善をなす、っていうらしいけど、おうちで暇してると悪い病気が出たりするのよねこれがまた。
 だいたい、魚が釣れていないと道具をイジリ始めるってのはお約束で、今回もしばらくの療養期間中に、買って放置していた1台と、勢いがついて思わずポチッと落札してしまったのの2台を暇に飽かせて分解清掃してしまった。
 どちらも見た目はボロい個体なんだけど、いつも書いているように大森のリールが内部まで逝ってることはほとんどなくて、固着している箇所でもなければせいぜいベアリングを交換する程度で何の問題なく復活する。今回も2台ともサクッと復活。

 左の青いのは「タックル5No.2」なんだけど、以前書いたように同型機のベールアームのナット固着を上手く外せず、無理矢理捻ってネジを折ってしまっているので、ベール周りの部品が取れればいいやとジャンク扱いのを安く入手したんだけど、分解清掃したら普通に復活してしまった。折れている方の個体は折れた部分にドリルで穴を掘ってネジ穴に加工できないか、自動車整備関係の仕事している友人にチョット見てもらっているところ。あかんかったらベールワイヤーレス機に改造予定。
 タックル5はNo.1の大きさを小遠征の根魚釣りに使ってるけど、外蹴りで単純な構造で壊れるような要素も少なく、左手でベールを返す釣り人ならベールの返しが重いとかも関係ないし今のところ快調に使えている。ドラグはこの時代から既にフェルトのドラグパッド3階建て方式だし、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールとまさしく大森仕様という感じで全然人気がないのが可哀想になってくる。兄弟機の「タックル」や「マイクロセブン(アウトスプール版)」も含め凄く良いのにみんな見る目がない。

 もいっちょ、右の黒い小さめのリールは「マイクロセブンCS」でこれまたボロ個体を、どうせ分解清掃したら復活するから、と落札して予想通りあっさり復活。コイツを入手したのは我が家にある「タックルオートSS」には何故かマイクロセブンCSのスプールが付いていて、スペアスプール有りの体制がすぐに組めるからというだけの理由で、特に使うアテがあるわけでもないのに思わず反射的に入札してしまった。「大森熱」という悪い病気は、なおったと思っても魚釣りに行けずに心が弱っていたりすると再発するのです。
 またこれが「マイクロセブンC」シリーズも不当に人気がなくて、同じ樹脂製のキャリアーが小さいSSの大きさだと一時期ほど高騰してはいないにしても万札ぐらいは飛んでいくのに、若干重くなるとはいえ、ラインローラーに樹脂製スリーブ入りでネジがタップネジじゃなくて金属の雌ネジとか、重い分はしっかり作られていて耐久性はあるハズでどちらかが優れてるってよりは性格の違うそれぞれ魅力的なリールのハズなのに、購入見送ったけど箱入りのC1が2千円とかにしかなってないのを見て「なんでやねん?」と突っ込まざるを得なかった。
 以前スピンフィッシャーの「4200SS」について、PENNが作ったダイヤモンドリールみたいな単純軽量なスピニングと書いたけど、逆にマイクロセブンCシリーズは大森製作所が作った樹脂製4桁スピンフィッシャーみたいな、樹脂製だけど必要なところに金属で補強入れて丈夫に耐久性も持たせたスピニングなんじゃないだろうかと感じている。
 
 いずれにせよ、今回の2台は送料は別途掛かるけど落札金額自体は500円と1100円と格安だったのである。キャリアーSSが1万円は越えてくるのに、同じ大きさのマイクロセブンCSはなんぼボロいと言っても10分の1の価値しかないとか思えないんだけど、みんなちゃんと見てる?って不思議に思う。
 大森人気も一時の加熱状態は過ぎて落ち着いてきたようで、ハッキリ言ってダイヤモンドリールが安い。今でもキャリアーSSとコメットとかの小型インスプールぐらいは値段付くけど、他はそんなに値段付いてなくて、インスプールでも「マイクロ2世301」が開始価格4000円で1週目買い手が付いてなかったってぐらいで全体的に安くなってる。
 ダイヤモンドリールのデキの良さとか全く変わってないはずだけど、単なる流行廃りの関係でみんな飽きたか、良さが理解できるほどスピニングリールを「分かってない」かだと思う。バカくせぇことである。

 ただ、あんまり値段が安いとネットオークションに出されもせずにゴミの日に出されてしまいかねず、ダイヤモンドリールなんてベールスプリングとベアリング交換してやれば100年快適に使えるはずでありゴミにするには惜しすぎるので、そろそろ初心者マークが取れそうな「大森アナリスト」として、人気それ程なくて安いけど使えるお薦めのダイヤモンドリールを推しまくってチョットでも相応しい人の手元に相応の値段で届くように応援していきたい。
 まずは、普通に使えるスピニングが欲しいという向きには「タックルオート」をお薦めする。上でも書いたけどフェルトのドラグパッド3階建て方式、ねじ込みハンドル、鋼製の芯を鋳込んだハンドル軸のギア、樹脂製スリーブの入ったラインローラー、折りたたみ可能なベールと、ザ大森方式というスピニングで、大森ご自慢のベールの返りが軽い内蹴り式なのでハンドル回してベールを返す釣り人にも快適に使える。ボールベアリングが2個に増えてワンタッチスプールになる高級版の「オートベール」も、さっき書いた外蹴り版「タックル5」他でももちろんそれぞれの使い方を考えて選べばまずこの辺は間違いないし、値段も汎用性の高いNo.1サイズなら弾数も多くて安いはず。
 それから、せっかくダイヤモンドリール買うならリアドラグのマイコン系が使ってみたいという釣り人には「TB」シリーズをお薦めする。なぜなら、マイコンシリーズの終わりの方にでてきたせいもあって、スプールエッジの形状が大森独特の”なで肩”じゃなくて真っ直ぐ系に修正されていたりして、使ってて全く不満を感じなかったので自信を持ってお薦めしたい。マイコンシリーズで値段が多少付くのはオリジナルのSSかNo.1ぐらいで、その他のマイコン系は3千円も出せば買えることが多い。鱒用に人気のSSサイズのマイコン30STBでもそのぐらいで買えると思う。
 そして、不当なぐらいに評価が低いマイクロセブンCシリーズだけど、これこそ買いだと思う。これまで気付けば4台も買ってしまっているけど、箱入りのC1の3900円、シェイクスピア版の「シグマプレジデント2440-040」2800円でもデキの良さ大森製作所の気合いのは入りようを考えると安いぐらいだと思うけど、C2の980円とCSの1100円とか、もうゴミスピ価格である。


 キャリアーのほうが軽いっていっても、マイクロセブンCシリーズだって樹脂製で軽いはずでどれぐらい違うのか、実際測ってみた。
 結果は、
①NO.1の大きさ
 キャリアーNo.1:220g、マイクロ7C1:236g、タックル5No.1:250g、タックルオートNo.1:252g、マイコン301TB:274g
②SSの大きさ
 タックルオートSS(スプールはマイクロセブンCSの樹脂製):187g、マイクロセブンCS:195g、タックルASS:204g
 ちなみにラインも巻いたうえでの湿重量。
 という感じで、確かにキャリアーの方が軽い、でも言うほど違うか?って正直思う。マイクロセブンCSの195gとか明らかに軽いリールの範疇だと思うがどうなのよ。
 っていうか、大森のNo.1と同じぐらいの大きさのスピンフィッシャー430ssgとかライン巻いたら291gもあって300g級の重さだけど、竿とのバランスもあるんだろうけど特に重いと感じたことはないんだよね、ってぐらいで220gと236gの差が我慢できんほどなのかね?ってPENN使いからしたら思ってしまう。その分丈夫に作ってあるって考えたらまったく問題ない”重さ”だと思うけどナ。タックルオート自体単純でよけいな機構も付いてないんでずいぶん軽快なスピニングだと思うけど、ソレより樹脂製のCシリーズは軽いんでっセ。カリカリ音しないようにする消音化の部品も組み込んであるし、お買い得だと思うンだけどどうでっしゃろ。

 って、部屋でクリクリリール回して書いてるだけでは説得力がないので、ちょっとこの夏はダイヤモンドに浮気してマイクロセブンCシリーズの実力を推し量ってみようかなとおもっちょりマス。

4 件のコメント:

  1. ナマジさん、おはようございます。

    先日は色々とありがとうございました。ナマジさんにアドバイスされてから、再度じっくりリールを見回す事をしたので、そのおかげだと感謝しております。

    大森ネタ、楽しく読ませてもらいました。
    私も何台か大森リールを所持してますが、ベースにはマイコンNo.101があって、そこから右に左にと派生して行きました・・(笑)

    マイコンNo.101がベースになっているのは、PEラインを使用した時にドラグノブにラインが巻き込みずらいというのが理由にあったりします・・(笑)

    C1は予備リールとして必ずリュックに忍ばせています。(大森リールのベールスプリングは忘れた頃に折れたりしますので・・)

    先日、ご相談した青いマイクロセブンは、ハンドルノブのキュルキュル音が気になる事が多く、その解消のために給油したりすると今度その油が手に付いたりして煩わしく思ってたので、

    今回、某工房にお願いして、ハンドル軸を換えてベアリング入りのノブに交換して今日届く予定なんですよ(笑)

    ナマジさんの大森ネタ、非常に奥深く大森リールを考察してて、うなずける部分も多く面白いですね!

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    1. はしどいさん こんにちは
       大森ネタ楽しんでいただけたなら幸いです。

       PEがフロントドラグに巻き込むのは確かにリアドラグ機なら防げますね。言われて初めて気がつきました。
       私もデカいの掛かってるときに限ってPEがドラグノブに噛んでしまって釣りそこね、シーバスごときにPE使う理由なんて特にないからと、その後はナイロンラインにしてしまいました。
       マイコンとかカーディナルC4を触ってみると、意外なぐらいドラグちゃんとしていて一般的に言われているリアドラグは精度が悪いっていうのもあんまりアテにならんなと感じたところです。

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  2. ナマジさん、こんばんは。

    もう一度、記事をじっくり読んでみましたが、中でも

    「ダイヤモンドリールなんてベールスプリングとベアリング交換してやれば100年快適に使えるはずでありゴミにするには惜しすぎるので」は、

    結構、名言だな~と思いました!(笑)

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    1.  お褒めにあずかり光栄です。

       骨董的釣り具を楽しむ世界ってのは確実にあるんだけど、そういうマニア筋が喜ぶリールじゃない、大森の”実用機”あたりをゴミにしてしまうのはほんともったいないと思っています。
       どれ買ったら良いのか分からん、当たり外れもある今時のリールより多少設計が古くさくてもハズレじゃないのがわかりきってる往年の実用機は、使ってて面倒がなくて良いと思うので、今時のリールが今一ピンとこない人にはお薦めしているしだいです。

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(2020.6)


2020年11月8日日曜日

止めることができない

  よく薬物中毒の恐ろしさを説明するのに、一度やったら二度と止められないってな脅しがあるけど、そんなもんは脅しでしかなく、そういう根拠の無い不正確な情報が必要以上の憧れを喚起している側面まで含め、そういう情報自体が害悪だと思っている。向精神性の薬物が十把一絡げで扱われていることのいい加減さ。酒もニコチンもカフェインも向精神性の薬物であり、文化的、制度的に許容される範囲であれば嗜んで問題ないものとされているし、それらの薬物も大麻だの覚醒剤だの違法薬物も本質的には変わりがなくて、カフェインの中毒になる人間もいればアルコールやニコチンの中毒患者など掃いて捨てるほどいる現実を見れば、そういった身近なモノでさえ向精神性の薬物は依存性が高いってぐらいである面正しくもあるんだろうけど、ぶっちゃけ程度問題やら、みんなが扱い方を知っているか否かとか個人の適正の問題とかでもあり、古くから各地でケシの若い実の汁に含まれる成分を炙って嗜まれてきたアヘンの薬効成分を生成して強力な鎮痛剤としたモルヒネをさらにいじくって効き目の強いモノにした強烈な”ドラッグ”であるヘロインでさえ、止められる人間は止めている。ヤク中で有名なローリングストーンズのキース・リチャーズ先生は76歳で御在命ときた。一度やったら止められないのならとっくに死んでるはずである。

 向精神性の薬物ではないにしても、精神的な依存症というものは各種存在して、我々釣り人が罹りやすいのは、道具に関するもので、ワシもここ数年”スピニング熱”には苦しんでいる。特に”大森症候群”は急性から慢性に推移しやすく、罹患すると「ハンドル軸に綱を鋳込んだハイポイドフェースギアが滑らかに回るのが気持ち良い」「樹脂性スリーブを入れたラインローラーが尊い」「ドラグの効きが実用性充分でドラグの逆転音をいつまでも聞いていたい」「余計なモノの付いてない設計が整備していて快感」等々の症状から「もっと大森が欲しい~!」と重症化を招きがちである。

 2019年夏に重症化し、一応の寛解状態にあるものの、疲れてくると時々再発しては老後の資金をジリジリと削りとられている。今回は2000円(税、送料別)即決でマイクロセブンC1がネットオークションにかってたのでためらいもなく即落札。

 あんたマイクロセブンCならもう持ってるでしょ?ハイ持ってます。しかもC2は米輸出版のSIGUMA含め3台、CS、c1は1台だけど、C1はスプール互換性があるキャリアーNo.1が2台あるので換えスプールは既に確保できている。だとしても2千円だと買っちゃうんです病気だから。

 今年、春夏とCSとC2を使ってみて、なかなか塩梅が良い優秀なリールだということは良く分かった。まずは軽くて使ってて楽。普段からPENNというあんまり軽くはないリールを愛用していてシーバスに使うぐらいまでのリールなんて重くても300gとかだから気にしてないといえば気にしてないんだけど、たまに軽いリールを使ってみるとこれはこれで悪くない使い心地。それで薄っぺらくて壊れそうな華奢なリールだと使う気が失せるけど、マイクロセブンCシリーズは、樹脂性本体ながらも要所要所に金属の支え的な部品が補強で入れてあって作りはしっかりしている。巻きもハイポイドフェースギアは軽くて滑らか。

 ドラグももちろん合格。テフロン3階建てのドラグは本来テフロンのスベスベの表面特性を生かして乾式仕様なんだと思うけど、気にせずドラググリス塗って使ってた。実質テフロンの素材特性が死んで、百均の耐熱容器の蓋を加工して作った樹脂性ドラグパッドと同じような性能になってしまってるだろうけど、ドラグなんてそんな難しい機構じゃないので、湿式にしてもちゃんと設定した値を超える道糸の張りで逆転し始める。グリス塗ったのはテフロン乾式はテフロンが摩擦で削れてくるっていう報告をたまに読むのでそれじゃ湿式でという判断。ドラグパッドがテフロン1枚のリールではどうにも上手くいかなくてズルズルドラグになってしまったりしたけど、3階建ての場合はなんら問題なく機能してくれる。

 ハンドルノブが木製で大きめだけど、投げたときにコレが勢いでハンドル回してベールが返ってしまうとかのトラブルは、銅板のローターブレーキが効いているのか、まともに投げてればベール返りってそもそもあんまり起きないので特に現場で問題生じなかった。ノブの形状は人によって好みがあると思うけど、軸が金属製で細いこの形はワシャ指の腹が痛くならなくて好みの形状。大森独特の3角パドル型でもべつに良いんだろうけどね。4桁スピンフィッシャーだと4500より上ぐらいからT型のノブの軸が樹脂性で太くて痛くなるので、古い3桁やら、4桁でも初期のドングリノブとかトーピード型ノブって呼ばれてるのが好き。

 マイクロセブンCシリーズは綺麗な箱入り個体とかでなければ、3千円台ぐらいで買えてしまうけど、性能的には大森製作所の作ったアウトスプールスピニングの最終形と言って良いのではないかというぐらいに良くできていると、実際に魚を釣ってみて思ったところである。まあ、シーバスなんぞぶっ壊れなきゃどんなリールでも釣れるんだけど、さすがに5ポンドナイロンラインで50超えるようなボラの突進を耐えまくって水揚げにこぎつけるとかはドラグが良くて丈夫なリールじゃないとちょっと無理である。道糸どこでもビミニツイストができるぐらいチリッチリに縒りが入るほど何度も何度も突っ込むけど、その度に滑らかに作動してドラグが道糸を送り出してくれる。ドラグとして当たり前の機能だけどこのリールには”ちゃんとしたドラグ”が付いているって話。

 唯一の不満は、以前にも書いたと思うけど、大森だのPENNだのの実用性に重きを置いたリールは、シールやらプレートやらが剥げる仕様になってるのがちょっと惜しい。まあ剥げても釣りするうえでなんら支障を生じないから良いんだけど、中古で売るとき値段が付かない。逆に言えば剥がれてるヤツは安く手に入る。別にギアとか性能的には悪くなってるわけがない。2台目のC2などサイドプレートが落っこちてるせいもあってか1700円でっせ。CSも使ってるうちにスプール周りのハカマ状のプレートが剥げたのでそのうちエポキシか何かで接着してやらねばなるまい。まあスペアスプールの方には剥げずに残ってるけど。

 でもって、CSとC2を主に使って使えるリールだということは理解して、とりあえず予備機とか部品供給とか考えると、主軸はPENNに戻すんだろうなということで本来の”PENN使い”に戻ってたんだけど、小物用の主軸機の430ssgが冬に湿式の逆転防止が上手く効かなくなることがあるので、昨年は”チープ大森”であるタックルAを使ってたけど、今年は2台目も手に入ったしということでC1でいってみようかと思っている。想定しているのはタチウオやらカマスやらでタックルAでも問題なく昨年釣ってるんだけど、冬のご近所にはちょっと良い型の青物も回ってくるということが判明しているので、安っぽい樹脂性のタックルAではやや不安がある。その点、同じ樹脂性でも丈夫に作ってあるC1なら不意の青物も何とかしてくれそうに思う。430ssgの寒いときの不具合は一方通行のベアリングにグリスが入ってしまって低温で粘度が増して両方通行になってしまうんだと思う。寒くても粘度の上がらない高級リール用グリスとかに換えれば問題解決するのかもしれないけど、リールいっぱい持ってるんだし冬場はお休みさせようと思う。いずれにせよカマスとかタチウオとか盛期にはフライロッド振るだろうから出番少なめかも。


 ということで、買ったC1の整備。回転が重くてグリス固まってる感じなので全バラし、金属部品をパーツクリーナーで洗浄の後、防水グリスをモリモリでグリスシーリングして整備してやる。最初ハンドルが錆びて固着気味で焦ったけど、CRC吹いて回したら外れてくれた、っていう以外は特に問題となる箇所もなくベアリングも錆びておらず交換も必要なく、快調に復活。この冬の活躍に期待である。

 気がつくと我が家には冒頭写真の様にマイクロセブンCシリーズは、CSが1台、C1が2台、C2が2台と米国シェイクスピア版のシグマプレジデント2440-040が1台の計6台を有し大所帯となってきた。やっすい値段でネットオークションに出ていたらまた入札してしまうだろうことは目に見えており、なかなか病気は治ってくれそうにない。


 アタイ病気が憎いッ!!

2 件のコメント:

  1. スピニング熱は人に感染する感染症です。
    厄介なのがシマノ換算4000クラスでナイロンの釣りもやって2000クラスの釣りも普通にやる人が感染すると症状が重篤化しやすい事。

    しかも人によってその症状がバラバラでゆうこうな治療法はほぼない点。

    此方はミッチェルで酷い発作に苦しんでますww
    ベアリングレスのモデルやら8枚ギアの完全平行巻きがどうとかそれに合わせるロッドがとか不治の病の様相を呈してます。

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    1.  ぬこさんおはようございます

       闘病仲間が居て励まされます。
       ミッチェルは症状激しそうですね。お見舞い申し上げます。  

       お互い闘病生活を楽しみ?ましょう。

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(2020.11)




2021年6月26日土曜日

マイクロセブンとセドリ業

 病気って怖いよね。なりたくなくてもなるときゃなるし、自分の思うように制御できるわけもないし、ダメなときは何やっても薬石効なしでエラい目にあったりするし。

 コロナ禍もちょっと落ち着いてきて、近所漁港も”解禁”して豆アジ釣り放題で”スピニング熱”もさすがに寛解してくれると思うんだけど、実は前回PENN712ネタを書いた後に症状悪化して、いろいろ手を出そうとして競り負けつつも結局2台も新たにスピニングを買ってしまっている。竿の方はボチボチと売りに出してるのもあって後一本売れば我が家の制限数の110本に収まるんだけど、リールの方は2台売る間に3台買ってしまってて既に制限数の90台を大きく越えて100の大台目前となっている。アタイ病気が憎いッ!

 今回の症状のヤバかった点は、ボロいリールを買って整備なり修理なりしてから転売して儲けてやろうっていう山っ気をまた出してしまい、ジャンクリール”人山いくら”のオークションに大森とかPENNとか得意な分野のリールが含まれているのを競り落とそうとしてたところである。まとめて10数台とか今考えると整備するにもえらい手間で競り負けてちょっとホッとしている。概ね買い取り業者とか中古何でも屋とかが倉庫整理の出物とか、売れそうにないボロリールをまとめて売り飛ばそうとしているようなゴミスピに意外なぐらいに値段が付くもので、こんなもん10台あっても5千円もありゃ余裕だろうと5200円とかで入札しておくと、その程度ではまず勝てなくて時に1万円を超えてくるので驚愕した。どうも、まとめて買ったのをバラで値段付けてネットオークションやネットフリーマーケットに出しているようで、オークションで競り負けたときに欲しいと目を付けていた大森スピニングとかがすぐにネットフリーマーケットで売りに出されてたりして、中古単体の相場を調べておいて中古業者から買った品を転売して儲けを出す”セドリ”という商売で小遣い稼ぎをしているようだった。ワシも考えるようなことは既に皆さん実践済みのようで、今更新規参入しようとしてもおいそれとは行かないヌルくない世界のようである。

 見ていると右から左に流しているだけのちょっとこすっからい感じの人から、綺麗に修繕整備して、初心者でも使いやすいようにラインも巻いて買いやすい値段で提供している人もいる。後者は手間考えたら良心的としかいいようがなくて、名機でもなんでもない型遅れのありふれたリールだけど、買ってそのまま快適に使えるようにしてあるのは、特に知識のない初心者とかにとってはありがたいはずで、メーカーが売りつけようとしてくるわけ分からん高級クソリール様を買わされるよりよっぽど楽しく釣りができるだろうって感じで、ワシもこういう商売がしたかったんじゃとは思うけど、既に先達がいてこれまた今更参入するのも簡単じゃないなと思わされた。でもそのままだとゴミ扱いの、ボロいリールを復活させて誰かの楽しい釣りのためにっていうのは、過去にもやってるけどやっぱり自己満足度が高いと思うので儲けを出すのは難しいにしろ機会があったらやっていこうかなとは思うところである。

 っていうのとは関係なく、冒頭写真の大森製作所謹製「マイクロセブンNo.3」は自分で使うために買うてしまいました。

 ちょっと大きめの、シーバスやるにも大きいようなスピニングをはたして何に使うんだろうか?と疑問に思うかもしれない。これは、実は前回買った712の予備機として釣り場に持ち込むために買ったのである。「予備機なんて必要ならいくらでもナマジさんところの蔵にはPENNが転がってるんじゃないの?」って言われるとその通りで心苦しいんだけど、ちょっと説明させてください。お願いします。

 基本ワシ、リール使う釣りに行くときには替えスプールを持っていく。ベイトリールだと現場で交換面倒臭いのでスペアリールの時もあるけど、ライントラブルとか道糸高切れとかやらかした時に、替えスプールがないとすぐに釣りに復帰できない。というわけで、せっかく買って整備したけど売れそうにもない712は実戦投入するしかないなと考えたときに、①スペアスプールを確保しようとしたんだけど、日本じゃ中古の出物も期待できないし、ミスティックリールパーツさんは海外発送やめちゃって代行業者通じると5千円以上するしで、4千円かそこらで買ったリールのスペアスプールに5千円はないよな、そんな金額あればもう一台安いリール買えるじゃんってなって、②そこで既にあるリールで我慢しておけば良いものを、この大きさの替えリールを持ち歩くのはけっこうかさばって邪魔くさいんだよな、などと思ってしまい、③じゃあ、ベール折り畳めて携行性が良い大森スピニングいっとくか?と3段論法的にまた余計なことを思いついてしまったのである。

 大森のNo.2の大きさなら我が家にもいくつか転がってるんだけど、もうチョイ大きいんだよなとNo.3の大きさのをネットオークションとかで探して、候補としてボロい「スーパー7」と見た目キレイめのアウトスプール外蹴り時代の「マイクロセブン」に絞って、後者が1900円で落札できた。弾数少ない大きさだけど需要も少ないので安い。

 到着してみると、”ゴリシャリ感”有りとなってたとおり、巻きが重いしシャーシャー言ってるんだけど、大森の中古でギアが逝ってるのは亜鉛ギアが初期不良でスが入ってた安大森以外いまだ経験しておらず、こんなもんベアリングが錆びてるだけだろうから交換すりゃいいやと、分解清掃に入る。固着が怖いラインローラのナットも素直に取れて、ギアやら主軸やら外して、ローターを抜くと、案の定ベアリングは上面から見えてる部分から赤茶色に錆錆でちょっとコレはベアリングが錆で固着してるんじゃなかろうかと怖かったけど、慎重に本体側から力かけていくと抜けてくれた。

 無事分解して、パーツクリーナーで洗浄してやる。この時代の廉価版の「タックル5」との違いはハンドル軸にも1個ボールベアリングが入ってて、ボールベアリングが豪華にも2個というのと、ハンドルにバランサー兼ねて左右交換時に使う替えネジの収納スペースが設けられている点で(あとワンタッチスプールもあるか)、ボールベアリング2個目は正直無しの「タックル5」でも巻きが重いとかは感じられないので、錆びる場所じゃないので邪魔にはならんけどなくてもかまわないんだけど、後者は地味にありがたくって、中古の個体で箱ごと付属品が揃ってるとかじゃないと、まず替えのネジは付いてないので左右交換ができなくなってる。後年、大森製作所は同じ軸に左右両用にネジ山を切るという独特の方法でこの問題を解決しているけど、この時代の場合、替えネジをリールに収納しておけるのは紛失防止に効果絶大で、見た目的にも個性的なハンドルになっていて格好いいのである。あと、内蹴り式じゃないので、その分の部品が少なくて極めて単純なのも好感度高し。

 でもって、予定通りベアリング交換してやるかと、モノタロウで注文しようとすると、ボールベアリングって大きくなると高くなるって意外だったけど、「No.2」サイズに入ってる外径14mm、内径7mm、幅5mmのは200円ぐらいだけど「No.3」用の外径24mm、内径9mm、幅7mmになると、同じ日本精工製のステンレスベアリングでも500円くらいする。まあ必要経費だろうけど、どうせ金かけるならセラミックボールベアリングとか錆びないやつ入れておいたら錆びるところなくなるなと、ちょっと調べてみたらピッタリの大きさがないのはともかく、値段がお高い。4、5千円してて、それこそリールもう一台買える。

 まあいつもどおり、ここのベアリングは消耗品扱いで錆びたら交換だなと割り切りつつも、がっちりグリス山盛りでグリスシーリングで仕上げておいたので、これで相当塩水には耐えてくれると思う。

 ラインローラーの端の方がやや腐蝕して回転悪くなってたので、輪ゴムで電動ルーターと接続して回しまくって滑らかに回るようにしてやり、本体内部やらベールスプリングやらもグリスでベッチャリにして無事整備終了。

 ギアなんてのは、40年前の設計の亜鉛のギアでも耐久性になんら問題なく丈夫って話で、ベアリング替えたら滑らかにくるくる回ってくれる。今時の高級リール様は、ご大層な設計・製造技術で作ってるように喧伝してるけど、空回ししたときに軽く回るとか、釣り場じゃ先に重さのあるルア-とか付いてるから関係なくなる”店頭性能”は向上してるのかもしれないけど、釣ってて問題が起こらないとか、長持ちするとか”実用機”としての性能が、このリールより進化しているのかはなはだ疑わしいと思っている。

 少なくとも、40年前の設計(上手な設計だとは思うけど)のリールでも魚は快適に釣れるっていうのは、証明してみても良いかなと思ってる。魚釣るの自体はご存じの通り難しいっていうのはあるけど、その難しいことをやるための道具として40年前の道具でも別に問題ないというのは、それ程証明難しい問題じゃないと思ってる。まあPENNの”Z”やらも設計的には40年以上昔のリールだから今更証明するまでもないとは思ってるけどね。しつこく色んな角度からネチネチとこれでもかと証拠を突きつけてみようかなと。

 「PENN712」と「マイクロセブンNo.3」で何を狙うのかというと、リールの大きさ的には青物狙っても良いんだけど、712のセラミックローラーはともかく、マイクロセブンの硬質クロムメッキのラインローラーってドラグ値上げてPEラインで走り回らせてやりとりして良いものか、やったことないので不安がある。案外平気かもしれないけど青物掛ける機会ってそうそうないので、そこは手堅く4500ssと6500ssにまかせて、ちょっと、浜でコチ・ヒラメ狙いでスプーン投げてみたいと思ってるので、そっちに回してみようと思ってる。「コチ・ヒラメにスプーン?」って思われるかもだけど、東北で河川から2kmは禁漁のサケを河口から距離離した砂浜で探ってたときにサケは釣れなかったけどコチは釣れたし、房総でメッキとか狙っててソゲだけどヒラメ釣れたこともある、メタルジグでも釣れるけどもっとユックリ狙えて、ミノーほど底ベタの棚を狙うのに技術が要らない。割とハマると思うんだけどどうだろうか?コチ・ヒラメ狙いならドラグ値そもそも緩めでやるし、そんなに走り回る魚でもないので問題はなかろうと思うのでPE2号ぐらい巻いて試してみたい。 

 という感じのが、2台のうち1台目で、もう一台は「あっ、そっち方面行っちゃうの?」というやや不穏な方向性の1台で、また来週以降ご紹介できたらなと思うちょります。

4 件のコメント:

  1. こんばんは
    no3サイズの大森とは不人気…もとい渋いところいきますね〜

    大森のグリーニーカラーは現物見たことないのですが、PENNのグリーニーと比べてどうですか?

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  2. norishioさん おはようございます

     PENNのグリーニーはマットな感じのクリームがかった色合いですが、大森の方はややメタリックで車の塗装みたいな感じが”渋い”です。どちらも味わい深くて良いですね。
     海水で使用して放置されてた大森は表面塗装やられてることが多いですが、コイツはベアリングの錆錆ぐあいからして塩水被ってたはずですが、塗装は綺麗な状態でわりと錆に強い塗装かもしれません。

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  3. 返信ありがとうございます。

    写真で見るとペンのほうが派手そうな気もするのですが意外ですね。
    ドラグノブやハンドルノブの白が良い感じのアクセントになって対比で派手に見えるのでしょうか…
    大森も悪くないですが、配色やデザインセンスはやはり舶来品はやっぱりおしゃれに感じます。

    現行スピニングのカラーもこれくらい、個性やらカラーバリエーションを見せてほしいですね。

    P.S.先日某所に出されていたNo.2樹脂ボディ大森機を購入させていただきました(笑)。
    カヤックでの同型機2刀流で酷使させていただきますね

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    1. おはようございます

       デザインのセンスはなんでもそうですが、舶来モノの方が良い気がします。”舶来信仰”でしょうか?
       日本の大手のリールとかデザイン的にもどうにかならんものかと思ってましたが、いつの間にやら日本的デザインを世界が真似するようになって自分の感覚が既に古いのかなと思わされたりもします。

       にしてもそうでしたか、アレ落としてくれたのはnorishioさんでしたか。お買い上げ誠にありがとうございます。そうと分かってればサービス?で我が家の在庫をあれこれ押しつけたのに!
       チョイ金具周りに錆出てましたが、機関は快調な個体だったので存分に酷使してやってください。いい人のところに渡ってくれて嬉しいです。

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2021年7月31日土曜日

「べっぴん」と「デラ・べっぴん」なら後者を選んでました

 大森製作所謹製、ダイヤモンド「マイクロセブン・デラックス(DX)」!うぉりゃっ!! どやっ!!

 ああっ、インターネットの情報網の向こう側で「また、買ったンかい!?病気全然治ってないやんけ!」と呆れられているのが目に浮かぶようだ。しかしながら、おそれながら、毎度のコトながら、いちおう説明させて下さい。仕方なかったんですよ。

 発端は「マイクロセブン替えスプール500円(送料込み)」というのをネットフリーマーケットで発見してしまい、ひょっとして我が家の「マイクロ2世」にも流用可能かなと思い、識者に聞いてから購入したら良いようなものを、そんなチンタラしてたら売れてまうがな、ということでまた反射食い。届いてみれば軸にはハマるけどドラグノブの大きさが違ってハマらないということで、スプールだけ持っててどうするの?状態。ちなみに「マイクロ2世」用の替えスプールはすでに1個確保してあって、2個目の必要性はあまりないけど、500円って安さに魔が差した。まあ売りゃあ良いンだろうけど、今思うと病状が出ていたんだなと思うけど「コレも縁、マイクロセブンDXを手に入れろという思し召しだろう。」とか完全に頭湧いた思考で、それからマイクロセブンDXを中心に海外版の「シェークスピア2200」とか「コンパックなんちゃら」とかの手頃な出物がないかと探す日々。

 最近、景気悪いせいか”大森スピニング”に限らず中古釣り具市場全体的に値段下がってきている気がするけど、マイクロセブンDXも1万円以上になるのは珍しく、そこそこの個体で、7、8千円ぐらいに下がってきてて、見た目ボロい個体ならもっと安い。売ること考えると見た目は良い方がいいなとボロ個体に手を出さずに我慢してたら、3500円即決送料込みという安値で「自分なりに分解注油してみたけど回らない、シャフト(主軸)が歪んでるのかも」というジャンク扱いの見た目は小マシな右巻機の出品があった。博打要素はあるけど、素人が分解して組んだら回らなくなったっていうなら、写真だと右側に写ってるハンドル軸のギアの上のピンが、写真左側真ん中へんのオシュレーション(スプール上下)スライダーの溝に填まってないって可能性が大だな、と読んで博打を打ってみた。右巻なので自分では使えないけど、売りさばくの前提なので、右はやや値段下がるけどスプールとあわせて完動状態で売りに出せば手間賃ぐらいは取れるだろうし問題ない。などと獲らぬ狸の皮算用。
 届いてみると、回らないとあったけど実際には回った、ただ回すたびにローターとスプールのどっかが干渉しているのかカシュカシュッと擦れる音がする。博打失敗で本当に主軸曲がってるゴミ掴まされたのかも。見た目には正直曲がってるのかどうか、曲がってるようなそうでもないような。

 とりあえず、スプールぶつけたり上に重い物乗せたりして曲がったのなら、逆に曲げ直すという荒療法で治れば儲けものぐらいで、ヤるだけやってみるかと、まずはスプール外して蓋を開けて主軸を抜いて、カシュカシュ音がしていた方向に油性ペンでマークを付けておいて、ペンチでスプール側を挟んで本体側を手で押して徐々に曲げて、組み直して音がなくなるかどうか試してみる。

 試してみると、音がする反対の方に気持ち曲がったかなというぐらい力掛けてやってから組み直してみると、明らかに音が小さくなった。コリャこの方向で正解だなと、慎重にちょっとずつ曲げて”まっすぐ”になるように調整してみるんだけど、これが上手くいかない。もうちょっとだなと微妙に曲げると音が大きくなってしまって、ある程度音を小さくはできるけど、まったく無い状態にはできなかった。曲げる方向が違うのか?とか悩んだけど、どうもそうじゃないような気がして、ここで長考。
 わかった、これスプールの底が下がりすぎててローターカップの下側面かどっかに触ってしまってるんだ!とスプールが乗る座面に本来乗っているべき赤い繊維性のワッシャーがない違和感から気がついた。早速、まあ後で巻き形状見ながら調整するにしても1ミリも嵩上げしてやれば大丈夫だろうと、ちょうど良い内径外径の厚さ0.2mmのテフロンワッシャーを5枚入れてやったら”正解”だったようで、カシャカシャ擦れる音はしなくなった。おそらく、実際に曲がってたというのもあったけど、それは本当は座面のワッシャーが抜けててスプールが下がってるのが原因で音してて主軸は曲がってない状態だったのに、異音がするので曲がってると判断して直そうとして無駄に曲げてしまってたんじゃないかと思う。スプールが乗る座面のワッシャーは油断しているとスプールの裏にくっついてしまうので、紛失することはありそうである。
 これで”回らない(実際にはスプールとローターの干渉)”っていう最大の問題は回避できたようだし、完動品に持って行けそうな気配になってきたんだけど、一目見てもう一箇所ヤバそうなところがあって、ラインローラーが妙に隙間が空いているし固着してるのか回らない。とにかく外してみようって外していくと、ラインローラーとベールアームの間に金属のワッシャーが入っていて、そこに糸噛みしそうな隙間できつつラインローラーの回転を止めてしまっている。明らかにワッシャー入れる必要のない場所に入ってるようにしか思えないんだけど、本来入ってて然るべき、ベールアームにベールワイヤを固定するための6角ナットの内側には既に1個同型のワッシャーが入っていて、入れる順番を間違えているというよりは、なぜかワッシャーが多く入っているように思うんだけど、どういう経緯でそうなったのか今一良く分からん状況である。
 まあ、ワッシャー1枚余ったという整理で進めよう。なかなか味わい深かったのが、ラインローラーのスリーブで、後年大森製作所は、滑りと耐久性の良い樹脂性のスリーブを入れているんだけど、大森製作所の最初の小型スピニングであるらしいマイクロセブンDX(マイクロセブンの名前は長く受け継がれていくことになる)の時代は、スリーブに真鍮製の物を入れていた。マイクロ2世でもそうだったけどハンドル軸のギアの上のオシュレーションのピンにも真鍮製のスリーブ被せてあって、回転して摩耗するようなところにはとりあえずスリーブを入れるというところが、真面目な大森製作所らしい。ちなみにマイクロセブンDXは1966年登場らしく、初期型が茶色?でこの黒っぽい濃い緑のは後期型とのこと。ワッシャー1枚抜いて、組んでみておかしくなさそうなので、ちょっと回転悪くなってたのをれいによって、輪ゴムでルーターに繋いで回して当たりをとって良く回るようにしておいた。
 とりあえず、大きな問題は解決できたように思うので、いつものように分解清掃。

 今回、売るつもりなのと、カーディナルなら33と同じぐらいの小型機なので海じゃ使わないだろうなということで、グリスはいつもの耐塩性重視の青いグリスじゃなくてABU純正グリスがまだあるのでグリグリと盛ってやった。大森はPENNほど塗装とかに海水耐性がないと思うのでグリス大盛りだよりで”海で使っても後はほったらかし”だとやや不安が残る。まあ、釣りから帰って来たら水洗いして拭いてやる、長期保管の時は防錆効果のある潤滑油とか塗って拭いてやるぐらいのお手入れで、往年使ってたマイコン302TBは特に錆錆にはなってないので、海でも使えなくはないと思うんだけどこの時代のはどうかまではちょっと自信がない。
 

 さて、組み直したら微調整。

 ”ラインローラーは水平に”が目標だけど、円錐形に絞ってベールワイヤーに蝋付けしている、いわゆる”ロケットベール”でそれをやると、円錐形がベールワーヤーに接続するあたりが高くなってしまい、そこにラインが引っかかった状態で巻いてしまうことがある。「720Z」で気がついたらやってしまっていて、糸溝付きかけてて焦って修正した。一番高いところがラインローラーになるようになだらかに傾斜させておけば、ベールアームがラインを拾ったら、ローターの回転に伴ってラインはラインローラーに移行していって落ち着くはず。

 ベールワイヤー自体の形状って大事で、グリスとオイルで軽くベールが返るようにしてあったんだけど、ラインローラーの角度を変えるのに力を掛けていじってたら、ちょっと形が変わってローターを挟むような力がかかるようになってしまったようで、ベールの返りがやや悪くなってカッチリ最後まで戻ってないことがあるようになった。慌てず騒がず、ワイヤーの形状を微調整して強く擦れず素直に回るように調整した。後年大森製作所ではベールアームを折り畳めるようにしたけど、携帯性以上にこういうベールワイヤーの変形防止に意味があったのかなと思う。一方PENNでは多少曲がっても力技でベールが返るように、初期状態では「714Z」とか”ガシャン”って返りが強すぎる傾向がある。”パワーこそ力”なアメリカンな感じそれはそれでらしいと言えばらしい。でもワシゃベールスプリングの刺さる穴の位置を開け直してユルく返るように調整してる小器用な日本人。

 ベール関係も調整済んだこの状態でスプール座面のワッシャー5枚計1mmで試しにラインを巻いてみると、やや後ろ巻きになって塩梅が悪い。3枚抜いて2枚0.4ミリだとスプールとローターが干渉し始めて、スプールが下がった時にチッと音がする。3枚にして0.6mmだと干渉はせず、写真の様に真っ直ぐに巻けたので、やや前巻きぐらいにしたかったけど、これ以上いじるとなるとベールアームの形状をいじってラインローラー位置を上げるという面倒くせぇ作業になるので、このへんで妥協しておいた。

 動作確認してみると、回転も軽くバランス良くクルクル、ベールの返りも良好、逆転スイッチ切り入れも問題なし。ラインローラーも輪ゴムで擦るとスムーズに回ってる。ドラグもバッチリ、我ながら上出来な仕事ぶりで満足。

 しっかし、なかなかに良くできたリールで、見た目も昭和骨董的な古き良き日本のリール感が醸し出されていて、200gを切る小型軽量もあってなんとも愛らしいスピニングである。左巻きなら自分で使いたいぐらいだ。いっそ左投げで使ってみるか?右手腱鞘炎になったとき左で投げる練習したことあるので一応上投げで真っ直ぐ投げるだけなら投げられないことはない。まあ、比較的綺麗な外観なので塩水で腐蝕させるのはもったいないから止めておこう。でもちょっとボロい左巻きの出物があったら買ってみて、機械的な完成度は高いけど使い心地はベール周りへの糸がらみとかが多くてイマイチ、って玄人衆にダメ出しされてるけどどんなもんか試してみたくなってきて困る。使いやすさって相性もあるので案外大丈夫って可能性もあるんだよな。

 まあ、この個体に関してはしばらくクルクルして愛でてから中古市場に再投下してやって、ジャンクとされていたリールが1台実釣可能な状態に復帰して、道具としての寿命があと何年か何十年か伸びたのなら、それはそれで良かったと思うのである。ということにしておこう。

 大森とPENNをいじるたびに毎度思うけど、ドラグでもギアでも70年代には今と遜色ない性能のものが既にあったのに、新製品売らんがためにアホな宣伝文句で釣り人を釣ろうとしてくる釣具屋側の欺瞞と、それをむしろ喜んで求めている分かってない釣り人の多いことに暗澹とした気持ちになる。

 ドラグはほんと40年前の大森採用方式であるフェルト、PENN方式のカーボンシートでほぼ完成してる(テフロンもイケる)。ドラグ性能を売りにしているようなリールは、それまでろくでもないドラグのリールを作ってきたっていう証拠にしか思えない、恥ずかしくないのかって話。

 ギアも、ハイポイドフェースギアなら亜鉛鋳造で何の問題も無いハズなのに、なぜ世の中にはギアが逝ってしまうような道具が流通しているのだろうか?大森やPENNはギア逝くのまだ経験していない。PENNでもウォームギア機は真鍮とステンレスの組み合わせで素材からして丈夫だけど、4桁SSとか真鍮と亜鉛のごく普通の組み合わせだけどワシのような長期に使い倒す人間が使ってもギアは壊れてない。ギアが壊れるリールってなんなんだって話。余裕を持って作ってないってことだろうか?強度ギリギリで軽量化、先鋭化しすぎてアソビが無いとかか、そうじゃなければ使う釣り人が馬鹿かにしかみえない。スピニングリールの、力の方向を90度曲げて片軸で受けてるってのがいかに強度を確保しにくいか、わからん馬鹿が高負荷かかってる状態でゴリゴリ巻いて壊すっていうのが実態だと思う。高付加時ローターの片側にギュウギュウと力がかかって糸巻きがハマってる主軸をゆがめる方向にたわむハズってのは使っててわからんかね?ワシゃPENNのハンドルを強化しないままで壊したことがないってのは正しいポンピングができてたからだと、密かに誇りに思っている。竿で稼いだ分だけ竿倒してリールにかかる負荷を抜いてやりながら巻く。それだけできていればPENNにクソ高い社外パーツのパワーハンドルなんて必要ないと断言しておく。そして当然ギアも壊れない。

 って、またしつこくいつも書いてるようなことを書いてしまったわい。年寄りの話は同じコトの繰り返しでウザいと自分でも思うけど、まあ書いちまうもんは仕方あるまいて。病気と老いからはいまだ人類は逃れる術を持っていないってことで、ナマジはそういう芸風だとご理解の上、皆様平にご容赦を。


(2021.10)


2021年10月16日土曜日

キャリア4年目ぐらいの大森アナリストからの報告

 ちかごろネットオークション・フリーマーケットにおいて、大森製作所謹製のスピニング の値段が落ちてきているように感じる、と既にどっかで書いた気がするけど、先日ボロ目の見た目の個体とはいえ、一時は5万円とかの馬鹿みたいな値を付けていたらしい「コメットG1」が、ネットフリマに8千5百円で出てて、さすがに即売れてしまうだろうと思ってたら1週間以上残ってたりしてて、いかに一時の価格高騰が人様の価値観でしかモノを評価できない節穴型眼球搭載の釣り人が多かったかということを裏付けている。人が欲しがってるモノが欲しいなんていうのは「クラスのみんな持ってるもん」ってカーチャンにゲームソフトねだる小学生と同程度の精神構造で釣り具の目利きとしては論外として、蒐集家としても結局「高いときに買わされて、安いときに売らざるをえなくなる」間抜けにしかなれない。蒐集家なら安かろうが高かろうが欲しけりゃ買って、死ぬまで手放すなッテ話だし、釣り具の目利きとしては大森スピニングは基本性能が押さえられてて丈夫で整備性が良く、40年から前の道具だけど今でも実用機として買って良くて、実用機としての価値は、中古市場の値段の上下とは全く関係なく普遍的に今も有していると思っている。

 値段が落ちてきてる今買えよ!と正直思うし実践している(開き直り!)。まあコメットは買わんかったけどな。あれはアユ君の愛機だからワシが使うべきリールじゃない。

 値段落ちてきて買いやすくなるのなら良いじゃないか?と思われるかもだけど、値段が付くから中古市場にモノが出てくるっていうのがあって、これまた超人気だった「キャリアー」が某カリスマが使ってたssサイズは一時の暴騰に比べりゃ落ちてきたとはいえ値が付くので売りに出す人も多いけど、全くもって使える良いリールなのに、中古市場でそれほど評価されないNo.1、No.2サイズは滅多に出てこない。ワシが出したらこのブログの読者さんが購入してくれたっていうぐらいで、分かってる人は分かってるけど、分からんチンばかりの中古市場に値段も付かないのに出しても仕方ないってことで出てこなくなると、手に入らなくなるので、安すぎるのは考え物で、まだ高すぎる方がマシなぐらいである。ネットオークションとかに出しても手間賃になるかならんか程度なら面倒臭いとなって、燃えないゴミの日に出されてしまうというのもあり得る話で、想像すると慚愧に堪えないものがある。

 良いリールだと思うので、皆さん買ってみてね。ちなみにワシがお薦めするのは、実用機としてなら、いつも推してる不人気実力派「マイクロセブンCシリーズ」と割とマイコンシリーズでは後期の作でかつ樹脂性になる前で丈夫、スプールエッジの形状が初代に比べて「真っ直ぐ系」になっててライントラブルが軽減していると思ってる、「マイコンTBシリーズ」の2シリーズをお薦めしておく。新品箱入りでもなければ3~5千円で買えるハズなので大森初心者でどんなもんか試してみたいというならば買って損はないだろう。そこからふかい沼に沈んだ場合の被害までは当方は関知しない。
 昭和骨董的な雰囲気を楽しみたいなら、「マイクロセブン(アウトスプール版)」と「マイクロセブンDX(デラックス)」を推しておきたい。アウトスプール版マイクロセブンは外蹴り式でベールを手で返す人間なら実用機としても申し分ないシリーズ。廉価版の「タックル5(色違いの「タックル」)」でも、そのへんの単純ではあるけど”スピニングリールの基本を押さえた作り”は楽しめるけど「タックル5」はハンドル左右切り替え用のネジが付属してないことがほとんどで右巻リールばかりしか中古市場に出てこないのが難点。その点「マイクロセブン」はハンドルに左右切り替えネジの保管スペースを設けてあって、それがハンドルのバランス取り的なデザインになってるのとかも含めて、なかなかに見た目独特の格好良さがあって良いのである。アウトスプール機では出色の格好良さかと。でもって、大森の伝統あるシリーズ名である「マイクロセブン」の元祖的存在で、大森小型スピニングの始まりの一台でもある「マイクロセブンDX」は、実際手にしてみると小っちゃくって可愛らしいけど、バランス良く軽やかにクルクル回って性能も良さそうだし、”グッドデザイン賞”受賞も納得の昭和な日本のスピニングなんである。「意外とライントラブル多いよ」っていう識者の指摘もあるけど、それも含めてジャジャ馬乗りこなすような楽しみを見いだしても良し、観賞用蒐集用と割り切っても良し、ということで1台右巻のを買ってしまったら、左巻きも買って使ってみたいなと思ってしまい。そう思ってしまったら止められなくなる程度に今現在、”スピニング熱”の病状は悪化しており、冒頭写真のマイクロセブンDXの欧州輸出版らしい「コンパック89アトラスⅢ」を買っちまったのである。コンパックって、たしかオリムピックにもリール作らせてたような会社だったと思うけど、大森製作所もシェイクスピアと組む前(組んだ後もか?)に色んなブランドのリール作ってたようだ。

 「マイクロセブンDX」も人気あって、キレイめの個体なら普通に1万円超えてたんだけど最近やっぱり値を下げてきていて、1万円切ることも多く、ボロ目の個体なら5000円ぐらいとかになってきてたので狙ってたんだけど、この個体は錆もほぼ出ておらず、置き傷とかも少なくキレイめ。しかしながらドラグノブのキャップが剥がれ落ちて無くなってるという状態で、5000円というジャンクとしては高く、キレイめ個体にしては格安の開始価格でネットオークションに出品されていた。値段下げてきて人気も落ち着いてきてるし、微妙な価格設定だから意外に手を出されなくて、開始価格でいけるんじゃなかろうか?と5000円で入札しておいたら、まあワシも中古大森売り買いし始めて4年ぐらいになり、”大森アナリスト”としてはもはや駆け出しではない地位におり、狙い違わず確保できましたとさ。病気って怖いね。一度欲しいと思ってしまったら止められないね!

 まあ、最悪さらに値を下げる要因である「右巻」である我が家にある個体とドラグノブ交換で「アトラスⅢ」の方は綺麗な左巻き個体にでっち上げできるだろうし、力のかかる部位でなければ樹脂性の部品は修繕可能で、経験もそれなりにあるからナントカできるだろう。ぶっちゃけ蓋がなくてもドラグは締まるんだし、使えねえことはないやなという割り切りもありっちゃありだろう。

 ということで、我が家に届いてまずは試しにと、右巻のDXのドラグノブを取り付けてみると、これがなぜか微妙に合わない。ハマってドラグも締められるんだけど、ちょっと高さがあってスプールとドラグノブの間に隙間ができてしまう。これはラインが落ちて巻き込むと最悪の状態になるのでよろしくない。蓋なしで良いかとも思ったけど、蓋がないと当然水飛沫とか雨とかが入って中のバネが錆びる。実際ちょっと錆びかけてたので洗浄してグリス塗っておいたけど蓋はあった方が良いなと感じた。
 欠損部分の修理や部品の作成において、力が掛かる部位や部品を素人がどうにかするのはほぼ無理である。でも、蓋みたいな力の掛からない水が浸入するのを防げれば良い程度の代物であれば素人の工作で充分対応できる。まずは適当な素材を探してくる必要があるけど、今回はなんの蓋だったか分からないけど適度に丸みの付いたプラスチック製の蓋があったのでそれを素材として使用。平面でも良いけどラインが引っかからないことが重要なので角の処理は面取りするなどして丁寧に丸めておく必要はあるだろう。当然ながら引っかかりがないようにピッタリハマる寸法にしなければならないので、ドラグノブの穴の上に紙を乗せてグイグイ押しつけて型を取って、それを糊で素材のプラに貼り付けてニッパーで大まかに切り出して、実際にドラグノブの上に乗っけながら、ちょっとずつヤスリ掛けしてピッタリの大きさに調整していった。
 それでは接着する、というという行程になるんだけど、これが適切な接着剤は何かというのが悩みどころで、エポキシ系は意外にポロッと剥がれやすいのでイマイチ、瞬間接着剤は接着面が必ずしも密着してるわけじゃないので、隙間ができると付きが悪いのと、衝撃でパリッと剥がれやすいのもあって、こういう場合に頼れるのは「コニシのSU」だなということにあいなった。SUは安物のウェーディングシューズがあちこち剥がれまくるのを「ボンドG17」を使ってたんだけど、合成皮革とフェルトの接着がイマイチで何か良いのがないかとボヤいてたらケン一が教えてくれたもので、素材が違う場合も強力にくっつけるし、素材自体もテフロンとか特殊な素材意外なんでもくっつける、隙間があっても埋めてくっつけるし、曲げ伸ばしにもゴムみたいに柔軟なので強いという優れもので、今では信仰に近い信頼を置いて使っている。ただ、唯一の欠点としては乾いても表面がベトベトしてて完全に固化しない感じにしかならないので、はみ出すとその部分が汚れてキチャナイ感じになってしまうことで”はみ出し厳禁”である。まあ、多少は乾く前に削るように拭き取ってしまえば良いんだけど、今回は慎重にかつ素早くを念頭に竹串の先を使ってペトペトと塗布して、固化を待つ間は洗濯ばさみで圧着しつつ1日放置の後、隙間を埋めるのと蓋の面取りしてヤスリ掛けした側面を滑らかにするために上からエポキシをこれまた竹串でペトペト塗って仕上げておいた。
 ドラグノブの蓋の方は何とかなったので、機関好調で放置でも良いぐらいかなと思ったけど、一応全バラしして洗浄してグリスアップしておくかと思って分解してみると、意外に中は汚れていて、なぜかベアリングとローター軸のギアを止めてる輪っかを外したら本体側にクモの巣張ったような繊維が充満してて、カビの菌糸とかなのか謎の汚れ方だった。まあそれらもまとめて綺麗さっぱりパーツクリーナと歯ブラシでゴシゴシ綺麗にしてやって、ベアリングも錆びてないのでそのまま使えて、グリスと油を入れてやったんだけど、ラインローラーがナットを締めると回ってくれない。ゆるめてしばらく輪ゴム掛けてルーターで回転させて当たりを取ってやっても締めると回らなくなる。錆が浮いて引っかかりがあるとかだろうか?後の大森だと滑りの良いルーロンとかいう樹脂性のスリーブが入ってるんだけど、マイクロセブンDXは真鍮のスリーブが入ってる。かつ、今回の茶色の個体は古いタイプだと思うんだけど、ラインローラーの形状がなにげに1箇所にラインが落ち着いて転がらないようになっていて、糸ヨレは少なそうで感心する。でもって、スリーブの方が長くてちょっと出るぐらいに、もちろんあんまりやり過ぎてラインが入ってしまう隙間ができるとダメだけど、ラインローラーの端を削ってやれば、引っかかりがなくなって滑らかに回るようになるだろうという方針で、ダイヤモンドヤスリとサンドペーパーでちょっとづつ試しながら削って良い塩梅に回るように調整しておいた。この方式だと逆に回転するラインローラーの方が端から削れていってスカスカになっても、真鍮のスリーブの方を削ってやれば問題なくなる。それまでに何十年かかるのか不明だしスリーブとローラーの接する面が先に削れたら処置無しだけど、長期運用考えると優れた設計なのかも?
 いっちょあがりで全ての機能が元通りという感じで、この茶色い色のはマイクロセブンDXが発売された初期の1960年代版だと思うので優に半世紀は昔の個体だと思うけど、今回の修繕と整備でまた半世紀を生き延びる延命措置になったんじゃないかと期待する。

 当時金色に塗装するつもりだったのか、それだと派手すぎるので、メタリックな茶色程度にしたのか?いずれにせよ今の感覚じゃ色からして出し得ない”昭和味”の染み出す良い塩梅のリールで、でも多分今売りに出しても”ドラグノブの蓋が取れてたので直しました”って正直に明記したら、右の写真のとおり上手に直せているとは思うんだけど、オリジナルにこだわる蒐集家筋からは評価されないだろうし、蒐集家筋意外に買ってくれる人もあんまりいないだろうから、値段が下がってきてる現状、買った値段の5千円で売れれば御の字で、まあ、金に困ってから売るぐらいの心づもりで、しばらく蔵に寝かせておくのが妥当というものであろう。たまにクルクル回してやろうとは思うけど、使うにはちょっと綺麗すぎる感じで、正直もっとボロいのを安く買って直して、気兼ねなく海で使って使い心地を確かめてみたいんだけど、ボロいのは意外に出てこないのよね。売るために写真撮って説明文考えて梱包して発送してって手間暇掛けてもたいしたお金にならないとなると、売る気も失せるんだろう。なんとなく3千円ぐらいになってくれるかどうかが分水嶺のような気がしている。

 さてそれでは皆様ここで間違い?探しの時間です。使いもしないスピニングを買ったのが間違いだとか、オマエの人生は常に間違いだらけだとか、そういうことはたとえ真実であっても指摘してやらないでくださいね。本人が一番身に染みて分かってることですからね。そういう心にダメージを与えるような間違い探しじゃなくて、左の写真のリールは上の整備終了写真と何かが違ってるのですがおわかりだろうか?っていうヤツです。

 ワレ、なにマイクロセブンDXもう1台買ってるねン!と思った方、惜しいけど違います。まだそこまで間違ってません。実は他のパーツとかと一緒に米国から買い付けた中に入ってたマイクロセブンDXの”本体蓋”だけをネットフリマに出されている方が居たのを頭の隅に憶えていて(大事なことは忘れまくるくせに余計なことは憶えてやがる)、まだ売れ残ってるかなと確認してみたら、まだ売り出し中で流れるようにマウスを滑らせて購入。マイクロセブンDXの海外版としては、茶色いコンパックブランドのは見かけるけど、黒っぽい緑なのか紺なのか黒系の時代になると、コンパックブランドのは見たことがなく、シェイクスピアブランドで「2200」の名前ででている。シェイクスピアと組む前の大森製作所は米国でも”ダイヤモンド”の自社ブランドで売っていたそうで、今回入手したものは米国でダイヤモンド「マイクロセブンデラックス」として売られていたものに由来するのだろう。これで、実際には1台しか持ってなくても、実質、欧州輸出コンパック版と米国輸出ダイヤモンド版の2台揃ったようなものであり。一粒で2度美味しい感じになって、なんだかとても嬉しいのである。実用性から考えたら”銘”が変わったところで何が変わるねん?って話だけど、昭和骨董的に楽しむなら、大森製作所が欧州や米国に打って出て、後にシェイクスピアと組んで欧米市場で大暴れする前夜の歴史的な背景を楽しめる1台となってるのである。ブラウントラウト釣りに行くときにはコンパック「アトラスⅢ」で、ニジマス釣りに行くときにはダイヤモンド「マイクロセブンDX」でなんていう使い分けも、まあ現実には日本じゃあまり想定されない状況だけど、気分で使い分けてみても良いかも。って書いたら高値で売れてくれんじゃろか?

 という千円ちょいで購入してお値段以上に楽しめる本体蓋なんだけど、これに実はおまけが付いてきてて、ダイヤモンドリールの知識があまりないので良かったら活用してやって下くださいと、これまた茶色の本体フレームが同封されていた。本体蓋と比較すると写真の様にマイクロセブンDXより少し大きいようで、そうなると兄弟機の「マイクロセブンDX730」かなと思うんだけど、茶色の時代にはその名前ではなくてダイヤモンド「スーパーデラックス730」という名前だったのかも。いずれにせよ今のところワシ使うアテがないので、当ブログの読者さんには大森マニアな面々がいらっしゃるので、欲しいという方、先着一名様にお譲りします。送料だけ持ってください。「足が折れてる”730”持ってるので是非欲しい」というような、ピッタリとパズルのピースがハマるような橋渡しができたら最高ではありますが、「スペアパーツとして持っておきたい」でも、「とにかく大森関係ならなんでも欲しい」という欲しがりさんでもかまいません。必要とする人のところにあるのが良いに決まってます。必要な方はサイトの方に記載してる連絡用のメルアドに”欲しい”という旨記入のうえ御連絡ください。多分、すぐに欲しい人が見つかるとは思えないですが、その場合は保管しておきます。サイズの確認とかの問い合わせも必要に応じてしていただければ対応します。
 これで、我が家の蔵には「マイクロセブンDX」が左右2台揃ったことになり、さっきも書いたけど、今値段が落ちてきているので売りに出すのも面倒臭いなと思ってるんだけど、正直リール買って直していじって、売って利益を出す、というのは難易度が高すぎて既にとっくに諦めている。でも、いじったことないリールを整備したりするのは楽しいので手に入れたいという単純な物欲の他に、今現在ラインローラーが固着しているとかベアリングが錆びているとかの不具合で、使用に耐えない状態のスピニングを手に入れて、整備して使えるようにして、使いたい人に(蒐集したい人であっても良い)渡るように、再度中古市場に戻してやるっていうのは続けてみたいと、これは”スピニング熱”に罹患した当初から思っている。ワシが手に入れるのはD.A.Mなんていう変態リールは例外的で、基本PENNか大森あたりの単純明快実用バッチリのスピニング達である。こういうリール達の良さを少しでも多くの人に知ってもらえたら、そういう単純で丈夫で不具合少なく、整備性が良いリールが長く付き合って行くには良いリールなんだと思う釣り人が増えたなら、ジギングやらエギングやらでシャクリまくる釣りに使うならいざ知らず、普通の巻きモノのルア-とか使った釣りでは全く何が利点なのか分からない、スピニングリールの諸悪の根源だとワシが嫌悪している”瞬間的逆転防止機構”なんていう、水辺で使う道具に搭載すべきではない、水濡れに弱い機構を使わないスピニングが売られるようになるんじゃないだろうかと、遠大な野望を抱いているのである。 

 それはなにも、いまさら金型起こして前世紀の古くさい設計のスピニングを新たに作ってくれっていうハードル高めの話だけを期待してるのではなくて、古い名機を今時の知見でちょっと細部改良して使いやすさを向上させたぐらいの「復刻版」を売ってくれるのでも充分である。ABUの「カーディナル」が実際にそうやって復刻版が出てるけど、別にダイワが「ウィスカートーナメントSS」の復刻版作ったって良いと思うし、米国ダイワでは色違いの「トーナメントSS」は今でもカタログには載せてるとかどっかで読んだ気がするし、それがホントなら日本でも要望があって売れるならダイワとかシマノは、およそ作れないリールなんてないぐらいの技術力持ってるんだから、わけないんだと思う。でも必要とされない売れないリールはどんなに技術のあるメーカーでも作ることはできない。

 釣り人の皆さん、3年から5年経って型落ちしたら、なんか使ってるのがこっぱずかしくなるような出ては消えてく”最新型”の道具なんて”ボイコット”して、長く愛着を持って使える良い道具を使いましょう。”普通に釣りができる”程度の性能機能は、40年前ぐらいの釣り具から既に備えてます。そういう普通の釣り具で魚が釣れないというのなら、貴方は普通じゃないぐらいに釣りが下手だということです。道具なんてよっぽど特殊な釣りをするんじゃなければ”普通”で充分で、後は経験や知識の蓄積だの技術の習得だの”腕”で釣れッテ話じゃと偏屈なジジイは思うんジャ。今時の若者達は泡アワとした景気の良い時代の感覚が抜けてない昭和のオヤジどもとはちがって、醒めてて賢いように思うので、未来を担う若者には釣りの世界に限らず世の中のいろいろなことを良くしていってくれるんじゃないかと期待している。自分も鑑みて昭和脳の老害には現状が限界だったってコトなのかも。などと考えると寂しくなっちゃうので、志は高く”スピニングリールから瞬間的逆転防止機構を撤廃させる”を掲げて、コレからもスピニング熱は適度に養生しつつ、釣りと釣りを取り巻く世界を楽しんでいきたいものである。

2 件のコメント:

  1. ナマジさん、こんばんは。
    蓋入手とはアンテナの張りかたが違いますね、さすがです。

     小さなことでもやっぱりマイクロ7のロゴは気分が上がりますね。
    私はセカイモンでAtlasIIIや2200を品定めしては見送るということを繰り返しています。
    後の1番クラスに対してギヤ比スプール径ほぼ同じながら大幅に軽量コンパクトなので、欲しいと思いながら醸し出されるものにもう一つな所があり手が滑ってくれないというか… 
    銘の威力により、求めてたものではないスーパーデラックス730に入札中です。

     DXのようなサブNo.1クラスで私がよく使うのが、おそらく初代マイクロ7と思われるAtlasIIです。
    オリムピック製アトラスの後継としてウォームギアを内蔵したものです。
    トライアングルフォルムの走りという感じで非常に洗練されていまして、スタイル抜群な最小限のハウジングに抑制のきいたダークブルーの外観は質素ながら深みがあり、
    ベーシックを突き詰めたメカは軽薄ながらもちょっと迫力があります。

    後の高級路線で肥大化したプロラインとは対極にあります。(101は最高のリールの一つだと思います)
    一方細かいところに貧弱さがありばらつきも大きく、完成度の高いDXが気になるところです。


     DXの時期はコマースパシフィック(コンパックの商標を所有する貿易商)のスピニングのラインナップ中、一部除いて全てと、
    スピンキャスト8機種中2機種ほどを大森が請け負っていました。
    取引があったリールメーカーは植野・大森・稲村・ダイワ他数社ほどあり日本勢オールスターみたいな状態でしたが、その中で大森の品質に目立つものがあり積極的に取っていったのでしょうか。

     1950年代のリール事業参入からのコマースパシフィックとの付き合いでしたが、メジャー所との契約、自社ブランド確立など非常に充実した時期にもかかわらず、70年大森の経営難によりシェイクスピアによる救済を受けることとなり、その際に渋々ながらシェイクスピアの要求で、それ以外との取引をやめざるを得ない事態に陥ります。
    ナマジさんお察しの通り70年頃の決まった時期にスッパリ一本化することはなく、ずるずると抵抗しコマースパシフィックとの関係はスッパリ切れた様子ですがそれ以外のサウスベンドなどへの輸出は2年ほど続きました。

    その先アンビデックス・タックルオート・マイコンの比較的明るい10数年がありますが、泣けてきます。

     左右共用タイプのハンドルネジクロス切り以前の左ネジ欠損多いですよね。
    旧JIS5M0.9Lというもので、ダイスの入手も難儀するやつです。
    ヤフオクで中古ダイスをなんとか入手できました。ほかにもあるのかもしれませんが何とかこの古工具で工作という方法でやってます。

     長々と書いてしまいましたが、私のフェイバリット大森はマイクロセブン201です。骨董市で500円で入手しました。こういうものは大多数の分からない人にとってガラクタなので今日も日本全国でどっさり廃棄されているものなのでしょう。
    私の師匠は正真ハコスカGTRのエンジンを秘蔵していましたが嫁さんにスクラップ屋を呼ばれてしまい気付いたころには文化財がアルミと鉄になんてことになってました。

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       興味深い情報、楽しく拝読させていただきました。
       コマースパシフィック社にはオリム、大森以外にもいろんな日本メーカーがお世話になってたんですね。
       アトラスⅡは初めて知りました。国内では売られなかった機種のようですね。

       ダイスってネジ切る工作機械ですよね。金属パーツ自作はちょっとスゴいですね。手を出したいけど自分の不注意な性格からすると怪我しそうなので断念しています。

       ガラクタ整理で古物商呼ばれた場合は、まだ買い戻すチャンスもあるでしょうけど、スクラップ屋ではどうしようもないですね。お師匠さんの心中お察しします。どっかで読んだのですが、亡きお父さんの遺品の希少なバンブーロッドを母上が布団タタキに使ってて泣けてきたってのは、まあまだ笑い話で済んで良かったですが、多くの場合、故人の遺品とか廃棄されちゃってるんでしょうね。
       良い道具は、壊れるまで使ってくれる人か、後々まで伝えてくれる蒐集家の手に渡って欲しいと切に願ってます。

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2021年12月18日土曜日

逆張りは得意なんです

  なんだかんだ言って、ワシ”大森熱”が一番症状が酷い。

 ここのところの大森スピニングの値段の低下傾向は既にご報告のとおりだが、そろそろ「値段が高いから良いモノだ」という頓珍漢な思考で買いあさってた間抜けが、値段の下落に気が付き始めたのか、超人気だった「コメット」が中古市場に妙に出てくるようになった。株取引でいうところの「損切り」のようなつもりなんだろうか?真に釣り具の価値が分かる皆様、お待たせしました。今が買い時です。大森アナリスト4年とちょっとのナマジが太鼓判を押させていただきます。他の機種も軒並み安くなっててネットフリマには往時の高値のまま棚晒しになってる機種とかけっこうあるので、今なら値引き交渉も強気で行ってみる価値あります。

 まあ、ワシも最近病状悪化してブチ切れて「欲しけりゃ高かろうが安かろうが買えば良いんじゃ、売れんくなったら死ぬまで抱えておいて、死んだら欲しいヤツらで形見分けでもしてくれ、自慢じゃないが友達の数よりリールの数のが多いぞ」と思ってしまってて、マイクロセブンCシリーズなんていつの間にか8台も蔵に転がってる(かつ1台発送待ち)。PENNに関しては、蒐集というよりは使うつもりで備蓄してるけど、ぶっちゃけそれ以外のスピニングは使う状態にしておくのにはこだわるけど、程度が良いと使うのためらうぐらいで蒐集が目的になってると認めざるを得ない。

 でもって、今回のブツ。なにワレ2台も買うてるねん?ッテ話だけど、慣例により説明させて下さい。ひとつよろしくお願いします。

 冒頭写真見た瞬間これが何か分かる人が1人はいるはずで、これ「コンパック89アトラスⅢ」ことマイクロセブンDX欧州仕様ネタの時に情報書き込みいただいてた機種で、大森製作所作成のコンパック「アトラスⅡ」なんである。マイクロセブンDX以前の大森小型インスプールでウォームギア機とか。ちなみに初代の”無印”「アトラス」はオリムピック製らしい。

 とはいえ、国内販売なかったような気配でイーベイで探せばそれなりに出てくるけど、送料かけてまで人様のお気に入りを買うのも、なんかちょっと違うよな、と当初買う気はなかった。ホントなんです刑事さん信じてください。じゃあなんで2台も買ってるんだって話なんだけど、大森製なら何でもかんでも買うつもりはさすがになくて、今狙ってるのはマイクロセブンDXが使うの惜しいような個体しか持ってないのでボロいマイクロセブンDX(同型機含む)と同時代でおそらく同様の機構で欠点とかも同じだろうから、使い心地を見るには良さげなこれもボロいのが欲しいダイヤモンドスーパー730(同型機含む)、あと実用機としてスペアスプールが欲しいので本体ごと買うつもりのマイコン301TB、あたりで、あと安い値段で出ていたら可哀想なのでマイクロセブンCシリーズは救ってあげたい。と思ってる。なのでマイクロセブンDX同型機をおさえるために「コンパック」と「シェイクスピア」で検索かけてたところ、今回のコンパック「アトラスⅡ」が引っかかってきたのである。で、さすがに値段下がってきたとはいえ深い”大森沼”に沈んでる人々は一定数いるので、開始価格の4500円と5000円では落札できないだろうなと最初思ってスルーしかけたんだけど、ウォッチリスト登録者数を見て違和感が走る。10数人しかウォッチしていない。ネットオークションで出品したことがあれば分かると思うけど、ウオッチリスト登録者数10人台はギリギリ1人か2人入札あるかどうかぐらいの数字であり、意外に注目されていない。大森製作所の歴史的にも重要だろう最も古い部類のインスプールの小型機であり、骨董的なリールを愛好する釣り人も多いマス釣り用として好適で値段付きそうなものである。でも流れから言って高額落札にはなりそうにない。なんでだろうと考えると、まずは「大森製作所」という検索ワードが含まれていないので、大森熱患者でもよほどこじらせてないと大森狙いで「コンパック」は検索してないだろうから意外に盲点になってるようだ。中古釣具屋とか釣り人からの出品なら大森製は”売り”なので明記するだろうけど、出品者は機械中心の一般的な中古道具屋さんのようで銘などから分かる情報しか書いていない。そしてたぶん要素として大きいのは、この機種はあんまり知られてないということで、国内では評価が定まっていないので他人の評価で自分の欲しいものを決めるような輩は買おうとしないし、歴史的な背景とかも踏まえて価値が分かって欲しがるような人間は、既に海外オークションでも探して入手してるはずで、今さら買う必要もないだろう。ワシとしては想定外の獲物だけどフロントドラグのシンプルなウォームギア機ってもろに好みだし、大森のウォームギア機はプロラインとスーパーセブンが有名だけど、前者は値段がまだそれなりに高いし、後者は弾数が少なくあまり中古市場に出てこないのでいまだ手にしたことがなく大森のウォームギア機ってのにも興味がある。ということで、開始価格にチョイ足して2つとも入札しておけば、どっちかぐらい落札できるだろうと思ったら、入札ワシだけで2台とも開始価格で落札してしもた。

 まあいいや、いらんくなったら流石に大森スピニングの値が下がってきたとはいえ、見た目もキレイめだし「大森製作所の小型インスプールではもっとも古い機種」っていうのを売りにネットオークションにでも流せば、買った値段よりは高く売れるとおもうんだけどどうだろうか?個人的にはイーベイで入手するとそれなりに高くなるので、国内のネットオークションなら1万円超えるぐらいの強気の値段設定でも1人ぐらい欲しがる病人いるんじゃなかろうか?と思う。とりあえず、売るにせよ使うにせよ蔵に取っておくにせよ、まずは分解清掃して整備せねばだな。

 2個落札して見比べてみると、ハンドルノブが赤と黒で色が違うのに加えて足の裏の刻印も微妙に違ってて金型が違ってるのかなんなのかそんなに長期間売られた機種でもなさそうなのに何があったのか不思議な感じ。ちなみに黒ハンドルは「JAPAN」の刻印のみで赤い方には「OMORI S.S.(Oに上線)」と謎の国名「gapan」の刻印が有りさらには両端に盛り上がった線がある。どちらかが先だとすれば「gapan」の間違いに気がついて後に訂正したとかだろうか?逆に製品の方が凹んでる方は金型の出っ張ってるはずの刻印削って溝を掘れば良いはずで金型作り直す必要まではなさそうで、むしろそっちだと考えるのが自然か?
 でもって、黒ハンドルの個体は快調に軽快にクルックル回ってベールもストッパーオンオフも正常なので、ハンドルは堅くて回しにくいし、ストッパーオンオフは死んでるしっていう赤ハンドルの方からバラして清掃、整備していくことにする。バラしてみると案の定グリスは干からびて固くなっててコリャダメだ状態。オヤッ?と思うのがギアの材質でこれまで見てきたウォームギア機はほぼ全てステンレスか鉄系のローター軸のギアにハンドル軸のギアは真鍮製という組み合わせだったけど、コイツのは真鍮のローター軸ギアにどうみても亜鉛鋳造のハンドル軸のギアである。念のため黒ハンドルの方も蓋開けて確認すると同じ組み合わせ。ウォームギア方式って工作精度が必要で面倒くせえような話も聞くけど、亜鉛鋳造で大丈夫なんだろうか?強度的にもステンレスと真鍮より弱そうだけど、それは巻き上げ効率悪いけど丈夫さが売りのウォームギアなら気にしなくて良いものなのか?素人には分からんね。気にしても仕方ないか?
 ハンドル軸ギア抜いてみると芯は当然のごとく鉄系で、そこはこの時代から大森伝統の堅実さって感じ。でもってハンドル軸ギアの下に入ってる逆転防止は残念なことにバネが折れている。とりあえず逆転防止の爪を押しつけるだけのバネなので、いつものようにタチウオ用の単線ワイヤーで成形する。

 2個ほど失敗したけど、所要時間15分ぐらいのやっつけ仕事で無事正常にオンオフ可能に復活。

 でもってズンズンと分解していくんだけど、ローターを外すのにナットを外すだけではダメでローターにもネジが切ってあってローター軸のギアを固定しておいてローターを回してやらねばならん方式。ダム「クイック110」でも経験済みなのでナット外してローターが抜けない時点ですぐに気がついて良かったけど、ハンドルの軸ギアを抜いた後にローター軸のギアだけ固定するのは難しく、外すためにハンドル軸のギア入れ直すのか?と悩んでたらグリスで隠れぎみで見逃しそうだったけど、ローター軸のギアに穴が開いてるのに気がついて、そこに棒突っ込んで固定してローター回すんだなと気がついて事なきを得た。
 ローター外してベール返しの輪っかを外してみると、なんとこの「アトラスⅡ」ボールベアリングレス機のようで、鉄系っぽいスリーブが填まってる。っていうか固着して抜けねぇんでやがる。見えてるのが単なる蓋でその下にボールベアリングが挟まってるってことはないと思う(違ってたらゴメン)。ていうかこの位置に填まってるスリーブが固着して回らないのになんで固いとはいえローターが回ったのか?ローター軸のギア上部のネジ山はスリーブの上に乗ってる1枚のステンレスワッシャーの填まる位置まで切られていて、ローターを回して止めてしまうとステンレスワッシャーを挟んでローターとスリーブが固定されるはずで回るような構造に思えないんだけど、なぜか現実にはステンレスワッシャーが回る隙間ができてて回ってる。やっぱりスリーブの下にはベアリング入っててローター軸のギアが下から押し当てられる形で回るとかか?それでもローター、ステンレスワッシャー、スリーブ上面が固定されてることを”無し”にはできないはずだけど、サッパリ分からん。なんか重要な見落としがあるんだろと散々考えつついじり回して、ローター軸ギアの上部のネジ山が終わる根元はそこから微妙に太くなってて、引っ張ると太い部分がほんのちょっと出てくる。なので実はその上にワッシャーが乗っかった状態でローターと固定される形になってて、ほんのちょっと上下する隙間でワッシャーとスリーブの隙間ができてそこが接しつつ回転してる、のかなぁと思うけど自信がない。スリーブの上には擦れた跡があるのも傍証だと思うけどはたして正解なのか。まあ、理屈が分からなくて回ってくれないのなら困るけど、事実として回ってるので困りゃせず、その昔、航空力学的にクマバチは”飛べる理屈がない”とされてたけど、実際には自由自在に飛び回っててクマバチ困ってなかったのと似たような話か?ちなみにクマバチの件は後生、虫のような小さい物には空気の粘性が相対的に強く働くことを織り込むとちゃんと飛べる理屈が成立すると分かったそうだ。
 ちゅうことで時間食ってしまったけど、続きの作業に進む。

 ドラグはまだフェルトワッシャーが採用されておらず、皮?1枚に赤いファイバーワッシャー2枚の構成だけど、すでに3階建て方式、ラインローラーも真鍮スリーブ入りと、後の大森方式に繋がっていく丁寧な作りでそのへんは機能的に困りそうな気がしない。

 固着部分は仕方ないとして、バラせるだけバラして、パーツクリーナーかけて歯ブラシシュッシュと磨いて乾燥させて、売ること想定でABU純正グリスでグリグリとグリスシーリングしてやって整備完了。

 しかしながら、これが軽やかに快調に回ってくれない。ゴリゴリって感じで明らかに引っかかる感触はしばらく回してたら無くなったんだけど、それでも重く軽快とはほど遠い。もし1台しか買ってなかったら「ウォームギア機でボールベアリング無しなら多少重くてあたりまえか」と納得してたかもしれない。回らなくはないんだけど普段ウォームギア機愛用しているワシからしても重い気がするし、もう一台が軽やかに回ってるので、明らかにこの個体は巻きが重い。回してローターが一定方向に来ると重くなってるように思うので、主軸が曲がってるのかと主軸抜いて様子見たり、理屈が分からんかったローター関連があやしいかとローター外して軸突っ込んだ状態で回してみたりして、どうも原因はローター軸のギアかそれがハマってるスリーブが傾いてるか偏心してるように思える。そんなもんワシどうにもできひんがな。個体差があるのか、以前の持ち主が壊したのか分からんけど、この時代は流石の大森製作所もまだそこまでギア作る精度とか高くなかったのか?それもワシのような素人では判断できかねるところ。

 まあ、使えないってほどじゃないと思うけど、こりゃ売るとき「巻き重めです」って書いたら買いたたかれる要素になるやや残念な子。まあ売らずに1台は持っておくか。小さくまとまってて見た目可愛くて良いリールなのは確か。もう1台は絶好調なので下手に触らずラインローラーとかの外回りへの注油のみにしておいた。

 釣り具全般、売る方は一向に進めておらずリール増えるばかりなんだけど、売らないのは今古いスピニング全体に値段が付いてないからってのもあって、”長寿命ベールスプリング”販売後に値上がると読んで購入したABU「カーディナルC4」は全然値段上がらないので、結局長寿命スプリングを組み込んだ上で”釣りのうまい人”が正月休みに実家方面で根魚釣りする用に進呈した。三陸の冬は寒くて瞬間的逆転防止機構はグリス固まって効かなくなったりするダ。ラチェット式が結局信頼できるダ。ちなみに写真下はローターブレーキ装着例。左下に写ってるベールリターンの蹴飛ばしの爪を、マジックテープがやわっと押さえることで、こねて投げたときとかにハンドルが回って、ローターが回ってベールが返ってしまうのを防止するという仕組み。なきゃないでちゃんと捏ねずに真っ直ぐ投げてれば良いだけだし、ワシのような左手でサミングしてベールをハンドルじゃなくて手で返す投げ方もできる場合、蹴飛ばしの部品を取っ払って”マニュアルベールリターン”機に改造してやれば根本的な問題解決になるので、あっても困らないぐらいの機能かなと個人的には思う。

 そういう冷え込んだ中古リール市場において、妙に値が上がってるリールがあって、一つはPENNの小型機で、716z、420ssあたりは以前から1万円以上してたけど、最近、714z、430ss、4300ss、4200ss、430ssg、420ssgあたりもそのぐらいはしている。箱入り美品だと2万円超えとかのもチラホラ見受けられ714zボロめので良いのでもう一台ぐらい欲しいんだけど手が出ない。世の釣り人もやっとPENNスピンフィッシャーの素晴らしさに気が付き始めたのだろうか?何万円もするようになったら使ってない716zとか売ってこれまでの赤字を補填したいけど、基本的に小型機は使う分しか確保してないので、売れる弾って限られててあんまり儲けにゃつながりそうにないなとは思う。

 もう一つへんな値の上がり方してるのは稲村製作所製のインスプールスピニングで、稲村製作所がダイワに吸収合併された後に出てた「7250HRLA」の元ネタらしいロディーブランドの稲村製インスプールスピニングが開始価格は安く出てたので、出来心で2200円ぐらいで入札しておいたら、そんなヌルい代物じゃなくなってるようで、1万5千円近くまで競り上がってた。なんじゃこりゃと思って”稲村製作所”や”ロディー”で検索して値段の相場見てみると、モノによって全然違うようで一部の機種だけ値段が高騰しているんだけど、それがどういう機種なのか法則性が全く見えない。だれぞ有名人が雑誌で紹介したとかか?一時期狙ってたけど回転バランスがブルンブルンだと聞いて諦めたロディージャイロとかも2万近くしてたりする落札結果もあるのにネットフリマで安売りされてたりもして、何が何だか分からない状況。この混沌を味方につけたならば、積もりに積もっている累積赤字を解消する起死回生の一打が打てるのではないか?とか山っ気を出すと、またぞろ使いもせんリールが蔵に積み上がっていくだけなんだろうなというのは薄々分かってはいる。分かっちゃいるけどそれはそれで稲村製作所のリールも一回ぐらい触ってみたいなってのもあって、良い出物があったらマウスが滑ってしまうのを止める自信がない。

 皆様、古リールを売り買いして儲けを出そうなんていうのは、知識も経験も充分にある本職のアンティークタックル屋さんの仕事であり、素人が浅はかな知識で手を出しても、小豆相場に手を出す材木問屋の若旦那のごとく、痛い目に遭うのはほぼ確定事項なので、中古リール買うのは良いけど、それは「欲しいから」っていう心の叫びに従ったものだけにしたほうが健全で懸命だとおもっちょりマス。欲しいリールを買ってる分には少なくとも手に入れた喜びやら整備して使う楽しみは得られるけど、儲けようとかいやらしいことを考えた途端に、”スピニング熱”程度で済まずに酷い火傷を負いかねないので、くれぐれもお気を付け下さい。

 と自戒を込めて書き付けておこう。

8 件のコメント:

  1. ご無沙汰しております。
    アトラスⅡの内部機構、ご馳走様でした(笑)
    この手のリールの醍醐味は外観デザインではなくギア、ストッパー、オシレーション機構ですよね。
    内部の分かる蓋オープン画像と分解画像がリールレビューで一番嬉しいです。

    オリムピック製アトラスを2台所有してますが、使う予定もないので一台お譲りしましょうか?
    2台あるうちの1台は状態がとても良く大森レベルで滑らかに回ります。

    国産最初期の1950年台、そして元ネタがない(おそらくパクリではない)国産最初期の超小型インスプールスピニングにしてこの完成度か、と唸らされたモノです。
    是非ナマジさんにレビューして頂きたいです。

    どのパーツも丁寧に作ってあって、同時代や下手すると後の時代のオリムピックリールよりも工業製品としてはよく出来てるのでは、と思わされます。


    記事にある[「7250HRLA」の元ネタらしいロディーブランドの稲村製インスプールスピニング]ですが、自分も5000円くらいで参戦してました(笑)
    終了価格を見てちょっと目を疑いましたが、どうしてもアレが欲しい方がいたのでしょうね。
    国内だと出玉が少ないのでどうしても欲しいなら覚悟を決めて高額入札するしかないですね(汗

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    1. norishioさん こんばんは

       スピニング熱患者からしてみたら、外観がどうとか、滑らかで心地良いとかの主観的感想とかどうでも良いっちゃどうでも良いですよね。

       初代アトラス欲しいですけど、私ばっかり重石で沼深く沈むのはつらいので、アトラスⅡの好調な方と交換でどうです?良かったらサイトの方に載せてるメアドに連絡下さい。一人だけ軽くなって浮かび上がろうったってそうはいきませんよ。

       やっぱりあのロディーは好き者ならちょっと手を出したくなるブツだったんですね。さすがにあの落札額は驚きますよね。落札した人立派!欲しけりゃ高くても何でもとにかく買うってのが、蒐集家のお手本です。良い子は絶対真似しちゃダメですけどね。

       ということで、御連絡お待ちしてます。

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  2. ナマジさん、こんばんは。

     いっぺんに2台も購入してしまいましたか。やはりさすが、ねじ込みローターも心配無用という感じでサクッとクリアしましたね。
    当方も2台所有おりまして、一つは軽快で、気に入ってもう一台と入手した方が少し重鈍でギア鳴りあり、極端なプリン巻き、たまにベールとハンドルが接触という具合です。
    赤ハンドルは数が少ないようです。長いこと流れているのを気にしていたのですがナマジさんのもとに行きましたか。ちなみに確証はないですがオリム製アトラスの前にもう一つダイワ製アトラスがいるような感じがします。

     大森でもバラつきがある機種は意外と多いように感じます。
    大森製ウォームギア機ではサウスベンドクラッシックも期待した滑らかさはなく、回転が重めです。ものによってはベールワイヤーがスプールに突っかかってリターンに支障があるなど散々で、プロラインでもギアから細かな振動を感じる個体もあります。

     ロディ―コンバーティブルは極端に球数が少なくセカイモンでチェックしていても年一回出るかどうかという程度です。なぜかイギリスから出てることが多いです。
    へドン版は普通に出ていて触った感じは稲村のハイギア(と言っても1:4付近)特有のヒュンヒュンと音を立てて重厚ながら爽快な惰性を伴う回転フィールでした。


    ところで使いみちなく転がっているダム330Nが有るのですがいかがでしょうか。

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       ダム沼にこれ以上沈めないでください。
       というか330Nは多分私の手には大きいかなと思います。せっかくの申し入れ感謝ですが、断腸の思いで諦めます。

       やっぱり大森でもだんだん精度が上がっていったんでしょうかね。そのへんも興味深くはあります。

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  3.  ギア周りの感触のこと私が見た範囲では、期待を裏切らないシームレスフィールを得るのは74年アウトスプールのマイクロセブン&タックル5(番手3以下に限り天国、大番手は歯の裏側が当たった際盛大に鳴る)からのように思います。
    それまでの物とは明らかに違うのでブレークスルーなどあったのでしょうか。

    66年頃デラックス系統も素晴らしいですが、少し後の機種でギアゴロが大きくなるのが疑問です。
    財政難でのコストカットや職人が変わった、新しい試みが上手くいかないなど邪推しますが本当にどうなっていたかは謎です。

    高い精度=加工時間工程増、要能力(キャリアの長い賃金高い人を拘束)、手間(寸法管理など)、いい設備=コスト ですから精度が高いものを作ると、そのことで値段が合わなくなり商売として破綻していた可能性は考えられます。

    70年頃救済を受けることとなる大森に対して、勢いをつけて稲村を吸収し80年頃にはオリムを抜くダイワは60年代のどこかで急激に品質を落としました。


    精度が安定した時期のもので、当方手もとにあるスピナーひいてるみたいに震えるプロライン101は単にそういう弾なのだと思います。

    色々書きましたが稲村などは同じメーカーの物だとは思えないほどの仕様や機種間での振れ幅があるのでなんだかんだ大森は安定してます。


     大森製作所で開発に腕を振るった大森新太郎さんという方が五十鈴工業で設計主任をされているそうです。
    伺いたい事が山ほどありますが、アポ取って取材に乗り込む度胸もなくコミュ障持ちなので惜しい事至極ですが同時代にいながら会うこともないでしょう。

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       いつも濃い情報をありがとうございます。カマス釣りに行くのに早起きしたのに読みふけってしまいました。

       アウトスプールのマイクロセブン、タックル5はまだ外蹴りでその分超単純なところがかなり好きな機種です。確かに滑らかに回りますね。

       ダイワの手の抜き方は結果的には”生き残り”に繋がった正しい生存戦略だったのかなと思わなくもないです。ドラグなんて使わない国内市場向けの安い機種には実質的なドラグが付いてないとか初めて気がついたときには、はじめ憤って、後に心底感心しました。

       大森製作所の技術者が居るから五十鈴工業は少量生産でインスプールスピニング作ったりしてたんですね。
       竹中先生あたりに取材行って記事にしてもらえると後生に残るのでしょうが、いまだにそれができてないってコトは”取材お断り”な職人さんなのかもですね。生きてるうちに聞いておかないともったいないですね。
       私も人にあんまり会いたくないってのもあって紀伊半島に引きこもってますが、ネットのやりとりとかは大丈夫だったりします。メールでは礼を失する気がしますが、ダメ元で手紙で教えてくれってのはギリ許されるのでは?とか思ったりします。
       じっくり話聞き始めたら確実に本1冊以上書けるぐらいネタはあるでしょうから、手紙だとホントに要点絞んないと読んでもらえないでしょうけどね。

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  4.  ナマジさん、お疲れ様です。 それは、カマス釣りのお邪魔いたしまして失礼いたしました。この時期まだ釣れていますか?引き続きまして今日もお邪魔します。

     先週末、最近通い詰めているG坊エクストリームサビキに行きましたが冷え込みと名物の強風により底まで撹拌され、先々週は正月ごろまで釣れると常連さんに聞きましたが正月がクリスマス前にやってきたようでした。
    この時期はサビキでアジサバカマスと混じる場所ですが私にはなぜかカマスが釣れません。


     仰る通り、求められていない事に力を注いでも、お金払ってくれる人に「そうじゃない」と言われれば個人的なこだわりとか独りよがり的なことにもなってしまいますからね。ダイワは変な正義感や執着をやめてニーズに答えられたとも言えます。

    情報が入らずリールがどういうものとか理想の使い方なんかも知られなかったこともあるでしょうが、
    車ならショッピングカート用途の人が大多数で、直列6気筒の回転がどうとかステアリングのフィードバックがこうとか余計な嫌遠事項であるのと同じで、カリカリギュンギュンのマイクロセブンよりどっしり乗っかって積載容量たっぷりミニバンのスポーツラインで出かけるのが快適だったのでしょう。


     断定調で書くこともありますが当時を肌で感じてすらいない平成生まれのぺーぺーが少ない材料を頼りに推測で書くことですので話半分で聞いて時折指摘いただけたらと思います。「はて、手紙ってなんだっけな」というような世代です。

     ”取材お断りな職人さん”たしかにそんな感じもしてきました。しゃべってくれる方なら記事は上がるしこんなに情報少ないはずはないですからね、しかし日本は情報が残らないです、ひとつ残らず墓場まで持っていかれる感じです。海外のサイトを見ててうらやましく思います。

     

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    1. レクエル堂さん おはようございます

       カマスは無事釣れました。同じ紀伊半島でも港ごとに(年によってさえ)釣れる時期やパターンは違うようで、わがご近所漁港では12月半ばから2月の始めぐらいがカマスの時期です。
       カマス狙い3年ほどの短い経験ですが、越冬群を狙う場合サビキで釣れる状況ってかなり少ないように思います。短バリスに縦の動きに活発に食って来てハリ掛かりさせるのは難しいようで、下にトリプルフックぶら下げたワームのジグヘッドリグで追い食いさせて掛けるか、ハリスの長いゆっくり沈むデカいケミホタルをオモリにした仕掛けでキビナゴ餌がこの地では強いです。ハリス長く取れるフライは食い込みよく意外なぐらい優秀な成績で釣れます。

       しかし、レクエル堂さん意外なほどお若いですね。豊富な知識量といい、同世代より上だろうと思ってました。スピニング熱患者にも若い世代が育っていると知って頼もしいです。
       私も推論やら思い込みやら、好きなように書かせてもらってます。厳密な正確性を求めるような場所じゃないので、好きな人達で自由に書き込んでもらって楽しくやりとりできれば嬉しいので、これからも引き続きご贔屓に。

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2022年1月22日土曜日

オミクロンよりアトラスのほうがヤバい?

  昨年末に大森製のコンパック「アトラスⅡ」を紹介したときに、norishioさんとオリムピック製初代?「アトラス」との交換密約が締結され、年明けてお年玉交換とあいなった。左が我が家にやってきたそのオリムピック「アトラス」。

 「ねっとり濃厚なレビューを」とのご要望ではあったけど、正直古い時代の単純なウォームギア機で目新しい機構とかあんまりないだろうから、ネットリ書けるか自信が無かったけど、分解清掃してみたらこれはなかなか相当に面白かった。

 ということで、ネットリ濃厚になるよう書きまくってみたいので、ご用とお急ぎでないお好きな皆様におかれましては、楽しんでいただければと思っちょります。

 まずは、届いて外観見てクルクルッと回してみたりするんだけど、塗装も銀系だし、スプールもアルミの鏡面仕上げで全体的に銀ピカでキリッとしてる。そしてコイツは国内販売版なんだとおもうけど、昔懐かしい”トビウオ五輪マーク”で「Atlas Olympic」と銘がある。多分蓋だけ国内版と輸出用「コンパック」ブランド版を変えてたんじゃないかと思うけど、本体は金型作り直すような手間はかけられなかったようで「Compac Japan」と足裏にある。「アトラスⅡ」の時に「gapan」って謎の国名は何じゃろ?って思ったけど、筆記体のJの大文字だったと判明。分かってみれば謎でも何でもないな。
 ワシうすうすお気づきの方もおられるかもしれないけど、ちょっと”ウォームギアフェチ”な部分があるようで、ギアを重ねず横並びにするウォームギア機ならではの薄っぺらい本体にたまらない魅力を感じたりしちゃうんです。キュッと締まったこのボディーライン、実にイイ!

 こまかいところだけど、ラインローラーを固定してるマイナスネジ、それをラインを引っかからなくして収めるために金属製の襟巻き?みたいな部品がハマってて、なかなかに丁寧な仕事ぶり。ラインローラーは固定式で固い金属系。

 逆転防止のオンオフのスイッチが変わってて、ハンドルの根元の樹脂性の円盤で切り替えする形式。

 お尻の油差しのキャップがハマってる筒は内部では主軸のお尻が刺さる場所でもあるんだろうなとは思うけど、本体のお尻の部分がパスッと叩き切ったような造形で、そこから筒が伸びてることには意味があるんだろうか?まあ、バラしていけばそのへんはオイオイ分かってくるはず、とこいうことで、とくに整備せずとも良いぐらいに軽やかに回っちゃいるけど分解清掃。

 まずはスプールからいっとくかと、スプール外そうと樹脂性のドラグノブをクルクル回していくと、主軸からスプール自体は抜けるんだけどドラグノブはスプールにくっついたままで、頭にマイナスのネジ山が見えるしネジ外すんだろうなと、外すとそれでもまだドラグパッドを押さえている金属部品は外れず、スプ-ルにハマってるCクリップを外してようやく部品外せてドラグパッドが抜けるという謎構造。オリムピックの設計者ってドラグノブが落っこちるのをよほど恐れていたのだろうか?「エメラルド350」でもドラグノブは主軸から外れてもCクリップで引っかかってて力かけないと外れないつくりになっていた。
 でもって、ドラグパッドとワッシャーも独特っていうか、ドラグの構造自体がまだ黎明期の日本のリール設計思想ではちょっと理解が届いてない感じがして、それはそれでなかなか味わい深く面白い。写真にあるようにドラグパッドは厚めのフェルトのが2枚入ってるんだけど、ドラグの仕組みというか構造を分かってる読者の皆様なら「???」と頭に疑問符が並ぶだろう。ドラグパッド2枚使うドラグシステムが無いわけじゃない。通常は直径小さく摩擦力小さくして「ドラグパッド」の仕事を邪魔しないようにチョンとスプール座面に単なるワッシャーとして乗せられているパッドをスプール上面のドラグパッドと同様の大きさ素材にしてスプールを上下から挟むようにしたドラグとかで、「ミッチェル314」とかは実質そうなってる気がする。

 ただし、通常スプール座面にはさっき書いたように小さなワッシャーが入ってるだけで、ドラグとしてはスプール上面から穴ぼこもうけてそこにドラグパッドとドラグワッシャーを配置する。その場合は3階建てが主流でドラグパッドは3枚入る。あるいは1枚というのも珍しくはない程度にある。大型リールでロングスプールの中に3階建て以上のドラグをぶち込んでるのもあったと思うけど珍しい事例で、かつその場合のドラグパッドは奇数だったハズである。なぜなら、多層式のドラグの場合は構造がスプールと同期する面(以下「ス面」)と主軸と同期する面(以下「軸面」)で適度な滑りと摩擦の素材でできたパッドを挟んでやって、固定された主軸に対して回転するスプールとのズレに対し適度に摩擦力を生じさせる事によってブレーキとして”ドラグが効く”ようになってるので、底の方から考えると最初は「ス面」でスプールそのものかス面同期のワッシャー、次にドラグパッド(ドラグパッドをワッシャーが兼用というのもあり得る)、その上に軸面同期のワッシャーが来て、またドラグパッド、ス面ワッシャー、ドラグパッド、軸面ワッシャーという感じに3階建てだとなってて、ス面と軸面は交互に来ないと、ズレないので間のパッドも一緒に同期して回るか止まってるだけで意味を成さないし、かつ一番上が軸面ワッシャーで終わらないと、ドラグノブでスプールと一緒に回転するス面ワッシャーを押さえる事になりドラグノブが回ってしまいかねずこれまた塩梅が悪い。ドラグパッドの数を増やせば増やすほど比例して安定性に寄与するとかなら、ドラグパッドとワッシャーを兼用させてかつ薄くして5階建てとかもあり得るのかもしれないが、ドラグパッド1枚でもデキの良いドラグは充分性能良いので、多けりゃ良いってもんでもなさそうには思う。ちなみにスプールと主軸の回転時のズレで摩擦抵抗を発生させる通常のドラグと逆に主軸が回転して本体同期面とのズレでドラグを効かせるリアドラグ方式ではドラグパッドは2階建てとか偶数になるハズだと思う。両端に回転する軸面ワッシャーが来ないようにすると最小枚数では本体同期ワッシャーで軸面ワッシャーをサンドイッチにするからワッシャー同士の間、ドラグパッドが挟まる面は2面となる。大森マイコンシリーズはそうなってる。

 でもって今回のアトラス。ブ厚めのフェルトパッドが、スプール底面のス面の次に来て、次に写真の様に主軸に縦溝を入れてその溝に出っ張りをはめる独特の形状の軸面ワッシャー、その上に2枚目のフェルトパッド、そしてドラグノブを構成するドラグパッドを押さえる金具と来ている。これ、上の方のドラグパッドは軸面ワッシャーとドラグパッドの金具というどちらもドラグが効くときには主軸に固定されて回らない部品の間にあって挟まれてるだけで仕事してねえんじゃネェの?という状態である。ドラグノブが上からネジ止めされているとか複雑な構造なので、ひょっとしてこれネジが主軸に直結してるけど、ドラグパッドを押さえてる金具は”浮いてる”構造になってて、ドラグ作動時にはス軸と同期して金具は回るけど、ドラグ値が変わったりしないようになったりしてて、とかも考えてみたけど、ネジは金具と樹脂性のドラグノブの部品を止めてるし、ドラグ効かせた状態でスプール回してみても、ドラグノブ関係はどの部品もスプールと同期はせずに主軸に固定されているようにしか見えない。

 上のドラグパッドはドラグパッドとしては機能しておらず”死に体”のようである。ただドラグパッドとしては機能してないけど、無くて良いかというとこのリールにおいてはそうでもなさそうなのである。このドラグ、多少調整幅は小さめだけどちゃんと効いてくれてドラグとして充分機能しているのである。ドラグとして機能するために地味だけど重要な部品が一見なさそうに見えるんだけど、おわかりだろうか?何かといえば”バネ”である。普通の3階建てのドラグなら多くはドラグノブの中に、ミッチェルとか多分その真似しただろうPENN714zとかではドラグノブの下にビヨヨンと金属板を加工したバネが配置されている。これ適度にドラグノブでドラグパッドとワッシャーを締め付ける圧力を調整してくれて、無いと調整幅が極小さくなって使えないドラグになるようだ。でもバネ無しのアトラスのドラグ、まあそこそこ使用に耐える実用的なドラグには仕上がっている。どうも、ブ厚めのフェルトパッドが、1枚はドラグパッドとしては死に体だけど調整幅を持たせるバネ的には効いてるようで、無駄に入ってるわけでもなさそうなのである。こんな日本スピニングリール黎明期(「ベルせか」でみると1957年から60年のカタログに「アトラス No.89、1,600円」で登場、大森製「コンパック89 アトラスⅢ」の”89”ってなんじゃろ?と思ってたけどオリム由来なのか?)から、小型リールのドラグパッドにはグリス染ませたフェルトが良いなんてのはあったりまえのコンコンチキだったようである。何度も何度もしつこく書くけど、今さらすんごい性能のドラグができましたってなことを謳ってる宣伝文句はデタラメ大げさ紛らわしいことこのうえないったらありゃしないのである。

 てな感じで、スプール関係はこんなもんだろうと満足して、次に本体蓋をパカッと開ける。

 うわっなんか内部も銀ピカやな!という一目見ての感想なんだけど、オシュレーション(スプール上下機構)カムが真鍮製なぐらいで、他はローター軸のギアはまあ良くあるとしてハンドル軸のギアも見た目ステンレスなら、オシュレーションのクランクもネジも当然主軸もステンレスにしか見えない。

 ウォームギアって精度出すの難しいンじゃないの?ステンレスって固くて加工しにくい印象だけど、オリムピックってなにげに技術力あったんだなと感心する。ハンドル軸のギアはステンじゃなくてニッケルシルバー(銅と亜鉛とニッケルの合金「洋白」)って可能性はあるか?でもそれなら真鍮でよさそうだし必然性がないか?いずれにせよさすがは一時は国内で向かうところ敵無しを誇った釣り具メーカーっていう技術力である。海外のリールマニアの掲示板で「時計のSEIKOから暖簾分けしたメーカーだから技術力あったんだよ」とか書いてる人がいてちょっと笑った。それ精工ちがいでオリムピックは元の名前が「植野精工」で時計のほうは「服部セイコー」って教えてあげようかと思ったけど、あんなマニアックな輩どものところに、のこのこ「古いリールの大好きな日本人でーす」って無邪気に入ってったら、待ってましたとばかりに質問攻めにされて英語力もないのにエラい目に遭うことは間違いないのでやめておいた。まあ英語圏じゃオリムピックはSEIKO関連企業だったという伝説があったって良いんじゃないの。誰も傷つかないし、そういう遠くに行くと伝言ゲームで根も葉も生えて話が盛り上がって繁ってくってのも楽しいジャン。

 でもって、この時点で銀ピカ以上になんじゃこりゃなのが、オシュレーションのクランクが文字通りクランク(曲折)してることで、通常の単純クランク方式と違うのは、支点からの距離が違う事でスプール上下の幅が変わるのと、当然それに伴って動かす幅が違えばそのために必要な動力も変わってくるっていうのがあって、このアトラスの場合はスプール上下させるほうの”枝”が短いので、スプールの上下幅は小さく、スプール上下に必要な力は小さく済むはずである。要するに”テコの原理”そのもの。ギアの歯車を介してスプール上下を減速して必要な力を軽減するオシュレーション方式は一般的だけどこういう方式は初めてみた。そして、もう一つ、曲げてるので本体内でクランクの可動位置がギア方向に小さくおさえられていて、スプールの上下幅(≓スプールの幅)が狭い事ともあいまって、リール全体で寸詰まりのコンパクトな設計になっている。お尻に筒が突き出てるけど、その部分を除いたぶった切ったような本体後部までにギアと主軸の先を除いたオシュレーション機構が収まっていて、逆転防止もハンドル軸裏にラチェットの歯を設けてる方式なので全体的にちっこいスピニングリールになってるのである。この方式がオリムピックの独自設計なのかコンパックブランド側の指示なのか、はたまた元ネタがあるのか、いずれにせよ初めて目にする方式で面白い。お尻の筒は同社を代表する大ヒット作「モデル93」シリーズも彷彿とさせて、この時期日本のメーカーは海外製品の模倣の時期にあったはずだけど案外オリム独自の設計だったりして。

 独特のクランク方式も初めて見たけど、初めて目にするといえば、このリール、ネット情報によるとスラストベアリングとかいう、見たことないボールベアリングの一種が使われているらしくて、これは是非ともみておきたいと、ローター外そうとしたらば、またこれが問題発生で”外れない”。

 外れないのはダム社「クイック110」で経験済みで、ローター自体にネジが切ってあってローター軸のギアを固定してローター回すんだろうなというのは、ローター止めてるナットを外してもネジ山がローターに続いている感じにみえるので、予想はできるんだけど、パーツクリーナーで洗浄するために一旦外してたハンドル軸のギアを填め直して、ハンドル軸の穴に先細ペンチを突っ込んでギアの回転を止めて、ローター回そうとするんだけど、ローターが外れるより両ギアがズルズルと回るのが先で外れてくれない。困ってしまって、元の持ち主であるnorishioさんに助けを求めると、手元にあるもう1台の方はハンドルまで付けた状態でローター回せば外れたとのことで、少なくとも”ハメ殺し”ではなく固着してなければ外せそうではある。1回諦めて全体組み直してあったのを、最低限必要な部分だけ外して、ハンドル残してローター回そうとしたらハンドルが外れて上手くいかなかったけど、クランクが残ってるのをみて、ひょっとしてクランク残したままハンドル軸のギアの穴に棒突っ込んで回したら”つっかえ棒”状態になってギアは回りようがなくなって、ローター回せるのでは?と閃いて試してみたら”ビンゴ”でローター回ってくれて外れた。一安心。
 外してみると、ローターの下から噂のスラストベアリングがおでましになる。あれやね、なんか回転する玉をはめたタンバリンみたいな輪っかを、玉が転がるへこみが設けられたリングでサンドイッチにしてる構造で、なにが普段よく見るボールベアリングと違うんだろうと、簡単にネットでお勉強してみたところ、カチッした金属の枠の中に玉が収まってるボールベアリングとは、横というか側面が空いてるところが大きな違いで、挟みつける力加減で適切な回転の軽さとかに調整できるようになっているようだ。

 回転を締め付けで調整するという点では、「ミッチェル408」とか触ったことのある機種では「アルチェード2CS」にも入ってた、開放式で外すと玉が転がり落ちてしまうタイプのベアリングに似てるけど、このスラストベアリングでは玉が転がり落ちないように枠でまとめている。なかなか珍しいベアリング方式で、色々と変わった個性的なリールだなと思う。

 ちなみに、ベアリングのはまってる横にチョコンと突き出してるのはベールリターンのための”蹴飛ばし”。

 という感じで、ローター外すのに苦戦したけど、でっかいCクリップではめ殺しっぽくなってる逆転防止の樹脂性オンオフスイッチは特に変わった構造でもなさそうなので今回放置したけど、ほかは無事分解できて、透明で部品の様子がよく見えるので最近気にいり始めている「ABU純正グリス」でベアリングにもグッチョリ、ギアにも当然グッチョリで仕上げた。小型機ならいいけど、PENNの大型機をこのグリスでいつものようにグリス漬けにしたら、ワシ老後の資金が心配になるな。まあそんな感じで仕上げたんだけど、ベアリングの締め付け具合がやっぱりコツがいる感じで、最初キッチリローターで挟んで組んだら強すぎたようで回転重く、仕切り直しでちょっとユルいかなというぐらいにローターはしておいて、ナットでしっかり留めたら正解だったようで軽やかにクルクル回ってくれるようになった。ナットは最初緩み止め剤が付着していたので、実際に使うならネジ用の緩み止め剤を使っておくのがイイのかも。

 さすがに、半世紀を越える昔のこの時代の綺麗な個体を、淡水ならともかく海で使う気には恐れ多くてならんけど、使ったら多分これ普通に魚釣れそうに思う。思った以上にしっかり作られてるリールでちょっと驚きに似た感情を覚えたところ。オリムピックっていうと、後年「マミヤOP」時代にダイワ・シマノに水をあけられてパッとしなかった時のイメージが正直残ってるんだけど、ワシがインスプールに手を出してズブズブと沼に沈む原因の一つになった「トゥルーテンパー727」もしっかりした作りの実用性充分の良いリールだったし、オリムピックってのは日本で一つの時代を築いた偉大な先駆者だったんだなと改めて認識させられたところである。オリムピック「アトラス」興味深くてなかなかに素晴らしいリールでした。norishioさんありがとうネ。

 でもって、気がつくとこれで我が家に、3機種「アトラス」が揃ったわけで、せっかくなので並べて記念写真パチリ。

 写真でもオリムピック「アトラス」の寸詰まった感じが分かるんじゃないでしょうか?あと、右端の「アトラスⅢ」で200g切るぐらいとかなりの小型機なんだけど、他の2台もさらに小さいかもってぐらいに可愛い大きさのリールで、1950年代の昔から、こういう小さく”精巧”なモノを作らせると日本の技術者はやっぱりやりおるんだなと感慨深い。

 ということで、今年1発目の”スピニング熱”ネタはいきなり筆が乗って書きまくっておりますが、実はこのあとに控えてるネタが結構あったりして、今年もスピニング熱の症状はぜんぜんおさまっちょらん感じで、先行きが危ぶまれるのであった。

 ということで、リール好きの沼の住民の皆様、今年もボチボチと書いていきますので旧年同様ご贔屓に。この記事最後まで読んじゃってるような人は、もう沼から抜け出せない運命だと思うので、一緒に沼に沈んで仲良くやりましょうね。

10 件のコメント:

  1. アトラスの件、濃厚なレビューありがとうございました。

    初代、2代目、3代目と歴代アトラスが揃った画像は壮観ですね。
    どういった経緯でオリムピックから大森に名前を残したまま移管していったのか、コンパック連合がどう解散していったのか当時の背景が気になります。

    ドラグに関して、自分も分解していなかったのですが、中身がフェルトだったのですね。
    どうりでやけに効きが良い思ってました。
    1950年台の発売初頭からフェルトだったとすると、ひょっとして最古(もしくは最古に近い)フェルトワッシャードラグ搭載のスピニングになるのではないでしょうか?
    大森がフェルトワッシャーを最初に搭載したモデルが分からないので何とも言えませんし、他の海外勢ですでに採用実績があったのかもですが…

    我が家にある後発オリムスピニングのシャルマンだと、ドラグワッシャが皮っぽい謎素材になっていてドラグ性能が悲惨なので、それより前のアトラスも似たような素材だと決めつけていました。
    オリムピック自体が、リール屋というより釣り具の総合商社的側面があるので、もしかしたらアトラスの製造元とシャルマン等の後発組の製造元は違うのかもしれません。

    他に同年代のオリムリールとしてモデル85を所有しています。
    これはイタリア、コプテスMASCOTTE(初期型オービス100)のほぼコピー製品になるのですが、モデル85の完成度、工作精度はあまりよくないです。
    ギアだけは悪くないように見えるのですが、各部のネジ、逆転防止機構、ベイル周りろう付け部など細かい部分が明らかに雑で、とてもアトラス モデル89に近い年代の同ブランドのリールとは思えないです。
    こちらも含めて、もしかしたらオリムピックリールには複数の製造元があるような気がしてきました。

    でもオリムピックの出自が植野精工ならやはりリールは自前な気が…

    あまり興味のなかったモデル93あたりも機会があれば手を出してみて、オリムピックスピニング史を探ってみたいと思います。

    ちなみアトラス89の独自路線な点としては、普通のリールとはローターの回転方向が逆なことも挙げられます。
    自分の知る限りこの回転方向のリールは左利き専用の右ハンドルミッチェルくらいでしょうか?

    左ハンドルのアトラスでこの向きにローターが回る理由も謎です。

    とっちらかったコメントになってしまってすみません。
    次回の洋モノの更新、楽しみにしております。

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    1. norishioさん こんばんは

       楽しんでいただけたなら何よりです。

       しかし、逆回転ローターだったとは、気付けよオレ!って感じです。使ったらっていうかライン巻いたら気付くんでしょうけどね。
       本当はリールの記事書くなら使って魚釣って書くべきかもしれませんが、なかなか貴重な個体だと海には連れていきにくいです。

       オリムピックが製造元複数あるんじゃないかというのは私も疑いました。同時期だと思うトゥルーテンパー727とエメラルド350だと、後者が明らかに雑な印象を受けました。トゥルーテンパーもドラグパッドは皮っぽい謎素材でしたけどね。
       本当のところはどうなのか?マミヤOPは竿メーカーとして残ってるらしいですが、古い話が分かる人はもういないんでしょうね。
       あれこれ想像して楽しむしかなさそうです。

       逆回転ローターはミッチェル300がそうじゃなかったかしら?ABUカーディナル800系という怪作もあったような。いずれにせよなんでアトラス逆回転にしたのか謎ですね。

       洋物、一気に5台記事にしようとしてここ3日ぐらいどこの機械工や!っていうぐらいに爪を機械油で黒くしながらシコシコ分解清掃してました。5台分だと写真がとっちらかった収拾つかない感じになってきてまとめるのに苦労しそうですが、今週末目標に書いてみたいと思います。お楽しみに。

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  2. ナマジさん、連日の作業お疲れ様です。

     お腹いっぱいになりました。細部まで整理してまとめられてて、プリンみたいなかわいいリールに煮詰めたカラメルやらファットスプレッドやら濃密ハイカロリーなレビューありがとうございます。おかげさまで解消不能でありましたリール太りが栄養と教養で増強されそうです。

     ミッチェル300の逆回転はハーフベールはこうしたら使いやすいだろうという考えがあってなのでしょうか。その習作からスピニング入門した技術者に回転方向に固定観念がない方がいてアトラスを担当したとかありそうですね。

     オリム製造元複数説面白いですね。
    リョービ製はありますし、大森もオリムの下請けっだったのではと疑える部分が見えたり相互的なものも感じられたりで、見えざる数社で仕事を割り振ったり乱発したり外注したり、オリムピックの場合ありそうですね。
     私の師匠(釣りはしない)がオリムの関西での代理店であった大阪漁具に50年ほど前に空調関係で出入りしていまして、現在は貿易のイメージですが当時はメーカーという雰囲気で、ここがオリム本部だと思うほど本格的に試作等していたらしいです。大阪漁具自身のブランドがあったかも分かりませんが、そういうところで設計されたものがオリムピック名で生産されたりもあったでしょう。
    師匠はオリムピックの大元は大阪漁具だと思っていたので、おそらくその場にあったのはオリム製として作ってるものばかりだったのかもしれません。

     一方、合併前のダイワや稲村でも、同じメーカーの物とは思えない製品間の差異があります。ダイワの場合一機種につき一人の設計者が最初から最後まで一貫して開発するらしく、それが業界で昔から普通のことならモノによってまるで違うのもわかる気がします。現在それでも統一感があるのは、機構のブランド化や○○デザインなど今の事情があってのことでしょう。

     
     ねじ込みローター私も正月に回らず焦りました。自転車の上等なブレーキに入ってるようなまっ平らな受け面のスラストベアリングのやつです。アルチェドとかのは自転車のホイールハブ同様でカップアンドコーンっていうのでしょうか。
    親切にとっかかりなど作っておらず最終的にあきらめてナットを締めた際手ごたえがあり、緩めるとくっついて動きました。
     そのリールはロディ―なのですが明らかに稲村らしくない雰囲気で、眺めていたら突然小声で、「私、ダイワなんです。わかるでしょ」
    海外のマニアのロディ―はダイワ製というのが一部合ってたんだなと。


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    1. レクエル堂さん おはようございます

       300の逆回転はハーフベール由来ってのはナルホドです。確かに開いたハーフベールがライン拾って指に持ってくるには逆回転の方が自然。

       同じメーカーブランドでも、下請けやら相互の乗り入れやらはわりとあったんでしょうね。大森とオリムピックの同時代のギアは似てると思ってましたが、影響があっただけじゃなく下請けもあったというのもたしかに言われるとあるかもなと思います。

       今のシマノとかでも国内で作ってる高級機種と、マレーシア工場で作ってるのは、見る人が見れば違うのかもしれません。私はマレーシア製のナビの方が日本で作ったツインパより良くできてると苦笑しましたが。

       あれこれ想像しながらリールいじってると確かにリールが語り始めるのを聞くような気がして、当分”スピニング熱”は下がりそうにありません。困ったものです。

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    2.  先日入れさせていただいたコメントは深夜のノリで寝ぼけながら書いたものでまとまりなく失礼しました。
       
       大森はオリムの下請けから始まったのかもの話は、ごく初期のものに形状や処理に匂いがする程度に感じているだけで自信をもって言えるほどではないです。
      ナマジさんが似てると思った箇所のこと教えていただけないでしょうか。

       確かに同じ会社でも事業所による違いがあるということも考えられますね。極端な例に富士重工とか。

       スピニング熱とかの菌は風邪系統とは違い、梅毒みたいに一生保菌するタイプみたいですね。私は学生の頃タックルベリーのワゴンから種をもらい、3年ほど踊り狂ったあと数年穏やかにしていましたが、去年釣病の症状につられて炎症を起こし一度平穏の気配があり期待しましたが、聞こえてはいけないものが聞こえるこの現状です。

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    3.  私がオリムピックのリールが大森製に似てるなと感じたのは、トゥルーテンパー727で、ハイポイドフェースギアに単純クランク方式のオシュレーション、ピニオン直上のストッパーというのが大森っぽいと思いました。
       当時の日本製リールの流行だったと言えばそれまでかもしれません。ハイポイドフェースギアは大森が主に開発したと言われていますが、同じような時期に他のメーカーも導入できているのは単に真似したというより、下請けなり技術協力なりの繋がりがあったのかもな、と根拠は無いですが漠然と感じています。

       今日も釣り自粛中につき、古リールの整備中で、ドラグパッドが革製ですでにペッタンコになってて、滑りはそこそこ悪くない感じですが調整幅がピンポイントな感じで狭くなってしまってるので、ドラグパッドを自作するしかないかなと苦戦しているところでした。

       ステイホームはスピニング熱には良くないですね。

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    4.  ありがとうございます。
      ちょうど727最近妄想の種にパソコンの手前に転がしてます。仰るとおり確かにオリムピックらしくない大森風な感じがしますね。コンパックに出していて埼玉で近いこともあり交わらなかったとしたら不自然ですしね。

       自転車部品の話ですが、取引にかかわらず、堺に乱立したメーカーそれぞれ非公式に人間の親密なつながりがあり情報交換等していたという噂があります。ほかにシマノが変速機で先行していた真栄田の研究資料をかなり参考にしたなどの事を思い出しました。

       モデル81とアトラスのほかにオリムピックに左ハンドル逆回転ローターがあるのを思い出しました。SEIKI 940と言って76年ごろの多分輸出専用品です。

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  3. ナマジさん、こんばんは。

     返信ありがとうございます。
    逆回転ローターには超大御所のミッチェル300がいましたね。
    それにカーディナル800も…竹中先生のHPに特設開発秘話があるほどのリールですが完全に失念しておりました。

     他のオリムリールでもトゥルーテンパーとエメラルドにて、製造元が違うことが疑われるほどの差があるのですね。
    正直、その年代のオリムリールはシャルマンとミニベストを履修して、後は似たようなものかとスルーしておりました。
    他のモデルもいつかは実機を弄りたいものです。


     レクエル堂さんも大変勉強になる補足情報や解説ありがとうございます。
    お二人とも恐ろしく高カロリーな文章を書かれるので持病が悪化しそうです。

     オリムピック モデル81にてミッチェル300のコピーからリール作りを始めた技術者が、アトラスの逆回転ローターを設計した説はなるほどありえそうですね。

     他にもまさかオリムピック製品に、大阪漁具がそれほどがっつり関わっているとは思いもしませんでした。
    大阪漁具をはじめ、大橋漁具(しもつけ)、谷山商事(バレーヒル)、つねみ、魚矢など思いつく範囲で現代における釣具問屋、商社兼メーカー的な会社のHPを見ると、どこも昭和の初期、中期からの創業。
    これらの企業がどのような事業展開を行ってきたのか、業界人でもなければ分からないでしょうが、きっと当時の何かしらの釣具製品や企画に裏から関わっているのでしょうね。

    複雑怪奇な業界史を企業主観ではなく客観的に紐解いてくれるような情報ベースが存在したら良いのですが…

     最近、私がNFT関連の情報を調べている際に、下記URLの面白いHPを見つけました。
    新興の釣り具メーカー「SHIMANO」さんの製品史がかなり詳しく記載されていて非常に興味深い内容でした。
    もし興味がありましたら是非、ナマジさん、レクエル堂さんにも見てほしいです。

    https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=6870&query=&class=&d=all&page=4

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    1. norishioさん、ありがとうございます。

       社史という刷られても流通しない情報を研究者を介してでも見られるのは貴重ですね。やはりそこに当たってまとめる力はさすが研究機関というものでしょうか。内部からのはっきりした情報を吟味してあげてくれてるのは価値が大きいですね。

       業界人といえば、ロシアの業界紙や雑誌の方らしいバリチェフ氏のサイトがおもしろいです。http://balichev.com クロームで翻訳をかけて読むのですが、竹中先生のような分解しての解説のほか、系統を追ってその世界の情報と共にまとめられています。
      ヨーロッパとアジアの間なので、客観的で遠すぎない立ち位置で書かれているように感じます。
       私はシェイクスピアと大森の知られざる関係をここのアンビデックスの記事で知って泣き崩れました。あああ!大森! orz

       日本でも業界紙はあるらしいのですが、何十年も前の大量に出回ったわけでもないもので知りたいピンスポットを得るのは到底不可能でしょうか。

       師匠は古物商で不用品整理もしている関係で付き合いある廃品業者が受けたオフトの倒産現場にも入ったのですが、時間が限られており持ち出せるものも少なく釣りの知識もなくで、聞き出せた話はわずかでした。大阪漁具の話も正確かは分かりません。

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    2. norishioさん レクエル堂さん おはようございます

       コメント欄が濃い!カロリー高すぎ!!

       私は、書くのも好きで楽しんで(ちょっと苦しいこともある)書いてますが、そこから話題が広がってより深くどっかに行きそうな勢いの展開に毎朝深く満足してます。感謝!

       ロシアのサイト、大森の記事だけ読んだのですがクソ面白いですね。やっぱりアウトスプールのマイクロセブン(アンビデックス)はシンプルで堅牢でロシア人好みなんだなと面白いです。ワシと好み一緒や。あと、英語名アンビデックスの意味と、左右両用の最初のリールかは別におくとして、それを謳って売り出されたのは英国の元祖「アンビデックス」で良さそうだなとちょっとスッキリしました。
       このサイトはあちこちさまよってみる必要ありそうですね。
       シマノ製品史のほうも要チェックだな。

       コメント欄がむしろ”本番”という様相を呈してきてますが、負けじと書いております。明日投下予定のネタもスピニング熱ネタですのでお楽しみに。
       

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  1. 2022年3月20日日曜日

手を加えて使う

 立ち込んでシーバス狙う季節になってきたんだけど、昨年履きつぶしたのでウェーディングシューズ買い直そうとしたら、今後の主力として期待していた、パズデザインズのキャンバス地のウェーディングシューズがあっさりカタログ落ちしてしまったのには落胆を隠せない。サイズもLで中敷き薄いのに変えたらピッタリで歩きやすく、値段も安めで、ちゃんとしたメーカー品だから入手も安定して可能だと思ってたのにこの仕打ち。ひどいっ!

 キャンバス地のウェーディングシューズって今時流行らんのだろうか?多少耐久性に劣るとしても、軽くて携行性が良くて、値段が安いっていうのは良いと思うのだけど、耐久性が違うって言っても、倍も違わんだろうから値段相応の働きはしてくれていると思ってるけど、なくなってしまったものはどうしようもない。

 まあワシ、道具いじるの好きなので道具の修繕とかはそれ程苦じゃない。

 ということで、次の候補を探さねばならんのだけど、それまでもたせねばならんので、右足外側がパックリ割れたのを、革の端布でパッチを当てて、端の何カ所かをPEラインで縫い止めつつ、グチャッと「コニシのSU」で接着しておいた。これで今年中くらいは持ってくれると信じて当座を凌ぎつつ、次の候補を選ばねばならん。わりとお世話になっている”プロックス”のが安くて良いんだけど、レビューを読むと、「2回使用でソールが剥げた」とかの不評も目に付くので、とりあえず中古で買ってみて様子見てみたい。幅広で”外反母趾”的には優しそうな感じはする。

 それでもダメなら、パズデザインズは足の形的なところは大丈夫そうなので、清水の舞台から飛び降りて、ちょっと良いのを買ってしまうか?まあボチボチ考えていこう。


 最近、もう一つ釣り具関係で手を入れたのが、ボロ個体を整備し実戦投入以来、激渋の中でも1匹ゲットとかでボウズ無しの快釣を続けていた「マイクロセブンC1」なんだけど、ルアー投げてる分には全く問題生じてなかったんだけど、カマスの切り身とハリのみの重さで自然な落とし込みで食わせる、アジ狙い身餌フカセ釣りで、ラインがフケた状態で巻き取ると、スプールではなくドラグノブの上部にラインを巻いてしまうことが2度ほどあった。

 まあこんなモンは、2度あることは3度ある前に対策しておけ、ッテ話でドラグノブ上部の巻き付く場所を、エポキシ盛って引っかかりがないようにして、巻き付かないように調整。以降、3度目はない。

 このリールに限らず、ワンタッチのポチッと押すところとか、ドラグノブのエンブレムの袴部分とか巻き付く余地があると、ユルく巻き込んだときに巻いてしまって、逆転させて丁寧に外さないと絡んで結び目できてしまったりするので、ラインを巻くときは張りを持たせて巻くってのが基本ではあるけど、巻き付くところを覆うなり段差を埋めるなりして処理しておくとモアベターよ。


 ってな感じて、魚釣ってて「この道具もうちょいこうすればいいのに?」「壊れたけど、ここをこう修繕すればまだ使える」とかいうのは、ワシのような道具いじる釣り人なら日々の釣りの中で出会いがちなものであり、まあその度にアレコレ考えて手を加えて使うのは、お金が節約できるという身も蓋もない実利面のほかに、道具を直して愛着持って使えるという、楽しさの面でも好ましいと思っちょります。皆さん道具は大事に使いましょう。大事にして良い状態に保てている道具は良い釣り楽しい釣りにつながるってワシャ思うんじゃ。

2 件のコメント:

  1. 浜酔人
    ご無沙汰しております。
    シューグーってご存知ですか?
    簡単にご説明すると、ウルトラハードな
    コーキング剤脳ような物で
    靴の補修には最高です。
    お値段もハードですが、、、

    フェルト底、サンダル底、革靴底
    にベタベタと塗ってます。


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    1. 浜酔人さん おはようございます

       知りませんでした。靴の修理には昔から使われてる定番品のようですね。
       調べたら同じような未加硫ゴム系の接着剤は百均でも手に入るようで、試してみようと思います。本家シューグーもハードなお値段ですが、愛用のコニシSUもなかなかのお値段なので百均で買えるならありがたいです。

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(2022.04)



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