仕方なかったんじゃぁー!欲しかったんじゃー!!
いつものことでございます。
でも皆さん聞いてください、最近大森製作所謹製のステキなスピニングがとってもお安くって、買わなきゃ損損って感じなんですのよ。
上段左から、マイクロセブンCS(落札1100円+送料660円、以下同様)、ダイヤモンドキングミニ(1200+940)、キャリアーⅡNo.1(1500+520)、マイコン301TB(1000+880)、マイクロ7No.2(2300+660)って、一番はりこんだアウトスプールのマイクロセブンで3千円以下、他のに至っては軒並み落札価格は千円台という、出品者さんが気の毒になる安さ。ワシならこんな値段しかつかんのなら蔵に大事にしまっておく。
ちゅうことで、2月の終わりぐらいから4月までで、大森5台も買ってしまっており、反省の意味も込めて、なぜこうなったのか書き記して今後あやまちを繰り返さないように記録にとどめたい。ってなことはなくて、またどうせ欲しくなって買っちまうんだろうし、もう病に打ち勝とうなんていうのは諦めた。
まあせっかく買ったので「また同じの買ってやがる」な機種もあるけど、初入手の機種もあるのでご紹介したくもあり、3回ぐらいに分けて”大森ネタ”でボチボチ書いてみようかなと思っちょります。
まず、1発目の今回は「ダイヤモンドキングミニ」でございます。人気のない韓国大森時代の高級機種のようだけど、1200円で買えてしまえる不人気ぶりで、こんなもん紹介しても誰が興味あるねん?って感じですが、いつものとおりワシが書きたいので書いちゃいます。
大森製作所のリールのサイズで一番小さいのはミニ(たまにM)となってるやつで、わが家の蔵には「アクションM」があるっちゃあるけど、大きさ的には特にミニではなく、わが家にある大森スピニングで一番小さいのは「タックルオートSS」と「マイクロセブンCS」の”SS”サイズで、ミニサイズってどんなもんだろうと興味はあった。あったんだけど、ミニサイズがある機種って限られていてオートベールとキャリアーぐらいしかあまり見なくて、あとは”S”となってるけどマイクロセブンVSは実質ミニサイズってぐらいかなと。マイクロセブンVSは高値安定で1万円以上していて実質いま大森スピニングで一番値段がつく機種の一つなんじゃないだろうか?っていうぐらいだし、キャリアーも安くなってきたけど5千円は切ってるところ見たことがない、かつミニはあんまり見かけない。オートベールミニは弾数も多くて値段もボロいと3千円台とかのときもあって、買うならオートベールミニかなと思ってたら、不人気韓国時代の機種であんまり知らなかったけど、ダイヤモンドキングにもミニがあるというのを、ネットオークションにかかってるのを見付けて初めて知ったところ。でもってこんなモン値段付かんだろうと1200円で入札しておいたら見事落札とあいなり、わが家にやってきましたとさ。
確かに小っちゃい。冒頭の集合写真で左隣がマイクロセブンCSでこれもかなり小さくて可愛い機種なんだけど、もう一回り小さいのがおわかりいただけるだろうか。巻いてあった古いライン引っぺがして秤に乗せたら149gという超軽量。わが家のスピニングリールではぶっちぎりに軽い。樹脂製ボディーで単純な設計だからここまで軽くできるって話か。ワシ軽いリールに特に必要性を感じない人種だけど、それでもこの軽さはちょっと評価せざるをえない。軽い短竿にあわせて小っちゃい魚釣ってみたくなる。そうなると竿はどんなのが良いかなと、また買いそうになってしまったけど、一旦落ち着いて蔵に100本以上の竿があるんだから適切な竿の1本や2本転がってるだろう?と台帳チェックしたら、昔渓流で使ってたダイワのシルバークリークの5フィートちょいの振り出し渓流ルア-竿があったので、あわせてみたらちょうど良さそう。渓流でスプーンとかの巻きモノの釣りするには竿先がピンピンすぎて弾くので、グラス混でダルいブランクスのフェンウィックイーグルに変更したけど、とりあえずの対象魚として思い浮かぶのが、身餌とハリの重さで沈めてラインでアタリをとるフカセのマアジなので、シャキッとした調子の竿はアワセがビシッと決まりそうで良い塩梅の組み合わせになりそう。
ということで分解して整備に入っていくんだけど、ラインローラーのあたりにちょっと見ただけで問題が2つあることが分かる。一つ目は、ラインローラーとベールアームのあいだにフチ付きのワッシャーがハマっておらず、それらしい部品がベールアームに固定するネジの方に付いていることで、このままだとラインローラーとベールアームの隙間にラインが噛んでしまう。これ組み間違ってるだろ?と、ラインローラー側にフチ付きのワッシャー持って来たらピッタリはまった。問題解決。
もう一点が、上の写真でも分かると思うけど、ベールがタレてきてることで、こうなるとラインローラーが水平ではなくなるのでラインが転がりやすくなって糸ヨレの原因になりかねない。ベールアームの角度がおかしくなってるので、これは以前にもタックルオートSSで修正したことがあるので、同じようにラインローラーが水平になるように直しておこう。樹脂製ベールアームのベールが返ったときにガチャンと当たる部位に穴を開けて、フロロの5号を炙って当たる面を平たくした部品を作り、良い角度でベールアームが止まるように高さ調整して、さっき開けた穴に突っ込んで瞬着で固定、で無事ラインローラー水平確保。ついでに、出品者からの説明によるとベールの返りが悪くて手で返していた、とのことだったのでベールスプリング折れてるんだろうなと思ってたけど、見てみたら折れてなくてベールワイヤーが歪んでるのと、油ぎれが原因のようだったので、分解したときにそのへん調整してからグリスアップして組んだら問題なく回復した。
でもって、分解清掃しつつ気付いたことなどあれこれと。
まずはスプールなんだけど、ワンタッチ式でフェルトのドラグパッドの3階建て方式なのは良いとして、アルミのスプールがガワだけアルミで芯の方の素材は、セラミックなのか樹脂なのか良く分からん素材が使われている。アルミスプールより軽量化するためだと思うけど、この大きさのリールなら素直に樹脂スプールで良いんじゃなかろうかって気がする。まあ同シリーズの他の大きさとの統一感とかもあるんだろう。
まずは本体の樹脂が安っぽい。キャリアーやマイクロセブンCシリーズの”無塗装グラファイト”樹脂の本体は何というか、ペンの第3世代(5500以下)の黒い本体とも相通じるんだけど、樹脂なんだけど割れたり削れたりすると、ちょっとセラミックみたいな質感があって樹脂に炭素繊維とかを添加して強化してあるっていう宣伝文句が納得できる。でも、この時代の日本製リールの多くがそうであったように、このリールの樹脂は安っぽいただのプラスチック感が漂っていて、実際には硝子繊維添加樹脂とかそれなりには丈夫な素材なんだろうけど、柔らかそうに見えてしまう。実際に同時代の韓国製”チープ大森”の「アクションM」は樹脂製のスプールが上下に割れて殉職した。
でもってストッパー。ステンレスの丈夫なのが付いているのは良いんだけど、作りが”打ち抜き”で作った平べったいのを2枚重ねしてあるのが写真でおわかりいただけるだろうか?従前の鉄系っぽい削り出しかなんかで加工した一体成形のものに比べるとちゃちい。ちゃちいのは性能的に問題なければ良いっちゃ良いンだけど、そのせいかローター軸のギアのはめ込み方が、ギアにストッパーとスリーブを填めた上で本体内側から所定位置に入れて、その後ローター側からベアリングを填めるという構造になっていて、これが整備を想定していないのか、ベアリングを外すための取っかかりもなにもなくて、実質ハメ殺しになっている。この位置のベアリングは錆びることがありベアリング錆びても交換すれば使い続けることができるのに、そういったことに配慮がされていない感じで非常に気に入らない点である。
でもって、ベールリターンの蹴飛ばしが本体樹脂そのまま剥き出しで一体成形されたものなのも、イマイチ気にくわないところ。樹脂ボディーで単純設計のキャリアーはここのところに、青銅製のカバーが付いていて、簡易なローターブレーキとして意図しないベール返りを防ぐと共に、樹脂みたいな削れる素材に、何度も何度も当たるハズの内蹴りの金属パーツが当たっても大丈夫なように保護にもなっている。まあ、金属製本体のリールにも付いてるんだけど。
とはいえ、整備して組み上げたこのキングミニ、使えないかというと充分使用には耐えるだろう。実際使ってみようと思って0.8号ナイロン巻いて出番待ちにしている。軽いしすぐに壊れるような作りではないし楽しく釣りはできると思っている。ただ、こいつが当時の韓国大森が高級機種として1万円を超える価格で出してきていたというのを考えると、バカにするな!と思ってしまう。ベアリング数が当時としては多い3個で見た目がなんか白くて銀色で高級そうで、っていうだけでなんら”高級品”たりえる要素がない。こんなもんネジ込みハンドルじゃなくなるけど、同じ韓国大森のポスカの方がまだしっかりした作りだと思う。
単純な設計の軽量小型機を目指してみました、っていうならある程度それは成功しているけど、単純設計軽量小型機なら、キャリーアーミニが145gとかで、ストッパーもしっかりしてるし簡易ローターブレーキも付いているし、本体の樹脂素材も良さそうだしで、もっというなら、定価も半値程度とお安くて、キャリアーミニの完封勝ちである。
だから、大森製作所はなくなってしまったんだ。っていうつもりは毛頭ない。このリールと同じような、もしくはもっとひどいペテンみたいなリールを作ってた会社が今でもリール作ってるし、あまつさえ、今でもペテンみたいなひどいリールに信じられないような値段をつけてたりするし、それをありがたがって買ってる釣り人さえたくさんいる。
今時のアジングとかで使うリールでも軽いのは145gとかだそうである。キャリアーミニってすげーリールだったんだなと改めて思う。今の金属やら樹脂やらの素材の進化や設計技術の進歩を目一杯使って、キャリアーみたいなボールベアリング1個で諸悪の根源”瞬間的逆転防止機構”無しの単純設計のリール作ったら、どれほど軽量、高性能なスピニングができるのだろうか?100g切ったりして?
ただそういった素晴らしいリールが作られることは、当面はないだろう。なぜなら良いものを作れば売れるなんていう単純な世界じゃないからな。ボールベアリングの数が他社製品より少ないと評価されず、値段が安いとありがたがられない、そういうようなバカばっかがウゾウゾしてる市場が釣り具市場だから、何でも作れる凄い技術を持ったメーカーもそういう良いリールは作ることがままならんのである。
ベイトリールはまだ”回転性能”っていう、技術の向上が性能に直結する部分があるので、基本は”丸ABU”の時代でデキてるとはいえ”お金掛けて性能を買う”というのはある程度あり得るとは思う。でもスピニングリールって投げる能力はスプールエッジの形状とか密巻きか綾巻かとかの単純な要素で既に改良する余地は少ないし、巻き取りも別に普通で困らないし、ドラグなんぞ気にいらんかったら素人工作で好きなようにデキるしで、とっくの昔に技術の限界まで来てて性能の進歩なんてほとんどしてなくて、後は巻き心地だの趣味の世界だったり、下手クソでも不具合無く使えるようにとか、ヘビ描いてから一生懸命足描いてるようなことしかやってないように感じる。ドラグがリアドラグになってフロントに戻って、スプールが長くなって短くなって、行ったり来たりしているけど結局特殊な用途に使うのでなければ”普通が一番面倒臭くなくて良い”ってところに戻ってきて終わる。
そういうあっち行ったりこっち行ったりしてるスピニングリールの歴史における、パッと散った徒花であるこのキングミニ。少なくとも何万円も出して今時の小型軽量機買うよりは、気分良く釣りできそうなのは確かだし、ワシにはお似合いなのかなと思ったりもする。最高の逸品でなければ釣りが楽しめないかっていったら、そうじゃないよねって話。釣り場で釣り具が下手クソとかぶらないだけでも使う利点はある。道具見て鼻で笑いやがる輩を釣果でもって泣かせてやれば、さぞ気持ち良いだろう。ワシ性格悪い!
ペテンじみたクソリールを向こうに回すに際して、この程度のリールがむしろちょうど良いんじゃなかろうか?って思ったりするのよね。
○2022年5月7日土曜日ブログ再掲
ガマ磯じゃないけどマークⅡ
ということで、その後継機である「キャリアーマークⅡ」ってどんなリールなのか?っていうのには興味はあったけど、これがなぜか全くの不人気機種であんまり出てこない。まだ国内で製造していた頃の機種のハズで、スプールエッジがウィスカーチタンとかなんとかいう白っぽい素材になってるのが特徴。形状はタックルオートから受け継いでいる三角形のボディーはそのままで、前述のスプールエッジの他はワンタッチスプールになってるのとハンドルもワンタッチ折り畳みウッドノブになってる。ぐらいであんまり変更ないような見た目なんだけど、届いて手にすると「なんか妙に重いな?」という気がする。ちなみに冒頭写真右が愛用してたのとは別個体だけど「キャリアーNo.1」で左がこの春購入した「キャリアーマークⅡNo.1」。
じゃあまあ、重さ量るところから始めてみるかと計量。多少重くてもワシ気にせん人だけど、世間一般ではキャリアーはその”軽さ”が高く評価されているので、皆様に提供する情報としては大事なところだろう。ちなみにペンスピンフィッシャー4300ssは248gで、それでもこのクラスの第4世代までのスピンフィッシャーの中では最軽量である。そう考えるとキャリアーマークⅡは別に重くも何ともない、けど軽くはないな。特に本体軽いのにハンドルが重いのは変に重さを感じるしいただけん。でもこれで釣りできないかっていえば、別に問題なくできるだろうし落札価格1500円っていうのはいくら何でも安すぎてかわいそうに思う。
確かに先代のキャリアーは、色々なリールと比較してみると、削れるところは削りきった、でも使ってて不具合生じるのはある程度消耗品のベールスプリングぐらいっていう無駄のない奇跡的とさえ言える仕上がり具合だと分かる。キャリアーが中古市場で人気が出て再評価されたのは村上某氏が軽いスピニングをと求めた結果、キャリアーSSにたどり着いて使用する姿が各種メディアに露出した結果だろうけど、村上氏の慧眼にはあらためて恐れ入るところで、ワシャ以前にも書いたけどコメットを愛用する友人から大森製作所の名を聞いてキャリアー買ったんだけど、確かに使っててなんの問題もないリールだったけど、当時は正直安いわりに良くできた普通のリールだと思って使ってたぐらいで、後年”スピニング熱”発症してしまい大森方面にも症状が出て色んなリールを実際に手にして分解して釣ってみて、改めてなかなかに普通じゃなくて非凡なスゴいリールだなと再認識したところ。だけど、多少、ごちゃついて方向性とっちらかった感じになってるけどマークⅡもそこまでデキは悪くないと思うし、もうちょっと評価してやっても良いんじゃないかと思う。前回とりあげたキングミニは千円台でも妥当な値段だなと思うけど、マークⅡは3~5千円ぐらいはだしたっても良いかなと。
弾数そんなに多くなくてあんまりネットオークションとかにも出てこないけど、安いし興味があるなら買っても損はないと思うよと、ユルくお薦めしておきたい。
○2022年5月14日土曜日ブログ再掲
やっぱりワシは、このあたりが好きっ!
ワシがしつこくしつこくマイクロセブンCシリーズ(とかPENNスピンフィッシャーやら)をネタに褒めちぎるのは、こういう単純明快なリールが多くの普通の釣り人にとっては良いリールなんですっていうのを世に知らしめて啓蒙し、いつの日か愚にもつかない瞬間逆転防止機構なんていう害悪が載っかってない、適正価格で新品手に入れることができ自分で手入れして長く使える素晴らしいリールが新たに作られる日が来て欲しいからである。何をエラそうにと自分でも思うけど、エラそうに書かないと自分で物事判断できない人種は影響されてくれないようなので、なんかさも権威ある人間の意見であるかのごとくエラそうに書きます。そして、数値化した指標はアホでも理解しやすいので、アホのように数を買っているのである(嘘です後付けの屁理屈です)。
とはいえ、さすがにマイクロセブンCネタも新たに書くようなことは少なくて、今回新たにベールスプリング自作という”名工への道”的な試みについてと、意外なところで関連が出てきたかもなマイコン301TBネタ、ついでにこの春に買った大森5台の最後の1台余らせても仕方ないのでマイクロセブンNo.2ネタもチョイと突っ込んでおこうと思いますので、お暇なかたはどうぞお楽しみください。
今回入手した、マイクロセブンCSはボロかった。ベールスプリングは折れていて、須山スプリングさんで作ってもらおうかと思ったけど、これまでベールスプリングとかの力の掛かるところ以外のバネは自作可能とステンレスワイヤーとかで自作してたんだけど、今回そのベールスプリングも作ってみようと思い立った。きっかけは、PENNのパーツ屋さんである「「MYSTIC REEL PARTS」」さんが海外発送やめてしまったちょっと後ぐらいに、ヤフ○クにPENNのベールスプリングを手曲げで自作して出品している人が現れて、隙間見付けて上手に小遣い稼ぎしてるなと感心しつつ、バネ屋さんに発注するより安めの絶妙な値段設定もあって、これで確保できるなら便利なので1票入れる意味で買ってみた。耐久性とかは使わないと分からないけど、填めてベールの返りとか試した段階の感触では、わりと大丈夫そう。そうなると、材料さえ手に入れば手で曲げて作っても少なくとも当座をしのげるような代物は素人でも作れるのでは?ということを考えてしまい試してみることとした。 ステンレスの硬線があると錆にも強くて良いのかもだけど、太さ見ながら買いたかったので近所のホームセンターで探したら硬鋼線(ピアノ線)しかなかったので、とりあえずコレで行くことにした。太さは0.55ミリのと0.7ミリのを買って、とりあえず細い方が加工しやすいだろうということで、まずは0.55ミリの方で作ってみた。道具は、ルア-自作とかフックハンガー作成とかの際のワイヤー加工のために買った針金加工用のペンチがあるので、それと普通のペンチでグリグリと加工する。針金加工用のペンチは片方が円錐形になってるので、そこにピアノ線を巻き付けるようにしながら適宜挟んで型をつけて、欲しい3回巻きのバネを作成。あとは元のバネの長さに合わせて先を曲げて切ってハイ完成、って感じでこの太さのピアノ線なら特に難しくない。細いのでややベールの返りがおとなしい感じになるけど、ちゃんと閉じるのでとりあえずは使えるようだ。そのうちよく使うであろうC1用にも作成して0.7ミリと0.55ミリで比較して耐久性とか見てみたいところ。綱線なので錆には弱いかもだけど強度的にはそれなりにありそうに思う。多少錆びたり耐久性に乏しかったりしても、自分で作れるのならどのぐらいでダメになるか把握して、定期的に交換してしまうという手も使える。錆が問題になるようなら太さの感じも掴めたしステンレス硬線買い直しても数百円である。強度的には意外と何とかなりそうな気配で、自作で良いなら金もそんなにかからんし、いいかもしれん。とりあえず今回のCS、ベアリングがシャーシャー言ってるのは回していると錆が削れてベアリング復活するという話を読んで(ぬこさんマジっすか?)今度試してみようと放置してあるけど、他はグリス大盛りで整備して快調、いつでも出撃できるよう準備万端にしておいた。
お次は「マイコン301TB」なんだけど、TBシリーズはマイコンシリーズで屈指の完成度だと思うんだけど、全く人気はなく、もう一回書くけど落札価格1000円のゴミスピ価格はどうなのよ?って思う。みんな見る目がなさ過ぎる。何が良いって大森後期の作でスプールエッジが比較的真っ直ぐで、かつ丈夫な金属製、そして今回全バラフルメンテしてて気がついたんだけど、初代マイコンがスプール上下はギアを介して減速なりしているのに対してTBシリーズ単純なハンドル1回転一往復のクランク方式になってて、それゆえ綾巻き系でかつスプール幅狭めの直径大きめでライントラブルが少ない。ラインのヨレをライン出し入れ無しでハンドル逆回転させてとる、という”TB”の名前のもとになってる”ツイストバックシステム”のワケのわからなさが目立つかもしれないけれど、ツイストバックシステムたいした機構ではなくてジャマにはならずで、使ってみるとトラブル少なく投げて巻いての基本性能がしっかりしててなかなかに良くできてるのが分かる。これワシだけの偏見じゃないみたいで大森仲間のSUZUKIさんも1台入手して使ってみて”使えます”と太鼓判押されてたのでやっぱりデキが良いんだと思う。 今回の個体はわが家に来たときには、まともにハンドル回せないぐらいに重くなってたんだけど、毎度のことながら大森スピニングがギアとか逝ってるわきゃなくて、グリスが固まってるだけだろうってことで、全バラフルメンテグリスシーリングを敢行。案の定、スプール外した時点でローター軸のギアの出口のところに茶色くグリスがこびり付いていて、ギアでグリスが固まってるよりローター軸のギアの中で主軸に古いグリスがこびり付いているのが巻きが重い原因のようだった。ここにはいつもグリスじゃなくてオイルを使ってるぐらいで、軸とギアが筒の中の広い面積で接するので粘性の高いグリスよりオイルが良いと思ってる。 でもってついでにツイストバックシステムの解説。さっき書いたように機構は単純で、ローターの下部にあるレバーを入れると、ローター上部のスプール内側に突起が飛び出して、ローターの内側壁面にある出っ張りに引っかかるようになる。使い方としてはラインの端をどこかに固定してヨレの入ってる長さの分引っ張り出す。そしてドラグユルユルにして、ツイストバックシステムをONにして、ラインを張りながらハンドルを逆転させると、ローターが逆回転するけどローターとスプールが固定された状態なのでラインは出て行かず、ローターとスプールがその場でグルグル回る。回るっていうことは糸が縒れるハズなんだけど、その方向が通常の糸が縒れる方向であるドラグ出ながらハンドル正回転で回してできる糸縒れと反対に糸が縒れる。なので縒れていた糸が元に戻るぐらいに逆の縒れを加えてやれば”糸縒がとれる”という機構。ただこれどこまでやればちょうど良く糸縒れが取れるのか加減が分からんというのと、TBシリーズ自体は糸縒れあんまりできない良くできたリールなので、最初面白がって何回か使ったけど、結局ラインが縒れ始めたらライン交換って感じになって使わなくなった。糸縒れとるのには単純な金属棒を投げて適度にラインに張りを持たせて巻いてきて縒を取る”縒り取りスティック”とかいう商品の方がよく使った気がする。投げて巻いてではたいして縒れないリールでもドラグ効かせて走らせまくるとラインはチリチリに縒れる。川だとラインになにもつけずにしばらく流してから指で摘まんでしごきながら巻き取ると縒がとれる、ってのもシーバス釣っててコイにラインチリチリにされたりするとやったことあるけど、時合いならさっさとスプール交換した方がイイよねって話。写真でも分かるようにバネが1個にレバーとスプール引っかける突起の部品が1個と実質3個の部品数でたいして重くも複雑にもなってないのでこの機構は無視して、むしろその他の部分が改良されて良くなったマイコンシリーズだと思って使うと良いとおもっちょります。 分解するときチョイと面倒なので、リアドラグの部分は最初にやっつける。ドラグパッドの枚数について、以前、フロントドラグだと一番底の面はスプール底面かスプールに固定されたワッシャーで始まるので、一番上のドラグパッドを押さえるワッシャーは、軸と同期して回らないものでないと、ドラグノブを回してしまってドラグ値変わってしまいかねないので、必然的に一番下がスプール固定、一番上が軸固定にならなければいけないので、ドラグパッドは1枚、3枚というように奇数になり、逆に軸が回転するリアドラグ方式だと一番上と下のワッシャー等が本体と固定になるので、最低限間に軸と固定のワッシャーが1枚入るドラグパッド2枚等の偶数枚になると書いた。301TBでもまさにそうなっていて、上左から4枚の灰色っぽいのが繊維質の素材にツルツルの樹脂で表面処理したような感じのドラグパッド。一番左のドラグパッドは本体底(=ドラグの天井?)とその下の軸と一緒に回るギザギザ付きの部品に挟まれている。ギザギザは本体内部に隙間を作ってはみ出させてあって、ドラグが効いてるときにこのギザギザで金属部品を弾いてジジジッと鳴る”音だし”になっている。2枚目はその軸と回る音だし部品と本体固定のワッシャーの間、次の3枚目は本体固定と軸固定ワッシャーの間、次の4枚目は軸固定ワッシャーと本体固定ワッシャーの間に挟まれていて、最後のワッシャーはドラグスプリングに適度に押さえつけられているという構成になっている。ドラグパッド4階建てで、実用充分な性能を確保しているけど、ちょっと部品が増えて複雑化しているところは欠点にも数えられるか。 その他の分解作業では、巻くときカリカリ音がしないようにするサイレントカムの位置と入り方を写真に収めるなどして把握しておくのも地味だけど大事で、忘れてると、これどこに組めば良いんだろ?って悩むハメになりかねない。ストッパーの切り替えスイッチから伸びている軸から張り出している白い部品が、ハンドル軸のギアに填められたサイレントカムの伸びた足の部分を押して反対側でストッパーの金具を押したりするので、填める位置は右のようにハンドル軸ギアの直下、サイレントカムから伸びる足の部分は左写真のようにリアドラグ側の隙間に入れてやる。でもって、初代マイコンの全バラでは、リアドラグで軸が回転するということを妨げないために、いろいろとややこしいことになっていて、スプール上下のオシュレーションはギアをハンドル軸のギアに別に設けていて、そのせいで主軸を抜かないとハンドル軸のギアが抜けないんだけど、主軸にオシュレーションカムを止めているCクリップが非常に外しにくく「マイコンSS」を分解したときに二度とごめんこうむると思ったしろものである。
ただ、立派なことに、TBシリーズでは軸が回るリアドラグではあるけど、初代マイコンのように分解しにくくはなっておらず、多少複雑化してはいるけど、分解するのに根性やら技術やらが必要とされるようなことはない程度に整備性が良くなっている。手順をまもってサクサクと分解していけば問題なくバラせる。
まずスプール上下のオシュレーションがクランク方式で本体蓋開けたときにギアの上にあるのでスポッと抜けて、ついでにハンドル軸のギアも抜けるのでオシュレーションカムが剥き出しになって作業がし易い、剥き出しになったオシュレーションカムを軸の上でクルッと裏返してやると、左端の方で”コの字”の部品がカムと、カムを軸に削った溝に填めて固定するハンガー的な部品をまとめているのがわかるので、これをズラして外す。外すと真ん中写真の様にハンガー的な部品をオシュレーションカムから外せるので外して、オシュレーションカム自体も軸から抜けるようになって取り外し完了。って感じになる。リアドラグだと、軸が回転するので軸に穴を開けての”単純クランク方式”はできないというのは理解していて、クランク方式にするならオシュレーションカムにクランクを刺すか填めるかだろうなと思ってたけど、まさにそうなっている。っていうのに実は今回初めて気がついたというお粗末。オシュレーションクランク外さなくてもハンドル軸ギアまで外れればグリス追加とかの整備は十分可能なので、これまで使ってきた2台は全バラしはしてこなかった。今回全バラしして色々分かって面白かった。 気付いたことの一つに、このギアひょっとしてマイクロセブンCシリーズと共通じゃないか?ということがあって、マイクロセブンCシリーズのギアとオシュレーションクランクの形状は他の同時期の機種、キャリアーや初代マイコンとは異なっていて、専用設計の気合いの入ったモノじゃないか?と書いた。初代マイコンより時代的にはマイコンTBシリーズと同じ時期だったっけ?よくわからんけど、初代マイコンはスプール上下は別途歯車設けた方式なのでそもそもクランク方式じゃないし、単純なクランク方式だと軸の穴にピンを刺すのが普通だけど、ピン刺したらリアドラグ方式では軸が回らなくなってドラグとして機能しなくなるので、マイコンと共通はあり得なかったけど、マイコンTBシリーズはオシュレーションは単純クランク方式だけど軸に穴開けてピンを刺す方式ではなく軸の回転は確保しつつ、軸の一定の位置に固定したオシュレーションスライダーから出ている棒にオシュレーションクランクを刺す方式なので、写真の様にどうも共通臭いハンドル軸のギアとクランクになっている。左が今回バラした301TB、右がマイクロセブンC1。実際交換して試してはいないけど、穴の開き方とか同じでわざわざ違う規格ならここまで共通な形にしないだろうから、間違いなさそうだなと思ってます。 でもって、値段つかない機種だから自分で使うこと想定して、青グリスグッチャリ大盛りで仕上げて、外見も拭き上げたら、回転もベールの返りもドラグも快調そのもので、見た目もそれ程キズ腐蝕等なく、とても良い状態に整備できた。放っておけばグリス固まって巻きも重い”ゴミスピ”だったけど、今回の整備でバリバリに使える現役リールに復帰して、しっかりグリス詰め込んだので、今後何十年と実釣可能な状態に復活させることができたと思うので、久しぶりに良い気分である。実際には、使ってた別個体があるので、このリールそのものが使えるというより替えスプールが手に入ったということが大きいかも。今回の個体はキレイめなのでお留守番してもらう方向だろうけど、元々わが家にあった個体の方は、これで実戦投入させやすくなったし、近いうちに使ってみよう。 最後のマイクロセブンNo.2は、需要が少ないせいか珍しい大きさなので落とせたらもうけもので入札しておいたらちょっと競ったけど落札。使う予定も必要性もなく、あえて言うなら蔵に転がってる箱入り新品娘のオートベルNo.2とで替えスプール有り体制が組めるな、ってぐらいで買う必要あったのかは疑問である。でも欲しかったんだもん。しかたなかったんだもん。外蹴りのアウトスプール版マイクロセブン、何度も書いてきたけどかっこいいんだもん。 とにかく、作りはしっかりしてるけど設計は単純。オートベールとかではご自慢である”内蹴り式”の部品が当然無いので、部品数少ない。特に樹脂パーツが、外蹴りの蹴飛ばし部分、ハンドルノブ、ドラグノブ、ストッパースイッチの防水パッキン、ラインローラーのスリーブ、スプールのライン止め、ぐらいで、あとはドラグパッドの硬質フェルトを除くと全て金属でできちょります。硬派な感じです。前の持ち主が丁寧に使ってたのが偲ばれる感じで、キズも少なく、グリスやらオイルは定期的に注していたようで、そのまま使っても良いぐらいに機関快調で、40年から生き残ってきたこのリールを、今後もまた数10年は生き残らせてやらねばと、ガッチリグリス盛って仕上げておきました。
同時代の庶民派「タックル5」も基本的なところは同じでこれも良いリールなんだけど、やっぱり大森製作所の由緒あるリール名”マイクロセブン”を冠するリールは、特別な格好良さがあるようにも思ったりして。
てなかんじで、今回とりあげた3機種(シリーズ)はどれもナマジ推薦のお買い得な大森スピニングなので、興味のある人は是非手に入れて楽しんでみてください。
大森アウトスプールの最終形態、樹脂製で軽いけど適切な補強で丈夫さも確保、ドラグも優秀な”不人気実力派”マイクロセブンCシリーズ
マイコン買うならTBシリーズにしとけ!ギミックよりも基本性能の成熟度の高さ、トラブルの少なさ、使えるリアドラグ機マイコンTBシリーズ。
昭和の時代の硬派なリールをお求めなら、そしてあなたが左手でベールを返して使う釣り人なら、自ずとこのリールがしっくりくるというものでしょう。マイクロセブン(アウトスプール版)。
良いリールは、使って魚釣るのももちろん楽しいけど、いじってるだけで楽しくなっちゃうのよね。だからスピニング熱は治らない。スピニングの沼からは這い上がれない。
それがどうしたっ!楽しいことは多分正しい!!
6 件のコメント:
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ナマジさん、川越物産展・大森特盛丼ありがとうございます。
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大森の機関のタフさはリールとしては確実にオーバースペックですね。私はベリーワゴンに200円で転がってた塗装沸きまくりのバネ折れジャリゴリひん曲がり糸溝付きの外蹴りマイクロセブン3番を蘇生して一軍メンバーにおいています。目隠しして触ったらそんなゾンビみたいなやつだなんて思わないぐらいの生命感でギアブッシュの滅入りもありません。ひどい扱いされてた物でも簡単な手術で棺桶から蘇るなんて大森製品はバケモノ感があります。
釣具界は全力で商売に振らないと生き残れないんですかね。必需品ではなく巨大な市場とまでは行かず、中小ではやっていけなくて大企業になれたとこだけが回していける具合なのでしょうか。目指すはシェア世界征服、縮小するようなら撤退、製造をやめた名門と2強の商売の仕方を考えると大森が残れる道はあったとしても吸収一択のように思えます。自動車産業での中規模メーカーの消失、GM帝国・トヨタ連合やフィアットクライスラーとプジョーシトロエンひとつになります、みたいな独立して生きていける未来はほぼない流れとおなじ感じがします。
常に危うく一見絶好調に見える70年手前でも破産危機でシェイクスピアに従属契約する状態でしたし、大森は優等生な顔をしていながら性格は”破滅型の天才”タイプで長生きできずに伝説になるのがそもそも宿命だったのだと思っています。
当方自転車もしていまして、度々ベアリングの死に目にあうのですが、やけが出たり錆びたりした場合にそのまま回し続けて不具合部分が削れて解消することはなく、逆に小さかったダメージが目に見える傷になって他の玉やレーズ面に転造されていって最後ボコボコになってかじって砕ける進行の仕方をします。きっかけは耐久性が低いグリスに水が多量に侵入したことによる場合が多いです。やはりグリスは信頼性が第一。シャリ感があって解消するのは石化したグリスが転がりを阻害してる場合でしょうか。上のゾンビセブンもベアリング入手まで数か月メインで使用していたのですがゴロゴロだったこともありますが良くなりませんでした。でも、しばらくゴロゴロの感触と共にしていると交換してヌルヌルになると寂しくなるんですね。ゴロゴロロスになった思い出があります。
バネ補修は釣具屋自作コーナー定番のストレートのバネ線を使ってます。小型機のベールスプリングなら0.8すこし大きなアウトスプールなら1.0でしょうか。硬いので短く区切って丸めるというより曲げていきループを作ると見た目は悪いですが作りやすいです。
○2022年6月4日土曜日ブログ再掲
歳をくうと怪我も病気も治りが遅い
春の大森祭りが終わって”大森熱”が治まったかというと、そんなことはなくて、つい先日も大森以外も含めていくつかリール買ってしまっている。ああそうさルアーももろもろ買っているさ。
毎日暇な無職の年寄りなので、朝飯食いつつ1時間近くかけてネットオークションやらを良さげなブツがないかネットリと確認するのが日課となっている。
基本的にリールはもう釣りをする上で必要で買わなければならないものはない。なので買わんでも良いようなものだけど、買ってしまうのが”スピニング熱”という病気の怖いところ。とはいえ何でもかんでも買ってるかといえばそうではなくて、ボロくてワシが買って整備してやらんと人気もなくてゴミの日に出されてしまうようなのを探してたりはする。加えてインスプールの「マイクロセブンDX」については2台わが家にあるけど、2台とも比較的綺麗な個体で塩水で使うのがためらわれるので、ボロい個体が欲しい。とかの、なくても一切困らないけどちょっとだけ欲しい、ぐらいの機種はまだなんぼかある。
って思ってたら、茶色のマイクロセブンDX(=コンパック89アトラスⅢ)と同世代とおもわれる、「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」のボロ個体がオークションに出てきた。えらい名前だけど、この前身がフェースギア機の「スーパー777」でその後継機で大森得意のハイポイドフェースギア搭載なので”デラックス”を冠したようだ。大きさ的にはマイクロセブンDXが大森SSサイズで「デラックススーパー730」がNo.1サイズ、今回落札の「DS777」はNo.2サイズっていうのが大まかな感触だと思う。重量は300グラムぐらいとやや大きめで、ちょうどカーディナルC4の大きさの印象。
インスプールのこの大きさのリールって需要少ないのか、れいによって競りもせず落札価格1500円+送料700円で確保。ボロいとはいえ安すぎる。まあ、ありがたくはある。マイクロセブンDXについては識者の見解として、機械的には素晴らしいけど、実際使うとベール周りにラインが絡みやすかったりして今一つ、との評価も目にする。けど、こういうのって使う状況やら釣り人との相性やらあるハズなので、ぜひ自分で使ってみたかったというのがマイクロセブンDXのボロ個体を狙ってた理由だけど、同世代だけあってこのDS777もローターのカップが平べったくて、ベールアームやらベール反転周りやらがローターの開口部に近いという特徴は一緒で、実釣での検証作業ならシーバスに使えるこの大きさの方がワシ的には好適かもしれん。
というわけで、だいぶ腐蝕が出てるし固着も怖いのでネジだのツマミだのにCRC”666”をぶっかけて、ビニール袋に突っ込んで数日放置の後、全バラしグリスシーリングのフルメンテ敢行。見た目はボロいけど、ベールスプリングも生きてるし、ベアリングも錆びてないようで滑らかに回ってるし、意外に機関は好調。
とりあえず、スプール周りから始める。これがこの大きさなので当然と言えば当然だろうけど「海で使ってました」っていうのが明白な感じに塩にやられている。ナイロンラインを抜いていくと腐蝕して白く粉吹いているし、ドラグノブがこの機種は金属製なんだけど、ごらんのようにメッキがハゲハゲでボロボロになっている。ベールアームの反対側のベールワイヤー固定のネジとスプール裏の”音だし”固定のネジが固着しているし、ベールスプリングも赤さびまみれになっている。固着は無理に外そうとするとねじ切りそうなので放置の方針で行く。清掃グリスアップは何とかなりそうな箇所だし無理はしない。 ただ、それらのある意味”外回り”な部分以外はなんら問題ないようで、サクサク分解していくと、フェルトパッド3階建て方式のドラグ、左サイドカバー内に収まった大森製ハイポイドフェースギア、ハンドル軸のギア裏の逆転防止機構と、ある種お馴染みの機構達が、欠けたり摩耗したりという感じもなく然るべき場所に収まっていて安心する。ローター軸のギアが太くて頼もしい感じだけど、それもそのはず、後でハンドル回して数えたら1:3.5ぐらいの低速ギアで、コリャ力強く巻けそう。丸ミッチェル使ってみて、スプール径大きめの低速ギア機はシーバス釣るには悪くない気がしてるので良いかもしれん。 という感じでサクサクバラしてパーツクリーナーかけてブラシで汚れ落として、グリス大盛りにして組み上げるんだけど、いくつか調整した箇所があって、一つ目はラインローラーで、最初固着してたので固定式かと思ったけど、ちゃんと回転式ででもマイクロセブンDXのような真鍮のスリーブも後年のような樹脂製スリーブも入ってなくて直受けだなと思ってたんだけど、腐蝕で膨らんだ部分が引っかかって回転妨げてる感じなので、両側をヤスリで削って調整したところ、スリーブにはなってないけど芯の方に真鍮らしき金属が鋳込んであるようで(固着してるのかも?)2層になってて、ベール側のステンレスとラインローラーの真鍮で回転時摩擦部が構成されていて、この組み合わせは回転部分に良くあるパターンで丸ABUの”ブロンズベアリング”がまさにそうだと思うけど、さすが大森製作所、丁寧な作りだなと感心した。ちなみに上の層はアルミ?みたいな柔らかそうな金属で削れないのかちょっと心配だけど、ナイロンだと大丈夫だったようだ。回ってれば削れることは少ないのかも。腐蝕削ってやったらクルクルと良く回るようになったので一安心。○2022年8月13日土曜日ブログ再掲
売れなかった丸ミッチェルと競り勝った大森製太鼓リールほか
2022年9月24日土曜日
茶色い三連星
左から大森製作所「デラックススーパー777(以下「DS777」と略)」、「デラックススーパー730(以下「DS730」と略)」、「マイクロセブンDX」で、重さ比較すると実測で、約300g、250g強、200g弱という感じです。
DS777の記事書いたときに「間も埋めたくなってきてスーパーデラックス730もちょっと欲しくなってくるのが”スピニング熱”の怖いとこ。アタイ病気が憎いッ!」といつもの台詞を書いておりましたが、欲しいと思ってしまったら負け!仕方ないね!!買っちゃうよね!?ということでDS730我が家にやってきました。
意外に弾数は少なめの機種で、綺麗な箱入りとか買っても仕方ないので、絶妙にボロ目の個体が出てこないか探してはいた。実はボロいのがネットフリマに出てるのは知ってたけど、六千円弱と、それなりに程度の良いマイクロセブンDXの値段をみて値段設定したみたいで、同じ出品者の他の出品物見ると釣り具は少数で明らかに相場観をおもちでない様子。とはいえ「人気があるのはもう一つ小さい機種で、相場はこの機種では程度も悪いので3000円いくかどうかだとおもうので3000円でどうでしょう?」という交渉は、ワシが交渉受ける側ならいきなりの半額大幅値下げ交渉は頭にくるし、胡散臭くて信じられないしで、あまり出てこない機種で売れた値段調べるのも一苦労なので、相手側の不信感を買うだけだと思って踏み切れないでいた。その状態で気にはなってたけど半年ほど「お気に入り」に登録しつつ放置していただろうか?値段が下がった。さすがにもとの値段では売れないと感じたのだろう。4千円までさげてた。正直キレイめの個体ではないので3千円なら悩まないんだけどな、と思いつつもワシが買って使えるようにしてやるのがお役目かと、勝手に思って値切り無しで4千円送料込みで確保。8月の暑い時期に買ったので、とりあえずネジやらナットやらにCRC666をぶっかけてビニール袋に詰めてしばらく放置。台風が来てやっと時間の取れる涼しい状況が生じて分解清掃とあいなった。2 件のコメント:
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ナマジさん、こんばんは。
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デラックスシリーズのコンプリート&レビュー楽しみにしております。
ついでに1300からニードルベアリングのコンパック・キャデラック4へと足を延ばし、キャデラック3・2・初代と遡上の旅も期待しております。
ゼブコ44は店頭で見つけて気になったものの、スプール径が小さすぎるかもと見送ってました。ちょうどそのタイミングでレビューいただいて手を出そうか悩んでます。
ずっと心地いいアンダースピンがないか探してます。入手した輸出版オリム・ワンタッチは実重量は普通な割に持った感じの重さが酷く、アブ500シリーズは少々いい値段で二の足踏んだり、国産のパチモンも同様の価格帯で手が滑ってくれません。
2022年10月29日土曜日
パソコン椅子探偵ー「OMORI DIAMOND JS2 801」身上調査編ー
タイトルにあるとおり、どうも大森DIAMONDの系譜らしいんだけど、話題になるような機種でもなく、大森ファンにも無視されるような機種である。「どうせ”韓国大森”製の大手メーカーと同じようなしょうもないヤツだろ?」っていう予想はある意味正解である意味誤りである。
その辺りの事情を、パソコン椅子探偵ナマジがネットの海をさまよって集めた情報から推理し、みなさまに明らかにする所存である。
すまないが、関係者(大森沼の)を集めてくれたまえ!
まず外観から見ていこう、といっても逆テーパーロングスプールのどこにでもありそうな1990年代後半ぐらいのデザイン。3号が150m巻ける中型機。尻が妙に出っ張ってるのが特徴と言えば特徴か。スプールに「OMORI 801」のロゴと糸巻き量の表示、本体横には「JS2 DIAMOND」の文字が見て取れる。この時点で、大年の大森ファンは違和感を感じても不思議ではない。往年の大森製作所は自社のローマ字略称としては「OHMORI S.S.」をよく使っていて、”オモリ”ではない。こいつはパチモンなのか?とこの時点では思う。思うんだけど調べてみると、単なるパチモノではなさそうな気配が出てくる。
ネットで検索かけて調べてみると、どうもあまり売れずに中古屋ワゴンセールでたたき売られていたようだけど、箱入りでネットオークションなりに出品されているケースが散見され、もう一機種小型の「JS2 701」があったらしいという情報と共に、箱書きから製造元が判明した。
「大森(中国)有限公司」という香港の製造元で、企画自体は日本の「大森ジャパンサービス」という神奈川県茅ヶ崎市にあった業者の主導のよう。その住所は現在どうなってるかグーグルマップ&ストリートビューで調べてみると、すでに大森ジャパンサービスではなくなっているようで歯医者さんになっていた。
かつ、ネットフリマに当時のステッカーが出品されていて「SINCE1953 OMORI 801JS」という文字が竿とリールに添えられたデザインになっており、ローマ字表記が”オモリ”になってるとはいえ、ここまで書いてしまえるのは、商標権なり買ってないとさすがにマズそうで、大森製作所は1952年の創業で(微妙なズレは発売開始が53からとかのような気がする)その後70年代ぐらいに良いリール作ってた黄金時代があって、80年代の「マイコン」シリーズ大ヒットがあって、90年代ショボショボと傾きかかって、生産を韓国に移したり、上州屋に身売りしたりしていつの間にやら消滅。って感じだと思ってたけど、90年代後半に上州屋はくだんの「大森ジャパンサービス」に商標権等を売ったか引き継いだかして、「大森ジャパンサービス」としては当時の”今風のリール”をDIAMONDブランドで作って売りさばこうとしたんじゃなかろうか?というのが今回のパソコン椅子探偵ナマジの推理。このへん、商標権とか上州屋の知財管理担当者に電話して「どうなんですかそのへん!!売ってしまったんでしょ!歴史ある”大森DIAMOND”の商標権を2束3文で!!」と問い詰めたい気がするけど、対人関係苦手な引き篭もり気味のワシには無理じゃて。パソコンで検索して分かるのはこの辺が限界。どなたかその辺情報あればれいによってタレコミよろしくです。
でもって我が家に来たからには分解清掃注油なんだけど、正直あんまり気がすすまんくて、夏に買ったリールの一番最後に残ってしまっていた。宅配で送られてきて現物手に取ってハンドル回した瞬間「あっ、これ瞬間的逆転防止機構入ってやがる!」って判明した時点でやる気はガタンと落ちた。逆転レバーが付いてるタイプってことは、方式は違えどもいずれにせよ面倒くせえ機構なのよアレ(逆転機能省略すればクソ単純な設計にはできる)。
まあ放置しておいても仕方あるまいということで、エイヤッとやっつけにかかる。スプールはアルミ製でドラグノブが分解可能なのは好印象。ここはほとんどのメーカーでハメゴロされてる。ドラグパッドも大きな硬質フェルト製の3階建て方式で悪くはなさそう。意外と良かったりしてと思ったのもそこまでで、このあとワシ的に評価できたのはラインローラーにボールベアリングが入ってなくて樹脂製のスリーブが入ってるところぐらいで、あとは”なんだかな~”っていう感じ。ラインローラーのベアリングは入れる必要ないし、入れたら重くなるし錆びるし頭の悪い設計としか思えない。ワシわざわざジュラコン製ブッシュを削って大きさ合わせて換装して430ssgのラインローラーのボールベアリングは外しているぐらい。ちなみにボールベアリング無しで運用しても全く問題は無い。当たり前である。 とりあえずスプールのあとは本体蓋開けるか、って分解し始めてオヤッ?となる。重量感からいって本体アルミかと思ってたら樹脂製でやがる。ちなみに重量測ったら340gと同クラスの金属本体のカーディナルC4とかが300gなのに比べても重い。重けりゃダメって話じゃないし、その分丈夫になってるとかなら良いけど、樹脂製本体、樹脂製ローターなのにネジは全てタップネジで、ベールアームとかの取り付けもタップネジで安っぽい作りになっててどうにもいただけない。じゃあ何が重いのか?っていうと一つは悪評高い共回り式の中心貫通型のワンタッチハンドルが重いんだろう。測る気も失せたけど多分重い。それと、この機種の特徴的なお尻デッカチな形状の部分に何が入ってるかって、位置的にスプール上下のための歯車ぐらいだろうなと思ってたけど、実際にデッカいのが入ってるのを見ると何がしたかったんだ?って疑問に思う。ついでにS字の溝が切られたカムも亜鉛鋳造でデカい。重いって。歯車デカくするのはギア比稼いでスプール上下を減速していわゆる”スローオシュレ-ション”にしたかったのと、ロングスプールでスプール幅が広いので上下動の距離が必要だったんだろう。けど、スプール幅が広くて上下幅が必要なら普通は丸ABUのレベルワインダー(平行巻機構)に使われてるようなクロスギア使うんじゃないの?って思うし、実際にはハンドル2.5回転ぐらいでスプール1往復でそれほど極端な”スロー”でもないし、方式は今時のダイワみたいなS字カム方式なんだけど、ダイワのリールがこんな尻デカになってるのは見た記憶がない。普段ハンドル1回転1往復の単純クランク方式のリールばっか使ってるから、いまいち1:2.5が減速値として遅いのかどうなのかも感覚としてよく分からん。S字じゃないけどカム方式で減速してる4桁スピンフィッシャーはどんなんだったっけ?って4400ssクルクルしてみたらだいたい1:1.5ぐらいの感じだったので、減速できてるっていえばできてるのか?その分軽く巻けてライン放出性が良くなってるのか?実釣で確かめてみないと実際のところは分からんのだろうからそのうち使ってみるか?だれか実際に使った人がいたら、もろもろ含めて感想是非聞きたいところ。でもって、気が進まないけどローターのところに”瞬間的逆転防止機構”が鎮座ましましておられるんだろうから、しかたなくローター外すと頭の中に疑問符が並ぶ。
?????なんじゃこりゃ、マルチポイント方式でローターの内側に歯が切ってあるんか?いやいやいや回して止めて逆転とかクルクルやった時点で、間違いなく瞬間的に止まっててマルチポイント方式は遊びが比較的少ないとはいえ、遊びほぼ0の瞬間的逆転防止機構とは明確に区別できる。瞬間的逆転防止機構は浸水やら気温低下による油の粘度変化で作動しなくなることがあって、誤作動しても最悪急に逆回転掛かって手を怪我するようなことがないように、大型スピニングでは保険的にラチェット方式も付けてあることがあるって聞くけど、レバーやらバネやら何をどういじっても、ローター裏の歯に掛かるようなストッパー的なものは出てこず存在しないので、そういう保険でマルチポイント方式がついてるわけでもない。これ、元々マルチポイント方式のリールのローターの金型をそのまま流用して経費削ってるんだろ?っていうのが真相のようだと推理した。そういえばローター上面にバランス調整でオモリのようなのが固定されているけど、上から2枚目の写真で黒く見えてるこれ、重くもなんともない樹脂製なんである。元の機種では金属製のオモリでバランスとってたのを必要なくなったので樹脂の部品噛ませてあるだけに思う。そういう目で見ていくとベールアームの反対側支持部の部品はここだけ樹脂製じゃなくて金属製なんだけど、それだと今度は行きすぎてベールアーム側の重量が足りんくなったらしく、一番下の写真の様にベールスプリングの下に真鍮の板を何枚かぶち込んで調整している、っていう感じのやっつけ仕事。じゃあ、どこのメーカーのリールの金型流用かなって考えると、当時マルチポイント方式の逆転防止を採用していたのはシマノもあったけど、基本的にはリョービの印象が強い。メタロイヤルしかりサイノスしかり、機種特定できるかなとネットで当時のリョービの機種を見てはみたけど、特定までは至らなかった。ただローターナットの緩み止めにネジを一本入れるのはザウバーとかでも見られたし、上州屋繋がりでもあるしリョービがくさいとパソコン椅子探偵ナマジとしてはにらんでいる。ちなみに「ザウバーVS 2000 Zi」っていうリールが尻デカでひょっとするとその血筋が入っているのかもしれん。
でもって逆転防止は上の写真のニードルローラータイプの一方通行ベアリング(ワンウェイクラッチ)を上の樹脂の歯車でキュッと締めるか緩めるかの方式。下の写真の様にローターの下に鎮座してるけど、当然ながらこの位置は浸水しておかしくないけど防水でも何でもない。こういうアホな設計のリールが幅をきかせてたから、「リールは水道の蛇口からジャバジャバ水をかけてはいけない」とかワケの分からん話になって、スピニングリールに”防水性能”とか水辺で使う道具に、わざわざ新機能として宣伝しなきゃならんのがそもそもおかしいモノを高らかに宣伝文句に謳うようになったんだろうっていうチャンチャラおかしいお話。4桁スピンフィッシャーの逆転防止機構もローター下に入ってて、当然浸水は想定されるけど、ラチェット式は完全水没したところで普通に機能するので錆びない素材選定さえちゃんとしていれば機能的に全く問題ないうえに単純で安上がり。ローター軸のギアの直上、本体内に逆転防止が入ってる機種なら防水性もかなりある。大森オートベール方式しかりカーディナルCシリーズしかり。ローター下に剥き出しで瞬間的逆転防止機構もってくる仕様とか、そういう防水性に乏しいリールを使う人達って、雨の日には釣りに行かないのか?と雨が降ったら喜んでシーバス狙いに行く釣り人としては思ってたけど、たぶん雨の日には釣りに行かないんだろうし、磯で波飛沫をかぶったりもしないんだろう。せいぜい天気の良い休日に防波堤でサビキかチョイ投げぐらいで、サビキもチョイ投げも真面目にやると難しいし馬鹿にしてはいけないと知ってはいるけど、そういう人達は釣れなきゃそれでいいやで難しさに到達するほど釣り込まないだろうし、年に何回か使って道具も使いっぱなしで、であれば耐久性に優れた良品を求める必要などないし、ワゴン売りのイチキュッパー、ニーキュッパーぐらいのリールで、それなりに”今時”っぽい見た目をしてて店頭でクルクル回したときに軽く滑らかに回って遊びもなければそれで満足なんだろう。需要があるから供給があるっていつもの話。防水性という話で言うと、まだローターの下の逆転防止機構はマシな方で、いつも不思議に思ってたのはなんであんなに水が入るラインローラーにボールベアリングが入ってるかな?ということで、あそこは浸水防ぐのはエラい大変。特殊な防水シーリング済みやらセラミック製やらのボールベアリングはクソお高い。錆びないルーロン樹脂系ブッシュなら10個単位で数百円のお値段である。
そういう視点でこのリールを見ると、それなりに”できてる”のが理解できる。回転は滑らかで、ちゃんとガタつきを薄い銅の輪っか状のシムリング二枚で調整してあって、分解してパーツクリーナーで洗浄したらどこからともなくシムリングが現れてあせった。填まりそうな箇所はハンドル軸のギアの両サイドか、スプール上下の歯車の裏かなので、3箇所順に試してみたら、ハンドル軸のギア蓋側のボールベアリングとの間が正解で、それ以外だと明確にハンドル回すと”ギアゴロ感”が生じる。その場所は分解するとき見逃さないだろうと思っていたけど、シューマイ弁当の蓋裏にくっついてしまったシューマイみたいにボールベアリングの裏にくっついてて分解時気付かなかったんだろう。ベールスプリングもコイルグルグル方式で壊れないだろうし、ローター下に浸水させないような晴れの日の釣りなら瞬間的逆転防止機構も不具合起こさないだろうし、”遊び”がないと起こしたベールの位置調整がやりにくいとか玄人衆のような不便を感じるほどの腕もないだろうし、ラインローラーにはボールベアリング入ってないのでそこは錆びる心配もない。分解清掃などしないのならネジは樹脂本体に直接タップネジでなんら問題ないだろう。ドラグはむしろもっとケチって赤いファイバーワッシャー1枚方式とかの方が”ツマミがきちんと締まる”し安く上がったかもだけど、ロングスプール機には普通3階建てのドラグ入れたくなるというものだろう。ただ、それを”大森DIAMOND”の名前でやる意味があったのかって話で、この時代になると当然韓国製やら台湾製、その他アジア各地新興工業国からの安っすい似たような機種はワゴンにぶち込まれてただろうし、国内大手も安い価格帯は生産拠点海外に移したりしつつ、全力で広告も打って売りにきてたはずで、元々このリールがワゴン売りを想定してたのか、もっと高めの価格帯で勝負しようとしてコケてバッタモンとしてワゴン売りになったのか、おそらく後者なんだろうけど、そうであるならなぜこんな当時どこにでもあったような仕様のしょうもないリールにしたんだろうかと疑問でならない。もうとっくの昔に”ダイヤモンドリール”のブランド価値は地に落ちてたはずである。だから上州屋も2束3文で手放したんじゃなかろうか?
ワシが今、”大森DIAMOND”の商標権を手に入れたなら、って頭のおかしい妄想をするなら、以前にも書いたけどマイクロセブンCシリーズの手直しをして、ベールスプリングの強化、スプールエッジ形状の最適化、糸巻き幅とスプール上下幅の一致、ラインローラー形状等調整、ハンドルノブの形状オプションパーツ化、をやりたいところだけど、いかんせんマイクロセブンCシリーズは人気がない。銭の花が咲く目がまるでない。となると狙うは、史上最強級の単純軽量機「キャリアー」を上記と全く同じ手直しをして復刻完全版「キャリアUP」として、もいっちょは大森インスプールの最終形「コメット」のこれまた同様の手直しをベールスプリングはインスプールの場合そのままで良さげなので放置して施した復刻完全版「パーフェクトコメットさん」として、釣り具業界に殴り込みをかけたい。あと大事な事を忘れるところだった。銘板をくっつける接着剤は耐久性に優れたのを使う。これ重要。
などと耄碌したジイサンゆうておりますが、「大森ジャパンサービス」関係者の方でまだ商標権持ってるよ、という方がおられましたら、是非ご連絡を、2束3文で買いたたかせていただきますのでよろしくお願いします。
2022年11月12日土曜日
秋の大森祭り!柿は甘いがリールは渋~い!!
柿食えば、金が無くなり法隆寺
あっ痛い、モノを投げないでください、オッサンだから仕方ないんです。赦してください。
というようなしょうもない枕で始まっております、今日のナマジのブログ、お題は冒頭写真の様に”柿”ではなくて、季節の果物に偽装してレクエル堂さんから送られてきた怪しげなリール達四台。一発で紹介し切れなさそうなので2週にわけてお送りしてみたいと思ってます。ご用とお急ぎでない方はごゆるりとお楽しみくださいませ(レクエル堂サン柿美味しゅうございました!)。
今回、リール4台が我が家に来た経緯は、ちょっと前に当ブログで「大森製作所が、スピニングリール以外にもクローズドフェイスリールや太鼓リールを作っていたらしいというのはどっかで目にした記憶があるんだけど、それらを目にする機会は実物でもネット上でもこれまでなくて、例によって”OEM”という名の下請け仕事で、海外のブランドやらもしかしたらオリムピックとかの国産リールとして売られてたのかなと想像していた。」とボヤいてたところ、レクエル堂さんから「参考に必要でしたら大森のダイレクトリールとスピンキャストをお貸しします。」とのありがたい申し出を受けて、夏場たまってたジャンクリール達の整備を涼しくなってきてやっつけてから、今回お借りすることとあいなりました。改めてレクエル堂サンには感謝申し上げます。ブツは小型スピニングのコンパック「バンタムⅢ」、クローズドフェイスリールのコンパック「クリッパー」、小型ダイレクトリールは紅白ともモデル名はコンパック「モデル33」といずれもコンパックブランドで出ていて、なかなかこれらが大森製作所製だとは気付かないところである。なぜそれが大森製と分かったのかというのはまた後ほどにして、とりあえずあからさまに異形なスピニング「バンタムⅢ」が気になりすぎるので、分解してどんなモノか見ていきたい。
見ていきたいんだけど、その前にまずこのリールの異様な小ささを皆さんにお示ししておきたい。今回の4台のうち後ろの方にうつってるクリッパーはごく普通のサイズ感なんだけど、他の3台は攻めッ攻めに攻めた小型機なのでイマイチ集合写真ではその小ささが伝わってないと思う。右の写真の比較対象の茶色いのは「デラックススーパー730」ではなく、ましてや「デラックススーパー777」でもなく、200gを切る軽量で通産省グッドデザイン賞も受賞の大森を代表するような小型機、茶色い方の北米版名コンパック「89アトラスⅢ」こと「マイクロセブンDX」なのである。マイクロセブンDXはかなりコンパクトで可愛い機種なんだけど、それより二まわりがところ小さく、でもリールが小さいからといって使う人間の手が小さいわけじゃないということから、ハンドルと脚が相対的に長く、脚と反対側に長く突き出した外蹴り式ベールの”蹴飛ばし”も併せて、脚の長い蜘蛛のような異形を感じさせる外見となっている。
そして、このバンタムⅢその重量はなんとライン巻いた状態で実測約124g!ライン抜いたらおそらく120g強しかないというその軽さ、これだけでいかに面白いしろものか伝わるだろうか?
でもって、分解に入る。ドラグは、写真だと見分けがつかないかもだけど、要するに一階建て方式で、ドラグパッドとワッシャーがそのわりに多くみえるのは、実は右から2枚目がバネの代わりの湾曲したワッシャーなのである。丸ABUのハンドルの根元に入ってるやつと似たような機能と言うと分かる人には分かるだろうか。で、右端がバネワッシャーの下に敷いてあるワッシャーで左2番目がフエルト製ドラグパッド、1番左が片側欠いた主軸と同期するワッシャー。という構成なので、欲を言えばバネワッシャーをスプールに固定化して、バネワッシャーの上に底のワッシャー1枚を持って来てこれまたスブールに固定した方が、ドラグパッドの作動時に摩擦する面積が増えて安定するはずだけど、現状でもそれなりにドラグとして機能していて、ドラグ締めていくにつれドラグパッドの接触面積が増えていくというのは案外良かったりして。なににせよドラグというモノがある程度分かった設計になっているのは確か。ドラグがまとものモノが付いているっていうのは大森製の特徴と言って良いのかと。
そしてメチャ軽の要因の一つが、ローター周りで、ローター自体が鋳造じゃなくて薄いアルミ板をいわゆる板金加工したもののようで薄くて軽い。そしてベール関係がベールワイヤーの”バネ的力”を利用して外蹴りで反転する方式で、ベールアームも単純だし、ラインローラーは固定式どころかベールワイヤーの一部でしかない。左写真の様に、ベールアーム部?は斜めに切り込まれた円柱状で、ベールアームは常時ローターを挟むバネっぽく働いていて、投げるときはベールを起こすと写真真ん中のように傾斜の頂点越えて最後のところにきて窪みに填まるようになっていて止まる。ベール反転は脚の逆側の本体から伸びている”蹴飛ばし”がベールワイヤーの糸が掛かるところあたりを蹴っ飛ばして反転する。通常のベールアーム、ラインローラーが担当する機能の多くをベールワイヤー自体が担っていて、あからさまに単純な構造になっている。ベールスプリング、ラインローラーが少なくとも”無し”であり、それらを固定するネジだの支持する構造だのの必要性が生じない。さすがにベールアーム部の円柱のアルミとみられる金属はステンレスっぽいベールワイヤーに削られつつあるように見受けられるけど、素材の選定なり表面加工なりで強度確保するとかしたら、ラインローラーは固定式でも使えないほど糸ヨレ酷くないし、硬質クロームメッキのラインガイドは今でもフライロッドでは使われている程度には丈夫で、糸溝も砂っぽい場所で使うとかじゃなければ掘れないだろうし、軽さに振るならこれはこれでアリかもしれん。とか思うと一度このタイプのベールアームの機種を使ってみたくなって、ちょうどバンタムⅢ含む一山いくらの出物がネットオークションにあったのでマウスが滑ってしまったけど、競り負けて命拾いした。どこに沼は穴を開けて待ち構えてるか分かったモンじゃない。皆様もお気をつけて。
そして、本体をご開帳といくと、これがビックリ玉手箱!ちょっと目を疑ったけど、いくら見てもドライバーでコツコツ叩いてみても、ハンドル軸のギアが黒い樹脂製(芯は真鍮製)です。ありがとうございます。そりゃ軽いわけである。マジかよ?強度的に大丈夫なのか?っていうのはギアに関しては大丈夫だったようでローター軸のギアは真鍮製のかさ歯車同士のベベルギアなんだけど特に摩耗もしてなくて充分滑らかに回ってる(当社比)。ただ、さすがにストッパーは持たなかったようでギア裏に設けられてるんだけど1枚歯が欠けていた。これは使用時ストッパーを切って使っておいて、取り込み時とかハンドルから手を離すときだけストッパーをかける”ミッチェル方式”で使った方が良さげなリールである。でもまあ120gちょいの超小型機に強い糸巻いて堅い竿でガツンと大アワセするわきゃないので、ミッチェル式採用のうえ繊細な釣りを楽しむ分には実釣可能ではなかろうかと思う。だって、ちゃんと糸巻いて投げるのはデキるように作られてるもん。
でここから主軸を抜いてローターを抜いてと思ってたら、スプール上下用のピンが主軸にブッ刺さってて外せず、主軸が抜けないことが判明。構造的にローターにボールベアリングとかが入ってることもなさそうなので、分解ここまでで終了。
でもって、このリールが大森製作所製である根拠は何ぞや?って話になっていくんだけど、今回の4台ともワシ、外見では大森製作所製とは判断つかん。今回のバンタムⅢについては、かろうじてハンドルの形が古い大森っぽいといえばぽい。ハンドル折り畳みじゃない時代の大森スピニングのハンドルは、リール側からハンドル軸のギアの芯の先が出てきててそこにネジが切ってあり、それが収まるハンドルの方には当然雌ネジが切ってあって、その上部がポコッと丸く飛び出している。昔触ったことあるリールでは「スーパー99」とかがそうだった。とはいえその程度の特徴は他のメーカー製のリールでもまま見られるものであり決め手にはならないだろう。ワシも初見で、バンタムⅢは「オリムピック製か?」と思った。事実オリムピック製として紹介しているネットの情報もあった。しかし、決定的な証拠としてレクエル堂さんが海外のサイトで見つけてきたという資料を見せてもらったら、大森製作所の80年代末ぐらいまでの代表的な機種を並べて歴史を振り返る的な、パンフレットかカタログかの抜粋で、その中に、今回お借りした4機種はしっかり発売開始年やらも含めて出てくるのである。大森製作所公式の資料のようなので、大森製作所が製造したリールで間違いないのだろう。ちなみにバンタムⅢは1954年発売。
ただ、色々と周辺情報を総合していくと、単純明快にはいかないような臭いもしてきて、調べれば調べるほど混乱してくる。
ちょうどタイミング良く、TAKE先生がサイトの方で元日吉産業の原氏のお話を紹介していて(2022/10/28の記事)、それを読むと当時力のあったオリムピックは埼玉の小さいリールメーカー各社に下請け仕事を発注していた様子がうかがえる。当然大森製作所もオリムの下請けはしていたとみるのが自然で、例えば、バンタムⅢもオリムピックがコンパックブランドのコマースパシフィック社に収めてた形だけど、実際には孫請けになる大森製作所が作ってた、なんてことがあり得たんじゃなかろうか?って思うし、オリムピックブランドで売ってた「NO.15 HI-STAR」なんていう機種を見ると、大森製作所作成と”大森公式”が書いている、コンパックプランドのバンタムⅢやシエラⅣと形式とか細部とか良く似てて、大森製のリールを「オリムピック」の名の下に売ってたのも当然あったのだろうと思う。大森がオリムのOEMという名の下請けしてたのは”ベルセカ”でもチラッと触れられてたので、どのあたりの機種がそうなんだろうと思ってたけど、ローターが薄いアルミ板金でベールワイヤーがベールアーム・スプリングの役割をするタイプはそれっぽいのではないかという気がしている。他にもあるのかも。
オリムの製品は必ずしも自社工場生産だけじゃなかった。っていうと過去に感じていた、オリムの製品はしっかりしてるのと、そうでもないのと混ざってる。っていう感覚もナルホドナと納得するものがある。ワシが初めて実戦導入したインスプールスピニングである「トゥルーテンパー727」はカチッとしっかりした作りで、ボロかったけどメンテしたら実釣問題ないものだった、でも同時期の「エメラルド350」はイマイチ、カスカスした感触というか個体差もあったのかもだけど、使ってて「大丈夫かこれ?」っていうしっくりこない感触のモノだった。同じところが作ってるにしては違う気がしてたんだけど、気のせいではなくて実際の製造元が違っていたのかもしれない。それは必ずしもオリムピックの方がデキが悪い的な話ではなくて、埼玉の小さいメーカーには大森や日吉のような今でも評価が高いところもあれば、名も残ってないようなショボいところもあったんじゃないだろうか?っていうのが、今回推理でも何でもない、想像というかワシの妄想である。
そのあたり、原氏のお話をまとめた本を企画中なのをTAKE先生サイトで匂わせていたので、当時の現場を見てきた人の語る内容は読まねばなるまいと思っちょります(たのまれてもおらんけど宣伝しておきました)。
とはいえ、分からんからミステリアスな魅力が出てきて、沼にズブズブ沈んで行くっていう側面もあるので、何でもかんでも分かりゃ良いってモノでもないのかもしれない。でも知りたいノ。面倒くせぇぜ複雑なオヤジ心。
2 件のコメント:
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ナマジさん、おはようございます。
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テンション高めで掘り下げて下さり嬉しいです。まさかナマジさんに持ってるやつをレビューいただける時が来るなんて(感涙)。
私は資料の情報を大部分そのまま信じてるんですが、調べられると単純ではない感じなんですね。
しかし下請け説、HI-STARで物証をおさえられてましたか。
私の場合、左巻きシエラと右巻きオリム・ハイスターの酷似とホーネット2のノブが型割まで大森の物と同じ点から設計と部品の共有を疑い、
資料中の名前を伏せられている“第一号機”がコンパックとハリケーンで共にOlympicJapanとフットに浮彫で入っている機種ということで大森製造がごく初期にオリムに供給されていたと思うようになりました。
埼玉リール連合王国は、長い期間協業してた最中ギスギスのピリピリだったんですね。相当うまい事立ち回って大王に潰されずに独立したんでしょうか。
このつながりがあったからフェースギアをオフセットさせる考え方が早く行きわたったんでしょうね。
2022年11月19日土曜日
60年先をいってた”ダイレクトフィネス”(意味不明)
って関係ない長い話から入ったのは、先週からネタにしているお借りした大森4台のうち紅白2台のダイレクトリールが、これもベイトリールといえばそうなんだろうけど、”ベイトフィネス”とかいう概念のなかっただろう大昔にダイレクトリールの単純な構造を生かして、これでもかという軽量・繊細なリールを作っていたので「これはもう”ダイレクトフィネス”とでもいうべき代物だろう?!」って驚愕したので、ベイトフィネスがらみで一席ぶってみました。
この紅白2台のおめでたい感じのダイレクトリールは、大森製作所製1959年発売のコンパック「モデル33」というリール。赤の方はハンドルノブが白でアルミシルバーの方はハンドルノブが赤で、大森製作所にしてはオシャレな見た目というと失礼か? 2台だけ並べてると、大きさよく分からんと思うので、バス釣りに使ってたABUアンバサダー5000(パーミングカップの80年代モデル)と比較してみるとこんな感じ。写真じゃあんまり小さく見えないけど、実際はかなり小型な印象で、それは手にするとさらにその思いが補強されるんです。軽いんです。アンバサダー5000のほうはこの状態で測ると280gぐらい、赤のモデル33は約147gと、半分強の重さしかない。重さしかないけどこのぐらいならまだ常識的な範囲で、小型のダイレクトリールってだけの話なのかもしれない。それでも充分華奢で繊細には思うけど。
ヤバいのは白なんでございます。110g。正直、アルミアルミしててそれもアルミ缶の底ぐらいしか厚さないんじゃないかっていう薄さ繊細さで、いじるの壊しそうで怖かったぐらい。今時の高級フィネス(繊細な釣り)用ベイトリールで130gぐらいのようなので、なんぼ単純な構造のダイレクトリールとはいえクソ軽いのがご理解いただけるだろうか。
何が軽い要素か、比較して見る。スプールがまずアルミ、レベルワインダー(平行巻)のカバーもアルミ、ハンドルの柄もアルミ、極めつけはフット。単純な形だと薄いアルミは強度得られないためだと思うけど、二重円でまさにアルミ缶の底のへっこんだ部分を折り返して平面に収めたような形状にしている。赤い方はこれらに相当する部品はおそらく真鍮とかにクロームメッキだと思う。普通のリールに使われている素材でなんか安心できる。
白のフットはアルミ板曲げ伸ばして板金加工で作ってるよね?って感じだけど、スプールも漏斗を二個作って芯棒と組み合わせたような作りで、漏斗つくってるアルミ屋さんに作り方習いにいってそうな代物。赤い方のが標準仕様で、アルミに置き換えできそうな部分を板金加工で全部アルミにしたってことだろうか?
ギアとかは小っちゃいけど、ダイレクトリールなので極めて単純。スプール軸のギアの細かさには感心する。ハンドル軸のギアはアルミ製で芯に真鍮。なぜか分からんけど、赤は斜めに切ったギアだけど、白は真っ直ぐの歯のギア。なんで変える必要あったのかワシにわ分からん。どなたか分かる人がいたらご教授願います。ブレーキはメカニカルブレーキでスプールの軸を押さえる単純方式のみ。レベルワインダー(平行巻)は丸ABUと一緒のクロスギア方式なので歯車が一個あって歯車の数は計3枚。
回転は、赤の方が手で回した感触では滑らかで良く回る。スプールの重量があるので”はずみ車”的に指で弾いたときに回りやすいってだけで、実際にルアー投げたときにどうなのかは、理屈から言えばスプール軽い白に軍配が上がるはずだけど、このリール達に合わせる竿がまったく見当が付かないので試し投げとかする気にはならんかった。白は下手にぶん回すと壊れるんじゃないかっていうトンガリ方してるので、今回は鑑賞だけにしておくのが無難かなという判断。
白の方は大森製作所としても攻めまくった実験機的・挑戦的モデルだったんじゃないだろうか?「大森にもこんな変態性があったのかと驚かされます。」と持ち主であるレクエル堂さんがメールに書いてたけど、大いにうなずける。「ウチ軽く作れっていわれたらこのぐらい作れます。」って腕を見せつけてる感じだったのだろうか?大森製作所の印象としては、使い込んで塩かぶってボロボロに腐蝕している不燃物手前の状態のリールでも、ギアとかまるで平気でガタが来てるような個体をみたことないぐらい”余裕もってしっかり作ってあって丈夫!”っていう印象だったけど、こんなギリギリを攻めた方向性のも作ってたっていうのは面白い。アメリカ市場向けだろうけど、何に使ってたんだろうか?一般的な米国製のダイレクトリールはデッカいバスプラグを投げてたんだろうけど、そういうリールじゃないよね?って考えるとベイトフィネスでカスタムロッドあしらえて、クラッピーとかマスとか釣ってたんだろうか?むしろこの可愛らしいサイズは氷上に穴開けてウォールアイのアイスフィッシングとかが似合うか?想像力もかき立てられるリールである。
という感じで借り物リール達で二週にわたってお送りしております当ブログ。4台借りたのでもう一台残っております。ぱっと見普通のクローズドフェイスリールで今回ついでに紹介する予定だったんだけど、ワシ的に結構面白かったので、ついでじゃもったいないので次回回しとさせていただきます。引き続きお楽しみに。
2 件のコメント:
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ナマジさん、おはようございます。
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デラックス期のコンパックカタログを見返してみたら33がカタログ落ちせず載ってました。
"A feather-light, sporty reel... tournament-weight handle....."
$5.50 赤アルマイト 重量4オンス=約112g=軽量版?
イラストではフットにオリム製の特徴があり混乱します。
調べたつもりですが再調査です。
解説ではコンパック側も「カリカリ仕様でっせ!」って文句打ってます。
一方ラインキャパは”ナイロンギアのパワフル型”のオリム製44と同じブレイデッド15ポンド100ヤード。
私は分かりませんが、ここで書いてるトーナメントはキャスティング競技なのでしょうか。
モデル33赤はイーベイでも常時出品があるぐらい数がありますが、極まれに出るプラスネジ&湾曲ハンドル六面ナット止め&真鍮板物一体フットのやつはオリム製です。
こうなったらオリム製も身柄確保して取り調べるか…
斜歯ギアの副作用としてスラスト方向に逃げる力が発生します、平歯にしたのはそれ由来の問題でもあったのでしょうか。気が向いたら実投比較してみます。
シンプルに考え直してみると、コンパックには両軸用の竿が無く、スピンキャスト竿に合わせられるクローズドフェーススピニング互換の両軸として企画された可能性もありそうです。その最中に何かに目覚めて攻めたキワモノに仕上がったとか。
バンタムⅢ級に対応するであろう竿、カタログ中に5フィート半ガイド4個の物が記載ありましたが、
教えていただいたキラクや自作で考えようと思います。
2022年11月26日土曜日
反対の逆、それはクルリと裏返る
ということで、お借りしたリールを紹介する、人の褌ネタもこれで最後の第3弾となりました。人様のリールをお借りすることで、買う必要なくリールをいじって楽しめてとても安上がりで助かったんだけど、実はそれが呼び水になって”スピニング熱”がおもいっきりぶり返してしまっていて、現在整備待ちのボロリールが7台、海外からの発送待ちが2台と久しぶりの激しい発作でエラいことに。ブクブクと沈んでおりますそんな沼の底から今日も楽しくお届けいたします。
まあでも、分解していくと”筒状”だったゼブコ「44クラシック」なんかよりは、とっても普通で、アルミのスプールを覆ってるカバーを外すと、ラインを引っかける棒が飛び出すローターがハマってて、ローター外すとスプールが見えて、ドラグはスプールの上に合成皮革製みたいなのが乗っている。このへんの構造は特にゼブコのと変わらないので、クローズドフェイスリールの基本的な仕組みなんだろう。ドラグパッドの乗っているスプールの頭が、なぜか歯車になっていて、ドラグパッドの端の方が歯車のギザギザでちょっと痛んでる感じで、何がしたいのか?やや不明だけど、これは後々の重要な伏線となるので記憶しておいていただきたい。
で、ドラグの方式は、写真一番下の銅製のでっかいEクリップみたいな部品が、ドラグ調整つまみで上下して乗っかってるスプールをドラグパッドに押しつけたり緩めたりする仕組み。普通にドラグは機能する感触。
”蓋”のネジを外していくと、同じ大森製の「マイクロ7DX」なんかと同じように、本体が足の付いた枠とハンドルとギアの入ってる部分と蓋に3分割される。ギアの方式は単純なフェースギア方式で、ネジが一本蓋と本体等を固定すると同時にプッシュボタンの根元が刺さる棒になってるのが上手に兼業させてるなという感じだけど、蓋が上下対称なのといい、ハンドル位置も真ん中で、明らかに剥き出しにしたローター軸のギアの左右どちらから填めても機能しそうである。
じつは、このリールはハンドル蓋ごと左右入れ替えにより左右の交換が可能と事前情報があったので「なるほどこれを反対に付ければ良いだけだな」と左右交換してみた。
結果、飛行機を取り入れた意匠の「クリッパーⅣ」の機種名が背面飛行になってしまってるけど、左右入れ替えできて、もともとは右巻仕様だったのが左巻きにできた。このリール、ストッパーはハンドル軸のギア裏に付いてるんだけど、ストッパーオフと正回転のみ、逆回転のみのストッパーが設けられていて、左ハンドルの時は右ハンドル時の正回転時にストッパーがかかる”逆回転のみ”にハンドル根元のレバーを入れると左ハンドルで正回転でハンドルを回すことができる。ただ、その時はラインが出ていく。
ありゃ?って感じだったけど、単純にギアごとひっくり返したら正回転でローターは逆に回る。なので、最初「左ハンドルにしたら巻くとき逆回転しなきゃならんから巻きにくいじゃん!」って思ったけど、ちょっと考えたらラインを一回引っ張り出して逆巻きに巻き直したら解決。って思いついて人心地ついた。けど、後で写真整理していて「そういうことだったのか!?」とパソコン椅子探偵真実にたどり着いた。
謎は全て解けた!伏線を回収しておかねばである。このリールではドラグパッドが歯車の上に乗っている。ドラグパッド乗せておくだけなら平面が良くて、端をギザギザの歯車にする必要はない。でもこのリールを左右ハンドルを交換したときに、スプールが上下というか裏表同じ形であれば、ひっくり返して逆回転に巻いたスプールとして使えるのである。なので、本来下側にドラグの”音だし”のために設けられている歯車が右巻時には不要だけど上にも付いていたのである。これならラインを逆に巻き直しする必要なく、工程としては①ハンドルを蓋ごと左右交換、②スプールを裏返す、③ストッパーレバーは逆の方に入れる。という感じでロゴはひっくり返るけど右巻から左巻きに交換可能となる。ちょっと「ダムクイック110」のハンドル左右切り換えにも似てるけど、あちらはハンドル軸のギアが斜めに切られているウォームギア方式なのでスプールは逆転しなくてもそのまま使えるのが違いか。
という感じで、このリールは主軸がハンドル軸のギアの真ん中を通るフェースギア方式だけど、左右にハンドル切り換え可能で、そのための小技も仕込んであって面白い機種でした。この時代っていろんな方法が考えられたリールの基礎を固めていった時代だと思うけど、なかなかに工夫がこらされていて、その後左右切り換えなんてのはそれこそ大森製作所が開発に大きく貢献したといわれているハイポイドフェースギアなら、逆転防止とかそのままでハンドルだけ換えればいいようになって、蓋ごと交換方式は消えて無くなった設計だけど。当時の工夫、挑戦する姿勢とかが偲ばれて楽しめました。
って、終わるにはちょっと尺が短いかなという感じもあるので、クローズドフェイスリール周りの小ネタをチョコチョコと。クローズドフェイスリールって、釣り終わってラインをスプールに巻き取って片付けると、次回ラインを引っ張り出すのにカバー外してラインを拾い出さなければならず、意外に面倒臭い。なので、普通は先を8の字結びにするなどして輪っかにしてフットとかにひっかけて巻き込まないようにしてることが多いと思う。ワシも普段そうしてたけど、古いクローズドフェイスリールをいじってたら、そういえば、昔はライン巻き込まないように”キャスティングプラグ”結んでたりしたんだよな。ってジ様は思い出すのじゃ。”キャスティングプラグ”っていうのはゴムカバーで当たっても危険性が少ないようにしたキャスティング競技やキャスティング練習用のオモリで、昔はABUのとかが釣具屋のルア-コーナーには売ってたりしたモノだと遠い目でまたこれも思い出すのじゃ。黄色いのとかね。ゴムで覆ってあるので巻き込んだときにクローズドフェイスリールのライン放出リングにも優しいのもちょうど良かったんだろう。で、ついでに誰かがそのキャスティングプラグには”自動ハリス止め付きヨリモドシ”を付けておくと、仕舞うときにライン結ばなくても良くて手間がなくて良いよ、と紹介してくれてたのを思いだして、キャスティングプラグは持ってないので、手頃なルア-で代用しておいた。コーモラン「パクパク」はとぼけた顔してすすけた色合いも良い塩梅。
でも、わし結構ライン巻き取るときスナップつけたままだったりするのよね。っていう場合は、ふつうにアイにスナップ接続すれば良い。クローズドフェイスリールのリール袋には一個、片方に自動ハリス止めを付けた手頃なルア-を入れておくと良いかなと思っちょります。
でもって、オマケついでにもう一つ小ネタ。ルア-の釣りで使うスナップって結構重要で、意外に良いのを見つけるのに苦労するんだけど、最近スゴく良いのを見つけたので、これまた売れずに廃盤となるとイヤなので勝手に宣伝させてもらっておく。ルア-交換は頻繁にする方なので、スナップは必須だと思ってて、まずは強度面で必要充分に丈夫なのが大事なんだけど、そこは売ってるやつでそれほど酷いのはない。なのでそこそこ太いラインでごっついルアー投げるときは左端のクロススナップ方式のを愛用しているし、クロスしてない普通のでも大きめのはそこそこ安くても丈夫で使えるのが多いので困らないんだけど、シーバス以下メッキとかまでの小型のスナップが悩ましい。初期状態では問題ないんだけど使ってると引っ張られて変形して”コリャダメだろ?”って感じになってしまう。写真の左2列目3列目がアイに通す側じゃなくて軸側に掛けているワイヤーの部分が外れてしまったり間が狭くなってしっかり掛からずユルくなってるのがお分かりだろうか?こうなると強度的に信用できない状態で交換せざるを得ず、なんとかならないかとペンチでか締めてから使ったりしてもダメなときはダメで、結局値が張るけど”溶接スナップ”が最適かなとも思ったけど、ややお高いのよね。まあワシってばルア-を根掛かりとかでなくすのは年に一個二個とかの人なので、気にすんな必要経費だって気もするけど、試しに買ってみたバスディの「ウルトラライトスナップ」というのが抜群に良かった。丈夫で変形もしないし、小さく作られているのでワシの使ってるような古めの竿ならガイドも通るので、現場で老眼で苦労しながらスナップにライン結ばなくて良くてこりゃ助かるわい。右端の二個がそれで右の写真がパッケージ入り新品。買いだめしてます。
良いモノだと思うので、廃盤にならないように皆さん買ってみてくださいとお薦めしておく。
てな感じで、アレコレ書いてきましたが、改めて愛機達を貸してくださったレクエル堂サンには感謝を、ありがとうございました。ちょっとオマケ付けて返させてもらいますのでお楽しみに。
今整備待ちのリール達の多くは、稼動状態に持ち込めるか怪しかったり、そこは端から諦めて、中身覗いてみたいので手に入れたまごうことない”ゴミスピ”とかボロいのが多いので、ちょっと手間食うかもですが、ボチボチと整備進めてブログネタにしようと思っておりますので、お好きな方はしばしお待ちください。
釣りがわりと調子良い時期に入っと思ったらアクシデント発生のうえにスピニング熱も悪化、弱り目に蜂、アタイ病気が憎いっ!っといつもの台詞で締めておこう。
2022年12月10日土曜日
「スーパー7」ってこんなんだったっけ?
まあ、これだけの大型機で大森製となれば丈夫に作ってあって、巻きが重くなってるのぐらいはグリス入れ換えでどうとでもなるし、スプール上下しなくなってるのも、組み間違いとかで正常に作動してないだけだろうと舐めてかかったら、ちょっとどうにもならんかったでござる。
パカッと本体蓋開けると、きったねーグリスが固まった状態でいまいち全体像が掴めないけど、ギアの方式は斜めに歯を切った傘車の”スパイラルベベルギア”で、大型機で力のある巻き上げを可能にする設計意図が見て取れる。でそのローター軸のギアの直下にローター軸の回転を利用する形でウォームギア(スクリューギア?)のグルグルが鎮座していて、ウォームギア機のスピニングとは反対にグルグルがスプール上下(オシュレーション)の歯車を回す形となっている。っていうか機械的にはウォームギア機のスピニングにおける歯車の方を回してグルグルの方に回転を伝える方式は珍しいのかもしれない。普通逆で今回のようにグルグルを回すことによって歯車を回すのは、時間はかかるけど力は強くて、「魔改造の夜」でも電動ドリルの限られた力で重い熊の手刀を持ち上げるのに使ってた。てっいうぐらいでギア比にもよるんだろうけど力強くスプールを上下させるコトができる設計のハズだった。でも、実際にはその力強い機構に耐えうるだけの部品の強度が出せておらず、当初は機能していたのはラインが綺麗に巻かれていたのからも確かだけど、グリスが固まってから巻いたとかかもしれないけれど、写真でもお分かりいただけるように、オシュレーション関係のパーツは歯車は歯が飛びまくり、カムはバキバキにヒビが入って折れまくりで、多分こういう形だったんだろうなと復元したのが写真一番下の列で、設計的にもウォームギアで力が掛かるところの部品に亜鉛鋳造では元から強度が不足していたのかもしれないし、折れて割れて、きったねぇグリスに亜鉛の破片が混ざりまくっているのを見ると、製造工程で温度管理とか失敗してて”す”が入ってしまっていた疑いも強い印象で、現時点ではちょっとした力でボロボロと割れてしまう状態。滑らかに上下させるために白い樹脂製のタイヤを履かせてあるとか、なかなか凝った設計で面白いんだけど、見るも無惨な状況になっていて、こりゃちょっとやそっとでは直しようがない。ナマジガックリ。 でも、いつの日か強度が十分確保できる3Dプリンターとかが利用可能になるまで、整備して腐蝕進まないようにして現状維持で壊れたパーツも可能な範囲で復元をしてから保存しておこう。ということで、引き続き分解清掃。心臓部のギアはなかなか格好いい。ローター軸のギアはステンレスか焼き入れした鉄系で、ベアリングはニードルタイプが入ってるって情報も拾えたけど、コイツには入ってなくて真鍮ブッシュが漢らしい。ローター軸のギアとオシュレーション用のグルグルを合体させて一番上の写真に写ってる主軸が通るパイプに通して、一番下の写真の様にそのパイプはナットで固定。ローター軸のギアとグルグルが回転する遊びを確保しているかたち。でもってハンドル軸のギアは直径デッカい真鍮製ので、残念ながら鉄系の軸が錆か何かで太ってるのか抜けなかったけど、穴が開けてあるところからパーツクリーナーのノズル突っ込んで、グリスと亜鉛の破片を洗い流して青グリス盛り盛り。逆転防止もこのギアの裏に入ってて特に問題なく作動している。本体は今できることはこれぐらいが関の山か。
ドラグは一階建ての単純なもので、ドラグパッドが樹脂製のグリップの良さそうな感触のもので、ドラグとしての性能は後の大森製ほどではないけど、ガッチリ締めて使うことを想定していたのか?いずれにせよドラグノブ内にバネが入ってる今時でも同じようなドラグの方式が、1960年代当初には既にあったということである。ドラグノブ分解できそうな構造だったけどネジが固着していて無理に外すより温存かなとグリスヌリヌリでここも放置。 クソ面白いのはベール周りで、なかなかに凝ってるというか鋭い。まずは右の2枚のベールアーム周りの写真で、見る人が見たら2つ「オオッ!」となる箇所があるだろう。まずは、ラインローラーの下に細いワイヤーで”関門”が設けられていて、ラインをスプールに巻く際に、ラインが緩んだまま巻かれるのを防ぐために、ここで一回軽くしごかれて張りを持ちながらスプールに巻かれることになる。そう、シ○ノが同じような工夫を最近高級機種に導入して、新機軸のようなことを謳っててあちこちでツッコミが入ってたのを沼の底の住人の皆様ならご存じだろう。TAKE先生はそれ「ミッチェルクォーツ」でやってたと指摘してたし、ぬこさんがPENN「スピンフィッシャー4300ss(と430ss)」でもここのところは狭くなっててラインのループを巻き込まない設計になってて、古くからある工夫と書かれていたけど、確かに4300ssのそこは狭き門になってる。ワシの若い頃の愛機だけど言われるまで気付かなかったワシの目は節穴。明確にそれ用のパーツまで用意してるのでは1961年製のこの機種はかなり古い方ではないだろうか?シ○ノさんはどうも古くからある工夫を知ってか知らずか「ウチが開発しました新機構」ってやってることがちょくちょく目について、やや恥ずかしいのでやめた方がイイよと書いておく。スプール裏に直径デカいドラグパッド入れるのとか、4桁スピンフィッシャー「9500ss」にあったぐらいだから80年代にはすでにあった工夫だって。逆に言うと、購買層の目に目新しくうつるような機構をと思ったら、温故知新で古いリールいじって遊ん学んでみてはいかがか?当時の技術や素材の限界で企画倒れにおわった工夫でも現在の技術で手直ししてやれば生かせるものがあるかもよ?
っていう工夫の一つになりえるのが、もう一つのオオッと声が出る箇所。写真2枚目を見てください。これがベールを起こした状態です。はいっ!ベールアームはローターにガッチリ固定というか一体成形、ベールワイヤーのみが反転する仕組みです。昔PENNのベールレス機「スピンフィッシャー706Z」を買ってしげしげと眺めたときに「ベールアームが固定だと壊れにくそう」って思ったんだけど、これそれをあきらかに狙ってます。やはりかなりの力勝負を想定したリールで、多分テストしたらこの形式が一番強かったのではないかと想像してます。インスプールなのもアウトスプールのようにローターの下部、スプールのスカートが下りてくる位置より下からベールアームを立ち上げなくてよいので強度確保に効いてる気もする。で、ラインローラーの固着を外して、滑らかに回るようにいつものように歯磨き粉つけてラインローラーをルーターと輪ゴムで接続して回しつつ、つらつら見てるとラインローラーの上の棒の役目はなんじゃろな?と気になる。ラインが当たる位置でもないしと疑問に思ってたけど、これ単純に”補強”でラインローラーの固定のネジ一本だけでは想定している引っ張り合いのときに歪んでローラー回らなくなるし、下手すりゃここから壊れそう。なので上の方の位置に、ライン巻き取るときの邪魔にならないように両軸リールの横棒みたいに補強を入れているのである。なんともゴツいリールである。
でもって、そのゴツいリールのベール反転のバネがまたゴツい。ベールアームの反対側に樹脂製の蓋に組み込まれた一式がバネと反転機構なんだけど、真ん中のバネ見てください。9巻きも巻いてます。で蓋抜いた左下から伸びてる棒が反転機構のレバー?で本体上部の”蹴飛ばし”がこれを押し上げてベールが戻る仕組み。って仕組みは分かる。蓋外したときに反転機構のバネがポロッと落ちてきて、どこに入ってたのか確認し損ねて焦ったけど、反転機構の棒が刺さってたと構造上すぐ分かる。
分かるんだけど、これがその状態にして元に戻そうとすると、どうやっても上手くいかなくてイーッとなる。何度やっても失敗するので、もうこいつ燃えないゴミの日に出してやろうか?とブチ切れる手前まで行って、なんとか填める方法にたどり着いて一安心。
みなさま、今日憶えていって欲しいのはここです。コンパック「スーパー7」のベール反転バネと反転機構は、写真一番下のように樹脂製の蓋の方に全部くっつけて、反転機構のバネはギュッと縮めた状態でローターの穴にスポッと入れて、それぞれの棒が穴に入るようにグリグリしてねじ込んでやってください。まあ、この機種分解清掃する機会のある人がどれだけいるか分からんけど、そういう人は検索してこのブログにたどり着くはずなので参考にしてください。ちなみにこの方式はこのあたりの年代の大森製大型スピニングには共通して採用されているようなので、別の機種でも同じようなタイプならハメ方も同じだと思います。これまたご参考まで。
っていう感じで、とりあえず一段落したんだけど、もう本当に自分でも嫌になるんだけど「コノ個体をはやく稼動品にもどしたい。」という、それやって使うアテがあるわけでなし、意味が無いだろ?って自分でも思う、思うんだけど病気なんでそう思うといてもたってもいられないのである。部品取りできる個体が他に出てないかと国内ネットオークション、フリーマーケット、中古屋のネット在庫を見てみるも、こんなレアと言えば聞こえは良いけど、需要のない機種そうそう出物があるわけがない。ないけど我慢できんのじゃ~!と最近は見ないようにしていた海外ネットオークションを覗いてみると、同じ名前のではないけど、明らかに同型機で少なくとも形が同じなのでオシュレーション機構は同じ方式だろうと思われる機種が2台売りに出てた。1台はフット折れ1台は一応外見は大丈夫そう。値段はどちらも送料除いて4千円台即決。普通なら折れてない方買うと思うよね。でもそれだと結局稼動しない個体が1台出てくるので気持ち悪いのである。その点足折れ個体は本体はもう捨てるしかないので部品取りに置いておくかもだけど、そいつを稼動品にしたいという謎の欲望からは逃れられる。ただ、亜鉛鋳造の部品がぶっ壊れたのの部品を確保するために同じ時代のものを買うというのは滅茶苦茶”地雷”臭がプンプンなのでだいぶ迷った。奇しくもTAKE先生も前述したミッチェル「クォーツ(米国版名プレシジョン)」でスの入ったギアの個体を何台も買ってしまうという罠にハマっておられたのが脳裏によぎる。ラインローラー手前にラインをしごく工夫のあるリールの亜鉛鋳造部品の不具合。”意味のある偶然の一致”っぽくて非常にイヤな予感がする。
でも、ポチッと買っちゃった。ちょうど届くのはクリスマス前くらいだし、自分へのプレゼント!って寂しい行き遅れOLみたいなことをほざいてますが、このちょっと持ち直したとはいえ円安のなか、あまりにアホと言えばアホ。何せすでに6千円がとこ使ってて、追加で7千円ぐらいぶっ込んで、なんとなく、届いた個体パカッと開けたら亜鉛部品ご臨終で「1万3千円もあったら・・・」という死んだ子の歳を数えなければならん未来に収束するのが避けられるのか、おおいに不安である。不安なので、せっかく船便の送料払うからついでにと、以前から欲しかった部品を確保しつつ、もう1台関係ないリールも買ってしまった。何がどう「不安なので」そうなるのか文脈から読めないところが自分でも恐ろしい。
いつもながらまったくもってほんとうにとことんつくづく、アタイ病気が憎いっ!
まあ金額なんてのはね、他人が決めたようなもんだから、欲しいと思ったらワシには関係ないことなのよね。頭おかしいよね。
2022年12月17日土曜日
デカ大森の魅力
買っちゃいました冒頭写真の機種は大森製作所謹製の「スーパー2000」でこの蓋の形状とかは大森ファンにはなじみ深いのではないだろうか?「マイクロセブンDX」とかに通じる形状で、脚が付いてる本体は左右共通で、どちらかにハンドルとハンドル軸のギアが、反対側にスプール上下のオシューレーション機構関係が入っててアルミ板の蓋で閉じられているパターン。発売は1964年とマイクロセブンDXよりちょい前だけどだいたい同じ時代の機種。
なんであんたそんなモン買ってんねん?って話だけど、説明させてください。いつものことですが説明させてください。前回取りあげたコンパック「スーパー7」は次の展開は博打打った海外からの部品取り用の個体が大平洋渡って我が家に来てからで、まだしばらく後になるだろうってことで、それはそれで粛々とことを運んでいけば良いんだろうけど、なんか勢いついてしまって、大森のゴッツくて力強い大型機をいじってみたい!って思ってしまって、思ったとしても売ってなかったら、あるいは以前触ったことがある「マイコンNo.6」とかなら買わずに済んだんだけど、なんかスーパー7のときに見たようなベールアーム周りの構造が見てとれるこの機種が、ネットフリマに送料込み3,800円で売りに出されていたのを見て、理性では使うアテもないしそもそも右巻でオマエ使えんやろ?っていう話だしで無視しようとするんだけど、感情はもう”欲しい”の1択で言うこと聞いてくれんかった。無視できんかったんじゃ。アタイ病気が憎いっ!
まあ、スプールは共通っぽいスーパー7の後継機的な見た目だし、部品いろいろ共通ならスーパー7の方と融通しあってニコイチなりサンコイチなりになってもまあ着地点としてはアリかなという計算もあって我が家にお迎えいたしましたスーパー2000、800g弱の迫力ボディにウットリしつつ、早速分解清掃に入っていく。
まずはスプール外してドラグ周りから。って分解初めて3階建てのドラグが入ってるの見て違和感が走る。スーパー7はドラグ一階建てだった。これドラグが違ったらスプール互換性無いんじゃなかろうか?って思ってスプール比べてみたら互換性もクソも、ドラグ云々よりそもそも直径若干小さく違っててダメだこりゃ。加えてなんかそれ以上に強烈な違和感があるなと”なんだろう?”ってしげしげ見てて気がついた。ローター逆回転やんけ!ベールアームの向きが当然逆なのが違和感の正体。右巻仕様のリールだから左投げを想定して意図的に変えてるならさすが大森という感じ。正回転ローターの左巻き仕様のもあったのか気になるところだけど、とりあえずスーパー7とはローターも含め異なり新しく金型起こした新機軸の機種のようだ。部品の互換性とかビタイチないんでやんの。 まあしゃあない、気を取り直してドラグ周りを見ていく。ドラグノブ外すと、ノブの中にバネがなくて、ありゃこれだと調整幅出ないんじゃねえの?と思うんだけど、ほじくっていくと3階建てのドラグの下にバネが入ってる。そして、ドラグが良く分かってないリールとお小言を書いたダイワ製「スーパースターNo.2」の時に「ワシこういうことが言いたかったのよ」という設計がされていて、さすが大森!わかってるぅ!!と思いましたとさ。バネの上面にはスプールと同期して回る耳付きワッシャーを入れていて、バネはバネとしては機能するけどスプールと一緒に回るので”ドラグとしては機能しない”というかドラグの仕事を邪魔しない設計。なのでよく見る3階建てのドラグの6枚円盤に加えて1枚耳付きワッシャーが多い7枚の円盤が入ってるのである。ちなみにドラグパッドは革製でカピカピに干からびて堅くなってるので実釣に使うなら交換が望ましいけど、使う予定がないのでとりあえずグリス塗ってそのまま”純正”状態を保存しておくことにした。皮でドラグパッド作ったことないけど加工の難しい素材じゃないし蔵になんぼか端布があるので一回どんなもんか試作してもいいかも。
でもって、本体蓋をパカッと開けると予想どおりスプール上下のオシュレーション機構が入ってるんだけど、これがなかなか面白い。部品がスーパー7で採用されていた亜鉛鋳造だと大型リールの部品としては強度不足がやっぱりあったのか、真鍮と言うより青銅っぽい色合いの素材になってるのも面白いけど、クランクにつながってる歯車っぽい部品がぱっと見ただの円盤で歯が切ってなくて、なんじゃこりゃ?って思って、ハンドル側もパカッと開ける。するってぇと、ギアがローター軸のが傘じゃなくて真鍮の円筒形にグルグルでハンドル軸のギアは綱系の芯を鋳込んだ亜鉛鋳造で平面的な斜め切りの歯車のまさに大森”ハイポイドフェースギア”でちょっと感動するんだけど、それ以上にハンドル軸のギアの芯から延長するように歯車が突き出してて、本体真ん中に開けた穴を貫通してる方式に「ナルホドこの手があったか」と意表を突かれる。オシュレーション用の歯車は3枚目写真の様に歯が内側に向けて切られているちょっと変わった設計のものだった。直径大きくしてスプール上下を減速して巻き上げ時に掛かる力を減らす目的だろうか?良くあるハンドル軸のギアから下にズラした歯車を介して減速オシュレーションになってる方式よりは直径大きいハンドル軸のギアと重なる部分が多くて直径が大きくとれるのは確かだろう。 ローター軸のギアは、ちょっとミッチェルを思わせるような本体のステンレスっぽいパイプに刺さってる設計で、まあ漢らしく、ボールベアリングなしの真鍮ブッシュですよ。ギア比1:3.5ぐらいの低速機で上に書いたように減速オシュレーションなのもあって巻きは特段重くはない。ストッパーはハンドル軸のギア裏にあるこの時代の大森では標準的方式。切り替えレバーが樹脂製じゃなくて真鍮製でこの機種は徹底的に丈夫に作ってる感じ。遊びはそれなりにあるけど、普段はストッパー外しておくという”ミッチェル式”で丸ミッチェル使ってて思うのは、ハンドル握ってるんだから遊びが多少あっても関係ないというか、ハンドル放す必要がある取り込みのときにストッパー効かせれば良いっていうので間に合うということで、逆転の遊びなんぞなんら問題ないのが良く理解できる。何度も書くように瞬間的に止まる利点はシャクりまくる釣りでガチャガチャいわないことぐらいで、デメリットはとにかく種々邪魔くさいのはこれまでしつこく書いてきたとおり。
ベール周りは、前回紹介のスーパー7と同様に巻き取る前にラインの緩みをしごくワイヤーの関門が設けられているのに加えて、なぜか立ち上がったベールアームの角のところにローラーが追加されて、上部の”補強の棒”とは違ってこちらはちゃんと回転している。なぜここに、ローラーが必要だったのか、当然ラインが摩擦で切れないようにだろうけど、この位置にラインって掛かるか?と疑問には思う。でもわざわざ付けたってことは角に擦れて切れたとかがあったからなんだろう。ぶっといナイロンラインだと外側に膨らんであたるとかがあるのだろうか?まあ気にしないでおこう。当然塩水かぶる部分で腐蝕しかかってはいたけど、固着はしておらず、汚れ綺麗にしてラインローラーは良く回るように調整しておいた。今回は整備上手くいって、ちゃんと稼動品に仕上がってすっごく気分が良い。
という感じで、スーパー7の反省を踏まえたのか、スーパー2000はとても頑丈な作りになっていて、ちょっと実戦投入してみたくなるんだけど、右巻なのよねこいつ。グリス盛りつつ組んでる最中の本体の真ん中の板の写真だけど、こちらハンドル軸のギアが入る右側なんだけど、こちらにもオシュレーションの歯車が乗るピンが突き出てて、左巻き版もあったのかもしれない。そのへん確認したくて、以前教えてもらった欧州のシェイクスピア関係法人のサイトから古いカタログとか眺めてスーパー2000に相当する機種がないか、特にその左巻き版の有無を確認しようとしたんだけど、ドンピシャのが見つからなかった。72年カタログの「シェイクスピア2250」が後継機のようでかなり近いけど、ベール反転のバネが入ってるあたりの機構が異なるように見える。それより古いカタログではコンパック版スーパー7的な「キャデラック」が64年カタログにあるけど、その中間っぽいスーパー2000同型機は探しきれなかった。少なくとも左巻き仕様はあるんだろうなたぶん。で、左巻きが出てきたら欲しいと思ったんだけど、よく考えたらむしろさらに進んだ設計のハズの「2250」こそ狙い所なんではないか。ってヤーメーテーオーケ~!!いい加減にしろと我ながら思うのである。既にもう一台部品取り個体が我が家に大平洋を越えてくることは確定済みで、これ以上”デカ大森”の重石で沼の深みに沈んでどうするねんって話。場所くうし値段付かないから売れないし、使う場面もなかなか難しいし、そろそろ手を引かないと収拾が付かなくなる。とはいえ、一度でも欲しいと思ってしまったら、ネットオークションとかで出てきたら手が出てしまうような、そんな未来が見えてはいる。諦めて収拾つかないけど蒐集しておくか。トホホ。
(2023.07)
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ナマジさん、大森末期丼2杯目ごちそうさまです。
返信削除1杯目のシルスターなど韓国製事情をからめた解説も、乳酸菌の酸味とナムルの苦さと後から来る辛味も、ゴマ油の香りと合わせておいしく頂きました。
私もぽつぽつですが大森増えてます。インスプール厨なので包〇のやつです。
しかし、ほかのメーカーは精度や設計が荒かったりしても何か良いところ次第では気に入って同じの増やしたりやらかすのですが、大森は全体出来がいい分少しのことが目立ってしまうと感じてしまいます。手持ちが増えていく中で大森が得意な機構や心地いい設計の黄金比で組まれたものが意外に少ないと思うようになりました。
私はまだ触ったことが無いのですがコメットが崇められる理由として「黄金比の大森」という事があるのでしょうか。
カセットスプールって感覚に来ますが実重量は大差ないんですね。ワンタッチ折り&鉄芯ウッドノブがまさかここまでとは。
ハンドルの質量ってどんなリールでも基本的に過剰気味と感じます。去年秋に「大森の左右両用等速オシレーション機種はフェースギアとオシレーションクランクの分、左にボディーが張り出していて、左巻きではその分突き出しが大きくなりノブが中心から遠のくので左用に詰めたハンドルを自作したい」という謎の発作が来た際に、十分以上にぜい肉を残した程度の軽量ハンドルを作ってみたのですがマイクロセブン201用が14グラムでできました。
一方ペン716は重量があっても気にならないのがすごいですね。重量が分散せずコンパクトに感じます。
レクエル堂さん おはようございます
削除需要少なめの末期大森ネタ、楽しんでくれた人が居るというのが分かって嬉しいです。
鉄心入りワンタッチウッドノブの重さには私も驚きました。誰が最初にこんなモンやり始めたんや?と戦犯探したくなります。
ハンドル自作はスゴいですね。仰るようにPENN716のように全体的にまんべんなく重めだとハンドル多少重くても気にならず、軽いボディーにクソ重いハンドルだと重量あまり気にしない私でさえ違和感感じるぐらいで「黄金比の大森」の難しさ的なものもそういったことも要因かもしれません。全体的にできの良くないものの良いところも、逆の全体的に良いもののちょっとしたアラも目立つってのはおおいに頷けます。